(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160081
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20231026BHJP
【FI】
G06F21/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070151
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】利光 清
(57)【要約】
【課題】効果的に指紋認証を行うことができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、情報処理装置は、通信部と、操作部と、記憶部と、指紋センサと、プロセッサと、を備える。通信部は、外部装置とデータを送受信する。操作部は、操作の入力を受け付ける。記憶部は、データを記憶する。指紋センサは、前記操作部への前記操作の入力に際して指から指紋情報を取得する。プロセッサは、前記指紋情報に基づいて指紋認証を行い、指紋認証に成功すると、指紋認証に成功したことを示す認証情報を前記記憶部に格納し、前記記憶部に前記認証情報が格納されている場合、前記通信部を通じて指紋認証を要求する指紋認証リクエストを前記外部装置から受信すると、前記通信部を通じて指紋認証に成功したことを示す指紋認証レスポンスを前記外部装置に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置とデータを送受信する通信部と、
操作の入力を受け付ける操作部と、
データを記憶する記憶部と、
前記操作部への前記操作の入力に際して指から指紋情報を取得する指紋センサと、
前記指紋情報に基づいて指紋認証を行い、
指紋認証に成功すると、指紋認証に成功したことを示す認証情報を前記記憶部に格納し、
前記記憶部に前記認証情報が格納されている場合、前記通信部を通じて指紋認証を要求する指紋認証リクエストを前記外部装置から受信すると、前記通信部を通じて指紋認証に成功したことを示す指紋認証レスポンスを前記外部装置に送信する、
プロセッサと、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記外部装置と無線でデータを送受信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記操作は、前記外部装置との無線接続に関する操作である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記無線接続は、Bluetooth接続であり、
前記操作は、アドバタイズ信号の送信を開始させる操作、又は、接続先を選択する操作である、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記操作部は、タッチパネルであり、
前記指紋センサは、前記タッチパネルをタップした指から前記指紋情報を取得する、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記記憶部に前記認証情報が格納されてない場合、前記通信部を通じて指紋認証を要求する指紋認証リクエストを前記外部装置から受信すると、前記指紋センサを通じて前記指紋情報を取得し、前記指紋情報に基づいて指紋認証を行い、前記指紋認証の結果に基づいて前記通信部を通じて指紋認証に成功又は失敗したことを示す指紋認証レスポンスを前記外部装置に送信する、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記外部装置との通信が遮断すると、前記認証情報を前記記憶部から削除する、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードなどの情報処理装置には、ユーザの指紋を取得して指紋認証を行うものがある。そのような情報処理装置は、指紋認証の時間を短縮するために、端末に接続したとき(起動時)に指紋認証を行って結果を保存しておくものがある。
【0003】
また、情報処理装置には、端末と無線接続を開始する操作、又は、接続先の端末を選択する操作など、接続に関する操作を受け付けてから、端末に接続するものがある。
【0004】
