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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160064
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】蓋体ユニット及び蓋体交換方法
(51)【国際特許分類】
   E03B 9/10 20060101AFI20231026BHJP
   H02G 9/04 20060101ALI20231026BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
E03B9/10 B
H02G9/04
H05K5/03 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070125
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000201582
【氏名又は名称】前澤化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】庭野 資士
【テーマコード(参考)】
4E360
5G369
【Fターム(参考)】
4E360AB08
4E360AB09
4E360AB64
4E360AD20
4E360BA08
4E360BB02
4E360BB17
4E360BB22
4E360BC04
4E360BC20
4E360BD05
4E360EA18
4E360EB03
4E360EB10
4E360EC03
4E360EC04
4E360EC05
4E360EC11
4E360EC12
4E360EC13
4E360EC14
4E360ED02
4E360ED03
4E360ED04
4E360ED07
4E360ED13
4E360EE02
4E360GA02
4E360GA31
4E360GA46
4E360GA49
4E360GA53
4E360GB25
4E360GB99
4E360GC03
4E360GC08
4E360GC20
5G369AA19
5G369BA03
5G369BA06
5G369DB01
5G369DB05
5G369DD04
(57)【要約】
【課題】既設の筐体の内部から出力される電波信号を該筐体の外部に安定して出力させることができる蓋体ユニット及び蓋体交換方法を提供すること。
【解決手段】蓋体ユニット10は、既設の金属製の蓋体載置枠3に取付けられる蓋取付用アダプタ20と、蓋取付用アダプタ20を介して支持される電波透過性の蓋体50と、からなることで、既設の筐体の内部から出力される電波信号を該筐体の外部に安定して出力させることができ、また、既設の金属製の蓋体載置枠3を使用することなく、蓋取付用アダプタ20に予め形成されている載置部に蓋体50を高い精度で容易に設置することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の金属製筐体の開口に形成された蓋体載置部または筐体とは別個に設けられる金属製蓋体載置枠に取付けられる蓋取付用アダプタと、
前記蓋取付用アダプタを介して支持される電波透過性蓋体と、
からなることを特徴とする蓋体ユニット。
【請求項2】
前記蓋取付用アダプタは、
前記電波透過性蓋体を載置可能な載置部と、
前記電波透過性蓋体を回動可能に支持する回動軸と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の蓋体ユニット。
【請求項3】
前記蓋取付用アダプタは、前記既設の金属製筐体または前記金属製蓋体載置枠に形成された突部を収容可能な切欠部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の蓋体ユニット。
【請求項4】
前記蓋取付用アダプタは、金属材により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓋体ユニット。
【請求項5】
既設の金属製筐体の開口に形成された蓋体載置部または筐体とは別個に設けられる金属製蓋体載置枠に載置された金属製蓋体を交換する蓋体交換方法であって、
前記蓋体載置部または前記金属製蓋体載置枠から前記金属製蓋体を取外す工程と、
前記蓋体載置部または前記金属製蓋体載置枠に、蓋取付用アダプタを取付ける工程と、
前記蓋取付用アダプタに電波透過性蓋体を取付ける工程と、
を含むことを特徴とする蓋体交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量水器等を収容する筐体の開口部に取り付けられる蓋体ユニット及び蓋体交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道の検針方法として、水道メータと呼ばれる量水器により計測された使用量データを無線通信により水道事業者に送信することができるスマートメーターを用いた方法が考案されている。
【0003】
量水器は、一般的に、筐体と、該筐体の上面開口に形成された蓋体載置部に載置される蓋体と、からなる筐体装置や、筐体と、該筐体の上面開口に一体に固定された蓋体載置枠と、該蓋体載置枠に載置される蓋体と、からなる筐体装置の内部に収容されているため、スマートメーターを用いて検針する場合、使用量データを無線信号により送信するための無線通信ユニットを筐体装置の内部に設置する必要があるが、例えば、蓋体が金属製である場合、無線通信ユニットから出力される電波が金属製の蓋体にて反射することにより、無線通信が阻害されてしまう。
【0004】
そこで、金属製の蓋体に複数の穴を設け、これら複数の穴から電波を通すようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-90204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既存の筐体における金属製蓋体を上記特許文献1に記載の筐体装置のような複数の穴を設けた金属製蓋に交換することも考えられるが、既設の筐体においては、無線通信ユニットから出力される電波信号を受信する受信機の設置位置と、筐体の設置位置との距離や角度等の関係が様々となるため、筐体の内部に設けられる無線通信ユニットから出力される電波信号を該筐体の外部に安定して出力させることが困難である。
【0007】
また、既設の筐体における金属製蓋体に対し穴を設けて電波を通すようにすることも考えられるが、現場で金属製蓋体を加工する必要があるうえに、それによっても電波信号を該筐体の外部に安定して出力させるのに十分な効果を得られない可能性もある。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、既設の筐体の内部から出力される電波信号を該筐体の外部に安定して出力させることができる蓋体ユニット及び蓋体交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の蓋体ユニットは、
