(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016014
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】積層フィルム及び包装体
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20230125BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112357
(22)【出願日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2021119929
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022032310
(32)【優先日】2022-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】山口 啓太
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】竹田 啓人
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
3E086AC07
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4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】酸素バリア性が高く、再利用適性が高い積層フィルムの提供。
【解決手段】積層フィルム1は、第1樹脂層11と第2樹脂層12を備え、第1樹脂層11と第2樹脂層12は、同種のポリオレフィン系樹脂を含み、JIS K 7126-2:2006に準拠して測定された、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、積層フィルム1の酸素透過量が、50cc/(m
2・24h・atm)以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層フィルムであって、
前記積層フィルムは、第1樹脂層と第2樹脂層を備え、
前記第1樹脂層と前記第2樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含み、
JIS K 7126-2:2006に準拠して測定された、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記積層フィルムの酸素透過量が、50cc/(m2・24h・atm)以下である、積層フィルム。
【請求項2】
前記積層フィルムについて、動的粘弾性測定を行ったとき、振動周波数が1Hzである場合の110℃での弾性率EF’(110)が3.0×107Pa以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記積層フィルムが、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に、さらに、第3樹脂層を備え、
前記第1樹脂層と、前記第2樹脂層と、前記第3樹脂層が、同種のポリオレフィン系樹脂を含む、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記第3樹脂層が、前記ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、を含む樹脂層(I)であり、
前記ポリオレフィン系樹脂が、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-酢酸ビニル共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、のいずれにも該当しない、請求項3に記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体において、構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合が、50モル%以下である、請求項4に記載の積層フィルム。
【請求項6】
前記樹脂層(I)において、前記樹脂層(I)の総質量に対する、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量の割合が、95質量%以下である、請求項4に記載の積層フィルム。
【請求項7】
前記樹脂層(I)が、さらに、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体を含む、請求項4に記載の積層フィルム。
【請求項8】
前記第3樹脂層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体からなる、又はエチレン-ビニルアルコール共重合体を主成分とする樹脂層(II)と、前記樹脂層(II)の両面に設けられた、接着性樹脂を含む接着層である、請求項3に記載の積層フィルム。
【請求項9】
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体において、構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合が、50モル%以下である、請求項8に記載の積層フィルム。
【請求項10】
前記接着層が、前記接着性樹脂として、変性ポリオレフィン及びエチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上を含む、請求項8に記載の積層フィルム。
【請求項11】
前記積層フィルム同士を、これらの前記第1樹脂層同士が対向するように向かい合わせて、シール温度140℃、シール圧力0.2MPa、シール時間2秒の条件で加熱シールした後、加熱シール部位から幅15mmの領域を裁断することで試験片を作製し、
前記試験片において、JIS Z 0238:1998に準拠して、剥離速度を300mm/minとして、前記積層フィルム同士を剥離することにより、前記積層フィルムのシール強度を測定したとき、前記シール強度が、7N/15mm以下である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項12】
前記第1樹脂層が、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含むイージーピール層である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項13】
前記積層フィルムが深絞り包装体用である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の積層フィルムを用いて構成された、包装体。
【請求項15】
前記包装体が、蓋材及び底材を備え、
前記包装体が、前記蓋材及び底材のシールによって構成されており、
前記蓋材及び底材がいずれも、前記積層フィルムを用いて構成されており、
前記底材を構成している前記積層フィルム中の前記第1樹脂層がイージーピール層であり、前記蓋材を構成している前記積層フィルム中の前記第1樹脂層が、非イージーピール型シーラント層である、請求項14に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルム及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数層の樹脂層が積層されて構成された積層フィルムは、包装体の材料として幅広く利用されている。典型的な積層フィルムとしては、シール対象物と加熱シールするために設けられたシーラント層と、シーラント層側とは反対側に設けられた外層と、を少なくとも備えたものが挙げられる。
【0003】
一方、このような包装体用途の積層フィルムは、その利便性の高さから、世界中で毎日大量に生産及び消費されており、使用後には大量の廃棄物が発生する。廃棄物の発生は、地球環境の改善の観点では、解決すべき重要な課題となっており、近年は、廃棄物の発生量の低減とともに、廃棄物の再利用(リサイクル)の方法について、盛んに検討されている。
【0004】
例えば、積層フィルム中の複数層の樹脂層の主要構成材料を同種のものとすれば、各樹脂層を分離して別々に再利用する必要性がなくなり、積層フィルム全体を容易に再利用することができることから、有用性が高くなる。
このような積層フィルムとしては、例えば、延伸ポリエチレンフィルムと、接着層と、ヒートシール性ポリエチレン層とを少なくとも備え、前記接着層が無溶剤型接着剤を含む、包装材料用ポリエチレン積層体が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1で開示されている包装材料用ポリエチレン積層体では、酸素バリア性が必ずしも十分ではないという問題点があった。食品等を包装するための包装体では、酸素バリア性が高いことが求められることが多く、酸素バリア性が不十分であると、再利用適性が高くても、用途が限定されてしまう。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、酸素バリア性が高く、再利用適性が高い積層フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].積層フィルムであって、前記積層フィルムは、第1樹脂層と第2樹脂層を備え、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含み、JIS K 7126-2:2006に準拠して測定された、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記積層フィルムの酸素透過量が、50cc/(m2・24h・atm)以下である、積層フィルム。
[2].前記積層フィルムについて、動的粘弾性測定を行ったとき、振動周波数が1Hzである場合の110℃での弾性率EF’(110)が3.0×107Pa以下である、[1]に記載の積層フィルム。
[3].前記積層フィルムが、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に、さらに、第3樹脂層を備え、前記第1樹脂層と、前記第2樹脂層と、前記第3樹脂層が、同種のポリオレフィン系樹脂を含む、[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
【0009】
[4].前記第3樹脂層が、前記ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、を含む樹脂層(I)であり、前記ポリオレフィン系樹脂が、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-酢酸ビニル共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、のいずれにも該当しない、[3]に記載の積層フィルム。
[5].前記エチレン-ビニルアルコール共重合体において、構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合が、50モル%以下である、[4]に記載の積層フィルム。
[6].前記樹脂層(I)において、前記樹脂層(I)の総質量に対する、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量の割合が、95質量%以下である、[4]又は[5]に記載の積層フィルム。
【0010】
[7].前記樹脂層(I)が、さらに、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体を含む、[4]~[6]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[8].前記第3樹脂層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体からなる、又はエチレン-ビニルアルコール共重合体を主成分とする樹脂層(II)と、前記樹脂層(II)の両面に設けられた、接着性樹脂を含む接着層である、[3]に記載の積層フィルム。
[9].前記エチレン-ビニルアルコール共重合体において、構成単位の全量に対する、エチレンから誘導された構成単位の量の割合が、50モル%以下である、[8]に記載の積層フィルム。
【0011】
[10].前記接着層が、前記接着性樹脂として、変性ポリオレフィン及びエチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上を含む、[8]又は[9]に記載の積層フィルム。
[11].前記積層フィルム同士を、これらの前記第1樹脂層同士が対向するように向かい合わせて、シール温度140℃、シール圧力0.2MPa、シール時間2秒の条件で加熱シールした後、加熱シール部位から幅15mmの領域を裁断することで試験片を作製し、前記試験片において、JIS Z 0238:1998に準拠して、剥離速度を300mm/minとして、前記積層フィルム同士を剥離することにより、前記積層フィルムのシール強度を測定したとき、前記シール強度が、7N/15mm以下である、[1]~[10]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[12].前記第1樹脂層が、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含むイージーピール層である、[1]~[11]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
【0012】