従来、情報処理装置は、指紋認証を要求する端末との接続において、接続に関する操作の入力に加えて指紋を取得する手順も必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を解決するため、効果的に指紋認証を行うことができる情報処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、情報処理装置は、通信部と、操作部と、記憶部と、指紋センサと、プロセッサと、を備える。通信部は、外部装置とデータを送受信する。操作部は、操作の入力を受け付ける。記憶部は、データを記憶する。指紋センサは、前記操作部への前記操作の入力に際して指から指紋情報を取得する。プロセッサは、前記指紋情報に基づいて指紋認証を行い、指紋認証に成功すると、指紋認証に成功したことを示す認証情報を前記記憶部に格納し、前記記憶部に前記認証情報が格納されている場合、前記通信部を通じて指紋認証を要求する指紋認証リクエストを前記外部装置から受信すると、前記通信部を通じて指紋認証に成功したことを示す指紋認証レスポンスを前記外部装置に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る認証システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る認証デバイスの構成例を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る認証システムの動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
実施形態に係る認証システムは、所定のユーザが所持する認証デバイスと端末とを備える。認証デバイスは、ユーザからの操作に従って端末と通信を確立する。通信を確立すると、認証デバイスは、指紋認証を要求する指紋認証リクエストを端末から受信する。認証デバイスは、指紋認証リクエストに対して、指紋認証の結果を示す指紋認証レスポンスを端末に送信する。
【0011】
端末は、指紋認証レスポンスが示す指紋認証の結果に基づいて、所定の処理を行う。たとえば、端末は、指紋認証の結果に基づいて、決済処理を行う。また、端末は、指紋認証の結果に基づいて、預金の払い出し、ドアの開閉、入場許可又は登録処理などを行うものであってもよい。端末が行う動作は、特定の構成に限定されるものではない。
【0012】
図1は、実施形態に係る認証システム1の構成例を示す。
図1が示すように、認証システム1は、認証デバイス10と端末20とを備える。認証デバイス10と端末20とは、互いに通信可能に接続する。
【0013】
認証デバイス10(情報処理装置)は、ユーザが所持する端末である。認証デバイス10は、ユーザの操作に従って、端末20と無線通信を確立する。ここでは、認証デバイス10は、端末20とBluetooth(登録商標)接続する。認証デバイス10は、ペリフェラル機器として動作する。
また、ここでは、認証デバイス10は、腕時計型の端末である。
【0014】
認証デバイス10は、操作部16、表示部17及び指紋センサ18などを備える。
操作部16は、認証デバイス10を装着したユーザがタップ可能な位置に形成されている。操作部16は、ユーザからタップを受け付けて、操作の入力を受け付ける。操作部16は、入力された操作を示す信号を後述するプロセッサ11へ送信する。ここでは、操作部16は、タッチパネルから構成される。
【0015】
表示部17は、プロセッサ11からの画像データを表示する。たとえば、表示部17は、液晶モニタから構成される。ここでは、表示部17は、操作部16としてのタッチパネルと一体的に形成される。
【0016】
指紋センサ18は、操作部16をタップしたユーザの指から指紋を取得可能な位置に形成されている。ここでは、指紋センサ18は、操作部16及び表示部17と一体的に形成されている。
【0017】
指紋センサ18は、ユーザの手指のいずれかの指から指紋に関する指紋情報を取得する。指紋センサ18は、取得された指紋情報をプロセッサ11に送信する。指紋情報は、指紋画像であってもよい。また、指紋情報は、指紋画像の特徴量などであってもよい。
【0018】
たとえば、指紋センサ18は、指紋を撮影するための光学センサなどから構成される。また、指紋センサ18は、静電容量を検出するセンサなどから構成されるものであってもよい。
【0019】
なお、指紋センサ18は、操作部16における所定の領域をタップしたユーザの指から指紋を取得するものであってもよい。
【0020】
認証デバイス10については、後に詳述する。
【0021】
端末20(外部装置)は、認証デバイス10と無線接続を確立する。ここでは、端末20は、認証デバイス10とBluetooth接続する。
【0022】
端末20は、セントラル機器として動作する。たとえば、端末20は、アドバタイズ信号を認証デバイス10から受信する。アドバタイズ信号を受信すると、端末20は、接続要求を認証デバイス10に送信する。
