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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016013
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】吊り足場
(51)【国際特許分類】
   E01D 21/00 20060101AFI20230125BHJP
   E04G 3/30 20060101ALI20230125BHJP
   E04G 7/34 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
E01D21/00 A
E04G3/30 301N
E04G7/34 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111544
(22)【出願日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2021120061
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】393000445
【氏名又は名称】株式会社三共
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】真田 孝範
【テーマコード(参考)】
2D059
2E003
【Fターム(参考)】
2D059DD13
2E003EB02
(57)【要約】
【課題】作業性の悪い高所に設置する吊り足場において、水平方向に延びる複数の柱状の支持部材を容易に連結可能な構成を提供する。
【解決手段】吊り足場1は、水平方向の一方向に延びるおやご支柱2とおやご支柱2が延びる方向と交差する方向に延びる支持部材3とを連結する柱状の第1連結部5を有する。おやご支柱2は、フランジ部21を有する。フランジ部21は、おやご支柱2の側面から水平方向のうち前記一方向と交差する方向に突出する第1突出部22を有する。第1突出部22は、おやご支柱2の長手方向に貫通する第1連結部挿入孔22aを有する。第1突出部22は、おやご支柱2に対して水平方向に平行な位置で、第1連結部5を前記一方向に挿入可能な第1連結部挿入孔22aを有する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向の一方向に延びる複数のおやご支柱と、
長手方向の端部が前記おやご支柱に連結され、水平方向且つ前記複数のおやご支柱が延びる方向と交差する方向に延びる柱状の支持部材と、
前記支持部材によって、水平方向に延びるように支持される平面視で長方形状の複数の足場板と、
を有する吊り足場であって、
前記おやご支柱と前記支持部材とを連結する柱状の第1連結部を有し、
前記おやご支柱は、前記支持部材の長手方向の端部が前記第1連結部によって連結される被連結部を有し、
前記被連結部は、
前記おやご支柱の側面から水平方向のうち前記一方向と交差する方向に突出する第1突出部を有し、
前記第1突出部は、前記おやご支柱に対して水平方向に平行な位置で、前記第1連結部を前記一方向に挿入可能な第1連結部挿入孔を有する、
吊り足場。
【請求項2】
請求項1に記載の吊り足場において、
前記支持部材は、
前記長手方向の端部に、前記一方向に貫通する一対の貫通孔が設けられた筒部を有し、
前記第1連結部は、前記支持部材の前記筒部内に前記おやご支柱における前記被連結部の前記第1突出部が挿入された状態で、前記筒部の前記一対の貫通孔及び前記第1突出部の前記第1連結部挿入孔を貫通している、
吊り足場。
【請求項3】
請求項2に記載の吊り足場において、
前記支持部材の前記筒部は、下部に、長手方向の端部から前記支持部材の長手方向に延びるスリットを有する、
吊り足場。
【請求項4】
請求項3に記載の吊り足場において、
前記支持部材の前記筒部は、該筒部内に前記おやご支柱における前記被連結部の前記第1突出部が挿入された状態で、前記第1突出部の上方に、前記支持部材の落下を防止する落下防止用壁部を有する、
吊り足場。
【請求項5】
請求項1に記載の吊り足場において、
前記おやご支柱と前記支持部材とを連結する前記第1連結部に対して、前記第1連結部の挿入方向の後方に、連結抜け止め部を有する、
吊り足場。
【請求項6】
請求項5に記載の吊り足場において、
前記複数の足場板の隙間を覆うように、前記複数の足場板上に配置される隙間被覆部材を有し、
前記連結抜け止め部は、前記隙間被覆部材の下部に設けられている、
吊り足場。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の吊り足場において、
前記複数の足場板は、それぞれ、長手方向が前記おやご支柱の長手方向と一致するように配置され、
前記被連結部は、
前記おやご支柱の側面から上方向に突出する第2突出部を有し、
前記第2突出部は、前記複数の足場板を上下方向に見て、前記複数の足場板の隙間内に位置する、
吊り足場。
【請求項8】
請求項7に記載の吊り足場において、
前記複数の足場板の隙間を覆うように、前記複数の足場板上に配置される隙間被覆部材を有し、
前記隙間被覆部材は、下部に、上下方向に貫通するスリット孔が設けられたおやご支柱固定部を有し、
前記第2突出部は、前記隙間被覆部材が前記複数の足場板の隙間を覆った状態で、前記スリット孔を貫通している、
吊り足場。
【請求項9】
請求項8に記載の吊り足場において、
前記おやご支柱と前記隙間被覆部材とを連結する第2連結部を有し、
前記第2突出部は、前記おやご支柱に対して上方向に平行な位置で、前記第2連結部を前記一方向に挿入可能な第2連結部挿入孔を有し、
前記おやご支柱固定部は、前記一方向に貫通する貫通孔を有し、
前記第2連結部は、前記第2突出部が前記スリット孔を貫通した状態で、前記おやご支柱固定部の貫通孔及び前記第2突出部の前記第2連結部挿入孔を貫通するくさび状である、
吊り足場。
【請求項10】
請求項1に記載の吊り足場において、
上下方向に延びるおやご支柱連結部材と、
前記おやご支柱と前記おやご支柱連結部材とを連結する柱状の第3連結部と、
をさらに有し、
前記複数のおやご支柱は、
前記一方向に延びる複数の第1おやご支柱と、
前記第1おやご支柱よりも下方で前記一方向に延びる複数の第2おやご支柱と、
を含み、
前記支持部材は、
長手方向の端部が前記第1おやご支柱に連結される第1支持部材と、
長手方向の端部が前記第2おやご支柱に連結される第2支持部材と、
を含み、
前記複数の足場板は、
前記第1支持部材によって支持される複数の第1足場板と、
前記第2支持部材によって支持される複数の第2足場板と、
を含み、
前記第1おやご支柱の前記被連結部は、該第1おやご支柱の側面から下方向に突出し、前記第3連結部によって前記おやご支柱連結部材の長手方向の端部と連結される第3突出部を有し、
前記第2おやご支柱の前記被連結部は、該第2おやご支柱の側面から上方向に突出し、前記第3連結部によって前記おやご支柱連結部材の長手方向の端部と連結される第2突出部を有し、
前記第3突出部に前記おやご支柱連結部材の上端部が連結されるとともに前記第2突出部に前記おやご支柱連結部材の下端部が連結されることにより、前記第2支持部材は、前記第1支持部材よりも下方に位置し、
前記複数の第2足場板は、前記複数の第1足場板よりも低い位置で水平方向に延びるように配置されている、
吊り足場。
【請求項11】
請求項10に記載の吊り足場において、
前記第1おやご支柱と前記第2おやご支柱との間を上下方向に延びて前記おやご支柱連結部材によって支持される側壁部材と、
前記複数の第1足場板の前記第1おやご支柱側の端部と、前記側壁部材の上端部との隙間を覆う出隅被覆部材と、をさらに有する、
吊り足場。
【請求項12】
請求項11に記載の吊り足場において、
前記出隅被覆部材は、下部に、
前記第1おやご支柱と前記第1支持部材とを連結する前記第1連結部に対して、前記第1連結部の挿入方向の後方、且つ、前記第1おやご支柱と前記おやご支柱連結部材とを連結する前記第3連結部に対して、前記第3連結部の挿入方向の後方に配置される連結抜け止め部が設けられている、
吊り足場。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の吊り足場において、
前記複数の第2足場板における前記第2おやご支柱側の端部と、前記側壁部材の下端部との隙間を覆う入隅被覆部材をさらに有する、
吊り足場。
【請求項14】
請求項1に記載の吊り足場において、
前記第1連結部は、くさび状である、
吊り足場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り足場に関する。
【背景技術】
【0002】
吊り足場において、水平方向且つ互いに交差する方向に延びる複数の柱状の支持部材を、足場クランプを用いて連結する構成が知られている。例えば、特許文献1には、水平方向の一方向に延びるフレームパイプと前記フレームパイプが延びる方向と交差する方向に延びる補助パイプとが、足場クランプを用いて連結されている吊り足場が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-12322公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるように、水平方向に延びる複数の柱状の支持部材を足場クランプで連結する構成では、吊り足場の組み立て時に、工具などを用いる必要があり、作業性がよくない。そこで、作業性の悪い高所に設置される吊り足場において、組み立て作業性が良い構成が求められている。
