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特開2023-160134粒状物処理装置および粒状物処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160134
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】粒状物処理装置および粒状物処理方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/02 20060101AFI20231026BHJP
   B07C 5/10 20060101ALI20231026BHJP
   B65G 15/58 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B65G43/02 Z
B07C5/10
B65G15/58 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070266
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尚充
(72)【発明者】
【氏名】片岡 雅人
(72)【発明者】
【氏名】西川 貴之
【テーマコード(参考)】
3F024
3F027
3F079
【Fターム(参考)】
3F024CA04
3F027AA02
3F027CA01
3F027DA32
3F027FA12
3F079AD08
3F079CA23
3F079CA41
3F079CB30
3F079CC03
3F079DA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】粒状物の有無に関する検出結果の信頼性を向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】粒状物処理装置は、搬送コンベア、光センサ66、および検出処理部105を備える。搬送コンベアは、搬送ベルトに形成された吸着孔に粒状物を保持しつつ、粒状物を搬送する。光センサ66は、粒状物または搬送ベルトまでの距離を計測する。検出処理部105は、第1検出部106および第2検出部107を有する。第1検出部106は、吸着孔が検出位置を通過するときの光センサ66の出力値が、第1範囲にあるか否かに基づいて、粒状物の有無を検出する。第2検出部107は、搬送ベルトの表面が検出位置を通過するときの光センサ66の出力値が、第1範囲とは異なる第2範囲にあるか否かに基づいて、光センサ66が正常に動作しているか否かを検出する。第2範囲は、光センサ66から搬送ベルトまでの距離を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物を搬送しつつ処理する粒状物処理装置であって、
搬送ベルトに形成された吸着孔に粒状物を保持しつつ、前記搬送ベルトを回動させることにより、粒状物を搬送経路に沿って搬送する搬送コンベアと、
前記搬送経路上の所定の検出位置において、粒状物または前記搬送ベルトまでの距離を計測する光センサと、
前記光センサの出力値に基づいて、粒状物の有無を検出する検出処理部と、
を備え、
前記検出処理部は、
前記吸着孔が前記検出位置を通過するときの前記光センサの出力値が、第1範囲にあるか否かに基づいて、前記吸着孔における粒状物の有無を検出する第1検出部と、
前記搬送ベルトの表面が前記検出位置を通過するときの前記光センサの出力値が、前記第1範囲とは異なる第2範囲にあるか否かに基づいて、前記光センサが正常に動作しているか否かを検出する第2検出部と、
を有し、
前記第2範囲は、前記光センサから前記搬送ベルトまでの距離を含む、粒状物処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粒状物処理装置であって、
粒状物の良否を判定する検査部と、
前記検査部により不良品と判定された粒状物を、前記搬送ベルトから排出する第1不良品排出部と、
をさらに備え、
前記検出位置は、前記搬送経路上の前記第1不良品排出部よりも下流側にあり、
前記第1検出部は、前記検査部により不良品と判定された粒状物が、前記検出位置を通過するか否かを検出する、粒状物処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の粒状物処理装置であって、
前記検査部により不良品と判定され、かつ、前記第1検出部により検出された粒状物を、前記搬送ベルトから排出する第2不良品排出部
をさらに備える、粒状物処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の粒状物処理装置であって、
前記第1不良品排出部および前記第2不良品排出部により排出されなかった粒状物を、前記搬送ベルトから排出する良品排出部
をさらに備える、粒状物処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の粒状物処理装置であって、
前記搬送コンベアの動作を制御する制御部
を備え、
前記第2検出部により、前記光センサが正常に動作していないことが検出された場合、前記制御部は、前記搬送コンベアを停止させる、粒状物処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の粒状物処理装置であって、
前記光センサは、前記搬送ベルトの下側に位置し、
前記光センサの上面を覆う光透過性のカバー
をさらに備える、粒状物処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の粒状物処理装置であって、
粒状物の表面に印刷を行う印刷部
をさらに備える、粒状物処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の粒状物処理装置であって、
