(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160075
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】バブラー用チューブ及びバブラー
(51)【国際特許分類】
F16L 11/12 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
F16L11/12 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070142
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000211156
【氏名又は名称】中興化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】菅澤 淳
(72)【発明者】
【氏名】松本 健吾
(72)【発明者】
【氏名】久保川 勝彦
【テーマコード(参考)】
3H111
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA15
3H111CA13
3H111CB14
3H111CB25
3H111DB25
(57)【要約】
【課題】耐薬品性及び耐熱性に優れると共に、設置の自由度が高いバブラーを実現可能なバブラー用チューブを提供すること。
【解決手段】実施形態によると、バブラー用チューブが提供される。バブラー用チューブは、少なくとも一部が多孔質構造であり、ポリテトラフルオロエチレンを含む第1チューブと、非多孔質構造を有しており、フッ素樹脂を含む第2チューブとを備える。第2チューブの一端は、第1チューブの一端に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が多孔質構造であり、ポリテトラフルオロエチレンを含む第1チューブと、
非多孔質構造を有しており、フッ素樹脂を含む第2チューブとを備え、
前記第2チューブの一端は、前記第1チューブの一端に接続されているバブラー用チューブ。
【請求項2】
前記第1チューブの外周面の一部は、前記第2チューブの内周面の一部と対向しており、
前記第1チューブの前記外周面と前記第2チューブの前記内周面との間に介在する中間層を更に含む請求項1に記載のバブラー用チューブ。
【請求項3】
内周面及び外周面を有する第3チューブを更に備え、
前記第1チューブは、前記第3チューブの前記外周面の少なくとも一部を被覆すると共に、前記第1チューブの前記一端及び他端において、前記第1チューブの内周面は前記第3チューブの前記外周面に対して融着層を介して融着されており、
前記第3チューブは、前記内周面から前記外周面までを貫通しており且つ前記第3チューブの一端から他端に向かう方向に沿って配列する複数の貫通孔を有している請求項1又は2に記載のバブラー用チューブ。
【請求項4】
前記第1チューブの他端から前記第2チューブの他端までで規定される前記バブラー用チューブの全長のうち、前記第1チューブの外周面が露出した部分はバブリング部であり、
前記バブリング部の見かけ比重は、0.10~2.0の範囲内にある請求項1又は2に記載のバブラー用チューブ。
【請求項5】
前記第1チューブの長さは、0.1m~5.0mの範囲内にある請求項1又は2に記載のバブラー用チューブ。
【請求項6】
フッ素樹脂含有キャップを更に備え、
前記第1チューブの他端は、前記フッ素樹脂含有キャップにより封止されている請求項1又は2に記載のバブラー用チューブ。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のバブラー用チューブと、
ガス供給手段とを備え、
前記ガス供給手段は、前記第2チューブの他端に接続されているバブラー。
【請求項8】
液体材料をバブリングするためのバブラーであって、
前記第1チューブの他端から前記第2チューブの他端までで規定される前記バブラー用チューブの全長のうち、前記第1チューブの外周面が露出した部分はバブリング部であり、
前記バブリング部の見かけ比重は、前記液体材料の比重と比較して大きい請求項7に記載のバブラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バブラー用チューブ及びバブラーに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程等では、薬液の滞留を防止したり、温度ムラを解消したりするためにガス注気装置、所謂バブラーが使用されている。これらの目的で使用されるバブラーには、耐薬品性及び耐熱性に優れることが要求される。それ故、耐薬品性及び耐熱性に優れるフッ素樹脂製のバブラーが上市されている。
【0003】
公知のバブラーの多くは、柔軟性を持たない円筒状、球状又は平板状などの形態を有しているため、設置の自由度が低いという問題がある。設計の時点で、バブラーの使用場所を想定して設計がなされている場合には、設置の自由度は大きな問題とはならないことが多い。しかしながら、例えば、想定していなかった使用場所にバブラーを再配置する場合、及び、使用して初めて攪拌効率が悪いことが判明し、設置場所の変更が求められる場合など、バブラーの再配置を行う際には、上述の形状を有するバブラーではスペースの制約を受ける傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-331980号公報