【0005】
本発明の目的は、作業性の悪い高所に設置する吊り足場において、水平方向に延びる複数の柱状の支持部材を容易に連結可能な構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る吊り足場は、水平方向の一方向に延びる複数のおやご支柱と、長手方向の端部が前記おやご支柱に連結され、水平方向且つ前記複数のおやご支柱が延びる方向と交差する方向に延びる柱状の支持部材と、前記支持部材によって、水平方向に延びるように支持される平面視で長方形状の複数の足場板と、を有する吊り足場である。前記吊り足場は、前記おやご支柱と前記支持部材とを連結する柱状の第1連結部を有する。前記おやご支柱は、前記支持部材の長手方向の端部が前記第1連結部によって連結される被連結部を有する。前記被連結部は、前記おやご支柱の側面から水平方向のうち前記一方向と交差する方向に突出する第1突出部を有する。前記第1突出部は、前記おやご支柱に対して水平方向に平行な位置で、前記第1連結部を前記一方向に挿入可能な第1連結部挿入孔を有する(第1の構成)。
【0007】
上述の構成では、おやご支柱の被連結部における第1突出部の第1連結部挿入孔に柱状の第1連結部を水平方向に挿入することにより、おやご支柱と支持部材とを連結することができる。これにより、複数のおやご支柱に対して支持部材を容易に連結できる。
【0008】
前記第1の構成の吊り足場において、前記支持部材は、前記長手方向の端部に、前記一方向に貫通する一対の貫通孔が設けられた筒部を有する。前記第1連結部は、前記支持部材の前記筒部内に前記おやご支柱における前記被連結部の前記第1突出部が挿入された状態で、前記筒部の前記一対の貫通孔及び前記第1突出部の前記第1連結部挿入孔を貫通している(第2の構成)。
【0009】
これにより、第1連結部を、おやご支柱の被連結部における第1突出部の第1連結部挿入孔と、支持部材の筒部における一対の貫通孔とを貫通させることにより、おやご支柱と支持部材とを連結することができる。
【0010】
前記第2の構成の吊り足場において、前記支持部材の前記筒部は、下部に、長手方向の端部から前記支持部材の長手方向に延びるスリットを有する(第3の構成)。
【0011】
これにより、複数のおやご支柱の被連結部における第1突出部に対して、支持部材の筒部を、上方から容易に挿入することができる。よって、複数のおやご支柱に対して支持部材を容易に連結できる。
【0012】
前記第3の構成の吊り足場において、前記支持部材の前記筒部は、該筒部内に前記おやご支柱における前記被連結部の前記第1突出部が挿入された状態で、前記第1突出部の上方に、前記支持部材の落下を防止する落下防止用壁部を有する(第4の構成)。
【0013】
これにより、おやご支柱の被連結部における第1突出部が挿入される支持部材の筒部が、前記おやご支柱に対して下方に抜け落ちるのを防止できる。よって、前記支持部材が、前記おやご支柱に対して落下するのを防止できる。
【0014】
前記第1の構成の吊り足場は、前記おやご支柱と前記支持部材とを連結する前記第1連結部に対して、前記第1連結部の挿入方向の後方に、連結抜け止め部を有する(第5の構成)。
【0015】
連結抜け止め部によって、第1連結部が挿入方向後方へ移動することを防止することができる。したがって、前記第1連結部が、おやご支柱の第1連結部挿入孔から抜け出ることを防止できる。
【0016】
前記第5の構成の吊り足場は、前記複数の足場板の隙間を覆うように、前記複数の足場板上に配置される隙間被覆部材を有する。前記連結抜け止め部は、前記隙間被覆部材の下部に設けられている(第6の構成)。
【0017】
隙間被覆部材によって複数の足場板の間を覆いつつ、連結抜け止め部によって第1連結部の挿入方向後方への移動を防止することができる。
【0018】
前記第1から前記第6のいずれか一つの構成の吊り足場において、前記複数の足場板は、それぞれ、長手方向が前記おやご支柱の長手方向と一致するように配置され、前記被連結部は、前記おやご支柱の側面から上方向に突出する第2突出部を有し、前記第2突出部は、前記複数の足場板を上下方向に見て、前記複数の足場板の隙間内に位置する(第7の構成)。
【0019】
複数の足場板の隙間内に位置する第2突出部に、吊り足場を吊るワイヤなどを取り付けることができる。
【0020】
前記第7の構成の吊り足場は、前記複数の足場板の隙間を覆うように、前記複数の足場板上に配置される隙間被覆部材を有する。前記隙間被覆部材は、下部に、上下方向に貫通するスリット孔が設けられたおやご支柱固定部を有し、前記第2突出部は、前記隙間被覆部材が前記複数の足場板の隙間を覆った状態で、前記スリット孔を貫通している(第8の構成)。
【0021】
この構成により、おやご支柱に対する隙間被覆部材の長手方向の位置を位置決めできる。よって、前記おやご支柱の長手方向において、おやご支柱の第1突出部に対する、隙間被覆部材の連結抜け止め部の長手方向の位置を位置決めできる。
【0022】
前記第8の構成の吊り足場は、前記おやご支柱と前記隙間被覆部材とを連結する第2連結部を有する。前記第2突出部は、前記おやご支柱に対して上方向に平行な位置で、前記第2連結部を前記一方向に挿入可能な第2連結部挿入孔を有する。前記おやご支柱固定部は、前記一方向に貫通する貫通孔を有する。前記第2連結部は、前記第2突出部が前記スリット孔を貫通した状態で、前記おやご支柱固定部の貫通孔及び前記第2突出部の前記第2連結部挿入孔を貫通するくさび状である(第9の構成)。
【0023】
第2連結部によって、おやご支柱に対する隙間被覆部材の径方向の位置を位置決めできる。よって、前記おやご支柱の長手方向及び径方向において、前記おやご支柱及び前記支持部材を連結する第1連結部に対して、前記隙間被覆部材の連結抜け止め部を位置決めできる。したがって、前記おやご支柱及び前記支持部材から前記第1連結部が抜けることを防止することができる。
【0024】
前記第1の構成の吊り足場は、上下方向に延びるおやご支柱連結部材と、前記おやご支柱と前記おやご支柱連結部材とを連結する柱状の第3連結部と、をさらに有する。前記複数のおやご支柱は、前記一方向に延びる複数の第1おやご支柱と、前記第1おやご支柱よりも下方で前記一方向に延びる複数の第2おやご支柱と、を含む。前記支持部材は、長手方向の端部が前記第1おやご支柱に連結される第1支持部材と、長手方向の端部が前記第2おやご支柱に連結される第2支持部材と、を含む。前記複数の足場板は、前記第1支持部材によって支持される複数の第1足場板と、前記第2支持部材によって支持される複数の第2足場板と、を含む。前記第1おやご支柱の前記被連結部は、該第1おやご支柱の側面から下方向に突出し、前記第3連結部によって前記おやご支柱連結部材の長手方向の端部と連結される第3突出部を有する。前記第2おやご支柱の前記被連結部は、該第2おやご支柱の側面から上方向に突出し、前記第3連結部によって前記おやご支柱連結部材の長手方向の端部と連結される第2突出部を有する。前記第3突出部に前記おやご支柱連結部材の上端部が連結されるとともに前記第2突出部に前記おやご支柱連結部材の下端部が連結されることにより、前記第2支持部材は、前記第1支持部材よりも下方に位置する。前記複数の第2足場板は、前記複数の第1足場板よりも低い位置で水平方向に延びるように配置されている(第10の構成)。
【0025】
この構成により、第1支持部材によって支持される複数の第1足場板よりも低い位置に、第2支持部材によって支持される複数の第2足場板を配置することができる。これにより、吊り足場が設置される作業環境に応じた高さに足場板が配置された吊り足場を得ることができる。
【0026】
前記第10の構成の吊り足場は、前記第1おやご支柱と前記第2おやご支柱との間を上下方向に延びて前記おやご支柱連結部材によって支持される側壁部材と、前記複数の第1足場板における前記第1おやご支柱側の端部と、前記側壁部材の上端部との隙間を覆う出隅被覆部材と、をさらに有する(第11の構成)。
【0027】
これにより、第1足場板と第2足場板との段差によって第2足場板の外周に形成される隙間を側壁部材で覆うことができる。前記第1足場板と前記側壁部材との隙間を出隅被覆部材で覆うことができる。したがって、複数の足場板が異なる高さに配置された吊り足場において、段差によって形成された隙間が覆われた吊り足場を得ることができる。
【0028】
前記第11の構成の吊り足場において、前記出隅被覆部材は、下部に、前記第1おやご支柱と前記第1支持部材とを連結する前記第1連結部に対して、前記第1連結部の挿入方向の後方、且つ、前記第1おやご支柱と前記おやご支柱連結部材とを連結する前記第3連結部に対して、前記第3連結部の挿入方向の後方に配置される連結抜け止め部が設けられている(第12の構成)。
【0029】
これにより、出隅被覆部材によって段差を覆いつつ、連結抜け止め部によって第1連結部の挿入方向後方への移動が防止された吊り足場を得ることができる。
【0030】