前記粒状物は錠剤である、粒状物処理装置。
【請求項9】
搬送ベルトに形成された吸着孔に粒状物を保持し、前記搬送ベルトを回動させることにより、粒状物を搬送経路に沿って搬送しつつ、粒状物を処理する粒状物処理方法であって、
a)前記吸着孔が前記搬送経路上の検出位置を通過するときに、光センサにより粒状物または前記搬送ベルトまでの距離を計測し、前記光センサの出力値が、第1範囲にあるか否かに基づいて、前記吸着孔における粒状物の有無を検出する工程と、
b)前記搬送ベルトの表面が前記検出位置を通過するときに、前記光センサにより前記搬送ベルトまでの距離を計測し、前記光センサの出力値が、前記第1範囲とは異なる第2範囲にあるか否かに基づいて、前記光センサが正常に動作しているか否かを検出する工程と、
を有し、
前記第2範囲は、前記光センサから前記搬送ベルトまでの距離を含む、粒状物処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状物を搬送しつつ処理する粒状物処理装置および粒状物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、錠剤や錠菓などの粒状物の表面に印刷を行う印刷装置が知られている。従来の印刷装置については、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1の印刷装置は、複数の錠剤をコンベアで搬送しつつ、各錠剤の表面に、インクジェット方式で画像を印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-000208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の印刷装置では、コンベアにより搬送される複数の錠剤のうち、不良品と判定された錠剤を、第1ブロー機構(611,621)により、回収部(60)に回収する。その後、不良品と判定された錠剤が残留しているか否かを、センサ(63)により検出し、錠剤が残留している場合には、第2ブロー機構(641)により、後回収部(64)に回収する。このように、特許文献1の印刷装置では、不良品の回収を2段階で行うことにより、不良品の回収率を向上させている。
【0005】
特許文献1の印刷装置では、不良品と判定された錠剤が残留しているか否かを、光センサにより検出している。しかしながら、例えば、コンベアから錠剤が落下することにより、光センサの光路が塞がれた場合、センサが正常に錠剤を検出することができない。そうすると、錠剤の有無に関する検出結果の信頼性が下がる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、粒状物の有無に関する検出結果の信頼性を向上させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、粒状物を搬送しつつ処理する粒状物処理装置であって、搬送ベルトに形成された吸着孔に粒状物を保持しつつ、前記搬送ベルトを回動させることにより、粒状物を搬送経路に沿って搬送する搬送コンベアと、前記搬送経路上の所定の検出位置において、粒状物または前記搬送ベルトまでの距離を計測する光センサと、前記光センサの出力値に基づいて、粒状物の有無を検出する検出処理部と、を備え、前記検出処理部は、前記吸着孔が前記検出位置を通過するときの前記光センサの出力値が、第1範囲にあるか否かに基づいて、前記吸着孔における粒状物の有無を検出する第1検出部と、前記搬送ベルトの表面が前記検出位置を通過するときの前記光センサの出力値が、前記第1範囲とは異なる第2範囲にあるか否かに基づいて、前記光センサが正常に動作しているか否かを検出する第2検出部と、を有し、前記第2範囲は、前記光センサから前記搬送ベルトまでの距離を含む。
【0008】
本願の第2発明は、第1発明の粒状物処理装置であって、粒状物の良否を判定する検査部と、前記検査部により不良品と判定された粒状物を、前記搬送ベルトから排出する第1不良品排出部と、をさらに備え、前記検出位置は、前記搬送経路上の前記第1不良品排出部よりも下流側にあり、前記第1検出部は、前記検査部により不良品と判定された粒状物が、前記検出位置を通過するか否かを検出する。
【0009】
本願の第3発明は、第2発明の粒状物処理装置であって、前記検査部により不良品と判定され、かつ、前記第1検出部により検出された粒状物を、前記搬送ベルトから排出する第2不良品排出部をさらに備える。
【0010】
本願の第4発明は、第3発明の粒状物処理装置であって、前記第1不良品排出部および前記第2不良品排出部により排出されなかった粒状物を、前記搬送ベルトから排出する良品排出部をさらに備える。
【0011】
本願の第5発明は、第1発明から第4発明までのいずれか1発明の粒状物処理装置であって、前記搬送コンベアの動作を制御する制御部を備え、前記第2検出部により、前記光センサが正常に動作していないことが検出された場合、前記制御部は、前記搬送コンベアを停止させる。
【0012】
本願の第6発明は、第1発明から第5発明までのいずれか1発明の粒状物処理装置であって、前記光センサは、前記搬送ベルトの下側に位置し、前記光センサの上面を覆う光透過性のカバーをさらに備える。
【0013】
本願の第7発明は、第1発明から第6発明までのいずれか1発明の粒状物処理装置であって、粒状物の表面に印刷を行う印刷部をさらに備える。
【0014】
本願の第8発明は、第1発明から第7発明までのいずれか1発明の粒状物処理装置であって、前記粒状物は錠剤である。
【0015】
本願の第9発明は、粒状物を搬送しつつ処理する粒状物処理方法であって、a)前記吸着孔が前記搬送経路上の検出位置を通過するときに、光センサにより粒状物または前記搬送ベルトまでの距離を計測し、前記光センサの出力値が、第1範囲にあるか否かに基づいて、前記吸着孔における粒状物の有無を検出する工程と、b)前記搬送ベルトの表面が前記検出位置を通過するときに、前記光センサにより前記搬送ベルトまでの距離を計測し、前記光センサの出力値が、前記第1範囲とは異なる第2範囲にあるか否かに基づいて、前記光センサが正常に動作しているか否かを検出する工程と、を有し、前記第2範囲は、前記光センサから前記搬送ベルトまでの距離を含む。