【特許文献2】特開昭61-66730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、耐薬品性及び耐熱性に優れると共に、設置の自由度が高いバブラーを実現可能なバブラー用チューブ、及び、当該バブラー用チューブを備えたバブラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面によると、バブラー用チューブが提供される。バブラー用チューブは、少なくとも一部が多孔質構造であり、ポリテトラフルオロエチレンを含む第1チューブと、非多孔質構造を有しており、フッ素樹脂を含む第2チューブとを備える。第2チューブの一端は、第1チューブの一端に接続されている。
【0007】
本発明の第2側面によると、バブラーが提供される。バブラーは、第1側面に係るバブラー用チューブと、ガス供給手段とを備える。ガス供給手段は、第2チューブの他端に接続されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、耐薬品性及び耐熱性に優れると共に、設置の自由度が高いバブラーを実現可能なバブラー用チューブ、及び、当該バブラー用チューブを備えたバブラーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るバブラー用チューブの一例を概略的に示す断面図。
【
図2】参考例に係るバブラー用チューブがガス供給手段に接続されている状態を概略的に示す断面図。
【
図3】実施形態に係るバブラー用チューブがガス供給手段に接続されている状態を概略的に示す断面図。
【
図4】実施形態に係るバブラー用チューブの他の例を概略的に示す断面図。
【
図5】実施形態に係るバブラー用チューブの他の例を概略的に示す断面図。
【
図6】実施形態に係るバブラー用チューブが備え得る第3チューブの一例を概略的に示す斜視図。
【
図7】
図6に示す第3チューブのXII-XII線に沿った断面図。
【
図8】他の実施形態に係るバブラーの一例を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について適宜図面を参照して説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
【0011】
(第1実施形態)
実施形態に係るバブラー用チューブは、少なくとも一部が多孔質構造を有する第1チューブを備える。第1チューブが有する多孔質構造は、熱流動性を示さないポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の性質に起因する構造である。即ち、第1チューブが有する多孔質構造は、PTFEで構成されるノード及びフィブリルからなる微細構造である。PTFEを含む充実構造のチューブを一軸延伸すると、おおよそ延伸方向に沿ってノードからフィブリルが引き出される。ノードとは、高分子繊維が引き延ばされずにPTFE材料が凝集している領域を指す。フィブリルは、ノード間に存在し、延伸方向に沿って配向している高分子繊維を指す。
【0012】
ノード間、フィブリル間並びにノード及びフィブリルの間には、多数の貫通孔(連通孔)が形成されている。第1チューブの壁面は、このような微細構造を有する多孔質構造を少なくとも一部に有するため、当該多孔質構造を有する部分では、上記貫通孔よりも大きな粒子のみを透過し、貫通孔よりも小さな粒子の透過を妨げる機能を持つ。従って、例えば、第1チューブの多孔質構造を有する部分を薬液中に浸漬し、第1チューブの内周面側に気体を注気することにより、多孔質構造を通じて当該気体を薬液中に供給すると共に、薬液の第1チューブ内への侵入を防ぐことができる。
【0013】
第1チューブは、筒状のチューブ形状を有しているため、柔軟性を有している。それ故、狭い場所又は入り組んだ場所への侵入及び配置が容易であり、また、薬液等が充填されている攪拌容器内での当該第1チューブの移動も容易である。また、要求される設置形状に合わせて曲げ加工なども施すことができる利点がある。即ち、第1チューブを備えるバブラー用チューブの設置の自由度は高い。更に、第1チューブはPTFEを含むため、耐薬品性及び耐熱性に優れる。
【0014】
以下、実施形態に係るバブラー用チューブを、図面を参照しながら説明する。
図1は、バブラー用チューブの一例を概略的に示す断面図である。
【0015】
バブラー用チューブ10は、第1チューブ11と、第2チューブ12とを備える。
図1に示すバブラー用チューブ10は、第1チューブ11の端部にフッ素樹脂含有キャップ16を更に備えているが、バブラー用チューブ10の用途に応じてフッ素樹脂含有キャップ16は省略可能である。
図1中、符号Cは、バブラー用チューブ10の中心線を示す。
【0016】
第1チューブ11は、少なくとも一部が多孔質構造であり、ポリテトラフルオロエチレンを含む。第1チューブ11は、ポリテトラフルオロエチレンからなっていてもよい。第1チューブ11は、一端110から他端111まで伸びるチューブである。第1チューブ11は、内周面11a及び外周面11bを有する。第1チューブ11は、例えば、所定の内径及び外径を有する円筒状のチューブである。
【0017】
第1チューブ11に含まれる多孔質構造部分は、例えば、第1チューブ11の50体積%以上を占めていてもよく、80体積%以上を占めていてもよく、100体積%を占めていてもよい。本願明細書及び特許請求の範囲において、多孔質構造とは、5%以上の気孔率を有する部分を指す。気孔率の上限値は、一例によれば80%である。気孔率は、好ましくは10%~40%の範囲内にある。
