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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160115
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】片引戸
(51)【国際特許分類】
   E05F 17/00 20060101AFI20231026BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
E05F17/00 A
E05D15/06 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070221
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】政田 和慶
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034AA01
2E034BA15
2E034CA01
2E034EA02
(57)【要約】
【課題】縦框の幅方向の長さに関わらず、障子を閉める際の連動機構を設けることができる片引戸を提供する。
【解決手段】片引戸は、一対の障子2,2と、一対の障子2,2のうち第1障子2Bの幅方向の一方側である閉方向+Xへの移動に、一対の障子2,2のうち第2障子2Aを連動して移動させる第1閉連動機構30と、を備え、第1閉連動機構30は、第1障子2Bの縦框23に取り付けられ、閉方向+Xを向く第1面314aを有する第1連動部材31Bと、第2障子2Aの縦框23に取り付けられ、第1面314aに対向する第2面314bを有する第2連動部材31Aと、を備え、第1障子2Bが閉方向+Xに移動する際に、第1面314aと第2面314bとは当接し、第1連動部材31B及び第2連動部材31Aは、樹脂で形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の障子と、
前記一対の障子のうち第1障子の幅方向の一方側である閉方向への移動に、前記一対の障子のうち第2障子を連動して移動させる第1閉連動機構と、を備え、
前記第1閉連動機構は、
前記第1障子の縦框に取り付けられ、前記閉方向を向く第1面を有する第1連動部材と、
前記第2障子の縦框に取り付けられ、前記第1面に対向する第2面を有する第2連動部材と、を備え、
前記第1障子が前記閉方向に移動する際に、前記第1面と前記第2面とは当接し、
前記第1連動部材及び前記第2連動部材は、樹脂で形成されている片引戸。
【請求項2】
前記第1連動部材及び前記第2連動部材は、同一の連動部材を幅方向及び屋内外方向に反転した構成である請求項1に記載の片引戸。
【請求項3】
前記連動部材は、前記連動部材が取り付けられる前記障子から他方の前記障子側に延び、
前記連動部材における前記他方の障子側の先端部は、先細り形状をしている請求項2に記載の片引戸。
【請求項4】
前記連動部材の幅方向の長さは、前記一対の障子の縦框の幅方向の長さと略同一である請求項2または3に記載の片引戸。
【請求項5】
前記連動部材は、モヘアが取り付けられる前記縦框の溝に取り付けられている請求項2または3に記載の片引戸。
【請求項6】
前記溝には、下側に前記モヘアが取り付けられ、前記モヘアよりも上側に前記連動部材が取り付けられている請求項5に記載の片引戸。
【請求項7】
前記第1障子の前記閉方向への移動に、前記第2障子を連動して移動させる第2閉連動機構を備え、
前記第2閉連動機構は、
前記第1障子の上框に取り付けられ、前記閉方向を向く第3面を有する第3連動部材と、
前記第2障子の上框に取り付けられ、前記第3面に対向する第4面を有する第4連動部材と、を備え、
前記第1障子が前記閉方向に移動する際に、前記第3面と前記第4面とは当接する請求項1または2に記載の片引戸。
【請求項8】
前記第1障子の幅方向の他方側である開方向への移動に、前記第2障子を連動して移動させる開連動機構を備え、
前記開連動機構は、
前記第1障子の縦框の下部に形成され、前記開方向を向く第5面と、
前記第2障子の下框に取り付けられ、前記第5面に対向する第6面を有する開連動部材と、を備え、
前記第1障子が前記開方向に移動する際に、前記第5面と前記第6面とは当接する請求項1または2に記載の片引戸。
【請求項9】
