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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160085
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20231026BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B65D77/04 B
B65D47/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070157
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】室屋 洋輔
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067BA03B
3E067BA03C
3E067BA12B
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BC07B
3E067BC07C
3E067EB27
3E067FA04
3E067FC01
3E084AA02
3E084AA37
3E084BA02
3E084CB02
3E084DB09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HB02
3E084HD04
3E084JA20
3E084KA20
3E084LA17
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】内袋を容器本体から引き抜きやすい、二重容器を提供する。
【解決手段】本発明によれば、容器本体と、キャップを備える、二重容器であって、前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、前記キャップは、前記容器本体の口部に装着され、前記口部において、前記内袋は、前記外殻から突出する突出部を備え、前記キャップは、カム部材と、キャップ胴部を備え、前記カム部材は、前記口部の周方向に前記外殻と係合されており、前記カム部材に対して前記突出部を回転させると、前記カム部材と前記突出部の間のカム機構の作用によって前記口部の軸方向の外向きに前記突出部が移動するように構成され、前記キャップ胴部は、前記軸方向及び周方向に前記突出部に係合する、二重容器が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、キャップを備える、二重容器であって、
前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、
前記キャップは、前記容器本体の口部に装着され、
前記口部において、前記内袋は、前記外殻から突出する突出部を備え、
前記キャップは、カム部材と、キャップ胴部を備え、
前記カム部材は、前記口部の周方向に前記外殻と係合されており、
前記カム部材に対して前記突出部を回転させると、前記カム部材と前記突出部の間のカム機構の作用によって前記口部の軸方向の外向きに前記突出部が移動するように構成され、
前記キャップ胴部は、前記軸方向及び周方向に前記突出部に係合する、二重容器。
【請求項2】
請求項1に記載の二重容器であって、
前記カム機構は、前記突出部に設けられた第1カム部と、前記カム部材に設けられた第2カム部を備え、
前記カム部材に対して前記突出部を回転させると、第1カム部が、第2カム部に対して軸方向に相対移動することによって、前記突出部が前記軸方向の外向きに移動するように構成される、二重容器。
【請求項3】
請求項2に記載の二重容器であって、
前記容器本体からの前記内袋の引き抜きを開始する前の初期状態において、第2カム部は、第1カム部よりも、前記突出部の開口端に近い側に配置され、
前記初期状態において、第2カム部は、第1カム部に向かって押し付けられている、二重容器。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の二重容器であって、
第1カム部は、雄ねじ部であり、第2カム部は、雌ねじ部である、二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外殻と内袋とを有する容器本体を備える二重容器が知られている。例えば、特許文献1には、外殻プリフォームと内袋プリフォームとを重ねた状態で二軸延伸ブロー成形を行うことによって形成した二重容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-10741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような二重容器の外殻と内袋とが別素材で成形されている場合や、使用後の内袋内に内容物が付着している場合等において、当該二重容器をリサイクルする際には、外殻と内袋とを分離することが望まれる。
