(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160014
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】軸受メタルの欠品検査方法および軸受メタルの欠品検査装置
(51)【国際特許分類】
G01M 15/04 20060101AFI20231026BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20231026BHJP
F16C 17/24 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
G01M15/04
F16C17/02 Z
F16C17/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070013
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100133916
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 興
(72)【発明者】
【氏名】乗貞 孝
【テーマコード(参考)】
2G087
3J011
【Fターム(参考)】
2G087AA02
2G087BB39
2G087CC02
2G087CC07
3J011AA20
3J011BA02
3J011BA13
3J011DA02
3J011EA10
3J011KA02
3J011NA01
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で軸受メタルの欠品を検出可能な軸受メタルの欠品検査方法および軸受メタルの欠品検査装置を提供する。
【解決手段】一対の軸受を、その内周面が互いに対向するように配置する準備工程と、クランクシャフトの軸心を挟んだ第2方向の両側に位置する第1ボルトおよび第2ボルトを用いて、第2ボルトを第1ボルトよりも後に締め付ける順序により一対の軸受を互いに締結する締結工程と、一対の軸受を第2ボルトにより締結する際の締め付けトルクと締め付け角度とに基づいて、軸受メタルが取り付けられているか否かを判定する判定工程とを実施する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフトを第1方向に沿う軸回りに回転可能に支持する一対の半割り型の軸受の内周面に、各軸受の内周面に沿って配設される一対の軸受メタルが取り付けられているか否かを判定する、軸受メタルの欠品検査方法であって、
前記一対の軸受を、その内周面が前記クランクシャフトを挟んで互いに対向するように配置する準備工程と、
前記一対の軸受の各内周面の対向方向と前記第1方向の双方と直交する方向を第2方向としたとき、前記クランクシャフトの軸心を挟んだ前記第2方向の両側に位置する第1ボルトおよび第2ボルトを用いて、前記第2ボルトを前記第1ボルトよりも後に締め付ける順序により、前記一対の軸受を互いに締結する締結工程と、
前記第2ボルトを締め付ける際の締め付けトルクと締め付け角度とに基づいて、前記軸受メタルが取り付けられているか否かを判定する判定工程とを含む、ことを特徴とする軸受メタルの欠品検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の軸受メタルの欠品検査方法において、
前記判定工程では、前記第2ボルトを締め付ける際の締め付けトルクに対する締め付け角度の変化率に基づいて前記軸受メタルが取り付けられているか否かを判定する、ことを特徴とする軸受メタルの欠品検査方法。
【請求項3】
請求項1に記載の軸受メタルの欠品検査方法において、
前記判定工程では、前記第2ボルトを締め付ける際の締め付けトルクが所定の判定トルクに到達するまでの当該締め付けトルクを前記第2ボルトの締め付け角度について積分して、得られた積分値に基づいて前記軸受メタルが取り付けられているか否かを判定する、ことを特徴とする軸受メタルの欠品検査方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の軸受メタルの欠品検査方法において、
前記一対の軸受は、前記クランクシャフトのクランクピンを支持するコンロッドの大端部を構成する、ことを特徴とする軸受メタルの欠品検査方法。
【請求項5】
クランクシャフトを第1方向に沿う軸回りに回転可能に支持する一対の軸受の内周面に、各軸受の内周面に沿って配設される一対の軸受メタルが取り付けられているか否かを判定する、軸受メタルの欠品検査装置であって、
各内周面が前記クランクシャフトを挟んで互いに対向するよう配設された前記一対の軸受を、前記各内周面の対向方向と前記第1方向の双方と直交する方向を第2方向としたときに、前記クランクシャフトの軸心を挟んで前記第2方向の両側に位置する第1ボルトおよび第2ボルトを用いて互いに締結する締結装置と、
前記第2ボルトの締め付けトルクと締め付け角度を検出する検出装置と、
