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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160040
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】密封型ワイパ構造
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/38 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
B60S1/38 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070065
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】521038474
【氏名又は名称】丹陽鎮威汽配有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 哲▲イ▼
(72)【発明者】
【氏名】楊 証凱
(72)【発明者】
【氏名】張 傳枝
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AC01
3D225AD02
3D225AD09
3D225AE11
3D225AE37
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ワイパ・ブレード内部の配置構造の密封性を維持して、金属性のばね部材の弾性押圧力を維持し、ワイパ・ブレードの長寿命化を図る密封型ワイパ構造を提供する。
【解決手段】ホルダ20は、係合座の底面側に結合されるものであり、貫通溝210を有するホルダ板部21と、ホルダ板部に連接し、収容溝を有するホルダ框部22と、を備える。ばね部材30は、貫通溝に挿通され、ホルダの両側まで延びる。防水スリーブ40は、ケースと、ケースの中に設けられ、ホルダが差し込まれる内部空間と、成形によりケースの外側に形成された外部空間と、を含む。ブレード・ラバー50は、外部空間に差し込まれる差込部と、差込部に連接し、防水スリーブの外側に露出するブレード部を含み、これによって密封型ワイパ構造を構成する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
係合座と、
当該係合座の底面側に結合されて、貫通溝を有するホルダ板部、および当該ホルダ板部に連接し、収容溝を有するホルダ框部を含むホルダと、
当該貫通溝に挿通されるとともに当該ホルダの両側辺まで延びるばね部材と、
ケース、当該ケースの中に設けられ、当該ホルダが差し込まれる内部空間、および成形により当該ケースの外側に形成された外部空間を含む防水スリーブと、
当該外部空間に差し込まれる差込部、および当該差込部に連接し、当該防水スリーブの外側に露出するブレード部を含むブレード・ラバーと、を備える密封型ワイパ構造。
【請求項2】
当該係合座を覆うように当該係合座に結合され、ワイパ駆動アームの一端部を保持する固定座を更に備える、請求項1に記載の密封型ワイパ構造。
【請求項3】
当該ホルダ板部の両側辺がそれぞれ挿通される1対の貫通孔を有する係止座を更に備える、請求項1に記載の密封型ワイパ構造。
【請求項4】
当該ホルダ框部は、対向して設けられた複数のフックから構成される、請求項1に記載の密封型ワイパ構造。
【請求項5】
当該ケースは、当該係合座に当接する天壁と、当該天壁に対向するとともに当該ホルダ板部に当接する内底壁と、当該天壁および当該内底壁を連接する2つの側壁とを含み、当該天壁の厚みは当該2つの側壁よりも大きい、請求項1に記載の密封型ワイパ構造。
【請求項6】
当該係合座と、当該天壁と、当該ばね部材と、当該ホルダ板部と、当該内底壁とを順に挿通するロック部材を更に備える、請求項5に記載の密封型ワイパ構造。
【請求項7】
当該内部空間および当該外部空間は、それぞれU字形であり、当該外部空間の一辺に開口部が設けられる、請求項1に記載の密封型ワイパ構造。
【請求項8】
当該ブレード・ラバーは、当該開口部に立設されるとともに当該差込部および当該ブレード部の間に連接される連接部を更に含む、請求項7に記載の密封型ワイパ構造。
【請求項9】
当該ケースの両端部に配置されて当該内部空間を塞ぐ1対のエンド・キャップ・アセンブリを更に備える、請求項1に記載の密封型ワイパ構造。
【請求項10】