前記一対の障子の上部が上枠に吊られた上吊り式である請求項1または2に記載の片引戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、片引戸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の障子で構成された片引戸では、各障子の縦框に設けられた係合片が互いに係合して、一の障子を一方側にスライド移動させることで、他の障子も連動して一方側にスライド移動して、閉状態となるように構成されているものが知られている(下記の特許文献1参照)。金属製の係合片が、縦框に見付け面に螺子で固定される構成も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-135308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属製の係合片のような連動機構を縦框の見付け面に螺子で固定するためには、縦框内に螺子が固定される裏打ち材を設けたりする。縦框の幅方向の長さが短いような細框には、連動機構を取り付けることができないという問題点もある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、縦框の幅方向の長さに関わらず、障子を閉める際の連動機構を設けることができる片引戸を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る片引戸は、一対の障子と、前記一対の障子のうち第1障子の幅方向の一方側である閉方向への移動に、前記一対の障子のうち第2障子を連動して移動させる第1閉連動機構と、を備え、前記第1閉連動機構は、前記第1障子の縦框に取り付けられ、前記閉方向を向く第1面を有する第1連動部材と、前記第2障子の縦框に取り付けられ、前記第1面に対向する第2面を有する第2連動部材と、を備え、前記第1障子が前記閉方向に移動する際に、前記第1面と前記第2面とは当接し、前記第1連動部材及び前記第2連動部材は、樹脂で形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る片引戸を屋内側から見た正面図である。
図2】一実施形態に係る片引戸の鉛直断面図である。
図3】一実施形態に係る片引戸の水平断面図であり、障子が閉じた状態を示す。
図4】片引戸の水平断面図であり、障子が開いた状態を示す。
図5図3のV部拡大図である。
図6図3のV部の下側の拡大図である。
図7】一実施形態に係る片引戸の第2閉連動機構の一方の部材の斜視図である。
図8】一実施形態に係る片引戸の第2閉連動機構を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態に係る片引戸について、図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、本開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。以下の説明では、屋外側(図2等に示す+Y側)と屋内側(図2等に示す-Y側)とを結び水平方向に沿う方向を、屋内外方向(図の矢印Yの方向)と称する。屋内外方向と直交し水平方向に沿う方向を、幅方向(図の矢印Xの方向)と称する。幅方向の一方側であって、障子2が閉じる方向を閉方向(図に示す+X側)と称する。幅方向の他方側であって、障子2が開く方向を開方向(図に示す-X側)と称する。屋内外方向及び幅方向と直交する方向を、上下方向(図の矢印Zの方向)と称する。各構成部材において、屋内外方向及び幅方向で中心から離れる側を外側と称し、中心に向かう側を内側という場合がある。
【0009】
図1に示すように、片引戸100は、屋外側障子2A及び屋内側障子2Bを幅方向に手動で移動させて開閉する建具である。片引戸100は、枠体1と、屋外側障子2A及び屋内側障子2Bと、開連動機構27(図2参照)と、第1閉連動機構30(図3参照)と、第2閉連動機構40(図2参照)と、を備えている。屋外側障子2A及び屋内側障子2Bを総称して障子2と称することがある。屋外側障子2A及び屋内側障子2Bは、請求項の一対の障子に対応する。屋外側障子2Aは、請求項の第2障子に対応する。屋内側障子2Bは、請求項の第1障子に対応する。
【0010】
枠体1は、上枠11と、下枠12と、中間枠13,14と、縦枠16,17と、方立18と、を有している。
【0011】