前記第11または前記第12の構成の吊り足場において、前記複数の第2足場板における前記第2おやご支柱側の端部と、前記側壁部材の下端部との隙間を覆う入隅被覆部材をさらに有する(第13の構成)。
【0031】
これにより、前記第2足場板と側壁部材との隙間を入隅被覆部材で覆うことができる。したがって、複数の足場板が異なる高さに配置された吊り足場において、段差によって形成された隙間が覆われた吊り足場を得ることができる。
【0032】
前記第1の構成の吊り足場において、前記第1連結部は、くさび状である(第14の構成)。
【0033】
これにより、トルクレンチなどの連結用工具を用いることなく、おやご支柱に対して支持部材を容易に連結することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の一実施形態に係る吊り足場は、おやご支柱と支持部材とを連結する柱状の第1連結部を有する。前記おやご支柱は、前記支持部材の長手方向の端部が前記第1連結部によって連結される被連結部を有する。前記被連結部は、前記おやご支柱の側面から水平方向且つ前記おやご支柱が延びる方向と交差する方向に突出する第1突出部を有し、前記第1突出部は、前記おやご支柱に対して水平方向に平行な位置で、前記第1連結部を前記水平方向に挿入可能な第1連結部挿入孔を有する。
【0035】
この構成により、複数のおやご支柱に対して支持部材を容易に連結できる。したがって、作業性の悪い高所に設置する吊り足場において、水平方向に延びる複数の柱状の支持部材を容易に連結可能な構成を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、実施形態1に係る吊り足場の概略構成を示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線断面図である。
図3図3は、おやご支柱及び支持部材の連結部分を示す斜視図である。
図4図4は、おやご支柱及び隙間被覆部材の連結部分を示す斜視図である。
図5図5は、図3のV-V線断面図である。
図6図6は、図4のVI-VI線断面図である。
図7図7は、図3のVII-VII線断面図である。
図8図8は、おやご支柱及び支持部材の連結部分を下方から見た図である。
図9図9は、隙間被覆部材を下方から見た斜視図である。
図10図10は、おやご支柱及び支持部材の連結方法を説明する図である。
図11図11は、おやご支柱及び支持部材の連結方法を説明する図である。
図12図12は、おやご支柱及び隙間被覆部材の連結方法を説明する図である。
図13図13は、おやご支柱及び隙間被覆部材の連結方法を説明する図である。
図14図14は、実施形態2に係る吊り足場の概略構成を示す斜視図である。
図15図15は、第1おやご支柱、第2おやご支柱及びおやご支柱連結部材の連結部分を示す斜視図である。
図16図16は、図15のXVI-XVI線断面図である。
図17図17は、第1おやご支柱及び出隅被覆部材の連結部分を示す斜視図である。
図18図18は、実施形態2に係る吊り足場の構成例を模式的に示す図である。
図19図19は、その他の実施形態に係る吊り足場の構成例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0038】
なお、以下の説明では、足場板4が延びる方向を水平方向と称し、足場板4の厚み方向を上下方向と称する。なお、水平方向は、地面に対して水平な方向だけでなく、吊り足場1として機能する程度に地面に対して傾いた方向も含む。また、上下方向は、鉛直方向または前記水平方向に直交する方向である。また、おやご支柱2が延びる方向を、吊り足場1の長手方向と称する。前記長手方向のうち、おやご支柱2及び支持部材3の連結部分に対して連結抜け止め部62が位置する方向を「一方」、その反対方向を「他方」と称する。ただし、この定義により、吊り足場1の設置時の向きを限定する意図はない。
【0039】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”及び“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0040】
(実施形態1)
図1から図9を参照して、本実施形態に係る吊り足場1について説明する。吊り足場1は、図示しない構造物に対してワイヤ及びチェーンなどの吊り具8を用いて吊り下げられることにより、前記構造物の下方に設置される。吊り足場1は、例えば、橋梁等の構造物の工事をする際などのように、地面に足場を設置するのが困難な作業環境で用いられる。
【0041】
図1は、吊り足場1の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1のII-II線断面図である。吊り足場1は、おやご支柱2と、支持部材3と、足場板4と、第1連結部5と、隙間被覆部材6と、第2連結部7と、を有する。図2に示すように、本実施形態では、支持部材3は、第1連結部5によっておやご支柱2に連結されている。足場板4は、支持部材3に固定されている。隙間被覆部材6は、第2連結部7によっておやご支柱2に連結されている。吊り具8は、おやご支柱2に接続されている。
【0042】
図3は、図1の破線Aで囲まれる部分を拡大して示す図である。図4は、図1の破線Bで囲まれる部分を拡大して示す図である。なお、図3及び図4では、足場板4及び隙間被覆部材6の一部を二点鎖線で示している。また、図4では、説明のため、隙間被覆部材6の一部を取り除いている。図3において符号62の部材は、隙間被覆部材6の下部に設けられている隙間被覆部材6の一部である。図4において符号63の部材は、隙間被覆部材6の下部に設けられている隙間被覆部材6の一部である。
【0043】
図3及び図4に示すように、おやご支柱2は、水平方向の一方向に延びる柱状の部材である。吊り足場1は、複数のおやご支柱2を有する。複数のおやご支柱2は、吊り足場1の同じ高さで前記一方向に延びている。各おやご支柱2は、長手方向に所定の間隔をあけて設けられた複数のフランジ部21を有している。フランジ部21は、例えば、おやご支柱2の側面に溶接されている。なお、フランジ部21は、おやご支柱2と一体に形成されていてもよい。フランジ部21は、本発明の被連結部である。
【0044】
図5及び図6に示すように、フランジ部21は、おやご支柱2の径方向に延びるフランジ状の部材である。詳細には、フランジ部21は、おやご支柱2の側面から径方向の4方向に突出する突出部を有する。本実施形態では、フランジ部21は、おやご支柱2に対して水平方向のうち前記一方向と交差する方向に突出する一対の第1突出部22と、上方向に突出する第2突出部23と、下方向に突出する第3突出部24と、を有する。
【0045】
第1突出部22は、おやご支柱2に対して水平方向に平行な位置でおやご支柱2の長手方向に貫通する第1連結部挿入孔22aを有する。第1突出部22は、支持部材3の後述する筒部32内に挿入可能である。
【0046】
第2突出部23は、おやご支柱2の上方向に平行な位置でおやご支柱2の長手方向に貫通する第2連結部挿入孔23aを有する。第2突出部23は、隙間被覆部材6における後述するおやご支柱固定部63のおやご支柱固定部本体64におけるスリット孔64aに挿入可能である。また、第2突出部23には、図2に示すように、吊り足場1を吊り下げる吊り具8を接続可能である。
【0047】
第3突出部24は、おやご支柱2の下方向に平行な位置でおやご支柱2の長手方向に貫通する第3連結部挿入孔24aを有する。
【0048】
図5から図8に示すように、支持部材3は、水平方向且つおやご支柱2が延びる方向と交差する方向に延びる柱状の部材である。支持部材3は、柱状の支持部材本体31と、支持部材本体31の長手方向の端部に接続された筒状の筒部32と、を有する。筒部32内には、おやご支柱2のフランジ部21における第1突出部22が挿入されている。
【0049】
図7及び図8に示すように、筒部32には、筒部32を水平方向且つおやご支柱2の長手方向に貫通する一対の貫通孔33が設けられている。上述したように、第1突出部22は、水平方向且つおやご支柱2の長手方向に貫通する第1連結部挿入孔22aを有している。よって、筒部32内に第1突出部22が挿入された状態で、第1連結部5が筒部32の一対の貫通孔33及び第1突出部22の第1連結部挿入孔22aを水平方向且つおやご支柱2の長手方向に貫通可能である。
【0050】
筒部32は、下部に、長手方向の端部から支持部材3の長手方向に延びるスリット34を有する。スリット34の長さは、おやご支柱2の側面から第1突出部22の先端までの長さよりも長い。これにより、吊り足場1の組み立て時に、第1突出部22に対して、支持部材3の筒部32を、上方から挿入することができる。すなわち、スリット34によって、おやご支柱2に対して支持部材3を容易に配置することができる。
【0051】
筒部32は、上部にはスリットを有していない。筒部32内に第1突出部22が挿入された状態で、第1突出部22の上方には、筒部32の上部によって構成される上壁部35が位置する。これにより、おやご支柱2に対して、支持部材3が下方に抜け落ちるのを防止できる。よって、支持部材3がおやご支柱2に対して落下するのを防止できる。すなわち、筒部32の上壁部35は、本発明における支持部材3の落下を防止する落下防止用壁部として機能する。
