(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160020
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】スライド式切換弁
(51)【国際特許分類】
F16K 11/074 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
F16K11/074 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070029
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 誠一
(72)【発明者】
【氏名】當山 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 裕正
【テーマコード(参考)】
3H067
【Fターム(参考)】
3H067AA15
3H067CC23
3H067DD05
3H067DD12
3H067DD32
3H067DD43
3H067EA02
3H067EA05
3H067FF11
3H067GG23
3H067GG24
(57)【要約】
【課題】オイルフリーの状態、又は、低油量の状態においても、ねじ送り機構の著しい摩耗を抑え、摩耗粉による影響を抑制することにより、弁位置の精度を高めるとともに、作動性を向上させることができるスライド式切換弁を提供することである。
【解決手段】弁本体2と、弁座部3と、弁体4と、雄ねじ部55dと雌ねじ部56a1が螺合し、回転運動を直線運動に変換するねじ送り機構により弁体4をスライド駆動する駆動部5と、を備えたスライド式切換弁であって、雄ねじ部55d及び雌ねじ部56a1のいずれか一方は、金属にて形成され表面に潤滑性を有するコーティングが施され、他方は、樹脂材料で構成される。これにより、弁位置の精度を高めるとともに、作動性を向上させることができる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空筒状の弁本体と、
前記弁本体に設けられて弁ポートを有する弁座部と、
前記弁本体の内部にて軸線方向にスライド自在に設けられる弁体と、
雄ねじ部と雌ねじ部が螺合し、回転運動を直線運動に変換するねじ送り機構により前記弁体をスライド駆動する駆動部と、
を備えたスライド式切換弁であって、
前記雄ねじ部及び前記雌ねじ部のいずれか一方は、金属にて形成されて金属表面に潤滑性を有するコーティングが施され、他方は、樹脂材料で構成されることを特徴とするスライド式切換弁。
【請求項2】
前記コーティングは、潤滑性を有するふっ素樹脂系、二硫化モリブデン系、グラファイト系のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のスライド式切換弁。
【請求項3】
前記樹脂材料は、PTFEが添加されたPPSであることを特徴とする請求項1に記載のスライド式切換弁。
【請求項4】
前記樹脂材料は、さらに強化剤としてガラス繊維、又は炭素繊維が添加されたPPSであることを特徴とする請求項3に記載のスライド式切換弁。
【請求項5】
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部との螺合領域を収容するねじ収容空間と、前記弁本体の内部との間は仕切られていることを特徴とする請求項1に記載のスライド式切換弁。
【請求項6】
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部は、多条ねじで形成されることを特徴とする請求項1に記載のスライド式切換弁。
【請求項7】
前記弁体の軸線方向一側、及び、軸線方向他側の停止位置における前記雄ねじ部と前記雌ねじ部との螺合領域を、互いに重複させないことを特徴とする請求項1に記載のスライド式切換弁。
【請求項8】
前記駆動部は、回転可能なロータを有するモータ部と、前記ロータに対して直接的に又は間接的に固定されて前記軸線方向に延び、前記雄ねじ部を有する雄ねじ部材と、前記雄ねじ部材の回転に伴って前記軸線方向に進退可能で、前記雌ねじ部を有する雌ねじ部材と、前記雌ねじ部材の回転を規制するとともに、軸線方向の進退ガイドするガイド部材と、を有し、
前記螺合領域の軸線方向両端側は、常に、軸線方向及び径方向に解放されることを特徴とする請求項7に記載のスライド式切換弁。
【請求項9】
前記雌ねじ部材は、前記雌ねじ部と、前記雌ねじ部の前記軸線方向両端に連続して形成される一対の拡径部と、を有するねじ筒部を設けることを特徴とする請求項8に記載のスライド式切換弁。
【請求項10】
前記雄ねじ部材は、前記雄ねじ部と、前記雄ねじ部の前記軸線方向両端に連続して形成される一対の縮径部と、を有することを特徴とする請求項8に記載のスライド式切換弁。
【請求項11】
前記雌ねじ部材は、前記ねじ筒部から軸線方向に延びて、前記弁体に連結される一対の連結腕部をさらに有し、
前記ガイド部材は、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部との螺合領域を収容するねじ収容空間と前記弁本体の内部との間を仕切る仕切壁と、前記仕切壁に設けられ、前記一対の連結腕部を前記軸線方向に挿通させ、前記雌ねじ部材の回転を規制するガイド孔と、を有することを特徴とする請求項9に記載のスライド式切換弁。
【請求項12】
前記ガイド部材の前記仕切壁は、前記一対の連結腕部が前記ガイド孔に挿通された状態において、前記一対の連結腕部の径方向外側に隣接して、前記ねじ収容空間と前記弁本体の内部との間を連通する一対の通気孔を有することを特徴とする請求項11に記載のスライド式切換弁。
【請求項13】
前記弁体は、椀状の形状を有し、複数の前記弁ポートを有する前記弁座部の上をスライド移動して、流路を切り換えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のスライド式切換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ送り機構を備えるスライド式切換弁に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、環境保全の向上、及び、メンテナンス性の向上を目的として、例えば、特許文献1に記載されているような、冷凍機油を使用しない、いわゆる、オイルフリーの状態、又は、低油量の状態で使用する冷凍サイクルシステムが提案されている。
【0003】
また、一般的な冷凍サイクルシステムにおける四方切換弁として、例えば、特許文献2(特に、段落[0069]-[0074]及び
図7参照)には、スライド式切換弁(以下、「従来のスライド式切換弁」という)であって、圧縮機の吐出口及び吸入口にそれぞれ接続される流入口40及び流出口41は、弁座32面上を摺動自在に設置された弁体31を介して、第1通口42、第2通口43のいずれか一方に選択的に連通されるものが記載されている。弁体31は、PPS(樹脂)からなるとともに、弁軸33はステンレスからなり、それぞれ、流体経路中に露出されている。この弁体31の内部に形成されためねじ、及び、弁軸33に形成されたおねじ37をそれぞれ螺合させたねじ送り機構により、弁軸33の回転を弁体31の直進運動に変換するものである。