[13].前記積層フィルムが深絞り包装体用である、[1]~[12]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[14].[1]~[13]のいずれか一項に記載の積層フィルムを用いて構成された、包装体。
[15].前記包装体が、蓋材及び底材を備え、前記包装体が、前記蓋材及び底材のシールによって構成されており、前記蓋材及び底材がいずれも、前記積層フィルムを用いて構成されており、前記底材を構成している前記積層フィルム中の前記第1樹脂層がイージーピール層であり、前記蓋材を構成している前記積層フィルム中の前記第1樹脂層が、非イージーピール型シーラント層である、[14]に記載の包装体。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、酸素バリア性が高く、再利用適性が高い積層フィルムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る積層フィルムの他の例を模式的に示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る積層フィルムを用いて構成された包装体の一例を模式的に示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る積層フィルムを用いて構成された包装体の他の例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<<積層フィルム>>
本発明の一実施形態に積層フィルムは、第1樹脂層と第2樹脂層を備え、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含み、JIS K 7126-2:2006に準拠して測定された、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記積層フィルムの酸素透過量が、50cc/(m2・24h・atm)以下である。
【0016】
本実施形態の積層フィルムは、第1樹脂層と第2樹脂層が、同種のポリオレフィン系樹脂を含んでいるため、再利用適性が高い。
また、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、本実施形態の積層フィルムの酸素透過量は、50cc/(m2・24h・atm)以下であり、本実施形態の積層フィルムの酸素バリア性が高い。
【0017】
<第1樹脂層>
前記第1樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂を含む。
第1樹脂層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンから誘導された構成単位を有していれば、特に限定されず、1種のオレフィンの単独重合体であってもよいし、2種以上のオレフィンの共重合体であってもよい。
【0018】
前記オレフィンの単独重合体としては、例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン(PE);ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、hPP)等が挙げられる。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)及びメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレン(V-mLLDPE)は、いずれも、低密度ポリエチレン(LDPE)の1種である。
【0019】
ポリエチレンの、その密度ごとの分類は、例えば、旧JIS K 6748:1995において定義されていた。本明細書においては、この定義によって、ポリエチレンを、その密度ごとに分類する。
すなわち、本明細書において、超低密度ポリエチレン(VLDPE)とは、密度が0.91g/cm3未満であるポリエチレンを意味する。
また、低密度ポリエチレン(LDPE)とは、密度が0.91g/cm3以上、0.93g/cm3未満であるポリエチレンを意味する。
また、中密度ポリエチレン(MDPE)とは、密度が0.93g/cm3以上、0.942g/cm3未満であるポリエチレンを意味する。
また、高密度ポリエチレン(HDPE)とは、密度が0.942g/cm3以上であるポリエチレンを意味する。
【0020】
前記オレフィンの共重合体としては、例えば、エチレンから誘導された構成単位を少なくとも有するエチレン系共重合体と、プロピレンから誘導された構成単位を少なくとも有するプロピレン系共重合体と、が挙げられる。
【0021】
前記エチレン系共重合体は、エチレンから誘導された構成単位と、エチレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。ただし、エチレンから誘導された構成単位と、プロピレンから誘導された構成単位と、を有するオレフィンの共重合体のうち、プロピレンから誘導された構成単位の数が、エチレンから誘導された構成単位の数よりも多い共重合体は、便宜上、プロピレン系共重合体に分類する。
【0022】
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体部分ケン化物、本明細書においては「EVA部分ケン化物」と称することがある)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、アイオノマー(ION)等が挙げられる。
前記アイオノマーとしては、例えば、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が、その中の酸部分と、金属イオンと、の塩形成によって、イオン橋かけ構造を有している樹脂が挙げられる。
【0023】
前記プロピレン系共重合体は、プロピレンから誘導された構成単位と、プロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。
プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体(別名:ポリプロピレンランダムコポリマー(rPP))、プロピレン-エチレンブロック共重合体(別名:ポリプロピレンブロックコポリマー(bPP))等が挙げられる。
【0024】
第1樹脂層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0025】
第1樹脂層が含む前記ポリオレフィン系樹脂で好ましいものとしては、例えば、エチレンから誘導された構成単位を有するポリエチレン系樹脂(ポリエチレン、エチレン系共重合体)、プロピレンから誘導された構成単位を有するポリプロピレン系樹脂(ホモポリプロピレン、プロピレン系共重合体)が挙げられる。
【0026】
第1樹脂層は、例えば、シーラント層として好適である。
【0027】
第1樹脂層がシーラント層である場合、このシーラント層は、非イージーピール型シーラント層(完全シール型シーラント層)であってもよいし、イージーピール型シーラント層(イージーピール層)であってもよい。
【0028】
第1樹脂層が非イージーピール型シーラント層である場合、第1樹脂層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂であることが好ましく、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンであることがより好ましい。すなわち、第1樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂として、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンを含む第1樹脂層は、超低密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレンを含む第1樹脂層よりも、積層フィルムに対してより強いシール強度を付与する。
【0029】
第1樹脂層がイージーピール層(イージーピール型シーラント層)である場合、前記積層フィルム同士を、これら積層フィルム中の前記第1樹脂層同士が対向するように向かい合わせて、シール温度140℃、シール圧力0.2MPa、シール時間2秒の条件で加熱シールした後、加熱シール部位から幅15mmの領域を裁断することで試験片を作製し、前記試験片(幅15mmの裁断物)において、JIS Z 0238:1998に準拠して、剥離速度を300mm/minとして、前記積層フィルム同士を剥離することにより、剥離強度を測定し、この剥離強度の測定値を、前記積層フィルムのシール強度として採用したとき、前記シール強度が、7N/15mm以下であることが好ましい。前記シール強度がこのような範囲である場合の第1樹脂層(積層フィルム)のイージーピール性は、より良好である。
【0030】
前記積層フィルムのシール強度は、例えば、5N/15mm以下であることがより好ましい。
一方、前記積層フィルムのシール強度は、1N/15mm以上であることが好ましい。前記シール強度がこのような範囲である場合の第1樹脂層(積層フィルム)は、イージーピール性を有しつつ、目的外の剥離が十分に抑制される。
一実施形態において、前記積層フィルムのシール強度は、1~7N/15mm、及び1~5N/15mmのいずれかであってもよい。ただし、これらは前記シール強度の一例である。
【0031】
上述の積層フィルムのシール強度は、これら積層フィルムの樹脂の流れ方向(Machine Direction、本明細書においては「MD」と称することがある)を一致させて、上述の条件で加熱シールして作製した前記試験片を用いて、剥離方向を、前記試験片中のこれら積層フィルムのMDと一致させて、積層フィルム同士を上述の条件で剥離したときのシール強度であってよい。
また、上述の積層フィルムのシール強度は、これら積層フィルムの樹脂の流れ方向(MD)に対して垂直な方向(Transverse Direction、本明細書においては「TD」と称することがある)を一致させて、上述の条件で加熱シールして作製した前記試験片を用いて、剥離方向を、前記試験片中のこれら積層フィルムのTDと一致させて、積層フィルム同士を上述の条件で剥離したときのシール強度であってもよい。
本実施形態においては、上述の積層フィルムのシール強度は、剥離方向を積層フィルムのMDと一致させたときのシール強度であることが好ましい。
上述のように、積層フィルム同士を、これらのMDを一致させるか、又はこれらのTDを一致させて加熱シールし、試験片を作製するときには、剥離方向を試験片中の積層フィルムのMDと一致させる場合には、試験片の長手方向(幅方向に対して垂直な方向)を積層フィルムのMDと一致させる。これに対して、剥離方向を試験片中の積層フィルムのTDと一致させる場合には、試験片の長手方向を積層フィルムのTDと一致させる。
【0032】
上述の、積層フィルムのMD及びTDを考慮した場合の、試験片の作製と、シール強度の測定方法は、第1樹脂層がイージーピール層である場合だけでなく、第1樹脂層が非イージーピール型シーラント層である場合にも適用できる。
【0033】
第1樹脂層がイージーピール層(イージーピール型シーラント層)である場合、第1樹脂層は、非相溶性の2種の前記ポリオレフィン系樹脂を含んでいることが好ましい。このような第1樹脂層は、凝集破壊による剥離性を示すイージーピール層として好適である。
【0034】
イージーピール層である第1樹脂層は、非相溶性の2種のポリオレフィン系樹脂として、前記ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含んでいることが好ましい。
イージーピール層である第1樹脂層が含む前記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。
イージーピール層である第1樹脂層が含む前記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレン-エチレンランダム共重合体(ポリプロピレンランダムコポリマー)、プロピレン-エチレンブロック共重合体(ポリプロピレンブロックコポリマー)等が挙げられる。
【0035】
なかでも、第1樹脂層は、非相溶性の2種のポリオレフィン系樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)及びホモポリプロピレン(hPP)、又は、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)及びプロピレン-エチレンランダム共重合体(rPP)を含んでいることが好ましい。
【0036】
イージーピール層である第1樹脂層が、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含む場合、[第1樹脂層のポリエチレン系樹脂の含有量(質量部)]:[第1樹脂層のポリプロピレン系樹脂の含有量(質量部)]の比率は、25:75~90:10であることが好ましく、例えば、28:72~87:13、及び30:70~85:15のいずれかであってもよい。このような範囲で低密度ポリエチレン及びホモポリプロピレンを含むイージーピール層のイージーピール性は、より良好である。
【0037】
イージーピール層である第1樹脂層が、低密度ポリエチレン及びホモポリプロピレンを含む場合、[第1樹脂層の低密度ポリエチレンの含有量(質量部)]:[第1樹脂層のホモポリプロピレンの含有量(質量部)]の比率は、60:40~90:10であることが好ましく、例えば、65:35~87:13、及び70:30~85:15のいずれかであってもよい。このような範囲で低密度ポリエチレン及びホモポリプロピレンを含むイージーピール層のイージーピール性は、より良好である。