【0052】
図1に示すように、足場板4は、平面視で長方形状の部材である。足場板4は、複数の支持部材3に架け渡されている。すなわち、足場板4は、支持部材3によって、水平方向に延び且つ長手方向がおやご支柱2の長手方向と一致するように支持されている。足場板4は、図示省略する締結部材によって支持部材3に固定されている。なお、足場板4の長手方向及びおやご支柱2の長手方向は、完全に一致していなくてもよい。複数の足場板4によって、作業者がその上で作業する作業場の床面が構成される。
【0053】
吊り足場1は、複数の足場板4を有する。複数の足場板4は、吊り足場1の同じ高さで水平方向に延びるように配置されている。複数の足場板4は、図5及び図6に示すように、隣り合う足場板4の間に隙間が生じるように配置されている。足場板4を上下方向に見て、おやご支柱2は、前記隙間に位置している。おやご支柱2のフランジ部21における第2突出部23は、隣り合う足場板4の間で上方に突出している。
【0054】
図3図7及び図8に示すように、本実施形態では、第1連結部5は、長手方向の一方の端部から他方の端部に向かって幅寸法が小さくなっているくさび状の部材である。すなわち、第1連結部5は、ボルトのようなネジ山を有する締結部材ではなく、柱状の部材である。なお、くさび状の部材は、一般に、ハンマーなどによって打ち付けられることにより、孔等に挿入固定される部材であるが、本発明では、くさび状の部材は、道具を用いることなく前記孔等に挿入固定可能なものを含む。
【0055】
第1連結部5は、支持部材3の筒部32における一対の貫通孔33と、おやご支柱2のフランジ部21における第1突出部22の第1連結部挿入孔22aとを水平方向に貫通している。これにより、おやご支柱2及び支持部材3が連結される。第1連結部5は、一対の貫通孔33及び第1連結部挿入孔22aに対して吊り足場1の長手方向の一方から挿入されている。以下では、第1連結部5の長手方向において、一対の貫通孔33及び第1連結部挿入孔22aに最後に挿入される端部を、第1連結部5の挿入方向の後部と呼び、最初に挿入される端部を前部と呼ぶ。また、以下では、吊り足場1において、一対の貫通孔33及び第1連結部挿入孔22aに第1連結部5を挿入する際に、第1連結部5の前部に対して後部が位置する方向を、第1連結部5の挿入方向の後方と呼ぶ。
【0056】
図7及び図8に示すように、本実施形態では、第1連結部5は、後部に、他の部分に比べて高さ寸法が大きい第1ストッパ51を有する。第1連結部5は、前部に、他の部分に比べて高さ寸法が大きい第2ストッパ52を有する。第1ストッパ51及び第2ストッパ52は、第1連結部5が、支持部材3の筒部32における一対の貫通孔33と、おやご支柱2のフランジ部21における第1突出部22の第1連結部挿入孔22aを貫通した状態で、筒部32の外部に位置している。
【0057】
第1ストッパ51の上下方向寸法は、一対の貫通孔33のうち吊り足場1の長手方向一方に位置する貫通孔の上下方向寸法よりも大きい。これにより、第1連結部5の後部は、前記長手方向一方に位置する貫通孔を通過できない。すなわち、第1連結部5は、吊り足場1の長手方向の他方に抜け出ない。
【0058】
第2ストッパ52の上下方向寸法は、一対の貫通孔33のうち吊り足場1の長手方向他方に位置する貫通孔の上下方向寸法よりも小さい。これにより、第1連結部5の前部は、前記長手方向他方に位置する貫通孔を通過できる。第2ストッパ52の上下方向寸法は、一対の貫通孔33のうち前記長手方向一方に位置する貫通孔の上下方向寸法よりも大きい。これにより、第1連結部5の前部は、前記長手方向一方に位置する貫通孔を通過できない。すなわち、第1連結部5は、吊り足場1の長手方向の一方に抜け出ない。すなわち、本実施形態では、第1連結部5は、筒部32から抜けないように構成されている。
【0059】
吊り足場1の長手方向において、第1連結部5の後方には、後述する隙間被覆部材6の連結抜け止め部62が位置している。連結抜け止め部62によって、第1連結部5は、前記長手方向の一方への移動が規制される。すなわち、第1連結部5は、筒部32に挿入された状態で、吊り足場1の長手方向の一方に抜け出ない。
【0060】
なお、上述したように、第1連結部5が挿入されている第1突出部22の上方には、支持部材3の筒部32における上壁部35が位置する。したがって、第1連結部5が筒部32から抜けた場合でも、支持部材3が下方に抜け落ちるのを防止できる。
【0061】
このように、吊り足場1では、第1連結部5を第1突出部22及び筒部32を貫通させるだけで、おやご支柱2に対して支持部材3を連結することができる。すなわち、吊り足場1では、おやご支柱2及び支持部材3の連結に、トルクレンチなどの連結用工具を用いる必要がない。
【0062】
図5及び図6に示すように、隙間被覆部材6は、複数の足場板4の隙間を覆うように、前記複数の足場板4上に配置される。図9は、隙間被覆部材6の一部を足場板4から離隔させて下から見た図である。隙間被覆部材6は、被覆部本体61と、被覆部本体61の下面に接続された連結抜け止め部62及びおやご支柱固定部63と、を有する。
【0063】
被覆部本体61は、平板状の部材である。図1図5及び図6に示すように、被覆部本体61は、隣り合う足場板4の隙間を覆うように、足場板4の上面に載置される。図2に示すように、被覆部本体61が足場板4の上面に載置された状態で、連結抜け止め部62及びおやご支柱固定部63は、隣り合う足場板4の間で下方に延びている。
【0064】
被覆部本体61は、吊り具取付孔61aと、開閉部61bとを有する。吊り具取付孔61aは、被覆部本体61を厚み方向に貫通している。吊り具取付孔61aは、被覆部本体61が足場板4の上面に載置された状態で、足場板4を上下方向に見て、おやご支柱2のフランジ部21における第2突出部23の位置と重なる。第2突出部23に接続される吊り具8は、吊り具取付孔61aを通過して、吊り足場1が吊り下げられる構造物等に接続される。すなわち、吊り具取付孔61aによって、吊り具8が接続されている第2突出部23と隙間被覆部材6との干渉を防止できる。
【0065】
開閉部61bは、扉である。開閉部61bは、おやご支柱固定部63の上方に位置する。開閉部61bを開けることで、おやご支柱固定部63の内部を視認することができる。開閉部61bは、例えば、後述する第2連結部7を取り外す際に開けられる。すなわち、開閉部61bによって、第2連結部7を容易に取り外すことができる。なお、被覆部本体は、開閉部を有さなくてもよい。
【0066】
図2及び図9に示すように、連結抜け止め部62は、被覆部本体61の下面から下方に延びている。連結抜け止め部62の下端部は、被覆部本体61が足場板4の上面に載置された状態で、第1連結部5の挿入方向の後方に位置している。連結抜け止め部62は、第1連結部5の前記長手方向一方への移動を規制する。すなわち、隙間被覆部材6が足場板4上に配置されることにより、おやご支柱2及び支持部材3の連結部分から第1連結部5が抜け出ることが防止される。
【0067】
おやご支柱固定部63は、被覆部本体61の下面に接続されている。おやご支柱固定部63は、おやご支柱2に対する隙間被覆部材6の位置を位置決めする。おやご支柱固定部63は、おやご支柱固定部本体64と、中間壁65とを有する。おやご支柱固定部本体64は、断面U字状の部材であり、おやご支柱2の長手方向に延びている。おやご支柱固定部本体64の開放端部は、被覆部本体61が足場板4の上面に載置された状態で、おやご支柱2を長手方向に見て、被覆部本体61の下面に接続されている。これにより、おやご支柱固定部本体64は、被覆部本体61との間に空間Sを形成する。
【0068】
図4及び図9に示すように、中間壁65は、おやご支柱固定部本体64と被覆部本体61とに囲まれた空間S内に、前記長手方向が厚み方向になるように配置されている。中間壁65は、厚み方向に貫通する貫通孔65aを有する。
【0069】
図6及び図9に示すように、おやご支柱固定部本体64は、底面に上下方向に貫通するスリット孔64aを有する。スリット孔64aは、中間壁65よりも、吊り足場1の長手方向他方に位置する。隙間被覆部材6が複数の足場板4の隙間を覆うように複数の足場板4上に配置された状態で、スリット孔64aには、第2突出部23が貫通している。すなわち、第2突出部23の先端部は、空間S内において、中間壁65の前記長手方向他方に位置している。おやご支柱固定部本体64を第2突出部23が貫通した状態で、中間壁65の貫通孔65a及び第2突出部23の第2連結部挿入孔23aに第2連結部7を貫通可能である。
【0070】
図2及び図4に示すように、第2連結部7は、くさび状の部材である。第2連結部7は、おやご支柱固定部63の中間壁65における貫通孔65a及び第2突出部23の第2連結部挿入孔23aを水平方向に貫通している。これにより、おやご支柱2及び隙間被覆部材6が連結される。第2連結部7は、貫通孔65a及び第2連結部挿入孔23aに対して吊り足場1の長手方向一方から挿入されている。
【0071】
(おやご支柱、支持部材及び隙間被覆部材の連結方法)
次に、図2及び図10から図13を参照して、おやご支柱2、支持部材3及び隙間被覆部材6の連結方法について説明する。
【0072】
