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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160001
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20231026BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20231026BHJP
   H01L 31/08 20060101ALN20231026BHJP
   G01T 1/20 20060101ALN20231026BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L31/02 B
H01L27/146 F
H01L31/00 A
G01T1/20 E
G01T1/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069985
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝治
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】名倉 圭介
【テーマコード(参考)】
2G188
4M118
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
2G188BB02
2G188BB04
2G188CC22
2G188DD05
2G188DD35
2G188DD42
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA01
4M118BA19
4M118CA03
4M118CB11
4M118FA06
4M118FA26
4M118GA02
4M118HA21
4M118HA25
4M118HA30
4M118HA31
4M118HA32
4M118HA36
5F149AA02
5F149AB03
5F149BA26
5F149BB08
5F149DA05
5F149EA04
5F149HA17
5F149JA02
5F149JA10
5F149JA20
5F149LA06
5F149LA07
5F149XB02
5F149XB45
5F849AA02
5F849AB03
5F849BA26
5F849BB08
5F849DA05
5F849EA04
5F849HA17
5F849JA02
5F849JA10
5F849JA20
5F849LA06
5F849LA07
5F849XB02
5F849XB45
(57)【要約】
【課題】フィルム状接着部材のはみ出しを防止しつつ、配線基板と受光素子との安定した接合を実現することができる光検出装置を提供する。
【解決手段】光検出装置は、配線基板2と、受光素子3と、少なくとも一つの接続部材6a,6bと、フィルム状接着部材4と、を備える。実装領域5は、一対の第1辺51a,51b及び一対の第2辺52a,52bを有する。フィルム状接着部材4は、実装領域5に配置されている。フィルム状接着部材4は、本体部40と、少なくとも一つの突出部43,44と、を含む。本体部40は、各第1辺51a,51bにおいて実装領域5を切り欠くように延在している一対の第1縁41a,41b、及び、各第2辺52a,52bにおいて実装領域5を切り欠くように延在している一対の第2縁42a,42bを有する。少なくとも一つの突出部43,44は、各縁41a,41b,42a,42bの少なくとも一つの縁から延在している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板に実装された受光素子と、
前記配線基板と前記受光素子とを電気的に接続している接続部材と、
前記配線基板と前記受光素子とを接合しているフィルム状接着部材と、を備え、
前記配線基板と前記受光素子とが並んでいる第1方向から見た場合に前記配線基板と前記受光素子とが重なっている実装領域は、前記第1方向に垂直な第2方向において向かい合っている一対の第1辺、及び、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向において向かい合っている一対の第2辺を有し、
前記フィルム状接着部材は、前記第1方向から見た場合に前記実装領域に配置されており、
前記フィルム状接着部材は、
前記一対の第1辺のそれぞれにおいて前記実装領域の中心側に前記実装領域を切り欠くように延在している一対の第1縁、及び、前記一対の第2辺のそれぞれにおいて前記実装領域の中心側に前記実装領域を切り欠くように延在している一対の第2縁を有する本体部と、
前記一対の第1縁のそれぞれ及び前記一対の第2縁のそれぞれの少なくとも一つの縁から前記実装領域の中心とは反対側に延在している少なくとも一つの突出部と、を含む、光検出装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの突出部は、前記一対の第1縁のそれぞれ及び前記一対の第2縁のそれぞれから前記実装領域の中心とは反対側に延在している、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記一対の第1縁のそれぞれ及び前記一対の第2縁のそれぞれは、前記実装領域の中心側に凹む曲線に沿って延在している、請求項1又は2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記フィルム状接着部材は、前記少なくとも一つの突出部として、前記一対の第1縁のそれぞれ及び前記一対の第2縁のそれぞれから前記実装領域の中心とは反対側に延在している複数の突出部を含む、請求項1又は2に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記複数の突出部は、