既設の金属製筐体の開口に形成された蓋体載置部または筐体とは別個に設けられる金属製蓋体載置枠に取付けられる蓋取付用アダプタと、
前記蓋取付用アダプタを介して支持される電波透過性蓋体と、
からなることを特徴としている。
この特徴によれば、電波透過性蓋体を用いることで、既設の筐体の内部から出力される電波信号を該筐体の外部に安定して出力させることができる。また、既設の金属製筐体の開口に形成された蓋体載置部や金属製蓋体載置枠を使用することなく、蓋取付用アダプタに電波透過性蓋体を容易に設置することができる。
【0010】
前記蓋取付用アダプタは、
前記電波透過性蓋体を載置可能な載置部と、
前記電波透過性蓋体を回動可能に支持する回動軸と、を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、蓋取付用アダプタに、電波透過性蓋体を高い精度で容易に、回動可能に設置することができる。
【0011】
前記蓋取付用アダプタは、前記既設の金属製筐体または前記金属製蓋体載置枠に形成された突部を収容可能な切欠部を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、既設の金属製筐体または金属製蓋体載置枠に突設された突部を除去することなく、蓋取付用アダプタを容易に取付けることができる。
【0012】
前記蓋取付用アダプタは、金属材により形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、電波透過性蓋体を強固な蓋取付用アダプタにより安定して支持できる。
【0013】
本発明の蓋体交換方法は、
既設の金属製筐体の開口に形成された蓋体載置部または筐体とは別個に設けられる金属製蓋体載置枠に載置された金属製蓋体を交換する蓋体交換方法であって、
前記蓋体載置部または前記金属製蓋体載置枠から前記金属製蓋体を取外す工程と、
前記蓋体載置部または前記金属製蓋体載置枠に、蓋取付用アダプタを取付ける工程と、
前記蓋取付用アダプタに電波透過性蓋体を取付ける工程と、
を含むことを特徴としている。
この特徴によれば、電波透過性蓋体を用いることで、既設の筐体の内部から出力される電波信号を該筐体の外部に安定して出力させることができる。また、既設の金属製筐体の開口に形成された蓋体載置部や金属製蓋体載置枠を使用することなく、蓋取付用アダプタに電波透過性蓋体を容易に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】量水器ボックスが地中に埋設された状態を示す断面図である。
図2】(a)は蓋取付用アダプタを斜め前から見た状態、(b)は斜め後ろから見た状態を示す斜視図である。
図3】蓋取付用アダプタを示す平面図である。
図4】(a)は図3のA-A断面図、(b)は図3のB-B断面図、(c)は図3のC-C断面図である。
図5】(a)は図3のA-A後側拡大断面図、(b)は図3のD-D断面図、(c)は図3のE-E断面図である。
図6】(a)は図3のA-A左側拡大断面図、(b)は図3のF-F断面図、(c)は図3のG-G断面図である。
図7】(a)は図3のB-B右側拡大断面図、(b)は図3のC-C左側拡大断面図、(c)は図3のH-H断面図である。
図8】量水器ボックスの上部を示す断面図である。
図9】(a)~(c)は量水器ボックスの浸水時の作用説明図である。
図10】(a)は既設の筐体装置の上部を示す断面図、(b)は金属製蓋体を取外す工程を示す図である。
図11】(c)、(d)は蓋体ユニットを取付ける工程を示す図である。
図12】(a)は蓋取付用アダプタを示す断面図、(b)、(c)はサイズが異なる既設の筐体装置を示す断面図である。
図13】無線通信ユニットの取付状態を示す図である。
図14】無線通信ユニットの取付状態を示す図である。
図15】変形例1としての取付部材を説明するための図である。
図16】変形例2としての取付部材を説明するための図である。
図17】変形例3としての取付部材を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[形態1]
形態1は、
既設の金属製筐体の開口に形成された蓋体載置部または筐体とは別個に設けられる金属製蓋体載置枠に取付けられる蓋取付用アダプタと、
前記蓋取付用アダプタを介して支持される電波透過性蓋体と、
からなることを特徴としている。
この特徴によれば、電波透過性蓋体を用いることで、既設の筐体の内部から出力される電波信号を該筐体の外部に安定して出力させることができる。また、既設の金属製筐体の開口に形成された蓋体載置部や金属製蓋体載置枠を使用することなく、蓋取付用アダプタに電波透過性蓋体を容易に設置することができる。
【0016】
[形態2]
形態2は、
既設の金属製筐体の開口に形成された蓋体載置部または筐体とは別個に設けられる金属製蓋体載置枠に載置された金属製蓋体を交換する蓋体交換方法であって、
前記蓋体載置部または前記金属製蓋体載置枠から前記金属製蓋体を取外す工程と、
前記蓋体載置部または前記金属製蓋体載置枠に、蓋取付用アダプタを取付ける工程と、
前記蓋取付用アダプタに電波透過性蓋体を取付ける工程と、
を含むことを特徴としている。
この特徴によれば、電波透過性蓋体を用いることで、既設の筐体の内部から出力される電波信号を該筐体の外部に安定して出力させることができる。また、既設の金属製筐体の開口に形成された蓋体載置部や金属製蓋体載置枠を使用することなく、蓋取付用アダプタに電波透過性蓋体を容易に設置することができる。
【0017】
[形態3]
形態3は、形態1または形態2に記載の蓋体ユニットまたは蓋体交換方法であって、
前記蓋取付用アダプタは、
前記電波透過性蓋体を載置可能な載置部と、
前記電波透過性蓋体を回動可能に支持する回動軸と、を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、蓋取付用アダプタに、電波透過性蓋体を高い精度で容易に、回動可能に設置することができる。
【0018】
[形態4]
形態4は、形態1~3のいずれかに記載の蓋体ユニットまたは蓋体交換方法であって、
前記蓋取付用アダプタは、金属材により形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、電波透過性蓋体を強固な蓋取付用アダプタにより安定して支持できる。
【0019】
[形態5]
形態5は、形態1~4のいずれかに記載の蓋体ユニットまたは蓋体交換方法であって、
前記蓋取付用アダプタは、前記既設の金属製筐体または前記金属製蓋体載置枠に形成された突部を収容可能な切欠部を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、既設の金属製筐体または金属製蓋体載置枠に突設された突部を除去することなく、蓋取付用アダプタを容易に取付けることができる。