【0005】
外殻と内袋は、内袋を容器本体から引き抜くことによって分離することが想定されており、内袋を容器本体から引き抜きやすくすることが望まれている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内袋を容器本体から引き抜きやすい、二重容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)容器本体と、キャップを備える、二重容器であって、前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、前記キャップは、前記容器本体の口部に装着され、前記口部において、前記内袋は、前記外殻から突出する突出部を備え、前記キャップは、カム部材と、キャップ胴部を備え、前記カム部材は、前記口部の周方向に前記外殻と係合されており、前記カム部材に対して前記突出部を回転させると、前記カム部材と前記突出部の間のカム機構の作用によって前記口部の軸方向の外向きに前記突出部が移動するように構成され、前記キャップ胴部は、前記軸方向及び周方向に前記突出部に係合する、二重容器。
(2)(1)に記載の二重容器であって、前記カム機構は、前記突出部に設けられた第1カム部と、前記カム部材に設けられた第2カム部を備え、前記カム部材に対して前記突出部を回転させると、第1カム部が、第2カム部に対して軸方向に相対移動することによって、前記突出部が前記軸方向の外向きに移動するように構成される、二重容器。
(3)(2)に記載の二重容器であって、前記容器本体からの前記内袋の引き抜きを開始する前の初期状態において、第2カム部は、第1カム部よりも、前記突出部の開口端に近い側に配置され、前記初期状態において、第2カム部は、第1カム部に向かって押し付けられている、二重容器。
(4)(2)又は(3)に記載の二重容器であって、第1カム部は、雄ねじ部であり、第2カム部は、雌ねじ部である、二重容器。
【0008】
本発明の二重容器では、キャップに設けられたカム部材と、内袋の突出部の間のカム機構の作用によって突出部の軸方向に内袋が移動するように構成されており、内袋の突出部には、キャップ胴部が軸方向及び周方向に係合している。このため、内袋の引き抜きの際に、キャップ胴部を回転させると、内袋の突出部が回転し、この回転に伴って突出部が軸方向外向きに移動し、これによって、内袋が捻られながら軸方向外向きに移動する。この後は、キャップ胴部を把持して引っ張ることによって内袋を引き抜くことができる。内袋の引き抜きに必要の力は、引き抜きの初期段階で大きくなる傾向があるが、本発明の構成では、内袋の突出部を回転させることによって、内袋が捻られながら軸方向外向きに移動するので、内袋を容器本体から引き抜きやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の二重容器1の斜視図である。図中の一点鎖線は、表面形状を構成する面の曲率が変化する境界線を表す。他の図についても同様である。
図2図1中の容器本体2の斜視図である。
図3図2中の領域Aの拡大図である。
図4】内袋4を外殻3から分離した状態の斜視図である。
図5図1中のキャップ8の分解斜視図である。
図6図1中のキャップ8を、キャップ本体27とカム部材25に分解し、下側から見た斜視図である。
図7図7Aは、キャップ胴部28の縦断面斜視図であり、図7Bは、キャップ胴部28内にカム部材25が保持された状態での縦断面斜視図であり、図7Cは、図7B中の領域Cの拡大図である。
図8】容器本体2にカム部材25が装着された状態の斜視図であ。
図9図9Aは、内袋4の引き抜きを開始する前の状態での、図1に示す二重容器1の、口部5の中心を通る縦断面図であり、図9Bは、図9A中のB-B断面図である。
図10図9Aの状態から、キャップ胴部28を回転させて、突出部4cを軸方向外向きに移動させた後の状態を示す、図9Aに対応する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0011】
1.第1実施形態
1-1.二重容器1の構成
<基本構成>
図1に示すように、本発明の第1実施形態の二重容器1は、容器本体2と、キャップ8を備える。
【0012】
図2図3に示すように、容器本体2は、口部5と、胴部6と、底部7を備える。口部5は、開口端5cを有する筒状(好ましくは円筒状)部位である。キャップ8は、口部5に装着される。口部5には、フランジ5bが設けられている。フランジ5bは、口部5にキャップ8を装着する際に口部5を支持するために利用可能である。以下の説明において、「軸方向」及び「周方向」は、それぞれ、別段の言及がない限り、口部5の軸方向及び周方向を意味する。また、以下の説明では、底部7に向かう向きを「下」、口部5に向かう向きを「上」と称する。また、内袋4が容器本体2から抜け出る向きを「外向き」と称する。
