(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160102
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】カメラ装置
(51)【国際特許分類】
G03B 9/02 20210101AFI20231026BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20231026BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20231026BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20231026BHJP
【FI】
G03B9/02 B
G03B17/18 A
G03B17/02
G02B7/02 H
G02B7/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070190
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】村山 美樹
【テーマコード(参考)】
2H044
2H080
2H100
2H102
【Fターム(参考)】
2H044AF07
2H044AG01
2H080AA19
2H080AA66
2H080AA87
2H080BB01
2H080EE00
2H100AA24
2H100BB05
2H102AA03
2H102BB01
2H102CA04
(57)【要約】
【課題】現在の絞り径を安価かつ自由度の高い構成によりユーザに知らせることができるカメラ装置を提供する。
【解決手段】カメラ装置1は、被写体からの光が通過可能な窓21Aが形成されたステージ21と、絞り開口54A,54B,54C,54Dが形成された絞りプレート50と、指標孔9A,9B,9C,9Dが間隔Wで形成されたフロントカバー2と、フロントカバー2に収容される指標部材40とを備える。絞りプレート50は、ステージ21の窓21Aが絞り開口に整列する絞り位置の間で移動可能に構成される。指標部材40は、絞りプレート50の絞り位置に対応して距離Dごとに移動可能に構成される。指標部材40には、基準位置Rから距離0,(W-D),2(W-D),3(W-D)の位置に指標孔に対応してマーカ41A,41B,41C,41Dがそれぞれ形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光が通過可能な窓が形成されたステージと、
N個の絞り開口が形成された絞り部材であって、前記ステージの前記窓が前記絞り開口に整列するN個の絞り位置の間で移動可能な絞り部材と、
N個の指標孔が間隔Wで形成されたカバーと、
前記カバーに収容される指標部材であって、前記絞り部材の前記N個の絞り位置に対応して距離Dごとに移動可能な指標部材と
を備え、
前記指標部材には、kを1からNまでの整数として、基準位置から距離(k-1)×(W-D)の位置に前記カバーの前記指標孔に対応してN個のマーカが形成される、
カメラ装置。
【請求項2】
前記指標部材は、一方向に直線的に移動するように構成される、請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項3】
W=N×Dである、請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項4】
ユーザの操作により回転可能な操作リングと、
前記操作リングの回転を前記絞り部材に伝達して前記絞り部材を移動させる第1の駆動機構と
をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のカメラ装置。
【請求項5】
前記操作リングは、前記カバーに形成された溝を通じて外部に延びる操作レバーを有する、請求項4に記載のカメラ装置。
【請求項6】
前記操作リングの回転を前記指標部材に伝達して前記指標部材を移動させる第2の駆動機構をさらに備える、請求項4に記載のカメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ装置に係り、特に絞り径を調整可能な機構を有するカメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の異なる径の絞り開口が形成された絞りプレートを回転させることでレンズの絞り径を調整できるようにしたカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなカメラにおいては、レンズ鏡筒の周囲に取り付けられた操作リングをユーザがレンズ鏡筒に対して回転させることで、レンズ鏡筒の内部に配置された歯車機構を介して絞りプレートが回転し、絞り径が変化するようになっている。引用文献1に開示されているカメラでは、操作リングの周囲に複数の発光指標を周方向に沿って設け、これらの発光指標のうち点灯している発光指標に操作環の位置指標を合わせることで絞り径が調整される。