上枠11、下枠12及び中間枠13,14は、幅方向に延びている。中間枠13,14は、上枠11と下枠12との間に配置されている。縦枠16,17及び方立18は、上下方向に延びている。縦枠16は、屋外側障子2A及び屋内側障子2Bの戸尻側に配置されている。縦枠17は、屋外側障子2A及び屋内側障子2Bの戸先側に配置されている。方立18は、縦枠16と縦枠17との間に配置されている。縦枠16,17の上端部及び方立18の上端部は、上枠11に連結されている。縦枠16,17の上下方向の中間及び方立18の上下方向の中間は、中間枠13,14に連結されている。縦枠16,17の下端部及び方立18の下端部は、下枠12に連結されている。
【0012】
屋外側障子2A及び屋内側障子2Bは、閉じた状態で、下枠12、中間枠14、縦枠17及び方立18で形成された開口に配置されている。下枠12、中間枠13、縦枠16及び方立18で形成された空間には、側部ガラスパネル81が設けられている。屋外側障子2A及び屋内側障子2Bは、側部ガラスパネル81側にスライド可能である。図4に示すように、屋外側障子2A及び屋内側障子2Bは、開いた状態で、側部ガラスパネル81の屋内側に配置されている。下枠12、中間枠13、縦枠16及び方立18で形成された空間には、壁部が設けられていてもよい。
【0013】
図1に示すように、上枠11、中間枠13、縦枠16の上部及び方立18の上部で形成された空間には、第1上部ガラスパネル82が設けられている。上枠11、中間枠14、縦枠17の上部及び方立18の上部で形成された空間には、第2上部ガラスパネル83が設けられている。枠体1は、障子2の高さまで形成されていて、第1上部ガラスパネル82及び第2上部ガラスパネル83が設けられていなくてもよい。
【0014】
障子2は、框体20と、ガラスパネル29と、を有している。框体20は、上框21(図2参照)と、下框22(図2参照)と、一対の縦框23,23と、を有している。
【0015】
上框21及び下框22は、幅方向に延びている。縦框23は、上下方向に延びている。一対の縦框23,23の上端部は、上框21に連結されている。一対の縦框23,23の下端部は、下框22に連結されている。
【0016】
ガラスパネル29は、四方枠状に形成された框体20の内側に納められている。ガラスパネル29は、強化ガラスで形成されているが、普通板ガラスや樹脂製の板材等であってもよい。
【0017】
図2に示すように、上框21に設けられた戸車21aは、中間枠13,14に取り付けられたレール13aに幅方向にスライド可能に支持されている。障子2は、上吊り式の片引戸である。
【0018】
図1及び図3に示すように、屋内側障子2Bにおいて、一対の縦框23,23のうち戸先側に配置される縦框23の上下方向の中間には、縦框23に替えてハンドル付き縦框24が設けられている。屋内側障子2Bにおいて、一対の縦框23,23のうち戸先側では、縦框23を設けずに、上下方向の略全長にわたってハンドル付き縦框24を設けてもよい。
【0019】
図3に示すように、ハンドル付き縦框24は、縦框部25と、屋内外の両側に設けられたハンドル部26と、を有している。縦框部25とハンドル部26とは、一体に形成されている。縦框部25とハンドル部26とは、アルミ形材で一体に成形されている。
【0020】
開連動機構27は、屋内側障子2Bの開方向への移動に、屋外側障子2Aを連動して開方向に移動させるものである。
【0021】
開連動機構27は、屋内側障子2Bの縦框23における屋内外方向に沿う見込み面23aと、開連動部材27Aと、を有している。屋内側障子2Bの縦框23の見込み面23aは、請求項の第5面に対応する。
【0022】
図2に示すように、開連動部材27Aは、屋外側障子2Aの下框22に取り付けられている。下框22の内部には、螺子271によって裏板272が取り付けられている。開連動部材27Aは、屋内側から凹む凹部から、螺子273で裏板272に取り付けられている。図3に示すように、開連動部材27Aにおける屋内側障子2B側を向く面には、緩衝材275が設けられている。
【0023】
屋内側障子2Bの戸尻側の縦框23の下部の見込み面23aは、開方向を向いている。緩衝材275の対向面275aは、縦框23の見込み面23aに対向している。対向面275aは、請求項の第6面に対応する。
【0024】
ハンドル部26を把持して、屋内側障子2Bを開方向に移動させると、屋内側障子2Bの戸尻側の縦框23の下部の見込み面23aが、屋外側障子2Aの緩衝材275の対向面275aに当接する。屋外側障子2Aは屋内側障子2Bに押されて、屋外側障子2Aも開方向に移動する。戸袋部分の下枠12には、開連動部材27Aと同様の構成の戸当り部材28が取り付けられている。図4に示すように、屋外側障子2Aの戸尻側の縦框23が戸当り部材28の緩衝材275に当たると、屋外側障子2A及び屋内側障子2Bの開方向への移動が規制される。
【0025】