【0018】
PTFEを含む第1チューブは、例えば、半導体製造に用いられるレジスト、現像液、有機溶媒、強酸及び強アルカリなどの薬液等である場合にもバブリング部として使用することができる。
図1に示すバブラー用チューブ10において、第1チューブ11のうち、その外周面11bが露出している部分がバブリング部30として機能し得る。バブリング部30は、外周面の少なくとも一部が多孔質構造を有する部分である。バブリング部30は、例えば、薬液等に浸漬される部分である。バブリング部30以外の部分も、薬液等に浸漬されてもよい。
【0019】
薬液等に第1チューブを浸漬させて注気する際、多孔質構造からなる部分の全体が薬液等に浸漬している場合は問題無いが、多孔質構造の一部が薬液等に浸漬されずに大気中に露出している場合、第1チューブ内に供給された気体のうちの一部は、この露出した部分を通じて大気中に放出(漏出)されてしまうという問題がある。
【0020】
図2は、参考例に係るバブラー用チューブ50がガス供給手段に接続されている状態を概略的に示す断面図である。
図2に示すバブラー用チューブ50は、全体が多孔質構造を有する第1チューブ11のみからなる。継手60は、第1チューブ11の端部に直接接続されている。継手60は、例えばソケット61及びプラグ62とを備える。継手60のプラグ62側端部は、図示しないガス供給手段に接続されている。継手60が備えるソケット61は、例えば、多孔質構造を有する第1チューブ11の一部に装着されうる。ここでは一例として、第1チューブ11の全体が多孔質構造を有する場合を示しているが、第1チューブ11は、上述した通り、第1チューブ11の少なくとも一部に多孔質構造を有していればよい。
【0021】
図2に示す参考例に係るバブラー用チューブ50を薬液等に浸漬させる場合、例えば、第1チューブ11の壁面のうち、典型的には、継手60が備えるソケット61の近傍部分15の位置は薬液等に浸漬させない。その理由は、例えば、継手60の耐薬品性が第1チューブ11と比較して乏しいため、継手60が薬液等により腐食されてしまう恐れがあるためである。この場合、多孔質構造を有する第1チューブ11の全体が薬液等に浸漬されていないため、ガス供給手段から継手60を通じて第1チューブ11の内部に注気されたガスの一部は、部分15から多孔質構造を通じて第1チューブ11の外部へ漏れ出てしまう可能性がある。
【0022】
一方、
図3は、実施形態に係るバブラー用チューブ10がガス供給手段に接続されている状態を概略的に示す断面図である。
図3に示すバブラー用チューブ10では、第1チューブ11の一端110側に、非多孔質構造を有する第2チューブ12の一端120側が、融着部122を介して接続されている。バブラー用チューブ10では、第2チューブ12の他端121に対して継手60が接続されている。継手60は、例えばソケット61及びプラグ62とを備える。継手60のプラグ62側端部は、図示しないガス供給手段に接続されうる。なお、
図3に示すバブラー用チューブ10は、継手60を備えていてもよく、備えていなくてもよい。継手60としては、公知のものを使用することができる。
【0023】
第2チューブ12は非多孔質構造(充実構造)を有するチューブである。それ故、第1チューブ11のうち外周面11bが露出しているバブリング部30の全体を薬液等に浸漬させた場合であっても、継手60は薬液等に接触しない。また、継手60を通じてバブラー用チューブ10内に供給されたガスは、非多孔質構造を有する第2チューブ12の壁面からは漏出しない。それ故、
図3に示すバブラー用チューブ10によれば、継手60側からバブラー用チューブ10内に供給したガスが大気中に漏出するのを抑制しつつ、バブリング部30からの薬液等への注気を行うことができる。
【0024】
加えて、第2チューブ12は多孔質構造を有していないため、第2チューブ12の他端121には、継手60に限られず、フランジ及びナット等の一般的に行われる様々な器具の装着又は加工を容易に行うことができる。それ故、実施形態に係るバブラー用チューブの設置コストは低い。こうした加工を、多孔質構造を持つチューブに対して直接的に施す場合には、前述のような気体の漏出を防ぐために、又は、チューブの機械的強度を補強するために何らかの追加的な加工が必要となるため、コストが増大する懸念がある。
【0025】
(第1チューブ)
第1チューブ11の内径は、特に制限されないが、例えば0.5mm~30mmの範囲内にある。第1チューブ11の外径は、特に制限されないが、例えば0.7mm~40mmの範囲内にある。第1チューブ11の壁面の厚さは、例えば、0.1mm~5.0mmの範囲内にある。第1チューブ11の壁面の厚さとは、第1チューブ11の内周面11aから、最も近い外周面11bまでの径方向の距離で規定される。
【0026】
チューブの内径及び外径は、1/1000mmの精度を有するピンゲージ又はノギスを用いて測定することができる。
【0027】
第1チューブ11の壁面が過剰に厚いと、第1チューブ11の柔軟性が乏しくなる可能性がある。
【0028】