第1突出部と、
前記第1突出部の幅よりも大きい幅を有する第2突出部と、を含む、請求項4に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記複数の突出部は、
前記一対の第1縁のそれぞれ及び前記一対の第2縁のそれぞれの中央において前記実装領域の中心とは反対側に延在している複数の第3突出部と、
前記一対の第1縁のそれぞれ及び前記一対の第2縁のそれぞれの前記中央の両側において前記実装領域の中心とは反対側に延在している複数の第4突出部と、を含み、
前記第3突出部のそれぞれは、前記第4突出部のそれぞれの長さよりも長い長さを有する、請求項4に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記接続部材は、二次元状に配置された複数の接続部材のそれぞれである、請求項1又は2に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記本体部及び前記少なくとも一つの突出部は、前記第1方向から見た場合に、前記複数の接続部材と重なっている、請求項7に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記第1方向から見た場合に、前記フィルム状接着部材の外縁は、前記受光素子の外縁に対して内側に位置している、請求項1又は2に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記一対の第2辺の間の距離は、前記一対の第1辺の間の距離よりも大きい、請求項1又は2に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記本体部には、前記一対の第2縁のそれぞれから前記実装領域の中心側に延在している少なくとも一つのスリットが形成されている、請求項10に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記フィルム状接着部材は、異方性導電フィルムである、請求項1又は2に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記配線基板と前記受光素子との間の領域の外縁に沿って延在している保護部材を更に備える、請求項1又は2に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板と、配線基板に実装された受光素子と、配線基板と受光素子とを電気的に接続している接続部材と、を備える光検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、CT装置等に用いられる放射線検出ユニットでは、そのような複数の光検出装置が、互いの間隔が低減された状態で並べられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-000291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような光検出装置では、配線基板と受光素子との間にフィルム状接着部材が配置される場合がある。そのような場合に、配線基板と受光素子との安定した接合を実現すべく、製造時において、配線基板と受光素子との間の領域の全体にフィルム状接着部材が配置されると、配線基板と受光素子との間の領域からフィルム状接着部材がはみ出し、互いの間隔が低減された状態で複数の光検出装置を並べることが困難になるおそれがある。
【0005】
本発明は、フィルム状接着部材のはみ出しを防止しつつ、配線基板と受光素子との安定した接合を実現することができる光検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光検出装置は、[1]「配線基板と、前記配線基板に実装された受光素子と、前記配線基板と前記受光素子とを電気的に接続している接続部材と、前記配線基板と前記受光素子とを接合しているフィルム状接着部材と、を備え、前記配線基板と前記受光素子とが並んでいる第1方向から見た場合に前記配線基板と前記受光素子とが重なっている実装領域は、前記第1方向に垂直な第2方向において向かい合っている一対の第1辺、及び、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向において向かい合っている一対の第2辺を有し、前記フィルム状接着部材は、前記第1方向から見た場合に前記実装領域に配置されており、前記フィルム状接着部材は、前記一対の第1辺のそれぞれにおいて前記実装領域の中心側に前記実装領域を切り欠くように延在している一対の第1縁、及び、前記一対の第2辺のそれぞれにおいて前記実装領域の中心側に前記実装領域を切り欠くように延在している一対の第2縁を有する本体部と、前記一対の第1縁のそれぞれ及び前記一対の第2縁のそれぞれの少なくとも一つの縁から前記実装領域の中心とは反対側に延在している少なくとも一つの突出部と、を含む、光検出装置」である。
【0007】
上記[1]の光検出装置では、実装領域に配置されたフィルム状接着部材が、実装領域の各辺に対して切り欠かれた形状を呈する本体部を含んでいる。これにより、配線基板と受光素子との接合時に、実装領域からフィルム状接着部材がはみ出し難くなる。また、フィルム状接着部材の本体部が、実装領域の各隅部に延在しており、更に、実装領域に配置されたフィルム状接着部材が、本体部の少なくとも一つの縁から延在している少なくとも一つの突出部を含んでいる。これにより、配線基板と受光素子との接合時に、配線基板と受光素子との間隔が一定に維持され易くなり、その結果、配線基板と受光素子とが強固に接合される。よって、上記[1]の光検出装置によれば、フィルム状接着部材のはみ出しを防止しつつ、配線基板と受光素子との安定した接合を実現することができる。