【0020】
[形態6]
形態6は、形態5に記載の蓋体ユニットまたは蓋体交換方法であって、
前記蓋取付用アダプタは、平面視略四角形状をなし、
前記切欠部は、互いに平行な一対の第1辺各々と、該第1辺に対し直角をなす互いに平行な一対の第2辺各々と、に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、既設の金属製筐体または金属製蓋体載置枠における第1辺と第2辺とのいずれに突部が突設されていても、共通の蓋取付用アダプタを容易に取付けることができる。
【0021】
[形態7]
形態7は、形態1~6のいずれかに記載の蓋体ユニットまたは蓋体交換方法であって、
前記蓋取付用アダプタは金属材により形成され、
前記蓋取付用アダプタには取付孔が形成され、該取付孔に取付けたネジ部材を前記既設の金属製筐体に螺入することで、前記蓋取付用アダプタが前記既設の金属製筐体に取付けられることを特徴としている。
この特徴によれば、蓋取付用アダプタを介して電波透過性蓋体を既設の金属製筐体に安定して載置することができる。
【0022】
[形態8]
形態8は、形態1~7のいずれかに記載の蓋体ユニットまたは蓋体交換方法であって、
前記蓋取付用アダプタは、無線通信ユニットを取付け可能な無線通信ユニット取付部を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、無線通信ユニットを筐体の内部に容易に収容することができる。
【0023】
[形態9]
形態9は、形態1~8のいずれかに記載の蓋体ユニットまたは蓋体交換方法であって、
前記蓋取付用アダプタは、
外方に延設される第1フランジ部と、
前記第1フランジ部よりも下方に設けられ、内方に延設される第2フランジ部と、を有し、
前記第2フランジ部は、前記電波透過性蓋体を載置可能な載置部を有することを特徴としている。
この特徴によれば、蓋取付用アダプタの上面からの電波透過性蓋体の突出を抑制することができる。
【0024】
[形態10]
形態10は、形態9に記載の蓋体ユニットまたは蓋体交換方法であって、
前記第1フランジ部の幅寸法は、前記既設の金属製筐体または前記金属製蓋体載置枠の開口の周縁部の幅寸法よりも長寸であることを特徴としている。
この特徴によれば、開口の大きさが異なる複数の金属製筐体や金属製蓋体載置枠に共通の蓋取付用アダプタを取付けできるため、製造コストを抑制することができる。
【0025】
[形態11]
形態11は、形態9または10に記載の蓋体ユニットまたは蓋体交換方法であって、
前記第2フランジ部は、
前記電波透過性蓋体を支持する載置部と、
前記電波透過性蓋体を支持しない非載置部と、を有することを特徴としている。
この特徴によれば、非載置部により第2フランジ部への土砂の堆積を抑制できる。
【0026】
以下に、本発明に係る蓋体ユニット及び蓋体交換方法の実施形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0027】
本実施例の蓋体ユニット及び蓋体交換方法について、図1図14を参照して説明する。以下、図1を正面側から見て、左右側を蓋体ユニット及び筐体装置の左右側、手前側を蓋体ユニット及び筐体装置の前面側、奥側を蓋体ユニット及び筐体装置の後面側として説明する。
【0028】
図1に示されるように、例えば、宅地等の地中には、量水器ボックス1(メータボックスともいう)が埋設されており、量水器ボックス1の内部には、水道管11の一部と、水道管11に接続された量水器12(水道メータともいう)と、量水器12に連結された止水栓13と、が埋設されている。
【0029】
量水器ボックス1は、上面に平面視略長方形状をなす開口部2aが形成された有底箱状の筐体2と、筐体2の開口部2aに接着剤等を介して一体に固定された鋳鉄製の蓋体載置枠3と、からなる筐体装置と、後述する蓋体ユニット10と、を有している。筐体2は、コンクリート材により側壁及び底壁により有底箱状に形成され、左右の側壁に形成された開口部2b、2bには水道管11が挿通されている。
【0030】
量水器12は、水道の使用量を計測可能であり、筐体2内部に収容された無線通信ユニット15が配線Cにより接続されている。量水器12により計測された使用量データは無線通信ユニット15に送信され、該無線通信ユニット15からは、例えば、無線通信により基地局等に送信され、基地局等から通信回線を通じて水道事業者等のデータ管理サーバに送信されるようになっている。尚、量水器12により計測された使用量データが量水器12から直接無線通信ユニット15に送信される構成でもよいし、量水器12のメータから使用量データを読み取る読取装置(図示略)を量水器12に取り付け、読み取った使用量データを読取装置から直接無線通信ユニット15に送信する構成でもよい。
【0031】
[蓋体ユニット]
図1に示されるように、蓋体ユニット10は、蓋体載置枠3に取付けられる鋳鉄製の蓋取付用アダプタ20と、蓋取付用アダプタ20を介して支持される合成樹脂製の蓋体50と、からなる。蓋体ユニット10は、例えば、後述するように、既設の量水器ボックス1に備え付けられていた金属製蓋体7(図10参照)を取外して合成樹脂製の蓋体50に交換する際に用いられる。
【0032】
[蓋取付用アダプタ]
図2図6に示されるように、蓋取付用アダプタ20は、鋳鉄材により、左右方向に延びる前後一対の長辺部20aと、前後方向に延びる左右一対の短辺部20bと、により、中央に略横長長方形状の開口部20cを有する平面視略四角枠状に形成されている。
【0033】
長辺部20a及び短辺部20bは、外方に向けて略水平に延設される平面視略四角枠状のフランジ部21(第1フランジ部)と、フランジ部21の内周縁から下方に向けて垂下される筒状の第1垂下壁部22と、第1垂下壁部22の下端から内方に向けて延設される中壁部23(第2フランジ部)と、中壁部23の内周縁から下方に向けて垂下される第2垂下壁部24と、第2垂下壁部24の下端から内方に向けて延設される底壁部25と、底壁部25の内周縁から上方に延設される立壁部26と、から構成されている。
【0034】
長辺部20aにおける第1垂下壁部22、中壁部23、第2垂下壁部24、底壁部25及び立壁部26の左右側と、短辺部20bにおける第1垂下壁部22、中壁部23、第2垂下壁部24、底壁部25及び立壁部26の前後側と、の角部には、側方及び下方に開放する切欠部27が形成されている。
【0035】
つまり、各長辺部20a及び各短辺部20bのフランジ部21は、互いに接続され筒状の周壁を構成している一方で、第1垂下壁部22、中壁部23、第2垂下壁部24、底壁部25及び立壁部26は角部の切欠部27を介して分断されている。また、各短辺部20bの第1垂下壁部22の内面後側における切欠部27の上方位置には、左右方向に延びる左右一対の回動軸28が突設されており、蓋体50が軸支可能とされている。