【0038】
イージーピール層である第1樹脂層が、エチレン-メタクリル酸共重合体及びプロピレン-エチレンランダム共重合体を含む場合、[第1樹脂層のエチレン-メタクリル酸共重合体の含有量(質量部)]:[第1樹脂層のプロピレン-エチレンランダム共重合体の含有量(質量部)]の比率は、25:75~75:25であることが好ましく、例えば、28:72~70:30、及び30:70~65:35のいずれかであってもよい。このような範囲でエチレン-メタクリル酸共重合体及びプロピレン-エチレンランダム共重合体を含むイージーピール層のイージーピール性は、より良好である。
【0039】
第1樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ポリオレフィン系樹脂以外に、他の成分を含んでいてもよい。
前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
【0040】
前記他の樹脂成分は、前記ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂であれば、特に限定されない。
【0041】
前記他の非樹脂成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0042】
第1樹脂層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0043】
第1樹脂層において、第1樹脂層の総質量に対する、前記ポリオレフィン系樹脂の含有量(第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、第1樹脂層がポリオレフィン系樹脂を含んでいることによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述する第1樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)(質量部)の割合、と同じである。
【0044】
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
【0045】
第1樹脂層と第2樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
本実施形態においては、ポリオレフィン系樹脂の場合に限らず、「同種の樹脂」とは、共通の構成単位を有する樹脂同士を比較したとき、どちらの樹脂においても、構成単位の全量(モル)に対する、共通の構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるものを意味する。例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、メタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレン(V-mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(EVA部分ケン化物)等は、すべて、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるため、同種であるとする。一方、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体及びプロピレン-エチレンブロック共重合体等のうち、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%未満であるものは、上述の低密度ポリエチレン等とは、同種ではないとする。
本実施形態において、同種の樹脂は、どちらの樹脂においても、構成単位の全量(モル)に対する、共通の構成単位の量(モル)の割合が、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上、特に好ましくは50モル%以上であり、例えば、60モル%以上、70モル%以上、及び80モル%以上のいずれかであってもよい。
【0046】
第1樹脂層において、第1樹脂層の総質量に対する、第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、例えば、95~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
【0047】
第1樹脂層が超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む場合、第1樹脂層において、第1樹脂層の総質量に対する、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンの合計含有量の割合は、70~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、第1樹脂層が超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンを含んでいることにより得られる効果が、より高くなる。
【0048】
第1樹脂層が、非相溶性の2種のポリオレフィンとして、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含む場合、第1樹脂層において、第1樹脂層の総質量に対する、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の合計含有量の割合は、70~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、第1樹脂層がポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含んでいることにより得られる効果が、より高くなる。
【0049】
第1樹脂層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第1樹脂層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0050】
本明細書においては、第1樹脂層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
【0051】
第1樹脂層の厚さは、前記積層フィルムの用途に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第1樹脂層の厚さは、通常、5~140μmであることが好ましく、7.5~137.5μmであることがより好ましく、10~135μmであることがさらに好ましい。第1樹脂層の厚さが前記下限値以上であることで、第1樹脂層の強度がより向上するとともに、積層フィルムが第1樹脂層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる。第1樹脂層の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
第1樹脂層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
【0052】
積層フィルム全体の厚さに対する、第1樹脂層の厚さの割合は、特に限定されないが、3~93%であることが好ましく、5~91%であることがより好ましく、7~90%であることがさらに好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、第1樹脂層の厚さが上述の範囲である場合と同様の効果が得られる。
【0053】
第1樹脂層は、無延伸の層(フィルム)であることが好ましい。第1樹脂層が無延伸の層であることで、前記積層フィルムの成形性が向上する。
【0054】
<第2樹脂層>
前記第2樹脂層は、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
第2樹脂層が含む、前記同種のポリオレフィン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0055】
第2樹脂層が含む、前記同種のポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂であることが好ましく、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンであることがより好ましい。ただし、第2樹脂層は、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンを含む場合、さらに高密度ポリエチレンも含んでいることが好ましい。
すなわち、より好ましい第2樹脂層としては、例えば、高密度ポリエチレンを含み、かつ、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンを含まない第2樹脂層;高密度ポリエチレンを含み、かつ、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む第2樹脂層が挙げられる。このように、第2樹脂層において、高密度ポリエチレンを必須成分とし、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンの含有量を調節することで、第2樹脂層の弾性率を容易に調節でき、その結果、積層フィルム全体の弾性率と積層フィルムの成形性を容易に調節できる。
すなわち、第1樹脂層と第2樹脂層は、ともにポリエチレン系樹脂を含むことが好ましく、第2樹脂層が高密度ポリエチレンを含むことがより好ましく、第2樹脂層が高密度ポリエチレンを含む場合、第2樹脂層は、さらに、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0056】
一方、第2樹脂層が前記同種のポリオレフィン系樹脂として、高密度ポリエチレンを含まず、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンを含む場合には、前記積層フィルムの、その第2樹脂層側の外部から測定したヘーズが小さくなることがあり、透明性が高い点で有利な場合がある。すなわち、第2樹脂層は、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含み、かつ高密度ポリエチレンを含んでいなくてもよい。
【0057】
第2樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂以外に、他の成分を含んでいてもよい。
第2樹脂層における前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
【0058】
第2樹脂層における前記他の樹脂成分は、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂以外の樹脂であれば、特に限定されない。
第2樹脂層における前記他の樹脂成分としては、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂と、が挙げられる。
第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂としては、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂として先に挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0059】
第2樹脂層における前記非樹脂成分としては、第1樹脂層における前記非樹脂成分と同様のものが挙げられる。
【0060】
第2樹脂層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0061】
第2樹脂層において、第2樹脂層の総質量に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、第2樹脂層がポリオレフィン系樹脂を含んでいることによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述する第2樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)(質量部)の割合、と同じである。
【0062】
第2樹脂層において、第2樹脂層の総質量に対する、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、例えば、95~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
【0063】
第2樹脂層が高密度ポリエチレンを含む場合、第2樹脂層において、第2樹脂層の総質量に対する、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンの合計含有量の割合は、70~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、第2樹脂層の耐熱性と、積層フィルムの成形性と、が顕著に向上する。
【0064】
第2樹脂層が高密度ポリエチレンと、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上と、を含む場合、第2樹脂層において、[高密度ポリエチレンの含有量(質量部)]:[超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンの合計含有量(質量部)]の比率は、20:80~80:20であることが好ましく、例えば、20:80~60:40、及び20:80~40:60のいずれかであってもよいし、40:60~80:20、及び60:40~80:20のいずれかであってもよいし、40:60~60:40であってもよい。超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレンの合計含有量が多いほど、第2樹脂層の弾性率と、積層フィルム全体の弾性率と、が小さくなり、前記積層フィルムの成形性が向上する傾向にある。