【発明の効果】
【0016】
本願の第1発明~第8発明によれば、第1検出部により、粒状物の有無を検出しつつ、第2検出部により、光センサが正常に動作しているか否かを検出できる。これにより、粒状物の有無に関する検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0017】
特に、本願の第2発明によれば、不良品と判定され、かつ、第1不良品排出部により排出されなかった粒状物を、検出位置において検出できる。
【0018】
特に、本願の第3発明によれば、不良品と判定され、かつ、第1不良品排出部により排出されなかった粒状物を、搬送ベルトから排出できる。
【0019】
特に、本願の第4発明によれば、良品排出部により、良品と判定された粒状物を排出できる。また、第1不良品排出部および第2不良品排出部により、不良品と判定された粒状物が精度よく排出されるため、良品排出部により排出される粒状物に、不良品が混入することを抑制できる。
【0020】
特に、本願の第5発明によれば、センサが正常に動作していないことが検出された場合に、搬送コンベアを停止させる。これにより、センサが正常に動作していない状態のまま、粒状物の搬送が進むことを抑制できる。
【0021】
特に、本願の第6発明によれば、粒状物から生じる微粉が、光センサに付着することを抑制できる。また、カバーの上面に粒状物が落ちることにより、光センサの光路が塞がれた場合には、第2検出部により、光センサが正常に動作していないことを検出できる。
【0022】
また、本願の第9発明によれば、粒状物の有無を検出しつつ、光センサが正常に動作しているか否かを検出できる。これにより、粒状物の有無に関する検出結果の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】錠剤印刷装置の構成を示した図である。
図2】搬送コンベアの部分斜視図である。
図3】1つのヘッドの下面図である。
図4】錠剤印刷装置の制御ブロック図である。
図5】制御部において実現される機能を、概念的に示したブロック図である。
図6】排出機構の構成を示した図である。
図7】第1検出部による検出処理の様子を示した図である。
図8】第2検出部による検出処理の様子を示した図である。
図9】検出処理部における検出処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
<1.錠剤印刷装置の全体構成>
図1は、粒状物処理装置の一例である錠剤印刷装置1の構成を示した図である。この錠剤印刷装置1は、粒状物である複数の錠剤9を搬送しながら、各錠剤9の表裏両面に、製品名、製品コード、会社名、ロゴマーク等の画像を印刷する装置である。錠剤9は、素錠(裸錠)であってもよく、あるいは、糖衣錠、フィルムコーティング錠(FC錠)等のコーティング錠であってもよい。また、錠剤9は、硬カプセル剤および軟カプセル剤を含むカプセル剤であってもよい。また、本発明における「粒状物」は、医薬品としての錠剤に限らず、健康食品としての錠剤や、ラムネ等の錠菓であってもよい。
【0026】
図1に示すように、本実施形態の錠剤印刷装置1は、供給機構10、第1ドラム15、第2ドラム20、搬送コンベア25、第1カメラ30、印刷部35、第2カメラ40、乾燥機構45、反転機構50、排出機構55、および制御部100を備えている。
【0027】
供給機構10は、錠剤印刷装置1に投入された複数の錠剤9を、第1ドラム15へ供給する機構である。本実施形態の供給機構10は、ボウルフィーダ11、第1シュート12、供給コンベア13、および第2シュート14を有する。
【0028】
ボウルフィーダ11は、複数の錠剤9を受ける円盤状のトラフ110を有する。ボウルフィーダ11は、トラフ110を振動させることにより、複数の錠剤9を移動させて、第1シュート12へ供給する。第1シュート12は、トラフ110と供給コンベア13との間で、円弧状に延びている。第1シュート12は、複数の供給路を有する。ボウルフィーダ11は、第1シュート12の各供給路へ錠剤9を供給する。これにより、多数の錠剤9が複数の列に整列される。すなわち、搬送方向に並ぶ錠剤9の列が、幅方向(搬送方向に対して直交する方向)に複数形成される。そして、整列後の錠剤9が、第1シュート12から供給コンベア13へ供給される。なお、図1では、1つの列の錠剤9のみが示されている。
【0029】
供給コンベア13は、第1シュート12から第2シュート14へ、錠剤9を搬送する機構である。供給コンベア13は、2つのプーリ131と、2つのプーリ131に架け渡された環状の供給ベルト132とを有する。2つのプーリ131の一方は、モータ(図示省略)から得られる動力により回転する。これにより、供給ベルト132が、図1中の矢印の方向に回動する。他方のプーリ131は、供給ベルト132の回動に伴い従動回転する。また、供給ベルト132の上部には、錠剤9の列の境界に沿って延びる仕切プレートが設けられている。第1シュート12から供給される錠剤9は、仕切プレートによって複数の列に整列された状態を維持しつつ、供給ベルト132の回動により、搬送方向の下流側へ搬送される。
【0030】
第2シュート14は、供給コンベア13と第1ドラム15との間で、直線状に延びている。第2シュート14は、複数の水平な供給路を有する。供給コンベア13から供給される複数の錠剤9は、第2シュート14の各供給路へ供給される。第2シュート14内の錠剤9は、供給コンベア13により搬送される後続の錠剤9に押されることによって、搬送方向の下流側へ搬送される。そして、第2シュート14の搬送方向下流側の端部から第1ドラム15へ、錠剤9が供給される。