【0036】
図4(b)及び図5(a)~(c)に示されるように、後側の長辺部20aの中壁部23は、蓋体50の端部との接触を避けるために前側の長辺部20aや左右の短辺部20bの中壁部23よりもやや下方に配置されている(図8参照)。中壁部23は、左右方向の中央及び左右側に配置される水平面部23aと、隣り合う水平面部23a間に配置される水平面部23bと、水平面部23a、23bの間に配置される傾斜面部23cと、を有する。
【0037】
図4(c)及び図6(a)~(c)に示されるように、前側の長辺部20aの中壁部23は、左右方向の中央及び左右側に配置される水平面部23dと、水平面部23dの左右側に配置される傾斜面部23eと、を有する。
【0038】
図4(a)及び図7(a)~(c)に示されるように、左右側の短辺部20bの中壁部23は、左右対称に形成されており、前後側に配置される水平面部23fと、前後方向の中央及び前側に配置される傾斜面部23gと、を有する。また、後側の長辺部20aと左右の短辺部20bとの間の切欠部27の上部には、平面視略L字形をなす水平面部23h(図4(a)、(c)参照)が形成されている。
【0039】
このように、中壁部23において、前側の長辺部20aに形成された複数の水平面部23dと、左右側の短辺部20bに形成された複数の水平面部23fと、平面視略L字形をなす水平面部23hとは、閉状態にて蓋体50を載置可能な略水平の載置部を構成している。また、各水平面部23d、23f、23hの間には傾斜面部23e、23gが配置されていることで土や小石等が滑り落ちやすくなるため、蓋体50と水平面部23d、23f、23hとの間に土や小石が堆積して開口部20cを閉鎖できなくなることが抑制されている。
【0040】
図3及び図7(c)に示されるように、フランジ部21における4つの角部には、外側に向けて延設される凹溝部29が平面視放射状に形成されている。凹溝部29の底壁には、長手方向に延びる取付長孔29aが形成されており、蓋取付用アダプタ20を蓋体載置枠3に固定するためのネジ部材N1(図11(d)参照)を取付け可能とされている。凹溝部29は、ネジ部材N1の頭部がフランジ部21の上面より上方に突出しないように、頭部を収容可能な大きさに形成されている。また、フランジ部21の上面には、平面視四角枠状をなす3つの大きさが異なる滑り止め用の凹溝部30が形成されている。
【0041】
図4及び図8に示されるように、フランジ部21は、薄板状であり、かつその周縁が外縁から内方に向かってテーパ状に形成されているため、地面との段差による影響を極力なくすことができる。また、図8に示されるように、蓋体50を載置した際に、蓋体50の上面とフランジ部21の上面とが面一となることで、蓋体50と地面との段差はフランジ部21の厚み分だけに抑えられるため、蓋体50を地面とほぼ同じ高さに配置することができる。
【0042】
図4に示されるように、前側の長辺部20aの第1垂下壁部22の左右側と、後側の長辺部20aの第2垂下壁部24の左右側と、左右側の短辺部20bの第1垂下壁部22の前後側とには、取付孔31が複数個所に形成されており、蓋取付用アダプタ20を蓋体載置枠3に固定するためのネジ部材N2(図11(d)参照)を内側から取付け可能とされている。尚、図5(b)、図6(b)、図7(b)に示されるように、取付孔31の内側には大径部が設けられており、ネジ部材N2の頭部が内側に突出しないように収容可能とされている。また、取付孔31の数や形成位置は上記のものに限定されるものではなく、種々に変更可能である。
【0043】
図2(b)、図6(a)に示されるように、前側の第2垂下壁部24、底壁部25及び立壁部26における左右方向の中央には、下方に開放する切欠部32が形成されており、後述する開放規制具55が挿入可能とされている。
【0044】
また、図5図7に示されるように、長辺部20a及び短辺部20bの第2垂下壁部24、底壁部25及び立壁部26は、それぞれ縦断面視フック状に形成されていることで、後述する取付部材60(図13図14参照)を吊支可能とされている。
【0045】
[蓋体]
蓋体50は、図1及び図8に示されるように、合成樹脂材により、蓋取付用アダプタ20の開口部20cよりもやや小さい平面視略横長長方形状に形成された板状部材からなり、回動軸28を中心とする上方回動により起立する開状態となって開口部20cを開口させる開放位置と、回動軸28を中心とする下方回動により略水平方向に平伏する閉状態となって開口部20cを閉鎖する閉鎖位置と、の間で回動可能とされている。蓋体50は、特に詳細な図示はしないが、開放位置において回動軸28から取り外すことができる一方、蓋体50を回動させることで回動軸28に係止され、回動軸28から取外せない状態となり、閉状態においては蓋体50が蓋取付用アダプタ20と分離しないようになっている。
【0046】
蓋体50は、左右の回動軸28に着脱可能に取付けられた軸受部51と、蓋体50を回動させる際に作業者(検針等を行う作業者)が手指や所定の治具を挿入して引っ掛けるための引掛用開口部52と、を有している。軸受部51は、蓋体50の後側における左右両端部にそれぞれ形成されている。引掛用開口部52は、蓋体50の前側における左右方向中央位置に蓋体50の上下面に貫通するように切欠状に形成されている。
【0047】
蓋体50は、平面視で矩形状をなす板状の蓋本体部53と、この蓋本体部53の閉状態における下面(裏面)の略全面に突設された板状で格子状のリブ部54と、を有している。蓋体50は、集中豪雨等に起因する大量の増水によって筐体2内が浸水すると、蓋体50が不測に開放したり、急激な浸水の場合、筐体2内の空気圧や水圧によっても不測に開放したりする虞があるため、開放規制具55が設けられている。
【0048】
開放規制具55は、通常時には筐体2に対する蓋体50の上方回動及び下方回動を許容するが、冠水時には筐体2との係合により筐体2に対する蓋体50の上方回動を規制して当該蓋体50の閉状態を維持するものである。簡単に説明すると、図8及び図9に示されるように、開放規制具55は、蓋体50の下面前側における左右方向の中央位置に、左右方向を向く軸部材56を中心として回動可能に設けられている。開放規制具55は、大きい浮力を生じる発泡樹脂等の素材を成形してなる浮力材を有し、後端側は軸部材56に軸支され、前端側には、切欠部32の上端縁32a(被係止部)に係止可能な係止部57が設けられている。
【0049】
図9(a)に示されるように、通常時において、開放規制具55は、自重により前端側が下垂して前低後高の傾斜状の許容状態となっている。この許容状態において筐体2内が浸水し、筐体2内の水位が上昇してくると、図9(b)に示されるように、図示しない浮力材に生じる浮力により前端側が押し上げられ、後端側を支点として傾斜位置から水平位置まで回動する。
【0050】
