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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159979
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】ガス燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/00 20060101AFI20231026BHJP
   F23D 17/00 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
F23K5/00 307A
F23D17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069948
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 俊介
【テーマコード(参考)】
3K065
3K068
【Fターム(参考)】
3K065RB01
3K068AA01
3K068BA03
3K068BB05
3K068CA05
3K068CB04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】2種類の燃料ガス供給源を安全に切替えて使用することができるガス燃焼装置を提供すること。
【解決手段】ガス燃焼装置は、バーナと、燃料ガスをバーナに供給するガス供給通路と、ガス供給通路に燃料ガスを供給するためにガスホースが接続されるホース接続路と、カセットボンベからガス供給通路に燃料ガスを供給するためにカセットボンベが接続されるカセットボンベ接続路と、カセットボンベ接続路にカセットボンベを取付けて接続する取付手段と、ホース接続路とカセットボンベ接続路とガス供給通路が接続されて燃料ガス供給源を切替える切替弁を備え、切替弁が取付手段と連動して、カセットボンベ接続時にホース接続路の連通接続を遮断すると共にカセットボンベ接続路に連通接続し、カセットボンベ非接続時にホース接続路に連通接続すると共にカセットボンベ接続路の連通接続を遮断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナと、燃料ガスを前記バーナに供給するためのガス供給通路と、前記ガス供給通路にガスホースを介して燃料ガスを供給するために前記ガスホースが接続されるホース接続路と、カセットボンベから前記ガス供給通路に燃料ガスを供給するために前記カセットボンベが接続されるカセットボンベ接続路と、前記カセットボンベ接続路に前記カセットボンベを取り付けて接続するための取付手段と、前記ホース接続路と前記カセットボンベ接続路と前記ガス供給通路が接続されて前記ガス供給通路に供給する燃料ガスの供給源を切替えるための切替弁を備えたガス燃焼装置において、
前記切替弁は、前記取付手段と連動して、前記カセットボンベの接続時に前記ホース接続路の連通接続を遮断すると共に前記カセットボンベ接続路に連通接続し、前記カセットボンベの非接続時に前記ホース接続路に連通接続すると共に前記カセットボンベ接続路の連通接続を遮断することを特徴とするガス燃焼装置。
【請求項2】
前記切替弁が、前記ホース接続路の連通接続及び前記カセットボンベ接続路の連通接続の両方を同時に遮断する全閉機能を有することを特徴とする請求項1に記載のガス燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス燃焼装置に関し、特に2種類の燃料ガス供給源に対応可能なガス燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家庭用のガスコック又はガスコンセントから燃料ガスの供給を受けて燃焼するガス燃焼装置として、例えばガスコンロ、ガスヒータ等が広く利用されている。ガス燃焼装置はガスホース又はガスコードによってガスコック又はガスコンセントに接続されるので、ガス燃焼装置の設置場所がガスコック又はガスコンセントの近くに制限される。
【0003】
一方、カセットボンベから燃料ガスの供給を受けるガス燃焼装置も広く利用されている。このガス燃焼装置は屋外でも使用でき、災害等によってガスコック又はガスコンセントへの燃料ガスの供給が遮断された場合にも使用可能である。燃料切れのカセットボンベは交換されるが、ガスコック又はガスコンセントから供給される燃料ガスと比べてランニングコストが高く、常用には不向きである。
【0004】