【0008】
本発明の光検出装置は、[2]「少なくとも一つの突出部は、前記一対の第1縁のそれぞれ及び前記一対の第2縁のそれぞれから前記実装領域の中心とは反対側に延在している、上記[1]に記載の光検出装置」であってもよい。当該[2]の光検出装置によれば、配線基板と受光素子との安定した接合をより確実に実現することができる。
【0009】
本発明の光検出装置は、[3]「前記一対の第1縁のそれぞれ及び前記一対の第2縁のそれぞれは、前記実装領域の中心側に凹む曲線に沿って延在している、上記[1]又は[2]に記載の光検出装置」であってもよい。配線基板と受光素子との接合時には、実装領域の各辺の中央においてフィルム状接着部材がはみ出し易くなるが、当該[3]の光検出装置によれば、実装領域の各辺の中央におけるフィルム状接着部材のはみ出しをより確実に防止することができる。
【0010】
本発明の光検出装置は、[4]「前記フィルム状接着部材は、前記少なくとも一つの突出部として、前記一対の第1縁のそれぞれ及び前記一対の第2縁のそれぞれから前記実装領域の中心とは反対側に延在している複数の突出部を含む、上記[1]~[3]のいずれかに記載の光検出装置」であってもよい。当該[4]の光検出装置によれば、フィルム状接着部材のはみ出しをより確実に防止しつつ、配線基板と受光素子との安定した接合をより確実に実現することができる。
【0011】
本発明の光検出装置は、[5]「前記複数の突出部は、第1突出部と、前記第1突出部の幅よりも大きい幅を有する第2突出部と、を含む、上記[4]に記載の光検出装置」であってもよい。当該[5]の光検出装置によれば、配線基板と受光素子との接合時において、フィルム状接着部材からセパレータが剥がされる際に、各突出部の欠損が抑制されるため、配線基板と受光素子との安定した接合を実現することができる。また、各突出部の欠損が抑制されることで、歩留まりが改善される。
【0012】
本発明の光検出装置は、[6]「前記複数の突出部は、前記一対の第1縁のそれぞれ及び前記一対の第2縁のそれぞれの中央において前記実装領域の中心とは反対側に延在している複数の第3突出部と、前記一対の第1縁のそれぞれ及び前記一対の第2縁のそれぞれの前記中央の両側において前記実装領域の中心とは反対側に延在している複数の第4突出部と、を含み、前記第3突出部のそれぞれは、前記第4突出部のそれぞれの長さよりも長い長さを有する、上記[4]又は[5]に記載の光検出装置」であってもよい。配線基板と受光素子との接合時には、実装領域の各辺の中央においてフィルム状接着部材がはみ出し易くなるが、当該[6]の光検出装置によれば、実装領域の各辺の中央において本体部の各縁の後退量が大きくなるため、実装領域の各辺の中央におけるフィルム状接着部材のはみ出しをより確実に防止することができる。また、配線基板と受光素子との接合時において、フィルム状接着部材からセパレータが剥がされる際に、各突出部の欠損が抑制されるため、配線基板と受光素子との安定した接合を実現することができる。また、各突出部の欠損が抑制されることで、歩留まりが改善される。
【0013】
本発明の光検出装置は、[7]「前記接続部材は、二次元状に配置された複数の接続部材のそれぞれである、上記[1]~[6]のいずれかに記載の光検出装置」であってもよい。当該[7]の光検出装置によれば、例えば、受光素子としてエリアセンサが用いられる場合にも、フィルム状接着部材のはみ出しを防止しつつ、配線基板と受光素子との安定した接合を実現することができる。
【0014】
本発明の光検出装置は、[8]「前記本体部及び前記少なくとも一つの突出部は、前記第1方向から見た場合に、前記複数の接続部材と重なっている、上記[7]に記載の光検出装置」であってもよい。当該[8]の光検出装置によれば、フィルム状接着部材によって各接続部材が補強されるため、各接続部材による配線基板と受光素子との電気的な接続を確実な状態で維持することができる。
【0015】
本発明の光検出装置は、[9]「前記第1方向から見た場合に、前記フィルム状接着部材の外縁は、前記受光素子の外縁に対して内側に位置している、上記[1]~[8]のいずれかに記載の光検出装置」であってもよい。当該[9]の光検出装置によれば、フィルム状接着部材のはみ出しをより確実に防止することができる。
【0016】
本発明の光検出装置は、[10]「前記一対の第2辺の間の距離は、前記一対の第1辺の間の距離よりも大きい、上記[1]~[9]のいずれかに記載の光検出装置」であってもよい。当該[10]の光検出装置によれば、例えば、受光素子として、第3方向を長手方向とする長方形板状のセンサが用いられる場合にも、フィルム状接着部材のはみ出しを防止しつつ、配線基板と受光素子との安定した接合を実現することができる。
【0017】
本発明の光検出装置は、[11]「前記本体部には、前記一対の第2縁のそれぞれから前記実装領域の中心側に延在している少なくとも一つのスリットが形成されている、上記[10]に記載の光検出装置」であってもよい。当該[11]の光検出装置によれば、一対の第1縁の間隔よりも大きい間隔を有する一対の第2縁において、スリットの長さを十分に確保し、実装領域の各第2辺におけるフィルム状接着部材のはみ出しをより確実に防止することができる。また、スリットの長さを十分に確保しつつも、配線基板と受光素子との接合時において、フィルム状接着部材からセパレータが剥がされる際に、本体部の欠損が抑制される。したがって、配線基板と受光素子との安定した接合を実現することができる。
【0018】