前記締結装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第2ボルトが前記第1ボルトよりも後に締め付けられるように前記締結装置を制御するとともに、前記締結装置が前記第2ボルトを締め付ける際の前記検出装置により検出された締め付けトルクと締め付け角度とに基づいて、前記軸受メタルが取り付けられているか否かを判定する、ことを特徴とする軸受メタルの欠品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受メタルの欠品検査方法および軸受メタルの欠品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンには、クランクシャフトを回転可能に支持する軸受およびこの軸受に取り付けられる軸受メタルが設けられている。そして、特許文献1に開示されるように、エンジンの組立時には、上記軸受に軸受メタルが取り付けられているか否か、つまり、軸受メタルの欠品を検査する検査工程が実施される。
【0003】
特許文献1には、コンロッドの大端部に取り付けられる軸受メタルの欠品を検査する方法として、コンロッドにクランクシャフトのクランクピンが連結された状態で、クランクピンの外周面に開口する潤滑油路にエアを供給して、このエアの供給圧力が低いときは軸受メタルが欠品していると判定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された検査方法を用いる場合は、エンジンを組み立てるための装置とは別に、上記潤滑油路にエアを供給する装置を設ける必要があるとともに、エンジンの組立工程とは別に上記潤滑油路にエアを供給する工程を実施する必要があり、装置および工程が複雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で軸受メタルの欠品を検出可能な軸受メタルの欠品検査方法および軸受メタルの欠品検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、上記課題に対して鋭意研究の結果、次の知見を得た。すなわち、一対の半割り型の軸受をその両側部分においてボルトで締結する方法として、一方側部分をまず締結し、次に他方側部分を締結するという方法を採用すると、一対の軸受メタルのクラッシュハイトが他方側に偏った状態で他方側部分の締結が行われることに伴って、他方側部分を締結するときのボルトつまり2本目のボルトの締め付けトルクと締め付け角度とが、軸受メタルが軸受内に配置されている場合と配置されていない場合とで大きく異なるという知見を得た。
【0008】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、クランクシャフトを第1方向に沿う軸回りに回転可能に支持する一対の半割り型の軸受の内周面に、各軸受の内周面に沿って配設される一対の軸受メタルが取り付けられているか否かを判定する、軸受メタルの欠品検査方法であって、前記一対の軸受を、その内周面が前記クランクシャフトを挟んで互いに対向するように配置する準備工程と、前記一対の軸受の各内周面の対向方向と前記第1方向の双方と直交する方向を第2方向としたとき、前記クランクシャフトの軸心を挟んだ前記第2方向の両側に位置する第1ボルトおよび第2ボルトを用いて、前記第2ボルトを前記第1ボルトよりも後に締め付ける順序により、前記一対の軸受を互いに締結する締結工程と、前記第2ボルトを締め付ける際の締め付けトルクと締め付け角度とに基づいて、前記軸受メタルが取り付けられているか否かを判定する判定工程とを含む、ことを特徴とする。
【0009】
この方法では、上記のように軸受メタルが配置されている場合と配置されていない場合とによって大きく異なる、2本目のボルトである第2ボルトの締め付けトルクと締め付け角度との関係に基づいて軸受メタルが軸受内に配置されているか否かの判定が行われる。そのため、軸受メタルの欠品を精度よく検出できる。しかも、この方法では、軸受をボルトによって締結する締結工程で得られる情報にのみ基づいて上記の判定を行うので、軸受メタルの欠品を検出するための工程を新たに追加する必要がなく、構成を簡素化できる。
【0010】
ここで、軸受メタルが軸受内に配置されている場合と配置されていない場合とでは、2本目のボルトの締め付けトルクに対する締め付け角度の変化率が大きく異なることが分かっている。
【0011】
これより、前記判定工程において、前記第2ボルトを締め付ける際の締め付けトルクに対する締め付け角度の変化率に基づいて前記軸受メタルが取り付けられているか否かを判定する、構成とすれば、精度よく軸受メタルが欠品しているか否かを判定できる(請求項2)。
【0012】
また、軸受メタルが軸受内に配置されている場合と配置されていない場合とでは、2本目のボルトの締め付けトルクが所定のトルクに到達するまでの締め付けトルクをボルトの締め付け角度について積分した値が、大きく異なることが分かっている。
【0013】