図3に示すように、第1閉連動機構30は、屋内側障子2Bの閉方向への移動に、屋外側障子2Aを連動して閉方向に移動させるものである。第1閉連動機構30は、屋内側障子2Bの縦框23に設けられた第1連動部材31Bと、屋外側障子2Aの縦框23に設けられた第2連動部材31Aと、を有している。
【0026】
第1連動部材31B及び第2連動部材31Aは、同一の長尺連動部材31で構成されている。第1連動部材31Bと第2連動部材31Aとでは、長尺連動部材31が配置される向きが幅方向及び屋内外方向に反転した関係にある。長尺連動部材31は、樹脂で形成されている。
【0027】
屋外側障子2Aの縦框23には、屋内側を向く面に、屋外側に凹む係止凹部231が形成されている。係止凹部231は、屋外側障子2Aの縦框23の上下方向の略全長にわたって形成されている。係止凹部231は、屋内側に開口している。係止凹部231の開口側231aの幅方向の長さは、係止凹部231の奥側231bの幅方向に長さよりも短い。屋外側障子2Aの縦框23と屋内側障子2Bの縦框23とは、屋内外方向に対向している。屋内側障子2Bの縦框23には、屋外側を向く面に、係止凹部231が形成されている。係止凹部231は、請求項の溝に対応する。
【0028】
屋内側障子2Bの縦框23に形成された係止凹部231は、屋外側障子2Aの縦框23に形成された係止凹部231を屋内外方向に反転させた構成であり、説明を省略する。
【0029】
長尺連動部材31は、縦框23の上下方向の下部以外の部分に配置されている。長尺連動部材31は、係止部311と、延出部312と、見付け壁部313と、連動壁部314と、傾斜壁部315と、を有している。
【0030】
以下では、屋内側障子2Bに取り付けられた第1連動部材31Bについて説明する。第2連動部材31Aは第1連動部材31Bを幅方向及び屋内外方向に反転した構成であり、異なる箇所を除いて説明を省略する。係止部311は、縦框23の係止凹部231の奥側231bに配置されている。延出部312は、係止部311から屋外側に延びている。係止部311の幅方向に長さは、延出部312の幅方向に長さよりも長い。これによって、係止部311は、縦框23の係止凹部231に係止されている。
【0031】
見付け壁部313は、縦框23の係止凹部231の開口側231aに沿って配置されている。見付け壁部313は、縦框23の屋外側を向く面に沿って配置されている。見付け壁部313の幅方向の長さは、延出部312の幅方向の長さよりも長い。
【0032】
連動壁部314は、見付け壁部313における障子2の幅方向の内側の端部から屋外側に延びている。第1連動部材31Bの連動壁部314において、閉方向を向く面314aは、屋内外方向に沿っている。第2連動部材31Aの連動壁部314において、面314bは、屋内外方向に沿っている。第2連動部材31Aの面314bは、第1連動部材31Bの面314aに対向している。第1連動部材31Bの面314aは、請求項の第1面に対応する。第2連動部材31Aの面314bは、請求項の第2面に対応する。
【0033】
傾斜壁部315は、見付け壁部313における障子2の幅方向の外側の端部から、屋外側に延びるにしたがって、次第に障子2の幅方向に内側に向かっている。傾斜壁部315の屋外側の端部は、連動壁部314の屋外側の端部に接続されている。
【0034】
長尺連動部材31では、連動壁部314と傾斜壁部315との接続される先端部316は、V字状に形成され、先細り形状をしている。長尺連動部材31の先端部316は、屋外側に向かうにしたがって、幅方向の長さが短くなっている。
【0035】
長尺連動部材31の幅方向の長さA1は、縦框23の幅方向の長さA2と略同一である。長さA1,A2は、5mm~10mm程度である。
【0036】
図6に示すように、縦框23の係止凹部231の下部には、長尺連動部材31が取り付けられずに、モヘア32が取り付けられている。モヘア32は、ベース部321と、パイル部322と、を有している。ベース部321は、上下方向に延びる帯状に形成されている。パイル部322は、ベース部321の一方側の面から対向する縦框23側に突出している。
【0037】
ベース部321は、縦框23の係止凹部231にはめ込まれている。ベース部321の他方側の面に接着剤を設けることで、係止凹部231内に固定することができる。縦框23の開口側231aの両側の壁部をベース部321側に折り曲げることで、ベース部321を係止凹部231内に固定することができる。係止凹部231は、モヘア32を取り付けるための従来の溝である。
【0038】