第1チューブ11単体の見かけ比重は、例えば0.10~2.0の範囲内にある。第1チューブ11単体の見かけ比重は、0.11~1.87の範囲内にあってもよい。第1チューブ11の見かけ比重は、第1チューブ11を浸漬させる薬液等の比重と比較して大きいことが望ましい。この場合、第1チューブ11を薬液等に浸漬させた状態でバブリングを行ったとしても、第1チューブ11が浮き上がるのを抑制することができる。即ち、バブリングによる攪拌効率の低下を抑制することができる。この場合、第1チューブ11を外部から固定する必要が無くなるため、実施形態に係るバブラー用チューブの設置の自由度を高めることもできる。第1チューブ11の比重は、水中置換法による比重測定により測定することができる。なお、バブリング部30が第1チューブ11単体から構成される場合には、第1チューブ11の見かけ比重は、バブリング部30の見かけ比重であり得る。
【0029】
第1チューブ11の長さは、特に制限されないが、例えば、0.1m~5.0mの範囲内にある。第1チューブ11の長さとは、一端110から他端111までの長さを指す。第1チューブ11の長さが過剰に長いと、ガスの流入口に近い第1チューブ11の一端110近傍と比較して、他端111近傍におけるガス圧が大きく低下するため好ましくない。特に、第1チューブ11の全体が多孔質構造を有している場合には、この傾向が顕著である。
【0030】
第1チューブ11の他端111近傍における圧力損失が増大するのを抑制する手段として、第1チューブ11の長さを短くすることが挙げられる。或いは、後述する第2変形例のように、第1チューブ11の内径側に、充実構造を多く含む第3チューブを備える場合、圧力損失の増大を抑制することができる。
【0031】
第1チューブ11の他端111は、バブラー用チューブ10の一端100であり得る。
【0032】
(第2チューブ)
第2チューブ12は、非多孔質構造を有しており、フッ素樹脂を含む。第2チューブは、フッ素樹脂からなっていてもよい。第2チューブ12は、一端120から他端121まで伸びるチューブである。第2チューブ12は、内周面12a及び外周面12bを有する。第2チューブ12は、例えば、所定の内径及び外径を有する円筒状のチューブである。
【0033】
第2チューブ12に含まれる非多孔質構造部分は、例えば、第2チューブ12の50体積%以上を占めていてもよく、80体積%以上を占めていてもよく、100体積%を占めていてもよい。本願明細書及び特許請求の範囲において、非多孔質構造とは、5%未満の気孔率を有する部分を指す。気孔率の下限値は特に限定されず、0%であってもよい。
【0034】
第2チューブ12の内径は、特に制限されないが、例えば0.7mm~40mmの範囲内にある。第2チューブ12の外径は、特に制限されないが、例えば1.3mm~50mmの範囲内にある。第2チューブ12の内径は、第1チューブ11の外径と比較して大きいことが好ましい。
【0035】
第2チューブ12の壁面の厚さは、例えば、0.3mm~5.0mmの範囲内にある。第2チューブ12の壁面の厚さとは、第2チューブ12の内周面12aから、最も近い外周面12bまでの径方向の距離で規定される。
【0036】
第2チューブ12の長さは、特に制限されないが、例えば、0.1m~5.0mの範囲内にある。
【0037】
第2チューブ12の一端120側は、第1チューブ11の一端110側に接続されている。例えば、第1チューブ11の一端110側及び第2チューブ12の一端120側において、第1チューブ11の外周面11bの一部は、例えば、第2チューブ12の内周面12aの一部と対向している。第2チューブ12の一端120と第1チューブ11の一端110との接続は、例えば
図1に示すように、第2チューブ12の一端120が第1チューブ11の一端110を覆っている状態で第2チューブ12の一端120を第1チューブ11の外周面11bに対して融着することにより行われる。即ち、第2チューブ12の一端120は、融着部122を介して第1チューブ11の外周面11bに対して融着されている。
【0038】
第2チューブ12の一端120は、第1チューブ11の一端110と突き合わされていないことが好ましい。融着部122は、第2チューブ12自体が溶融した部位であってもよく、別途用意した溶融流動性フッ素樹脂を含む部位であってもよい。
【0039】
第2チューブ12に含まれるフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性PTFE、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマ(ETFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマ(FEP)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。耐薬品性及び耐熱性に優れると共に、第1チューブ11へのアンカー効果を発現させる観点から、第2チューブ12に含まれるフッ素樹脂はPFAであることが好ましい。
【0040】
上記の融着部122は、PFA、ETFE、FEP及びPVDFからなる群より選択される少なくとも一種の溶融流動性フッ素樹脂を含み得る。
【0041】
第2チューブ12の他端121は、バブラー用チューブ10の他端101であり得る。
【0042】
バブラー用チューブ10の全長は、第1チューブ11の他端111から第2チューブ12の他端121までで規定される。バブラー用チューブ10の全長は、特に制限されないが、例えば0.2m~10mの範囲内にある。上述したバブリング部30は、バブラー用チューブ10の全長のうち、第1チューブ11の外周面11bが露出した部分であり得る。バブリング部30の長さは、特に制限されないが、例えば0.1m~5.0mの範囲内にある。