これより、前記判定工程において、前記第2ボルトを締め付ける際の締め付けトルクが所定の判定トルクに到達するまでの当該締め付けトルクを前記第2ボルトの締め付け角度について積分して、得られた積分値に基づいて前記軸受メタルが取り付けられているか否かを判定する、構成とすれば、精度よく軸受メタルが欠品しているか否かを判定できる(請求項3)。
【0014】
前記一対の軸受としては、前記一対の軸受は、前記クランクシャフトのクランクピンを支持するコンロッドの大端部を構成するものが挙げられる(請求項4)。
【0015】
また、本発明は、クランクシャフトを第1方向に沿う軸回りに回転可能に支持する一対の軸受の内周面に、各軸受の内周面に沿って配設される一対の軸受メタルが取り付けられているか否かを判定する、軸受メタルの欠品検査装置であって、各内周面が前記クランクシャフトを挟んで互いに対向するよう配設された前記一対の軸受を、前記各内周面の対向方向と前記第1方向の双方と直交する方向を第2方向としたときに、前記クランクシャフトの軸心を挟んで前記第2方向の両側に位置する第1ボルトおよび第2ボルトを用いて互いに締結する締結装置と、前記第2ボルトの締め付けトルクと締め付け角度を検出する検出装置と、前記締結装置を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記第2ボルトが前記第1ボルトよりも後に締め付けられるように前記締結装置を制御するとともに、前記締結装置が前記第2ボルトを締め付ける際の前記検出装置により検出された締め付けトルクと締め付け角度とに基づいて、前記軸受メタルが取り付けられているか否かを判定する、ことを特徴とする軸受メタルの欠品検査装置を提供する(請求項5)。
【0016】
上記の方法と同様に、この装置によれば、締結装置がボルトによって軸受を締結するときの当該ボルトの締め付けトルクと締め付け角度との関係に基づいて、軸受メタルが欠品しているか否かが判定されるので、簡単な構成で且つ精度よく軸受メタルの欠品を検出することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、軸受メタルの欠品検査方法および軸受メタルの欠品検査装置によれば、簡単な構成で精度よく軸受メタルの欠品を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】ボルトの締め付け角度と締め付けトルクとの関係を示したグラフである。
【
図4】コンロッド大端部周辺を示した図であって、(a)は軸受メタルが欠品しているときの図、(b)は軸受メタルのクラッシュハイトが均等であるときの図、(c)はクラッシュハイトが一方に偏っているときの図である。
【
図5】軸受メタルの欠品検査装置の構成を示した図である。
【
図6】軸受メタルの欠品検査方法の手順を示したフローチャートである。
【
図7】軸受メタルの欠品検査の様子を示した図である。
【
図8】
図3に対応する図であって、第2実施形態に係る欠品検査方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(1)クランクシャフトおよびコンロッドの構造
図1は、本発明の第1実施形態に係る軸受メタルの欠品検査方法および欠品検査装置が適用されるエンジン本体1の概略断面図である。
図2は、後述するコンロッド8の概略平面図である。
【0020】
エンジン本体1は、シリンダブロック3およびシリンダヘッド4を備える。シリンダブロック3は、
図1の左右方向に並ぶ複数の気筒2を有する。
図1の例ではエンジン本体1は直列4気筒エンジンであり、シリンダブロック3は4つの気筒2を有する。各気筒2にはピストン5が往復動可能に収容される。各ピストン5は、気筒2の配列方向(
図1の左右方向)に延びるクランクシャフト7に連結される。なお、各ピストン5の往復動に伴って、クランクシャフト7は気筒2の配列方向に沿う軸O1回りに回転する。
【0021】
各ピストン5とクランクシャフト7とは、コンロッド10を介して連結される。コンロッド10は、所定の方向に延びる形状を有する。クランクシャフト7は、シリンダブロック3に支持されるクランクジャーナル71と、クランクピン72と、これらをつなぐクランクアーム73とを有する。コンロッド8は、その長手方向の一方端を構成する小端部11においてピストン5と連結され、他方端を構成する大端部12においてクランクピン72と連結される。
【0022】
大端部12には、その表裏を貫通する貫通孔12hが形成されている。コンロッド8は、貫通孔12hの中心軸O2がクランクシャフト7の回転軸O1と平行となる姿勢でシリンダブロック3内に収容される。大端部12の貫通孔12hには、その全周にわたって軸受メタル20が装着される。クランクピン72は、軸受メタル20の内側に挿入され、大端部12および軸受メタル20によって、貫通孔12hの中心軸O2回りに大端部12および軸受メタル20と相対回転可能に支持される。以下のコンロッド8の説明では、適宜、その長手方向を上下方向といい、小端部11側を下側、大端部12側を上側という。また、大端部12の貫通孔12hの中心軸O2に沿う方向つまり
図2の紙面と直交する方向を、適宜、前後方向といい、上下方向および前後方向と直交する方向つまり