図10に示すように、支持部材3の筒部32内に、おやご支柱2のフランジ部21における第1突出部22を挿入する。筒部32は、下部に、第1突出部22が通過可能なスリット34を有する。したがって、第1突出部22に対して、筒部32を、上方から容易に挿入することができる。なお、筒部32は、上部に上壁部35を有する。これにより、おやご支柱2に対して、支持部材3は下方に抜け落ちない。
【0073】
図11に示すように、支持部材3の筒部32内に第1突出部22が挿入された状態で、一対の貫通孔33及び第1連結部挿入孔22aに、第1連結部5を吊り足場1の長手方向一方から挿入する。これにより、おやご支柱2に対して支持部材3が連結される。
【0074】
おやご支柱2に支持部材3を連結した後に、支持部材3に対して、複数の足場板4を固定する。その後、複数の足場板4の隙間を覆うように、複数の足場板4上に隙間被覆部材6を配置する。隙間被覆部材6を複数の足場板4上に配置することにより、第1連結部5の後方に連結抜け止め部62が位置付けられる。
【0075】
図12に示すように、隙間被覆部材6を複数の足場板4上に配置する際に、おやご支柱固定部63のスリット孔64aに、おやご支柱2の第2突出部23を挿入する。これにより、おやご支柱2に対して隙間被覆部材6が長手方向に位置決めされる。
【0076】
図13に示すように、おやご支柱固定部63内におやご支柱2の第2突出部23が挿入された状態で、おやご支柱固定部63の中間壁65における貫通孔65a及び第2連結部挿入孔23aに、第2連結部7を挿入する。これにより、おやご支柱2と、隙間被覆部材6とが連結されるとともに、おやご支柱2に対する隙間被覆部材6の径方向位置が位置決めされる。すなわち、隙間被覆部材6のおやご支柱2に対する長手方向位置及び径方向位置が位置決めされる。
【0077】
隙間被覆部材6のおやご支柱2に対する長手方向位置及び径方向位置が位置決めされることにより、第1連結部5に対して、連結抜け止め部62の長手方向位置及び径方向位置が位置決めされる。すなわち、第1連結部5の挿入方向の後方に連結抜け止め部62が固定される。これにより、第1連結部5がおやご支柱2及び支持部材3から抜け落ちることを防止することができる。
【0078】
なお、本実施形態では、一対の貫通孔33及び第1連結部挿入孔22aに、第1連結部5を吊り足場1の長手方向一方から挿入する吊り足場1の構成について説明した。しかしながら、吊り足場は、第1連結部を吊り足場の長手方向他方から挿入するように構成されてもよい。吊り足場は、一部の第1連結部を吊り足場の長手方向一方から挿入し、他の第1連結部を吊り足場の長手方向他方から挿入するように構成されてもよい。この場合、吊り足場は、連結抜け止め部が第1連結部の挿入方向後方に位置付けられるように構成されていればよい。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る吊り足場1では、おやご支柱2及び支持部材3は、柱状の第1連結部5によって連結されている。おやご支柱2は、支持部材3の長手方向の端部が第1連結部5によって連結されるフランジ部21を有している。フランジ部21は、おやご支柱2の側面から水平方向のうちおやご支柱2が延びる方向である一方向と交差する方向に突出する第1突出部22を有している。第1突出部22は、おやご支柱2に対して水平方向に平行な位置で、第1連結部5を前記一方向に挿入可能な第1連結部挿入孔22aを有している。
【0080】
この構成では、おやご支柱2のフランジ部21における第1突出部22の第1連結部挿入孔22aに第1連結部5を一方向に挿入することにより、おやご支柱2と支持部材3とを連結することができる。これにより、複数のおやご支柱2に対して支持部材3を容易に連結できる。したがって、作業性の悪い高所に設置する吊り足場1において、水平方向に延びる複数の柱状部材を容易に連結可能な構成を提供することができる。
【0081】
支持部材3は、前記長手方向の端部に、水平方向且つ前記一方向に貫通する一対の貫通孔33が設けられた筒部32を有している。第1連結部5は、支持部材3の筒部32内におやご支柱2におけるフランジ部21の第1突出部22が挿入された状態で、筒部32の一対の貫通孔33及び第1突出部22の第1連結部挿入孔22aを貫通している。
【0082】
これにより、第1連結部5を、おやご支柱2のフランジ部21における第1突出部22の第1連結部挿入孔22aと、支持部材3の筒部32における一対の貫通孔33とに貫通させることにより、おやご支柱2と支持部材3とを連結することができる。
【0083】
また、吊り足場1は、おやご支柱2と支持部材3とを連結する第1連結部5に対して、第1連結部5の挿入方向の後方に、連結抜け止め部62を有する。本実施形態では、連結抜け止め部62は、複数の足場板4上に配置される隙間被覆部材6の下部に設けられている。
【0084】
隙間被覆部材6は、下部に、おやご支柱固定部63を有している。おやご支柱固定部63には、上下方向に貫通するスリット孔64aが設けられている。スリット孔64aに、おやご支柱2のフランジ部21における第2突出部23が貫通している。第2突出部23及びおやご支柱固定部63は、くさび状の第2連結部7によって連結されている。
【0085】
この構成により、おやご支柱2に対する隙間被覆部材6の長手方向位置及び径方向位置が位置決めされる。よって、おやご支柱2及び支持部材3を連結する第1連結部5に対して、隙間被覆部材6の連結抜け止め部62が長手方向及び径方向に固定される。したがって、おやご支柱2及び支持部材3から第1連結部5が抜けることを防止することができる。よって、作業性の悪い高所に設置する吊り足場1において、水平方向に延びる複数の柱状の支持部材を容易で且つ確実に連結可能な構成を提供することができる。
【0086】
(実施形態2)
次に、図14から図18を参照して、実施形態2に係る吊り足場100について説明する。本実施形態に係る吊り足場100では、複数の足場板が、吊り足場100における複数の異なる高さで水平方向に延びるように配置されている。以下では、実施形態1と同じ構成について同じ符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0087】
図14は、吊り足場100の概略構成を示す斜視図である。吊り足場100は、複数の足場ユニット101,201と、おやご支柱連結部材303と、側壁部材304と、第3連結部305と、出隅被覆部材306と、入隅被覆部材316と、を有する。
【0088】
複数の足場ユニット101,201のうち一方の第1足場ユニット101は、第1おやご支柱102と、第1支持部材103と、第1足場板104と、第1連結部5と、を有する。第1おやご支柱102は、本発明のおやご支柱である。第1支持部材103は、本発明の支持部材である。第1足場板104は、本発明の足場板である。
【0089】
第1おやご支柱102、第1支持部材103及び第1足場板104は、それぞれ実施形態1のおやご支柱2、支持部材3及び足場板4と同様の構成を有する。第1おやご支柱102及び第1支持部材103は、実施形態1のおやご支柱2及び支持部材3と同様、第1連結部5によって連結されている。第1足場板104は、実施形態1の足場板4に対する支持部材3と同様、第1支持部材103によって支持されている。したがって、第1おやご支柱102、第1支持部材103及び第1足場板104の構成の説明は、省略する。
【0090】
複数の足場ユニット101,201のうち他方の第2足場ユニット201は、第2おやご支柱202と、第2支持部材203と、第2足場板204と、第1連結部5と、を有する。第2おやご支柱202は、本発明のおやご支柱である。第2支持部材203は、本発明の支持部材である。第2足場板204は、本発明の足場板である。
【0091】
第2おやご支柱202、第2支持部材203及び第2足場板204は、それぞれ実施形態1のおやご支柱2、支持部材3及び足場板4と同様の構成を有する。第2おやご支柱202及び第2支持部材203は、実施形態1のおやご支柱2及び支持部材3と同様、第1連結部5によって連結されている。第2足場板204は、実施形態1の足場板4に対する支持部材3と同様、第2支持部材203によって支持されている。したがって、第2おやご支柱202、第2支持部材203及び第2足場板204の構成の説明は、省略する。
【0092】
図14に示すように、第1足場ユニット101の複数の第1おやご支柱102は、吊り足場100の所定の高さ位置で水平方向の一方向に延びている。第2足場ユニット201の複数の第2おやご支柱202は、第1おやご支柱102よりも下方で前記一方向に延びている。複数の第1おやご支柱102と、複数の第2おやご支柱202とは、上下方向に見て一部が重なっている。上下方向に重なる第1足場ユニット101の第1おやご支柱102と、第2足場ユニット201の第2おやご支柱202は、後述するおやご支柱連結部材303によって上下方向に連結されている。以下では、説明のため、第1足場ユニット101の第1おやご支柱102と、第2足場ユニット201の第2おやご支柱202とが、おやご支柱連結部材303によって連結されている状態を、第1足場ユニット101と、第2足場ユニット201とが、おやご支柱連結部材303によって連結されているとも称する。
【0093】