【0023】
端末20は、接続要求に対して接続応答を認証デバイス10から受信する。接続応答を受信すると、認証デバイスと無線接続を確立する。
【0024】
無線接続を確立すると、端末20は、指紋認証を要求する指紋認証リクエストを認証デバイス10に送信する。端末20は、指紋認証リクエストに対して指紋認証の結果を示す指紋認証レスポンスを受信する。指紋認証レスポンスを受信すると、端末20は、指紋認証の結果に応じて所定の処理を行う。
【0025】
たとえば、端末20は、指紋認証レスポンスが認証に成功したことを示す場合、決済処理を行う。なお、端末20が指紋認証の結果に応じて行う処理は、特定の構成に限定されるものではない。
【0026】
たとえば、端末20は、認証デバイス10との無線通信を行うためのアンテナ及び通信制御部などを備える。
【0027】
次に、認証デバイス10の制御系について説明する。
図2は、認証デバイス10の制御系を示すブロック図である。
図2が示すように、認証デバイス10は、プロセッサ11、ROM12、RAM13、NVM14、通信部15、表示部17、操作部16、指紋センサ18及びバッテリ19などを備える。
【0028】
プロセッサ11と、ROM12、RAM13、NVM14、通信部15、表示部17、操作部16、指紋センサ18及びバッテリ19と、は、データバスなどを介して互いに接続する。
表示部17、操作部16及び指紋センサ18は、前述の通りである。
【0029】
プロセッサ11は、認証デバイス10全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ11は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ11は、内部メモリ、ROM12又はNVM14が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0030】
なお、プロセッサ11がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ11は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0031】
ROM12は、制御プログラム及び制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM12に記憶される制御プログラム及び制御データは、認証デバイス10の仕様に応じて予め組み込まれる。
【0032】
RAM13は、揮発性のメモリである。RAM13は、プロセッサ11の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM13は、プロセッサ11からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM13は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0033】
NVM14(記憶部)は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。NVM14は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM14は、認証デバイス10の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション及び種々のデータなどを格納する。
【0034】
また、NVM14は、指紋情報を用いて指紋認証するためのテンプレートを予め格納する。テンプレートは、指紋センサ18が取得する指紋情報に対応するテンプレートである。たとえば、テンプレートは、ユーザの指紋画像、指紋画像の特徴量又は指紋認証のためのネットワークなどから構成される。
【0035】
また、NVM14は、指紋認証に成功したことを示す認証情報を格納する領域を備える。たとえば、認証情報は、指紋認証に成功したことを示すフラグ(たとえば、「1」)などである。NVM14は、起動時において、認証情報を格納しない。たとえば、NVM14は、起動時において、当該領域に「0」を格納する。
【0036】
通信部15は、端末20などと無線でデータを送受信するインターフェースである。ここでは、通信部15は、Bluetooth接続をサポートする。
【0037】
バッテリ19は、認証デバイス10の各部へ電力を供給する。バッテリ19は、外部から充電可能な二次電池であってもよい。たとえば、バッテリ19は、アンテナからの電力によって充電される。また、バッテリ19は、使い捨てのバッテリであってもよい。
【0038】
