IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日華化学株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159970
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】毛髪処理剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/20 20060101AFI20231026BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20231026BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20231026BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20231026BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
A61K8/20
A61Q5/04
A61K8/22
A61K8/46
A61K8/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069932
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000226161
【氏名又は名称】日華化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】澤田 学
(72)【発明者】
【氏名】前川 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 亮介
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB012
4C083AB082
4C083AB282
4C083AB331
4C083AB332
4C083AB411
4C083AB412
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC771
4C083AC772
4C083AC842
4C083AC892
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083CC34
4C083EE25
(57)【要約】
【課題】高いウェーブ形成力をもちながら、ダメージ度合いが異なる毛髪に対して均一に施術ができ、また、ダメージが少なく、弾力を与えながらウェーブパーマ及びストレートパーマ処理に関する毛髪処理剤を提供すること。
【解決手段】還元剤を含有する第1剤、及び、酸化剤を含有する第2剤からなる2剤式の毛髪処理剤であって、(A)チオグリコール酸システアミン、及び、(B)カチオン性高分子を含む第1剤と、(C)臭素酸ナトリウム及び(D)過酸化水素から選択される1種または2種以上からなる第2剤を含有させて毛髪処理剤とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤を含有する第1剤、及び、酸化剤を含有する第2剤からなる2剤式の毛髪処理剤であって、
(A)チオグリコール酸システアミン、及び、(B)カチオン性高分子を含む第1剤と、
(C)臭素酸ナトリウム及び(D)過酸化水素から選択される1種を含む第2剤、
とを含有することを特徴とする毛髪処理剤。
【請求項2】
前記毛髪処理剤が、パーマネントウェーブ用、または縮毛矯正用、であることを特徴とする、請求項1に記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
前記成分(A)の含有量が、第1剤総量に対し、0.1~10質量%、
前記成分(B)の含有量が、第1剤総量に対し、0.01~4.0質量%、
であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の毛髪処理剤。
【請求項4】
前記成分(B)が、カチオン性多糖類、及び、第4級アンモニム基を有するモノマー由来の構造単位を含むカチオン性高分子、からなる群より選択される1種または2種以上のカチオン性高分子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の毛髪処理剤。
【請求項5】
前記成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量の質量比が、0.001~0.8であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の毛髪処理剤。
【請求項6】