【0004】
しかしながら、従来のスライド式切換弁を、オイルフリーの状態、又は、低油量の状態で使用する冷凍サイクルシステムに採用する場合に、以下の2つの問題点が生じていた。第1に、ねじ送り機構が著しく摩耗することにより、四方切換弁において、弁位置のずれなどにより、作動性が悪化するおそれがある(以下、「従来の問題点1(ねじ送り機構の著しい摩耗)」という)。第2に、発生した摩耗粉が、ねじ送り機構で噛み込まれ、ねじ送り機構の摩耗が加速度的に進行するおそれがある(以下、「従来の問題点2(摩耗粉によるねじ送り機構への悪影響)」という)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-162213号公報
【特許文献2】特開2000-179705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、このような課題に鑑みてなされたものであり、オイルフリーの状態、又は、低油量の状態においても、ねじ送り機構の著しい摩耗を抑え、摩耗粉による影響を抑制することにより、弁位置の精度を高めるとともに、ねじ送り機構の作動性と耐久性を向上させることができるスライド式切換弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、中空筒状の弁本体と、弁本体に設けられて弁ポートを有する弁座部と、弁本体の内部にて軸線方向にスライド自在に設けられる弁体と、雄ねじ部と雌ねじ部が螺合し、回転運動を直線運動に変換するねじ送り機構により弁体をスライド駆動する駆動部と、を備え、雄ねじ部及び雌ねじ部のいずれか一方は、金属にて形成されて金属表面に潤滑性を有するコーティングが施され、他方は、樹脂材料で構成されるスライド式切換弁である。
【0008】
また、上記スライド式切換弁であって、前記コーティングは、潤滑性を有するふっ素樹脂系、二硫化モリブデン系、グラファイト系のいずれかであるものとしてもよい。
【0009】
また、上記スライド式切換弁であって、前記樹脂材料は、PTFEが添加されたPPSとしてもよい。
【0010】
また、上記スライド式切換弁であって、前記樹脂材料は、さらに強化剤としてガラス繊維、又は炭素繊維が添加されたPPSとしてもよい。
【0011】
また、上記スライド式切換弁であって、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部との螺合領域を収容するねじ収容空間と、前記弁本体の内部との間は仕切られているものとしてもよい。
【0012】
また、上記スライド式切換弁であって、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部は、多条ねじで形成されるものとしてもよい。
【0013】
また、上記スライド式切換弁であって、前記弁体の軸線方向一側、及び、軸線方向他側の停止位置における前記雄ねじ部と前記雌ねじ部との螺合領域を、互いに重複させないものとしてもよい。
【0014】
また、上記スライド式切換弁であって、前記駆動部は、回転可能なロータを有するモータ部と、前記ロータに対して直接的に又は間接的に固定されて前記軸線方向に延び、前記雄ねじ部を有する雄ねじ部材と、前記雄ねじ部材の回転に伴って前記軸線方向に進退可能で、前記雌ねじ部を有する雌ねじ部材と、前記雌ねじ部材の回転を規制するとともに、軸線方向の進退ガイドするガイド部材と、を有し、前記螺合領域の軸線方向両端側は、常に、軸線方向及び径方向に解放されるものとしてもよい。
【0015】
また、上記スライド式切換弁であって、前記雌ねじ部材は、前記雌ねじ部と、前記雌ねじ部の前記軸線方向両端に連続して形成される一対の拡径部と、を有するねじ筒部を設けるものとしてもよい。
【0016】
また、上記スライド式切換弁であって、前記雄ねじ部材は、前記雄ねじ部と、前記雄ねじ部の前記軸線方向両端に連続して形成される一対の縮径部と、を有するものとしてもよい。
【0017】
また、上記スライド式切換弁であって、前記雌ねじ部材は、前記ねじ筒部から軸線方向に延びて、前記弁体に連結される一対の連結腕部をさらに有し、前記ガイド部材は、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部との螺合領域を収容するねじ収容空間と前記弁本体の内部との間を仕切る仕切壁と、前記仕切壁に設けられ、前記一対の連結腕部を前記軸線方向に挿通させ、前記雌ねじ部材の回転を規制するガイド孔と、を有するものとしてもよい。
【0018】
また、上記スライド式切換弁であって、前記ガイド部材の前記仕切壁は、前記一対の連結腕部が前記ガイド孔に挿通された状態において、前記一対の連結腕部の径方向外側に隣接して、前記ねじ収容空間と前記弁本体の内部との間を連通する一対の通気孔を有するものとしてもよい。
【0019】
また、上記スライド式切換弁であって、前記弁体は、椀状の形状を有し、複数の前記弁ポートを有する前記弁座部の上をスライド移動して、流路を切り換えるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、オイルフリーの状態、又は、低油量の状態においても、ねじ送り機構の著しい摩耗を抑え、摩耗粉による影響を抑制することにより、弁位置の精度を高めるとともに、ねじ送り機構の作動性と耐久性を向上させることができるスライド式切換弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係るスライド式切換弁の断面図である。
【
図2】
図1に示されるスライド式切換弁におけるII-II線に沿った断面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示されるガイド部材の詳細図であり、(a)は、
図2に示されるガイド部材の全体図、(b)は、(a)に示される矢印IIIb方向から見た矢視図を、それぞれ表す。
【
図4】
図2に示される雌ねじ部材の詳細図であり、(a)は、全体図、(b)は、(a)に示される矢印IVb方向から見た矢視図、(c)は、(a)に示される矢印IVc方向から見た矢視図、(d)は、(a)に示されるIVd-IVd線に沿った断面図を、それぞれ表す。
【
図5】冷房運転時の冷凍サイクルシステムを示す概略図であり、(a)は、スライド式切換弁の説明図、(b)は、暖房運転から冷房運転への切換時における、(a)に示される破線Vbで囲まれた領域の拡大図を、それぞれ表す。
【
図6】暖房運転時の冷凍サイクルシステムを示す概略図であり、(a)は、スライド式切換弁の説明図、(b)は、冷房運転から暖房運転への切換時における、(a)に示される破線VIbで囲まれた領域の拡大図を、それぞれ表す。
【
図7】
図1に示されるねじ送り機構の詳細図であり、(a)は、