異なる燃料ガス供給源の燃料ガスを使用する場合には、燃料ガス供給源に対応するガス燃焼装置を夫々用意する必要があるが、例えば特許文献1のように、2種類の燃料ガス供給源から燃料ガスの供給を受けることができるガス燃焼装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-192166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガスコック又はガスコンセントから供給される燃料ガスはメタン又はプロパンを主成分としており、カセットボンベの燃料ガスはブタンを主成分としている。これらは体積当たりの燃焼熱量が異なり、事故防止のために2種類の燃料ガスを同時に使用することを避ける必要がある。そこで、特許文献1のガス燃焼装置は、2種類の燃料ガスを同時に使用することがないように、同時使用防止手段によってガスコードの接続とカセットボンベの取付け接続とが同時にできないようにしている。
【0007】
特許文献1のガス燃焼装置は、容易に着脱可能なソケットを備えたガスコードが接続されている場合に、カセットボンベの接続によってガスコードが取り外される。従って、クリップバンドで固定されるガスホースに対応することは困難であり、ガスコック又はガスコンセントの元栓を閉止してからカセットボンベを取付けなければガス漏れの虞がある。
【0008】
本発明の目的は、2種類の燃料ガス供給源を安全に切替えて使用することができるガス燃焼装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明のガス燃焼装置は、バーナと、燃料ガスを前記バーナに供給するためのガス供給通路と、前記ガス供給通路にガスホースを介して燃料ガスを供給するために前記ガスホースが接続されるホース接続路と、カセットボンベから前記ガス供給通路に燃料ガスを供給するために前記カセットボンベが接続されるカセットボンベ接続路と、前記カセットボンベ接続路に前記カセットボンベを取り付けて接続するための取付手段と、前記ホース接続路と前記カセットボンベ接続路と前記ガス供給通路が接続されて前記ガス供給通路に供給する燃料ガスの供給源を切替えるための切替弁を備えたガス燃焼装置において、前記切替弁は、前記取付手段と連動して、前記カセットボンベの接続時に前記ホース接続路の連通接続を遮断すると共に前記カセットボンベ接続路に連通接続し、前記カセットボンベの非接続時に前記ホース接続路に連通接続すると共に前記カセットボンベ接続路の連通接続を遮断することを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、ガス燃焼装置は、バーナで燃焼させる燃料ガスの供給源を切替えるための切替弁を有する。この切替弁は、燃料ガスの供給源としてカセットボンベをカセットボンベ接続路に取り付けて接続する取付手段と連動して、カセットボンベの接続時にカセットボンベ接続路に連通接続する。これと同時に、切替弁は、もう1つの燃料ガスの供給源からガスホースを介して燃料ガスが供給されるホース接続路との連通接続を遮断する。一方、カセットボンベを使用しない場合には、取付手段と連動してカセットボンベの接続を解除する際に、切替弁はカセットボンベ接続通路との連通接続を遮断すると共に、ホース接続路に連通接続する。従って、取付手段の操作に連動して切替弁が燃料ガスの供給源を切替えるので、2種類の燃料ガスを同時に使用することがなく、ガスホースを取り外さずにガス燃焼装置を安全に使用することができる。
【0011】
請求項2の発明のガス燃焼装置は、請求項1の発明において、前記切替弁が、前記ホース接続路の連通接続及び前記カセットボンベ接続路の連通接続の両方を同時に遮断する全閉機能を有することを特徴としている。
上記構成によれば、切替弁の全閉機能によりバーナへの燃料ガスの供給を遮断することができるので、例えば悪戯等よって点火、燃焼する不測の事態を防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガス燃焼装置によれば、2種類の燃料ガス供給源を安全に切替えて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係るガス燃焼装置の全体構成を示す説明図である。
図2図1の切替弁の平面図である。
図3図1の切替弁の側面図である
図4図1の切替弁の弁体の斜視図である。
図5】切替弁の他の例を示す平面図である。
図6図5の切替弁の弁体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0015】
図1に示すように、ガス燃焼装置1は、燃料ガスを燃焼させるバーナ2と、バーナ2に燃料ガスと空気を混合して供給する混合部3と、混合部3を介してバーナ2に燃料ガスを供給するガス供給通路4を有する。混合部3には、燃料ガスの流入によって燃料ガスの流量に応じた量の空気が引き込まれ、混合部3内で燃料ガスと空気が混合されてバーナ2に供給される。