前記第1剤のpHが、4.0以上10.5以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の毛髪処理剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の形状を調整する剤、さらに具体的には、例えば毛髪にウェーブまたはストレート形状を付与するためのパーマネントウェーブ処理や縮毛矯正処理に用いられる毛髪処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
パーマネントウェーブや縮毛矯正処理は、毛髪形状を変形する方法としてよく知られている。
これらの処理では還元剤が配合された毛髪変形用第1剤と、酸化剤が配合された毛髪変形用第2剤とを用いることで、毛髪形状の変形が行われる。
第1剤を用いた還元反応によって毛髪中のシスチン結合を切断し、その後毛髪形状を変えた状態で、第2剤を用いた酸化反応でシスチン結合を再結合することで、毛髪を希望の形状に固定することができる。
しかし、パーマネントウェーブや縮毛矯正処理は毛髪に対する負担が大きいことが知られており、また、髪質や毛髪のダメージ状態によって、ウェーブのかかりの強さやストレート時のクセの伸びが大きく変わることも知られている。
ヘアカラーやパーマを繰り返し、毛髪の根元部分と毛先部分のダメージ度合いが異なる毛髪に対して、通常のパーマネントウェーブ処理を行うと、毛先部分は水が浸透しやすい状態になっているため、ウェーブが強くかかりすぎたり、ちりついたりしてしまう。そのため、1つのウェーブ剤を用いたパーマネントウェーブ処理は根元から毛先までウェーブを均一にかけるのが難しいという問題があった。
【0003】
この問題点に対し、特許文献1によれば、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウムを含有する1剤とポリオキシエチレンアルキル(12~15)エーテルリン酸を含有する2剤を処理することにより、ダメージ度合いが異なり不均一になった毛髪に対してウェーブを比較的均一にかけている。
しかしながら、この方法では、ダメージ度合いが異なる毛髪に対してある程度均一なウェーブをかけることはできるものの、毛髪に対するダメージが大きく、毛髪の弾力も低下し、また、十分なウェーブ効果を付与するまでに至っていない。
また、特許文献2によれば、髪質許容差を評価した報告がなされている。
しかしながら、効果はまだ不十分な上にダメージを少なくするため薬剤のパワーが弱く、ウェーブ形成力や弾力が低いといった問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-113050
【特許文献2】特開2017-014110
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものである。
ヘアカラーやパーマなどを繰り返し、ダメージが進行して毛髪の根元部分と毛先部分のダメージ度合いが異なり、ダメージ度合いが異なる毛髪にも均一に施術できる、ウェーブパーマ及びストレートパーマを可能にする毛髪処理剤が必要とされている。
また、ダメージによって弾力がなくなった毛髪に対して、ダメージが少なく弾力のある強力なウェーブをかけ、さらに弾力を与えながらクセ毛をしっかり伸ばすことができる、毛髪処理剤も望まれている。
本発明の目的は、高いウェーブ形成力をもちながら、ダメージ度合いが異なる毛髪に対して均一に施術ができ、また、ダメージが少なく、弾力を与えながらウェーブパーマ及びストレートパーマ処理に関する毛髪処理剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、2剤式の毛髪処理剤として、(A)チオグリコール酸システアミン、及び、(B)カチオン性高分子からなる第1剤と、(C)臭素酸ナトリウム、及び、(D)過酸化水素からなる第2剤、とを含有することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、還元剤を含有する第1剤、及び、酸化剤を含有する第2剤からなる2剤式の毛髪処理剤であって、(A)チオグリコール酸システアミン、及び、(B)カチオン性高分子からなる第1剤と、(C)臭素酸ナトリウム及び(D)過酸化水素からなる第2剤、とを含有することを特徴とする毛髪処理剤の提供である。
前記毛髪処理剤としては、パーマネントウェーブ剤、縮毛矯正剤が挙げられる。
【0007】
前記成分(A)の含有量は、第1剤総量に対し0.1~10質量%であり、また、前記成分(B)の含有量は、第1剤総量に対し0.01~4.0質量%であることが好ましい。
さらに、前記成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量の質量比は、0.001~0.8((B)/(A)=0.001~0.8)の範囲内であることが好ましい。