図2の左右方向を左右方向という。ここで、上下方向であって大端部12の後述する一対の軸受12A,12Bが互いに対向する方向は、請求項の「対向方向」に相当する。また、クランクシャフト7の回転軸O1に沿う方向である前後方向は、請求項の「第1方向」に相当する。また、左右方向は、請求項の「第2方向」に相当する。大端部12の貫通孔12hの中心軸O2に沿う方向上記の貫通孔12hの中心軸O2であってクランクピン72の大端部12および軸受メタル20に対する回転中心軸O2は、請求項の「クランクシャフトの軸心」に相当する。
【0023】
図2に示すように、コンロッド8の大端部12は、一対の半割り型の軸受12A,12Bにより構成されている。軸受メタル20は、一対の半割り型の軸受メタル20A,20Bにより構成される。具体的に、コンロッド8の大端部12は、その上側部分を構成して、上方に凸となる凹部13Aが下面に形成された第1軸受12Aと、その下側部分を構成して、下方に凸となる凹部13Bが上面に形成された第2軸受12Bとを有する。各軸受メタル20Aは、各凹部13A,13Bの内周面に沿って円弧状に延びる板状を有する。
【0024】
第1軸受12Aと第2軸受12Bとは、各凹部13A,13Bの内周面が互いに対向して、2つの凹部13A,13Bの内周面によって円筒面が形成されるように締結される。また、第1軸受12Aと第2軸受12Bとは、各軸受メタル20A,20Bが各凹部13A,13Bの内周面に沿って延びる状態で互いに締結される。
【0025】
大端部12には、その右端部と左端部であって左右方向についてクランクピン72の大端部12に対する回転中心軸O2を挟んだ両端部分に、それぞれボルト30が螺合されるボルト孔14、15が形成されている。詳細に、第1軸受12Aの右端部と第2軸受12Bの右端部には、共通のボルト30が上方から挿入されて螺合されるボルト孔14A,14Bが形成されている。また、第1軸受12Aの左端部と第2軸受12Bの左端部とには、共通のボルト30が上方から挿入されて螺合されるボルト孔15A,15Bが形成されている。2つのボルト孔14、15の構成は同一であり、これらボルト孔14,15には、同一の構成を有するボルト30がそれぞれ螺合される。第1軸受12Aと第2軸受12Bとは、これらボルト孔14,15にそれぞれボルト30が螺合されることで、互いに締結される。以下では、第1軸受12Aと第2軸受12Bとを締結するボルト30をコンロッドボルト30という。
【0026】
クランクピン72は、第1軸受12Aの凹部13Aと第2軸受12Bの凹部13Bとの間に挟み込まれた状態でコンロッドボルト30を用いて第1軸受12Aと第2軸受12Bとが締結されることで、コンロッド8の大端部12に連結・支持される。
【0027】
ここで、各軸受メタル20A,20Bの周方向の長さは、各凹部13A,13Bの内周面の周方向の長さよりも長い寸法に設定されている。つまり、各軸受メタル20A,20Bには、クラッシュハイト(締め代)が設定されている。これより、第1軸受12Aと第2軸受12Bとが2本のコンロッドボルト30によって締結されると、各軸受メタル20A,20Bは拡径して各凹部13A,13Bの内周面に圧着し、これら内周面に相対回転不能に固定される。
【0028】
(2)軸受メタル欠品検査の原理
本第1実施形態に係る軸受メタルの欠品検査の原理について説明する。
図3は、コンロッドボルト30により第1軸受12Aと第2軸受12Bとを締結したときの、コンロッドボルト30の締め付け角度と締め付けトルクとの関係を示したグラフである。なお、このグラフの締め付け角度は、第1軸受12Aと第2軸受12Bとの上下方向の離間距離が、2つの軸受メタル20A,20Bのクラッシュハイトの合計寸法よりも十分に大きい所定値からコンロッドボルト30の締め付けを開始したときの締め付け角度である。
【0029】
図3のラインL1は、
図4(a)に示すように第1軸受12Aと第2軸受12Bとを、軸受メタル20を介在させずにコンロッドボルト30により締結したときのグラフである。具体的には、2本のコンロッドボルト30を同時に締め付けたときの上記関係を調べた結果である。なお、2本のコンロッドボルト30における上記の各関係はともにラインL1で示す関係となる。
【0030】
図3のラインL2は、2本のコンロッドボルト30を同時に締め付けたときのグラフである。なお、第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間に軸受メタル20A,20Bを介在させた状態で2本のコンロッドボルト30における上記関係はともにラインL2で示す関係となる。
【0031】
図3のラインL31およびラインL32は、第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間に軸受メタル20A,20Bを介在させた状態で2本のコンロッドボルト30のうち1本のコンロッドボルト30をまず締め付け、その後、残りの1本のコンロッドボルト30を締め付けたときのグラフであって、ラインL31は、1本目のコンロッドボルト30の締め付け時の上記関係を調べた結果、ラインL32は、2本目のコンロッドボルト30の締め付け時の上記関係を調べた結果である。