【0013】
胴部6は、口部5よりも開口端5cから離れた側に口部5に隣接して配置される。胴部6は、口部5よりも外径(本明細書において、「外径」は、断面が円形でない場合は、外接円径を意味する。)が大きい。胴部6は筒状であり、底部7は、胴部6の下端に設けられ、胴部6の下端を閉塞する。胴部6は、口部5から離れるにつれて外径が大きくなる肩部6bを備える。また、胴部6は、肩部6bよりも底部7側に、胴部本体6cを備える。胴部本体6cは、例えば、底部7に向かって外径が略一定である形状であるか、又は底部7に向かって縮径する形状である。
【0014】
図3図4に示すように、容器本体2は、内袋4と、内袋4を覆うように配置された外殻3を備える。内袋4は、突出部4c以外の部位が外殻3内に収容されている。以下の説明では、内袋4のうち、容器本体2の口部5、胴部6、及び底部7に相当する部位をそれぞれ、内袋4の口部5、胴部6、及び底部7のように称する。外殻3についても同様である。
【0015】
容器本体2の高さ方向の中央での外殻3の肉厚は、例えば、0.2~0.8mmであり、0.25~0.5mmが好ましい。この肉厚は、具体的には例えば、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。容器本体2の高さ方向の中央での内袋4の肉厚は、例えば、0.05~0.25mmであり、0.08~0.20mmが好ましい。この肉厚は、具体的には例えば、0.05、0.08、0.10、0.15、0.20、0.25mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0016】
キャップ8に逆止弁が設けられていない場合は、内袋4の内容物を吐出した後にも内袋4が収縮しないので、外殻3の口部5を通じて、内袋4を引き出すことが容易でない。本発明は、内袋4を外殻3の口部5を通じて引き出すことを容易にするものであるので、キャップ8に逆止弁が設けられていない場合に、本発明を適用する意義が特に顕著である。
【0017】
外殻3の口部5の内径は、例えば20~50mmであり、25~40mmが好ましい。外殻3の口部5の内径は、具体的には例えば、20、25、30、35、40、45、50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。口部5の長さは、例えば15~35mmであり、具体的には例えば、15、20、25、30、35mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0018】
<内袋4及び外殻3の構造の詳細>
図3図4に示すように、内袋4は、外殻3の開口端3aから突出する突出部4cを備える。突出部4cは、突出筒4c1と、係合凸部4c2と、雄ねじ部4c5を備える。突出部4cの開口端は、開口端5cと一致する。
【0019】
突出筒4c1は、下筒4c11と、上筒4c12を備える。上筒4c12は、下筒4c11よりも開口端5c側に配置されている。上筒4c12は、下筒4c11よりも外径が小さくなっている。係合凸部4c2は、上筒4c12に設けられ、雄ねじ部4c5は、下筒4c11に設けられている。なお、外径が異なる複数の筒を設けず、全体の外径を同じにしてもよい。
【0020】
係合凸部4c2は、突出筒4c1の外周面から径方向外側に向かって突出する。係合凸部4c2は、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられる。係合凸部4c2は、上面にテーパー面4c3が設けられている。これによって、後述するように、キャップ胴部28の環状凸部28c(図7に図示)が係合凸部4c2を乗り越えやすくなっている。雄ねじ部4c5は、突出筒4c1に設けられている。
【0021】
内袋4は、突出筒4c1の底部7側に隣接した位置に嵌合部4dを備える。嵌合部4dは、外殻3内に挿入され、外殻3に嵌合される。嵌合部4dの外径は、突出筒4c1よりも小さくなっており、嵌合部4dと突出筒4c1の間に段差4eが設けられている。段差4eにおいて、突出筒4c1の下面が開口端3aに当接することによって、内袋4が外殻3に対して位置決めされる。
【0022】
嵌合部4dの外径は、外殻3の開口端3aに隣接して設けられた嵌合部3bの内径よりもわずかに大きくなっており、嵌合部4dと嵌合部3bの嵌合によって、内袋4が外殻3に保持される。嵌合部4dよりも、開口端5cから離れた側には縮径部4fが設けられている。縮径部4fは、嵌合部4dよりも外径が小さくなっている。
【0023】
外殻3は、フランジ5bよりも開口端3aに近い位置に、径方向外側に向かって突出する係合凸部3cを備える。係合凸部3cは、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では4箇所)に設けられている。