【0008】
本発明において、毛髪処理剤とは、上述したように理・美容処理においてウェーブ形状またはストレート形状(縮毛矯正)を毛髪に付与する際に用いる、還元剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤からなる2剤式の剤であり、毛髪に形状を付与する際に、第1剤により毛髪のジスルフィド結合を切断し、第2剤によりジスルフィド結合を形成する、という過程を経るものである。
また、本発明の毛髪処理剤は、コールド式、又は、加温式で使用されてもよいが、加温式のロッド及び高温整髪用ストレートアイロン、カール用アイロンなどの加熱器具を使用し、60~230℃でウェーブ処理またはアイロンでストレート処理することが好ましい。
【0009】
すなわち、本願発明は、以下の点を特徴とする。
1.還元剤を含有する第1剤、及び、酸化剤を含有する第2剤からなる2剤式の毛髪処理剤であって、(A)チオグリコール酸システアミン、及び、(B)カチオン性高分子を含む第1剤と、(C)臭素酸ナトリウム及び(D)過酸化水素から選択される1種を含む第2剤、とを含有することを特徴とする毛髪処理剤。
2.前記毛髪処理剤が、パーマネントウェーブ用、または縮毛矯正用、であることを特徴とする、上記1に記載の毛髪処理剤。
3.前記成分(A)の含有量が、第1剤総量に対し、0.1~10質量%、前記成分(B)の含有量が、第1剤総量に対し、0.01~4.0質量%、であることを特徴とする、上記1又は2に記載の毛髪処理剤。
4.前記成分(B)が、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガムなどのカチオン性多糖類、及び、第4級アンモニム基を有するモノマー由来の構造単位を含むカチオン性高分子、からなる群より選択される1種または2種以上のカチオン性高分子であることを特徴とする、上記1~3に記載の毛髪処理剤。
5.前記成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量の質量比が、0.001~0.8((B)/(A)=0.001~0.8)であることを特徴とする、上記1~4に記載の毛髪処理剤。
6.前記第1剤のpHが、4.0以上10.5以下であることを特徴とする、上記1~5に記載の毛髪処理剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明の毛髪処理剤は、従来の毛髪処理剤と比較して、毛髪に高いウェーブ形成力を付与でき、また、ダメージ度合いが異なる毛髪に対しても均一に施術することができ、さらに、毛髪へのダメージが少なく毛髪に弾力性を与えることができる。
すなわち、本発明の毛髪処理剤は、カール形成力、ウェーブの均一性、弾力性、ストレート効果、コンディショニング効果の全てについて、優れた効果を発揮することができる毛髪処理剤である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、(A)チオグリコール酸システアミン、及び、(B)カチオン性高分子からなる第1剤と、(C)臭素酸ナトリウム、及び、(D)過酸化水素からなる第2剤、とを含有することを特徴とする毛髪処理剤である。以下において、各成分について詳細に説明する。
【0012】
[各成分の説明]
<成分(A)>
本発明の成分(A)として用いられるチオグリコール酸システアミンは、一般的な試薬や化粧品・医薬部外品を用いる事ができる。例えば、CYSTEAMINE THIOGLYCOLATE(SAMIN CHENICAL Co.Ltd.)を挙げることができる。
ダメージ軽減並びにウェーブ及びストレート形成の観点から、成分(A)の第1剤中での含有量は0.1~10質量%が好ましく、0.5~8質量%がより好ましい。
また、第1剤の還元剤である成分(A)チオグリコール酸システアミン以外にも、既知のパーマネントウェーブ用還元剤を組み合わせて用いることができる。
そのような還元剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン、チオグリコール酸ナトリウム、チオ乳酸、チオ乳酸塩、チオリンゴ酸、チオリンゴ酸塩、1-チオグリセロール、2-メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトプロピオン酸塩、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸塩、メチルチオグリコレート、エチルチオグリコレート、グリセロールモノチオグリコレート、システイン、システイン塩酸塩、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、N-アセチル-L-システイン、N-グアニル-L-システイン、システアミン、システアミン塩酸塩、ブチロラクトンチオール、カルボキシメチルシステイン、カルボキシメチルシステインリシン、グリオキシロイルカルボシステインなどを挙げることができる。