【0032】
第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間に軸受メタル20が存在しない場合は、軸受メタル20A,20Bの締め付けが行われない。そのため、この場合は、
図3のラインL1のように、コンロッドボルト30の締め付けトルクは、その締め付け角度が比較的大きくなってはじめて上昇する。
【0033】
一方、第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間に軸受メタル20A,20Bを介在させた状態で2本のコンロッドボルト30を同時に締め付ける場合は、各軸受12A,12Bおよび各軸受メタル20A,20Bには左右にほぼ均等に力が付与される。そのため、この場合は、
図4(b)に示すように、第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間において、2つの軸受メタル20A,20Bは、左右対称な姿勢、つまり、各軸受メタル20A,20Bのクラッシュハイトが左右均等に配分された姿勢とされる。そして、各コンロッドボルト30は、各軸受メタル20A,20BのクラッシュハイトC1,C2の合計のほぼ半分をそれぞれ圧縮しつつ締め付けられていくことになる。従って、
図3のラインL2とL1との比較から明らかなように、この場合のコンロッドボルト30の締め付けトルクは、第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間に軸受メタル20が存在しない場合(以下、適宜、軸受メタル欠品パターンという)よりも締め付け角度が小さいタイミングで上昇を開始する。
【0034】
これより、2本のコンロッドボルト30を同時に締め付ける場合においてコンロッドボルト30の締め付けトルクが所定の第1トルクT1からこれよりも大きい所定の第2トルクT2に上昇するまでの締め付け角度の増加量X2、つまり、第1トルクT1と第2トルクT2との間における締め付け角度の変化率X2は、軸受メタル欠品パターンの当該増加量X1よりも大きくなる。
【0035】
上記に対して、第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間に軸受メタル20A,20Bを介在させた状態で左右一方のコンロッドボルト30をまず締め付け、その後、左右他方のコンロッドボルト30を締め付ける方法では、まず、第1軸受12Aと第2軸受12Bの左右一方側にのみ力がかかる。これより、
図4(c)に示すように、1本目のコンロッドボルト30の締め付けに伴って、2つの軸受メタル20A,20Bは左右他方側に偏ることになる。つまり、1本目のコンロッドボルト30は、各軸受メタル20A,20Bの移動を伴う一方これらの圧縮をほぼ伴うことなく締め付けられることになる。そのため、
図3のラインL31とラインL1との比較から明らかなように、1本目のコンロッドボルト30の締め付け角度と締め付けトルクとの関係は、ラインL1で示した軸受メタル20A,20Bが存在しない場合の関係に近い関係となり、この1本目のコンロッドボルト30の締め付けトルクが第1トルクT1から第2トルクT2に上昇するまでの締め付け角度の増加量X31は、軸受メタル欠品パターンの当該増加量X1よりもわずかに大きく、2本のコンロッドボルト30を同時に締め付けるの当該増加量X2よりも小さい量となる。
【0036】
一方、左右他方のコンロッドボルト30つまり2本目のコンロッドボルト30は、2つの軸受メタル20A,20BのクラッシュハイトC1、C2の合計分の圧縮を伴いつつ締め付けられることになる。そのため、ラインL2、L3との比較から明らかなように、左右一方のコンロッドボルト30をまず締め付け、その後、左右他方のコンロッドボルト30を締め付けた場合の2本目のコンロッドボルト30の締め付けトルクは、第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間に軸受メタル20A,20Bを介在させた状態で2本のコンロッドボルト30を同時に締め付ける場合よりもさらに締め付け角度が小さいタイミングで上昇を開始することになる。
【0037】
これより、左右一方のコンロッドボルト30をまず締め付け、その後、左右他方のコンロッドボルト30を締め付けた場合の2本目のコンロッドボルト30の締め付けトルクが第1トルクT1から第2トルクT2に上昇するまでの締め付け角度の増加量X32は、軸受メタル欠品パターンの当該増加量X1および第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間に軸受メタル20A,20Bを介在させた状態で2本のコンロッドボルト30を同時に締め付ける場合の当該増加量X2よりも大きくなる。
【0038】
なお、軸受メタル20A,20Bが互いに当接する位置までコンロッドボルト30が締め付けられた後のコンロッドボルト30の締め付け角度と締め付けトルクとの関係は、上記のいずれの場合も同様となる。
【0039】