【0016】
ガス供給通路4には、燃料ガスの流量を調整する流量調整部5と、点火操作及び火力調整のために流量調整部5の流量調整操作を行うための点火つまみ6と、バーナ2の非燃焼時にガス供給通路4のガス供給を遮断するガス遮断装置7を有する。点火つまみ6の点火操作によって、ガス遮断装置7によるガス供給遮断を解除して燃料ガスをバーナ2に供給すると共に、圧電装置8で電圧を発生させてバーナ2の近傍に配設された点火プラグ9に火花を起こして点火する。また、バーナ2の近傍には燃焼検知用の熱電対10が配設されている。ガス遮断装置7は、バーナ2の燃焼時に発生する熱電対10の起電力によって、ガス供給遮断を解除した状態、即ちガス供給通路4が連通する状態に維持される。
【0017】
ガス燃焼装置1は、不図示の家庭のガスコック又はガスコンセントからメタン又はプロパンを主成分とする燃料ガスの供給を受けるために、ガスコック又はガスコンセントに接続されるガスホース11が矢印A1で示すように接続されるホース接続路12を有する。ホース接続路12は切替弁20を介してガス供給通路4に接続され、ホース接続路12から切替弁20を介してガス供給通路4に燃料ガスを供給可能である。ホース接続路12は、ソケットを備えて潰れないように補強されたガスコードが接続されるものであってもよく、クリップバンドで固定されるゴム製のガスホースが接続されるものであってもよい。
【0018】
ガスホース11を介して供給される燃料ガスの供給圧を調整するために、ホース接続路12には第1ガバナ13が装備されている。第1ガバナ13は、燃料ガスの種類に応じた供給圧に調整することにより、混合部3での燃料ガスと空気の混合比率を最適化する。
【0019】
ガス燃焼装置1は、カセットボンベ15からブタンを主成分とする燃料ガスの供給を受けるために、カセットボンベ15が接続されるカセットボンベ接続路16を有する。このカセットボンベ接続路16は切替弁20に接続され、カセットボンベ15から切替弁20を介してガス供給通路4に燃料ガスを供給可能である。
【0020】
カセットボンベ接続路16は、カセットボンベ15の接続部に第2ガバナ17を備えている。第2ガバナ17はカセットボンベ15からの燃料ガスに応じた供給圧に調整することにより、混合部3での燃料ガスと空気の混合比率を最適化する。カセットボンベ15は、矢印A2のように第2ガバナ17に向けて押圧されてカセットボンベ接続路16に接続される。
【0021】
切替弁20には、図1図4に示すように、ガス供給通路4とホース接続路12とカセットボンベ接続路16が接続されている。この切替弁20は、例えばボール状の弁体21と、ガス供給通路4とホース接続路12とカセットボンベ接続路16が接続されたケース22と、弁体21に固定された回動軸部23と、この回動軸部23に固定された操作レバー24を有する。
【0022】
ケース22は収容した弁体21を回動可能に支持し、回動軸部23を中心に操作レバー24を例えば90度回動させる回動操作によって、ガス供給通路4に供給する燃料ガスの供給源が切り替えられる。このとき操作レバー24が延びる方向が、使用する燃料ガスの供給源の方向を表示する。ケース22は、ガス供給通路4とホース接続路12とカセットボンベ接続路16から内部に夫々連通する通路部22a~22cを有する。尚、弁体21とケースの間は気密にシールされ、燃料ガスの漏れを防いでいる。
【0023】
弁体21には、操作レバー24の表示方向と平行に弁体21の中心に向かって延びて向きを変え、回動軸部23と反対側に向かって延びる略L字形の切替通路21aが形成されている。切替通路入口21bに操作レバー24の表示方向から流入する燃料ガスは、切替通路21aを流動して弁体21内で向きを変え、回動軸部23と反対側に向かって流れてガス供給通路4に流入する。従って、操作レバー24の回動操作によって切替通路入口21bの向きが切り替えられるが、切替通路出口21cの向きは変わらない。
【0024】
操作レバー24は、カセットボンベ15をカセットボンベ接続路16の第2ガバナ17に取り付けて接続するための取付金具25(取付手段)の操作レバーを兼ねている。取付金具25は例えばリンク機構を備え、矢印A3のように操作レバー24を回動操作したときに矢印A4で示す円弧状にスライド移動するように、取付金具回動軸部26によって操作レバー24に接続されている。
【0025】
切替弁20をカセットボンベ接続路16側に切り替えることによって、取付金具25が第2ガバナ17に挿入されたカセットボンベ15を第2ガバナ17に向けて押圧して、カセットボンベ15がカセットボンベ接続路16に接続される。この接続状態を維持可能なように、取付金具25には、そのスライド移動を規制するためのロック機構27が設けられている。