図15は、図14の一点鎖線Cで囲まれる部分を拡大して示す図である。図16は、図15のXVI-XVI線断面図である。なお、図15では、第1足場板104、第2足場板204及び側壁部材304を二点鎖線で示している。また、図16では、説明のため、一部の構成を省略して示している。
【0094】
図15及び図16に示すように、第1おやご支柱102及び第2おやご支柱202は、実施形態1と同様のフランジ部21を有する。すなわち、図16に示すように、第1おやご支柱102のフランジ部21は、水平方向のうち前記一方向と交差する方向に突出する一対の第1突出部22と、上方向に突出する第2突出部23と、下方向に突出する第3突出部24と、を有する。第2おやご支柱202のフランジ部21は、水平方向のうち前記一方向と交差する方向に突出する一対の第1突出部22と、上方向に突出する第2突出部23と、下方向に突出する第3突出部24と、を有する。
【0095】
また、実施形態1と同様、第1おやご支柱102のフランジ部21における第1突出部22は、第1おやご支柱102に対して水平方向に平行な位置で第1おやご支柱102の長手方向に貫通する第1連結部挿入孔22aを有する。第2突出部23は、第1おやご支柱102の上方向に平行な位置で第1おやご支柱102の長手方向に貫通する第2連結部挿入孔23aを有する。第3突出部24は、第1おやご支柱102の下方向に平行な位置で第1おやご支柱102の長手方向に貫通する第3連結部挿入孔24aを有する。第2突出部23は、おやご支柱連結部材303の後述する筒部332a内に挿入可能である。
【0096】
また、実施形態1と同様、第2おやご支柱202のフランジ部21における第1突出部22は、第2おやご支柱202に対して水平方向に平行な位置で第2おやご支柱202の長手方向に貫通する第1連結部挿入孔22aを有する。第2突出部23は、第2おやご支柱202の上方向に平行な位置で第2おやご支柱202の長手方向に貫通する第2連結部挿入孔23aを有する。第3突出部24は、第2おやご支柱202の下方向に平行な位置で第2おやご支柱202の長手方向に貫通する第3連結部挿入孔24aを有する。第3突出部24は、おやご支柱連結部材303の後述する筒部332b内に挿入可能である。
【0097】
おやご支柱連結部材303は、上下方向に延びる柱状の部材である。おやご支柱連結部材303は、上下方向に並ぶ第1おやご支柱102と第2おやご支柱202とを上下方向に連結している。詳細には、図15及び図16に示すように、おやご支柱連結部材303は、上下方向に延びるおやご支柱連結部材本体331と、おやご支柱連結部材本体331の上端部に接続された筒状の筒部332aと、おやご支柱連結部材本体331の下端部に接続された筒状の筒部332bとを有する。筒部332a内には、第1おやご支柱102のフランジ部21における第3突出部24が挿入されている。筒部332b内には、第2おやご支柱202のフランジ部21における第2突出部23が挿入されている。
【0098】
筒部332aには、筒部332aを水平方向且つ第1おやご支柱102の長手方向に貫通する一対の貫通孔333aが設けられている。上述したように、第3突出部24は、水平方向に貫通する第3連結部挿入孔24aを有している。よって、筒部332a内に第3突出部24が挿入された状態で、第3連結部305が、筒部332aの一対の貫通孔333a及び第3突出部24の第3連結部挿入孔24aを水平方向且つ第1おやご支柱102の長手方向に貫通可能である。
【0099】
図16に示すように、筒部332aは、上端部から下方向に延びるスリット334aを有する。スリット334aの長さは、第1おやご支柱102の側面から第3突出部24の先端までの長さよりも長い。これにより、吊り足場100の組み立て時に、おやご支柱連結部材303を水平方向に移動させつつ、筒部332a内に第3突出部24を挿入することができる。すなわち、スリット334aによって、第1おやご支柱102に対しておやご支柱連結部材303を容易に配置することができる。
【0100】
筒部332bには、筒部332bを水平方向且つ第2おやご支柱202の長手方向に貫通する一対の貫通孔333bが設けられている。上述したように、第2突出部23は、水平方向に貫通する第2連結部挿入孔23aを有している。よって、筒部332b内に第2突出部23が挿入された状態で、第3連結部305が、筒部332bの一対の貫通孔333b及び第2突出部23の第2連結部挿入孔23aを水平方向且つ第2おやご支柱202の長手方向に貫通可能である。
【0101】
筒部332bは、下端部から上方向に延びるスリット334bを有する。スリット334bの長さは、第2おやご支柱202の側面から第2突出部23の先端までの長さよりも長い。これにより、吊り足場100の組み立て時に、おやご支柱連結部材303を水平方向に移動させつつ、筒部332b内に第2突出部23を挿入することができる。すなわち、スリット334bによって、第2おやご支柱202に対しておやご支柱連結部材303を容易に配置することができる。
【0102】
本実施形態では、第1おやご支柱102及びおやご支柱連結部材303は、第3連結部305によって連結されている。詳細には、図16に示すように、第3連結部305は、おやご支柱連結部材303の筒部332aにおける一対の貫通孔333aと、第1おやご支柱102のフランジ部21における第3突出部24の第3連結部挿入孔24aとを水平方向に貫通している。
【0103】
また、第2おやご支柱202及びおやご支柱連結部材303は、第3連結部305によって連結されている。詳細には、図16に示すように、第3連結部305は、おやご支柱連結部材303の筒部332bにおける一対の貫通孔333bと、第2おやご支柱202のフランジ部21における第2突出部23の第2連結部挿入孔23aとを水平方向に貫通している。
【0104】
第3連結部305の構成は、第1連結部5と同様である。したがって、第3連結部305の構成の説明は、省略する。
【0105】
図14に示すように、側壁部材304は、長方形状の板状の部材である。側壁部材304は、複数のおやご支柱連結部材303に沿って延びている。すなわち、側壁部材304は、吊り足場100の上下方向、且つ、第1おやご支柱102及び第2おやご支柱202の長手方向に延びている。側壁部材304は、図示省略する締結部材によって、後述する入隅被覆部材316とともに、おやご支柱連結部材303に固定されている。
【0106】
図14から図16に示すように、出隅被覆部材306は、第1足場板104と側壁部材304との出隅部に設置されて、前記出隅部に形成される隙間を覆っている。図17は、第1おやご支柱102と第1支持部材103の連結部分を図14及び図15とは異なる方向から見た斜視図である。図17では、出隅被覆部材306を、第1足場板104及び側壁部材304から離隔させて示している。図17では、説明のため、一部の構成部材の図示を省略している。
【0107】
図17に示すように、出隅被覆部材306は、被覆部本体361と、被覆部本体361の下面に接続された連結抜け止め部362及びおやご支柱固定部363と、を有する。
【0108】
図15から図17に示すように、被覆部本体361は、水平方向に延びる水平部361aと、水平部361aの端部から下方に延びる垂直部361bとを有する。水平部361aは、第1足場板104の上面に載置される。垂直部361bは、側壁部材304の外側面に接触する。このようにして、被覆部本体361は、第1足場板104と、側壁部材304との出隅部に形成された隙間を覆っている。
【0109】
図17に示すように、被覆部本体361の下部には、連結抜け止め部362とおやご支柱固定部363とが位置している。
【0110】
被覆部本体361は、実施形態1の隙間被覆部材6の被覆部本体61と同様に、吊り具取付孔61aと、開閉部61bとを有する。吊り具取付孔61a及び開閉部61bの構成は、実施形態1と同様である。したがって、吊り具取付孔61a及び開閉部61b説明は、省略する。
【0111】
図17に示すように、連結抜け止め部362は、被覆部本体361の下面から下方に延びている。連結抜け止め部362の下端部は、出隅被覆部材306が前記出隅部に設置された状態で、第1連結部5の挿入方向の後方且つ第3連結部305の挿入方向の後方に位置している。
【0112】
詳細には、本実施形態では、連結抜け止め部362は、それぞれ下方に延びる第1連結抜け止め部362aと、第2連結抜け止め部362bとを有する。
【0113】
上述したように、本実施形態では、第1おやご支柱102及び第1支持部材103は、第1連結部5によって連結されている。第1おやご支柱102及びおやご支柱連結部材303は、第3連結部305によって連結されている。このように、被覆部本体361の下方には、第1連結部5及び第3連結部305が位置している。本実施形態では、第1連結抜け止め部362aの下端部は、第1連結部5の後方に位置し、第2連結抜け止め部362bの下端部は、第3連結部305の後方に位置している。
【0114】
第1連結抜け止め部362aは、第1連結部5の挿入方向後方への移動を規制する。第2連結抜け止め部362bは、第3連結部305の挿入方向後方への移動を規制する。よって、出隅被覆部材306が前記出隅部に設置されることにより、第1おやご支柱102及び第1支持部材103の連結部分から第1連結部5が抜け出ることが防止され、第1おやご支柱102及びおやご支柱連結部材303の連結部分から第3連結部305が抜け出ることが防止される。