【0013】
<成分(B)>
本発明の成分(B)として用いられるカチオン性高分子は、特に限定されず、カチオン性多糖類、または、第4級アンモニム基を有するモノマー由来の構造単位を含むカチオン性高分子などを挙げることができ、これらを1種又は2種以上組合せても良い。
カチオン性多糖類としては、薬剤の操作性の観点から、カチオン化セルロース、及び、カチオン化グアーガムが好ましい。
すなわち、カチオン性高分子としては、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、第4級アンモニム基を有するモノマー由来のカチオン性高分子が好ましいが、添加による性能向上効果の観点から、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガムが特に好ましい。
【0014】
カチオン性多糖類としては、例えば、ポリクオタニウム-4(塩化ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム)、及び、ポリクオタニウム-10(塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース
)などのカチオン化セルロース、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グァーガム)などのカチオン化グアーガム、カチオン化ローカストビーンガム、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、キサンタンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、及び、カチオン化キサンタンガムなどを挙げることができ、例えば、DOCQUAT 10(ポリクオタニウム-10、DOC JAPAN社製)、JAGUAR C-14S(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ソルベイジャパン株式会社製)、ラボールガムCX(キサンタンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、DSP五協フード&ケミカル株式会社社製)、スタイリーゼ CSP(カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、アシュランド・ジャパン株式会社製)などを挙げることができる。
これらのカチオン性多糖類のうち、操作性及びコンディショニング効果の観点から、ポリクオタニウム-10(塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース)などのカチオン化セルロースが好ましい。
【0015】
第4級アンモニウム基を有するモノマー由来の構造単位を含むカチオン性高分子としては、例えば、ポリクオタニウム-11(ビニルピロリドンN,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩液)、ポリクオタニウム-6(ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム)、ポリクオタニウム-7(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液)、ポリクオタニウム-39(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体液)、ポリクオタニウム-50(ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン液)、ポリクオタニウム-51(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液)、ポリクオタニウム-22(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液)、ポリクオタニウム-16(ビニルピロリドン・メチルビニルイミダゾリウム共重合体)などを挙げることができる。
例えば、H.C.ポリマー1S(M)(ポリクオタニウム-11、大阪有機化学工業株式会社製)、マーコート プラス 3331 ポリマー(ポリクオタニウム-39、日本ルーブリゾール社製)、マーコート 550 ポリマー(ポリクオタニウム-7、日本ルーブリゾール社製)、マーコート 100 ポリマー(ポリクオタニウム-6、日本ルーブリゾール社製)、プラスサイズ L-401(ポリクオタニウム-50、互応化学工業株式会社製)を挙げることができる。