その後、さらに筐体2内の水位が上昇すると、図9(c)に示すように、浮力により開放規制具55全体が水位の上昇に伴って押し上げられ、水平位置の水平状態を保ったまま上方に向かって垂直方向に移動し、筐体2内が完全に浸水するよりも前に、係止部57が切欠部32の上端縁32aに係止されて規制状態となる。その結果、量水器ボックス1が冠水した状態では、蓋体50の上方回動が規制されるため、蓋体50の閉状態が維持される。また、閉状態においては蓋体50が筐体2と分離することはないため、規制状態となることで蓋体50が筐体2から分離することも規制される。
【0051】
一方、筐体2内の水が図示しない挿通孔や水抜き孔から抜けて水位が下降すると、開放規制具55は水平状態を保ったまま下方に向かって垂直に移動した後、前端側が後端側を支点として下方に回動可能となり、さらに水位が下降すると後端側を支点として水平位置から自重で傾斜した位置となるまで下方に回動することで、再び許容状態となって蓋体50の開放が可能な状態となる。
【0052】
[蓋体交換方法]
次に、既設の量水器ボックス1に取付けられている金属製蓋体7を、合成樹脂製の蓋体50に交換する方法について、図10図12に基づいて説明する。
【0053】
まず、既設の量水器ボックス1について説明すると、図10(a)に示されるように、筐体2における開口部2aの周縁上端部に固定された蓋体載置枠3は、筐体2の上端面に載置されるフランジ部4と、フランジ部4から下方に垂下される垂下壁部5と、を有し、鋳鉄材により平面視略四角枠状に形成されている。垂下壁部5における前壁5a(図示略)、後壁5b及び左側壁5cの内面上部には、内側に向けて突出する蓋体載置部6が周方向に向けて延設され、平面視略逆コ字形に形成されている。
【0054】
図10(a)に示されるように、前壁5a(図示略)と後壁5bの内面右側には、前後方向に水平に延設される前後一対の回動軸8が突設されている。よって、金属製蓋体7は、下面右前後側に形成された前後一対の軸受部9が回動軸8に軸支されることにより、右側辺を中心として蓋体載置枠3の開口部3aを開閉可能に支持される。また、金属製蓋体7は、閉鎖位置において蓋体載置部6上に載置される。また、図10(b)に示されるように、金属製蓋体7は、上方に引き出すことにより蓋体載置枠3から取外すことができるようになっている。尚、筐体2の上面及び閉状態の金属製蓋体7の上面は、宅地等の地表面と略同一面上に位置する。
【0055】
図10(a)に示されるように、筐体2における開口部2aの周縁上端部に固定された蓋体載置枠3に回動軸8を介して回動可能に支持されている金属製蓋体7を、図10(b)に示されるように、上方に引き出して蓋体載置枠3から取外す。蓋体載置部6を有する蓋体載置枠3は、筐体2の上部に固定されているため除去せずに残しておく。
【0056】
次いで、図11(c)に示されるように、蓋取付用アダプタ20を、長辺部20a及び短辺部20bの第1垂下壁部22、中壁部23、第2垂下壁部24、底壁部25及び立壁部26を下方に向けた状態で、蓋体載置枠3の上方から下降させる。
【0057】
そして、図11(d)に示されるように、蓋体載置枠3の開口部3a内に、蓋取付用アダプタ20におけるフランジ部21より下方の第1垂下壁部22、中壁部23、第2垂下壁部24、底壁部25及び立壁部26からなる筒状部を挿入し、フランジ部21を、蓋体載置枠3のフランジ部4の上面に載置することで、蓋取付用アダプタ20が蓋体載置枠3の開口部3aに支持される。
【0058】
また、蓋体載置枠3の垂下壁部5の内面には、平面視略コ字形の蓋体載置部6と、回動軸8とが突設されているが、蓋取付用アダプタ20の第1垂下壁部22、中壁部23、第2垂下壁部24、底壁部25及び立壁部26からなる筒状部が蓋体載置部6の内側に挿入されることで、開口部3aの略中央位置に蓋取付用アダプタ20が配置される。また、長辺部20aと短辺部20bとの角部には切欠部27が形成されていることで、回動軸8の突出長さ寸法が蓋体載置部6の突出長さ寸法よりも長寸の場合でも回動軸8が切欠部27内に収容される。
【0059】
このように、蓋取付用アダプタ20の第1垂下壁部22、中壁部23、第2垂下壁部24、底壁部25及び立壁部26からなる筒状部を開口部3a内に挿入する際に、蓋体載置枠3の垂下壁部5の内面に突設された蓋体載置部6や回動軸8が接触することを回避できるため、回動軸8を切除したりすることなく、蓋取付用アダプタ20を開口部3a内に嵌め込むことができる。
【0060】
ところで、このような量水器ボックスは、各自治体によってサイズが異なる場合がある。例えば、図12(b)に示されるように、長辺部の長さが長さ寸法L11であり、開口部3aの長辺部における蓋体載置部6の内側の長さが長さ寸法L12であり、フランジ部4の突出方向の長さが長さ寸法L13である蓋体載置枠3Aや、図12(c)に示されるように、蓋体載置枠3Bの長辺部の長さ寸法がL11よりも長寸の長さ寸法L21であり、開口部3aの長辺部における蓋体載置部6の内側の長さ寸法がL12よりも長寸の長さ寸法L22であり、フランジ部4の突出方向の長さ寸法がL13よりも長寸の長さ寸法L23の蓋体載置枠3Bなどがある。
【0061】
尚、上記では蓋体載置枠の長辺部の長さ寸法のみを比較しているが、短辺部の各長さ寸法についても、長辺部の各長さ寸法と同じ関係になっている。また、長辺部と短辺部とのうちいずれか一方の寸法は共通で、他方の寸法のみが異なっていてもよい。
【0062】
これに対し、本実施例の蓋取付用アダプタ20にあっては、長辺部20aの長さ寸法L1は蓋体載置枠3A、3Bの長辺部の長さ寸法L11、L21よりも長寸とされ(L1>L21>L11)、蓋取付用アダプタ20の長辺部20aの第1垂下壁部22の長さ寸法L2は、蓋体載置枠3A、3Bの開口部3aの長辺部における蓋体載置部6の内側の長さ寸法L12、L22よりも短寸とされ(L2<L12<L22)、蓋取付用アダプタ20のフランジ部21の長さ寸法L3は、蓋体載置枠3A、3Bのフランジ部4の長さ寸法L13、L23よりも長寸とされている(L3>L23>L13)。
【0063】
つまり、蓋取付用アダプタ20の第1垂下壁部22は、サイズが異なる2種類の蓋体載置枠3A、3Bそれぞれの開口部3a内に挿入可能な短寸の長さ寸法L2を有する一方で、蓋取付用アダプタ20のフランジ部21は、サイズが異なる2種類の蓋体載置枠3A、3Bそれぞれのフランジ部4の上面に載置可能な長寸の長さ寸法L3を有しているため、サイズが異なる2種類の蓋体載置枠3A、3Bに対し共通の蓋取付用アダプタ20を、少なくとも第1垂下壁部22を開口部3a内に挿入した状態でフランジ部21により落下不能に支持することができる。
【0064】
尚、蓋体載置枠のサイズは上記2種類に限定されるものではなく、サイズが異なる3種類以上の蓋体載置枠を有していてもよいが、蓋取付用アダプタ20は、これら複数の蓋体載置枠各々に嵌合可能な共通のサイズを有していることが好ましい。
