(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160070
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】払拭装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20231026BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B41J2/165 301
B41J2/01 451
B41J2/165 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070133
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】長谷 貴之
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA24
2C056EB24
2C056EB29
2C056EC23
2C056EC28
2C056JB08
(57)【要約】
【課題】払拭部材の当接の制御が複雑化することを抑え、コストの増加を抑えながら、払拭部材の当接圧力を適切に制御できる払拭装置を提供する。
【解決手段】液体吐出ヘッド101のノズル面101aに当接可能であり、前記ノズル面に対して相対移動して前記ノズル面を払拭する払拭部材22と、前記払拭部材が前記ノズル面に当接する方向又は前記ノズル面から離間する方向に、前記払拭部材を移動させる払拭部材移動手段と、を備え、前記払拭部材移動手段は、駆動源26と、該駆動源と前記払拭部材の間に設けられたトルクリミッタとを有し、前記トルクリミッタ24は、前記払拭部材が前記ノズル面に当接する際に、所定の値を超えるトルクが生じた場合、前記払拭部材への駆動力を遮断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ヘッドのノズル面に当接可能であり、前記ノズル面に対して相対移動して前記ノズル面を払拭する払拭部材と、
前記払拭部材が前記ノズル面に当接する方向又は前記ノズル面から離間する方向に、前記払拭部材を移動させる払拭部材移動手段と、を備え、
前記払拭部材移動手段は、駆動源と、該駆動源と前記払拭部材の間に設けられたトルクリミッタとを有し、
前記トルクリミッタは、前記払拭部材が前記ノズル面に当接する際に、所定の値を超えるトルクが生じた場合、前記払拭部材への駆動力を遮断する
ことを特徴とする払拭装置。
【請求項2】
前記払拭部材の前記ノズル面に対する当接圧力は、前記トルクリミッタから前記払拭部材に伝達されるトルクの上限値によって定まる
ことを特徴とする請求項1に記載の払拭装置。
【請求項3】
前記払拭部材移動手段は、前記払拭部材が前記ノズル面に対して相対移動して前記ノズル面を払拭する際、前記払拭部材が前記ノズル面に当接する方向に駆動力をかけ続ける
ことを特徴とする請求項1に記載の払拭装置。
【請求項4】
前記払拭部材は、前記ノズル面を払拭する際の相対移動の方向を回転軸として揺動可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の払拭装置。
【請求項5】
前記払拭部材は、前記ノズル面に対して相対移動が可能な部材であり、可撓性を有する部材又はシート状のウェブである
ことを特徴とする請求項1に記載の払拭装置。
【請求項6】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、請求項1~5のいずれかに記載の払拭装置と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、払拭装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の画像形成装置では、インク滴を安定して吐出するために、ノズルの内部及び近傍を良好な状態に維持する必要がある。ノズルの内部及び近傍を良好な状態に維持するために、インクジェットヘッドのノズル面を払拭部材で払拭する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、複数の液滴吐出ヘッドのノズル面のそれぞれに、走行する単一のワイピングシートを摺接させて拭取り動作させるワイピング装置が開示されている。特許文献1では、シート送り手段と、ノズル面にワイピングシートを相対的に押し付ける複数のシート押付け部材と、各シート押付け部材間において、送り方向下流側の液滴吐出ヘッドに供するワイピングシートをプールする複数のプール手段と、を備えることが開示されている。特許文献1によれば、複数の液滴吐出ヘッドのワイピングを短時間で効率良く行うことができるとしている。
【0004】