【0003】
しかしながら、このような構成では、操作リング上に位置指標を形成する必要があることに加えて、操作リングの周囲にも複数の発光指標を周方向に沿って配置する必要がある。このため、このような指標を設けることができる位置が操作リング及びその近傍に限定されてしまい、設計上及び外観上の制約が大きい。また、引用文献1に開示されているカメラは発光指標を用いているため、発光ダイオードや電子回路を必要とし、製造コストが増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、現在の絞り径を安価かつ自由度の高い構成によりユーザに知らせることができるカメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、現在の絞り径を安価かつ自由度の高い構成によりユーザに知らせることができるカメラ装置が提供される。このカメラ装置は、被写体からの光が通過可能な窓が形成されたステージと、N個の絞り開口が形成された絞り部材と、N個の指標孔が間隔Wで形成されたカバーと、上記カバーに収容される指標部材とを備える。上記絞り部材は、上記ステージの上記窓が上記絞り開口に整列するN個の絞り位置の間で移動可能に構成される。上記指標部材は、上記絞り部材の上記N個の絞り位置に対応して距離Dごとに移動可能に構成される。上記指標部材には、kを1からNまでの整数として、基準位置から距離(k-1)×(W-D)の位置に上記カバーの上記指標孔に対応してN個のマーカが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態におけるカメラ装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のカメラ装置のハウジングの内部に収容されるレンズ鏡筒を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すレンズ鏡筒のベース部材の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示すレンズ鏡筒からレンズフレームを取り除いた状態を示す正面図である。
【
図6】
図6は、
図2に示すハウジング及び指標部材の分解斜視図である。
【
図8】
図8は、
図2に示す操作リングの回転を指標部材に伝達する機構を説明するための模式図である。
【
図9】
図9は、
図1に示すフロントカバーの突出部に形成された指標孔と
図7Bに示す指標部材のマーカとの関係を示す模式図である。
【
図10】
図10は、
図2に示す操作リングの回転を指標部材に伝達する機構を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係るカメラ装置の実施形態について
図1から
図10を参照して詳細に説明する。
図1から
図10において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、
図1から
図10においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態におけるカメラ装置1を示す斜視図である。本実施形態におけるカメラ装置1は、撮影後に自動的に現像が可能な写真フィルムを用いるカメラ(インスタントカメラ)であるが、本発明はこのようなインスタントカメラ以外にも適用できることは言うまでもない。なお、本実施形態では、便宜的に、
図1における+Z方向を「前」又は「前方」、-Z方向を「後」又は「後方」ということとする。
【0010】
図1に示すように、カメラ装置1は、フロントカバー2と、フロントカバー2の後方に装着されるリアカバー3と、フロントカバー2とリアカバー3とに挟まれるトップカバー4とを備えている。フロントカバー2にはファインダ窓5が形成されている。ファインダ窓5の-Z方向側にはレリーズボタン6が配置されている。トップカバー4には、Y方向に延びる排出スリット4Aが形成されており、この排出スリット4Aから撮影後に現像された写真フィルムが排出されるようになっている。
【0011】
フロントカバー2、リアカバー3、及びトップカバー4により形成される空間の内部には
図2に示すレンズ鏡筒10が収容されている。このレンズ鏡筒10は、現像液を内包した写真フィルムを収容可能な枠体(図示せず)に取り付けられる固定部12と、固定部12に取り付けられるベース部材20と、少なくとも1枚のレンズ14を有するレンズフレーム16と、ベース部材20の周囲を覆うハウジング30と、ハウジング30に取り付けられた指標部材40と、ベース部材20及びハウジング30に対して回転可能な操作リング60とを含んでいる。
【0012】