【0031】
第1ドラム15は、第2シュート14から供給される複数の錠剤9を、搬送方向に一定の間隔をあけて保持しつつ搬送する機構である。第1ドラム15は、幅方向と平行な第1軸O1を中心とする略円筒状の外周面を有する。また、第1ドラム15には、図示を省略したモータが接続されている。モータを駆動させると、第1ドラム15は、第1軸O1を中心として、図1中の矢印の方向へ回転する。第1ドラム15は、その上端部付近の第1受渡位置P1から、第2ドラム20に近接する第2受渡位置P2まで、錠剤9を搬送する。
【0032】
図1に示すように、第1ドラム15は、ドラム本体16と、保持リング17とを有する。ドラム本体16は、第1軸O1を中心とする円筒状の外周面を有する。ドラム本体16は、例えば、ステンレス等の金属により形成される。保持リング17は、ドラム本体16の外周面に装着される。具体的には、複数の保持リング17が、錠剤9の列のそれぞれに対応する幅方向の位置に配置される。保持リング17は、例えば、ポリアセタール等の樹脂により形成される。
【0033】
各保持リング17の外周面は、複数の凹状のポケット18を有する。複数のポケット18は、第1軸O1を中心とする周方向に、一定の間隔で設けられている。また、保持リング17は、各ポケット18の底部に、錠剤9を吸着するための吸着孔19を有する。吸着孔19は、保持リング17を貫通する貫通孔である。
【0034】
第1ドラム15は、図示を省略した吸引機構と接続されている。吸引機構を動作させると、第1受渡位置P1と第2受渡位置P2との間の角度範囲に位置する第1ドラム15の内部空間から、気体が吸い出される。これにより、当該内部空間が、大気圧よりも低い負圧となる。また、当該内部空間と連通する吸着孔19にも、負圧が生じる。第2シュート14から供給される複数の錠剤9は、この負圧によって、保持リング17の吸着孔19に、吸着保持される。
【0035】
第2シュート14から供給される錠剤9は、1つずつポケット18に収容されて、吸着孔19に吸着保持される。このとき、錠剤9は、押圧機構141に押圧されることにより、保持リング17のポケット18へ誘い込まれる。その結果、複数の錠剤9の搬送方向の間隔が、ポケット18の間隔に応じた所定の間隔となる。各錠剤9は、ポケット18内の吸着孔19に吸着保持されつつ、第1ドラム15の回転によって、第1受渡位置P1から第2受渡位置P2まで搬送される。そして、錠剤9が第2受渡位置P2を通過すると、上記の負圧に保たれた内部空間の角度範囲から外れることによって、錠剤9の吸着が解除される。これにより、第1ドラム15から第2ドラム20へ、錠剤9が受け渡される。
【0036】
第2ドラム20は、第1ドラム15から受け渡される錠剤9を、搬送コンベア25まで搬送する機構である。第2ドラム20は、幅方向と平行な第2軸O2を中心とする略円筒状の外周面を有する。本実施形態では、第1ドラム15の外径と、第2ドラム20の外径とが、略同一である。ただし、第1ドラム15の外径と、第2ドラム20の外径とは、相違していてもよい。第2ドラム20には、図示を省略したモータが接続されている。モータを駆動させると、第2ドラム20は、第2軸O2を中心として、第1ドラム15とは反対の向きに回転する。第2ドラム20は、第1ドラム15に近接する第2受渡位置P2から、搬送コンベア25に近接する第3受渡位置P3まで、錠剤9を搬送する。第3受渡位置P3の高さは、第1受渡位置P1および第2受渡位置P2の高さよりも高い。
【0037】
図1に示すように、第2ドラム20は、ドラム本体21と、保持リング22とを有する。ドラム本体21は、第2軸O2を中心とする円筒状の外周面を有する。ドラム本体21は、例えば、ステンレス等の金属により形成される。保持リング22は、ドラム本体21の外周面に装着される。具体的には、複数の保持リング22が、錠剤9の列のそれぞれに対応する幅方向の位置に配置される。保持リング22は、例えば、シリコーン等の樹脂により形成される。
【0038】
各保持リング22は、複数の吸着孔24を有する。吸着孔24は、保持リング22を貫通する貫通孔である。また、第2ドラム20は、図示を省略した吸引機構と接続されている。吸引機構を動作させると、第2受渡位置P2と第3受渡位置P3との間の角度範囲に位置する第2ドラム20の内部空間から、気体が吸い出される。これにより、当該内部空間が、大気圧よりも低い負圧となる。また、当該内部空間と連通する吸着孔24にも、負圧が生じる。第1ドラム15から受け渡される複数の錠剤9は、この負圧によって、保持リング22の吸着孔24に吸着保持される。
【0039】
吸着孔24に吸着保持された錠剤9は、第2ドラム20の回転によって、第2受渡位置P2から第3受渡位置P3まで搬送される。そして、錠剤9が第3受渡位置P3を通過すると、上記の負圧に保たれた内部空間の角度範囲から外れることによって、錠剤9の吸着が解除される。これにより、第2ドラム20から搬送コンベア25へ、錠剤9が受け渡される。
【0040】
このように、本実施形態では、供給機構10から供給される複数の錠剤9を、第1ドラム15および第2ドラム20の2つのドラムを介して、搬送コンベア25へ搬送する。第1ドラム15は、複数の錠剤9を、搬送方向に間隔をあけた状態で保持する。第2ドラム20は、その搬送方向の間隔を保ちながら、搬送コンベア25へ錠剤9を搬送する。その際、第1ドラム15と第2ドラム20とで、錠剤9の搬送の向き(回転の向き)が反転する。これにより、搬送コンベア25の動作の向きに合わせて、第2ドラム20から搬送コンベア25へ、錠剤9を送ることができる。
【0041】
搬送コンベア25は、第2ドラム20から受け渡される複数の錠剤9を、吸着保持しつつ搬送する機構である。搬送コンベア25は、一対のプーリ26と、一対のプーリ26の間に架け渡された環状の搬送ベルト27とを有する。一対のプーリ26の一方は、図示を省略したモータから得られる動力により回転する。これにより、搬送ベルト27が、図1中の矢印の方向に回動する。一対のプーリ26の他方は、搬送ベルト27の回動に伴い従動回転する。