上記のように、左右一方のコンロッドボルト30をまず締め付け、その後、左右他方のコンロッドボルト30を締め付けた場合の2本目のコンロッドボルト30の締め付けトルクと締め付け角度との関係は、軸受メタル欠品パターンのコンロッドボルト30の締め付けトルクと締め付け角度との関係と大きく異なる。本第1実施形態では、これを利用しての軸受メタル20A,20Bの欠品を検査する。
【0040】
(3)軸受メタル欠品検査装置および軸受メタル欠品検査方法
図5は、軸受メタル20の欠品を検査するための軸受メタル欠品検査装置100の構成を示した概略図である。
【0041】
軸受メタル欠品検査装置100は、左右一対のナットランナー102と、制御装置104と、報知装置106とを備える。
【0042】
各ナットランナー102は、その先端に設けられてコンロッドボルト30の頭部と嵌合可能な筒状のソケット110と、ソケット110を回転させることでコンロッドボルト30をその中心軸回りに回転させる駆動部112とを備える。これらナットランナー120は、ソケット110の回転により、コンロッドボルト30を対応するボルト孔に螺合させる。なお、ナットランナー102は、上下方向に移動可能な状態でロボット等に保持されている。本第1実施形態では、ナットランナー102は、そのソケット110に嵌合されたボルトを保持できるようになっている。このナットランナー102は、請求項の「締結装置」に相当する。
【0043】
各ナットランナー102には、コンロッドボルト30の締め付け角度つまりコンロッドボルト30およびソケット110の回転角度の増加量を検出する角度センサSN1と、コンロッドボルト30の締め付けトルクつまりコンロッドボルト30およびソケット110に付与されるトルクを検出するトルクセンサSN2とが設けられている。これらの角度センサSN1およびトルクセンサSN2は、請求項の「検出装置」に相当する。
【0044】
報知装置106は、軸受メタル20(20A,20B)が欠品している場合に、この欠品を作業者等に報知するための装置である。報知装置106は、光や音によって上記欠品を報知する。
【0045】
制御装置104は、各ナットランナー102の駆動部112を制御するとともに、軸受メタル20が欠品しているか否か(取り付けられているか否か)を判定する。制御装置104は、信号の入出力を行う入出力部と、CPU等からなり演算処理を行う演算部とを備える。制御装置104には、各ナットランナー102の角度センサSN1およびトルクセンサSN2の検出値が入力される。制御装置104はこれらの検出値に基づいて軸受メタル20が欠品しているか否かを判定する。制御装置104は、報知装置106と電気的に接続されている。制御装置104は、軸受メタル20が欠品していると判定すると、報知装置106に所定の信号を送信する。報知装置106はこの信号を受け取ると欠品を報知する。
【0046】
上記の軸受メタル欠品検査装置100を用いた軸受メタルの欠品検査方法について説明する。
図6は、軸受メタル欠品検査方法の手順を示したフローチャートである。
【0047】
まず、第1軸受12Aと第2軸受12Bとを、その内周面がクランクピン72を挟んで互いに対向するように配置する(ステップS1)。
【0048】
本第1実施形態では、第2軸受12Bは、その第2凹部13B内にクランクピン72が配置された状態でシリンダブロック3に収容されている。シリンダブロック3は、その底面が上方を向く姿勢とされ、コンロッド8のうち第2軸受12Bから小端部11までの部分はクランクピン72から下方に延びる姿勢とされており、第1軸受12Aは、第2軸受12Bの上方に配置・保持される。また、第1軸受12Aは、その第1凹部13Aの内周面が下を向く姿勢で第2軸受12Bの上方に配設される。
【0049】
本第1実施形態では、一対の上記ナットランナー102、102により、第1軸受12Aが上記の姿勢で第2軸受12Bの上方に保持される。具体的には、予め、各ナットランナー102によって各コンロッドボルト30を第1軸受12Aの各ボルト孔14A,15Aに螺合して、コンロッドボルト30を介して各ナットランナー102に第1軸受12Aを保持させておき、当該ナットランナー102を第1軸受12Aの上方に配置することで、第1軸受12Aを第2軸受12Bの上方に上記の姿勢で配置する。
【0050】
次に、2本のコンロッドボルト30のうちの一方を締め付ける(ステップS2)。つまり、1本目のコンロッドボルト30の締め付けを実施する。
図7の例では、まず、左側のコンロッドボルト30が締め付けられる。具体的に、制御装置104により左側のナットランナー102が駆動される。これにより左側のコンロッドボルト30が左側のボルト孔15に螺合されて、第1軸受12Aと第2軸受12Bの左側部分が締結される。ここで、この1本目のコンロッドボルト30つまり2本のコンロッドボルト30のうち最初に締め付けられるコンロッドボルト30が請求項の「第1ボルト」に相当する。なお、最初に締め付けられるコンロッドボルト30は、左右いずれのコンロッドボルト30でもよい。
【0051】
