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特開2023-160059設備工事の検査装置、設備工事の検査方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160059
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】設備工事の検査装置、設備工事の検査方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20231026BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20231026BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070114
(22)【出願日】2022-04-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔1〕 〔集会〕 開催日 令和3年 10月6日、10月18日 集会名、開催場所 「株式会社ミライト様との打合せ」 品川シーサイドパークタワー(東京都品川区東品川4-12-4) <資 料> 「株式会社ミライト様との打合せ」資料 〔2〕 〔集会〕 開催日 令和3年 9月17日、10月19日、10月26日、12月17日 集会名、開催場所 「コムシス株式会社様との打合せ」 品川シーサイドパークタワー(東京都品川区東品川4-12-4) <資 料> 「コムシス株式会社様との打合せ」資料
(71)【出願人】
【識別番号】397065480
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓貴
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼永 佳晃
(72)【発明者】
【氏名】井筒 豪一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】電柱工事において施工された接地線の施工状態を高い精度で検査すること。
【解決手段】本発明の一態様は、端末装置から、電柱工事において施工された接地線を撮像した検査画像、および検査項目が接地線であることを示す検査項目情報を取得する取得部と、検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を保護する保護カバーの確からしさを示す確信度を算出し、確信度に基づいて検査画像に前記保護カバーが含まれるか否かを認識し、検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を固定する固定具と保護カバーとの交差部の確からしさを示す確信度を算出し、確信度に基づいて検査画像に交差部が含まれるか否かを認識する認識部と、検査画像に保護カバーおよび交差部が含まれる場合に、保護カバー上に存在する交差部の数が設定数と同じか否かを検査する検査部と、検査部による検査の結果を端末装置に通知する通知部と、を備える、設備工事の検査装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置から、電柱工事において施工された接地線を撮像した検査画像、および検査項目が接地線であることを示す検査項目情報を取得する取得部と、
前記検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を保護する保護カバーの確からしさを示す確信度を算出し、前記確信度に基づいて前記検査画像に前記保護カバーが含まれるか否かを認識し、前記検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を固定する固定具と前記保護カバーとの交差部の確からしさを示す確信度を算出し、前記確信度に基づいて前記検査画像に前記交差部が含まれるか否かを認識する認識部と、
前記検査画像に前記保護カバーおよび前記交差部が含まれる場合に、前記保護カバー上に存在する前記交差部の数が設定数と同じか否かを検査する検査部と、
前記検査部による検査の結果を前記端末装置に通知する通知部と、
を備える、設備工事の検査装置。
【請求項2】
前記検査部は、前記認識部により認識された前記交差部のうち前記保護カバー上に存在しない前記交差部を、検査対象から除外する、請求項1に記載の設備工事の検査装置。
【請求項3】
施工検査サーバ装置が、端末装置から、電柱工事において施工された接地線を撮像した検査画像、および検査項目が接地線であることを示す検査項目情報を取得するステップと、
前記施工検査サーバ装置が、前記検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を保護する保護カバーの確からしさを示す確信度を算出し、前記確信度に基づいて前記検査画像に前記保護カバーが含まれるか否かを認識し、前記検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を固定する固定具と前記保護カバーとの交差部の確からしさを示す確信度を算出し、前記確信度に基づいて前記検査画像に前記交差部が含まれるか否かを認識するステップと、