【0042】
図2は、搬送コンベア25の部分斜視図である。図2に示すように、搬送ベルト27には、複数の吸着孔29が形成されている。複数の吸着孔29は、搬送方向および幅方向に間隔をあけて配列されている。各吸着孔29は、搬送ベルト27を貫通する貫通孔である。また、搬送コンベア25は、搬送ベルト27の内側の空間から気体を吸い出す吸引機構(図示省略)を有する。吸引機構を動作させると、搬送ベルト27の内側の空間が、大気圧よりも低い負圧となる。複数の錠剤9は、当該負圧によって、吸着孔29に1つずつ吸着保持される。
【0043】
このように、複数の錠剤9は、搬送ベルト27の表面に、搬送方向よび幅方向に整列した状態で保持される。そして、搬送コンベア25は、搬送ベルト27を回動させることによって、複数の錠剤9を、環状の搬送経路に沿って搬送する。後述する4つのヘッド36の下方では、複数の錠剤9は、搬送ベルト27の上面に保持されつつ、水平方向に搬送される。また、後述する排出機構55の上方では、複数の錠剤9は、搬送ベルト27の下面に保持されつつ、水平方向に搬送される。
【0044】
図2に示すように、本実施形態の搬送ベルト27の表面は、反転機構50による反転前の錠剤9を保持する第1領域A1と、反転後の錠剤9を保持する第2領域A2とを有する。第1領域A1と第2領域A2とは、幅方向に隣接する。本実施形態では、第1領域A1および第2領域A2に、複数の吸着孔29が、幅方向に3列ずつ設けられる。上述した供給機構10、第1ドラム15、および第2ドラム20により供給される錠剤9は、第1領域A1の吸着孔29に吸着保持される。また、両面に印刷がされた複数の錠剤9は、第2領域A2の吸着孔29から排出機構55へ排出される。
【0045】
第1カメラ30は、印刷前の錠剤9を撮影するための処理部である。第1カメラ30は、上述した第3受渡位置P3よりも搬送経路の下流側かつ印刷部35よりも搬送経路の上流側に位置する。また、第1カメラ30は、第1領域A1と第2領域A2の双方に跨がって、幅方向に延びる。第1カメラ30には、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子が幅方向に配列されたラインセンサが用いられる。第1カメラ30は、搬送ベルト27により搬送される複数の錠剤9を撮影する。撮影により取得された画像は、第1カメラ30から後述する制御部100へ送信される。制御部100は、第1カメラ30から得られた画像に基づいて、各吸着孔29における錠剤9の有無、錠剤9の位置、および錠剤9の姿勢を検出する。また、制御部100は、第1カメラ30から得られた画像に基づいて、各錠剤9に欠け等の欠陥が無いかどうかの検査も行う。
【0046】
印刷部35は、搬送ベルト27により搬送される錠剤9の表面に、インクジェット方式で画像を印刷する処理部である。図1に示すように、本実施形態の印刷部35は、4つのヘッド36を有する。4つのヘッド36は、搬送ベルト27の上方に位置し、錠剤9の搬送方向に沿って、一列に配置されている。各ヘッド36は、第1領域A1と第2領域A2の双方に跨がって、幅方向に延びる。4つのヘッド36は、錠剤9に向けて、互いに異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色)のインク滴を吐出する。すると、これらの各色により形成される単色画像の重ね合わせによって、錠剤9の表面に、多色画像が記録される。なお、各ヘッド36から吐出されるインクには、日本薬局方、食品衛生法等で認可された原料により製造された可食性インクが使用される。
【0047】
図3は、1つのヘッド36の下面図である。図3には、搬送ベルト27と、搬送ベルト27に保持された複数の錠剤9とが、二点鎖線で示されている。図3中に拡大して示したように、ヘッド36の下面には、インク滴を吐出可能な複数のノズル37が設けられている。本実施形態では、ヘッド36の下面に、複数のノズル37が、搬送方向および幅方向に二次元的に配列されている。各ノズル37は、幅方向に位置をずらして配列されている。このように、複数のノズル37を二次元的に配置すれば、各ノズル37の幅方向の位置を、互いに接近させることができる。ただし、複数のノズル37は、幅方向に沿って一列に配列されていてもよい。
【0048】
ノズル37からのインク滴の吐出方式には、例えば、ピエゾ素子に電圧を加えて変形させることにより、ノズル37内のインクを加圧して吐出する、いわゆるピエゾ方式が用いられる。ただし、インク滴の吐出方式は、ヒータに通電してノズル37内のインクを加熱膨張させることにより吐出する、いわゆるサーマル方式であってもよい。
【0049】
第2カメラ40は、印刷後の錠剤9を撮影するための処理部である。第2カメラ40は、印刷部35よりも搬送経路の下流側かつ乾燥機構45よりも搬送経路の上流側に位置する。また、第2カメラ40は、第1領域A1と第2領域A2の双方に跨がって、幅方向に延びる。第2カメラ40には、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子が幅方向に配列されたラインセンサが用いられる。第2カメラ40は、搬送ベルト27により搬送される複数の錠剤9を撮影する。撮影により取得された画像は、第2カメラ40から後述する制御部100へ送信される。制御部100は、第2カメラ40から得られた画像に基づいて、錠剤9に印刷された画像の良否を検査する。
【0050】
乾燥機構45は、錠剤9に付着したインクを乾燥させる機構である。乾燥機構45は、第2カメラ40よりも搬送経路の下流側かつ後述する反転機構50および排出機構55よりも搬送経路の上流側に位置する。また、乾燥機構45は、第1領域A1と第2領域A2の双方に跨がって、幅方向に延びる。乾燥機構45には、例えば、搬送ベルト27により搬送される錠剤9へ向けて、加熱された気体(熱風)を吹き付ける、熱風供給機構が用いられる。錠剤9に付着したインクは、熱風により乾燥して、錠剤9の表面または裏面に定着する。