本発明の光検出装置は、[12]「前記フィルム状接着部材は、異方性導電フィルムである、上記[1]~[11]のいずれかに記載の光検出装置」であってもよい。当該[12]の光検出装置によれば、接続部材による配線基板と受光素子との電気的な接続を確実な状態で維持することができる。
【0019】
本発明の光検出装置は、[13]「前記配線基板と前記受光素子との間の領域の外縁に沿って延在している保護部材を更に備える、上記[1]~[12]のいずれかに記載の光検出装置」であってもよい。当該[13]の光検出装置によれば、受光素子に欠け等の損傷が生じるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フィルム状接着部材のはみ出しを防止しつつ、配線基板と受光素子との安定した接合を実現することができる光検出装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態の光検出装置を備える放射線検出器の断面図である。
図2図1に示される受光素子の一部分の底面図である。
図3図1に示される光検出装置の平面図である。
図4】変形例のフィルム状接着部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[放射線検出器の構成]
【0023】
図1に示されるように、放射線検出器10は、光検出装置1と、シンチレータ層11と、複数の集積回路デバイス12と、フレキシブルプリント基板13と、ヒートシンク14と、を備えている。放射線検出器10では、放射線(例えば、γ線、X線等)がシンチレータ層11に入射すると、シンチレータ層11においてシンチレーション光が発生し、当該シンチレーション光が光検出装置1によって検出される。放射線検出器10は、放射線イメージング装置として、例えば、医療用放射線画像診断装置、非破壊検査装置等に用いられる。
【0024】
光検出装置1は、配線基板2と、受光素子3と、フィルム状接着部材4と、複数の第1接続部材6aと、複数の第2接続部材6bと(図2及び図3参照)、保護部材7と、を備えている。配線基板2は、表面2a及び裏面2bを有している。受光素子3は、表面3a及び裏面3bを有している。受光素子3は、受光素子3の裏面3bが配線基板2の表面2aと向かい合った状態で、配線基板2の表面2aに実装されている。受光素子3は、二次元状に配置された複数のフォトダイオード(光電変換領域)を有する裏面入射型のエリアセンサである。以下、配線基板と受光素子とが並んでいる第1方向をZ方向といい、第1方向に垂直な第2方向をX方向といい、第1方向及び第2方向に垂直な第3方向をY方向という。
【0025】
複数の接続部材6a,6bは、配線基板2と受光素子3とを電気的に接続している。具体的には、複数の接続部材6a,6bは、配線基板2に設けられた複数のパッドと受光素子3に設けられた複数の電極とを電気的且つ物理的に接続している。本実施形態では、各接続部材6a,6bは、バンプ電極である。フィルム状接着部材4は、配線基板2と受光素子3とを接合している。本実施形態では、フィルム状接着部材4は、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)である。フィルム状接着部材4の厚さは、例えば、0.03~0.08mmである。保護部材7は、配線基板2と受光素子3との間の領域の外縁に沿って延在している。本実施形態では、保護部材7は、配線基板2と受光素子3との間の領域の外縁を枠状に包囲している。保護部材7は、例えば、アンダーフィル樹脂剤によって形成されている。
【0026】
シンチレータ層11は、受光素子3の表面3a上に配置されている。シンチレータ層11は、Z方向から見た場合に、受光素子3が有するフォトダイオードごとに光学的に分離されている。シンチレータ層11の材料は、γ線が検出対象である場合には、例えば、LYSO等であり、X線が検出対象である場合には、例えば、CsI、GOS等である。
【0027】
複数の集積回路デバイス12は、配線基板2の裏面2bに実装されている。各集積回路デバイス12は、複数のバンプ電極12aによって配線基板2と電気的且つ物理的に接続されている。フレキシブルプリント基板13は、複数のバンプ電極13aによって配線基板2と電気的且つ物理的に接続されている。放射線検出器10では、複数の集積回路デバイス12によって受光素子3の動作が制御され、フレキシブルプリント基板13によって、外部からの電気信号の入力及び外部への電気信号の出力が実施される。ヒートシンク14は、複数の集積回路デバイス12と接触した状態で、配線基板2の裏面2bに取り付けられている。ヒートシンク14は、各集積回路デバイス12を冷却する。
[受光素子の構成]
【0028】
図2に示されるように、受光素子3は、シリコンからなるn型半導体基板30を備えている。n型半導体基板30の厚さは、例えば、30~300μmである。n型半導体基板30の不純物濃度は、例えば、1×1012~1×1015/cmである。
【0029】
n型半導体基板30のうち裏面3bに沿った部分には、複数のp型領域31が形成されている。複数のp型領域31は、X方向及びY方向を列方向及び行方向とした状態で、二次元状に配置されている。複数のp型領域31は、n型半導体基板30との間で複数のpn接合領域を形成している。受光素子3では、複数のpn接合領域が複数のフォトダイオードとして機能する。Z方向における各p型領域31の幅は、例えば、0.05~20μmである。各p型領域31の不純物濃度は、例えば、1×1013~1×1020/cmである。
【0030】
n型半導体基板30のうち裏面3bに沿った部分には、複数の高濃度n型領域32が形成されている。各高濃度n型領域32は、Z方向から見た場合に、各p型領域31を包囲するように枠状に延在している。複数の高濃度n型領域32によって、複数のフォトダイオードが互いに電気的に分離され、隣り合うフォトダイオード間でのクロストークの発生が抑制される。Z方向における各高濃度n型領域32の幅は、例えば、0.1~数十μmである。各高濃度n型領域32の不純物濃度は、例えば、1×1013~1×1020/cmである。