ノズル面の払拭(ワイピング)に関しては、払拭部材を所定の当接圧力あるいは食い込み量に制御する必要がある。当接圧力が小さすぎると、ノズル面に付着した汚れを十分に払拭できない。一方、当接圧力が大きすぎると、払拭によりノズル面及び払拭部材の劣化を促進させてしまう。
【0005】
これに対し、払拭部材の当接圧力を制御するために、ノズル面に払拭部材を押し付ける際の停止位置を制御する構成が考えられる。しかし、当接圧力は例えばノズル面と払拭部材の相対距離で定まるため、両者の距離のばらつきの他、部品誤差、組付誤差などの影響により当接圧力がばらついてしまう。
【0006】
これに対し、当接圧力を制御する技術として、払拭部材の当接を圧力センサなどで検出することが考えられている。検出された圧力が所定値となった時に払拭部材の駆動を停止することで、払拭部材の停止位置を制御する技術が提案されている。
【0007】
特許文献2には、インクジェットヘッドのノズル面を払拭部材により清掃するノズル面清掃装置が開示されている。特許文献2では、ノズル面と払拭部材とを相対的に昇降させる昇降手段と、払拭部材の当接を検知する検知手段と、払拭部材とノズル面とをノズル面に沿って相対的に移動させる払拭手段と、昇降手段の昇降を停止させ、昇降停止位置において払拭手段による払拭を行わせる制御手段と、を備えることが開示されている。特許文献2によれば、機器毎やメンテナンス毎にかかわらず、常に同じ圧力で安定してインクジェットヘッドのノズル面を払拭することで、吐出安定性を向上させることができるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、圧力センサなどの検知手段を用いて、払拭部材の停止位置を制御する場合、制御が複雑化してしまうという問題がある。また、圧力センサなどの検知手段を用いる場合、部品数の増大などのコスト増加を招いてしまうという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、払拭部材の当接の制御が複雑化することを抑え、コストの増加を抑えながら、払拭部材の当接圧力を適切に制御できる払拭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の払拭装置は、液体吐出ヘッドのノズル面に当接可能であり、前記ノズル面に対して相対移動して前記ノズル面を払拭する払拭部材と、前記払拭部材が前記ノズル面に当接する方向又は前記ノズル面から離間する方向に、前記払拭部材を移動させる払拭部材移動手段と、を備え、前記払拭部材移動手段は、駆動源と、該駆動源と前記払拭部材の間に設けられたトルクリミッタとを有し、前記トルクリミッタは、前記払拭部材が前記ノズル面に当接する際に、所定の値を超えるトルクが生じた場合、前記払拭部材への駆動力を遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、払拭部材の当接の制御が複雑化することを抑え、コストの増加を抑えながら、払拭部材の当接圧力を適切に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す要部概略図であり、払拭部材がノズル面に当接していない状態の例を示す概略図である。
【
図2】本発明に係る画像形成装置の一例を示す要部概略図であり、払拭部材がノズル面に当接した状態の例を示す概略図である。
【
図3】本発明に係る画像形成装置の一例を示す要部概略図であり、払拭部材がノズル面に当接した状態の例を示す他の概略図である。
【
図4】本発明に係る画像形成装置の一例を示す要部概略図であり、払拭部材がノズル面に当接していない状態の例を示す概略図(A)及び払拭部材がノズル面に当接した状態の例を示す概略図(B)である。
【
図5】本発明に係る画像形成装置の他の例を示す要部概略図であり、払拭部材がノズル面に当接していない状態の例を示す概略図(A)及び払拭部材がノズル面に当接した状態の例を示す概略図(B)である。
【
図6】本発明に係る画像形成装置の他の例を示す要部概略図であり、払拭部材がノズル面に当接した状態の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る払拭装置及び画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0014】