図1に示される破線VIIaで囲まれた領域の拡大図、(b)は、(a)に示されるVIIb-VIIb線に沿った断面図(多条ねじ)、(c)は、(b)に示される雄ねじ部材(多条ねじ)を直交方向からみた部分外形図、(d)は、(b)に対応する比較例の断面図(通常ねじ)、(e)は、(c)に対応する比較例の部分外形図(通常ねじ)を、それぞれ表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、
図1から
図7を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は本実施形態の態様に限定されるものではない。
【0023】
<用語について>
本明細書および特許請求の範囲の記載において、「左」、「右」、「上」、「下」とは、
図1、
図4(a)、
図5、
図6、
図7(a),(c),(e)に示される方向を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「軸線方向の一側」、「軸線方向の他側」とは、
図1、
図2、
図3(a)、
図4(a)、(d)、
図5、
図6、
図7(a),(c),(e)に示される「軸線方向の右側」、「軸線方向の左側」をそれぞれ示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「リード」とは、「ねじがその軸の周りを1回転したときにねじ山が軸方向に進む距離」を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「ピッチ」とは、「1つのねじ山から次のねじ山までの間隔」を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「多条ねじ」とは、「リードがピッチの整数倍であるもの」を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「通常ねじ」とは、「リードとピッチが同一であるもの」を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「リード角」とは、「リードに対するねじ1回転分の長さが作る角度」を示す。本明細書および特許請求の範囲の記載において、「つる巻線」とは、「円筒に直角三角形を巻き付けたらせん」を示す。
【0024】
<スライド式切換弁について>
図1及び
図2を用いて、本発明のスライド式切換弁100について説明する。スライド式切換弁100は、中空筒状のハウジング1、中空筒状の弁本体2、弁本体2に設けられて複数の弁ポートを有する弁座部3、弁本体2の内部である弁室2aにスライド自在に設けられる弁体4、弁体4をスライド駆動する駆動部5、から主に構成される。以下、スライド式切換弁100のそれぞれの構成を順に説明する。ここで、図中の長手方向の軸線Lは、ハウジング1、弁本体2、駆動部5の中心軸である。なお、本実施形態におけるスライド式切換弁100は、説明のために、四方切換弁とするものであるが、これに限らず、例えば、二方弁や三方切換弁であってもよい。
【0025】
ハウジング1は、アルミ製の材料からなり、有底筒状に形成される。ハウジング1において、左側の側壁には、入口経路1dが形成され、右側の側壁には、弁本体2を挿入するための開口部1aが形成される。また、ハウジング1の底壁には、複数の円筒状の流路として、第1経路1e、出口経路1s、第2経路1cが、軸線L方向に沿って順に形成される。ここで、詳細は後述するが、入口経路1d及び出口経路1sは、圧縮機200の吐出口及び吸入口にそれぞれ接続され、第1経路1e及び第2経路1cは、凝縮器及び蒸発器の何れか一方にそれぞれ接続される。
【0026】
弁本体2は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂製の材料からなり、有底筒状に形成され、内部に弁室2aを備える。弁本体2の側壁には、弁室2aに連通する入口ポートAが形成される。また、弁本体2の底壁には、複数の円筒状の流路であり、弁室2aに連通する、第1接続流路21、出口接続流路22、第2接続流路23が、軸線L方向に沿って順に形成される。ここで、入口ポートA及び出口接続流路22は、入口経路1d及び出口経路1sにそれぞれ接続され、第1接続流路21及び第2接続流路23は、第1経路1e及び第2経路1cにそれぞれ接続される。さらに、弁本体2の右側の端部には、金属製の筒状の下蓋24がインサート成形にて固定される。詳細は後述するが、この下蓋24には、ガイド部材54にインサート成形にて固定された上蓋25が、溶接等により固定される。加えて、弁本体2の外周壁及びハウジング1の内周壁のいずれかに、軸線L方向に沿って、所定間隔で複数の溝部Gに配置されたOリング26を備える。よって、弁本体2が、ハウジング1の開口部1aより、ハウジング1の内部に挿入され、C型形状の止め輪27により、上蓋25を介してハウジング1に固定された際、Oリング26により、弁本体2とハウジング1との間の、入口経路1d、第2経路1c、出口経路1s、第1経路1e、ハウジング1の外側(大気)の各間がシールされる。
【0027】
本実施形態における弁本体2は、材料を樹脂製としたが、これに限らず、例えば、真鍮、鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属等であってもよい。
【0028】
弁座部3は、薄型金属板からなり、インサート成形や接着、溶着等により、弁本体2の底壁に固定される。この弁座部3は、第1接続流路21に連通する第1ポート30、出口接続流路22に連通する出口ポート31、第2接続流路23に連通する第2ポート32がそれぞれ軸線L方向に所定の間隔を空けて形成される。第1ポート30、出口ポート31、及び、第2ポート32は、第1接続流路21、出口接続流路22、第2接続流路23よりも内径の寸法が小さい円筒状に形成される。また、弁座部3における弁室2aに対向する面は、シール面33を構成する。
【0029】
弁体4は、主に、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂製の材料からなり、椀状の容器を裏返した形状である弁体本体40と、右側の端部から軸線L方向に突出する連結部44と、を備える。この弁体4は、弁座部3に対して、下面を当接させながら摺動し、弁座部3との間で空間を形成する。
【0030】
弁体本体40は、弁座部3のシール面33と対向し、軸線L方向に延びる長円形状の開口縁部40aと、開口縁部40aから弁室2a側に突出する椀状部40bと、椀状部40bの内部に設けられる椀状凹部40cと、を備える。
【0031】
開口縁部40aは、シール面33に摺接可能なシール部Sを構成する。椀状部40bの頂部と弁本体2の内周壁との間には、ばね部材42が挟持され、このばね部材42により、弁体本体40が弁座部3に付勢され、椀状部40bの外部の弁室2aと椀状部40bの内部の椀状凹部40cとの間はシールされる。
【0032】
連結部44は、駆動部5に連結されるようにフック状に形成される。詳細は後述するが、連結部44は、軸材59を介して、駆動部5と連結される。
【0033】