操作リング60の内周には内歯ギア部61が形成されており、外周には外歯ギア部62が形成されている。内歯ギア部61及び外歯ギア部62は、それぞれ周方向に沿って配置された複数の歯を有している。また、操作リング60は、半径方向外側に向かって延びる操作レバー63を有している。
【0013】
図1に戻って、フロントカバー2は、直方体状の基部7と、基部7から+Z方向に突出し、上述したレンズ鏡筒10を内部に収容する突出部8とを含んでいる。突出部8の前面にはレンズ開口8Aが形成されており、このレンズ開口8Aからレンズ鏡筒10内のレンズ14が露出するようになっている。このレンズ開口8Aは図示しないバリアにより開閉可能となっている。また、フロントカバー2の突出部8の+Y方向側の側面8Bには、ユーザに現在の絞り径を示すための4つの指標孔9A,9B,9C,9DがX方向に並んで形成されている。
【0014】
図3は、ベース部材20の分解斜視図、
図4は、
図2に示すレンズ鏡筒10からレンズフレーム16を取り除いた状態を示す正面図である。
図3及び
図4に示すように、ベース部材20は、前部に配置されたステージ21と、ステージ21上に配置された絞りプレート50(絞り部材)と、絞りプレート50の外周を押圧する押圧レバー24とを含んでいる。
【0015】
図4に示すように、操作リング60の操作レバー63は、フロントカバー2の突出部8の側面8Cに形成された溝(図示せず)から-Y方向に突出しており、ユーザはこの操作レバー63を操作して操作リング60を回転できるようになっている。操作リング60を回転させると、後述するように、絞りプレート50が操作リング60の回転に連動して回転するようになっている。
【0016】
図5Aは、絞りプレート50を示す正面図、
図5Bは平面図、
図5Cは背面図である。
図5Aから
図5Cに示すように、絞りプレート50は、プレート本体51と、プレート本体51の後面に形成されたギア部52とを備えている。ギア部52は、周方向に沿って配置された複数の歯を有している。ギア部52の中央には、円形の軸受凹部53が形成されている。プレート本体51には、複数の(本実施形態では4つの)絞り開口54A~54Dが軸受凹部53を中心とする円周上に並んで形成されている。
【0017】
図3に戻って、ベース部材20のステージ21には、+Z方向に延びる支軸22が形成されており、この支軸22は、上述した絞りプレート50の軸受凹部53に受け入れられるようになっている。これにより絞りプレート50が支軸22を中心として回転できるようになっている。絞りプレート50の絞り開口54A~54Dは、絞りプレート50が支軸22を中心として回転した際に、ステージ21に形成された矩形状の窓21Aを通過する位置に配置されている。
【0018】
押圧レバー24は、図示しないバネによって絞りプレート50に向かって付勢されている。付勢される押圧レバー24のローラ24Aが絞りプレート50の外周に形成した凹部55に係合することで、絞りプレート50が適切な回転位置に保持されるようになっている。本実施形態における絞りプレート50は、4つの回転位置(第1の絞り位置から第4の絞り位置)に保持されるようになっている。
【0019】
絞りプレート50が第1の絞り位置にあるときは、絞りプレート50の最も大きな絞り開口54Aがステージ21の窓21Aに整列し、絞り開口54Aがレンズ14の絞り径を規定する。
図4はこの状態を示している。絞りプレート50が第1の絞り位置から
図4の時計回りに90度回転した位置が第2の絞り位置であり、この第2の絞り位置では、絞りプレート50の2番目に大きな絞り開口54Bがステージ21の窓21Aに整列し、絞り開口54Bがレンズの絞り径を規定する。絞りプレート50が第2の絞り位置から
図4の時計回りに90度回転した位置が第3の絞り位置であり、この第3の絞り位置では、絞りプレート50の3番目に大きな絞り開口54Cがステージ21の窓21Aに整列し、絞り開口54Cがレンズの絞り径を規定する。絞りプレート50が第3の絞り位置から
図4の時計回りに90度回転した位置が第4の絞り位置であり、この第4の絞り位置では、絞りプレート50の最も小さい絞り開口54Dがステージ21の窓21Aに整列し、絞り開口54Dがレンズの絞り径を規定する。
【0020】
図3に示すように、レンズ鏡筒10は、それぞれZ軸周りに回転可能な歯車71~76を含んでいる。歯車71は、ベース部材20とレンズフレーム16との間で回転可能に支持されている。この歯車71は、操作リング60の内歯ギア部61と噛合しており、操作リング60の回転に伴ってZ軸周りに回転するようになっている。歯車72は、ステージ21から+Z方向に延びるギア軸23に取り付けられており、このギア軸23を中心として回転できるようになっている。この歯車72は、歯車71及び絞りプレート50のギア部52と噛合している。
【0021】
このような構成により、例えば、ユーザが操作リング60の操作レバー63を操作して操作リング60を