【0024】
<キャップ8の構造の詳細>
図5図9を用いて、キャップ8について説明する。図5に示すように、キャップ8は、カム部材25と、キャップ本体27を備える。
【0025】
・カム部材25
図5図8に示すように、カム部材25は、筒部25aと、係合凸部25bと、雌ねじ部25cと、付勢部25dを備える。
【0026】
図8に示すように、筒部25aは、突出部4cの外側に配置される。係合凸部25bは、筒部25aの下端25eから軸方向に突出する。係合凸部25bは、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では4箇所)に設けられる。係合凸部25bは、隣接する係合凸部3cの間に配置され、これによって、カム部材25が、口部5の周方向に外殻3に係合する。
【0027】
雌ねじ部25cは、筒部25aの内周面に設けられる。雄ねじ部4c5と雌ねじ部25cは、それぞれ、カム機構9を構成する第1及び第2カム部9a,9bとして機能する。
【0028】
カム機構9は、カム部材25に対して突出部4cを回転させると、カム部材25と突出部4cの間のカム機構9の作用によって口部5の軸方向外向きに突出部4cが移動するように構成されている。より具体的には、カム機構9は、突出部4cに設けられた第1カム部9aと、カム部材25に設けられた第2カム部9bを備え、カム部材25に対して突出部4cを回転させると、第1カム部9aが、第2カム部9bに対して軸方向に相対移動することによって、突出部4cが軸方向外向きに移動するように構成される
【0029】
付勢部25dは、筒部25aを下方に付勢する機能を有する。付勢部25dは、筒部25aの上端25fに設けられることが好ましく、上端25fから斜め方向に延びる突出部25d1で構成されることが好ましい。突出部25d1は、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられる。付勢部25dは、筒部25aと一体に形成されていることが好ましいが、別部材で構成してもよい。
【0030】
・キャップ本体27
図5図6に示すように、キャップ本体27は、キャップ胴部28と、キャップ蓋部29を備える。キャップ本体27は、図1に示す係合状態と、図5に示す分離状態が切替可能になっている。係合状態では、キャップ蓋部29がキャップ胴部28に係合されて一体化されている。分離状態では、キャップ蓋部29がキャップ胴部28から分離されている。分離状態では、キャップ蓋部29は、キャップ胴部28から完全に離れていてもよく、ヒンジ等で連結されていてもよい。キャップ本体27を係合状態にすることによって内袋4内の内容物が漏出しないようにすることができ、キャップ本体27を分離状態にすることによって内袋4内の内容物が吐出可能になる。
【0031】
・キャップ胴部28
図5図10に示すように、キャップ胴部28は、外筒28aと、内筒28bと、環状凸部28cと、係合凸部28dと、係合凸部28gと、インナーリング28lと、第1天板28mと、第2天板28nと、上筒28oと、ノズル28jを備える。
【0032】
図9Aに示すように、第1天板28mは、外筒28aの上面に設けられる。第1天板28mの下面には内筒28bが設けられている。内筒28bは、外筒28aよりも直径が小さく、外筒28aの内部に配置される。
【0033】
図7Cに示すように、環状凸部28cは、内筒28bの内周面に周方向に延びるように設けられる環状の凸部である。環状凸部28cが係合凸部4c2と軸方向に係合することによって、キャップ胴部28が内袋4の突出部4cに軸方向に係合する。図7C及び図9Bに示すように、係合凸部28dは、内筒28bの内周面に、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられている。係合凸部28dは、環状凸部28cよりも、内筒28bの下端から離れた位置に配置されている。係合凸部28dは、隣接する係合凸部4c2の間に配置され、これによって、キャップ胴部28が内袋4の突出部4cに周方向に係合する。
【0034】
係合凸部28gは、外筒28aの内周面に設けられている。係合凸部28gは、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では4箇所)に設けられている。係合凸部28gには、キャップ胴部28内に配置されたカム部材25の筒部25aの下端25eが当接して、内袋4の引き抜きを開始する前に、カム部材25がキャップ胴部28内に保持されるようになっている。なお、内袋4の引き抜きを開始した後は、図9図10に示すように、下端25eが係合凸部28gを乗り越え、キャップ胴部28の下端28iからはみ出す。
【0035】
カム部材25をキャップ胴部28内に配置する際は筒部25aの上端25fが係合凸部28gを乗り越え、内袋4を引き抜く際には、筒部25aの下端25eが係合凸部28gを乗り越える。このため、上端25f及び下端25eがスムーズに係合凸部28gを乗り越えるように、図7Aに示すように、係合凸部28gの上側及び下側にテーパー面28g1が設けられている。