本発明の払拭装置は、液体吐出ヘッドのノズル面に当接可能であり、前記ノズル面に対して相対移動して前記ノズル面を払拭する払拭部材と、前記払拭部材が前記ノズル面に当接する方向又は前記ノズル面から離間する方向に、前記払拭部材を移動させる払拭部材移動手段と、を備え、前記払拭部材移動手段は、駆動源と、該駆動源と前記払拭部材の間に設けられたトルクリミッタとを有し、前記トルクリミッタは、前記払拭部材が前記ノズル面に当接する際に、所定の値を超えるトルクが生じた場合、前記払拭部材への駆動力を遮断することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、払拭部材の当接の制御が複雑化することを抑え、コストの増加を抑えながら、払拭部材の当接圧力を適切に制御できる。当接圧力を適切に制御できるため、ノズル面に付着した汚れを十分に払拭できるとともに、払拭によるノズル面及び払拭部材の劣化を抑えることができる。これにより、液体吐出ヘッドのノズル面に対する清掃品質を高めることができ、吐出安定性を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の液体を吐出する装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、本発明の払拭装置と、を備えることを特徴とする。本発明の液体を吐出する装置によれば、上記本発明の効果が得られるとともに、清掃品質や吐出安定性を向上させることができるため、良好な品質の画像を形成することができる。
【0017】
本実施形態において、払拭は、清掃、ワイピングなどと称されてもよい。払拭装置は、清掃装置、ワイピング装置などと称されてもよい。払拭部材移動手段は、払拭部材駆動手段などと称されてもよい。ノズル面は、ヘッドノズル面などと称されてもよい。液体としては、例えばインクが挙げられ、液体吐出ヘッドとしては、例えばインクジェットヘッドが挙げられる。液体吐出ヘッドは、ヘッドなどと称されてもよく、1つであってもよいし、複数であってもよい。液体を吐出する装置は、液体吐出装置、画像形成装置、印刷装置、記録装置などと称されてもよい。
【0018】
図1は、本実施形態の液体を吐出する装置の一例を示す概略図であり、払拭部材がノズル面に当接していない状態を説明する図である。
図2は、本実施形態の液体を吐出する装置の一例を示す他の概略図であり、払拭部材がノズル面に当接している状態を説明する図である。
図3は、本実施形態の液体を吐出する装置の一例を示す他の概略図であり、
図2に示す状態から更に進んだ状態を説明する図である。
【0019】
本実施形態の液体吐出装置は、液体吐出ヘッド101と払拭装置20を有している。払拭装置20は、払拭部材22と、払拭部材移動手段とを備え、必要に応じてその他の部材や手段を備える。
【0020】
払拭部材22は、液体吐出ヘッド101のノズル面101aに当接可能であり、ノズル面101aに対して相対移動してノズル面101aを払拭する。払拭部材22を移動させて払拭してもよいし、液体吐出ヘッド101を移動させて払拭してもよい。払拭方向の一例が
図2中の矢印bで示されている。払拭部材22は、特に制限されるものではないが、例えば支持部材30により支持されている。
【0021】
払拭部材移動手段は、モータ26(駆動源)と、モータ26と払拭部材22の間に設けられたトルクリミッタ24とを有し、その他にも、カム28、ギア32等を有する。モータ26からの駆動力は、トルクリミッタ24を介して伝達される。
【0022】
払拭部材移動手段は、払拭部材22がノズル面101aに当接する方向又はノズル面101aから離間する方向に、払拭部材22を移動させる。払拭部材22がノズル面101aに当接する方向又はノズル面から離間する方向を、
図1中の両矢印aで示している。
【0023】
本例における払拭の一例を説明する。
本例の払拭装置20は、駆動源を有しており、駆動源としては例えばモータ26を用いる。モータ26は、ギア32を回転させ、トルクリミッタ24、カム28を介して支持部材30に駆動力を付与する。モータ26によりギア32が回転し、回転力(トルク)がカム28に伝わる。これにより、カム28が回転し、支持部材30が矢印a方向に昇降する。払拭する際には、支持部材30をノズル面101aに近づけ、払拭部材22をノズル面101aに当接させる(
図2)。そして、例えば払拭装置20が矢印b方向に移動することで、ノズル面101aが払拭部材22により払拭される(
図2及び
図3)。
【0024】
なお、ノズル面101aを払拭するには、ノズル面101aと払拭部材22が相対移動すればよいため、本実施形態はこのような例に限られるものではない。払拭装置20は移動せず、払拭部材22を移動させてもよいし、液体吐出ヘッド101が移動してもよい。また、払拭部材22をノズル面101aに対して相対移動させる駆動源としては、特に制限されるものではなく、例えばモータ26を用いてもよいし、その他の駆動源を用いてもよい。
【0025】
本例におけるモータ26は、払拭部材22を昇降させることに用いられるため、払拭部材昇降モータなどと称されてもよい。
【0026】
本実施形態において、払拭部材移動手段はトルクリミッタ24を有している。払拭装置20は払拭部材移動手段を有しているため、払拭装置20がトルクリミッタ24を有しているともいえる。
【0027】