【0031】
n型半導体基板30のうち裏面3bに沿った部分には、p型領域33が形成されている。p型領域33は、Z方向から見た場合に、隣り合う高濃度n型領域32の間を通るように格子状に延在している。p型領域33は、n型半導体基板30との間でpn接合領域を形成している。Z方向におけるp型領域33の幅は、例えば、0.05~20μmである。p型領域33の不純物濃度は、例えば、1×1013~1×1020/cmである。
【0032】
受光素子3の裏面3bには、複数の第1接続部材6aが形成されている。各第1接続部材6aは、各p型領域31と電気的に接続された各アノード電極(図示省略)上に形成されている。各アノード電極は、n型半導体基板30の裏面上に形成されており、各p型領域31上に位置している。表面3a側から各フォトダイオードに光が入射すると、各フォトダイオードにおいてキャリアが生成され、当該キャリアの生成によって生じた光電流が各第1接続部材6aを介して配線基板2に出力される。
【0033】
受光素子3の裏面3bには、複数の第2接続部材6bが形成されている。各第2接続部材6bは、複数の高濃度n型領域32及びp型領域33と電気的に接続されたカソード電極(図示省略)上に形成されている。カソード電極は、n型半導体基板30の裏面上に形成されており、複数の高濃度n型領域32及びp型領域33を覆うように格子状に延在している。複数の第2接続部材6bは、格子状に延在しているカソード電極が有する複数の交差部上に形成されている。ただし、複数の第2接続部材6bは、全ての交差部上に形成されているのではなく、X方向においてもY方向においても所定数の交差部ごとに複数の交差部上に形成されている(図3参照)。各第2接続部材6bは、配線基板2を介して接地電位と電気的に接続されている。
[フィルム状接着部材の構成]
【0034】
図3に示されるように、フィルム状接着部材4は、Z方向から見た場合に実装領域5内に配置されている。実装領域5は、Z方向から見た場合に配線基板2と受光素子3とが重なっている領域である。本実施形態では、実装領域5は、Z方向から見た場合に受光素子3の裏面3b(具体的には、n型半導体基板30の裏面)と配線基板2の表面2a(すなわち、配線基板2の実装面)とが重なっている領域である。本実施形態では、Z方向から見た場合に、フィルム状接着部材4の外縁は、受光素子3の外縁に対して内側に位置している。実装領域5は、一対の第1辺51a,51b及び一対の第2辺52a,52bを有している。一対の第1辺51a,51bは、X方向において向かい合っている。一対の第2辺52a,52bは、Y方向において向かい合っている。一対の第2辺52a,52bの間の距離は、一対の第1辺51a,51bの間の距離よりも大きい。各第1辺51a,51bの長さは、例えば、30~50mmである。各第2辺52a,52bの長さは、例えば、15~25mmである。本実施形態では、実装領域5は、一対の第1辺51a,51bを長辺とし且つ一対の第2辺52a,52bを短辺とする長方形状を呈している。本実施形態では、配線基板2及び受光素子3も、Z方向から見た場合に、実装領域5と略同一の長方形状を呈している。なお、図3では、受光素子3が二点鎖線で示されており、保護部材7の図示が省略されている。
【0035】
フィルム状接着部材4は、本体部40を含んでいる。本体部40は、一対の第1縁41a,41b及び一対の第2縁42a,42bを有している。第1縁41aは、第1辺51aにおいて実装領域5の中心50側に実装領域5を切り欠くように延在している。つまり、第1縁41aは、第1辺51aに対して内側に位置している。第1縁41bは、第1辺51bにおいて実装領域5の中心50側に実装領域5を切り欠くように延在している。つまり、第1縁41bは、第1辺51bに対して内側に位置している。第2縁42aは、第2辺52aにおいて実装領域5の中心50側に実装領域5を切り欠くように延在している。つまり、第2縁42aは、第2辺52aに対して内側に位置している。第2縁42bは、第2辺52bにおいて実装領域5の中心50側に実装領域5を切り欠くように延在している。つまり、第2縁42bは、第2辺52bに対して内側に位置している。本実施形態では、各縁41a,41b,42a,42bは、実装領域5の中心50側に凹む曲線(例えば、ラウンド状の滑らかな曲線)に沿って延在している。本体部40は、実装領域5の四つの隅部53のそれぞれに延在している。換言すれば、本体部40は、実装領域5の四つの隅部53のそれぞれにおいては切り欠かれていない。
【0036】
フィルム状接着部材4は、複数の第1突出部(突出部)43と、複数の第2突出部(突出部)44と、を更に含んでいる。複数の突出部43,44は、本体部40と一体で形成されている。第2突出部44は、第1突出部43の幅よりも大きい幅を有している。第1突出部43の幅とは、Z方向から見た場合において、第1突出部43が延在している方向に垂直な方向における第1突出部43の幅である。第2突出部44の幅とは、Z方向から見た場合において、第2突出部44が延在している方向に垂直な方向における第2突出部44の幅である。第1突出部43の幅は、例えば、0.5~2mmである。第2突出部44の幅は、例えば、1.5~6mmである。各第2突出部44の先端部(本体部40とは反対側の端部)には、本体部40とは反対側に開口するスリットが形成されている。なお、本体部40とは反対側に開口するスリットが各第2突出部44の先端部に形成されていなくてもよい。
【0037】