【0051】
反転機構50は、搬送ベルト27により搬送される錠剤9の表裏を反転させるとともに、第1領域A1から第2領域A2へ錠剤9を移動させる機構である。反転機構50は、乾燥機構45よりも搬送経路の下流側に位置する。反転機構50は、幅方向に並んだ一対の傾斜ドラム51を、複数組有する。各傾斜ドラム51は、円錐状の保持面を有する。一対の傾斜ドラム51のうち、一方の傾斜ドラム51は、第1領域A1において搬送される錠剤9を、保持面に吸着しつつ回転し、当該錠剤9を他方の傾斜ドラム51へ受け渡す。他方の傾斜ドラム51は、一方の傾斜ドラム51から受け取った錠剤9を、保持面に吸着しつつ回転し、当該錠剤9を第2領域A2へ受け渡す。これにより、錠剤9の表裏が反転するとともに、第1領域A1から第2領域A2へ錠剤9が移動する。
【0052】
供給機構10から第1ドラム15および第2ドラム20を介して搬送コンベア25へ搬送された錠剤9は、まず、搬送ベルト27の第1領域A1に保持される。そして、錠剤印刷装置1は、第1領域A1に錠剤9を保持しつつ搬送し、錠剤9の一方の面に対して、第1カメラ30による撮影、印刷部35による印刷、第2カメラ40による撮影、および乾燥機構45による乾燥、の各処理を行う。続いて、反転機構50が、錠剤9の表裏を反転されるとともに、第1領域A1から第2領域A2へ錠剤9を移動させる。その後、錠剤印刷装置1は、第2領域A2に錠剤9を保持しつつ搬送し、錠剤9の他方の面に対して、第1カメラ30による撮影、印刷部35による印刷、第2カメラ40による撮影、および乾燥機構45による乾燥、の各処理を行う。
【0053】
排出機構55は、両面に印刷がされた複数の錠剤9を、搬送コンベア25から排出するための機構である。排出機構55は、乾燥機構45よりも搬送経路の下流側に位置する。排出機構55は、搬送ベルト27の第2領域A2に保持された錠剤9を、不良品と良品とに分別しつつ、排出する。排出機構55の詳細な構成については、後述する。
【0054】
制御部100は、錠剤印刷装置1内の各部を動作制御するための手段である。図4は、錠剤印刷装置1の制御ブロック図である。図4中に概念的に示したように、制御部100は、CPU等のプロセッサ101、RAM等のメモリ102、およびハードディスクドライブ等の記憶部103を有するコンピュータにより構成される。記憶部103内には、錠剤9の搬送および印刷処理を実行するためのコンピュータプログラムCPが、記憶されている。
【0055】
また、図4に示すように、制御部100は、上述したボウルフィーダ11、供給コンベア13、第1ドラム15、第2ドラム20、搬送コンベア25、第1カメラ30、印刷部35、第2カメラ40、乾燥機構45、反転機構50、および排出機構55と、それぞれ電気的に接続されている。排出機構55は、後述する第1ブロー機構62、光センサ66、第2ブロー機構72、および第3ブロー機構77を含む。
【0056】
制御部100は、記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムCPやデータをメモリ102に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムCPに基づいて、プロセッサ101が演算処理を行うことにより、上記の各部を動作制御する。これにより、複数の錠剤9の搬送と、各錠剤9に対する印刷処理とが進行する。
【0057】
図5は、制御部100において実現される機能を、概念的に示したブロック図である。図5に示すように、制御部100は、検査部104と、検出処理部105とを有する。検査部104および検出処理部105の各機能は、上述したプロセッサ101が、コンピュータプログラムCPに従って動作することにより、実現される。検査部104は、第1カメラ30および第2カメラ40から得られる画像に基づいて、各錠剤9の良否を判定する。すなわち、検査部104は、搬送コンベア25により搬送される複数の錠剤9を、良品と不良品とに判別する。検出処理部105の機能については,後述する。
【0058】
<2.排出機構の構成について>
続いて、排出機構55のより詳細な構成について、説明する。図6は、排出機構55の構成を示した図である。図6に示すように、排出機構55は、第1不良品排出部60、排出漏れ検出部65、第2不良品排出部70、および良品排出部75を有する。
【0059】
第1不良品排出部60は、検査部104により不良品と判定された錠剤9を、搬送ベルト27から排出するための部位である。図6に示すように、第1不良品排出部60は、第1不良品回収箱61と、第1ブロー機構62とを有する。第1不良品回収箱61は、搬送ベルト27の外側(下側)に配置される。第1ブロー機構62は、搬送ベルト27の内側(上側)に配置される。第1不良品回収箱61と第1ブロー機構62とは、搬送ベルト27を介して、上下方向に対向する。
【0060】
第1ブロー機構62は、搬送ベルト27の吸着孔29へ向けて、加圧された気体を吹き付ける機構である。第1ブロー機構62は、制御部100からの指令に従って、搬送ベルト27の複数の吸着孔29のうち、不良品と判定された錠剤9を保持する吸着孔29のみに、気体を吹き付ける。これにより、当該吸着孔29における錠剤9の吸着が解除される。その結果、不良品と判定された錠剤9が、搬送ベルト27から落下し、第1不良品回収箱61へ回収される。
【0061】
排出漏れ検出部65は、第1不良品排出部60における錠剤9の排出漏れを検出するための部位である。図6に示すように、排出漏れ検出部65は、第1不良品排出部60よりも搬送経路の下流側に位置する。排出漏れ検出部65は、光センサ66および筐体67を有する。光センサ66および筐体67は、搬送ベルト27の外側(下側)に配置される。