【0036】
図5に示すように、第1天板28mの上面には、上筒28oが設けられており、上筒28oの上面には、第2天板28nが設けられている。図9Aに示すように、第2天板28nの下面には、インナーリング28lが設けられている。インナーリング28lは、内筒28bよりも直径が小さく、内筒28bの内部に配置される。突出筒4c1の先端部4c13は、内筒28bとインナーリング28lの間に配置される。ノズル28jは、第2天板28nに設けられている。ノズル28jには、開口28kが設けられている。
【0037】
・キャップ蓋部29
図5及び図9に示すように、キャップ蓋部29は、外筒29aと、内筒29eと、インナーリング29bと、天板29cと、つまみ29dを備える。
【0038】
天板29cは、外筒29aの上面に設けられる。天板29cの下面には内筒29e及びインナーリング29bが設けられている。内筒29eは、外筒29aよりも直径が小さく、外筒29aの内部に配置される。上筒28oの外周面が内筒29eの内周面に嵌合することによって、キャップ蓋部29がキャップ胴部28に固定される。
【0039】
インナーリング29bは、内筒29eよりも直径が小さく、内筒29eの内部に配置される。インナーリング29bは、キャップ8が口部5に装着された状態で、インナーリング29bの外周面がノズル28jの内周面に当接して開口28kを閉塞可能なように構成されている。つまみ29dは、外筒29aの外周面に設けられており、つまみ29dに指を引っ掛けてキャップ蓋部29をキャップ胴部28から分離するのに用いることができる。
【0040】
<キャップ8の組み立て方法>
キャップ8を口部5に装着する前に、キャップ8の組み立てを行うことが好ましい。これによって、内容物の充填ラインでのキャップ8の装着工程の単純化が可能だからである。
【0041】
キャップ8の組み立ては、図6に示すように、キャップ胴部28の下側からキャップ胴部28内にカム部材25を挿入し、係合凸部28gでカム部材25の下端25eを係止させることによって行うことができる。
【0042】
以上の工程で、カム部材25がキャップ胴部28によって保持された状態のキャップ8が得られる。
【0043】
<キャップ8の装着方法>
キャップ8は、打栓式であり、キャップ8を口部5に被せた状態で軸方向下向きの力をキャップ8に加えてキャップ8を口部5に押し付けると、環状凸部28cが係合凸部4c2を乗り越えて、軸方向に係合することによって、キャップ8が口部5に装着される。
【0044】
<内袋4の引き抜き方法>
以下、内袋4の引き抜き方法について説明する。以下の説明において、雄ねじ部4c5及び雌ねじ部25cは、それぞれ、適宜、第1及び第2カム部9a,9bと読み替え可能である。
【0045】
図9Aに示すように、内袋4の引き抜きを開始する前の状態では、カム部材25の雌ねじ部25cが、内袋4の雄ねじ部4c5の上側に配置されている。カム部材25は、付勢部25dの上側がキャップ胴部28の第1天板28mの下面に押し付けられて付勢部25dが弾性変形した状態になっている。付勢部25dの復元力によってカム部材25が下方に付勢される。そして、カム部材25が下方に付勢されることによって雌ねじ部25cが雄ねじ部4c5に押し付けられる。
【0046】
この状態で、キャップ胴部28を回転させる。キャップ胴部28は、内袋4の突出部4cに周方向に係合しているので、キャップ胴部28の回転に伴って、突出部4cも回転する。内袋4の胴部6は、突出部4cよりも回転されにくいので、突出部4cの回転に伴って、内袋4が捻られながら縮径される。この際に、内袋4がキャップ8で密閉されていると内袋4内のエアが抜けず、内袋4が縮径されにくいので、キャップ胴部28を回転させる前に、キャップ蓋部29を外しておくことが好ましい。
【0047】
カム部材25は、雌ねじ部25cが雄ねじ部4c5に押し付けられているので、突出部4cの回転に伴ってカム部材25も回転しようとする。しかし、図8に示すように、カム部材25は、係合凸部25bが外殻3の係合凸部3cに係合することによって、外殻3に周方向に係合されているので、突出部4cが回転しても、カム部材25が回転することがない。このため、キャップ胴部28の回転に伴って、突出部4cが、カム部材25に対して相対回転する。
【0048】
カム部材25に対して突出部4cを回転させると、雌ねじ部25cと雄ねじ部4c5が噛み合い、カム機構9の作用によって突出部4cが軸方向外向きに移動する。雌ねじ部25cは雄ねじ部4c5に押し付けられているので、雌ねじ部25cと雄ねじ部4c5が噛み合わずに空回りすることが抑制される。
【0049】