本体部40の第1縁41aからは、複数の突出部43,44が、X方向に沿って、実装領域5の中心50とは反対側に延在している。本体部40の第1縁41bからは、複数の突出部43,44が、X方向に沿って、実装領域5の中心50とは反対側に延在している。各第1縁41a,41bにおいて、複数の突出部43,44は、隣り合う第2突出部44の間に複数(例えば二つ)の第1突出部43が位置するように、所定間隔を取ってY方向に並んでいる。当該所定間隔は、例えば、0.5~2mmである。
【0038】
第1縁41aから延在している各突出部43,44の長さ(X方向における各突出部43,44の長さ)は、第1縁41aの中央に近付くほど長い。各突出部43,44の長さは、第1縁41aの中央に近付くにつれて、一つずつ連続的に増加していてもよいし、複数ずつ段階的に増加していてもよい。第1縁41bから延在している各突出部43,44の長さ(X方向における各突出部43,44の長さ)は、第1縁41bの中央に近付くほど長い。各突出部43,44の長さは、第1縁41bの中央に近付くにつれて、一つずつ連続的に増加していてもよいし、複数ずつ段階的に増加していてもよい。このように、各第1縁41a,41bの中央において実装領域5の中心50とは反対側に延在している複数の突出部(第3突出部)43,44のそれぞれは、各第1縁41a,41bの中央の両側において実装領域5の中心50とは反対側に延在している複数の突出部(第4突出部)43,44のそれぞれの長さよりも長い長さを有している。
【0039】
本体部40の第2縁42aからは、複数の突出部43,44が、Y方向に沿って、実装領域5の中心50とは反対側に延在している。本体部40の第2縁42bからは、複数の突出部43,44が、Y方向に沿って、実装領域5の中心50とは反対側に延在している。各第2縁42a,42bにおいて、複数の突出部43,44は、隣り合う第2突出部44の間に複数(例えば二つ)の第1突出部43が位置するように、所定間隔を取ってX方向に並んでいる。当該所定間隔は、例えば、0.5~2mmである。
【0040】
第2縁42aから延在している各突出部43,44の長さ(Y方向における各突出部43,44の長さ)は、第2縁42aの中央に近付くほど長い。各突出部43,44の長さは、第2縁42aの中央に近付くにつれて、一つずつ連続的に増加していてもよいし、複数ずつ段階的に増加していてもよい。第2縁42bから延在している各突出部43,44の長さ(Y方向における各突出部43,44の長さ)は、第2縁42bの中央に近付くほど長い。各突出部43,44の長さは、第2縁42bの中央に近付くにつれて、一つずつ連続的に増加していてもよいし、複数ずつ段階的に増加していてもよい。このように、各第2縁42a,42bの中央において実装領域5の中心50とは反対側に延在している複数の突出部(第3突出部)43,44のそれぞれは、各第2縁42a,42bの中央の両側において実装領域5の中心50とは反対側に延在している複数の突出部(第4突出部)43,44のそれぞれの長さよりも長い長さを有している。
【0041】
本体部40には、一対のスリット40a,40bが形成されている。スリット40aは、第2縁42aから実装領域5の中心50側に延在している。本実施形態では、スリット40aは、第2縁42aの中央からY方向に沿って延在している。一例として、X方向におけるスリット40aの幅は、第2縁42aに沿って隣り合う突出部43,44の間の所定間隔に等しく、Y方向におけるスリット40aの長さは、第2縁42aから延在している各突出部43,44の長さよりも長い。スリット40bは、第2縁42bから実装領域5の中心50側に延在している。本実施形態では、スリット40bは、第2縁42bの中央からY方向に沿って延在している。一例として、X方向におけるスリット40bの幅は、第2縁42bに沿って隣り合う突出部43,44の間の所定間隔に等しく、Y方向におけるスリット40bの長さは、第2縁42bから延在している各突出部43,44の長さよりも長い。なお、本実施形態では、フィルム状接着部材4は、Z方向から見た場合に、実装領域5の中心50を対称の中心とする点対称な形状を呈している。
【0042】
本体部40及び複数の突出部43,44は、Z方向から見た場合に、複数の接続部材6a,6bと重なっている。各第1接続部材6aは、Z方向から見た場合に、本体部40、第1突出部43又は第2突出部44と重なっている。各第2接続部材6bは、Z方向から見た場合に、本体部40又は第2突出部44と重なっている。上述したように、フィルム状接着部材4は、異方性導電フィルムである。異方性導電フィルムは、接着層として機能する絶縁性樹脂層と、絶縁性樹脂層内に分散された複数の導電性粒子と、を含んでいる。そのため、フィルム状接着部材4のうち各接続部材6a,6bによって押圧された部分のみにおいて、導電性粒子同士が接触することで導通が図られている。したがって、複数の接続部材6a,6bは、互いに電気的に分離されている。なお、図3では、各第1接続部材6aが白丸で図示されており、各第2接続部材6bが黒丸で図示されている。
[光検出装置の製造方法]
【0043】
上述した光検出装置1の製造方法について説明する。まず、配線基板2、裏面3bに複数の接続部材6a,6bが形成された受光素子3、及び一方の表面にセパレータが貼られたフィルム状接着部材4が用意される。複数の接続部材6a,6bは、受光素子3に設けられた複数の電極上に形成されている。続いて、フィルム状接着部材4の一方の表面にセパレータが貼られた状態で、フィルム状接着部材4が配線基板2の表面2aに貼り付けられる。続いて、フィルム状接着部材4からセパレータが剥がされる。
【0044】