【0062】
光センサ66は、搬送経路上の検出位置P4(第1不良品排出部60よりも下流側の位置)において、搬送ベルト27または錠剤9までの上下方向の距離を、非接触で計測する。光センサ66には、例えば、レーザ変位計が使用される。光センサ66は、上方へ向けて光を出射し、搬送ベルト27または錠剤9により反射された光を、CMOSセンサ等の受光素子により検出する。光センサ66は、反射光の受光位置に応じて、搬送ベルト27または錠剤9までの距離を計測する。
【0063】
光センサ66は、筐体67内に収容される。これにより、錠剤9から生じる微粉が、光センサ66に付着することが抑制される。筐体67は、光透過性のカバー68を有する。カバー68には、例えば、透明なアクリル板が使用される。光センサ66の上面は、カバー68により覆われる。すなわち、カバー68は、光センサ66よりも上側、かつ、搬送ベルト27よりも下側に位置する。光センサ66から出射される光は、カバー68を透過して、搬送ベルト27または錠剤9に照射される。また、搬送ベルト27または錠剤9により反射された光は、再びカバー68を透過して、光センサ66へ入射する。
【0064】
光センサ66は、光センサ66から搬送ベルト27または錠剤9までの距離を示す出力値を、制御部100へ送信する。制御部100の検出処理部105は、光センサ66の出力値に基づいて、錠剤9の有無を検出する。具体的には、検出処理部105は、検査部104により不良品と判定された錠剤9が、吸着孔24に保持されているか否かを検出する。
【0065】
不良品と判定された錠剤9は、通常、第1不良品排出部60で排出されているため、検出位置P4では、吸着孔24に保持されていない。しかしながら、不良品と判定された錠剤9が、何らかの理由により、第1不良品排出部60において排出されなかった場合、当該錠剤9は、検出処理部105により検出される。検出処理部105における、より詳細な検出処理については、後述する。
【0066】
第2不良品排出部70は、検査部104により不良品と判定され、かつ、検出処理部105により検出された錠剤9を、搬送ベルト27から排出するための部位である。図6に示すように、第2不良品排出部70は、排出漏れ検出部65よりも搬送経路の下流側に位置する。第2不良品排出部70は、第2不良品回収箱71と、第2ブロー機構72とを有する。第2不良品回収箱71は、搬送ベルト27の外側(下側)に配置される。第2ブロー機構72は、搬送ベルト27の内側(上側)に配置される。第2不良品回収箱71と第2ブロー機構72とは、搬送ベルト27を介して、上下方向に対向する。
【0067】
第2ブロー機構72は、搬送ベルト27の吸着孔29へ向けて、加圧された気体を吹き付ける機構である。第2ブロー機構72は、制御部100からの指令に従って、搬送ベルト27の複数の吸着孔29のうち、不良品と判定され、かつ、検出処理部105(後述する第1検出部106)により検出された錠剤9を保持する吸着孔29のみに、気体を吹き付ける。これにより、当該吸着孔29における錠剤9の吸着が解除される。その結果、不良品と判定され、かつ、第1不良品排出部60で排出されなかった錠剤9が、搬送ベルト27から落下し、第2不良品回収箱71へ回収される。
【0068】
良品排出部75は、検査部104により良品と判定された錠剤9を、搬送ベルト27から排出するための部位である。図6に示すように、良品排出部75は、第2不良品排出部70よりも搬送経路の下流側に位置する。良品排出部75は、良品排出シュート76と、第3ブロー機構77とを有する。良品排出シュート76は、搬送ベルト27の外側(下側)に配置される。第3ブロー機構77は、搬送ベルト27の内側(上側)に配置される。良品排出シュート76と第3ブロー機構77とは、搬送ベルト27を介して、上下方向に対向する。
【0069】
第3ブロー機構77は、搬送ベルト27の吸着孔29へ向けて、加圧された気体を吹き付ける機構である。第3ブロー機構77は、搬送ベルト27の全ての吸着孔29に、気体を吹き付ける。これにより、全ての吸着孔29における錠剤9の吸着が解除される。その結果、第1不良品排出部60および第2不良品排出部70で排出されなかった錠剤9(すなわち良品の錠剤9)が、搬送ベルト27から落下し、良品排出シュート76へ排出される。
【0070】
<3.検出処理部の検出処理について>
続いて、上述した検出処理部105の詳細な検出処理について、説明する。図5中に概念的に示したように、検出処理部105は、第1検出部106および第2検出部107を有する。第1検出部106および第2検出部107の各機能は、制御部100のプロセッサ101が、コンピュータプログラムCPに従って動作することにより、実現される。
【0071】
第1検出部106は、検査部104により不良品と判定された錠剤9が、検出位置P4を通過するか否かを検出する。図7は、第1検出部106による検出処理の様子を示した図である。上述の通り、光センサ66の出力値は、光センサ66から対象物(光の反射位置)までの距離を示す。第1検出部106は、不良品と判定された錠剤9に対応する吸着孔29が検出位置P4を通過するときに、光センサ66の出力値が、予め設定された第1範囲R1にあるか否かに基づいて、当該吸着孔29における錠剤9の有無を検出する。これにより、不良品と判定され、かつ、第1不良品排出部60にて排出されなかった錠剤9を、検出位置P4において検出する。
【0072】
第1範囲R1の下限値R11は、光センサ66から搬送ベルト27に保持される錠剤9の下面までの距離よりも小さい値とされる。第1範囲R1の上限値R12は、光センサ66から搬送ベルト27に保持される錠剤9の下面までの距離よりも大きく、かつ、光センサ66から搬送ベルト27の下面までの距離よりも小さい値とされる。
【0073】