なお、認証デバイス10は、
図1及び
図2が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、認証デバイス10から特定の構成が除外されたりしてもよい。
たとえば、認証デバイス10は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)接続をサポートするインターフェースを備えるものであってもよい。
【0039】
次に、認証デバイス10が実現する機能について説明する。プロセッサ11が実現する機能は、プロセッサ11が内部メモリ、ROM12又はNVM14などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0040】
まず、プロセッサ11は、通信部15を通じてアドバタイズ信号を送信する機能を有する。
プロセッサ11は、アドバタイズ信号の送信を開始させる操作を入力するためのアイコンを表示部17に表示する。たとえば、アドバタイズ信号の送信を開始させる操作は、端末20などとのBluetooth接続を確立する動作を開始させる操作である。
【0041】
ここで、ユーザは、アイコンを指でタップするものとする。即ち、ユーザは、操作部16及び指紋センサ18に自身に指を接触させるものとする。
【0042】
プロセッサ11は、操作部16を通じて、当該アイコンへのタップを受け付ける。当該アイコンへのタップを受け付けると、プロセッサ11は、通信部15を通じて、アドバタイズ信号を端末20に送信する。
【0043】
プロセッサ11は、所定の期間又はBluetooth接続が確立するまでの期間において、アドバタイズ信号の送信を継続する。
【0044】
また、プロセッサ11は、端末20とのBluetooth接続を確立する機能を有する。
アドバタイズ信号を送信すると、プロセッサ11は、通信部15を通じて接続要求を端末20から受信するまで待機する。
【0045】
接続要求を受信すると、プロセッサ11は、接続要求の送信元(たとえば、端末20)を示す識別情報を表示部17に表示する。
【0046】
たとえば、接続要求は、送信元の識別情報を格納する。識別情報は、送信元を識別するIDなどから構成される。
【0047】
複数の接続要求を受信した場合、プロセッサ11は、各接続要求の送信元を示す識別情報を表示部17に表示する。
【0048】
識別情報を表示部17に表示すると、プロセッサ11は、操作部16を通じて、接続先を選択する操作の入力を受け付ける。たとえば、プロセッサ11は、識別情報が表示されている領域へのタップを受け付けると、Bluetooth接続の接続先として、当該識別情報が示す送信元を選択する。
【0049】
ここで、ユーザは、端末20を示す識別情報が表示されている領域を指でタップするものとする。即ち、ユーザは、操作部16及び指紋センサ18に自身に指を接触させるものとする。
【0050】
プロセッサ11は、操作部16を通じて、当該領域へのタップを受け付ける。当該領域へのタップを受け付けると、プロセッサ11は、通信部15を通じて、接続応答を端末20に送信する。
【0051】
接続応答を端末20に送信すると、プロセッサ11は、通信部15を通じて端末20とのBluetooth接続を確立する。
【0052】
また、プロセッサ11は、接続に関する操作の入力の際に指紋情報を取得して指紋認証を行う機能を有する。
【0053】
ここでは、接続に関する操作は、アドバタイズ信号の送信を開始させる操作、又は、接続先を選択する操作などである。
【0054】
前述の通り、ユーザは、操作部16を指でタップすることで、接続に関する操作を認証デバイス10に入力する。ユーザは、操作部16をタップすると同時に、指紋センサ18に指を接触させる。
【0055】
プロセッサ11は、接続に関する操作の入力の際に、指紋センサ18を通じてユーザの指から指紋情報を取得する。指紋情報を取得すると、プロセッサ11は、所定のアルゴリズムに従って、NVM14が格納するテンプレートと取得された指紋情報とを照合する。プロセッサ11は、テンプレートと指紋情報とが整合(同定)する場合、指紋認証に成功したと判定する。
【0056】
指紋認証に成功したと判定すると、プロセッサ11は、指紋認証に成功したことを示す認証情報をNVM14に格納する。たとえば、プロセッサ11は、フラグ(たとえば、「1」)をセットする。
【0057】
ここでは、プロセッサ11は、アドバタイズ信号の送信を開始させる操作、又は、接続先を選択する操作を入力すると、上記の通り指紋認証を行う。
【0058】