前記施工検査サーバ装置が、前記検査画像に前記保護カバーおよび前記交差部が含まれる場合に、前記保護カバー上に存在する前記交差部の数が設定数と同じか否かを検査するステップと、
を含む、設備工事の検査方法。
【請求項4】
コンピュータに、
端末装置から、電柱工事において施工された接地線を撮像した検査画像、および検査項目が接地線であることを示す検査項目情報を取得するステップと、
前記検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を保護する保護カバーの確からしさを示す確信度を算出し、前記確信度に基づいて前記検査画像に前記保護カバーが含まれるか否かを認識し、前記検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を固定する固定具と前記保護カバーとの交差部の確からしさを示す確信度を算出し、前記確信度に基づいて前記検査画像に前記交差部が含まれるか否かを認識するステップと、
前記検査画像に前記保護カバーおよび前記交差部が含まれる場合に、前記保護カバー上に存在する前記交差部の数が設定数と同じか否かを検査するステップと、
を含む処理を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備工事の検査装置、設備工事の検査方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電柱の状態を検出する技術が知られている。この種の技術は、例えば、下記の特許文献1-2に記載されている。特許文献1に記載された電柱位置検査装置は、カメラにより撮影された画像中から電柱を検出する電柱検出部を備え、カメラにより撮像された画像に基づいて電柱が建築限界の外にあるか否かを検査する。特許文献2に記載された設備工事の検査装置は、端末装置から、電柱の支持部材を撮像した検査画像、および検査項目が電柱の支持部材であることを示す検査項目情報を取得し、検査画像から支持部材、および支持部材周辺の検査対象物の確からしさを示す確信度を算出し、確信度に基づいて検査画像に支持部材および検査対象物が含まれるか否かを判定し、検査画像に支持部材および検査対象物が含まれる場合に、支持部材および検査対象物の位置関係に基づいて支持部材を用いた設備工事の検査を実施し、検査の結果を前記端末装置に通知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-116916号公報
【特許文献2】特開2021-60887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された電柱の状態を検出する技術は、既に工事が完了した電柱の状態を検出しているため、電柱の施行状態の検査を行うことができないという問題がある。また、上述した特許文献2に記載された技術は、電柱の支持部材に特化して認識および検査を行う技術であるので、その他の設備工事に応用することができない。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、電柱工事において施工された接地線の施工状態を高い精度で検査することができる設備工事の検査装置、設備工事の検査方法、およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、端末装置から、電柱工事において施工された接地線を撮像した検査画像、および検査項目が接地線であることを示す検査項目情報を取得する取得部と、前記検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を保護する保護カバーの確からしさを示す確信度を算出し、前記確信度に基づいて前記検査画像に前記保護カバーが含まれるか否かを認識し、前記検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を固定する固定具と前記保護カバーとの交差部の確からしさを示す確信度を算出し、前記確信度に基づいて前記検査画像に前記交差部が含まれるか否かを認識する認識部と、前記検査画像に前記保護カバーおよび前記交差部が含まれる場合に、前記保護カバー上に存在する前記交差部の数が設定数と同じか否かを検査する検査部と、前記検査部による検査の結果を前記端末装置に通知する通知部と、を備える、設備工事の検査装置である。
【0007】
(2)本発明の一態様において、上前記検査部は、前記認識部により認識された前記交差部のうち前記保護カバー上に存在しない前記交差部を、検査対象から除外してよい。
【0008】