【0065】
第2樹脂層は、電子線照射されていてもよい。すなわち、前記積層フィルムは、電子線照射されていてもよく、その第2樹脂層側から電子線照射されていることが好ましい。例えば、第2樹脂層が高密度ポリエチレンを含んでいなくても、第2樹脂層は、電子線照射することにより、弾性率が大きくなり、その結果、積層フィルム全体の弾性率も大きくなる傾向にある。その理由は、電子線照射によって、第2樹脂層中の樹脂の架橋密度が増大するためであると推測される。
【0066】
電子線照射された第2樹脂層で好ましいものとしては、例えば、超低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方を含む、電子線未照射の第2樹脂層(本明細書においては、この場合の第2樹脂層を、電子線照射後のものと区別するために、「未照射第2樹脂層」と称することがある)が、電子線照射されたものが挙げられる。
すなわち、電子線照射された前記積層フィルムで好ましいものとしては、例えば、前記未照射第2樹脂層として、超低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方を含むものを備えた前記積層フィルム(本明細書においては、この場合の積層フィルムを、電子線照射後のものと区別するために、「未照射積層フィルム」と称することがある)が、電子線照射されたものが挙げられる。
【0067】
前記未照射第2樹脂層において、未照射第2樹脂層の総質量に対する、超低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンの合計含有量の割合は、70~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、電子線照射の効果がより顕著に得られる。
【0068】
未照射第2樹脂層又は未照射積層フィルムに対する電子線照射は、吸収線量20~300kGyの条件で行うことが好ましい。吸収線量が前記下限値以上であることで、電子線照射の効果がより顕著に得られる。吸収線量が前記上限値以下であることで、第2樹脂層中の樹脂が、過剰に架橋することが抑制される。
すなわち、電子線照射された積層フィルムで好ましいものとしては、吸収線量20~300kGyの条件で電子線照射されたものが挙げられる。
【0069】
未照射第2樹脂層又は未照射積層フィルムに対する電子線照射時の加速電圧は、100~300kVであることが好ましく、120~280kVであることがより好ましく、140~260kVであることがさらに好ましい。前記加速電圧が前記下限値以上であることで、電子線照射の効果がより顕著に得られる。前記加速電圧が前記上限値以下であることで、第2樹脂層中の樹脂が、過剰に架橋することが抑制される。
【0070】
前記積層フィルムは、電子線照射によって、例えば、ゲル分率が増大する。すなわち、積層フィルムのゲル分率は、未照射積層フィルムのゲル分率よりも大きい。
前記積層フィルムのゲル分率は、30%以上であることが好ましく、例えば、30~90%、32~78%、及び34~76%のいずれかであってもよい。このような積層フィルムは、目的とする弾性率が得られ易い。
【0071】
前記積層フィルムのゲル分率は、JIS K 6769に準拠して測定できる。すなわち、積層フィルムをキシレン等の有機溶媒中に浸漬し、溶解せずに残った不溶物を乾燥後、その質量を求めて、溶解前の積層フィルムの質量と、乾燥後の積層フィルム由来の不溶物の質量と、からゲル分率を算出できる。より具体的には、例えば、Xgの積層フィルムを、Ygのステンレス製金網で包み込み、加熱された有機溶媒中で浸漬し、積層フィルム由来の不溶物を、ステンレス製金網ごと、有機溶媒中から取り出す。次いで、前記不溶物を包み込んでいるステンレス製金網を真空乾燥させ、乾燥後の前記不溶物とステンレス製金網の合計質量(Zg)を測定する。下記式(1)から、積層フィルムのゲル分率を算出する。
積層フィルムのゲル分率(質量%)=(Z-Y)/X×100 (1)
【0072】
前記積層フィルムは、電子線照射によって、例えば、熱機械分析時の特性が変化する。
例えば、積層フィルムについて熱機械分析を行ったとき、2000μmの変位を示す温度(本明細書においては、「2000μm変位温度」と略記することがある)は、120℃以上であることが好ましく、例えば、125~200℃、及び130~195℃のいずれかであってもよい。このような積層フィルムは、目的とする弾性率が得られ易い。
【0073】
例えば、積層フィルムについて熱機械分析を行ったとき、温度が100℃での変位が500μm以下であることが好ましく、例えば、50~490μm、及び100~480μm以下のいずれかであってもよい。このような積層フィルムは、目的とする弾性率が得られ易い。
【0074】
積層フィルムの熱機械分析は、例えば、JIS K 7196に準拠して、標準試料と、目的とする試料とを、一定速度で昇温したときの熱膨張量の差から、試料の熱膨張量を測定する方法によって、行うことができる。
【0075】
第2樹脂層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第2樹脂層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0076】
第2樹脂層の厚さは、前記積層フィルムの用途に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第2樹脂層の厚さは、通常、5~100μmであることが好ましく、5~80μmであることがより好ましく、例えば、5~60μmであってもよい。第2樹脂層の厚さが前記下限値以上であることで、第2樹脂層の強度がより向上するとともに、積層フィルムが第2樹脂層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる。第2樹脂層の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。また、第2樹脂層が高密度ポリエチレンを含む場合、第2樹脂層の厚さが前記上限値以下であることで、第2樹脂層の弾性率と、積層フィルム全体の弾性率と、が小さくなり、前記積層フィルムの成形性が向上する傾向にある。
第2樹脂層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
【0077】
積層フィルム全体の厚さに対する、第2樹脂層の厚さの割合は、特に限定されないが、3~67%であることが好ましく、3~53%であることがより好ましく、例えば、3~40%であってもよい。前記割合がこのような範囲であることで、第2樹脂層の厚さが上述の範囲である場合と同様の効果が得られる。
【0078】
第2樹脂層は、無延伸の層(フィルム)であることが好ましい。第2樹脂層が無延伸の層であることで、前記積層フィルムの成形性が向上する。
【0079】
第2樹脂層は、耐熱性を有するため、例えば、外層(シーラント層側とは反対側の最表層)として好適である。
【0080】
<第3樹脂層>
前記積層フィルムは、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に、さらに、これら以外の第3樹脂層を備えていてもよい。
前記第3樹脂層は、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂を含む。すなわち、第3樹脂層を備えた積層フィルムにおいて、第1樹脂層と、第2樹脂層と、第3樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
【0081】
本実施形態においては、ポリオレフィン系樹脂の場合に限らず、「同種の樹脂」とは、共通の構成単位を有する樹脂同士を比較したとき、どちらの樹脂においても、構成単位の全量(モル)に対する、共通の構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるものを意味する。例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、メタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレン(V-mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(EVA部分ケン化物)等は、すべて、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるため、同種であるとする。一方、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体及びプロピレン-エチレンブロック共重合体等のうち、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%未満であるものは、上述の低密度ポリエチレン等とは、同種ではないとする。
本実施形態において、同種の樹脂は、どちらの樹脂においても、構成単位の全量(モル)に対する、共通の構成単位の量(モル)の割合が、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上、特に好ましくは50モル%以上であり、例えば、60モル%以上、70モル%以上、及び80モル%以上のいずれかであってもよい。
第3樹脂層を備えた積層フィルムは、第3樹脂層を備えていることによる効果を有するとともに、再利用適性が高い。
【0082】
第3樹脂層に使用する(第3樹脂層が含む)ポリオレフィン系樹脂としては、αオレフィンコポリマー等のエラストマー成分;エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH);エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(EVA部分ケン化物)も挙げられる。エラストマーを含む第3樹脂層を備えた積層フィルムは、ナイロン等のポリアミドを含んでいなくても、耐ピンホール性が高く、高強度となる。EVOHを含む第3樹脂層を備えた積層フィルムは、酸素バリア性が高い。EVA部分ケン化物は、接着性樹脂として用いることができる。
【0083】
第3樹脂層に使用する(第3樹脂層が含む)ポリオレフィン系樹脂としては、酸性基又は酸性基が無水物化された基を有する酸変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンも挙げられる。
前記変性ポリオレフィンとしては、例えば、エチレン系共重合体の変性物(変性エチレン系共重合体)、プロピレン系共重合体の変性物(変性プロピレン系共重合体)、ブテン系共重合体の変性物(変性ブテン系共重合体)、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。前記変性ポリオレフィンは、接着性樹脂として好適であり、変性ポリオレフィンを含む第3樹脂層は、接着性を有し、接着層として好適である。
【0084】
第3樹脂層が含む、前記同種のポリオレフィン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0085】
第3樹脂層が含む、前記同種のポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
すなわち、第1樹脂層と、第2樹脂層と、第3樹脂層は、いずれもポリエチレン系樹脂を含むことが好ましい。
【0086】
第3樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂以外に、他の成分を含んでいてもよい。
第3樹脂層における前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
【0087】
第3樹脂層における前記他の樹脂成分は、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂以外の樹脂であれば、特に限定されない。
第3樹脂層における前記他の樹脂成分としては、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂と、が挙げられる。
【0088】
第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂としては、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂として先に挙げたものと同様のもの;αオレフィンコポリマー等のエラストマー等が挙げられる。
前記エラストマーを含む第3樹脂層を備えた積層フィルムは、ナイロン等のポリアミドを含んでいなくても、耐ピンホール性が高く、高強度となる。
【0089】
第3樹脂層における、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂としては、例えば、スチレン-エチレン・ブチレン-エチレンブロック共重合体等のエラストマーが挙げられる。
前記エラストマーを含む第3樹脂層を備えた積層フィルムは、ナイロン等のポリアミドを含んでいなくても、耐ピンホール性が高く、高強度となる。
【0090】
第3樹脂層における前記非樹脂成分としては、第1樹脂層における前記非樹脂成分と同様のものが挙げられる。
【0091】