【0016】
これらの第4級アンモニム基を有するモノマー由来のカチオン性高分子のうち、操作性の観点から、ポリクオタニウム-39(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体液)などのメタクリル酸、アクリル酸およびアクリルアミド骨格を持つ第4級アンモニム基を有するモノマー由来のカチオン性高分子が好ましい。
【0017】
成分(B)の第1剤中の含有量は、ウェーブ及びストレート形成の観点から、0.01~4質量%が好ましい。0.01質量%より少ない場合はウェーブを均一にする作用や弾力アップ、コンディショニング効果をアップする作用を十分に発揮することができず、また4質量%より多い場合は、毛髪に対する吸着量が多くなりすぎ、そのため、還元剤による還元作用が阻害され、ウェーブ形成力及びストレート形成力が弱くなるおそれがある。
【0018】
また、前記成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量の質量比は、ウェーブ及びストレート形成の観点から、0.001~0.8(すなわち、(B)/(A)=0.001~0.8)であることが好ましく、さらに0.01~0.5であることがより好ましい。
0.8より大きい場合は、還元剤の浸透が弱まるためウェーブ形成力及びストレート形成力が弱くなり、0.001より小さい場合は、ウェーブを均一にする作用や弾力アップ、コンディショニング効果をアップする作用を十分に発揮することができなくなるおそれ
がある。
【0019】
<成分(C)>
本発明の成分(C)として用いられる臭素酸ナトリウムは、一般的な試薬や化粧品・医薬部外品を用いる事ができる。例えば、臭素酸ナトリウムP(大阪佐々木化学株式会社、100%)を挙げることができる。
成分(C)の第2剤中の含有量は、ウェーブ及びストレート形成の観点から、5~8質量%が好ましい。
【0020】
<成分(D)>
本発明の成分(D)として用いられる過酸化水素水は、一般的な試薬や化粧品・医薬部外品を用いる事ができる。例えば、35%過酸化水素(保土谷化学工業株式会社、35%)を挙げることができる。
成分(D)の第2剤中の含有量は、ウェーブ及びストレート形成の観点から、1~2質量%が好ましい。
【0021】
<その他組成>
本発明の第1剤には、前記還元剤及びカチオン性高分子以外にも、従来のパーマネントウェーブ用第1剤に配合されているものと同様のものを、必要に応じて適宜配合することができる。
そのような成分としては、例えば、炭酸水素アンモニウム、アンモニア水、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、アルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩などのアルカリ剤、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、及びフマル酸などの有機酸、アニオン性界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤などの各種界面活性剤、エタノール、プロピレングリコール、及びイソプロパノールなどのアルコール類、1,3-ブチレングリコール、プロパンジオール、エチレングリコール、ソルビトール、及びグリセリンなどの多価アルコール類、パラフィン、脂肪酸エステル、及び動植物油などの油脂類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びオレイルアルコールなどの高級アルコール、コラーゲン、ケラチン、絹、大豆タンパク、小麦タンパク、及び卵殻膜などの動植物由来の蛋白質の加水分解物やその誘導体、シリコーンなどの毛髪保護剤、防腐剤、安定剤、抗炎症剤、着色剤、キレート剤、及び香料などが挙げられる。
【0022】
本発明の第2剤には、前記臭素酸ナトリウムや過酸化水素水などの酸化剤以外にも、従来のパーマネントウェーブ用第2剤に配合されているものと同様のものを、必要に応じて適宜配合することができる。
そのような成分としては、例えば、アルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩などのアルカリ剤、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、及びフマル酸などの有機酸、リン酸や塩酸などの無機酸、アニオン性界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤などの各種界面活性剤、エタノール、プロピレングリコール、及びイソプロパノールなどのアルコール類、1,3-ブチレングリコール、プロパンジオール、エチレングリコール、ソルビトール、及びグリセリンなどの多価アルコール類、パラフィン、脂肪酸エステル、及び動植物油などの油脂類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びオレイルアルコールなどの高級アルコール、コラーゲン、ケラチン、絹、大豆タンパク、小麦タンパク、及び卵殻膜などの動植物由来の蛋白質の加水分解物やその誘導体、シリコーンなどの毛髪保護剤、シリコーン類、防腐剤、安定剤、抗炎症剤、着色剤、キレート剤、及び香料などが挙げられる。