(3)本発明の一態様は、施工検査サーバ装置が、端末装置から、電柱工事において施工された接地線を撮像した検査画像、および検査項目が接地線であることを示す検査項目情報を取得するステップと、前記施工検査サーバ装置が、前記検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を保護する保護カバーの確からしさを示す確信度を算出し、前記確信度に基づいて前記検査画像に前記保護カバーが含まれるか否かを認識し、前記検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を固定する固定具と前記保護カバーとの交差部の確からしさを示す確信度を算出し、前記確信度に基づいて前記検査画像に前記交差部が含まれるか否かを認識するステップと、前記施工検査サーバ装置が、前記検査画像に前記保護カバーおよび前記交差部が含まれる場合に、前記保護カバー上に存在する前記交差部の数が設定数と同じか否かを検査するステップと、を含む、設備工事の検査方法である。
【0009】
(4)本発明の一態様は、コンピュータに、端末装置から、電柱工事において施工された接地線を撮像した検査画像、および検査項目が接地線であることを示す検査項目情報を取得するステップと、前記検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を保護する保護カバーの確からしさを示す確信度を算出し、前記確信度に基づいて前記検査画像に前記保護カバーが含まれるか否かを認識し、前記検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を固定する固定具と前記保護カバーとの交差部の確からしさを示す確信度を算出し、前記確信度に基づいて前記検査画像に前記交差部が含まれるか否かを認識するステップと、
前記検査画像に前記保護カバーおよび前記交差部が含まれる場合に、前記保護カバー上に存在する前記交差部の数が設定数と同じか否かを検査するステップと、
を含む処理を実行させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、電柱工事において施工された接地線の施工状態を高い精度で検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の設備工事検査システムの一構成例を示すブロック図である。
図2】検査対象認識部の一例を示すブロック図である。
図3】ユーザ端末装置における施工検査用操作画面の一例を示す図であり、(A)検査項目の選択画面の一例であり、(B)はガイド画像を含む画面の一例である。
図4】接地線の保護カバーおよびバンド(固定具)を含む検査画像の一例である。
図5】工事検査項目名と目視による検査基準とを示す図である。
図6】接地線の保護カバー、および交差部の認識結果の一例である。
図7】目視による検査基準と施工検査サーバ装置200による自動検査基準を示す図である。
図8】施工検査サーバ装置における設備工事の検査処理の一例を示すフローチャートである。
図9】検査画像と、検査画像に含まれる保護カバー、交差部(1)、交差部(2)、交差部(3)、および交差部(4)と、確信度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した設備工事の検査装置、設備工事の検査方法、およびプログラムを、図面を参照して説明する。
【0013】
実施形態の設備工事検査システムは、電柱の施設工事の現場作業員により撮像された画像を用いて、当該設備工事の検査を行う。実施形態の設備工事検査システムは、現場作業員により撮像された画像が検査に適しているか否か、画像内に検査対象としての施工部材が存在しているか否か、施工部材が適切か否かを判定することによって、複数の施工部材を用いた施工状態を高い精度で検査するものである。また、実施形態の設備工事検査システムは、判定結果(画像の判定結果、施工部材の判定結果、および検査結果)を現場作業員に通知することによって、現場作業員による画像撮影の手間や、設備工事の検査者による検査の手間や、設備工事に不備がある場合の再施工などの手間を軽減することができる。
【0014】
図1は、実施形態の設備工事検査システムの一構成例を示すブロック図である。設備工事検査システムは、例えば、一又は複数のユーザ端末装置100と、施工検査サーバ装置200と、管理端末300とを備える。ユーザ端末装置100、施工検査サーバ装置200、および管理端末300は、例えば、通信ネットワークNWに接続される。通信ネットワークNWに接続される各装置は、NIC(Network Interface Card)や無線通信モジュールなどの通信インターフェースを備えている(図1では不図示)。通信ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、セルラー網などを含む。
【0015】
ユーザ端末装置100は、例えばヘッドマウンドディスプレイ、スマートフォンやタブレット端末などのカメラ装置を備えた携帯型端末装置である。ユーザ端末装置100は、ブラウザやアプリケーションプログラムなどのUA(User Agent)が起動する。UAは、例えば、施工検査サーバ装置200と通信等をするためのアプリケーションである。ユーザ端末装置100は、UAとしての施工検査用アプリケーションを利用し、施工検査サーバ装置200から受信したコンテンツを用いて表示処理や操作の受け付け処理などを行う。また、ユーザ端末装置100は、施工検査用アプリケーションを利用して、ユーザの操作に基づく操作情報や撮影画像等を施工検査サーバ装置200に提供する。