【0065】
図11(d)に戻って、蓋体載置枠3に支持された蓋取付用アダプタ20の取付位置を調整した後、蓋取付用アダプタ20のフランジ部21の4つの角部に形成された取付長孔29aにネジ部材N1を取付け、取付けたネジ部材N1を蓋体載置枠3のフランジ部4及び筐体2に螺入して固定する。尚、取付長孔29aは長孔であるため、蓋体載置枠3のフランジ部4の突出長さ寸法に合わせて、好適な取付位置に調整して取付けることができる。
【0066】
次いで、蓋取付用アダプタ20に形成された各取付孔31に、ネジ部材N2を内側から取付け、取付けたネジ部材N2を蓋体載置枠3の垂下壁部5及び筐体2に螺入することで、蓋取付用アダプタ20を蓋体載置枠3に固定する。これにより、蓋取付用アダプタ20が筐体2と一体化される。尚、本実施例では、取付長孔29aに取付けたネジ部材N1と、取付孔31に取付けたネジ部材N2と、により蓋取付用アダプタ20を蓋体載置枠3に固定しているが、ネジ部材N1とネジ部材N2とのうちいずれか一方のみで固定してもよい。
【0067】
そして、蓋体載置枠3に固定された蓋取付用アダプタ20に形成された回動軸28に、蓋体50の軸受部51(図8参照)を軸支することで、蓋体50は、蓋取付用アダプタ20を介して開口部20cを開閉可能に支持される。
【0068】
既設の蓋体載置枠3は、長期の使用により錆や経年劣化により変形していたり、鋳鉄製であることで製造上の誤差が生じたりしている場合があるため、このような既設の蓋体載置枠3に形成された回動軸8や蓋体載置部6を使用することなく、また、回動軸8や蓋体載置部6を切除するなど加工を施すことなく、蓋取付用アダプタ20に予め形成されている回動軸28に合成樹脂製の蓋体50を軸支し、蓋体載置部としての水平面部23d、23f、23hに載置することで、既設の蓋体載置枠3に形成された回動軸8や蓋体載置部6に蓋体50を設置するよりも高い精度で容易に設置することができる。
【0069】
また、蓋取付用アダプタ20は、筐体2の上端面に載置される蓋体載置枠3のフランジ部4の上面にフランジ部21が載置されることにより蓋体載置枠3に支持され、フランジ部21以外の第1垂下壁部22、中壁部23、第2垂下壁部24、底壁部25及び立壁部26などは筐体2や蓋体載置枠3に載置されていないことで(図11(d)参照)、蓋取付用アダプタ20に支持された蓋体50に加わった荷重が幅広なフランジ部21を介して分散されるため、蓋体50が安定して支持される。
【0070】
尚、本実施例では、コンクリート製の筐体2の上部に固定される金属製の蓋体載置枠3に蓋取付用アダプタ20を取付けて蓋体50に交換する方法を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、既設の筐体が金属製である場合、上記交換方法と同様に、該金属製筐体の開口に予め一体に形成された蓋体載置部に蓋取付用アダプタ20を取付けて蓋体50に交換してもよい。
【0071】
[無線通信ユニットの取付部材]
図13及び図14に示されるように、蓋取付用アダプタ20の長辺部20a及び短辺部20bの第2垂下壁部24、底壁部25及び立壁部26は、それぞれ縦断面略上向きフック状に形成され、長手方向に向けて延設されている。取付部材60は、無線通信ユニット15を蓋取付用アダプタ20に取付けるためのものであり、上端部に下向きフック状のフック部61が形成されるとともに、下端部に下向きフック状の保持部62が形成された合成樹脂製の板状部材からなる。
【0072】
本実施例では、2つの取付部材60それぞれの保持部62に、無線通信ユニット15の左右側下部を載置してネジ部材N3で固定し、取付部材60のフック部61を立壁部26に上方から係止することで、蓋取付用アダプタ20に無線通信ユニット15を吊支することができる。尚、本実施例では、2つの取付部材60を用いて蓋取付用アダプタ20に無線通信ユニット15を吊支したが、1個または3個以上の取付部材60を用いて蓋取付用アダプタ20に無線通信ユニット15を吊支してもよい。
【0073】
また、取付部材60を蓋取付用アダプタ20に形成された立壁部26に吊支することで、既設の筐体2や蓋体載置枠3を加工したりすることなく、無線通信ユニット15を水平面部23d、23f、23hの近傍、つまり、無線通信が阻害されにくい蓋体50の近傍に配置することができる。
【0074】
また、立壁部26は、左右方向、つまり、水道管11に沿って延設されていることで、無線通信ユニット15を立壁部26に吊支した状態で左右方向にスライド移動させることができるため、左右方向の位置調整を容易に行うことができる。よって、例えば、図14に示されるように、量水器12や止水栓13の配置位置などに応じて左右方向の位置を調整したり、無線通信が阻害されにくい位置に調整したりすることができる。
【0075】
また、本実施例では、取付部材60のフック部61を後側の立壁部26に吊支しているが、例えば、前側、左側及び右側のうちいずれかの立壁部26に吊支して無線通信ユニット15を配置してもよい。
【0076】
また、2つの取付部材60における保持部62の後面には、配線収容部63が設けられている。配線収容部63は、上向きL字形のフック63aと、フック63aの下方位置に配置される下向きL字形のフック63bとからなり、図13に示されるように、量水器12と無線通信ユニット15とを接続する配線Cのうち余剰な部分を、2つの取付部材60のうち一方のフック63a、63bに巻回して収容できるようになっている。尚、2つの取付部材60それぞれのフック63a、63bに配線Cを巻回してもよいし、2つの取付部材60の上方のフック63a、または下方のフック63bに掛け回して配線Cを巻回してもよい。
【0077】
また、上記のようなフック63a、63bに配線Cを巻回するのではなく、例えば、特に図示しないが、蓋取付用アダプタ20の所定箇所に余剰な配線Cを収容可能な配線ダクト等を設け、該配線ダクトに配線Cを収容するようにしてもよい。
【0078】
[作用効果]
以上説明したように、本発明の実施例としての蓋体ユニット10は、既設の金属製の蓋体載置枠3に取付けられる蓋取付用アダプタ20と、蓋取付用アダプタ20を介して支持される合成樹脂製、つまり、電波透過性の蓋体50と、からなる。これによれば、電波透過性の蓋体50を用いることで、既設の金属製蓋体7を、穴が設けられた別の金属製蓋体に交換したり、既設の金属製蓋体7を加工して穴を設ける場合に比較して既設の筐体2の内部に設けられた無線通信ユニット15から出力される電波信号を該筐体2の外部に安定して出力させることができる。また、既設の金属製蓋体7に穴を設ける等の加工を加える作業の必要がなく、既設の金属製の蓋体載置枠3に対して蓋取付用アダプタ20を取り付けるといった簡単な作業で済むため、現場での設置作業が容易となる。さらに、既設の金属製の蓋体載置枠3を使用することなく、蓋取付用アダプタ20に予め形成されている水平面部23d、23f、23hに蓋体50を高い精度で容易に設置することができる。