【0115】
おやご支柱固定部363は、第1おやご支柱102に対する出隅被覆部材306の位置を位置決めする。すなわち、おやご支柱固定部363によって、出隅被覆部材306は、第1おやご支柱102に連結される。おやご支柱固定部363の構成は、実施形態1のおやご支柱固定部63と同様である。したがって、おやご支柱固定部363の説明は、省略する。
【0116】
図14から図16に示すように、入隅被覆部材316は、側壁部材304と第2足場板204との入隅部に設置されて、前記入隅部に形成される隙間を覆っている。入隅被覆部材316は、図16に示すように、断面視でL字状の部材である。入隅被覆部材316は、水平方向に延びる水平部316aと、水平部316aの端部から上方に延びる垂直部316bとを有する。水平部316aは、第2足場板204の上面に載置される。垂直部316bは、側壁部材304の外側面に接触する。
【0117】
よって、入隅被覆部材316は、第2足場板204と、側壁部材304との入隅部に形成された隙間を覆っている。入隅被覆部材316は、図示省略する締結部材によって、側壁部材304とともに、おやご支柱連結部材303に固定されている。なお、入隅被覆部材316は、足場板の外縁に沿って設置される幅木と同様の機能を有する。したがって、吊り足場100は、入隅被覆部材316に代わって、幅木を有していてもよい。
【0118】
以上の構成を有する吊り足場100では、第1足場ユニット101の第1おやご支柱102及び第1支持部材103は、吊り足場100の所定の高さで水平方向に延びている。第1足場板104は、第1支持部材103によって水平方向に延びるように支持されている。第2足場ユニット201の第2おやご支柱202及び第2支持部材203は、第1足場ユニット101の第1おやご支柱102及び第1支持部材103よりも下方で水平方向に延びている。第2足場板204は、第2支持部材203によって水平方向に延びるように支持されている。おやご支柱連結部材303は、第1おやご支柱102と第2おやご支柱202とを、上下方向に連結している。
【0119】
これにより、第2支持部材203によって支持される複数の第2足場板204が、第1支持部材103によって支持される複数の第1足場板104よりも低い位置で水平方向に延びるように配置されている吊り足場100を得ることができる。
【0120】
図18は、本実施形態に係る吊り足場100の構成例を模式的に示す図である。図18に示すように、吊り足場100は、構造物Tの下方に吊られている。構造物Tの下面の高さは、中央部分よりも両側部分が低い。
【0121】
吊り足場100は、第1足場ユニット101と、第1足場ユニット101の両側に位置する2つの第2足場ユニット201と、第1足場ユニット101及び2つの第2足場ユニット201をそれぞれ上下方向に連結するおやご支柱連結部材303a,303bによって構成されている。
【0122】
詳細には、第1足場ユニット101は、吊り足場100の所定の高さで水平方向に延びる一対の第1おやご支柱102a,102bと、一対の第1おやご支柱102a,102bを水平方向に連結する第1支持部材103と、第1支持部材103によって支持される第1足場板104とを有する。2つの第2足場ユニット201は、それぞれ、一対の第1おやご支柱102よりも下方で水平方向に延びる一対の第2おやご支柱202と、一対の第2おやご支柱を水平方向に連結する第2支持部材203と、第2支持部材203によって支持される第2足場板204とを有する。
【0123】
一対の第1おやご支柱102a,102bのうち一方の第1おやご支柱102aには、該第1おやご支柱102aから下方に延びるおやご支柱連結部材303aが連結されている。一対の第1おやご支柱102a,102bのうち他方の第1おやご支柱102bには、該第1おやご支柱102bから下方に延びるおやご支柱連結部材303bが連結されている。2つのおやご支柱連結部材303a,303bの下端部には、それぞれ第2足場ユニット201の一対の第2おやご支柱202のうち一方の第2おやご支柱202が連結されている。
【0124】
これにより、構造物Tにおいて下面の高さが低い両側部分の下方に、第2足場ユニット201を配置させることができる。すなわち、吊り足場100では、構造物Tの下面の高さが低い部分の下方に位置する足場板を低い位置に配置することができる。このように、吊り足場100では、吊り足場100が設置される作業環境に応じて、足場板の高さを変えることができる。よって、作業環境に適した吊り足場を得ることができる。
【0125】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0126】
前記実施形態1では、吊り足場1は、隙間被覆部材6を有する。しかしながら、吊り足場は、隙間被覆部材を有さなくてもよい。なお、該吊り足場から部材等が落下することを防止するために、吊り足場は、隙間被覆部材を有するのが好ましい。
【0127】
前記実施形態2では、吊り足場100は、側壁部材304を有する。しかしながら、吊り足場は、側壁部材を有さなくてもよい。なお、吊り足場は、該吊り足場から部材等が落下することを防止するために、吊り足場は、側壁部材を有するのが好ましい。
【0128】
前記実施形態2では、吊り足場100は、出隅被覆部材306を有する。しかしながら、吊り足場は、出隅被覆部材を有さなくてもよい。なお、該吊り足場から部材等が落下することを防止するために、吊り足場は、出隅被覆部材を有するのが好ましい。
【0129】
前記実施形態2では、吊り足場100は、入隅被覆部材316を有する。しかしながら、吊り足場は、入隅被覆部材を有さなくてもよい。なお、該吊り足場から部材等が落下することを防止するために、吊り足場は、入隅被覆部材を有するのが好ましい。
【0130】
前記実施形態1,2では、吊り足場1,100は、連結抜け止め部62,362を有する。しかしながら、吊り足場は、連結抜け止め部を有さなくてもよい。
【0131】
前記実施形態1では、おやご支柱2は、おやご支柱2の径方向に延びるフランジ状の被連結部であるフランジ部21を有する。フランジ部21に挿入された第1連結部5は、フランジ部21を貫通している。しかしながら、おやご支柱は、該おやご支柱の径方向及び軸方向に延びる収容空間を有する被連結部を有してもよい。この場合、被連結部に挿入された第1連結部の先端部は、前記収容空間内に収容されてもよい。前記第1連結部は、前記被連結部を貫通していなくてもよい。
【0132】
前記実施形態1では、おやご支柱2は、おやご支柱2の径方向に延びるフランジ状の被連結部であるフランジ部21を有する。フランジ部21に挿入された第2連結部7は、フランジ部21を貫通している。しかしながら、おやご支柱は、該おやご支柱の径方向及び軸方向に延びる収容空間を有する被連結部を有してもよい。この場合、被連結部に挿入された第2連結部の先端部は、前記収容空間内に収容されてもよい。前記第2連結部は、前記被連結部を貫通していなくてもよい。
【0133】
前記実施形態2では、第1おやご支柱102は、第1おやご支柱102の径方向に延びるフランジ状の被連結部であるフランジ部21を有する。フランジ部21に挿入された第1連結部5は、フランジ部21を貫通している。しかしながら、第1おやご支柱は、該第1おやご支柱の径方向及び軸方向に延びる収容空間を有する被連結部を有してもよい。この場合、被連結部に挿入された第1連結部の先端部は、前記収容空間内に収容されてもよい。前記第1連結部は、前記被連結部を貫通していなくてもよい。
【0134】
前記実施形態2では、第2おやご支柱202は、第2おやご支柱202の径方向に延びるフランジ状の被連結部であるフランジ部21を有する。フランジ部21に挿入された第1連結部5は、フランジ部21を貫通している。しかしながら、第2おやご支柱は、該第2おやご支柱の径方向及び軸方向に延びる収容空間を有する被連結部を有してもよい。この場合、被連結部に挿入された第1連結部の先端部は、前記収容空間内に収容されてもよい。前記第1連結部は、前記被連結部を貫通していなくてもよい。
【0135】
前記実施形態1,2では、おやご支柱2,第1おやご支柱102,第2おやご支柱202に設けられた複数のフランジ部21の間隔は一定である。しかしながら、複数のフランジ部の間隔は一定でなくてもよい。
【0136】
前記実施形態1では、おやご支柱2のフランジ部21は、上方向に突出する第2突出部23を有する。しかしながら、おやご支柱のフランジ部は、上方向に突出する突出部を有さなくてもよい。
【0137】
前記実施形態1では、おやご支柱2のフランジ部21は、下方向に突出する第3突出部24を有する。しかしながら、おやご支柱のフランジ部は、下方向に突出する突出部を有さなくてもよい。
【0138】
前記実施形態1では、支持部材3は、支持部材本体31の長手方向の端部に接続された筒状の筒部32を有し、筒部32内におやご支柱2のフランジ部21における第1突出部22が挿入されている。しかしながら、支持部材は、全体が筒状の部材で構成されていてもよい。この場合、支持部材の長手方向の端部におやご支柱のフランジ部における第1突出部が挿入されていればよい。
【0139】