軸受メタル20A,20Bが第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間に存在していれば、1本目のコンロッドボルト30が締め付けられたとき、
図7に示すように、また、上記のように、これら軸受メタル20A,20Bは、各クラッシュハイトC1、C2が左右一方(図例では右側)に偏った姿勢となる。
【0052】
次に、他方のコンロッドボルト30を締め付ける(ステップS3)。つまり、2本目のコンロッドボルト30の締め付けを実施する。
図7の例では、右側のコンロッドボルト30が締め付けられる。具体的に、制御装置104により右側のナットランナー102が駆動されて、これにより第1軸受12Aと第2軸受12Bの右側部分が締結される。ここで、この2本目のコンロッドボルト30つまり2本のコンロッドボルト30のうち最後に締め付けられるコンロッドボルト30が請求項の「第2ボルト」に相当する。
【0053】
次に、2本目のコンロッドボルト30の締め付けトルクが上記の第1トルクT1から第2トルクT2に上昇するまでの締め付け角度の増加量である角度増加量を算出する(ステップS4)。具体的に、制御装置104は、2本目のコンロッドボルト30の締め付けを実施するナットランナー102(
図7の例では右側のナットランナー102)の角度センサSN1とトルクセンサSN2の検出値に基づいて、上記角度増加量を算出する。なお、第1トルクT1および第2トルクT2は予め設定されて制御装置104に記憶されている。
【0054】
次に、上記の角度増加量が所定の判定値未満である否かを判定する(ステップS5)。この判定は、制御装置104により実施される。上記の判定値は、軸受メタル欠品パターンでの、締め付けトルクが第1トルクT1から第2トルクT2に上昇するまでの締め付け角度の増加量X1よりも大きい値に予め設定されて制御装置104に記憶されている。
【0055】
この判定がNOであって、上記の角度増加量が判定値以上の場合は、軸受メタル20A,20Bが、第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間に正しく配置されていることになり、そのまま処理を終了する(ステップS8)。
【0056】
一方、上記の判定がYESであって、上記の角度増加量が判定値未満の場合は、軸受メタル20A,20Bが、第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間に配置されていないことになる。これより、この場合は、制御装置104は、軸受メタル20A,20Bが欠品していると判定して(ステップS6)、報知装置106に所定の信号を送信し、この信号を受けて、報知装置106は軸受メタル20A,20Bが欠品していることを報知する(ステップS7)。
【0057】
ここで、上記のステップS1は請求項の「準備工程」に相当し、ステップS2およびステップS3は、請求項の「締結工程」に相当し、上記のステップS5、ステップS6およびステップS8は、請求項の「判定工程」に相当する。
【0058】
(4)作用等
以上のように、上記の第1実施形態に係る軸受メタル欠品検査方法および軸受メタル欠品検査装置100では、左右一方のコンロッドボルト30をまず締め付け、その後、左右他方のコンロッドボルト30を締め付けた場合の2本目のコンロッドボルト30の締め付けトルクと締め付け角度との関係は、軸受メタル欠品パターンのコンロッドボルト30の締め付けトルクと締め付け角度との関係と大きく異なるという知見を利用して、左右一方のコンロッドボルト30をまず締め付け、その後、左右他方のコンロッドボルト30を締め付けるとともに、左右他方のコンロッドボルト30つまり2本目のコンロッドボルト30の締め付けトルクと締め付け角度とに基づいて、軸受メタル20A,20Bが欠品しているか否かの判定を行っており、当該欠品を精度よく検出することができる。
【0059】
しかも、上記第1実施形態に係る構成では、第1軸受12Aと第2軸受12Bをコンロッドボルト30によって締結する締結工程で得られる情報にのみ基づいて上記の判定を行うことができる。そのため、上記の判定つまり軸受メタル20A,20Bの欠品を検出するための工程および装置を新たに追加する必要がなく、構成を簡素化できる。
【0060】
特に、上記実施形態では、左右一方のコンロッドボルト30をまず締め付け、その後、左右他方のコンロッドボルト30を締め付けた場合における2本目のコンロッドボルト30の締め付けトルクに対する締め付け角度の変化率、具体的に、締め付けトルクが第1トルクT1から第2トルクT2に上昇するまでの締め付け角度の増加量であって、軸受メタル20A,20Bが第1軸受12Aと第2軸受12Bの間に配置されているときは軸受メタル欠品パターンに比べて値が大幅に大きくなるパラメータに基づいて上記の判定を行っており、軸受メタル20A,20Bの欠品をより精度よく検出することができる。
【0061】
(5)第2実施形態
次に、第2実施形態に係る軸受メタル欠品検査方法について説明する。
図8は、
図3と同様にコンロッドボルト30の締め付け角度と締め付けトルクとの関係を示したグラフである。ただし、
図8には、