駆動部5は、弁体4をスライド駆動する部分であり、回転可能なロータを有する電動モータとしてのステッピングモータ5a(モータ部)と、ステッピングモータ5aの回転を直線運動に変換して弁体4に伝達する直動機構5bと、を備える。
【0034】
ステッピングモータ5aは、有底筒状を有するキャン50と、マグネットロータ51(ロータ)と、ステータコイル52と、を備える。
【0035】
キャン50は、薄板状の金属製の材料からなり、有底筒状に形成される。
【0036】
マグネットロータ51は、回転子であり、キャン50の内部に配置される。
【0037】
ステータコイル52は、固定子であり、キャン50を挟んでマグネットロータ51の外周を軸線L回りに取り囲むように配置される。
【0038】
直動機構5bは、
図2に示すように、軸受け部材53と、ガイド部材54と、雄ねじ部材55と、雌ねじ部材56と、を備える。なお、直動機構5b(特に、ガイド部材54、雄ねじ部材55、及び、雌ねじ部材56)についての詳細は後述するため、ここでは、簡単に説明する。
【0039】
軸受け部材53は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂製の材料からなり、キャン50の底側の内部に配置され、軸線Lと同軸上に、雄ねじ部材55の右側端部を軸支する第一軸受孔53aを有する。
【0040】
ガイド部材54は、樹脂製の材料からなり、有底筒状に形成される。ガイド部材54の外周側には、金属製の材料からなり、テーパー状に形成される上蓋25が、インサート成形にて固定される。ここで、
図2に示すように、上蓋25の小径部25aが、キャン50に溶接等により固定され、駆動部5内を密閉する。また、上蓋25の大径部25bが、下蓋24に溶接等により固定される。これにより、ガイド部材54、キャン50、軸受け部材53、及び、弁本体2の中心軸は、軸線Lと同軸に配置される。さらに、ガイド部材54の底部である仕切壁54d(
図2及び
図3参照)は、軸線Lと同軸上に、雄ねじ部材55の左側端部を軸支する第二軸受孔54aと、第二軸受孔54aを挟んで配置される一対のガイド孔54bと、を有する。
【0041】
雄ねじ部材55は、外周面に雄ねじ部55dを有するロータ軸であり、マグネットロータ51の中心に固定部材55a(
図2参照)を介して間接的に固定される。
【0042】
雌ねじ部材56は、内周面に雌ねじ部56a1が形成され、ガイド部材54内に径方向の隙間を有して収容されるねじ筒部56a(
図2及び
図4参照)と、ガイド部材54の一対のガイド孔54bに挿通することにより、雌ねじ部材56の軸線L回りの回転を規制する一対の連結腕部56b(
図2及び
図4参照)と、を備える。この一対の連結腕部56bは、軸材59を介して、弁体4と連結される。ここで、雌ねじ部56a1及び雄ねじ部55dが互いに螺合することにより、ねじ送り機構を構成する。ここで、詳細は後述するが、
図5及び
図6に示すように、雌ねじ部56a1と雄ねじ部55dとの螺合領域Saは、常に、キャン50及びガイド部材54により画定されるねじ収容空間Ss内に収容される。
【0043】
駆動部5において、ステッピングモータ5aにより、雄ねじ部材55が回転すると、ねじ送り機構により、雄ねじ部材55の回転が、雌ねじ部材56の直線運動に変換される。この雌ねじ部材56の直線運動によって、雌ねじ部材56と連結する弁体4が、軸線L方向にスライドするように進退駆動される。
【0044】
本実施形態において、弁体4を進退駆動する駆動部5は、雄ねじ部材55がマグネットロータ51に間接的に固定されるものであるが、これに限らず、例えば、雄ねじ部材55が、マグネットロータ51に直接的に固定されたものであってもよい。
【0045】
<直動機構の詳細について>
図2から
図4を用いて、直動機構5b(特に、ガイド部材54、雄ねじ部材55、及び、雌ねじ部材56)の詳細について順に説明する。なお、
図2は、
図1に示されるスライド式切換弁100におけるII-II線に沿った断面図であり、
図3は、ガイド部材54の詳細図であり、
図4は、雌ねじ部材56の詳細図をそれぞれ示す。
【0046】
<ガイド部材について>
ガイド部材54の仕切壁54dは、
図2及び
図3に示すように、軸線L上に沿って、開口する第二軸受孔54aを有する。この第二軸受孔54aは、雄ねじ部材55の第二軸部55c(
図2)を軸支する。また、ガイド部材54の仕切壁54dは、第二軸部55cを水平方向に挟んで対向配置される一対のガイド孔54bと、を有する。この一対のガイド孔54bは、雌ねじ部材56の一対の連結腕部56bを軸線L方向に進退可能に挿通させる。ここで、一対のガイド孔54bのそれぞれの縁部は、一対の連結腕部56bのそれぞれの外壁面である曲外面56b1及び平坦内面56b2からなる略三日月形状(
図4(b)参照)に沿う形状(
図3(b)参照)を有する。ガイド部材54は、一対のガイド孔54bに、雌ねじ部材56の一対の連結腕部56bを挿通させることにより、雌ねじ部材56を軸線L回りに回転不能かつ軸線L方向に進退ガイドする。さらに、ガイド部材54の仕切壁54dは、一対のガイド孔54bの径方向外側に連続的にそれぞれ形成される一対の通気孔54cを有する。この一対の通気孔54cは、雌ねじ部材56の一対の連結腕部56bが、一対のガイド孔54bに挿通された状態において、キャン50及びガイド部材54により画定されるねじ収容空間Ss(
図1参照)と弁室2aとを常時連通させる。
【0047】
<雄ねじ部材について>
雄ねじ部材55は、
図2に示すように、軸線L上に沿って延在しており、外周面に形成された雄ねじ部55dを備える。雄ねじ部材55は、雄ねじ部55dの軸線L方向の右側に沿って順に、雄ねじ部55dより縮径された円柱形状の第一縮径部55eと、第一縮径部55eより縮径された円柱形状の第一軸部55bと、を備える。また、雄ねじ部材55は、雄ねじ部55dの軸線L方向の左側に沿って順に、雄ねじ部55dより縮径された円柱形状の第二縮径部55fと、第二縮径部55fより縮径された円柱形状の第二軸部55cと、を備える。この第一軸部55b及び第二軸部55cは、軸線L上に配置される、第一軸受孔53a及び第二軸受孔54aにそれぞれ軸支される。これにより、雄ねじ部材55は、固定部材55aを介して、マグネットロータ51と一体に軸線L回りに回転する。
【0048】
<雌ねじ部材について>
雌ねじ部材56は、
図2及び
図4に示すように、内周面に雌ねじ部56a1が形成され、円筒形状を有するねじ筒部56aと、ねじ筒部56aから軸線L方向の左側に延在し、ガイド部材54の一対のガイド孔54bに挿通することにより、雌ねじ部材56の軸線L回りの回転を規制する一対の連結腕部56bと、を備える。ここで、雌ねじ部56a1及び雄ねじ部55dが互いに螺合することにより、ねじ送り機構を構成しており、雌ねじ部材56は、雄ねじ部材55の回転に伴い、軸線L方向に進退可能である。また、一対の連結腕部56bの軸線L方向の左側端部は、弁体4と連結される。
【0049】
<ねじ筒部について>