【0016】
施工検査サーバ装置200は、ユーザ端末装置100から設備工事の検査依頼を受け付けたことに応じ、ユーザ端末装置100に設備工事の検査結果を通知する情報処理装置である。施工検査サーバ装置200は、例えば、連携API(Application Programming Interface)部210と、検査対象認識部220とを備える。連携API部210および検査対象認識部220といった機能部は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアが協働することで実現されてもよい。
【0017】
連携API部210は、例えば、API部212と、画像処理部214と、検査部216と、制御部218とを備える。API部212は、ユーザ端末装置100から各種の情報を受け付ける処理や、ユーザ端末装置100にコンテンツを提供する処理などを行う。画像処理部214は、ユーザ端末装置100から取得した画像データに対して所定の画像処理を施す。以下、検査に用いる画像を検査画像と記載する。検査部216は、API部212により取得した検査画像および/または画像処理部214により処理された検査画像を用いて設備工事の検査処理を行う。制御部218は、検査対象認識部220における画像認識エンジンの起動等の制御を行う。
【0018】
検査対象認識部220は、例えば複数の画像認識エンジン222A、222B、・・・222N(Nは自然数)を備える。なお、複数の画像認識エンジンを総称する場合には単に画像認識エンジン222と記載する。各画像認識エンジン222は、複数の検査項目のうちの各検査項目に対応する。画像認識エンジン222は、検査項目における検査対象としての施工部材を認識する認識処理を行う。なお、実施の形態においては、接地線の施工に対する検査について説明するが、施工検査サーバ装置200は他の施工に対する検査を行うための画像認識エンジン222を備えていてよい。
【0019】
図2は、検査対象認識部の一例を示すブロック図である。検査対象認識部220は、例えば、学習画像データベース230と、学習処理部232と、認識処理部234と、結果出力部236とを備える。
【0020】
学習画像データベース230は、例えば管理端末300から取得した画像を学習画像として記憶するデータベースである。学習画像データベース230は、学習画像として、例えば正例画像を記憶する。正例画像とは、正常な状態の対象物体を撮像した画像である。正例画像は、工事部材名としての「接地線配線状況」を含むタグ情報と対応付けられる。正例画像は、例えば、電柱の工事において使用される工事部材を撮像した画像である。工事部材は、例えば、接地線の保護カバー、保護カバーとバンド(固定具)との交差部である。
【0021】
正例画像は、保護カバー、および保護カバー上にバンドが取り付けられた所定数の交差部と含む画像である。所定数は、例えば4個である。なお、学習画像データベース230には、正例画像に限らず、学習画像として、工事部材とは異なる物体(異常状態の物体や不良品)を撮像した画像が記憶されてよい。学習画像は、例えば、保護カバー上にバンドが取り付けられていない画像、および交差部の数が所定数よりも少ない画像を含む。
【0022】
学習処理部232には、学習画像データベース230から学習画像が供給される。学習処理部232は、学習画像を用いて認識処理を行い、判定結果を得る。学習処理部232は、施工部材を検出したという判定結果となるように認識処理部234(認識モデル234A)の処理パラメータを学習し、学習結果データを生成する。認識処理部234(認識モデル234A)の処理パラメータとは、例えば、ニューラルネットワークに含まれるフィルタ(重み、バイアスともいう)である。学習結果データは、学習結果データ記憶部2341に記憶される。
【0023】
認識処理部234は、例えば、学習結果データ記憶部2341と、判定部2342とを有する。学習結果データ記憶部2341には、学習結果としての認識処理部234の処理パラメータが蓄積され、認識処理部234の処理パラメータは、学習処理部232によって更新される。認識処理部234は、検査画像を取得した場合、認識処理部234の処理パラメータに基づく認識モデル234Aを用いて施工部材の確からしさを示す確信度を算出する。判定部2342は、算出した確信度に基づいて、施工部材が含まれるか否かを判定する。認識処理部234は、判定部2342による判定結果を、認識結果として出力する。
【0024】