【0043】
(フッ素樹脂含有キャップ)
図1に示すフッ素樹脂含有キャップ16は、第1チューブ11の他端111から、バブラー用チューブ10の外部に放出されうるガスの放出を抑制することができる。言い換えると、フッ素樹脂含有キャップ16は第1チューブ11の他端111を封止させることができる。フッ素樹脂含有キャップ16の大きさ及び形状は特に制限されない。なお、図示していないが、第1チューブ11の他端111は、フッ素樹脂含有キャップ16を備える代わりに、当該チューブの縁同士を重ねた状態で超音波溶接により封止されてもよい。
【0044】
フッ素樹脂含有キャップ16に含まれるフッ素樹脂は特に制限されないが、例えば溶融流動性フッ素樹脂である。溶融流動性フッ素樹脂としては、例えば、融着部122について上述した種類のものを使用することができる。
【0045】
(第1変形例)
実施形態に係るバブラー用チューブは、中間層14を更に備えることができる。
図4は、バブラー用チューブ10が中間層14を更に備える場合の一例を概略的に示す断面図である。中間層14はスペーサとも呼ぶことができる。
【0046】
図4に示すバブラー用チューブ10は、第2チューブ12の内周面12aと第1チューブ11の外周面11bとの間に、これらの双方と融着された中間層14を備える。中間層14は、例えば、第2チューブ12の内周面12aと第1チューブ11の外周面11bとが対向している部分のうちの少なくとも一部に形成されうる。中間層14の一部は、第2チューブ12の内周面12aと第1チューブ11の外周面11bとが対向していない部分において、更に形成されていてもよい。中間層14は、例えば、第1チューブ11の外周面11bを覆う円筒形状を有する。
【0047】
中間層14は、例えば溶融流動性フッ素樹脂を含む。中間層14に含まれる溶融流動性フッ素樹脂としては、例えば、PFA、ETFE、FEP及びPVDFからなる群より選択される少なくとも一種の溶融流動性フッ素樹脂を使用することができる。
【0048】
中間層14の膜厚は、特に制限されないが、例えば0.005mm~5.0mmの範囲内にある。第1チューブ11の外径が小さく且つ第2チューブ12の内径が大きい場合には、比較的大きな厚みを持つ中間層14を形成することにより、第1チューブ11と第2チューブ12との隙間を埋めることが有効である。これにより、第1チューブ11と第2チューブ12との接合部での皺等の形成を抑制することができる。それ故、バブラーとして使用する場合に接合部でのガス漏れ及び薬液等のチューブ内への侵入を抑制することができる。一方、第1チューブ11の外径が大きく且つ第2チューブ12の内径が小さい場合には、比較的小さな厚みを持つ中間層14によって第1チューブ11と第2チューブ12との隙間を埋めることができる。
【0049】
中間層14が存在することにより、第1チューブ11と第2チューブ12との接合がより強固となる。それ故、例えば、バブラー用チューブ10の曲げ半径が大きくなるような設置方法で使用された場合であっても、第1チューブ11と第2チューブ12との接合部からのガス漏れを抑制することができる。
【0050】
(第2変形例)
実施形態に係るバブラー用チューブは、第3チューブを更に備えることができる。
図5は、バブラー用チューブ10が第3チューブ13を更に備える場合の一例を概略的に示す断面図である。まず、第3チューブの一例を、
図6及び
図7を参照しながら説明する。
図6は、第3チューブ13の一例を概略的に示す斜視図である。
図7は、
図6のXII-XII線に沿った概略断面図である。
【0051】
第3チューブ13は、少なくとも一部が非多孔質構造(充実構造)を有するチューブである。第3チューブ13の全体は、非多孔質構造を有していてもよい。但し、第3チューブ13は、少なくとも1つの貫通孔132を有する。第3チューブ13は、一端130から他端131まで伸びるチューブである。第3チューブ13は、内周面13a及び外周面13bを有する。第3チューブ13は、例えば、所定の内径及び外径を有する円筒状のチューブである。
【0052】
第3チューブ13に含まれる非多孔質構造部分は、例えば、第3チューブ13の50体積%以上を占めていてもよく、80体積%以上を占めていてもよく、100体積%を占めていてもよい。但し、ここでは貫通孔132で構成される中空部の体積は除く。つまり、第3チューブ13において、貫通孔132以外の実体部分に対して、上記の体積%が適用される。
【0053】
第3チューブ13の壁面の厚さは、例えば、0.1mm~5.0mmの範囲内にある。第3チューブ13の壁面の厚さとは、第3チューブ13の内周面13aから、最も近い外周面13bまでの径方向の距離で規定される。第3チューブ13の壁面が過剰に厚いと、チューブの柔軟性が乏しい可能性がある。第3チューブ13が優れた柔軟性を有するためには、第3チューブ13の壁面の厚さは、0.5mm~1.5mmの範囲内にあることが好ましい。
【0054】
第3チューブ13は、2つ以上の貫通孔132を備えることが好ましい。貫通孔132は、第3チューブ13の壁面を貫通する孔である。即ち、貫通孔132は、内周面13aから外周面13bまでを貫通する孔である。2つ以上の貫通孔132は、第3チューブ13の長手方向、即ち、一端130から他端131までに向かう方向に沿って配列していることが好ましい。2つ以上の貫通孔132は、一方向に沿って配列していなくてもよい。