ねじ筒部56aの内周面には、雌ねじ部56a1と、雌ねじ部56a1の軸線L方向の右側及び左側に、雌ねじ部56a1より拡径された円筒形状の第一拡径部56a2及び第二拡径部56a3と、を備える。また、ねじ筒部56aの軸線L方向の右側端部の外周縁には、第一拡径部56a2に隣接して、軸線L方向に突出する回転ストッパ56dが設けられる。この回転ストッパ56dが、回転中のマグネットロータ51の肉厚部に当接することで、マグネットロータ51の回転は停止され、この結果、雌ねじ部材56の軸線L方向の右側への移動が規制され、右側停止位置で停止する(
図5(a)参照)。さらに、ねじ筒部56aの軸線L方向の左側端部における、一対の連結腕部56bとの接続面には、当接部56eが設けられる。この当接部56eが、ガイド部材54の仕切壁54dに当接することで、雌ねじ部材56の軸線L方向の左側への移動が規制され、左側停止位置で停止する(
図6(a)参照)。
【0050】
<一対の連結腕部について>
一対の連結腕部56bは、
図4(b)に示すように、軸線Lを含む平面P1に対して、略三日月形状を面対称としたものであり、円筒形状からなるねじ筒部56aの外周面に連続する円弧曲面状の曲外面56b1と、一対の連結腕部56bの相互間で平行に対面する平坦内面56b2と、を備える。また、一対の連結腕部56bは、軸線L方向の左側端部に、軸材59を係止する雌ねじ側係止溝56cを備える。この雌ねじ側係止溝56cは、上方開口部に、広口形状を有する係止溝開口部56c1を備え、この係止溝開口部56c1により、雌ねじ側係止溝56cへの軸材59の嵌入を、スムーズに行うことができる(
図2参照)。さらに、一対の連結腕部56bは、軸線L方向の左側端部に、台形状の凹み56b3を備える。
【0051】
<一対の連結腕部と弁体との連結について>
一対の連結腕部56bの軸線L方向の左側端部には、
図2に示すように、軸材59が取り付けられる。この軸材59が、
図1に示すように、弁体4に設けられるフック状の連結部44と係止することで、雌ねじ部材56、つまり、駆動部5を弁体4に連結させることができる。さらに、一対の連結腕部56bと連結部44との連結箇所は、締結バンド45(
図1参照)により締結されることにより、一対の連結腕部56bにねじりモーメントが負荷された場合であっても、互いに離間することを抑制することができる。
【0052】
以上で説明したように、直動機構5bにより、ステッピングモータ5aの回転を直線運動に変換し、この直線運動により、弁体4を軸線L方向にスライドするように進退駆動させる。なお、本実施形態における直動機構5bは、雄ねじ部材55がハウジング1に対して、回転可能に固定されるとともに、雌ねじ部材56が軸線L方向に進退可能にスライドする様態であるが、これに限らず、例えば、雌ねじ部材56がハウジング1に対して、回転可能に固定されるとともに、雄ねじ部材55が軸線L方向に進退可能にスライドする様態であってもよい。また、本実施形態におけるスライド式切換弁100は、長手方向の軸線Lを水平方向とし、弁体4を水平方向にスライドさせる使用様態としているが、これに限らず、例えば、長手方向の軸線Lを垂直方向とし、弁体4を垂直方向にスライドさせる使用様態であってもよい。
【0053】
<スライド式切換弁の動作について>
スライド式切換弁100は、
図5及び
図6に示すように、冷凍サイクルシステムに用いられ、入口経路1d、第2経路1c、出口経路1s、第1経路1eには、D継手管1D、C継手管1C、S継手管1S、E継手管1Eがそれぞれ取り付けられる。スライド式切換弁100は、駆動部5により、弁体4を軸線L方向にスライドするように進退駆動させることにより、圧縮機200の吐出口と接続されるD継手管1D、及び、圧縮機200の吸入口と接続されるS継手管1Sを、室外熱交換機300に接続されるC継手管1C、及び、室内熱交換機400に接続されるE継手管1Eのいずれか一方に、それぞれ連通させる。これにより、スライド式切換弁100は、冷凍サイクルシステムの流体経路を切り換える。
【0054】
<冷凍サイクルシステムの動作について>
まず、冷房運転時では、
図5に示すように、スライド式切換弁100は、駆動部5を駆動し、弁体4を軸線L方向の右側位置へとスライドさせると、弁体本体40と弁座部3により、S継手管1SとE継手管1Eとが、椀状凹部40cを介して連通するとともに、D継手管1DとC継手管1Cとが、弁室2a及び第2ポート32を介して連通する。これにより、圧縮機200で圧縮された高圧の冷媒は、D継手管1Dから弁室2aを介して、C継手管1Cに流入され、室外熱交換機300、絞り装置500、室内熱交換機400の順に流れ、E継手管1Eから椀状凹部40cを介して、S継手管1Sへ流入された後、圧縮機200へと循環する。この際、室外熱交換機300は、凝縮器(コンデンサ)として機能するとともに、室内熱交換機400は、蒸発器(エバポレータ)として機能する。
【0055】
次に、暖房運転時では、
図6に示すように、スライド式切換弁100は、駆動部5を駆動し、弁体4を軸線L方向の左側位置へとスライドさせると、弁体本体40と弁座部3により、C継手管1CとS継手管1Sとが、椀状凹部40cを介して連通するとともに、D継手管1DとE継手管1Eとが、弁室2a及び第1ポート30を介して連通する。これにより、圧縮機200で圧縮された高圧の冷媒は、D継手管1Dから弁室2aを介して、E継手管1Eに流入され、室内熱交換機400、絞り装置500、室外熱交換機300の順に流れ、C継手管1Cから椀状凹部40cを介して、S継手管1Sへ流入された後、圧縮機200へと循環する。この際、暖房運転時には、冷媒が冷房運転時とは逆に循環されており、室内熱交換機400が、凝縮器として機能するとともに、室外熱交換機300が、蒸発器として機能する。
【0056】
<ねじ送り機構の詳細について>
スライド式切換弁100は、オイルフリーの状態、又は、低油量の状態で使用する冷凍サイクルシステムに採用される場合がある。このような条件下において、従来のスライド式切換弁では、雄ねじ部と雌ねじ部との間に、冷凍機油による流体潤滑膜が全く存在しない状態、又は、比較的薄い流体潤滑膜しか存在しない状態となるため、機械的摩耗、つまり、螺合面の凝着による摩耗や、螺合面の凹凸によるアブレシブ摩耗が生じるおそれがある。これにより、従来のスライド式切換弁では、従来の問題点1及び2(ねじ送り機構の著しい摩耗、摩耗粉によるねじ送り機構への悪影響)を有していた。
【0057】
また、スライド式切換弁100においては、冷凍サイクルシステムを暖房運転状態から冷房運転状態へと切り換える際には、
図5(b)に示すように、雌ねじ部材56が雄ねじ部材55に対して、移動方向M1へと移動する。一方、冷凍サイクルシステムを冷房運転状態から暖房運転状態へと切り換える際には、
図6(b)に示すように、雌ねじ部材56が雄ねじ部材55に対して、移動方向M2へと移動する。このように、スライド式切換弁100において、冷凍サイクルシステムの流体経路を切り換える毎に、雄ねじ部55d及び雌ねじ部56a1の接触面C(
図5(b)及び
図6(b)参照)が入れ替わり、異なる位置となる。このため、仮に、ねじ送り機構の一方の接触面Cにおいて、少量の摩耗粉が発生した場合であっても、この摩耗粉が、他方の接触面Cに噛み込まれることにより、新たな摩耗粉が発生し、結果、ねじ送り機構の摩耗が加速度的に進行するおそれがあった。