図4における時計回りに回転させると、操作リング60の内歯ギア部61と歯車71との噛合により、歯車71が時計回りに回転し、歯車72が反時計回りに回転し、この結果、歯車72と絞りプレート50のギア部52との噛合により絞りプレート50が支軸22を中心として時計周りに回転する。このように、本実施形態では、操作リング60の内歯ギア部61、歯車71、歯車72、及び絞りプレート50のギア部52が、操作リング60の回転を絞りプレート50に伝達して絞りプレート50を移動(回転)させる第1の駆動機構を構成している。
【0022】
図3に示す歯車73は、ベース部材20の軸部81に取り付けられるシャフト89(
図2参照)に回転可能に支持されている。この歯車73は、操作リング60の外歯ギア部62と噛合する歯車部73Aと、歯車部73Aよりも歯数の多い歯車部73Bとを含む2段歯車により構成されている。歯車74は、ベース部材20の軸部82に取り付けられるシャフト(図示せず)に回転可能に支持される。この歯車74は、歯車73の歯車部73Bに噛合する歯車部74Aと、歯車部74Aよりも径の大きな歯車部74Bとを含む2段歯車により構成されている。
【0023】
歯車75は、ベース部材20の軸部83に取り付けられるシャフト(図示せず)に回転可能に支持されている。この歯車75は、歯車74の歯車部74Bに噛合する歯車部75Aと、歯車部75Aよりも径の大きな歯車部75Bとを含む2段歯車により構成されている。歯車76は、ベース部材20の軸部84に取り付けられるシャフト(図示せず)に回転可能に支持されている。この歯車76は、歯車75の歯車部75Bに噛合している。
【0024】
図6は、ハウジング30及び指標部材40の分解斜視図、
図7Aは、指標部材40の正面図、
図7Bは平面図、
図7Cは底面図、
図7Dは背面図である。
図6に示すように、指標部材40は、X方向に移動可能な状態でハウジング30の+Y方向側の側面に取り付けられる。この指標部材40は、フロントカバー2の突出部8の指標孔9A,9B,9C,9Dの-Y方向側に収容されている。
【0025】
図7Aから
図7Dに示すように、指標部材40は、表面に4つのマーカ41A,41B,41C,41Dが形成された表示部42と、表示部42に連結された基部43とを有している。
図7C及び
図7Dに示すように、指標部材40の基部43の-Y方向側の面には、X方向に沿って延びるラック部44が形成されており、このラック部44は、X方向に沿って配置された複数の歯を有している。
【0026】
マーカ41A,41B,41C,41Dは、例えば指標部材40の表示部42の一部を着色したり、表示部42にシールや色の付いた他の部材を貼付したりすることで形成することができる。これらのマーカ41A,41B,41C,41Dは、フロントカバー2の突出部8の側面8Bに形成された指標孔9A,9B,9C,9Dにそれぞれ対応するものであり、ユーザに現在の絞り径を示すためのものである。
【0027】
図6に示すように、ハウジング30は、指標部材40の表示部42を支持する第1の支持部31と、第1の支持部31から+Y方向に突出し、指標部材40の基部43を支持する第2の支持部32とを有している。第2の支持部32は、指標部材40の表示部42を第1の支持部31上に保持するための押さえ部33と、指標部材40の基部43を第2の支持部32上に保持するための押さえ部34とを有している。なお、指標部材40の基部43には、指標部材40をハウジング30に取り付ける際に、押さえ部33を通過させるための切欠き46が形成されている。
【0028】
ハウジング30の第2の支持部32には、指標部材40のラック部44を収容する凹部36が形成されている。この凹部36には連通孔37が形成されており、この連通孔37を介して指標部材40のラック部44が歯車76と噛合している。
【0029】
ここで、
図8に示すように、操作リング60の外歯ギア部62は、歯車73の歯車部73Aに噛合しており、歯車73の歯車部73Bは歯車74の歯車部74Aに噛合している。また、歯車74の歯車部74Bは歯車75の歯車部75Aに噛合しており、歯車75の歯車部75Bは歯車76に噛合している。さらに、歯車76は、指標部材40のラック部44に噛合している。
【0030】
このような構成により、例えば、ユーザが操作リング60の操作レバー63を操作して操作リング60を
図8における時計回りに回転させると、操作リング60の外歯ギア部62と歯車73との噛合により、歯車73が反時計回りに回転し、歯車74が時計回りに回転し、歯車75が反時計回りに回転し、歯車76が時計回りに回転し、この結果、歯車76と指標部材40のラック部44との噛合により指標部材40が+X方向に移動する。このように、本実施形態では、操作リング60の外歯ギア部62、歯車73、歯車74、歯車75、歯車76、及び指標部材40のラック部44が、操作リング60の回転を指標部材40に伝達して指標部材40を移動させる第2の駆動機構を構成している。
【0031】