なお、プロセッサ11は、指紋情報の取得に失敗した場合、又は、テンプレートと指紋情報とが整合しないと判定した場合、指紋認証に失敗したと判定する。指紋認証に失敗したと判定した場合であっても、プロセッサ11は、NVM14が格納する認証情報を維持する。
【0059】
たとえば、アドバタイズ信号の送信を開始させる操作の入力の際に認証情報をNVM14に格納した場合、プロセッサ11は、接続先を選択する操作の入力の際に指紋認証に失敗しても認証情報を維持する。
【0060】
また、アドバタイズ信号の送信を開始させる操作の入力の際に認証情報をNVM14に格納した場合、プロセッサ11は、接続先を選択する操作の入力の際に指紋認証を行わなくともよい。
【0061】
また、プロセッサ11は、端末20とのBluetooth接続が遮断されると認証情報をNVM14から削除する。即ち、プロセッサ11は、フラグをリセットする(たとえば、「1」から「0」に書き換える)。たとえば、プロセッサ11は、端末20とのBluetooth接続が終了した場合、又は、端末20とのBluetooth接続がタイムアウトした場合、認証情報を削除する。
【0062】
また、プロセッサ11は、端末20とのBluetooth接続が維持している間であっても所定の期間が経過した場合、認証情報を削除するものであってもよい。
【0063】
また、プロセッサ11は、認証情報に基づいて指紋認証レスポンスを端末20に送信する機能を有する。
【0064】
前述の通り、端末20は、認証デバイス10とのBluetooth接続を確立すると、指紋認証を要求する指紋認証リクエストを認証デバイス10に送信する。
【0065】
認証デバイス10のプロセッサ11は、通信部15を通じて指紋認証リクエストを端末20から受信する。指紋認証リクエストを受信すると、プロセッサ11は、NVM14に認証情報が格納されているかを判定する。即ち、プロセッサ11は、指紋認証に成功したことを示すフラグがセットされているかを判定する。
【0066】
NVM14に認証情報が格納されていると判定すると、プロセッサ11は、通信部15を通じて、指紋認証に成功したことを示す指紋認証レスポンスを端末20に送信する。この場合、プロセッサ11は、指紋認証を行わない。
【0067】
なお、プロセッサ11は、ユーザに指紋センサ18をタップさせてもよい。この場合、プロセッサ11は、指紋情報を取得しなくともよい。また、プロセッサ11は、指紋情報を取得するが、テンプレートと指紋情報との照合しなくともよい。
【0068】
NVM14に認証情報が格納されていないと判定すると、プロセッサ11は、指紋センサ18を通じて、ユーザの指から指紋情報を取得する。たとえば、プロセッサ11は、指を指紋センサ18に接触させることを促すメッセージなどを表示部17に表示する。ここで、ユーザは、指紋センサ18に指を接触させる。
【0069】
指紋情報を取得すると、プロセッサ11は、所定のアルゴリズムに従って、NVM14が格納するテンプレートと取得された指紋情報とを照合する。プロセッサ11は、テンプレートと指紋情報とが整合する場合、指紋認証に成功したと判定する。
【0070】
指紋認証に成功したと判定すると、プロセッサ11は、通信部15を通じて、指紋認証に成功したことを示す指紋認証レスポンスを端末20に送信する。
【0071】
また、指紋認証に失敗したと判定すると、プロセッサ11は、通信部15を通じて、指紋認証に失敗したことを示す指紋認証レスポンスを端末20に送信する。
【0072】
次に、認証システム1の動作例について説明する。
図3は、認証システム1の動作例について説明するためのシーケンス図である。
【0073】
まず、ユーザは、操作部16をタップして、アドバタイズ信号の送信を開始させる操作を入力する(S11)。
認証デバイス10のプロセッサ11は、操作部16を通じて当該操作の入力を受け付ける。また、プロセッサ11は、当該操作の入力の際に、指紋センサ18を通じてユーザの指から指紋情報を取得する(S12)。
【0074】
指紋情報を取得すると、プロセッサ11は、通信部15を通じてアドバタイズ信号の送信を開始する(S13)。アドバタイズ信号の送信を開始すると、プロセッサ11は、テンプレートと取得された指紋情報とを照合する(S14)。
【0075】
テンプレートと取得された指紋情報とが整合すると判定した場合、プロセッサ11は、認証情報をNVM14に格納する(S15)。
ここで、端末20は、接続要求を認証デバイス10に送信する(S16)。
【0076】
認証デバイス10のプロセッサ11は、通信部15を通じて接続要求を端末20から受信する。接続要求を受信すると、プロセッサ11は、接続先の選択を受け付ける。
ここで、ユーザは、操作部16をタップして、接続先を選択する操作を入力する(S17)。