第1検出部106は、光センサ66の出力値が、第1範囲R1に含まれていない場合、当該吸着孔29に錠剤9が保持されていないと判定する。また、第1検出部106は、光センサ66の出力値が、第1範囲R1に含まれている場合、当該吸着孔29に錠剤9が保持されていると判定する。
【0074】
第2検出部107は、光センサ66が正常に動作しているか否かを検出する。図8は、第2検出部107による検出処理の様子を示した図である。第2検出部107は、搬送ベルト27の露出した下面が検出位置P4を通過するときの光センサ66の出力値が、予め設定された第2範囲R2にあるか否かに基づいて、光センサ66が正常に動作しているか否かを検出する。
【0075】
第2範囲R2は、上述した第1範囲R1とは異なる範囲である。第2範囲R2の下限値R21は、光センサ66から搬送ベルト27の下面までの距離よりも小さい値とされる。第2範囲R2の上限値R22は、光センサ66から搬送ベルト27の下面までの距離よりも大きい値とされる。すなわち、第2範囲R2は、光センサ66から搬送ベルト27までの距離を含む範囲とされる。
【0076】
光センサ66は、正常に動作している場合、搬送ベルト27を検出可能である。したがって、第2検出部107は、搬送ベルト27の露出した下面が検出位置P4を通過するときの光センサ66の出力値が、第2範囲R2に含まれる場合は、光センサ66が正常に動作していると判定する。また、第2検出部107は、搬送ベルト27の露出した下面が検出位置P4を通過するときの光センサ66の出力値が、第2範囲R2に含まれていない場合は、光センサ66が正常に動作していないと判定する。
【0077】
例えば、カバー68の上面に錠剤9が落ちて、光センサ66の光路が塞がれた場合には、光センサ66の出力値が、第2範囲R2から外れる。したがって、第2検出部107は、光センサ66が正常に動作していないと判定できる。
【0078】
図9は、検出処理部105における検出処理の流れを示すフローチャートである。図9に示すように、錠剤印刷装置1の制御部100は、複数の錠剤9を搬送しつつ、第2検出部107により、光センサ66が正常に動作しているか否かを判定する(ステップS1)。第2検出部107により、光センサ66が正常に動作していると判定された場合(ステップS1:Yes)、検査部104により不良品と判定された錠剤9が、検出位置P4を通過するか否か(すなわち、不良品と判定された錠剤9の排出漏れがあるか否か)を、第1検出部106により検出する(ステップS2)。
【0079】
ステップS2において、不良品と判定された錠剤9が、第1検出部106により検出されなかった場合(ステップS2:No)、ステップS1へ戻り、制御部100は、ステップS1以降の処理を繰り返す。一方、ステップS2において、不良品と判定された錠剤9が、第1検出部106により検出された場合(ステップS2:Yes)、制御部100は、第2ブロー機構72を動作させて、当該錠剤9を搬送ベルト27から排出する(ステップS3)。その後、制御部100は、ステップS1へ戻り、ステップS1以降の処理を繰り返す。
【0080】
また、ステップS1において、第2検出部107により、光センサ66が正常に動作していないと判定された場合(ステップS1:No)、制御部100は、搬送コンベア25による錠剤9の搬送を停止させる(ステップS4)。
【0081】
以上のように、この錠剤印刷装置1では、第1検出部106により、錠剤9の有無を検出しつつ、第2検出部107により、光センサ66が正常に動作しているか否かを検出できる。これにより、錠剤9の有無に関する判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0082】
特に、この錠剤印刷装置1では、不良品と判定された錠剤9を、第1不良品排出部60により排出し、排出漏れの有無を、光センサ66および検出処理部105により検出する。そして、排出漏れとなった錠剤9を、第2不良品排出部70により排出する。その際、第2検出部107により、光センサ66が正常に動作していないことが検出された場合には、制御部100が、搬送コンベア25による錠剤9の搬送を停止させる。このようにすれば、光センサ66が正常に動作していない場合に、不良品の錠剤9を検出できずに通過させてしまうことを、防止できる。したがって、良品排出部75により排出される良品の錠剤9の中に、不良品の錠剤9が混入することを、抑制できる。
【0083】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0084】
上記の実施形態では、印刷部35に、4つのヘッド36が設けられていた。しかしながら、印刷部35に含まれるヘッド36の数は、1~3つであってもよく、5つ以上であってもよい。
【0085】
また、上記の実施形態では、錠剤9に対して印刷を行う錠剤印刷装置1について説明した。しかしながら、本発明は、錠剤等の粒状物に対して、印刷以外の処理を行うものであってもよい。例えば、本発明は、錠剤等の粒状物に対して、印刷を行うことなく、検査を行うものであってもよい。
【0086】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に取捨選択してもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 錠剤印刷装置
9 錠剤
10 供給機構
15 第1ドラム
20 第2ドラム
25 搬送コンベア
30 第1カメラ
35 印刷部
40 第2カメラ
45 乾燥機構
50 反転機構
55 排出機構
60 第1不良品排出部
65 排出漏れ検出部
66 光センサ
68 カバー
70 第2不良品排出部
75 良品排出部
100 制御部
104 検査部
105 検出処理部
106 第1検出部
107 第2検出部
P4 検出位置
R1 第1範囲
R2 第2範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9