【0079】
また、蓋取付用アダプタ20は、蓋体50を載置可能な水平面部23d、23f、23hと、蓋体50を回動可能に支持する回動軸28と、を備えることで、蓋取付用アダプタ20に、蓋体50を高い精度で容易に、回動可能に設置することができる。
【0080】
また、蓋取付用アダプタ20は、蓋体載置枠3に形成された回動軸8を収容可能な切欠部27を備えることで、蓋体載置枠3に突設された回動軸8を除去することなく、蓋取付用アダプタ20を容易に取付けることができる。
【0081】
また、蓋取付用アダプタ20は、金属材により形成されていることで、蓋体50を強固な金属製の蓋取付用アダプタ20により安定して支持できる。
【0082】
また、蓋体載置枠3に載置された金属製蓋体7を交換する蓋体交換方法であって、蓋体載置枠3から金属製蓋体7を取外す工程と、蓋体載置枠3に、蓋取付用アダプタ20を取付ける工程と、蓋取付用アダプタ20に合成樹脂製の蓋体50を載置する工程と、を含む。これによれば、既設の金属製蓋体7を電波透過性の蓋体50に交換することで、既設の金属製蓋体7を、穴が設けられた別の金属製蓋体に交換したり、既設の金属製蓋体7を加工して穴を設ける場合に比較して既設の筐体2の内部に設けられた無線通信ユニット15から出力される電波信号を該筐体2の外部に安定して出力させることができる。また、既設の金属製蓋体7に穴を設ける等の加工を加える作業の必要がなく、既設の金属製の蓋体載置枠3に対して蓋取付用アダプタ20を取り付けるといった簡単な作業で済むため、現場での設置作業が容易となる。さらに、既設の金属製の蓋体載置枠3を使用することなく、蓋取付用アダプタ20に予め形成されている水平面部23d、23f、23hに蓋体50を高い精度で容易に設置することができる。
【0083】
また、蓋取付用アダプタ20は、平面視略四角形状をなし、切欠部27は、互いに平行な一対の長辺部20a各々と、該第1辺に対し直角をなす互いに平行な一対の短辺部20b各々と、に形成されている。これによれば、蓋体載置枠3における長辺部20aと短辺部20bとのいずれに回動軸8が突設されている場合でも、共通の蓋取付用アダプタ20を容易に取付けることができる。
【0084】
また、蓋取付用アダプタ20は金属材により形成され、蓋取付用アダプタ20には取付孔31が形成され、該取付孔31に取付けたネジ部材N2を筐体2に螺入することで、蓋取付用アダプタ20が筐体2に取付けられる。これによれば、蓋取付用アダプタ20を介して蓋体50を筐体2に安定して載置することができる。
【0085】
また、蓋取付用アダプタ20は、無線通信ユニット15を取付け可能な取付部材60、160、260、360を備えることで、無線通信ユニット15を筐体2の内部に容易に収容することができる。
【0086】
また、蓋取付用アダプタ20は、外方に突出するフランジ部21と、フランジ部21よりも下方に設けられ、内方に突出する中壁部23と、を有し、中壁部23は、蓋体50を載置可能な水平面部23d、23f、23hを有することで、蓋取付用アダプタ20の上面からの蓋体50の突出を抑制することができる。
【0087】
また、フランジ部21の長さ寸法L3は、蓋体載置枠3の開口の周縁部の長さ寸法L13、L23よりも長寸であることで、開口の大きさが異なる複数の蓋体載置枠3に共通の蓋取付用アダプタ20を取付けできるため、製造コストを抑制することができる。
【0088】
また、中壁部23は、蓋体50を支持する水平面部23d、23f、23hと、蓋体50を支持しない傾斜面部23e、23gと、を有することで、傾斜面部23e、23gにより水平面部23d、23f、23hへの土砂の堆積を抑制できる。
【0089】
また、蓋取付用アダプタ20は、既設の筐体2に対する仮止部としての取付長孔29aを有することで、蓋取付用アダプタ20の取付作業を容易に行うことができる。
【0090】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0091】
[変形例1]
次に、本発明の変形例1としての無線通信ユニット15の取付部材160について、図15に基づいて説明する。
【0092】
取付部材160は、合成樹脂材により左側面に開口部160aを有する箱状に形成され、開口部160aから無線通信ユニット15を横向きの状態で収容できるようになっている。上板161の前後方向の長さ寸法は、前後の第2垂下壁部24の離間寸法より若干短寸とされているため、前後の立壁部26の上端に上板161の前後端部を載置することで、無線通信ユニット15を略水平に支持することができるようになっている。
【0093】
また、上板161の前後端には、下向きに屈曲する屈曲片162が形成されており、第2垂下壁部24と底壁部25と立壁部26とにより形成された溝部に屈曲片162が差し込まれることで、上板161の前後端部の立壁部26からの逸脱が防止されるとともに、左右方向へスライド移動可能に案内される。
【0094】
このように、取付部材160は、無線通信ユニット15を量水器12の上方位置であって蓋体50の近傍位置に配置することができるので、外部との無線通信が阻害されにくいとともに、浸水時に水につかりにくくなる。
【0095】
尚、本実施例では、上板161の前後端部を前後の立壁部26の上端に載置することで無線通信ユニット15を略水平に支持していたが、上板161の左右端部を左右の立壁部26の上端に載置することで無線通信ユニット15を略水平に支持してもよい。この場合、無線通信ユニット15は前後方向にスライド移動可能となる。
【0096】
[変形例2]
次に、本発明の変形例2としての無線通信ユニット15の取付部材260について、図16に基づいて説明する。
【0097】
取付部材260は、下端部に無線通信ユニット15の保持部262が形成された合成樹脂製の板状部材からなる。上端部には、左右方向を向く回動軸261を介して取付板263が取付けられており、取付板263がネジ部材N4により第2垂下壁部24に固定されることで、第2垂下壁部24に対し回動軸261を中心として回動可能とされている。
【0098】
よって、取付部材260は、第2垂下壁部24に対し、取付部材260の保持部262に保持された無線通信ユニット15が起立する第1位置(図16中実線位置)と、無線通信ユニット15が倒伏する第2位置(図16中2点鎖線位置)との間で回動可能に支持される。尚、第2位置においては、図示しない保持機構により回動が規制できるようになっていることが好ましい。
【0099】
[変形例3]
次に、本発明の変形例3としての無線通信ユニット15の取付部材360について、図17に基づいて説明する。
【0100】