トルクリミッタ24は、所定の負荷が作用すると駆動力を伝達させないようになっている。トルクリミッタ24は、払拭部材22がノズル面101aに当接する際に、モータ26から払拭部材22への駆動力が所定の値を超える場合、モータ26から払拭部材22への駆動力を遮断する。これにより、払拭部材22の昇降方向における停止位置がトルクリミッタ24により機械的に決定されるようにすることができ、払拭部材22がノズル面101aに当接する際の当接圧力を適切に制御することができる。
【0028】
本実施形態では、トルクリミッタ24によって駆動力が遮断される位置まで払拭部材22はノズル面101aへ押し当てられることになる。そのため、ノズル面101aの位置が誤差などによってばらついてしまっても、所定の当接圧力を付与することができる。
【0029】
また本実施形態では、払拭部材22の当接圧力を制御するために、トルクリミッタを駆動源と払拭部材の間に設けるだけでよい。このため、例えば圧力センサを設ける必要がなく、またセンサ情報のフィードバックを行う必要がない。これにより、払拭部材の当接の制御が複雑化することを抑え、部品数の増大などのコストの増加を抑えることができる。
【0030】
本実施形態において、払拭部材22のノズル面101aに対する当接圧力は、トルクリミッタ24から払拭部材22に伝達されるトルクの上限値によって定まることが好ましい。トルクの上限値は、最大トルクなどと称してもよい。
【0031】
このようにすることで、払拭部材22がノズル面101aに当接した時の当接圧力がトルクリミッタ24の仕様によって定まる所定の圧力になるようにすることができる。またこれにより、払拭部材22の昇降方向に対する停止位置の精度を高める手段を別途設ける必要がなく、装置構成及び制御の簡易化を図りながら、適切な当接圧力で払拭することができる。
【0032】
払拭部材22のノズル面101aに対する当接圧力が、トルクリミッタ24から払拭部材22に伝達されるトルクの上限値によって定まるようにするには、例えば、当接圧力とトルクの関係を事前に測定しておき、適切なトルクリミッタを選定する方法が挙げられる。
【0033】
払拭部材移動手段は、払拭部材22がノズル面101aに対して相対移動してノズル面101aを払拭する際、払拭部材22がノズル面101aに当接する方向に駆動力をかけ続けることが好ましい。これは、払拭部材22により払拭する際、払拭部材22がノズル面101aに当接する方向に駆動源を継続駆動させるなどと言い換えてもよい。
【0034】
本実施形態では、払拭部材22がノズル面101aに当接する際、トルクリミッタ24により払拭部材22への駆動力が所定の値を超える場合、駆動力が遮断される。このため、払拭部材22により払拭する際、払拭部材22がノズル面101aに当接する方向に継続駆動させたとしても、当接圧力が設定値を超えないようにすることができる。一方で、継続駆動させることで、当接圧力が低くならないようにすることができる。このため、払拭部材22の当接圧力を一定にしてノズル面101aを払拭することができる。払拭部材22が適切な当接圧力を維持したままノズル面101aを払拭することができる。
【0035】
このような構成の場合、適切な当接圧力となるような払拭部材22の位置を保持することができる。ここでいう払拭部材22の位置は、払拭部材22の昇降方向における位置である。このような構成であることで、払拭部材22の払拭方向において、相対位置のばらつきがあり、払拭部材22とノズル面101aとの距離が変わる箇所があっても、それに追従した払拭をすることができる。例えばノズル面101aに凹凸があっても、払拭中も駆動し続けるので、凹凸形状に追従して所定の当接圧力を加えながら払拭することができる。
【0036】
本実施形態において、払拭部材22は、ノズル面101aを払拭する際の相対移動の方向を回転軸として揺動可能であることが好ましい。このようにすることで、払拭部材22とノズル面101aとが相対的に傾いていたとしても、ノズル面101aに追従した適切な当接姿勢で払拭することができる。また、ノズル面101aが凹凸を有していたり、傾いていたりしても、狙いの当接圧力で払拭することができる。
【0037】
このように本実施形態では、払拭部材のノズル面との相対的な傾き合わせて揺動することで、払拭部材22の当接姿勢が決定されるようにすることができる。これにより、払拭されない箇所が生じることを抑制でき、拭き残しを抑制し、清掃品質を向上させることができる。
【0038】
図4に一例を示す。
図4(A)は、払拭部材22がノズル面101aに当接していない状態を示す概略図であり、
図4(B)は、払拭部材22がノズル面101aに当接している状態を示す概略図である。
払拭部材22は、払拭方向を回転軸として揺動可能であるため、ノズル面101aが傾いていても払拭部材22がノズル面101aの傾きに合わせて揺動することができる。そのため、ノズル面101aに対して狙いの当接圧力で払拭することができる。