ここで、上述した押圧レバー24と絞りプレート50の凹部55との係合及び図示しないストッパと操作リング60のカム64(
図2参照)との係合により、絞りプレート50は第1の絞り位置、第2の絞り位置、第3の絞り位置、及び第4の絞り位置にそれぞれ保持される。操作リング60を
図4の時計回りに回転させて絞りプレート50を第1の絞り位置から第2の絞り位置に、第2の絞り位置から第3の絞り位置に、第3の絞り位置から第4の絞り位置にそれぞれ移動させたとき、指標部材40は+X方向に距離Dだけ移動する。
【0032】
指標部材40の基部43の+X方向側の端部にはフック部45が形成されている。このフック部45とハウジング30に形成されたフック部35(
図6参照)との間には、図示しないコイルバネが引っ張り状態で設けられ、指標部材40が+X方向に向けて付勢される。
【0033】
図9は、
図1に示すフロントカバー2の突出部8に形成された指標孔9A,9B,9C,9Dと
図7Bに示す指標部材40のマーカ41A,41B,41C,41Dとの関係を示す模式図である。
図9に示すように、指標孔9A,9B,9C,9DはX方向に沿って等間隔Wで配置されている。指標孔9Aは、現在の絞り径が最も大きいことをユーザに示すために使用され、指標孔9Bは、現在の絞り径が2番目に大きいことをユーザに示すために使用され、指標孔9Cは、現在の絞り径が3番目に大きいことをユーザに示すために使用され、指標孔9Dは、現在の絞り径が最も小さいことをユーザに示すために使用される。
【0034】
ここで、X方向におけるマーカ41Aの位置を基準位置Rとすると、マーカ41Bは、
図9に示すように、基準位置Rから-X方向に距離(W+D)の位置に形成され、マーカ41Cは、基準位置Rから-X方向に距離(2W+2D)の位置に形成されている。また、マーカ41Dは、基準位置Rから-X方向に距離(3W+3D)の位置に形成されている。
【0035】
絞りプレート50が
図4に示す第1の絞り位置にあるとき、指標部材40のマーカ41Aが、
図9に示すように、フロントカバー2の指標孔9Aに整列するようになっている(第1指標状態)。このとき、マーカ41A以外のマーカ41B,41C,41Dは指標孔9B,9C,9Dと整列しておらず、
図10の「第1指標状態」に示すように、指標孔9A,9B,9C,9Dのうち、指標孔9Aのみからマーカ41Aが外部に見えるようになっている。この指標孔9Aから見えるマーカ41Aによって、ユーザは現在の絞り径が最も大きいことを知ることができる。
【0036】
図10の第1の指標状態から操作リング60を
図4の時計回りに回転させて絞りプレート50を第2の絞り位置に回転させると、指標部材40が+X方向に距離Dだけ移動する(第2指標状態)。このとき、フロントカバー2の指標孔9Bと指標部材40のマーカ41Bとが整列し、他のマーカ41A,41C,41Dは指標孔9A,9C,9Dと整列していない。このため、
図10の「第2指標状態」に示すように、指標孔9A,9B,9C,9Dのうち、指標孔9Bのみからマーカ41Bが外部に見えるようになっている。この指標孔9Bから見えるマーカ41Bによって、ユーザは現在の絞り径が2番目に大きいことを知ることができる。
【0037】
図10の第2の指標状態から操作リング60を
図4の時計回りに回転させて絞りプレート50を第3の絞り位置に回転させると、指標部材40が+X方向にさらに距離Dだけ移動する(第3指標状態)。このとき、フロントカバー2の指標孔9Cと指標部材40のマーカ41Cとが整列し、他のマーカ41A,41B,41Dは指標孔9A,9B,9Dと整列していない。このため、
図10の「第3指標状態」に示すように、指標孔9A,9B,9C,9Dのうち、指標孔9Cのみからマーカ41Cが外部に見えるようになっている。この指標孔9Cから見えるマーカ41Cによって、ユーザは現在の絞り径が3番目に大きいことを知ることができる。
【0038】
図10の第3の指標状態から操作リング60を
図4の時計回りに回転させて絞りプレート50を第4の絞り位置に回転させると、指標部材40が+X方向にさらに距離Dだけ移動する(第4指標状態)。このとき、フロントカバー2の指標孔9Dと指標部材40のマーカ41Dとが整列し、他のマーカ41A,41B,41Cは指標孔9A,9B,9Cと整列していない。このため、
図10の「第4指標状態」に示すように、指標孔9A,9B,9C,9Dのうち、指標孔9Dのみからマーカ41Dが外部に見えるようになっている。この指標孔9Dから見えるマーカ41Dによって、ユーザは現在の絞り径が最も小さいことを知ることができる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、絞りプレート50の絞り位置に応じて、フロントカバー2の突出部8の内部に収容された指標部材40のマーカ41A,41B,41C,41Dを対応する指標孔9A,9B,9C,9Dに整列させることが可能となるため、指標孔9A,9B,9C,9Dから見えるマーカ41A,41B,41C,41Dによってユーザに現在の絞り径を知らせることができる。このような指標部材40及び指標孔9A,9B,9C,9Dの位置は、絞りプレート50を回転させる操作リング60とは関係なく決めることができるため、絞り径をユーザに知らせる機能を設計上及び外観上の制約を大きく受けることなくカメラ装置1に付与することができる。また、この構成は、発光ダイオードや電子回路も必要としないため、安価に製造することが可能である。