図3に示したラインのうちラインL1とラインL32のみを示している。
【0062】
図8に示すように、締め付け角度と締め付けトルクのグラフにおいて、ラインL32と、締め付けトルクが所定のトルクT10となるときの締め付け角度θ10を通るラインL200とで囲まれた領域の面積A3と、ラインL1とラインL200とで囲まれた領域の面積A1とは大きく異なる。これより、第2実施形態では、制御装置104は、この面積、つまり、締め付けトルクが所定のトルクT10に到達するまでの締め付けトルクの締め付け角度に対する積分値に基づいて、軸受メタル20A,20Bが欠品しているか否かを判定する。
【0063】
具体的に、第2実施形態では、制御装置104は、第1実施形態に係るステップS4のステップに代えて、2本目のコンロッドボルト30の締め付けトルクが所定の判定トルクT10になるまでの締め付けトルクを当該コンロッドボルト30の締め付け角度について積分するステップを実施する。以下では、このステップにより得られた積分値を締め付けトルク積分値という。次に、第2実施形態では、制御装置104は、第1実施形態に係るステップS5のステップに代えて、締め付けトルク積分値が所定の判定積分値未満であるか否かを判定するステップを実施する。判定積分値は、軸受メタル欠品パターンでの締め付けトルク積分値よりも大きい値に予め設定されて制御装置104に記憶されている。また、上記の判定トルクT10は、0より大きい値であって軸受メタル欠品パターンとその他のパターンとで締め付けトルクの積分値に明確な差が生じるトルクに、予め設定されて制御装置104に記憶されている。
【0064】
以降のステップは、第1実施形態と同様であり、上記の判定がNOであって締め付けトルク積分値が判定積分値以上の場合は、軸受メタル20A,20Bが、第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間に正しく配置されていると判断して、そのまま処理を終了する。一方、上記の判定がNOであって締め付けトルク積分値が判定積分値未満の場合は、制御装置104は、軸受メタル20A,20Bが、第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間に配置されていない、つまり、軸受メタル20A,20Bが欠品していると判断して、報知装置106に所定の信号を送信する。この信号を受けると報知装置106は軸受メタル20A,20Bが欠品していることを報知する。なお、第2実施形態においても、1本目のコンロッドボルト30つまり2本のコンロッドボルト30のうち最初に締め付けられるコンロッドボルト30が請求項の「第1ボルト」に相当し、2本目のコンロッドボルト30つまり2本のコンロッドボルト30のうち最後に締め付けられるコンロッドボルト30が請求項の「第2ボルト」に相当する。また、第2実施形態においても、最初に締め付けられるコンロッドボルト30は、左右いずれのコンロッドボルト30でもよい。
【0065】
上記のように、第2実施形態においても、左右一方のコンロッドボルト30をまず締め付け、その後、左右他方のコンロッドボルト30を締め付けた場合における2本目のコンロッドボルト30の締め付け角度に対する締め付けトルクの積分値であって、軸受メタル20A,20Bが第1軸受12Aと第2軸受12Bの間に配置されているときは軸受メタル欠品パターンに比べて値が大幅に大きくなるパラメータに基づいて、軸受メタル20A,20Bが欠品しているか否かの判定を行っており、軸受メタル20A,20Bの欠品を精度よく検出することができる。
【0066】
(6)変形例
上記実施形態では、コンロッド8の大端部12を構成する第1軸受12Aと第2軸受12Bとの間に軸受メタル20A,20Bが取り付けられているか否かの判定に上記の構成を適用した場合を説明したが、上記の構成は、クランクシャフト7を回転可能に支持する他の軸受に対して適用してもよい。例えば、クランクシャフト6のクランクジャーナル71は、シリンダブロック3に設けられたジャーナル軸受9およびこれの内周面に装着される軸受メタル40によって回転可能に支持される。そのため、当該ジャーナル軸受9の内側に軸受メタル40が取り付けられているか否かの判定に、上記の構成を適用してもよい。ただし、
図1に示すように、シリンダブロック3に複数のジャーナル軸受9が一体に設けられている場合は、ジャーナル軸受9を締結する各ボルトの締め付け角度と締め付けトルクとの関係が他のジャーナル軸受9の状態に影響を受けやすく、当該関係に基づく軸受メタル40の欠品判定が難しくなる。そのため、ジャーナル軸受9が独立しているエンジン、つまり、他のジャーナル軸受9と一体に形成されていないエンジンにおいて上記構成が適用されるのが好ましい。
【符号の説明】
【0067】
7 クランクシャフト
8 コンロッド
12 大端部
12A 第1軸受(軸受)
12B 第2軸受(軸受)
20 軸受メタル
20A 軸受メタル
20B 軸受メタル
30 コンロッドボルト(ボルト)
72 クランクピン
100 欠品検査装置
102 ナットランナー(締結装置)
104 制御装置