【0058】
これに対して、本実施形態におけるスライド式切換弁100では、従来の問題点1及び2(ねじ送り機構の著しい摩耗、摩耗粉によるねじ送り機構への悪影響)を解消するために、以下の2つの対策を主に講じるものである。加えて、詳細は後述するが、1つ目の対策を講じた上で、懸念される事項に対して、さらなる3つ目の対策を講じるものである。
【0059】
<1.ねじ送り機構の著しい摩耗抑制について>
1つ目の対策として、ねじ送り機構を構成する材料等を工夫することにより、従来の問題点1及び2を解消するものである。
【0060】
<ねじ送り機構を構成する材料について>
具体的には、本実施形態のスライド式切換弁100において、雄ねじ部55d及び雌ねじ部56a1のいずれか一方は、金属にて形成されて金属表面に潤滑性を持つコーティングが施され、他方は、樹脂材料で構成される。
【0061】
これにより、雄ねじ部55d及び雌ねじ部56a1の接触面Cにおける良好な潤滑性が得られるため、従来の問題点1(ねじ送り機構の著しい摩耗)を解消するとともに、摩耗粉自体の発生も同時に抑制されることから、従来の問題点2(摩耗粉によるねじ送り機構への悪影響)も合わせて解消する。この結果、スライド式切換弁100における、弁位置の精度を高めるとともに、作動性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態のスライド式切換弁100において、雄ねじ部55d及び雌ねじ部56a1のいずれか一方の金属表面に施されるコーティングを、潤滑性を有するふっ素樹脂系、二硫化モリブデン系、グラファイト系のいずれかとする。これらのコーティング材料は、非常に高い耐熱性を有するとともに、極めて良好な潤滑性を有する。
【0063】
ここで、ふっ素樹脂系とは、コーティング材のバインダー(結合剤)中にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはパーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)などの樹脂の粒子を含み、耐熱温度は230℃程度である。また、二硫化モリブデン系とは、バインダー中に二硫化モリブデン(MoS2)の結晶を含み、耐熱温度は350℃程度である。さらに、グラファイト系とは、バインダー中に黒鉛の結晶を含み、耐熱温度は230℃程度である。
【0064】
これにより、前述した効果に加え、雄ねじ部55d及び雌ねじ部56a1の接触面Cは、比較的高い負荷にも耐えられるとともに、雰囲気温度が変化しても、極めて良好な潤滑性を有することができる。
【0065】
さらに、本実施形態のスライド式切換弁100において、雄ねじ部55d及び雌ねじ部56a1のいずれか他方の樹脂材料を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が添加されたポリフェニレンサルファイド(PPS)とする。このPPSは、非常に高い耐熱性(例えば、PPSの耐熱温度は220℃程度)を有するとともに、良好な潤滑性を有している。
【0066】
これにより、前述した効果に加え、雄ねじ部55d及び雌ねじ部56a1の接触面Cは、雰囲気温度が変化しても、寸法変化が生じ難いため、所望の噛み合わせ寸法を良好に維持するとともに、さらに良好な潤滑性が得られる。
【0067】
加えて、本実施形態のスライド式切換弁100において、雄ねじ部55d及び雌ねじ部56a1のいずれか他方の樹脂材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に加え強化剤としてガラス繊維、又は炭素繊維が添加されたPPSとしてもよい。このPPSは、非常に高い引張り強度(例えば、150MPa)及び耐熱性(例えば、耐熱温度は230℃程度)を有している。
【0068】
これにより、前述した効果に加え、雄ねじ部55d及び雌ねじ部56a1の接触面Cは、樹脂材料の強度及び耐熱性における信頼性がより一層高められ、高い精度で、所望の噛み合わせ寸法を良好に維持することができる。
【0069】
<2.ねじ送り機構自体への摩耗粉の影響抑制について>
1つ目の対策にて、ねじ送り機構を構成する材料等を工夫した場合でも、ねじ送り機構から摩耗粉が生じるおそれがある。よって、2つ目の対策として、ねじ送り機構において、ねじの種類や、ねじ送り機構を工夫することにより、特に、従来の問題点2(摩耗粉によるねじ送り機構への悪影響)を解消するものである。
【0070】
<ねじの種類について>
図7(a)は、
図1に示される破線VIIaで囲まれた領域の拡大図である。このねじ送り機構において、雌ねじ部56a1及び雄ねじ部55dは互いに螺合している。ここで、仮に、螺合領域Saにおいて摩耗粉が発生した場合には、雄ねじ部55dの回転に伴い、摩耗粉は、雄ねじ部55dの谷55gに沿って、排出方向Eへと掃き出され、最終的に、雌ねじ部材56の移動方向M1の反対側の螺合領域Saの端部から排出される。
【0071】
以下において、
図7(b),(c)で示される、本実施形態である多条ねじ(例えば、3条ねじ)と、
図7(d),(e)で示される、比較例である通常ねじ(1条ねじ)とを比較しながら、摩耗粉の排出について説明する。ここで、多条ねじのピッチ長さと、通常ねじのピッチ長さとは、同一であることを前提とする。なお、説明を簡略化するために、多条ねじ及び通常ねじは、それぞれ、雄ねじ部材55及び雄ねじ部材55’のみを示す。なお、「多条ねじ」は、「1本のねじに複数のねじ山があるもの」であり、「通常ねじ」は「1本のねじに1つのねじ山があるもの」であるが、詳細な定義については、前述の<用語について>で説明したとおりである。
【0072】
まず、本実施形態である多条ねじは、
図7(c)に示されるように、リード角θ1を有しているのに対し、比較例である通常ねじは、
図7(e)に示されるように、リード角θ1’を有している。この多条ねじのリード角θ1は、通常ねじのリード角θ1’より、大きくなっている。これにより、多条ねじのつる巻線(
図7(c)中の実線と破線で示される雄ねじ部55dの谷55g参照)の距離は、通常ねじのつる巻線(
図7(e)中の実線と破線で示される雄ねじ部55d’の谷55g’参照)の距離より、短くなっている。よって、多条ねじでは、雄ねじ部55dの谷55gを介した、摩耗粉の排出経路を比較的短くできるため、摩耗粉をより排出し易くなる。
【0073】
また、本実施形態である多条ねじは、
図7(b)に示されるように、螺合領域Saの端部において、多条ねじの終端部55hを条数分(例えば、3か所)有しているのに対し、比較例である通常ねじは、
図7(d)に示されるように、通常ねじの終端部55h’を1か所のみ有している。よって、多条ねじの方では、ねじの終端部、つまり、摩耗粉の排出経路の出口の数が比較的多く、摩耗粉を複数の排出方向Eへと同時に排出することができるため、摩耗粉をより排出し易くなる。
【0074】