【0023】
<処理条件(pH)>
本発明の第1剤は、いずれのpHでも機能性を発揮するが、ウェーブ及びストレート形
成の観点からpH4.0以上であることが好ましく、ダメージ軽減の観点からpH10.5以下であることが好ましい。
【実施例0024】
以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例の毛髪処理は、以下のように行った。
【0025】
[パーマ処理]
試験用毛髪(毛束)として、同一人毛から長さ20cm、質量0.5gの人毛の束を作成し、評価に応じて、未処理である毛束タイプA、ブリーチ1回処理した毛束タイプB、ブリーチ2回処理した毛束タイプC、パウダーブリーチ2回処理した毛束タイプD、を使用した。
【0026】
表1の実施例1~33及び比較例1~27に記載されたとおりの組成の第1剤、及び、表2に記載されたとおりの第2剤を用いて処理を行った。
加温ロッドを使用するホットパーマ施術では、デジタルパーマ機器として、ODIS2(大広製作所製)を使用し、ストレートパーマ処理では、ストレートアイロン機器(ADST DS Premium SLIM、八光工業株式会社製)を使用した。
各評価項目において、評価3以上のものを合格とし、より好ましくは評価4以上のものを合格とし、各実施例において、1項目でも評価2以下のものがあれば不合格とした。
なお、表中の単位は質量部であり、「残量」とは全量を100質量部とする量である。
【0027】
[カール形成力]
<処理>
毛束タイプAを太さ23mmのロッドにワインディングし、第1剤を塗布後、室温で15分間放置した。その後、いったん水洗し、第2剤を塗布後、室温で10分間放置した。次に、水洗し、ロッドアウトして水分をタオル等で除去後、室温で自然放置により乾燥した。
また、加温ロッドを使用して評価する場合は、毛束タイプAに、第1剤を塗布後、室温で15分間放置した。その後、いったん水洗し、水分をタオル等で十分に除去後、太さ23mmの加温ロッドにてワインディングし、100℃にて10分間加温処理した。加温処理終了後、室温で5分間放置し、第2剤を塗布後、室温で10分間放置した。次に、水洗し、ロッドアウトして水分をタオル等で除去後、室温で自然放置により乾燥した。
【0028】
<試験方法>
ウェーブ処理した毛髪を目視にて毛束のウェーブの山数を計測し、以下のカール形成力の評価基準にて評価した。
【0029】
<カール形成力の評価基準>
5:ウェーブの山数が5.5個以上
4:ウェーブの山数が5個以上、5.5個未満
3:ウェーブの山数が4個以上、5個未満
2:ウェーブの山数が3.5個以上、4個未満
1:ウェーブの山数が3.5個未満
【0030】
[ウェーブの均一性]
本発明が、ダメージ度合いの異なる毛髪にも均一に施術できるウェーブパーマ及びストレートパーマを可能な毛髪処理剤であることを、ウェーブの均一性により評価した。
<処理>
毛束タイプA、B、C、Dを用い、それぞれ太さ23mmのロッドにワインディングし、第1剤を塗布後、室温で15分間放置した。その後、いったん水洗し、第2剤を塗布後、室温で10分間放置した。次に、水洗し、ロッドアウトして水分をタオル等で除去後、室温で自然放置により乾燥した。
また、加温ロッドを使用して評価する場合は、毛髪タイプA、B、C、Dそれぞれに第1剤を塗布後、室温で15分間放置した。その後、いったん水洗し、水分をタオル等で十分に除去後、太さ23mmの加温ロッドにてワインディングし、100℃にて10分間加温放置した。加温処理終了後、室温で5分間放置し、第2剤を塗布後、室温で10分間放置した。次に、水洗し、ロッドアウトして水分をタオル等で除去後、室温で自然放置により乾燥した。
【0031】
<試験方法>
ウェーブ処理した毛髪を目視にて、毛束タイプA、B、C、Dのウェーブの山数を計測し、以下のウェーブの均一性の評価基準にて評価した。
【0032】
<ウェーブの均一性の評価基準>
5:毛束のウェーブの山数が同じものが3つ以上、かつ山数の差が0.5個以内
4:毛束のウェーブの山数が同じものが3つ以上、かつ山数の差が1.0個以内
3:毛束のウェーブの山数が同じものが2つ以上、かつ山数の差が1.0個以内
2:毛束のウェーブの山数が同じものが2つ以上、かつ山数の差が2.0個未満