【0055】
貫通孔132の大きさは特に制限されないが、例えば、孔の直径が0.1mm~5.0mmの範囲内にある。
【0056】
貫通孔132を2つ以上有する場合、その配列間隔(孔の中心間距離)は、特に制限されないが、例えば10mm~500mmの範囲内にある。2つ以上の貫通孔132は、一定間隔で配列していてもよく、任意の間隔を空けて配列していてもよい。例えば、或る位置に設けられており且つ互いに隣り合う2つの貫通孔132の間隔と、これらとは異なる位置に設けられており且つ互いに隣り合う2つの貫通孔132の間隔とは、異なっていてもよい。
【0057】
第3チューブ13を構成する樹脂としては、フッ素樹脂に限られず、種々の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を使用することができる。耐薬品性及び耐熱性の観点から、第3チューブ13はフッ素樹脂を含むことが好ましい。第3チューブ13に含まれるフッ素樹脂として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマ(ETFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマ(FEP)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0058】
続いて、上述した第3チューブ13を備えるバブラー用チューブ10について、
図5を参照しながら説明する。
図5に示すバブラー用チューブ10は、第3チューブ13を更に備えることを除いて、
図4に示すバブラー用チューブ10と同一の構成を有している。
【0059】
第3チューブ13は、第1チューブ11の内径側に配置されている。それ故、第3チューブ13の外径は、第1チューブ11の内径と比較して小さくてもよい。第3チューブ13の外周面13bのうち、少なくとも一部は、融着層20を介して第1チューブ11の内周面11aと融着している。第3チューブ13及び第1チューブ11の二層構造を有するチューブを複合チューブと呼ぶこともできる。
【0060】
複合チューブにおける第1チューブ及び第3チューブの壁面の厚さは、複合チューブの断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscopy)で観察することにより測定可能である。具体的には、測定対象のチューブの断面を少なくとも5つ用意し、各断面における測定値の単純平均を算出することで決定する。
【0061】
図5では一例として、融着層20aが、第1チューブ11の一端110近傍と、第3チューブ13の一端130近傍とを融着している。また、融着層20bは、第1チューブ11の他端111近傍と、第3チューブ13の他端131近傍とを融着している。
【0062】
融着層20a及び20bは、それぞれ、第3チューブ13の外周面13b上に、円環状に設けられている。
【0063】
融着層20は、例えば溶融流動性フッ素樹脂を含む。溶融流動性フッ素樹脂としては、例えば、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマ(ETFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマ(FEP)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0064】
第1チューブ11の外周面11bの少なくとも一部は、中間層14を介して第2チューブ12の内周面12aと向き合っている。それ故、第1チューブ11の外径は、第2チューブ12の内径と比較して小さくてもよい。
【0065】
バブラー用チューブ10の全長のうち、第1チューブ11及び第3チューブ13が積層されてなる複合チューブにおいて、第1チューブ11の外周面11bが露出している部分がバブリング部30として機能し得る。
【0066】
複合チューブにおけるバブリング部30の見かけ比重は、0.10~2.0の範囲内にあってもよく、0.11~1.87の範囲内にあってもよい。バブリング部30の見かけ比重は、例えば、バブリング部30を浸漬させる薬液等の比重と比較して大きいことが望ましい。この場合、バブリング部30を薬液等に浸漬させた状態でバブリングを行ったとしても、バブリング部30が浮き上がるのを抑制することができる。バブリング部30の見かけ比重は、水中置換法による比重測定により測定することができる。
【0067】
第1チューブ11の他端111及び第3チューブ13の他端131は、バブラー用チューブ10の一端100であり得る。第2チューブ12の他端121は、バブラー用チューブ10の他端101であり得る。バブラー用チューブ10の全長は、例えば、第1チューブ11の他端111から第2チューブ12の他端121までで規定される。
【0068】
図5に示すように、第3チューブ13が第1チューブ11の内径側に配置されている場合、仮に第1チューブ11が長尺になったとしても、第2チューブ12の他端121側から流入したガスの圧力損失の増大を抑制することができる。具体的には、例えば、第2チューブ12の他端121からバブラー用チューブ10内に流入したガスは、第3チューブ13内を主に通ってバブラー用チューブ10の一端100に到達する。第3チューブ13は、少なくとも1つの貫通孔132を有するものの、その内周面13aは、例えば非充実構造で構成されている。従って、多孔質構造を有する第1チューブ11内をガスが直接流れる場合と比較して、圧力損失を低減することができる。