このように、雌ねじ部56a1及び雄ねじ部55dを多条ねじとし、螺合領域外への摩耗粉の排出を積極的に行うことにより、特に、従来の問題点2(摩耗粉によるねじ送り機構への悪影響)を解消する。また、ねじ送り機構に摩耗粉が溜まり難くなるので、ねじ送り機構の耐久性を向上させることができる。
【0075】
<ねじ送り機構について>
冷房運転時において、
図5(a)に示すように、雌ねじ部材56の回転ストッパ56dが、回転中のマグネットロータ51の肉厚部に当接することで、雌ねじ部材56の軸線L方向の右側への移動が規制され、右側停止位置で停止する。一方、暖房運転時において、
図6(a)に示すように、雌ねじ部材56の当接部56eが、ガイド部材54の仕切壁54dに当接することで、雌ねじ部材56の軸線L方向の左側への移動が規制され、左側停止位置で停止する。ここで、ねじ送り機構において、右側停止位置での螺合領域Sa(
図5(a)参照)と、左側停止位置での螺合領域Sa(
図6(a)参照)とは、重複しないように設定される。したがって、冷房運転と暖房運転との切換時において、軸線L方向に延在する全ての雄ねじ部55dが、一度は、螺合領域Sa外となり、ねじ収容空間Ssに露出されるため、摩耗粉は、螺合領域Sa外へと積極的に排出される(
図5(b)及び
図6(b)中の軸線L方向への排出方向E参照)。また切換後において、切換前の螺合領域Saがねじ収容空間Ssに完全に露出されるため、仮に、雄ねじ部55dに摩耗粉が付着していても冷媒の流れで除去され易い。
【0076】
このように、右側停止位置での螺合領域Saと、左側停止位置での螺合領域Saと、を重複させないように設定し、螺合領域外への摩耗粉の排出を積極的に行うことにより、特に、従来の問題点2(摩耗粉によるねじ送り機構への悪影響)を解消する。また、ねじ送り機構に摩耗粉が溜まり難くなるので、ねじ送り機構の耐久性を向上させることができる。
【0077】
また、
図2に示すように、雌ねじ部材56において、ねじ筒部56aの内周面には、雌ねじ部56a1の軸線L方向の右側及び左側に連続して形成され、雌ねじ部56a1より拡径された円筒形状の第一拡径部56a2及び第二拡径部56a3を備える。したがって、
図5(b)及び
図6(b)に示すように、雌ねじ部56a1と雄ねじ部55dとにより形成される、螺合領域Saの軸線L方向の両端側は、この第一拡径部56a2及び第二拡径部56a3により、常に、軸線L方向及び径方向に解放される。
【0078】
このように、螺合領域Saの軸線L方向の両端側を、第一拡径部56a2及び第二拡径部56a3により、常に、軸線L方向及び径方向に解放し、螺合領域外への摩耗粉の排出を積極的に行うことにより、特に、従来の問題点2(摩耗粉によるねじ送り機構への悪影響)を解消する。また、ねじ送り機構に摩耗粉が溜まり難くなるので、ねじ送り機構の耐久性を向上させることができる。
【0079】
また、
図2に示すように、雄ねじ部材55において、雄ねじ部55dの軸線L方向の右側及び左側に連続して形成され、雄ねじ部55dより縮径された円筒形状の第一縮径部55e及び第二縮径部55fを備える。したがって、
図5(a)で示すように、右側停止位置における螺合領域Saの軸線L方向の右端側は、第一縮径部55eにより、軸線L方向及び径方向に解放される。同様に、
図6(a)で示すように、左側停止位置における螺合領域Saの軸線L方向の左端側は、第二縮径部55fにより、軸線L方向及び径方向に解放される。
【0080】
ここで、冷房運転から暖房運転への切換直後、つまり、雌ねじ部材56が、
図5(a)に示される右側停止位置から、軸線L方向の左側である移動方向M2(
図6(a)参照)へと移動し始める際に、右側停止位置における螺合領域Saの右端側を、軸線L方向及び径方向に解放しているため、螺合領域外への摩耗粉の排出を積極的に行うことができる。同様に、暖房運転から冷房運転への切換直後、つまり、雌ねじ部材56が、
図6(a)に示される左側停止位置から、軸線L方向の右側である移動方向M1(
図5(a)参照)へと移動し始める際に、左側停止位置における螺合領域Saの左端側を、軸線L方向及び径方向に解放しているため、螺合領域外への摩耗粉の排出を積極的に行うことができる。
【0081】
このように、右側停止位置における螺合領域Saの軸線L方向の右端側を、第一縮径部55eにより、軸線L方向及び径方向に解放するとともに、左側停止位置における螺合領域Saの軸線L方向の左端側を、第二縮径部55fにより、軸線L方向及び径方向に解放することにより、螺合領域外への摩耗粉の排出を積極的に行い、特に、従来の問題点2(摩耗粉によるねじ送り機構への悪影響)を解消する。また、ねじ送り機構に摩耗粉が溜まり難くなるので、ねじ送り機構の耐久性を向上させることができる。
【0082】
<3.他の機器への摩耗粉の影響抑制について>
ここで、1つ目の対策にて、ねじ送り機構を構成する材料等を工夫した場合でも、ねじ送り機構から摩耗粉が生じるおそれがあり、仮に、この摩耗粉が、流体経路へと循環する場合には、冷凍サイクルシステムを構成する各機器の故障の原因となるおそれがある(以下、「懸念事項(摩耗粉による他の機器への悪影響)」という)。ここで、流体経路を循環する摩耗粉を回収するために、流体経路に摩耗粉よりもメッシュが極めて細かいストレーナ等を設けることも考えられるが、圧力損失の原因となり、冷凍サイクルシステムの成績係数(COP)が低下するおそれがある。よって、3つ目の対策として、ねじ送り機構の螺合領域Saを収容するねじ収容空間Ssと、弁室(弁本体の内部)2aとの連通状態を工夫することにより、懸念事項(摩耗粉による他の機器への悪影響)を解消するものである。
【0083】
<ねじ収容空間と弁室との連通状態について>
ガイド部材54は、
図1から
図3に示すように、ねじ送り機構の螺合領域Saを常時収容するねじ収容空間Ssと、弁本体2の内部である弁室2aとの間を仕切る仕切壁54dと、仕切壁54dに設けられる一対のガイド孔54bと、を有する。また、雌ねじ部材56は、
図1から
図2及び
図4に示すように、内周面に雌ねじ部56a1が形成されるねじ筒部56aと、ねじ筒部56aから軸線L方向の左側に延在する一対の連結腕部56bと、を備える。ここで、一対のガイド孔54bに、雌ねじ部材56の一対の連結腕部56bを軸線L方向に挿通させることにより、雌ねじ部材56を軸線L回りに回転不能かつ軸線L方向に進退ガイドする。
【0084】
このように、ねじ収容空間Ssと弁室2aとの間を、ガイド部材54の仕切壁54dにより仕切ることにより、仮に摩耗粉がねじ送り機構で多量に発生しても、ねじ収容空間Ssから弁室2aへと流出されることが抑制され、懸念事項(摩耗粉による他の機器への悪影響)を解消する。
【0085】
なお、冷媒がオイルフリーの状態である場合では、問題にならないが、冷媒に含まれる冷凍機油が低油量の状態では、ねじ送り機構の摩耗低減効果を得るために、僅かな冷凍機油であっても、ねじ送り機構の螺合領域Saに供給することが望ましい。しかしながら、仕切壁54dにより、ねじ収容空間Ssと、弁室2aとの間が完全に隔離されてしまうと、弁室2aに存在する冷凍機油を、螺合領域Saに供給することはできない。
【0086】
さらに、特に、暖房運転時においては、