図3は、ユーザ端末装置における施工検査用操作画面の一例を示す図である。実施の形態において電柱の工事において検査対象となる設備工事は、少なくとも接地線の配線工事を含む。ユーザ端末装置100は、施工検査サーバ装置200に設備工事の検査を依頼する場合、施工検査用アプリケーションを起動し、設備検査用操作画面を表示する。施工検査用操作画面には、図3(A)に示すように、設備工事における検査項目に対応したアイコン画像が含まれる。設備工事における検査項目は、接地線の配線工事の他に、例えば、分線用金物を用いた分線工事、電柱の埋設工事、支線の取付工事、支線への絶縁体取付工事、支線への防護カバー取付工事、支線の埋設工事、電柱の標識板の取付工事などがあるが、これに限定されない。ユーザ端末装置100は、ユーザ操作に基づいてアイコン画像が選択された場合に、カメラ装置を起動する。ユーザ端末装置100は、「接地線」のアイコン画像が選択された場合、図3(B)に示すように、カメラ装置による撮像画像と、撮影すべき施工部材を撮影するためのガイド画像と、案内メッセージとを含む画面を表示する。案内メッセージは、例えば「接地線バンドが全て写るように撮影してください。」という文字を含む画像である。
【0025】
図3(B)は、ガイド画像の一例を含む図である。ユーザ端末装置100は、施工検査用アプリケーションにより、カメラ装置により撮影している画像110に、ガイド画像を重畳させる。ガイド画像は、ユーザ端末装置100により施工部材を画像内の所定の範囲に含むように撮影させることを支援する画像である。ガイド画像は、例えば、ガイド枠画像120と、マスク画像122とを含む。ガイド枠画像120は、検査対象の施工部材が含まれることが望ましい領域を示す。マスク画像122は、施工検査サーバ装置200が施工部材を含む領域として認識しない領域を示す。設備工事検査システムは、ガイド枠画像120およびマスク画像122を表示することで、検査画像に含まれる電柱の本体、接地線の保護カバー、保護カバーの固定具が一つの画像内に収まり、高い精度で各部を判定することができる。なお、実施の形態においてはガイド画像、マスク画像、および案内メッセージを表示させたが、これに限定されず、検査項目が選択されたことに応じて単にカメラを起動するだけでもよく、案内メッセージだけを表示させてもよい。
【0026】
ガイド枠画像120により示される領域およびマスク画像122により示される領域は、学習画像に基づいて決定されることが望ましい。例えば、接地線の保護カバーを撮像した正例画像(学習画像)のうち多くの画像が、画像内中央に接地線の保護カバーを含む場合、ガイド枠画像120は、画像内左右方向における略中央の領域であって画像内上下方向の端部間に亘る領域を示し、マスク画像122は、ガイド枠画像120が示す領域以外を示していることが望ましい。これにより、施工検査サーバ装置200は、高い精度で検査することができる。なお、ガイド枠画像120は、ガイド枠画像120およびマスク画像122の座標を指定した設定ファイルにより変更可能であってもよい。これにより、ユーザ端末装置100によりカメラ装置や表示装置の設定に基づいてガイド枠画像120が示す領域を柔軟に変更し、施工部材が適切に含まれる画像を撮影することができる。
【0027】
なお、ユーザ端末装置100は、接地線の保護カバーまたは固定具の画像内位置をタッチする案内メッセージを表示し、撮影画像のうちユーザの操作位置を中心とした領域(操作領域)を含む画像を取得し、施工検査サーバ装置200に送信してよい。また、ユーザ端末装置100は、細長い電柱に沿って指をスライドさせた操作領域を含む画像を取得してもよい。ユーザ端末装置100は、ユーザの操作領域を施工部材が含まれる画像領域であることを示す座標情報を生成してもよい。ユーザ端末装置100は、撮影画像および座標情報を施工検査サーバ装置200に送信することができる。例えば、撮影画像に接地線の保護カバー、保護カバーと固定具との交差点が含まれる場合において、ユーザ端末装置100は、ユーザの操作位置に基づいて、接地線の保護カバーを含む画像領域の座標情報、交差点を含む画像領域の座標情報を生成する。このように、ユーザ端末装置100は、ユーザの操作に基づいて検査項目名に対応した検査画像を生成する。
【0028】
図4は、接地線の保護カバーおよびバンド(固定具)を含む検査画像の一例であり、図5は、工事検査項目名と目視による検査基準とを示す図である。施工検査サーバ装置200には、図4に示すように、電柱の接地線の保護カバー、および保護カバーの固定具としてのバンドを含む検査画像がユーザ端末装置100から送信される。図4に示した検査画像は、正しく接地線が施工された状態を示す画像である。施工検査サーバ装置200は、工事検査項目名としての接地線配線状況を検査する。施工検査サーバ装置200は、(1)接地線に保護カバーが取り付けられている、および(2)4箇所という所定数のバンドが取り付けられている、という2つの検査基準が満たされているか否かを判定する。(1)および(2)の検査基準は、従来において例えば施工者がスマートフォンで施工状態を撮像して、撮像画像を検査者端末に送信し、検査者が後日に目視で検査する基準である。
【0029】