【0069】
第3チューブ13内を流通するガスは、第3チューブ13の内周面13a側から貫通孔132を通過して第3チューブ13の外周面13bと第1チューブ11の内周面11aとの間を通り、更に第1チューブ11の多孔質構造部分を通過して第1チューブ11の外部に放出される。第3チューブ13を備えているため、第1チューブ11の外周面11b全体から比較的均一にガスを放出させることができる。
【0070】
(製造方法)
実施形態に係るバブラー用チューブの製造方法の一例を以下に説明する。
第1チューブは、例えば、非多孔質構造(充実構造)を有するPTFEチューブを一軸延伸することにより製造できる。第1チューブの前駆体となる充実構造を有するPTFEチューブは、例えば押出成形品であり得る。押出成形の一例を以下に説明する。
【0071】
押出成形品の原料としては、PTFEファインパウダーと、潤滑剤等の押出助剤とを用いることができる。PTFEファインパウダーに潤滑剤等の押出助剤を混合することで、ペースト状の混合物を得ることができる。PTFEファインパウダーを含んだ混合物をチューブ形状に押出成形することで、チューブ状の押出成形品を得ることができる。
【0072】
押出助剤としては、例えば、汎用されているソルベントナフサ(例えば、登録商標:Isoper E、エクソン化学社製)、ホワイトオイル、及び、炭素数6乃至12の流動パラフィン(例えば、登録商標:カクタスノルマルパラフィンN-10、(株)ジャパンエナジー製)を挙げることができる。
【0073】
PTFEファインパウダーと押出助剤とを混合して得られる混合物は、押出成形に供する前に熟成してもよい。また、熟成させた混合物を圧縮して、圧縮成型体(ビレット)を造ってもよい。圧縮することにより、PTFEファインパウダーにおける空気を除き、押出成形品の均一性を向上させることができる。圧縮成型体の形状は特に限定されないが、例えば、円柱形状であり得る。
【0074】
続いて、第1チューブ前駆体として製造したPTFEチューブを一軸延伸する。一軸延伸を行うと、第1チューブ前駆体に含まれる高分子材料から、高分子繊維が引き出されて延伸方向に引き延ばされる。このようにすると、ノードとフィブリルとを含む微細構造を形成できる。
【0075】
一軸延伸時の延伸倍率を調整することによって、第1チューブの比重又は気孔率を調整できる。一軸延伸時の延伸倍率を高めることにより、低い比重を持つ第1チューブを形成できる。一軸延伸時の延伸倍率を低めることにより、高い比重を持つ第1チューブを形成できる。例えば、一軸延伸時の延伸倍率を2倍にすると、気孔率がおおよそ50%程度の第1チューブを製造できる。延伸倍率は、目的とする比重に応じて適宜調整することが可能であるが、例えば1.2倍~6倍の範囲内とする。目的とする比重に応じて適宜調整することができる。
【0076】
続いて、未焼成状態の第1チューブを乾燥及び焼成に供する。乾燥は、例えば乾燥炉の中で行う。先に使用した石油系押出助剤の沸点以上の温度で乾燥を行うことにより、助剤を揮発させることができる。続いて、乾燥後のチューブをPTFEの融点以上の温度、例えば330℃以上の温度で加熱して焼成する。こうして、第1チューブを作製することができる。
【0077】
非多孔質構造を有する第2チューブは、例えば、上述したフッ素樹脂を用いて作製する。第2チューブは、押出成形又は射出成形など、公知の成形方法により作製することができる。
【0078】
第1チューブの内径及び外径、並びに、第2チューブの内径及び外径は、所望の値で設計及び作製することができる。前述したように、一例としては、第2チューブの内径を第1チューブの外径と比較して大きくする。
【0079】
作製した第1チューブの一端部を第2チューブの一端部に挿入し、第2チューブを構成するフッ素樹脂の融点以上の温度で熱処理することにより、第2チューブの一端部を第1チューブの外周面上に融着させることができる。これにより、例えば
図1を参照しながら説明した、融着部122を備えるバブラー用チューブ10を作製することができる。
【0080】
また、
図4を参照しながら説明した中間層14を更に備えるバブラー用チューブ10を製造する場合には、例えば以下のように製造することができる。
【0081】
第1チューブを作製した後、中間層14を形成するためのフッ素樹脂粒子を含むディスパージョンを作製する。フッ素樹脂粒子としては、上述した溶融流動性フッ素樹脂粒子を使用することが好ましい。
【0082】
ディスパージョンは、分散媒と、この分散媒中の溶融流動性フッ素樹脂粉末とを含む。溶融流動性フッ素樹脂粉末として、ディップコーティング法等の、被覆により樹脂製チューブを成形する手法にて汎用されている材料を用いることができる。例えば、ディスパージョンは、乳化重合により溶融流動性フッ素樹脂粉末を水性分散媒に分散させた水性分散液である。
【0083】
分散媒は、例えば、水等であり得る。ディスパージョンの組成は特に限定されるものではなく、例えば、ディップコーティング法等の手法において汎用されている組成の分散液又は懸濁液を用いることができる。ディスパージョンは、溶融流動性フッ素樹脂粉末とは異なる、充填剤又は添加剤等を更に含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
【0084】