【0077】
認証デバイス10のプロセッサ11は、操作部16を通じて当該操作の入力を受け付ける。また、プロセッサ11は、当該操作の入力の際に、指紋センサ18を通じてユーザの指から指紋情報を取得する(S18)。
【0078】
指紋情報を取得すると、プロセッサ11は、通信部15を通じて接続応答を端末20に送信する(S19)。接続応答を送信すると、プロセッサ11は、テンプレートと取得された指紋情報とを照合する(S20)。
【0079】
テンプレートと取得された指紋情報とが整合すると判定した場合、プロセッサ11は、認証情報をNVM14に格納する(S21)。
ここで、端末20は、指紋認証リクエストを認証デバイス10に送信する(S22)。
【0080】
認証デバイス10のプロセッサ11は、通信部15を通じて指紋認証リクエストを端末20から受信する。指紋認証リクエストを受信すると、プロセッサ11は、NVM14に認証情報が格納されているかを判定する。
【0081】
NVM14に認証情報が格納されていると判定した場合、プロセッサ11は、通信部15を通じて、指紋認証に成功したことを示す指紋認証レスポンスを端末20に送信する(S23)。
【0082】
NVM14に認証情報が格納されていないと判定した場合、プロセッサ11は、指紋センサ18に指を接触させることを促すメッセージなどを表示部17に表示する。
ここで、ユーザは、指を指紋センサ18に接触させるものとする(S24)。
【0083】
プロセッサ11は、指紋センサ18を通じてユーザの指から指紋情報を取得する(S25)。指紋情報を取得すると、プロセッサ11は、テンプレートと取得された指紋情報とを照合する(S26)。
【0084】
テンプレートと取得された指紋情報とを照合すると、プロセッサ11は、照合結果に基づいて、指紋照合に成功又は失敗したことを示す指紋認証レスポンスを端末20に送信する(S27)。
【0085】
なお、プロセッサ11は、S15を実行した場合、S18、S20及びS21を行わなくともよい。
また、プロセッサ11は、NVM14に認証情報が格納されていると判定した場合、ユーザに指紋センサ18をタップさせてもよい。
【0086】
また、端末20は、指紋認証リクエストを認証デバイス10に複数回送信するものであってもよい。この場合、認証デバイス10のプロセッサ11は、各指紋認証リクエストにおいて認証情報に基づいて指紋認証レスポンスを端末20に送信してもよい。
【0087】
また、操作部16は、指紋センサ18と一体的に形成される物理的なスイッチなどであってもよい。たとえば、操作部16としてのスイッチの上面などに指紋センサ18が形成されるものであってもよい。
【0088】
また、プロセッサ11は、S13と、S12、S14及びS15と、を同時並行で実行してもよい。また、プロセッサ11は、S14及びS15を実行している間に、接続要求を受信するものであってもよい。
【0089】
また、プロセッサ11は、S19と、S18、S20及びS21と、を同時並行で実行してもよい。また、プロセッサ11は、S20及びS21を実行している間に、指紋認証リクエストを受信するものであってもよい。
【0090】
また、テンプレートは、セキュリティエレメントなどに格納されるものであってもよい。この場合、セキュリティエレメントは、テンプレートと指紋情報との照合を行うものであってもよい。
【0091】
以上のように構成された認証システムは、端末と認証デバイスとの接続に関する操作をユーザから入力する際にユーザの指から指紋情報を取得する。認証システムは、指紋情報を用いて指紋認証を行い、指紋認証に成功すると認証情報を認証デバイスに格納する。
【0092】
認証システムは、認証デバイスが認証情報を格納した状態で端末から認証デバイスに指紋認証リクエストを送信すると、指紋認証に成功したことを示す指紋認証レスポンスを認証デバイスから端末に送信する。
【0093】
その結果、認証システムは、指紋認証リクエストを送信した後に指紋認証を行わなくとも、指紋認証に成功したことを示す指紋認証レスポンスを送信することができる。よって、認証システムは、指紋認証の手順を簡略化することができる。
【0094】
また、認証システムは、指紋認証を行う機会を複数回設けることができる。その結果、認証システムは、正規なユーザの指紋認証に失敗する可能性を低下させることができる。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1…認証システム、10…認証デバイス、11…プロセッサ、12…ROM、13…RAM、14…NVM、15…通信部、16…操作部、17…表示部、18…指紋センサ、19…バッテリ、20…端末。