各エンド・キャップ・アセンブリは、当該ケースに接着されるインナ・エンド・キャップと、当該インナ・エンド・キャップの外側に篏合されるアウタ・エンド・キャップとを含む、請求項9に記載の密封型ワイパ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパ構造に関し、特に防水型ワイパ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のワイパ・ブレードは、車両のガラスの外側面に配置されるものであり、ワイパ駆動アームに接合されて、ワイパ駆動アームによってワイパ・ブレードに作動力を加え、ワイパ・ブレードを駆動し、ガラス面上で繰り返して揺動することによって、ガラス上の雨やホコリなどの外物を払拭する。
【0003】
また、一般的にはワイパ構造は、主に係合座、金属性のばね部材、導流カバーおよびブレード・ラバーを含む。係合座に金属性のばね部材およびブレード・ラバーを結合し、導流カバーを係合座の頂部に取り付けるとともにワイパ駆動アームに連接し、これによって、ワイパ駆動アームを介してブレード・ラバーを駆動して移動させ、車両のガラス面に対する清掃動作を行うことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述のワイパ構造では、導流カバーと金属性のばね部材との結合部が密閉されていないため、雨水が導流カバーを透過して金属性のばね部材を浸しやすく、金属性のばね部材が腐食されて寿命が短くなりやすい。特に寒冷地での使用では、金属性のばね部材が氷結して弾力性が失われることがあり、さらなる改良が求められている。
【0005】
本発明は、ワイパ・ブレード内部の配置構造の密封性を維持して、金属性のばね部材の弾性押圧力を維持し、ワイパ・ブレードの長寿命化を図る密封型ワイパ構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、係合座と、ホルダと、ばね部材と、防水スリーブと、ブレード・ラバーと、を備える密封型ワイパ構造を提供する。ホルダは係合座の底面側に結合されるものであり、貫通溝を有するホルダ板部、およびホルダ板部に連接し、収容溝を有するホルダ框部を含む。ばね部材は、貫通溝に挿通されるとともにホルダの両側辺まで延びる。防水スリーブは、ケース、ケースの中に設けられ、ホルダが差し込まれる内部空間、および成形によりケースの外側に形成された外部空間を含む。ブレード・ラバーは、外部空間に差し込まれる差込部、および差込部に連接し、防水スリーブの外側に露出するブレード部を含む。
【0007】
本発明は、防水スリーブの天壁の厚みが側壁の厚みよりも大きいことにより、防水スリーブのあるべき構造的強度および可撓性を維持し、皺のない良好な外観を維持できる、密封型ワイパ構造を提供する。
【0008】
本発明は、防水スリーブの両端部にエンド・キャップ・アセンブリを結合することで、内部に差し込まれているばね部材を外部の水から遮断するように、防水スリーブを塞ぐ、密封型ワイパ構造を提供する。
【0009】
本発明の密封型ワイパ構造は、従来のものと比較して、防水スリーブが設けられており、ばね部材がホルダを挿通するとともに、防水スリーブの内部空間に差し込まれ、内部空間を塞ぐように防水スリーブの両端部にエンド・キャップ・アセンブリを更に配置して、内部空間を密閉した空間とすることができ、内部空間に差し込まれたばね部材を外部の水から遮断することができ、防水の目的を達成することができるとともに、あるべき弾性力を維持する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の密封型ワイパ構造の外観を模式的に示す立体図である。
図2】本発明の密封型ワイパ構造を模式的に示す分解立体図である。
図3】本発明のホルダと防水スリーブとの結合を示す模式図である。
図4】本発明の防水スリーブとブレード・ラバーとの組み合わせを示す断面図である。
図5】本発明の密封型ワイパ構造にエンド・キャップ・アセンブリを結合する組み合わせを示す模式図である。
図6】本発明のインナ・エンド・キャップを接着することを示す模式図である。
図7】本発明のアウタ・エンド・キャップをインナ・エンド・キャップに結合する組み合わせを示す模式図である。
図8】エンド・キャップ・アセンブリが結合された本発明の密封型ワイパ構造の断面図である。
図9】本発明の密封型ワイパ構造の組み合わせを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に関する詳細な説明および技術内容を、図面を併せて説明するが、添付図面は説明のために用いられており、本発明を限定するものではない。
【0012】