第3樹脂層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0092】
第3樹脂層において、第3樹脂層の総質量に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、第3樹脂層がポリオレフィン系樹脂を含んでいることによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述する第3樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)(質量部)の割合、と同じである。
【0093】
第3樹脂層において、第3樹脂層の総質量に対する、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、例えば、95~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
【0094】
第3樹脂層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第3樹脂層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
複数層からなる第3樹脂層においては、すべての層が、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
【0095】
第3樹脂層の厚さは、前記積層フィルムの用途に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第3樹脂層の厚さは、通常、3~140μmであることが好ましく、4.5~137.5μmであることがより好ましく、6~135μmであることがさらに好ましい。第3樹脂層の厚さが前記下限値以上であることで、第3樹脂層の強度がより向上する。また、積層フィルムが第3樹脂層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる。例えば、積層フィルムの、後述する酸素バリア性、耐ピンホール性、層間接着性等の特性がより高くなる。第3樹脂層の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
第3樹脂層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
【0096】
前記積層フィルムが第3樹脂層を備えている場合、積層フィルム全体の厚さに対する、第3樹脂層の厚さの割合は、特に限定されないが、2~93%であることが好ましく、3~91%であることがより好ましく、4~90%であることがさらに好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、第3樹脂層の厚さが上述の範囲である場合と同様の効果が得られる。また、前記割合が前記上限値以下であることで、積層フィルムが第1樹脂層及び第2樹脂層を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。
【0097】
第3樹脂層は、無延伸の層(フィルム)であることが好ましい。第3樹脂層が無延伸の層であることで、前記積層フィルムの成形性が向上する。
【0098】
第3樹脂層は、例えば、耐ピンホール層、酸素バリア層、接着層等の中間層として好適である。
【0099】
エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)を含む樹脂層は、高い酸素バリア性を有する。したがって、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む第3樹脂層を備えた前記積層フィルムは、酸素バリア性が高い。
【0100】
第3樹脂層が、高い酸素バリア性と、適度な耐ピンホール性を有し、積層フィルムの再利用適性がより高くなる点では、第3樹脂層は、前記ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、を含み、前記ポリオレフィン系樹脂が、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-酢酸ビニル共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、のいずれにも該当しない樹脂層(本明細書においては、「樹脂層(I)」と称することがある)であることが好ましい。
【0101】
一方、エチレン-ビニルアルコール共重合体は、通常、エチレン-酢酸ビニル共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と(換言すると、エチレン-酢酸ビニル共重合体とその部分ケン化物)、のいずれにも該当しないポリオレフィン系樹脂との相溶性が低い。したがって、第3樹脂層が、このようなポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、を含む場合には、この第3樹脂層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-酢酸ビニル共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、のいずれにも該当しないポリオレフィン系樹脂(本明細書においては、「非ビニル系ポリオレフィン系樹脂」と称することがある)との相溶性を有する成分(本明細書においては、「相溶性向上成分」と称することがある)をさらに含む樹脂層であることが好ましい。
【0102】
好ましい前記相溶性向上成分としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(エチレン-酢酸ビニル共重合体部分ケン化物)等が挙げられる。
すなわち、樹脂層(I)は、さらに、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体を含んでいることが好ましい。
【0103】
前記樹脂層(I)において、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂は、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂であり、ポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
前記樹脂層(I)において、エチレン-ビニルアルコール共重合体は、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
前記樹脂層(I)がエチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体を含む場合、樹脂層(I)において、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体は、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
【0104】
樹脂層(I)中のエチレン-ビニルアルコール共重合体において、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合(本明細書においては、「エチレンの共重合比率」と称することがある)は、80モル%以下であってもよいが、50モル%以下であることが好ましく、例えば、45モル%以下、40モル%以下、35モル%以下、及び30モル%以下のいずれかであってもよい。前記割合が50モル%以下である場合には、ビニルアルコールから誘導されたと見做せる構成単位の量(モル)の割合が高くなり、樹脂層(I)及び積層フィルムの酸素バリア性が、より高くなる。
前記エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合の下限値は、特に限定されない。例えば、前記エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合は、20モル%以上であってもよい。
【0105】
樹脂層(I)において、樹脂層(I)の総質量に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量の割合は、95質量%以下であることが好ましい。このような樹脂層(I)を備えた積層フィルムを用いて、積層フィルム同士をシールした場合、シール部の剥離時には、第1樹脂層以外の部位における剥離(デラミネーション)の発生が高度に抑制される。このような効果がより高くなる点で、前記割合は、例えば、90質量%以下、及び80質量%以下のいずれかであってもよい。
前記割合は、通常、樹脂層(I)を形成するための樹脂組成物(後述する第3樹脂組成物)における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量(質量部)の割合、と同じである。
【0106】
樹脂層(I)において、樹脂層(I)の総質量に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量の割合の下限値は、特に限定されない。エチレン-ビニルアルコール共重合体を用いたことによる効果(例えば、樹脂層(I)と積層フィルムの酸素バリア性が高くなる効果)がより顕著に得られる点では、前記割合は、40質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。
【0107】
樹脂層(I)において、樹脂層(I)の総質量に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量の割合は、例えば、40~95質量%、40~90質量%、及び40~80質量%のいずれかであってもよいし、45~95質量%、45~90質量%、及び45~80質量%のいずれかであってもよいし、50~95質量%、50~90質量%、及び50~80質量%のいずれかであってもよい。
【0108】
樹脂層(I)がエチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体を含む場合、樹脂層(I)において、樹脂層(I)の総質量に対する、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体の含有量の割合は、5~40質量%であることが好ましく、例えば、10~35質量%であってもよい。前記割合がこのような範囲であることで、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、樹脂層(I)を形成するための樹脂組成物(後述する第3樹脂組成物)における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体の含有量(質量部)の割合、と同じである。
【0109】
樹脂層(I)がエチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体を含むか否かによらず、樹脂層(I)において、樹脂層(I)の総質量に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、の合計含有量の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、樹脂層(I)の酸素バリア性がより高くなる。
前記割合は、通常、樹脂層(I)を形成するための樹脂組成物(後述する第3樹脂組成物)における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、の合計含有量(質量部)の割合、と同じである。
【0110】
前記積層フィルムは、第3樹脂層として樹脂層(I)を備えている場合、樹脂層(I)を1層のみ備えていてもよいし、2層以上備えていてもよい。前記積層フィルムが樹脂層(I)を2層以上備えている場合、これら2層以上の樹脂層(I)は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら樹脂層(I)の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0111】
第3樹脂層として樹脂層(I)を備えた前記積層フィルムとしては、例えば、1層の樹脂層(I)と、前記樹脂層(I)の第1樹脂層側及び第2樹脂層側のいずれか一方又は両方に、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、を備えたものが挙げられる。
このような前記積層フィルムとして、より具体的には、例えば、第1樹脂層と、1層の樹脂層(I)(第3樹脂層)と、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、第2樹脂層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第3樹脂層が合計で2層又は3層の積層フィルム;第1樹脂層と、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、1層の樹脂層(I)(第3樹脂層)と、第2樹脂層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第3樹脂層が合計で2層又は3層の積層フィルム;第1樹脂層と、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、1層の樹脂層(I)(第3樹脂層)と、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、第2樹脂層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第3樹脂層が合計で3~5層の積層フィルムが挙げられる。