容器本体2からの内袋4の引き抜きを開始する前の初期状態において、雌ねじ部25cは、雄ねじ部4c5よりも、開口端5cに近い側に配置されている。そして、カム部材25に対して突出部4cを回転させるにつれて、雌ねじ部25cと雄ねじ部4c5が螺合される螺合長が長くなることによって、軸方向外向きに突出部4cが移動する。
【0050】
なお、雌ねじ部25cと雄ねじ部4c5は、キャップ8を上側から見て、反時計回りに回転させると螺合するように構成されているので、内袋4の引き抜きの際には、キャップ胴部28は、反時計回りに回転させる。なお、雌ねじ部25cと雄ねじ部4c5が逆方向の回転で螺合するように構成されている場合は、内袋4の引き抜きの際には、キャップ胴部28は、時計回りに回転させる。
【0051】
このように、キャップ胴部28を回転させると、突出部4cが回転しながら軸方向外向きに移動する。このため、内袋4は、捻られながら軸方向外向きに移動し、内袋4の肩部6bの少なくとも一部が、外殻3の口部5に移動する。内袋4の肩部6bは拡径されていてかつ肉厚が比較的大きいので、内袋4を引き抜く際の抵抗力が大きくなりやすいが、内袋4の肩部6bが外殻3の口部5に移動することによって、内袋4の肩部6bを引き抜く際の抵抗力が低減される。
【0052】
図10に示すように、突出部4cが軸方向外向きに移動するにつれて、カム部材25が突出部4cに対して相対的に下方に移動する。カム部材25は、係合凸部28gを乗り越えて、下方に移動し、下端25eが係合凸部3cによって係止される。
【0053】
この後、内袋4を引き抜く向きにキャップ胴部28を引っ張る(つまり、軸方向外向きの力を加える)。キャップ胴部28は、突出部4cに軸方向に係合しているので、キャップ胴部28を引っ張ることによって、内袋4を容器本体2から引き抜くことができる。
【0054】
このように、本実施形態によれば、単に、キャップ胴部28を回転させた後に引っ張るという単純で直感的な操作によって、内袋4を容易に引き抜くことができる。また、キャップ8の装着は打栓式で行うことができるので、内容物の充填ラインにおいてもスムーズな装着が可能である。
【0055】
1-2.二重容器1の製造方法
二重容器1は、容器本体2にキャップ8を装着することによって製造することができる。容器本体2は、一例では、内袋4となる内プリフォームと、外殻3となる外プリフォームを重ねて組み立てることによって構成されたプリフォームを二軸延伸ブロー成形することによって製造することができる。内プリフォームと外プリフォームには、それぞれ、嵌合部4dと嵌合部3bに対応する部位を備えており、内プリフォームの嵌合部を外プリフォームの嵌合部に嵌合させることによって、プリフォームを容易に組み立てることができる。二軸延伸ブロー成形では、内袋4が外殻3に密着されにくく、内袋4を引き抜きやすいという効果が奏される。また、内プリフォームは、縮径部4fに対応する部位を備えることが好ましい。この場合、内プリフォームを外プリフォームに挿入する際の抵抗力が低減される。なお、プリフォームの口部の形状は、二軸延伸ブロー成形の際にほとんど変化しないので、プリフォームの口部の形状は、ほぼそのまま容器本体2の口部の形状となる。
【0056】
2.その他の実施形態
・上記実施形態では、カム機構9は、雄ねじ部4c5と雌ねじ部25cで構成したが、カム機構9としては、突出部4cの回転に伴って、突出部4cが軸方向外向きに移動するものであれば、別の構成のものを採用してもよい。
・上記実施形態では、カム部材25は、筒状のものであったが、カム機構9を構成可能であれば、カム部材は筒状でなくてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 :二重容器
2 :容器本体
3 :外殻
3a :開口端
3b :嵌合部
3c :係合凸部
4 :内袋
4c :突出部
4c1 :突出筒
4c11 :下筒
4c12 :上筒
4c13 :先端部
4c2 :係合凸部
4c3 :テーパー面
4c5 :雄ねじ部
4d :嵌合部
4e :段差
4f :縮径部
5 :口部
5b :フランジ
5c :開口端
6 :胴部
6b :肩部
6c :胴部本体
7 :底部
8 :キャップ
9 :カム機構
9a :第1カム部
9b :第2カム部
25 :カム部材
25a :筒部
25b :係合凸部
25c :雌ねじ部
25d :付勢部
25d1 :突出部
25e :下端
25f :上端
27 :キャップ本体
28 :キャップ胴部
28a :外筒
28b :内筒
28c :環状凸部
28d :係合凸部
28g :係合凸部
28g1 :テーパー面
28i :下端
28j :ノズル
28k :開口
28l :インナーリング
28m :第1天板
28n :第2天板
28o :上筒
29 :キャップ蓋部
29a :外筒
29b :インナーリング
29c :天板
29d :つまみ
29e :内筒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10