取付部材360は、下端部に無線通信ユニット15の保持部362が形成された合成樹脂製の板状部材からなり、上端部は、ネジ部材N5により第2垂下壁部24に取付けられている。このように、取付部材360は、第2垂下壁部24に固定されてもよい。尚、特に詳細な図示はしないが、第2垂下壁部24に、ネジ部材N5が螺入されるネジ孔を左右方向に複数形成し、複数のうちいずれかのネジ孔に選択的に取付できるようにすることで、取付部材360の左右方向の取付位置を変更可能としてもよい。
【0101】
[その他の変形例]
また、前記実施例では、既設の筐体装置の一例として、コンクリート製の筐体2と筐体2とは別個に該筐体2の上部に固定される金属製の蓋体載置枠3と、からなる筐体装置を適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、筐体2は金属製であってもよいし、蓋体載置枠3は合成樹脂製であってもよい。また、筐体装置は、既設の金属製筐体の開口に蓋体を載置可能な載置部が予め一体に形成されているものであってもよく、この場合、金属製筐体の開口に、蓋取付用アダプタ20を介して蓋体50を支持すればよい。
【0102】
また、前記実施例では、電波透過性蓋体の一例として、電波を透過可能な合成樹脂材にて形成された蓋体50を適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電波透過性蓋体は、電波を透過可能に構成されているものであれば材質等は限定されるものではなく、種々に変更可能である。
【0103】
また、前記実施例では、蓋取付用アダプタ20は、蓋体50を回動可能に軸支するための回動軸28が形成されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも蓋取付用アダプタ20の開口部20cを閉鎖可能に蓋体50を支持できるものであれば、必ずしも載置部(例えば、水平面部23d、23f、23hなど)や回動軸28は設けられていなくてもよい。
【0104】
また、前記実施例では、蓋取付用アダプタ20は、既設の蓋体載置枠3に突設された回動軸8を収容可能な切欠部27を備える形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、既設の蓋体載置枠3に突設された蓋体載置部6を収容可能な切欠部等を備えていてもよい。
【0105】
さらに、切欠部27は、長辺部20aと短辺部20bとの角部にそれぞれ形成されていたが、既存の筐体装置における突部(例えば、回動軸や蓋体載置部)の形成位置に対応する箇所に切欠部が設けられていればよい。例えば、長辺部20aにおける長手方向の一端側に切欠部が設けられている第1タイプと、短辺部20bにおける長手方向の一端側に切欠部が設けられている第2タイプと、の2種類の蓋取付用アダプタを用意しておけば、回動軸が長辺部20aと短辺部20bのいずれに設けられていても取付けることが可能となる。
【0106】
また、前記実施例では、蓋取付用アダプタ20は金属材からなる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、蓋取付用アダプタ20は合成樹脂材など他の素材にて構成されていてもよい。
【0107】
また、前記実施例では、蓋体載置枠3に載置された金属製蓋体7を蓋体50に交換する工程において、蓋取付用アダプタ20を蓋体載置枠3に取付けて固定した後、蓋取付用アダプタ20に蓋体50を取付ける形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、予め蓋取付用アダプタ20に蓋体50を取付け、蓋体50が一体になっている蓋取付用アダプタ20を蓋体載置枠3に取付けて固定するようにしてもよい。
【0108】
また、前記実施例では、無線通信ユニット15を蓋取付用アダプタ20に取付けるための取付部材60が、蓋取付用アダプタ20の中壁部23よりも下方に設けられた立壁部26に吊支される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、蓋体50の載置部である水平面部23d、23f、23hよりも上方(例えば、第1垂下壁部22など)に取付けられてもよいし、筐体2に取付けられてもよい。また、蓋取付用アダプタ20は、少なくとも水平面部23d、23f、23hを有する中壁部23が設けられていれば、中壁部23より下方の部分は必ずしも設けられていなくてもよい。
【0109】
また、前記実施例では、蓋取付用アダプタ20は、ネジ部材N1、N2により蓋体載置枠3に固定される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特に図示しないが、例えば、蓋取付用アダプタ20に弾性係止部を下方に向けて延設し、蓋取付用アダプタ20を蓋体載置枠3に上方から嵌合したときに、弾性係止部が蓋体載置枠3に係止されることで、蓋取付用アダプタ20が蓋体載置枠3に取付けられるようにしてもよい。
【0110】
また、前記実施例では、蓋取付用アダプタ20を蓋体載置枠3にネジ部材N1とネジ部材N2とにより固定する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ネジ止め以外の方法(例えば、係止など)で蓋取付用アダプタ20を蓋体載置枠3に固定してもよい。また、蓋取付用アダプタ20を蓋体載置枠3に固定する前に、蓋取付用アダプタ20を粘着材や係止部等を用いて仮止めした状態で蓋体載置枠3に固定するようにしてもよい。
【0111】
また、前記実施例では、無線通信ユニット15の取付部材として、取付部材60、160、260、360を適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、使用量データ等の無線通信を行うための無線通信ユニット15だけでなく、他の機器がある場合はこれらの機器等の取付部材や取付部が設けられていてもよい。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態及びその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 量水器ボックス
2 筐体
3 蓋体載置枠
6 蓋体載置部(金属製蓋体載置枠、突部)
7 金属製蓋体
8 回動軸(突部)
10 蓋体ユニット
11 水道管
12 量水器
13 止水栓
15 無線通信ユニット
20 蓋取付用アダプタ
20a 長辺部(第1辺)
20b 短辺部(第2辺)
20c 開口部
21 フランジ部(第1フランジ部)
22 第1垂下壁部
23 中壁部(第2フランジ部)
23d、23f、23h 水平面部(蓋体載置部)
23e、23g 傾斜面部(非載置部)
26 立壁部(無線通信ユニット取付部)
27 切欠部
28 回動軸
29a 取付長孔(仮止部)
31 取付孔
50 蓋体(電波透過性蓋体)
55 開放規制具
60、160、260、360 取付部材
C 配線
図1
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