図1および図2を参照されたい。それぞれに本発明の密封型ワイパ構造の外観の立体図および分解立体図が模式的に示されている。本発明は、ワイパ駆動アーム2と結合するための密封型ワイパ構造1を提供する。当該密封型ワイパ構造1は、係合座10、ホルダ20、ばね部材30、防水スリーブ40およびブレード・ラバー50を備える。当該ホルダ20は当該係合座10の底面側に設けられており、当該ばね部材30および当該防水スリーブ40と結合されている。なお、当該ブレード・ラバー50の一端が当該防水スリーブ40中に差し込まれている。
【0013】
本発明の1つの実施例では、当該密封型ワイパ構造1は更に固定座60を備える。当該固定座60が当該係合座10に結合されている。当該固定座60は当該係合座10を覆うとともに当該ワイパ駆動アーム2の一端を保持している。
【0014】
具体的には、当該係合座10は当該ワイパ駆動アーム2と結合するために設けられている。また、当該密封型ワイパ構造1は更に係止座15を備えている。当該係止座15は当該係合座10の底面側に結合され、1対の貫通孔150を有している。
【0015】
当該ホルダ20は当該係合座10の底面側に結合されている。当該ホルダ20は、ホルダ板部21および当該ホルダ板部21に連接するホルダ框部22を含む。当該ホルダ板部21は、両側辺をそれぞれ当該係止座15の当該1対の貫通孔150に挿通するとともに、当該ホルダ板部21は貫通溝210を有している。更に、当該ホルダ框部22は収容溝220を有している。本実施例では、当該ホルダ框部22は、対向して設けられた複数のフック221から構成されている。
【0016】
また、図3および図4を参照されたい。それぞれ本発明のホルダと防水スリーブとの結合を示す模式図、および本防水スリーブとブレード・ラバーとの組み合わせを示す断面図である。本実施例では、当該ばね部材30は当該貫通溝210に挿通されているとともに当該ホルダ20の両側辺まで延びている。好ましくは、当該ばね部材30は金属性のばね部材である。
【0017】
当該防水スリーブ40は、ケース41と、当該ケース41の中に設けられた内部空間42と、成形により当該ケース41の外側に形成された外部空間43と、を含む。当該ホルダ20は当該内部空間42の中に差し込まれている。具体的には、当該内部空間42および当該外部空間43は、それぞれU字形であるとともに、当該外部空間43の一辺に開口部44が設けられている。
【0018】
更に詳しく説明すると、当該ケース41は当該係合座10に当接する天壁411と、当該天壁411に対向するとともに当該ホルダ板部21に当接する内底壁412と、当該天壁411および当該内底壁412を接続する2つの側壁413と、を含む。本実施例では、当該防水スリーブ40があるべき構造的強度および可撓性を維持し、良好な外観を維持するために皺が発生しないように、当該天壁411の厚みが、当該2つの側壁413の厚みよりも大きくなっていることに注意されたい。本実施例では、当該天壁411は約0.5mm乃至1mmの厚みを有し、当該側壁413は0.3mm乃至0.6mmの厚みを有している。
【0019】
なお、当該防水スリーブ40の材料はポリオレフィン系熱可塑性エラストマ(TPV、 Themoplastic Vulcanizate)から構成されている。ポリオレフィン系熱可塑性エラストマは、エチレンプロピレンジエンモノマ(EPDM、 Ethylene Propylene Diene Monomer)およびポリプロピレン(PP、 Polypropylene)の二種類の物質を動的硫化処理により混練することによって得られた安定したエラストマとしたものであり、無毒で環境に優しく、耐老化性がよく、温度による硬度の変化が少ないなどの特徴を有している。また、TPVは亜硝酸塩などの発がん性物質や重金属を含まず、リサイクル可能なため、衛生レベルに達しているとともにSGSの認定を取得しており、EUのROHS指令にも適合している。また、TPVは-30℃から120℃の範囲で使用でき、-20℃から40℃の範囲では、ショア硬さが5A以上変化せず、PVCやEPDMなどの従来の材料よりも優れている。
【0020】
また、本発明の防水スリーブ40は、エクストルージョン・モールディング(押出成形)により製造され、長さや形状に制限がないため、良品率が高く、コストが低く、歩留まりが良いという利点がある。
【0021】
更に、当該ブレード・ラバー50は当該防水スリーブ40の中に結合されている。当該ブレード・ラバー50は、差込部51と、当該差込部に連接するブレード部52と、当該差込部51および当該ブレード部52の間に連接する連接部53と、を含む。更に詳しく説明すると、当該差込部51は当該外部空間43の中に差し込まれている。当該ブレード部52は当該防水スリーブ40の外側に露出している。当該連接部53は当該開口部44に立設されている。