ここで例示した積層フィルムにおいて、第1樹脂層と、樹脂層(I)と、樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、第2樹脂層とは、すべて同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
ここで例示した積層フィルムにおいて、第1樹脂層及び第2樹脂層は、いずれも1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
【0112】
前記積層フィルムで好ましいものとしては、例えば、酸素バリア性が高いという点では、前記第3樹脂層が3層以上の複数層からなり、そのうちの少なくとも1層が樹脂層(I)であるものが挙げられる。
このような前記樹脂層(I)である第3樹脂層においては、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、必要に応じてエチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、からなる群より選択される1種又は2種以上が、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂であればよい。
例えば、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂が前記同種のポリオレフィン系樹脂である場合には、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、のいずれか一方又は両方が、前記同種のポリオレフィン系樹脂であってもよいし、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、の両方が、前記同種のポリオレフィン系樹脂でなくてもよい。
【0113】
第3樹脂層として樹脂層(I)を備えた前記積層フィルムにおいて、積層フィルムの厚さに対する、樹脂層(I)の厚さの割合は、特に限定されないが、4~15%であることが好ましい。前記割合が前記下限値以上である樹脂層(I)は、厚さの均一性がより高い。前記割合が前記上限値以下であることで、積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
【0114】
前記積層フィルムが第3樹脂層として樹脂層(I)を備えている場合、前記積層フィルムの、その第2樹脂層側の外部から測定したヘーズは、例えば、35%以下、及び30%以下のいずれかであってもよいが、20%以下であることが好ましい。前記ヘーズが前記上限値以下である積層フィルムの酸素バリア性は、より高い。これは、樹脂層(I)の均一性が高く、樹脂層(I)の酸素バリア性が高いことによる。また、前記ヘーズが前記上限値以下であることで、前記積層フィルムを用いて得られた包装体においては、内容物の視認性がより良好となる。
本明細書において、「ヘーズ」とは、JIS K 7136:2000に準拠して測定されたものを意味する。
【0115】
樹脂層(I)は、上述のとおり、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、それ以外の樹脂と、を含んでおり、このような2種以上の樹脂成分を含む樹脂層(I)を備えていることにより、前記積層フィルムの酸素バリア性が高くなる。一方で、エチレン-ビニルアルコール共重合体からなる、又はエチレン-ビニルアルコール共重合体を主成分とする層(本明細書においては、「樹脂層(II)」と称することがある)と、その両面(樹脂層(II)の両面)に設けられた、接着性樹脂を含む層(本明細書においては、「接着層」と称することがある)と、を第3樹脂層として備えた前記積層フィルムは、その酸素バリア性がより高くなる。前記樹脂層(II)においては、エチレン-ビニルアルコール共重合体以外の樹脂は、必須成分ではない。
【0116】
前記接着性樹脂としては、先に説明した前記変性ポリオレフィン、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(EVA部分ケン化物)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。
前記変性ポリオレフィンは、酸変性ポリエチレンであることが好ましく、無水マレイン酸変性ポリエチレンであることがより好ましい。
【0117】
前記樹脂層(II)におけるエチレン-ビニルアルコール共重合体は、樹脂層(I)におけるエチレン-ビニルアルコール共重合体と同様のものであり、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂である。
前記樹脂層(II)がエチレン-ビニルアルコール共重合体以外の樹脂を含む場合、樹脂層(II)において、エチレン-ビニルアルコール共重合体以外の樹脂は、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
前記接着層において、前記接着性樹脂は、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂である。
前記接着層が接着性樹脂以外の樹脂を含む場合、接着層において、接着性樹脂以外の樹脂は、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
【0118】
樹脂層(II)中のエチレン-ビニルアルコール共重合体としては、樹脂層(I)中のエチレン-ビニルアルコール共重合体と同様のものが挙げられる。
【0119】
樹脂層(II)において、樹脂層(II)の総質量に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、エチレン-ビニルアルコール共重合体を主成分として用いることにより得られる効果(例えば、樹脂層(II)の構成を簡略化できる効果)がより高くなり、樹脂層(II)の酸素バリア性がより高くなる。
前記割合は、通常、樹脂層(II)を形成するための樹脂組成物(後述する第3樹脂組成物)における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量(質量部)の割合、と同じである。
【0120】
前記積層フィルムは、第3樹脂層として樹脂層(II)を備えている場合、樹脂層(II)を1層のみ備えていてもよいし、2層以上備えていてもよい。前記積層フィルムが樹脂層(II)を2層以上備えている場合、これら2層以上の樹脂層(II)は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら樹脂層(II)の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0121】
前記積層フィルムは、第3樹脂層として樹脂層(II)を備えている場合、樹脂層(II)の両面に、さらに、第3樹脂層として前記接着層を備えていることが好ましい。このような積層フィルムは、酸素バリア性、層間接着性及びシール強度をいずれも高い水準で有する。層間接着性については、特に、樹脂層(II)と、その両面に設けられた2層の接着層と、前記2層の接着層の樹脂層(II)側とは反対側の面にそれぞれ設けられた隣接層と、の接着性が高くなる。前記隣接層は、第1樹脂層、第2樹脂層及び第3樹脂層のいずれであってもよい。
このように、酸素バリア性、層間接着性及びシール強度をいずれも高い水準で有する積層フィルムは、例えば、後述するパウチ等の包装体の材料として、特に好適である。
【0122】
前記接着層が含む、接着性樹脂以外の他の樹脂としては、例えば、前記ポリオレフィン系樹脂が挙げられ、ポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
【0123】
前記接着層において、接着層の総質量に対する、接着性樹脂の含有量の割合は、20~100質量%であることが好ましく、例えば、40~100質量%、60~100質量%、及び80~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着層の接着性がより高くなる。
前記割合は、通常、接着層を形成するための樹脂組成物(後述する第3樹脂組成物)における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、接着性樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
【0124】
前記接着層が、接着性樹脂と、接着性樹脂以外の他の樹脂と、を含む場合、接着層において、接着層の総質量に対する、接着性樹脂と、接着性樹脂以外の他の樹脂と、の合計含有量の割合は、70~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着層の接着性と、前記他の樹脂を用いたことにより得られる効果が、より高くなる。例えば、前記他の樹脂が前記ポリオレフィン系樹脂である場合には、接着層の接着性と、前記積層フィルムの再利用適性が、より高くなる。
【0125】
前記接着層が、接着性樹脂と、接着性樹脂以外の他の樹脂と、を含む場合、接着層において、[接着性樹脂の含有量(質量部)]:[接着性樹脂以外の他の樹脂の含有量(質量部)]の比率は、20:80~80:20であることが好ましく、例えば、20:80~60:40、及び20:80~40:60のいずれかであってもよいし、40:60~80:20、及び60:40~80:20のいずれかであってもよいし、40:60~60:40であってもよい。接着性樹脂の含有量が多いほど、接着層の接着性が向上する傾向にある。
【0126】
前記接着層は、接着性樹脂として、変性ポリオレフィン及びエチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。
【0127】
前記積層フィルムは、第3樹脂層として接着層を備えている場合、接着層(例えば、樹脂層(II)の両面に設けられたそれぞれの接着層)は、1層のみで構成されていてもよいし、2層以上構成されていてもよい。接着層が2層以上で構成されている場合、これら2層以上の層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら2層以上の層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0128】
第3樹脂層として樹脂層(II)及び接着層を備えた前記積層フィルムとしては、例えば、第1樹脂層と、1層の接着層(第3樹脂層)と、1層又は2層の樹脂層(II)と、1層の接着層(第3樹脂層)と、第2樹脂層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第3樹脂層が合計で3層又は4層の積層フィルム;第1樹脂層と、1層の接着層(第3樹脂層)と、1層又は2層の樹脂層(II)と、1層の接着層(第3樹脂層)と、樹脂層(II)及び接着層のいずれにも該当しない1層又は2層の第3樹脂層と、第2樹脂層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第3樹脂層が合計で4~6層の積層フィルム;第1樹脂層と、樹脂層(II)及び接着層のいずれにも該当しない1層又は2層の第3樹脂層と、1層の接着層(第3樹脂層)と、1層又は2層の樹脂層(II)と、1層の接着層(第3樹脂層)と、第2樹脂層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第3樹脂層が合計で4~6層の積層フィルム;第1樹脂層と、樹脂層(II)及び接着層のいずれにも該当しない1層又は2層の第3樹脂層と、1層の接着層(第3樹脂層)と、1層又は2層の樹脂層(II)と、1層の接着層(第3樹脂層)と、樹脂層(II)及び接着層のいずれにも該当しない1層又は2層の第3樹脂層と、第2樹脂層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第3樹脂層が合計で5~8層の積層フィルムが挙げられる。
ここで例示した積層フィルムにおいて、第1樹脂層と、接着層と、樹脂層(II)と、樹脂層(II)及び接着層のいずれにも該当しない第3樹脂層と、第2樹脂層とは、すべて同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
ここで例示した積層フィルムにおいて、第1樹脂層及び第2樹脂層は、いずれも1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
【0129】
第3樹脂層として樹脂層(II)を備えた前記積層フィルムにおいて、積層フィルムの厚さに対する、樹脂層(II)の厚さの割合は、特に限定されないが、3~20%であることが好ましい。前記割合が前記下限値以上である樹脂層(II)は、厚さの均一性がより高い。前記割合が前記上限値以下であることで、積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
【0130】
第3樹脂層として接着層を備えた前記積層フィルムにおいて、積層フィルムの厚さに対する、接着層(例えば、樹脂層(II)の両面に設けられたそれぞれの接着層)の厚さの割合は、特に限定されないが、1~10%であることが好ましい。前記割合が前記下限値以上である接着層は、厚さの均一性がより高い。前記割合が前記上限値以下であることで、積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
【0131】