【0039】
なお、図示する例において、払拭方向は例えばY軸方向であり、ノズル面101aは例えばX軸に対して傾いている。また、揺動とあるのは、回転などと称してもよい。
また、
図4では破線cを表示している。この破線cは、
図4(A)における支持部材30の位置から、
図4(B)のように、払拭部材22がノズル面101aに当接する方向に支持部材30を移動させたことを示すために用いている。
【0040】
払拭部材22を揺動可能にする方法としては、適宜選択することができ、例えば図示するように、ばね34を用いるようにしてもよい。これにより、払拭方向(例えばY軸方向)を回転軸として払拭部材22が揺動し、ノズル面101aに当接する。ただし、揺動可能にする方法は、ばね34を用いる方法に限られるものではない。
【0041】
図5に他の例を示す。
図5(A)は、払拭部材22がノズル面101aに当接していない状態を示す概略図であり、
図5(B)は、払拭部材22がノズル面101aに当接している状態を示す概略図である。
【0042】
図5に示す例では、球状のボール部材36を用いている。この場合でも、払拭方向(例えばY軸方向)を回転軸として払拭部材22が揺動でき、払拭部材22が揺動してノズル面101aに当接する。球状のボール部材でなくても、円筒状の部材などであってもよい。ボール部材の大きさは、特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。
【0043】
払拭部材としては、適宜選択することができる。上記の例では、払拭部材として、ノズル面に対して相対移動が可能な部材であり、可撓性を有する部材を用いている。可撓性を有する部材としては、例えば、ワイパーブレード等が挙げられる。
払拭部材としては、この他にも例えば、ノズル面に対して相対移動が可能な部材であり、シート状のウェブを用いることができる。
【0044】
図6に、払拭装置の他の例を示す。この例では、払拭部材としてシート状のウェブ40を用いている。例えば、押し当て部材42によりウェブ40をノズル面101aに押し当てて払拭を行う。特に制限されるものではないが、例えば押し当て部材42は支持部材30と連動して昇降する。ウェブ40は、例えば巻き出しローラ44と巻取りローラ46により巻き出し、巻き取りが行われる。
【0045】
なお、上記の例で説明した構成は、本例でも適用可能である。例えば、ウェブ40を用いた場合でも、ノズル面101aを払拭する際の相対移動の方向を回転軸として揺動可能である。また、ノズル面101aを払拭する際、払拭部材22がノズル面101aに当接する方向に駆動力をかけ続けるようにしてもよい。
【0046】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>液体吐出ヘッドのノズル面に当接可能であり、前記ノズル面に対して相対移動して前記ノズル面を払拭する払拭部材と、
前記払拭部材が前記ノズル面に当接する方向又は前記ノズル面から離間する方向に、前記払拭部材を移動させる払拭部材移動手段と、を備え、
前記払拭部材移動手段は、駆動源と、該駆動源と前記払拭部材の間に設けられたトルクリミッタとを有し、
前記トルクリミッタは、前記払拭部材が前記ノズル面に当接する際に、所定の値を超えるトルクが生じた場合、前記払拭部材への駆動力を遮断する
ことを特徴とする払拭装置。
<2>前記払拭部材の前記ノズル面に対する当接圧力は、前記トルクリミッタから前記払拭部材に伝達されるトルクの上限値によって定まる
ことを特徴とする<1>に記載の払拭装置。
<3>前記払拭部材移動手段は、前記払拭部材が前記ノズル面に対して相対移動して前記ノズル面を払拭する際、前記払拭部材が前記ノズル面に当接する方向に駆動力をかけ続ける
ことを特徴とする<1>又は<2>に記載の払拭装置。
<4>前記払拭部材は、前記ノズル面を払拭する際の相対移動の方向を回転軸として揺動可能である
ことを特徴とする<1>から<3>のいずれかに記載の払拭装置。
<5>前記払拭部材は、前記ノズル面に対して相対移動が可能な部材であり、可撓性を有する部材又はシート状のウェブである
ことを特徴とする<1>から<4>のいずれかに記載の払拭装置。
<6>液体を吐出する液体吐出ヘッドと、<1>から<5>のいずれかに記載の払拭装置と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【符号の説明】
【0047】
22 払拭部材
24 トルクリミッタ
26 モータ
28 カム
30 支持部材
32 ギア
34 ばね
36 ボール部材
40 ウェブ
42 押し当て部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特開2004-138713号公報
【特許文献2】特開2013-173265号公報