【0040】
本実施形態では、絞りプレート50の4つの絞り開口54A,54B,54C,54Dに対応して指標部材40のマーカ41A,41B,41C,41D及びフロントカバー2の指標孔9A,9B,9C,9Dを形成しているが、絞り開口54A,54B,54C,54Dの数はこれに限られるものではなく、Nを2以上の整数として、絞りプレート50にN個の絞り開口が形成されている場合に本発明を適用することができる。
【0041】
すなわち、N個の絞り開口が絞りプレート50に形成されている場合には、絞りプレート50はN個の絞り位置の間で移動可能に構成され、フロントカバー2にはN個の指標孔が間隔Wで形成される。指標部材40は、絞りプレート50のN個の絞り位置に対応して距離Dごとに移動可能に構成される。そして、指標部材40には、kを1からNまでの整数として、基準位置から距離(k-1)×(W-D)の位置にマーカが形成される。Nは好ましく3以上の整数である。
【0042】
この場合において、W=N×Dであれば、指標孔間の間隔Wを最小にすることができるため、カメラ装置をコンパクトにすることができる。
【0043】
以上述べたように、本発明の一態様によれば、現在の絞り径を安価かつ自由度の高い構成によりユーザに知らせることができるカメラ装置が提供される。具体的には、本発明に係るカメラ装置は、以下のような構成を採用することができる。
【0044】
(構成1)
本発明の一形態によれば、カメラ装置は、被写体からの光が通過可能な窓が形成されたステージと、N個の絞り開口が形成された絞り部材と、N個の指標孔が間隔Wで形成されたカバーと、上記カバーに収容される指標部材とを備える。上記絞り部材は、上記ステージの上記窓が上記絞り開口に整列するN個の絞り位置の間で移動可能に構成される。上記指標部材は、上記絞り部材の上記N個の絞り位置に対応して距離Dごとに移動可能に構成される。上記指標部材には、kを1からNまでの整数として、基準位置から距離(k-1)×(W-D)の位置に上記カバーの上記指標孔に対応してN個のマーカが形成される。
【0045】
このような構成によれば、絞り部材の絞り位置に応じて、カバーの内部に収容された指標部材のマーカを対応する指標孔に整列させることが可能となるため、指標孔から見えるマーカによってユーザに現在の絞り径を知らせることができる。このような指標部材及び指標孔の位置は、絞り部材を回転させる操作リングとは関係なく決めることができるため、絞り径をユーザに知らせる機能を設計上及び外観上の制約を大きく受けることなくカメラ装置に付与することができる。また、この構成は、発光ダイオードや電子回路も必要としないため、安価に製造することが可能である。
【0046】
(構成2)
上記構成1において、上記指標部材は、一方向に直線的に移動するように構成されていてもよい。
【0047】
(構成3)
上記構成1又は2において、W=N×Dであれば、指標孔間の間隔Wを最小にすることができるため、カメラ装置をコンパクトにすることができる。
【0048】
(構成4)
上記構成1から3のいずれかの構成のいて、上記カメラ装置は、ユーザの操作により回転可能な操作リングと、上記操作リングの回転を上記絞り部材に伝達して上記絞り部材を移動させる第1の駆動機構とをさらに備えていてもよい。
【0049】
(構成5)
上記構成4において、上記操作リングは、上記カバーに形成された溝を通じて外部に延びる操作レバーを有することが好ましい。
【0050】
(構成6)
上記構成4又は5において、上記カメラ装置は、上記操作リングの回転を上記指標部材に伝達して上記指標部材を移動させる第2の駆動機構をさらに備えていてもよい。
【0051】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0052】
1 カメラ装置
2 フロントカバー
3 リアカバー
7 基部
8 突出部
9A,9B,9C,9D 指標孔
10 レンズ鏡筒
12 固定部
14 レンズ
16 レンズフレーム
20 ベース部材
21 ステージ
21A 窓
24 押圧レバー
30 ハウジング
31 第1の支持部
32 第2の支持部
33,34 押さえ部
40 指標部材
41A,41B,41C,41D マーカ
42 表示部
43 基部
44 ラック部
45 フック部
50 絞りプレート
52 ギア部
54A,54B,54C,54D 絞り開口
60 操作リング
61 内歯ギア部
62 外歯ギア部
63 操作レバー
71~76 歯車
R 基準位置