図4に示す開状態から、ハンドル部26を把持して、屋内側障子2Bを閉方向に所定距離移動させると、図5に示すように屋内側障子2Bに設けられた第1連動部材31Bの面314aが屋外側障子2Aに設けられた第2連動部材31Aの面314bに当接する。屋外側障子2Aは屋内側障子2Bに押されて、屋外側障子2Aも閉方向に移動する。屋外側障子2A及び屋内側障子2Bが、共に閉まる。
【0039】
図2に示す第2閉連動機構40は、屋内側障子2Bの閉方向への移動に、屋外側障子2Aを連動して閉方向に移動させるものである。第2閉連動機構40は、屋内側障子2Bの上框21に設けられた第3連動部材41Bと、屋外側障子2Aの上框21に設けられた第4連動部材41Aと、を有している。
【0040】
第3連動部材41B及び第4連動部材41Aは、同一の上部連動部材41で構成されている。第3連動部材41Bと第4連動部材41Aとでは、上部連動部材41が配置される向きが幅方向及び屋内外方向に反転した関係にある。上部連動部材41は、金属で形成されている。
【0041】
以下では、第3連動部材41Bについて説明する。第4連動部材41Aは第3連動部材41Bを幅方向及び屋内外方向に反転した構成であり、異なる箇所を除いて説明を省略する。図8に示すように、上部連動部材41は、上框21の上面21uに固定されている。図9に示すように、上部連動部材41は、固定板部411と、第1立設板部412と、第2立設板部413と、緩衝材414と、を有している。
【0042】
図8に示すように、固定板部411は、上框21の上面21uに配置されている。固定板部411の幅方向に一方側に端部には、屋外側に延びる延出部411cが設けられている。螺子411aが固定板部411の螺子孔411b(図9参照)に挿通され、上框21の上面21uに螺子止めされている。
【0043】
第1立設板部412は、固定板部411の延出部411cの屋外側の端部から上方に延びている。第2立設板部413は、固定板部411の延出部411cの幅方向の他方側の端部から上方に延びている。第1立設板部412の幅方向の他方側の端部と第2立設板部413の屋外側の端部とは、接合されている。
【0044】
緩衝材414は、螺子414cによって、第2立設板部413の幅方向に他方側に固定されている。
【0045】
第3連動部材41Bの緩衝材414において、閉方向を向く面414aは、屋内外方向に沿っている。第4連動部材41Aの緩衝材414において、面414bは、屋内外方向に沿っている。第4連動部材41Aの面414bは、第3連動部材41Bの面414aに対向している。第3連動部材41Bの面414aは、請求項の第3面に対応する。第4連動部材41Aの面414bは、請求項の第4面に対応する。
【0046】
図4に示す開状態から、ハンドル部26を把持して、屋内側障子2Bを閉方向に移動させると、屋内側障子2Bに設けられた第3連動部材41Bの面414aが屋外側障子2Aに設けられた第4連動部材41Aの面414bに当接する。屋外側障子2Aは屋内側障子2Bに押されて、屋外側障子2Aも閉方向に移動する。屋外側障子2A及び屋内側障子2Bが、共に閉まる。
【0047】
このように構成された片引戸100では、屋内側障子2Bが閉方向に移動する際に、第1連動部材31Bの閉方向を向く面314aと、第2連動部材31Aの面314bとは、当接する。第2連動部材31Aの面314bが第1連動部材31Bの面314aに閉方向に押されて、屋内側障子2B及び屋外側障子2Aが共に閉じる。第1連動部材31B及び第2連動部材31Aは樹脂で形成されているため、第1連動部材31B及び第2連動部材31Aを縦框23に嵌め込んだり、接着したりして取り付けることができる。縦框23の幅方向の長さが短いような場合でも、第1連動部材31B及び第2連動部材31Aを縦框23に取り付けることができる。
【0048】
第1連動部材31B及び第2連動部材31Aは、同一の長尺連動部材31を幅方向及び屋内外方向に反転した構成である。第1連動部材31B及び第2連動部材31Aを別々の部材で構成するよりも、部品点数を抑えることができる。
【0049】
障子2を建て込む際に屋内外方向にずれて、一方の障子2が他方の障子2側に寄って配置され、一方の障子2の長尺連動部材31が他方の障子2側に接触する可能性がある。長尺連動部材31の先端部316は先細り形状をしているため、他方の障子2に接触する面積が小さい。これによって、障子2の開閉時の摩擦抵抗が抑制されるため、一方の障子2が他方の障子2側に寄って配置された場合でも、障子2をスムーズに開閉することができる。
【0050】