図6は、接地線の保護カバー、および交差部の認識結果の一例であり、図7は、目視による検査基準と施工検査サーバ装置200による自動検査基準を示す図である。連携API部210は、施工部材として保護カバー、およびバンドを含む検査画像を取得する。検査項目名としての接地線配線状況に対応した画像認識エンジン222は、施工部材として、検査画像内に保護カバー、および保護カバーとバンドとの交差部が存在するか否かを判定する。画像認識エンジン222は、検査画像のうち保護カバーと認識された物体の確信度が所定値以上である場合、当該検査画像に保護カバーが存在すると判定する。画像認識エンジン222は、検査画像において保護カバーを含む領域に、保護カバーに対応したタグ情報“ecover”を付与する。画像認識エンジン222は、検査画像のうち交差部と認識された物体の確信度が所定値以上である場合、検査画像に交差部が存在すると判定する。画像認識エンジン222は、検査画像において交差部を含む領域に、交差部に対応したタグ情報“tcross”を付与する。
【0030】
施工検査サーバ装置200は、図7に示すように、(1)画像認識エンジン222により保護カバーと認識された領域が検出されたこと、および(2)保護カバーであると認識された領域上に保護カバーとバンドとの交差部として検出された領域が4つであること、の基準を満たしているか否かを判定する。施工検査サーバ装置200は、(1)および(2)を満たした場合に、接地線配線状況の検査結果が合格であると判定する。なお、施工検査サーバ装置200の検査部216は、画像認識エンジン222により認識された交差部のうち保護カバー上に存在しない交差部を、検査対象から除外する。
【0031】
なお、タグ情報は、認識された施工部材の画像内位置を示す座標情報を含んでよい。すなわち、タグ情報“ecover”は、認識処理により認識された保護カバーの画像内位置情報を含んでよい。タグ情報“tcross”は、認識処理により認識された交差部の画像内位置情報を含んでよい。
【0032】
図8は、施工検査サーバ装置における設備工事の検査処理の一例を示すフローチャートである。まず、連携API部210は、ユーザ端末装置100から受信した情報に基づいて設備工事における検査項目名として接地線配線状況を取得する(ステップS100)。連携API部210は、検査項目名としての接地線配線状況を取得した時点において検査対象認識部220の起動リストを取得する。連携API部210は、ステップS100において取得した接地線配線状況と起動リストとを比較し(ステップS104)、取得した接地線配線状況に対応する画像認識エンジン222が起動しているか否かを判定する(ステップS106)。連携API部210は、接地線配線状況に対応した画像認識エンジン222が起動していない場合(ステップS106:NO)、接地線配線状況に対応した画像認識エンジン222を起動するよう制御する(ステップS108)。
【0033】
連携API部210は、接地線配線状況に対応した画像認識エンジン222が起動している場合(ステップS106:YES)、またはステップS108において接地線配線状況に対応する画像認識エンジン222を起動した後、画像ファイルおよび検査情報ファイルを取得する(ステップS110)。次に連携API部210は、取得した画像ファイルに含まれる検査画像に所定の画像処理を施す(ステップS112)。所定の画像処理は、例えば、エッジ化(先鋭化)処理や、明るさ補正処理などがある。ユーザ端末装置100は、所定の画像処理を施した検査画像を、検査項目名に対応した画像認識エンジン222に受け渡す。
【0034】
画像認識エンジン222は、連携API部210から取得した画像に基づいて接地線配線状況に対応した保護カバー、および4つの交差部が存在するか否かを判定する認識処理を行う(ステップS114)。このとき、画像認識エンジン222は、保護カバー、および4つの交差部ごとに確信度を算出する。また、画像認識エンジン222は、画像処理ごとに、保護カバー、および4つの交差部の確信度を算出してよい。画像認識エンジン222は、保護カバー、および4つの交差部それぞれの確信度が所定値以上である場合、当該保護カバー、および4つの交差部それぞれが存在すると判定する。画像認識エンジン222は、保護カバー、および4つの交差部の全部が存在するという認識結果である場合(ステップS116:YES)、ステップS120に処理を進める。画像認識エンジン222は、保護カバー、および4つの交差部の全部または一つが存在しないという認識結果である場合(ステップS116:NO)、検査画像を再取得する(ステップS118)。施工検査サーバ装置200は、検査画像を再取得する場合、ユーザ端末装置100に画像を再撮影する要求を送信する。
【0035】
連携API部210は、画像認識エンジン222により算出された保護カバー、および4つの交差部それぞれの確信度を比較する(ステップS120)。図9は、検査画像と、検査画像に含まれる保護カバー、交差部(1)、交差部(2)、交差部(3)、および交差部(4)と、確信度との関係を示す図である。連携API部210は、検査画像に保護カバー、交差部(1)、交差部(2)、交差部(3)、および交差部(4)が含まれる場合、検査画像に含まれる保護カバー、交差部(1)、交差部(2)、交差部(3)、および交差部(4)それぞれについて確信度Ca1~Ce1を算出し、確信度Ca1~Ce1の合計値C1を算出する。連携API部210は、検査画像にエッジ処理を施した画像についても、保護カバー、交差部(1)、交差部(2)、交差部(3)、および交差部(4)それぞれについて確信度Ca2~Ce2を算出し、確信度Ca2~Ce2の合計値C2を算出する。連携API部210は、検査画像に明るさ補正処理を施した画像についても、保護カバー、交差部(1)、交差部(2)、交差部(3)、および交差部(4)それぞれについて確信度Ca3~Ce3を算出し、確信度Ca3~Ce3の合計値C3を算出する。