図6(a)に示すように、雌ねじ部材56の当接部56eが、ガイド部材54の仕切壁54dに面接触しているため、当接部56eと仕切壁54dとの間に、存在する冷凍機油などにより、当接部56eと仕切壁54dとが張り付いてしまい、暖房運転から冷房運転への切換がスムーズに行われないおそれがあった。
【0087】
これに対して、
図2及び
図3に示すように、ガイド部材54の仕切壁54dは、一対のガイド孔54bに加え、一対のガイド孔54bの径方向外側に連続的にそれぞれ形成される一対の通気孔54cをさらに有する。この一対の通気孔54cは、雌ねじ部材56の一対の連結腕部56bが、一対のガイド孔54bに挿通された状態において、ねじ収容空間Ssと弁室2aとを常時連通させる。よって、弁室2aの冷媒を、一対の通気孔54cを介して、ねじ収容空間Ssへと導入できるため、冷媒に含まれる冷凍機油を、螺合領域Saへと供給すること、及び、暖房運転から冷房運転への切換時における当接部56eと仕切壁54dとの張り付きを抑制することができる。
【0088】
ここで、ねじ収容空間Ssに存在する摩耗粉が、一対の通気孔54cを介して、弁室2aへと流出されることが懸念される。
【0089】
これに対し、
図2に示すように、軸方向からみて、一対の連結腕部56bの径方向内側に、螺合領域Saが位置するとともに、一対の連結腕部56bの径方向外側に一対の通気孔54cが位置する。よって、螺合領域Saから一対の通気孔54cまでの流体経路中に、一対の連結腕部56bが配置される。これにより、一対の連結腕部56bが、いわゆる、じゃま板(バッフル)のように機能するため、ねじ収容空間Ssから弁室2aへの摩耗粉の流出を抑制することができる。
【0090】
また、
図5(b)に示すように、暖房運転から冷房運転への切換時においては、摩耗粉は、主に、螺合領域Saの軸線L方向の左端側から排出される。この際、一対の通気孔54cは、螺合領域Saの軸線L方向の左端側と近接配置されるため、摩耗粉の弁室2aへの流出経路が比較的短くなっている。しかしながら、ねじ筒部56aが、ガイド部材54内を、軸線L方向の右側である移動方向M1へと移動することにより、ねじ筒部56aの左側に位置する、ねじ収容空間Ssの左側空間は減圧される。これにより、一対の通気孔54cを介して、弁室2aからねじ収容空間Ssの左側空間へと冷媒が流入する。この結果、螺合領域Saから排出された摩耗粉が、一対の通気孔54cを介して、弁室2aに流出することが抑制される。
【0091】
さらに、
図6(b)に示すように、冷房運転から暖房運転への切換時においては、摩耗粉は、主に、螺合領域Saの軸線L方向の右端側から排出される。この際、一対の通気孔54cは、螺合領域Saの軸線L方向の右端側と、ねじ筒部56aを介して、離隔配置されることにより、摩耗粉の弁室2aへの流出経路が比較的長くなっている。また、ねじ筒部56aが、ガイド部材54内を、軸線L方向の左側である移動方向M2へと移動することにより、ねじ筒部56aの右側に位置する、ねじ収容空間Ssの右側空間は減圧される。これにより、ねじ筒部56aの外周面とガイド部材54の内周面との間の環状隙間を介して、ねじ収容空間Ssの左側空間から右側空間へと冷媒が流入する。この結果、螺合領域Saから排出された摩耗粉が、一対の通気孔54cを介して、弁室2aに流出されることを抑制する。
【0092】
ここで、本実施形態において、螺合領域Saから排出された摩耗粉が、一対の通気孔54cを介して、弁室2aに流出されることを、完全に抑制するものではない。具体的には、螺合領域Saから排出された摩耗粉が、一対の通気孔54cを介して、弁室2aに、少量流出されることを許容する一方、弁室2aに、多量流出されることを抑制するものである。
【0093】
以上で説明したように、ねじ筒部56aの軸線L方向への進退移動により、ねじ収容空間Ssの左側空間及び右側空間が、交互に減圧される。この減圧により、螺合領域Saから排出された摩耗粉が、一対の通気孔54cを介して、弁室2aに流出されるのを抑制することにより、懸念事項(摩耗粉による他の機器への悪影響)を解消する。
【0094】
さらに、スライド式切換弁100は、椀状の形状を有する弁体4を、複数の弁ポート30,31,32を有する弁座部3の上にスライド移動させて、流路を切り換えている。よって、スライド式切換弁100は、受圧面積が大きい弁体4を、摺動抵抗を有するねじ送り機構を介して、進退移動させるため、比較的大きな駆動力を必要とする。これに対し、本実施形態のスライド式切換弁100においては、前述の対策を講じることにより、ねじ送り機構での摺動抵抗を低減させ、摩耗粉の発生も抑制することができるため、駆動部を含めたスライド式切換弁100全体の小型化が実現できるとともに、スライド式切換弁100の信頼性を向上させることができる。
【0095】
<その他>
本実施形態のスライド式切換弁100は、例示する冷凍サイクルシステムだけでなく、あらゆる流体装置及び流体回路に適用可能であることは言うまでもない。また、本発明は、上述した各形態や、各実施形態、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【符号の説明】
【0096】
100 スライド式切換弁
1 ハウジング
1a 開口部
1c 第2経路
1d 入口経路
1e 第1経路
1s 出口経路
1C C継手管
1D D継手管
1E E継手管
1S S継手管
2 弁本体
2a 弁室(弁本体の内部)
21 第1接続流路
22 出口接続流路
23 第2接続流路
24 下蓋
25 上蓋
25a 小径部
25b 大径部
27 止め輪
3 弁座部
30 第1ポート
31 出口ポート
32 第2ポート
33 シール面
4 弁体
40 弁体本体
40a 開口縁部
40b 椀状部
40c 椀状凹部
42 ばね部材
44 連結部
45 締結バンド
5 駆動部
5a ステッピングモータ(モータ部)
5b 直動機構
50 キャン
51 マグネットロータ(ロータ)
52 ステータコイル
53 軸受け部材
53a 第一軸受孔
54 ガイド部材
54a 第二軸受孔
54b 一対のガイド孔
54c 一対の通気孔
54d 仕切壁
55 雄ねじ部材
55a 固定部材
55b 第一軸部
55c 第二軸部
55d 雄ねじ部(ねじ送り機構)
55d’ 雄ねじ部(比較例)
55e 第一縮径部
55f 第二縮径部
55g 多条ねじの谷
55g’ 通常ねじの谷
55h 多条ねじの終端部
55h’ 通常ねじの終端部
56 雌ねじ部材
56a ねじ筒部
56a1 雌ねじ部(ねじ送り機構)
56a2 第一拡径部
56a3 第二拡径部
56b 一対の連結腕部
56b1 曲外面
56b2 平坦内面
56b3 凹み
56c 雌ねじ側係止溝
56c1 係止溝開口部
56d 回転ストッパ
56e 当接部
59 軸材
200 圧縮機
300 室外熱交換機
400 室内熱交換機
500 絞り装置
A 入口ポート
C 接触面
E 排出方向
G 溝部
L 軸線
M1 移動方向
M2 移動方向
P1 平面
S シール部
Sa 螺合領域
Ss ねじ収容空間
θ1 多条ねじのリード角
θ1’ 通常ねじのリード角