前記実施形態1では、支持部材3の筒部32は、下部にのみスリット34を有する。しかしながら、支持部材の筒部は、上部及び下部にスリットを有してもよい。支持部材の筒部は、下部にスリットを有さなくてもよい。
【0140】
前記実施形態2では、おやご支柱連結部材303は、おやご支柱連結部材本体331の上端部に接続された筒状の筒部332aを有し、筒部332a内に第1おやご支柱102のフランジ部21における第3突出部24が挿入されている。おやご支柱連結部材303は、おやご支柱連結部材本体331の下端部に接続された筒状の筒部332bを有し、筒部332b内に第2おやご支柱202のフランジ部21における第2突出部23が挿入されている。しかしながら、おやご支柱連結部材は、全体が筒状の部材で構成されていてもよい。この場合、おやご支柱連結部材の上端部に第1おやご支柱のフランジ部における第3突出部が挿入されていればよい。おやご支柱連結部材の下端部に第2おやご支柱のフランジ部における第2突出部が挿入されていればよい。
【0141】
前記実施形態2では、おやご支柱連結部材303の筒部332aは、上下方向に延びるスリット334aを有する。おやご支柱連結部材303の筒部332bは、上下方向に延びるスリット334bを有する。しかしながら、おやご支柱連結部材の筒部は、スリットを有さなくてもよい。
【0142】
前記実施形態1では、複数の足場板4は、隣り合う足場板4の間に隙間が生じるように配置されている。しかしながら、複数の足場板は、隣り合う足場板の間に隙間が生じないように配置されてもよい。
【0143】
前記実施形態1,2では、第1連結部5は、第1ストッパ51及び第2ストッパ52を有する。しかしながら、第1連結部は、第1ストッパを有さなくてもよい。第1連結部は、第2ストッパを有さなくてもよい。
【0144】
前記実施形態1,2では、第1連結部5は、筒部32,332a,332bから抜けないように構成されている。しかしなら、第1連結部は、筒部から抜けるように構成されていてもよい。この場合、第1連結部は、筒部にチェーン等によって連結されていてもよいし、筒部に回転可能に連結されていてもよい。第1連結部は、吊り足場の他の構成部材に連結されていてもよい。
【0145】
前記実施形態1では、第1連結部5は、支持部材3を貫通している。しかしながら、第1連結部は、支持部材の長手方向の端部に接続されていてもよい。支持部材の長手方向の端部に、第1連結部が一体で形成されていてもよい。この場合、支持部材をおやご支柱の軸方向に移動させることで、おやご支柱の被連結部に第1連結部が挿入される。連結抜け止め部は、支持部材が移動する方向である挿入方向の後方に位置していればよい。
【0146】
前記実施形態2では、第3連結部305は、おやご支柱連結部材303の上端部を貫通している。しかしながら、第3連結部は、おやご支柱連結部材の上端部に接続されていてもよい。おやご支柱連結部材の上端部に、第1連結部が一体で形成されていてもよい。
【0147】
前記実施形態2では、第3連結部305は、おやご支柱連結部材303の下端部を貫通している。しかしながら、第3連結部は、おやご支柱連結部材の下端部に接続されていてもよい。おやご支柱連結部材の下端部に、第1連結部が一体で形成されていてもよい。
【0148】
前記実施形態1では、隙間被覆部材6は、おやご支柱2のフランジ部21における第2突出部23に対して固定される。しかしながら、隙間被覆部材は、例えば、足場板及び支持部材などの他の部材に対して固定されてもよい。
【0149】
前記実施形態1では、連結抜け止め部62は、隙間被覆部材6の下部に位置する。しかしながら、連結抜け止め部は、例えば、足場板、おやご支柱及び支持部材などの他の部材に設けられてもよい。
【0150】
前記実施形態2では、連結抜け止め部362は、出隅被覆部材306の下部に位置する。しかしながら、連結抜け止め部は、例えば、足場板、おやご支柱及び支持部材などの他の部材に設けられてもよい。
【0151】
前記実施形態2では、出隅被覆部材306は、下部に、連結抜け止め部362が設けられている。連結抜け止め部362は、それぞれ下方に延びる、第1連結抜け止め部362aと、第2連結抜け止め部362bとを有する。第1連結抜け止め部362a及び第2連結抜け止め部362bの下端部は、それぞれ、第1連結部5の挿入方向の後方及び第3連結部305の挿入方向の後方に位置している。しかしながら、出隅被覆部材は、下部に、それぞれ第1連結部の挿入方向の後方及び第3連結部の挿入方向の後方に位置する、2つの連結抜け止め部が設けられるように構成されていてもよい。
【0152】
前記実施形態2では、おやご支柱連結部材303は、上端部が第1足場ユニット101の第1おやご支柱102に連結され、下端部が第2足場ユニット201の第2おやご支柱202に連結されることにより、足場板が2段に構成された吊り足場100の構成例を説明した。しかしながら、おやご支柱連結部材は、隣接するとともに相対的に上下に離隔した2つの足場ユニットのうち、上方に位置する足場ユニットのおやご支柱を第1おやご支柱とし、下方に位置する足場ユニットのおやご支柱を第2おやご支柱とした場合に、上端部が第1おやご支柱に連結され、下端部が第2おやご支柱に連結される構成であればよい。
【0153】
すなわち、おやご支柱連結部材は、上下に連結された2つの足場ユニットのうち上方に位置する足場ユニットに対して他の足場ユニットを上方に連結してもよい。おやご支柱連結部材は、上下に連結された2つの足場ユニットのうち上方に位置する足場ユニットに対して下方に他の足場ユニットを連結してもよい。おやご支柱連結部材は、上下に連結された2つの足場ユニットのうち下方に位置する足場ユニットに対して上方に他の足場ユニットを連結してもよい。おやご支柱連結部材は、上下に連結された2つの足場ユニットのうち下方に位置する足場ユニットに対して下方に他の足場ユニットを連結してもよい。これにより、足場板が3段以上に構成された吊り足場を構成することができる。
【0154】
例えば、図19に示す吊り足場400は、第4足場ユニット401と、第5足場ユニット501と、第6足場ユニット601と、おやご支柱連結部材303を有する。第4足場ユニット401、第5足場ユニット501及び第6足場ユニット601は、それぞれ、実施形態2の第1足場ユニット101または第2足場ユニット201と同様の構成を有する。
【0155】
第5足場ユニット501に対して上方に位置する第4足場ユニット401は、第1おやご支柱102を有する。第4足場ユニット401に対して下方に位置する第5足場ユニット501は、第4足場ユニットの第1おやご支柱102の下方に第2おやご支柱202を有する。おやご支柱連結部材303は、第4足場ユニット401の第1おやご支柱102と、第5足場ユニット501の第2おやご支柱202とを、上下方向に連結している。
【0156】
第6足場ユニット601に対して上方に位置する第5足場ユニット501は、第1おやご支柱102を有する。第5足場ユニット501に対して下方に位置する第6足場ユニット601は、第5足場ユニットの第1おやご支柱102の下方に第2おやご支柱202を有する。おやご支柱連結部材303は、第5足場ユニット501の第1おやご支柱102と、第6足場ユニット601の第2おやご支柱202とを、上下方向に連結している。これにより、複数の足場板が一方向に3段に配置された吊り足場を得ることができる。なお、吊り足場は、複数の足場板が、下り階段状に段状に配置される構成と、上り階段状に段状に配置される構成とが組み合わされた構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、吊り足場に利用可能である。
【符号の説明】
【0158】
1、100、400 吊り足場
2 おやご支柱
3 支持部材
4 足場板
5 第1連結部
6 隙間被覆部材
7 第2連結部
8 吊り具
21 フランジ部(被連結部)
22 第1突出部
22a 第1連結部挿入孔
23 第2突出部
23a 第2連結部挿入孔
24 第3突出部
24a 第3連結部挿入孔
31 支持部材本体
32 筒部
33 一対の貫通孔
34 スリット
35 上壁部(落下防止用壁部)
51 第1ストッパ
52 第2ストッパ
61、361 被覆部本体
61a 吊り具取付孔
61b 開閉部
62、362 連結抜け止め部
63、363 おやご支柱固定部
64 おやご支柱固定部本体
64a スリット孔
65 中間壁
65a 貫通孔
101 第1足場ユニット
102、102a、102b 第1おやご支柱(おやご支柱)
103 第1支持部材(支持部材)
104 第1足場板(足場板)
201 第2足場ユニット
202 第2おやご支柱(おやご支柱)
203 第2支持部材(支持部材)
204 第2足場板(足場板)
303、303a、303b おやご支柱連結部材
304 側壁部材
305 第3連結部
306 出隅被覆部材
316 入隅被覆部材
316a、361a 水平部
316b、361b 垂直部
362a 第1連結抜け止め部
362b 第2連結抜け止め部
331 おやご支柱連結部材本体
332a、332b 筒部
333a、333b 一対の貫通孔
334a、334b スリット
401 第4足場ユニット
501 第5足場ユニット
601 第6足場ユニット
図1
図2
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