前記積層フィルムが第3樹脂層として樹脂層(II)及び接着層を備えている場合、前記積層フィルムの、その第2樹脂層側の外部から測定したヘーズは、例えば、25%以下、及び20%以下のいずれかであってもよいが、17%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。前記ヘーズが前記上限値以下である積層フィルムの酸素バリア性は、より高い。これは、樹脂層(II)の均一性がより高く、樹脂層(II)の酸素バリア性がより高いことによる。また、前記ヘーズが前記上限値以下であることで、前記積層フィルムを用いて得られた包装体においては、内容物の視認性がより良好となる。
【0132】
JIS K 7126-2:2006に準拠して測定された、温度23℃、相対湿度(RH)60%の条件下での、前記積層フィルムの酸素透過量は、50cc/(m2・24h・atm)以下であり、例えば、35cc/(m2・24h・atm)以下、25cc/(m2・24h・atm)以下、15cc/(m2・24h・atm)以下、10cc/(m2・24h・atm)以下、及び5cc/(m2・24h・atm)のいずれかであってもよい。
一方、前記積層フィルムの酸素透過量は、0cc/(m2・24h・atm)以上である。
すなわち、前記積層フィルムの酸素透過量は、0~50cc/(m2・24h・atm)、0~35cc/(m2・24h・atm)、0~25cc/(m2・24h・atm)、0~15cc/(m2・24h・atm)、0~10cc/(m2・24h・atm)、及び0~5cc/(m2・24h・atm)のいずれかであってもよい。
【0133】
特に、前記積層フィルムが第3樹脂層として樹脂層(II)及び接着層を備えている場合、JIS K 7126-2:2006に準拠して測定された、温度23℃、相対湿度(RH)60%の条件下での、前記積層フィルムの酸素透過量は、0~5cc/(m2・24h・atm)であることが好ましい。
【0134】
前記積層フィルムの酸素透過量は、積層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
例えば上述のとおり、積層フィルムを、EVOHを含む第3樹脂層を備えて構成することによって、積層フィルムの酸素透過量を容易に低減できる。ただし、これは一例であり、積層フィルムの酸素透過量の調節は、他の層の調節によって行うこともできる。
【0135】
前記積層フィルムは、これを構成する各層(第1樹脂層及び第2樹脂層、並びに、場合によっては第3樹脂層)が、同種のポリオレフィン系樹脂を含んでいるため、再利用適性が高いだけでなく、各層を、接着層を介さずに、密着させることができる。すなわち、前記積層フィルムは、接着層を備えていなくても、各層の密着性が高い。また、このように接着層を備えていない積層フィルムは、低コストで製造できる。
一方、前記積層フィルムは、第3樹脂層として樹脂層(II)及び接着層を備えていることで、酸素バリア性、層間接着性及びシール強度をいずれも高い水準で有する。
【0136】
前記積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの総質量に対する、前記同種のポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、90質量%以上であることが好ましく、92質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムのモノマテリアル化(積層フィルムを単一の素材で構成すること)が実現でき、前記積層フィルム全体を容易に再利用できる。
【0137】
前記積層フィルムについて、動的粘弾性測定(DMA)を行ったとき、振動周波数が1Hzである場合の110℃での弾性率EF’(110)は、例えば、3.0×107Pa以下であってもよいが、2.1×107Pa以下であることが好ましい。EF’(110)が2.1×107Pa以下であることで、積層フィルムの成形性がより高くなり、例えば、成形体の厚さの均一性が高くなる。
EF’(110)の下限値は、特に限定されない。例えば、EF’(110)が1.0×106Pa以上である積層フィルムは、より容易に形成できる。
【0138】
動的粘弾性測定を行う前記積層フィルム、すなわち、積層フィルムの試験片としては、幅が4mmであり、長さが5cm以上であるものが挙げられる。このような試験片を用い、その動的粘弾性測定を行う測定対象部位の長さを2cmとなるように、試験片を設置して、試験片を、昇温速度3℃/minで昇温させて、動的粘弾性測定を行うことが好ましい。このような条件とすることで、EF’(110)をより高精度に測定できる。
【0139】
動的粘弾性測定のときには、測定に供する積層フィルム(試験片)の長さ方向(幅方向に対して垂直な方向)を、積層フィルムの樹脂の流れ方向(MD)と一致させてもよいし、積層フィルムの樹脂の流れ方向(MD)に対して垂直な方向(TD)と一致させてもよい。
本実施形態においては、動的粘弾性測定のときに、積層フィルム(試験片)の長さ方向を、積層フィルムの樹脂の流れ方向(MD)と一致させることが好ましい。すなわち、上述のEF’(110)は、動的粘弾性測定のときに、積層フィルム(試験片)の長さ方向を、積層フィルムの樹脂の流れ方向(MD)と一致させた場合の測定値であることが好ましい。
【0140】
EF’(110)は、積層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。そして、上述のとおり、第2樹脂層の弾性率を調節することで、より容易にEF’(110)を調節できる。
【0141】
図1は、本実施形態の積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す積層フィルム1は、第1樹脂層11と第2樹脂層12を備え、さらに、第1樹脂層11と第2樹脂層12との間に、第3樹脂層13を備えて、構成されている。すなわち、積層フィルム1は、第1樹脂層11、第3樹脂層13及び第2樹脂層12がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
第1樹脂層11、第2樹脂層12及び第3樹脂層13は、いずれも、先に説明したものである。
第3樹脂層13は、任意の構成であり、積層フィルム1は、第3樹脂層13を備えていなくてもよい。
【0142】
第1樹脂層11の一方の面(第2樹脂層12側とは反対側の面、本明細書においては「第2面」と称することがある)11bは、露出面である。
第2樹脂層12の一方の面(第1樹脂層11側とは反対側の面、本明細書においては「第1面」と称することがある)12aは、露出面である。
【0143】
積層フィルム1の前記酸素透過量は、50cc/(m2・24h・atm)以下である。
【0144】
図2は、本実施形態の積層フィルムの他の例を模式的に示す断面図である。
ここに示す積層フィルム2は、第3樹脂層23として、第1樹脂層11側から第2樹脂層12側へ向けて、第3-1樹脂層231、第3-2樹脂層232、及び第3-3樹脂層233がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、3層構造の積層樹脂層を備えている。
すなわち、積層フィルム2は、第1樹脂層11と、第3-1樹脂層231と、第3-2樹脂層232と、第3-3樹脂層233と、第2樹脂層12と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
【0145】
積層フィルム2は、第3樹脂層13に代えて第3樹脂層23を備えている点以外は、積層フィルム1と同じである。
【0146】
第3樹脂層23において、第3-1樹脂層231及び第3-3樹脂層233は、いずれも前記樹脂層(I)と、前記樹脂層(II)と、のいずれにも該当しない樹脂層であることが好ましい。第3-2樹脂層232は、前記樹脂層(I)又は樹脂層(II)であること、すなわち酸素バリア性を有する樹脂層であることが好ましい。
すなわち、第3樹脂層23でより好ましいものとしては、例えば、第3-1樹脂層231及び第3-3樹脂層233が、いずれも前記樹脂層(I)と、前記樹脂層(II)と、のいずれにも該当しない樹脂層であり、第3-2樹脂層232が前記樹脂層(I)である、酸素バリア性を有する第3樹脂層が挙げられる。
第3樹脂層23でより好ましいものとしては、例えば、第3-1樹脂層231及び第3-3樹脂層233が、いずれも前記樹脂層(I)と、前記樹脂層(II)と、のいずれにも該当しない樹脂層であり、第3-2樹脂層232が前記樹脂層(II)である、酸素バリア性を有する第3樹脂層も挙げられ、第3-1樹脂層231及び第3-3樹脂層233が、いずれも接着層であってもよい。
【0147】
積層フィルム2において、第3樹脂層23は、3層構造以外の積層樹脂層であってもよい。
例えば、第3樹脂層23は、第3-1樹脂層231を備えていない2層構造を有し、第3-2樹脂層232が前記樹脂層(I)又は樹脂層(II)であってもよい。このような2層構造を有する第3樹脂層においては、第1樹脂層11側の層を第3-1樹脂層と称し、この第3-1樹脂層は前記樹脂層(I)又は樹脂層(II)であってもよく、第2樹脂層12側の層を第3-2樹脂層と称する。そして、このような第3樹脂層を備えた積層フィルム2を、本明細書においては、「変形例2-1」と称する。なお、本明細書においては、このような積層フィルム2に限らず、第3樹脂層の層数が2以上の積層フィルムにおいては、最も第1樹脂層側の第3樹脂層を第3-1樹脂層と称する。
例えば、第3樹脂層23は、第3-3樹脂層233を備えていない2層構造を有し、第3-2樹脂層232が前記樹脂層(I)又は樹脂層(II)であってもよい。このような第3樹脂層を備えた積層フィルム2を、本明細書においては、「変形例2-2」と称する。
例えば、第3樹脂層23は、第3-1樹脂層231よりも第1樹脂層11側に、さらに1層又は2層以上の、第3-1樹脂層231と同様の層を備え、第3-2樹脂層232が前記樹脂層(I)又は樹脂層(II)であり、層数が4以上の多層構造を有していてもよい。このような多層構造を有する第3樹脂層において、最も第1樹脂層11側の層は第3-1樹脂層である。そして、このような第3樹脂層を備えた積層フィルム2を、本明細書においては、「変形例2-3」と称する。
例えば、第3樹脂層23は、第3-3樹脂層233よりも第2樹脂層12側に、さらに1層又は2層以上の、第3-3樹脂層233と同様の層を備え、第3-2樹脂層232が前記樹脂層(I)又は樹脂層(II)であり、層数が4以上の多層構造を有していてもよい。このような多層構造を有する第3樹脂層においては、第3-3樹脂層233に接触している第2樹脂層12側の層を第3-4樹脂層と称する。そして、このような第3樹脂層を備えた積層フィルム2を、本明細書においては、「変形例2-4」と称する。
積層フィルム2は、第3樹脂層23が3層構造以外の積層樹脂層である場合、上記の変形例2-1と変形例2-4の構成を共に有していてもよいし、上記の変形例2-2と変形例2-3の構成を共に有していてもよいし、上記の変形例2-3と変形例2-4の構成を共に有していてもよい。例えば、変形例2-3と変形例2-4の構成を共に有している積層フィルムの一例としては、第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第3-4樹脂層と、第3-5樹脂層と、第2樹脂層と、が1層ずつこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルムが挙げられる。
このように、第3樹脂層を備え、層数の多い積層フィルム2は、1層ずつをそれぞれ別々の層と見做してもよい。
【0148】
前記積層フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、第1樹脂層と、第2樹脂層と、第3樹脂層と、のいずれにも該当しない、他の層を備えていてもよいが、前記他の層を備えていないことが好ましい。
前記他の層は、ポリオレフィン系樹脂を含まない層であり、このような他の層を備えていないことにより、前記積層フィルムの再利用適性が、より高くなる。
【0149】
前記積層フィルムの全体の厚さは、特に限定されないが、例えば、50~350μmであることが好ましい。
【0150】
前記積層フィルムにおいては、これを構成するすべての層(例えば、第1樹脂層~第3樹脂層)が、無延伸の層(フィルム)であることが好ましい。このような、無延伸の積層フィルムは、成形性に特に優れ、例えば、深絞り包装体を構成するのに適している。
前記積層フィルム(例えば、無延伸の積層フィルム)は、深絞り包装体に限定されず、例えば、パウチ等の、他の形態の包装体を構成するのにも適している。
前記積層フィルムを用いて構成する包装体の種類は、目的に応じて任意に選択できる。
【0151】
<<積層フィルムの製造方法>>
前記積層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂又は樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
【0152】
前記樹脂組成物を用いる場合には、例えば、2種以上の成分の配合物(ドライブレンド物、非混練物)を、樹脂組成物として押出機へ直接投入してもよいし、2種以上の成分を予め練り合わせた事前混練物を、樹脂組成物として押出機へ投入してもよい。
前記事前混練物は、例えば、2種以上の成分を二軸押出機又はバンバリーミキサー等の装置を用いて、溶融混練することで得られる。
【0153】
また、前記積層フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
【0154】
前記積層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる前記樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