【0022】
続いて図5乃至図8を参照されたい。本発明の密封型ワイパ構造にエンド・キャップ・アセンブリを結合する組み合わせを示す模式図、インナ・エンド・キャップを結合するための接着を示す模式図、アウタ・エンド・キャップをインナ・エンド・キャップに結合する組み合わせを示す模式図、および密封型ワイパ構造とエンド・キャップ・アセンブリとの結合を示す断面図が示されている。本発明の密封型ワイパ構造1は更に1対のエンド・キャップ・アセンブリ70を備えている。当該1対のエンド・キャップ・アセンブリ70は当該ケース41の両端部に配置され、当該内部空間42を塞いでいる。
【0023】
具体的には、各エンド・キャップ・アセンブリ70はインナ・エンド・キャップ71およびアウタ・エンド・キャップ72を含む。当該インナ・エンド・キャップ71は当該ケース41に接着され、当該アウタ・エンド・キャップ72は当該インナ・エンド・キャップ71の外側に篏合されている。これにより、当該内部空間42が密閉した空間を形成することができ、当該内部空間42中に差し込まれているばね部材30を外部の水から遮断することができ、防水の目的を達成することができる。
【0024】
更に、当該インナ・エンド・キャップ71は当該ケース41が差し込まれる接着部701、当該ケース41の外側に突出する結合部702およびつば703を含む。当該結合部702の表面は当該接着部701より高く、当該つば703は当該結合部702および当該接着部701の間に配置され、封止作業時の接着剤のこぼれを防止するようになっている。更に、当該つば703は、当該インナ・エンド・キャップ71を位置決めするように設けられている。
【0025】
図7に示すように、当該インナ・エンド・キャップ71は、その底部に凸部711を有し、当該アウタ・エンド・キャップ72は、その底部に凹部721が対応して設けられている。本実施例では、当該インナ・エンド・キャップ71には、複数の位置決め溝712が設けられている。また、当該アウタ・エンド・キャップ72には、これらの位置決め溝712に対応して複数の位置決めリブ722が設けられている。当該アウタ・エンド・キャップ72が当該インナ・エンド・キャップ71に篏合されると、これらの位置決めリブ722がこれらの位置決め溝712と互いに位置決めされ、配置の精度が向上する。
【0026】
なお、当該インナ・エンド・キャップ71には、更に貫通穴713が設けられている。当該貫通穴713は、当該防水スリーブ40の外部空間43および当該開口部44に対して接着剤を注入し、当該防水スリーブ40の側辺を密封するために設けられている。
【0027】
更に図9を参照されたい。本発明の密封型ワイパ構造にエンド・キャップ・アセンブリが結合されているという組み合わせの断面図が示されている。本発明の密封型ワイパ構造1は、更にロック部材80を備えている。当該ロック部材80は、当該係合座10、当該係止座15、当該防水スリーブ40の天壁411、当該ばね部材30、当該ホルダ20のホルダ板部21および当該防水スリーブ40の内底壁412を順に挿通することにより、当該係合座10、当該係止座15、当該ホルダ20、当該ばね部材30および当該防水スリーブ40を結合している。
【0028】
上記は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の特許の精神を適用した他の等価変形は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0029】
1 密封型ワイパ構造
2 ワイパ駆動アーム
10 係合座
15 係止座
150 貫通孔
20 ホルダ
21 ホルダ板部
210 貫通溝
22 ホルダ框部
220 収容溝
221 フック
30 ばね部材
40 防水スリーブ
41 ケース
411 天壁
412 内底壁
413 側壁
42 内部空間
43 外部空間
44 開口部
50 ブレード・ラバー
51 差込部
52 ブレード部
53 連接部
60 固定座
70 エンド・キャップ・アセンブリ
701 接着部
702 結合部
703 つば
71 インナ・エンド・キャップ
711 凸部
712 位置決め溝
713 貫通穴
72 アウタ・エンド・キャップ
721 凹部
722 位置決めリブ
80 ロック部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9