【0036】
連携API部210は、複数の合計値のうち最も高い合計値に対応した画像を用いて、検査項目の判定処理を行う(ステップS122)。なお、検査項目の判定処理については後述する。連携API部210は、検査項目の判定処理の結果として、検査結果をユーザ端末装置100に送信する(ステップS124)。これにより設備工事検査システムは、検査結果をユーザに通知する。
【0037】
以上のように、施工検査サーバ装置200は、接地線の取付工事において、保護カバー、保護カバー上にバンドが取り付けられたことにより形成された交差部の確信度が所定値以上であること、交差部が所定数存在することの条件を満たす場合、接地線配線状況の検査結果が合格であると判定する。
【0038】
なお、ユーザ端末装置100は、バンドの取付総数を入力させる画面を表示し、ユーザの操作に基づいてバンドの取付総数を示す情報を施工検査サーバ装置200に送信してもよい。施工検査サーバ装置200は、ユーザ端末装置100から受信した情報に基づくバンドの総数と、画像認識エンジン222により認識した交差部の総数とが一致することを条件として、検査結果が合格であると判定する。これにより、検査結果の精度を更に向上させることができる。
【0039】
以上説明した実施形態の設備工事検査システムによれば、ユーザ端末装置100から、電柱工事において施工された接地線を撮像した検査画像、および検査項目が接地線であることを示す検査項目情報を取得するAPI部212(取得部)と、検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を保護する保護カバーの確からしさを示す確信度を算出し、確信度に基づいて検査画像に保護カバーが含まれるか否かを認識し、検査画像に基づいて検査対象物としての接地線を固定する固定具と保護カバーとの交差部の確からしさを示す確信度を算出し、確信度に基づいて検査画像に交差部が含まれるか否かを認識する検査対象認識部220と、検査画像に保護カバーおよび交差部が含まれる場合に、保護カバー上に存在する交差部の数が設定数と同じか否かを検査する検査部216と、検査部216による検査の結果をユーザ端末装置100に通知するAPI部212(通知部)と、を備える。この設備工事検査システムによれば、電柱工事において施工された接地線の施工状態を高い精度で検査することができる。
【0040】
なお、各実施形態および変形例について説明したが、一例であってこれらに限られず、例えば、各実施形態や各変形例のうちのいずれかや、各実施形態の一部や各変形例の一部を、他の1または複数の実施形態や他の1または複数の変形例と組み合わせて本発明の一態様を実現させてもよい。
【0041】
なお、本実施形態におけるユーザ端末装置100や施工検査サーバ装置200の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムを、コンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、ユーザ端末装置100や施工検査サーバ装置200に係る上述した種々の処理を行ってもよい。
【0042】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリなどの書き込み可能な不揮発性メモリ、CD-ROMなどの可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置のことをいう。
【0043】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic
Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置などに格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0044】
ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネットなどのネットワーク(通信網)や電話回線などの通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0045】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。
【符号の説明】
【0046】
100 ユーザ端末装置
120 ガイド枠画像
122 マスク画像
200 施工検査サーバ装置
210 連携API部
212 API部
214 画像処理部
216 検査部
218 制御部
220 検査対象認識部
222 画像認識エンジン
図1
図2
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図8
図9