続いて、受光素子3の裏面3bに形成された複数の接続部材6a,6bが、配線基板2に設けられた複数のパッド上に位置するように、受光素子3がフィルム状接着部材4を介して配線基板2上に配置される。続いて、所定の加熱温度下において、配線基板2に対して受光素子3が押圧される。これにより、配線基板2に設けられた複数のパッドと受光素子3に設けられた複数の電極とが、複数の接続部材6a,6bによって電気的且つ物理的に接続されると共に、配線基板2と受光素子3とがフィルム状接着部材4によって接合される。続いて、配線基板2と受光素子3との間の領域の外縁に沿ってアンダーフィル樹脂剤が塗布され、保護部材7が形成される。以上により、光検出装置1が得られる。
【0045】
なお、複数の接続部材6a,6bは、配線基板2、受光素子3及びフィルム状接着部材4が用意される際に、配線基板2の表面2aに形成されていてもよい。或いは、配線基板2、受光素子3及びフィルム状接着部材4が用意される際に、各接続部材6a,6bの一部が配線基板2の表面2aに形成されており、各接続部材6a,6bの残部が受光素子3の裏面3bに形成されていてもよい。また、フィルム状接着部材4は、フィルム状接着部材4の一方の表面にセパレータが貼られた状態で、受光素子3の裏面3bに貼り付けられてもよい。
[作用及び効果]
【0046】
光検出装置1では、実装領域5に配置されたフィルム状接着部材4が、実装領域5の各辺51a,51b,52a,52bに対して切り欠かれた形状を呈する本体部40を含んでいる。これにより、配線基板2と受光素子3との接合時に、実装領域5からフィルム状接着部材4がはみ出し難くなる。また、フィルム状接着部材4の本体部40が、実装領域5の各隅部53に延在しており、更に、実装領域5に配置されたフィルム状接着部材4が、本体部40の各縁41a,41b,42a,42bから延在している複数の突出部43,44を含んでいる。これにより、配線基板2と受光素子3との接合時に、配線基板2と受光素子3との間隔が一定に維持され易くなり、その結果、配線基板2と受光素子3とが強固に接合される。仮に、配線基板2と受光素子3との接合時に、配線基板2及び受光素子3の一方に対して他方が傾き、接合に要する圧力が不均一になったとしても、配線基板2と受光素子3とが強固に接合される。よって、光検出装置1によれば、フィルム状接着部材4のはみ出しを防止しつつ、配線基板2と受光素子3との安定した接合を実現することができる。
【0047】
光検出装置1では、本体部40の各縁41a,41b,42a,42bが、実装領域5の中心50側に凹む曲線に沿って延在している。配線基板2と受光素子3との接合時には、実装領域5の各辺51a,51b,52a,52bの中央においてフィルム状接着部材4がはみ出し易くなるが、上記構成により、実装領域5の各辺51a,51b,52a,52bの中央におけるフィルム状接着部材4のはみ出しをより確実に防止することができる。
【0048】
光検出装置1では、本体部40の各縁41a,41b,42a,42bにおいて、第2突出部44が、第1突出部43の幅よりも大きい幅を有している。これにより、配線基板2と受光素子3との接合時において、フィルム状接着部材4からセパレータが剥がされる際に、各突出部43,44の欠損が抑制されるため、配線基板2と受光素子3との安定した接合を実現することができる。また、各突出部43,44の欠損が抑制されることで、歩留まりが改善される。
【0049】
光検出装置1では、本体部40の各縁41a,41b,42a,42bの中央において実装領域5の中心50とは反対側に延在している複数の突出部43,44のそれぞれが、本体部40の各縁41a,41b,42a,42bの中央の両側において実装領域5の中心50とは反対側に延在している複数の突出部43,44のそれぞれの長さよりも長い長さを有している。配線基板2と受光素子3との接合時には、実装領域5の各辺51a,51b,52a,52bの中央においてフィルム状接着部材4がはみ出し易くなるが、上記構成により、実装領域5の各辺51a,51b,52a,52bの中央において本体部40の各縁41a,41b,42a,42bの後退量が大きくなるため、実装領域5の各辺51a,51b,52a,52bの中央におけるフィルム状接着部材4のはみ出しをより確実に防止することができる。また、配線基板2と受光素子3との接合時において、フィルム状接着部材4からセパレータが剥がされる際に、各突出部43,44の欠損が抑制されるため、配線基板2と受光素子3との安定した接合を実現することができる。また、各突出部43,44の欠損が抑制されることで、歩留まりが改善される。
【0050】
光検出装置1では、複数の接続部材6a,6bが二次元状に配置されている。つまり、受光素子3としてエリアセンサが用いられる場合にも、フィルム状接着部材4のはみ出しを防止しつつ、配線基板2と受光素子3との安定した接合を実現することができる。
【0051】
光検出装置1では、本体部40及び複数の突出部43,44が、Z方向から見た場合に、複数の接続部材6a,6bと重なっている。これにより、フィルム状接着部材4によって各接続部材6a,6bが補強されるため、各接続部材6a,6bによる配線基板2と受光素子3との電気的な接続を確実な状態で維持することができる。
【0052】
光検出装置1では、Z方向から見た場合に、フィルム状接着部材4の外縁が、受光素子3の外縁に対して内側に位置している。これにより、フィルム状接着部材4のはみ出しをより確実に防止することができる。
【0053】
光検出装置1では、一対の第2辺52a,52bの間の距離が、一対の第1辺51a,51bの間の距離よりも大きい。これにより、受光素子3として、Y方向を長手方向とする長方形板状のセンサが用いられる場合にも、フィルム状接着部材4のはみ出しを防止しつつ、配線基板2と受光素子3との安定した接合を実現することができる。
【0054】