1:毛束のウェーブの山数が同じものがない、または山数の差が2.0個以上
【0033】
[弾力性]
<処理>
毛束タイプAに、第1剤を塗布後、室温で15分間放置した。その後、いったん水洗し、タオル等で水分を十分に除去した。加温施術設定の場合は、毛束を乾燥後、ストレートアイロンにて180℃で2回ゆっくりとアイロンを毛髪表面に滑らせるように処理した。次に、第2剤を塗布し、室温で10分間放置した。その後、水洗し、室温で乾燥した。
【0034】
<試験方法>
毛髪の弾力性は、一本曲げ試験機(KES-FB2-SH、カトーテック社製)を使用し、50回曲げ試験を行った際のB値(傾きの平均値、単位:gf・cm2)を計測し、以下の弾力性の評価基準にて評価した。
【0035】
<弾力性の評価基準>
5:処理によりB値(傾きの平均値)が0.002以上向上
4:処理によりB値(傾きの平均値)が0.001以上、0.002未満向上
3:処理によりB値(傾きの平均値)が0以上、0.001未満向上
2:処理によりB値(傾きの平均値)が0.0001以上、0.001未満低下
1:処理によりB値(傾きの平均値)が0.001以上低下
【0036】
[ストレート効果]
<処理>
20cmの長さにカットした縮毛矯正練習用マネキン(Trico社製、商品名:ナオミ)の毛髪を、幅約3cm、厚さ1.5cmの幅で毛束にし、第1剤を塗布後、室温で15分間放置した。その後、いったん水洗し、水分をタオル等で十分に除去した。ストレートアイロンを使用する場合は、毛髪を乾燥後、180℃でストレートアイロンにて2回ゆっくりとアイロンを毛髪表面に滑らせるように処理した。次に、第2剤を塗布後、室温で10分間放置した。その後、水洗し、室温で乾燥した。
実施例32、33においては、230℃に設定したストレートアイロンにて処理した。
【0037】
<試験方法>
ストレート処理した縮毛矯正練習用マネキンのウェーブの伸び具合から、以下のストレート効果の評価基準にて評価した。
【0038】
<ストレート効果の評価基準>
5:完全にウェーブが伸びた(ウェーブの山数が0個)
4:ウェーブがほぼ伸びた(ウェーブの山数が0より大きく、2個未満)
3:ウェーブがある程度伸びたが波上のウェーブが少し残っている(ウェーブの山数が2個以上、6個未満)
2:ウェーブがほとんど伸びていない(ウェーブの山数が6個以上~10個未満)
1:ウェーブがまったく伸びていない(ウェーブの山数が10個以上)
【0039】
[コンディショニング効果]
<処理>
毛束タイプBに、第1剤を塗布後、室温で15分間放置した。その後、いったん水洗し、水分をタオル等で十分に除去後、第2剤を塗布し、室温で10分間放置した。次に、水洗し、室温で乾燥した。
加温施術設定の場合は、第1剤を塗布後、室温で15分間放置した。その後、いったん水洗し、水分をタオル等で十分に除去後、乾燥し、実施例30、31においてはウェーブ評価時と同じ温度で処理し、実施例32、33においては230℃でストレートアイロンにて2回ゆっくりとアイロンを毛髪表面に滑らせるように処理した。
次に、第2剤を塗布し、室温で10分間放置した。その後、水洗し、室温で乾燥した。
【0040】
<試験方法>
処理後の毛束をパネリスト10名が、以下のコンディショニング効果の評価基準にて評価した。
【0041】
<コンディショニング効果の評価基準>
5:優れたコンディショニング感
4:処理前と比較してコンディショニングが良いと感じる
3:処理前と比較してコンディショニングが変わらない
2:処理前よりもコンディショニングが悪く感じる
1:処理前よりもコンディショニングが著しく悪い
【0042】
【表1-1】
【0043】
【表1-2】
【0044】
【表1-3】
【0045】
【表1-4】
【0046】
【表1-5】
【0047】
【表2】
【0048】
各実施例および比較例の結果を表1に示すが、本発明により、チオグリコール酸システアミンとカチオン性高分子を特定の比率で組み合わせて使用することで、毛髪の根元部分と毛先部分のダメージ度合いが異なる不均一になった毛髪に対して均一に施術することが可能となり、さらに、高いウェーブ形成力をもちながらダメージが少なく、弾力を与えながらウェーブパーマおよびストレートパーマ処理を可能にする、毛髪処理剤を提供することができた。
また本発明は、既知の還元剤との併用、および、幅広いアルカリ剤の種類やpHにも適用できることが確認された。さらに、加温プロセスと組みあわせることで、顕著な効果を出すことが見出されることが明らかになった。
これに対して、比較例のものにおいては、不均一になった毛髪に対して均一な施術を行うことが困難であり、また、ウェーブ形成力は高いがダメージが大きくコンディショニング効果が低いものや、ダメージが少なくても十分なウェーブ形成力や弾力が得られないものがあり、評価結果において満足がいくものは得られなかった。