【0026】
切替弁20がカセットボンベ接続路16側に切り替えられた場合、切替通路21aとカセットボンベ接続路16が連通接続され、燃料ガスがカセットボンベ15から切替弁20を介してガス供給通路4に供給される。これと同時に切替通路21aとホース接続路12の連通接続が遮断されるので、ホース接続路12からの燃料ガスの供給が遮断される。尚、ロック機構27は、操作レバー24の回動を規制するものであってもよい。
【0027】
一方、ロック機構27を解除して切替弁20をホース接続路12側に切り替えることによって、取付金具25によるカセットボンベ15の押圧を解除して、カセットボンベ15のカセットボンベ接続路16への接続が解除される。この接続解除の状態のカセットボンベ15は、ガス燃焼装置1から取り出してもよく、ガス燃焼装置1に残しておくこともできる。
【0028】
切替弁20がホース接続路12側に切り替えられた場合、切替通路21aとホース接続路12が連通接続され、燃料ガスがホース接続路12から切替弁20を介してガス供給通路4に供給される。これと同時に切替通路21aとカセットボンベ接続路16の連通接続が遮断される。カセットボンベ接続路16からの燃料ガスの供給は、切替弁20における連通接続の遮断及びカセットボンベ15の接続解除によって不可能になる。
【0029】
切替弁20は、例えばカセットボンベ接続路16と反対側に又はホース接続路12とカセットボンベ接続路16の中間に、切替通路入口21bが位置するように操作レバー24を操作したときに、ホース接続路12の接続及びカセットボンベ接続路16の接続の両方が同時に遮断される全閉機能を有する。これにより例えば悪戯等よって点火、燃焼する不測の事態を防止することができる。
【0030】
図5図6のように、ガス燃焼装置1は、弁体31の切替通路31aが操作レバー24の表示方向と平行に直線状に延び、ケース32にはホース接続路12とカセットボンベ接続路16の対向位置に夫々ガス供給通路4が接続された切替弁30を備えていてもよい。上記と同様に操作レバー24の90度の回動操作を行うことによって、取付金具25によるカセットボンベ15の接続と接続解除の切替えに連動して、ガス供給通路4に燃料ガスを供給する燃料ガス供給源が切り替えられる。そして、操作レバー24の表示方向が、使用する燃料ガス供給源が接続された方向を表示する。また、操作レバー24を例えばホース接続路12とカセットボンベ接続路16の中間に位置するように回動させたときに、全閉となってガス供給通路4への燃料ガスの供給を遮断することができる。
【0031】
上記のガス燃焼装置1の作用、効果について説明する。
ガス燃焼装置1は、バーナ2で燃焼させる燃料ガスの供給源を切替えるための切替弁20を有する。この切替弁20は、燃料ガスの供給源としてカセットボンベ15をカセットボンベ接続路16に取り付けて接続する取付金具25と連動して、カセットボンベ15の接続時にカセットボンベ接続路16に連通接続する。これと同時に、切替弁20は、もう1つの燃料ガスの供給源からガスホース11を介して燃料ガスが供給されるホース接続路12の連通接続を遮断する。一方、カセットボンベ15を使用しない場合には、取付金具25と連動してカセットボンベ15の接続を解除する際に、切替弁20はカセットボンベ接続路16の連通接続を遮断すると共に、ホース接続路12に連通接続する。
【0032】
従って、取付金具25の操作に連動して切替弁20が燃料ガスの供給源を切替えるので、2種類の燃料ガスを同時に使用することがなく、ガスホース11を取外さずにガス燃焼装置1を安全に使用することができる。また、切替弁20の全閉機能によってバーナ2への燃料ガスの供給を遮断することができるので、例えば悪戯等よって点火、燃焼する不測の事態を防止することができる。
【0033】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はその種の変更形態をも包含するものである。
【符号の説明】
【0034】
1 :ガス燃焼装置
2 :バーナ
3 :混合部
4 :ガス供給通路
5 :流量調整部
6 :点火つまみ
7 :ガス遮断装置
8 :圧電装置
9 :点火プラグ
10 :熱電対
11 :ガスホース
12 :ホース接続路
13 :第1ガバナ
15 :カセットボンベ
16 :カセットボンベ接続路
17 :第2ガバナ
20,30 :切替弁
21,31 :弁体
21a,31a:切替通路
21b:切替通路入口
21c:切替通路出口
22,32 :ケース
23 :回動軸部
24 :操作レバー
25 :取付金具(取付手段)
26 :取付金具回動軸部
27 :ロック機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6