光検出装置1では、一対の第1縁41a,41bの間隔よりも大きい間隔を有する一対の第2縁42a,42bにおいて、各第2縁42a,42bから実装領域5の中心50側に延在するように各スリット40a,40bが本体部40に形成されている。これにより、各スリット40a,40bの長さを十分に確保し、実装領域5の各第2辺52a,52bにおけるフィルム状接着部材4のはみ出しをより確実に防止することができる。また、各スリット40a,40bの長さを十分に確保しつつも、配線基板2と受光素子3との接合時において、フィルム状接着部材4からセパレータが剥がされる際に、本体部40の欠損が抑制される。したがって、配線基板2と受光素子3との安定した接合を実現することができる。
【0055】
光検出装置1では、フィルム状接着部材4が異方性導電フィルムである。これにより、各接続部材6a,6bによる配線基板2と受光素子3との電気的な接続を確実な状態で維持することができる。
【0056】
光検出装置1では、保護部材7が、配線基板2と受光素子3との間の領域の外縁に沿って延在している。これにより、受光素子3に欠け等の損傷が生じるのを抑制することができる。
[変形例]
【0057】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、フィルム状接着部材4は、本体部40の各縁41a,41b,42a,42bの少なくとも一つの縁から実装領域5の中心50とは反対側に延在している少なくとも一つの突出部(例えば、第1突出部43又は第2突出部44)を含んでいればよい。その場合にも、フィルム状接着部材4が少なくとも一つの突出部を含んでいない場合に比べれば、上述した実施形態と同様の理由により、フィルム状接着部材4のはみ出しを防止しつつ、配線基板2と受光素子3との安定した接合を実現することができる。一例として、少なくとも一つの突出部が、本体部40の各縁41a,41b,42a,42bから実装領域5の中心50とは反対側に延在していてもよい。
【0058】
フィルム状接着部材4において、本体部40の各縁41a,41b,42a,42bは、実装領域5の中心50側に凹む折れ線に沿って延在する等、実装領域5の中心50側に凹む曲線に沿って延在していなくてもよい。また、フィルム状接着部材4において、本体部40には、第2縁42aから実装領域5の中心50側に延在している複数のスリット40aが形成されていてもよい。同様に、フィルム状接着部材4において、本体部40には、第2縁42bから実装領域5の中心50側に延在している複数のスリット40bが形成されていてもよい。或いは、フィルム状接着部材4において、本体部40には、スリット40a及びスリット40bのいずれも形成されていなくてもよい。また、フィルム状接着部材4は、絶縁性フィルム(NCF:Non Conductive Film)であってもよい。その場合にも、フィルム状接着部材4のはみ出しを防止しつつ、配線基板2と受光素子3との安定した接合を実現することができる。
【0059】
上述した実施形態では、Z方向から見た場合にフィルム状接着部材4が実装領域5内に配置されており、フィルム状接着部材4の外縁が実装領域5の外縁に対して内側に位置していたが、フィルム状接着部材4の外縁の一部が実装領域5の外縁に接触していてもよい。更に、フィルム状接着部材4の外縁の一部が実装領域5の外縁に対して外側に位置していてもよい。例えば、Z方向から見た場合に配線基板2及び受光素子3の少なくとも一方の外縁の少なくとも一部が実装領域5の外縁の外側に位置しているような場合には、当該少なくとも一部において、フィルム状接着部材4の外縁の一部が実装領域5の外縁に対して外側に位置していてもよい。
【0060】
Z方向から見た場合に、受光素子3の外縁は、配線基板2の外縁に対して内側に位置していてもよいし、配線基板2の外縁に対して外側に位置していてもよいし、或いは、配線基板2の外縁と一致していてもよい。また、Z方向から見た場合に、受光素子3の裏面3bの外縁は、配線基板2の表面2aの外縁に対して内側に位置していてもよいし、配線基板2の表面2aの外縁に対して外側に位置していてもよいし、或いは、配線基板2の表面2aの外縁と一致していてもよい。
【0061】
上述した実施形態では、各突出部43,44の長さが、本体部40の各縁41a,41b,42a,42bの中央に近付くほど長い。しかし、本体部40の各縁41a,41b,42a,42bの中央において実装領域5の中心50とは反対側に延在している複数の突出部43,44のそれぞれが、本体部40の各縁41a,41b,42a,42bの中央の両側において実装領域5の中心50とは反対側に延在している複数の突出部43,44のそれぞれの長さよりも長い長さを有していれば、例えば、短い長さを有する突出部が、本体部40の各縁41a,41b,42a,42bの中央に存在していてもよい。
【0062】
図4に示されるように、フィルム状接着部材4において、一対の第2辺52a,52bの間の距離は、一対の第1辺51a,51bの間の距離と等しくてもよい。図4に示される例では、実装領域5は、正方形状を呈している。
【0063】
受光素子3は、裏面入射型のエリアセンサに限定されず、単一のフォトダイオードを有するセンサであってもよい。その場合、各接続部材6a,6bの数は、一つであってもよい。また、各接続部材6a,6bは、バンプ電極に限定されず、金属層等であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…光検出装置、2…配線基板、3…受光素子、4…フィルム状接着部材、5…実装領域、6a…第1接続部材(接続部材)、6b…第2接続部材(接続部材)、40…本体部、40a,40b…スリット、41a,41b…第1縁、42a,42b…第2縁、43…第1突出部(突出部)、44…第2突出部(突出部)、50…中心、51a,51b…第1辺、52a,52b…第2辺。
図1
図2
図3
図4