長尺連動部材31の幅方向の長さは、屋内側障子2Bの縦框23の幅方向の長さ及び屋外側障子2Aの縦框23の幅方向の長さと略同一である。長尺連動部材31が目立たず、外観を向上させることができる。
【0051】
モヘア32が取り付けられる縦框23の係止凹部231に、長尺連動部材31も取り付けられている。長尺連動部材31を取り付けるための係止凹部231を新たに加工する必要がなく、加工手間を削減することができる。
【0052】
係止凹部231の下側にモヘア32が取り付けられ、モヘア32よりも上側に長尺連動部材31が取り付けられている。長尺連動部材31が下方にずれ落ちそうになってもモヘア32で支持されるため、長尺連動部材31が下方にずれ落ちることを抑制することができる。
【0053】
屋内側障子2Bが閉方向に移動する際に、第3連動部材41Bの閉方向を向く面414aと、第4連動部材41Aの面414bとは、当接する。第4連動部材41Aの面414bが第3連動部材41Bの面414aに閉方向に押されて、屋内側障子2B及び屋外側障子2Aが共に閉じる。屋内側障子2B及び屋外側障子2Aが閉じるときに生じる力を、第1連動部材31B、第2連動部材31A、第3連動部材41B及び第4連動部材41Aで負担するため、力が分散され、屋外側障子2Aを確実に連動させて閉じることができる。第1連動部材31B及び第2連動部材31Aに過度な力が作用することがないため、第1連動部材31B及び第2連動部材31Aが損傷することが抑制される。
【0054】
屋内側障子2Bが開方向に移動する際に、屋内側障子2Bの見込み面23aと、屋外側障子2Aに取り付けられた開連動部材27Aの対向面275aとは、当接する。開連動部材27Aの対向面275aが屋内側障子2Bの見込み面23aに開方向に押されて、屋内側障子2B及び屋外側障子2Aが共に開く。
【0055】
屋内側障子2B及び屋外側障子2Aの上部が上枠11に吊られた上吊り式である。開閉時に大きな操作力が必要ではないため、屋内側障子2B及び屋外側障子2Aを確実に連動させることができる。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0057】
上記示す実施形態では、第1連動部材31B及び第2連動部材31Aは、同一の長尺連動部材31で形成されているが、これに限られない。第1連動部材31B及び第2連動部材31Aの断面形状が異なり、それぞれ異なる部材で形成されていてもよい。
【0058】
長尺連動部材31の先端部316は先細り形状をしているが、これに限られない。長尺連動部材31の他方の障子2側の端部は、幅方向に長い形状であってもよい。
【0059】
長尺連動部材31の幅方向の長さは、屋内側障子2Bの縦框23の幅方向の長さ及び屋外側障子2Aの縦框23の幅方向の長さと略同一であるが、これに限られない。長尺連動部材31の幅方向の長さは、適宜設定可能である。
【0060】
長尺連動部材31は、モヘア32が取り付けられる縦框23の係止凹部231に取り付けられているが、これに限られない。長尺連動部材31は、縦框23の別の溝に取り付けられていたり、縦框23に接着剤等によって取り付けられていてもよい。
【0061】
係止凹部231の下側にモヘア32が取り付けられ、モヘア32よりも上側に長尺連動部材31が取り付けられているが、これに限られない。係止凹部231にはモヘア32が取り付けられていなくてもよい。
【0062】
片引戸100は開連動機構27及び第2閉連動機構40を備えているが、これに限られない。片引戸100は開連動機構27及び第2閉連動機構40を備えていなくてもよい。
【0063】
片引戸100は上吊り式であるが、これに限られない。下枠12に形成された溝に沿って屋外側障子2A及び屋内側障子2Bが移動する片引戸であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
2 障子、2A 屋外側障子(第2障子)、2B 屋内側障子(第1障子)、11 上枠、21 上框、22 下框、23 縦框、23a 見込み面(第5面)、27 開連動機構、27A 開連動部材、30 第1閉連動機構、31 長尺連動部材(連動部材)、31A 第2連動部材、31B 第1連動部材、32 モヘア、40 第2閉連動機構、41A 第4連動部材、41B 第3連動部材、100 片引戸、231 係止凹部(溝)、275a 対向面(第6面)314a 面(第1面)、314b 面(第2面)、316 先端部、414a 面(第3面)、414b 面(第4面)
図1
図2
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図5
図6
図7
図8