第1チューブの外周面の一部に、用意したディスパージョンを塗布して塗膜を形成する。次いで、第1チューブの一端部を第2チューブの一端部に挿入して、第2チューブの内周面で塗膜の少なくとも一部を覆う。その後、第1チューブ及び第2チューブの接合部を熱処理に供する。こうして、第1チューブの外周面と第2チューブの内周面とが対向する部分のうち、少なくとも一部に中間層を形成することができる。
【0085】
また、
図5を参照しながら説明した、第3チューブを更に備えるバブラー用チューブ10は、例えば以下の方法で作製することができる。
【0086】
まず、第3チューブを作製する。第3チューブは、例えば、押出成形又は射出成形などの公知の成形方法により作製した非多孔質構造を有する樹脂製チューブに対して、ドリル等で所望の貫通孔を設けることにより作製することができる。第3チューブに複数の貫通孔を設ける場合には、これら貫通孔は、一方向に沿って配列していてもよく、配列していなくてもよい。
【0087】
次に、作製した第3チューブを第1チューブと複合する。具体的には、まず、第3チューブの外周面において、第3チューブの一端及び他端の近傍に溶融流動性フッ素樹脂粒子を含むディスパージョンを塗布する。このディスパージョンとしては、上述したものを使用することができる。その後、第1チューブの内径側(内周面側)に第3チューブを挿入して、これらを熱処理に供することにより、塗膜に含まれるフッ素樹脂粒子が溶融して融着層が形成される。こうして、第3チューブ13及び第1チューブ11の二層構造を有する複合チューブを作製することができる。
【0088】
続いて、第3チューブと複合化した第1チューブの外周面上に、先に説明したのと同様に第2チューブを接合する。こうして、第3チューブを更に備えるバブラー用チューブを作製することができる。
【0089】
実施形態に係るバブラー用チューブでは、第1変形例及び第2変形例のうちのいずれか一方を採用してもよく、これらの双方を採用してもよい。また、これら第1変形例及び第2変形例の双方を採用しなくてもよい。
【0090】
(第2実施形態)
第2実施形態によると、第1実施形態に係るバブラー用チューブと、ガス供給手段とを備えるバブラーが提供される。ガス供給手段は、第1実施形態に係るバブラー用チューブが備える第2チューブの他端に接続されている。図示していないが、バブラーは2つのガス供給手段を備えていてもよい。即ち、バブラー用チューブの一端及び他端に、それぞれガス供給手段を備えていてもよい。
【0091】
ガス供給手段の種類は特に限定されない。ガス供給手段は、従来公知の装置等であり得る。ガス供給手段は、例えば、単位時間あたり一定の供給量で気体材料を放出することができる装置である。気体材料は、当該装置からガス供給パイプを通じて、第1実施形態に係るバブラー用チューブ内に供給されうる。
【0092】
供給されるガスの種類は、バブラーの目的に応じて適宜変更することができるが、例えば、空気、窒素、オゾンガス及びアンモニアなどからなる群より選択される少なくとも一種である。
【0093】
図8は、実施形態に係るバブラーの一例を模式的に示した図である。
図8に示すバブラーでは、バブラー用チューブが備える第2チューブ12の他端に、ガス供給パイプ41を介してガス供給手段40が接続されている。第2チューブ12の他端とガス供給パイプ41との接続部には、必要に応じてワンタッチ継手等の器具が設置され得る。
【0094】
バブラー用チューブが備える第1チューブ11は、容器42に貯蔵された液体材料43内に浸漬される。この状態で、ガス供給手段40からバブラー用チューブ内にガスを供給することで、多孔質構造を有する第1チューブ11の壁面を通じて、液体材料43内にガスを拡散させることができる。即ちバブリングを行うことができる。
【0095】
液体材料の種類は、バブラーの目的に応じて適宜変更することができるが、例えば、半導体製造に用いられるレジスト、現像液、有機溶媒、種々の水溶液、強酸及び強アルカリなどであり得る。種々の水溶液に含まれる一例として、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が挙げられる。
【0096】
上述したバブリング部、即ち、バブラー用チューブの全長のうち第1チューブ11の外周面が露出した部分の見かけ比重は、液体材料43と比較して大きいことが好ましい。この場合、バブリング部が液面付近まで浮上してバブリングによる液体材料の攪拌効率が低下するのを抑制することができる。
【0097】
第2実施形態に係るバブラーは、第1実施形態に係るバブラー用チューブを備える。例えば第1チューブ11により構成されるバブリング部はチューブ形状を有しているため、設置形状に合わせた曲げ加工、及び、容器42内に貯蔵された液体材料43内での移動などが容易である。即ち、第2実施形態によれば、耐薬品性及び耐熱性に優れると共に、設置の自由度が高いバブラーが提供される。
【0098】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0099】
10…バブラー用チューブ、11…第1チューブ、11a…内周面、11b…外周面、12…第2チューブ、12a…内周面、12b…外周面、13…第3チューブ、13a…内周面、13b…外周面、14…中間層、16…フッ素樹脂含有キャップ、20…融着層、30…バブリング部、40…ガス供給手段、41…ガス供給パイプ、42…容器、43…液体材料、60…継手、61…ソケット、62…プラグ、122…融着部、132…貫通孔。