【0155】
第1樹脂層(
図1に示す積層フィルム1及び
図2に示す積層フィルム2においては、第1樹脂層11)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「第1樹脂組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。
【0156】
第2樹脂層(
図1に示す積層フィルム1及び
図2に示す積層フィルム2においては、第2樹脂層12)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「第2樹脂組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。
【0157】
第3樹脂層(
図1に示す積層フィルム1においては、第3樹脂層13;
図2に示す積層フィルム2においては、第3-1樹脂層231、第3-2樹脂層232、及び第3-3樹脂層233)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「第3樹脂組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。特に、第3-1樹脂層231~第3-3樹脂層233のうち、前記樹脂層(I)であるものを形成するための第3樹脂組成物としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じてエチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、必要に応じてこれら以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。第3-1樹脂層231~第3-3樹脂層233のうち、前記樹脂層(II)であるものを形成するための第3樹脂組成物としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、必要に応じてエチレン-ビニルアルコール共重合体以外の樹脂と、必要に応じてこれら以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。第3-1樹脂層231~第3-3樹脂層233のうち、前記接着層であるものを形成するための第3樹脂組成物としては、接着性樹脂と、必要に応じて接着性樹脂以外の樹脂と、必要に応じてこれら以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。
【0158】
<<包装体>>
前記積層フィルムは、包装体の材料として好適である。
すなわち、好ましい包装体としては、前記積層フィルムを用いて構成されたものが挙げられる。
本実施形態の包装体は、前記積層フィルムを用いて、包装対象物を包装することで、製造できる。包装体の製造時には、前記積層フィルム中の第1樹脂層を包装対象物側に配置し、第2樹脂層を包装対象物側とは反対側に配置して、包装対象物を包装することが好ましい。
【0159】
例えば、前記積層フィルムは、深絞り包装体用として好適であり、深絞り包装体の蓋材と底材のどちらを構成するのにも好適である。特に、成形性が良好な前記積層フィルムは、収納部を構成するための凹部を有する底材を構成するのに好適である。
【0160】
図3は、本実施形態の積層フィルムを備えた包装体の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す包装体101は、蓋材8と、底材10と、を備えており、樹脂フィルムを深絞り成形して得られた深絞り包装体である。
蓋材8及び底材10のいずれか一方又は両方は、
図1に示す積層フィルム1又は
図2に示す積層フィルム2を用いて、構成されている。
図3中の蓋材8又は底材10においては、これを構成している積層フィルム1又は積層フィルム2中の各層の区別を省略している。
【0161】
底材10には、凹部100が形成されている。
底材10の凹部100を除く領域の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)10bと、蓋材8の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)8bとは、いずれもシール面であり、互いに対向している。
包装体101は、蓋材8及び底材10のシールによって構成されている。より具体的には、底材10の凹部100を除く領域の第2面10bと、蓋材8の第2面8bは、重ね合わされ、互いにこれらの周縁部近傍の領域においてシールされている。その結果、底材10の凹部100の領域において、底材10の第2面10bと、蓋材8の第2面8bと、の間に、収納部101aが形成されている。この収納部101a内に、収納物9が収納されている。
【0162】
底材10が積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されている場合、底材10の一方の面(第2面)10bは、積層フィルム1又は積層フィルム2中の第1樹脂層11の第2面11bと同じであることが好ましい。底材10の他方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)10aは、積層フィルム1又は積層フィルム2中の第2樹脂層12の第1面12aと同じであることが好ましい。
【0163】
蓋材8が積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されている場合、蓋材8の一方の面(第2面)8bは、積層フィルム1又は積層フィルム2中の第1樹脂層11の第2面11bと同じであることが好ましい。蓋材8の他方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)8aは、積層フィルム1又は積層フィルム2中の第2樹脂層12の第1面12aと同じであることが好ましい。
【0164】
底材10が積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されているか否かによらず、底材10の一方の面(第2面)10bを有する層(換言すると一方の最表層)は、シーラント層であり、非イージーピール型シーラント層であってもよいし、イージーピール層(イージーピール型シーラント層)であってもよい。
蓋材8が積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されているか否かによらず、蓋材8の一方の面(第2面)8bを有する層(換言すると一方の最表層)は、シーラント層であり、非イージーピール型シーラント層であってもよいし、イージーピール層(イージーピール型シーラント層)であってもよい。
底材10の一方の面10bを有する層と、蓋材8の一方の面8bを有する層とは、いずれもイージーピール層であってもよいが、いずれも非イージーピール型シーラント層であるか、又は、一方が非イージーピール型シーラント層で、他方がイージーピール層であることが好ましい。そして、底材10の一方の面10bを有する層と、蓋材8の一方の面8bを有する層と、のいずれか一方が非イージーピール型シーラント層で、他方がイージーピール層である場合には、底材10の一方の面10bを有する層がイージーピール層であり、蓋材8の一方の面8bを有する層が非イージーピール型シーラント層であることが好ましい。
【0165】
より好ましい包装体101としては、底材10が積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されており、蓋材8が積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されていてもよいし、本実施形態の積層フィルム以外の他の樹脂フィルムを用いて構成されていてもよく、底材10の一方の面10bを有する層(すなわち、第1樹脂層11)が、非イージーピール型シーラント層及びイージーピール層のいずれであってもよく、蓋材8の一方の面8bを有する層が非イージーピール型シーラント層である包装体が挙げられる。
【0166】
さらに好ましい包装体101としては、包装体101の再利用適性が最も高いことから、底材10及び蓋材8がいずれも、積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されており、底材10の一方の面10bを有する層(すなわち、第1樹脂層11)が、非イージーピール型シーラント層及びイージーピール層のいずれであってもよく、蓋材8の一方の面8bを有する層(すなわち、第1樹脂層11)が非イージーピール型シーラント層である包装体が挙げられる。
【0167】
すなわち、イージーピール性を有する、さらに好ましい包装体は、蓋材及び底材を備え、前記包装体が、前記蓋材及び底材のシールによって構成されており、前記蓋材及び底材がいずれも、前記積層フィルムを用いて構成されており、前記底材を構成している前記積層フィルム中の前記第1樹脂層が、イージーピール層であり、前記蓋材を構成している前記積層フィルム中の前記第1樹脂層が、非イージーピール型シーラント層である。
【0168】
図3においては、包装体101の収納部101a内において、収納物9と底材10との間、並びに、収納物9と蓋材8との間には、一部隙間が見られるが、これら隙間の存在は、収納物9を収納した状態の包装体101において、必須ではない。
【0169】
底材10のその平坦部における厚さと、蓋材8の厚さは、いずれも、先に説明した積層フィルム1又は積層フィルム2の厚さと同様であってもよい。
【0170】
ここまでは、前記積層フィルムを備えた包装体として、深絞り包装体を例に挙げて説明したが、前記積層フィルムを備えた包装体は、深絞り包装体に限定されず、他の包装体(例えば、パウチ等)であってもよい。
【0171】
図4は、本実施形態の積層フィルムを備えた包装体の他の例を模式的に示す断面図である。
ここに示す包装体102は、第1樹脂フィルム6と、第2樹脂フィルム7と、を備えており、これら樹脂フィルムの周縁部近傍の領域同士がシールされている。
第1樹脂フィルム6及び第2樹脂フィルム7のいずれか一方又は両方は、
図1に示す積層フィルム1又は
図2に示す積層フィルム2を用いて、構成されている。
図4中の第1樹脂フィルム6又は第2樹脂フィルム7においては、これを構成している積層フィルム1又は積層フィルム2中の各層の区別を省略している。
【0172】
第1樹脂フィルム6の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)6bと、第2樹脂フィルム7の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)7bとは、いずれもシール面であり、互いに対向している。
包装体102は、第1樹脂フィルム6及び第2樹脂フィルム7のシールによって構成されている。より具体的には、第1樹脂フィルム6の第2面6bのうち、第1樹脂フィルム6の周縁部近傍の領域と、第2樹脂フィルム7の第2面7bのうち、第2樹脂フィルム7の周縁部近傍の領域とは、重ね合わされ、シールされている。その結果、第1樹脂フィルム6の第2面6bにおけるシールされていない領域と、第2樹脂フィルム7の第2面7bにおけるシールされていない領域と、の間に、収納部102aが形成されている。この収納部102a内に、収納物9が収納されている。
【0173】
第1樹脂フィルム6が積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されている場合、第1樹脂フィルム6の一方の面(第2面)6bは、積層フィルム1又は積層フィルム2中の第1樹脂層11の第2面11bと同じであることが好ましい。第1樹脂フィルム6の他方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)6aは、積層フィルム1又は積層フィルム2中の第2樹脂層12の第1面12aと同じであることが好ましい。
【0174】
第2樹脂フィルム7が積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されている場合、第2樹脂フィルム7の一方の面(第2面)7bは、積層フィルム1又は積層フィルム2中の第1樹脂層11の第2面11bと同じであることが好ましい。第2樹脂フィルム7の他方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)7aは、積層フィルム1又は積層フィルム2中の第2樹脂層12の第1面12aと同じであることが好ましい。
【0175】
第1樹脂フィルム6が積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されているか否かによらず、第1樹脂フィルム6の一方の面(第2面)6bを有する層(換言すると一方の最表層)は、シーラント層であり、非イージーピール型シーラント層であってもよいし、イージーピール層(イージーピール型シーラント層)であってもよい。
第2樹脂フィルム7が積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されているか否かによらず、第2樹脂フィルム7の一方の面7bを有する層(換言すると一方の最表層)は、シーラント層であり、非イージーピール型シーラント層であってもよいし、イージーピール層(イージーピール型シーラント層)であってもよい。
第1樹脂フィルム6の一方の面6bを有する層と、第2樹脂フィルム7の一方の面7bを有する層とは、いずれもイージーピール層であってもよいが、いずれも非イージーピール型シーラント層であるか、又は、一方が非イージーピール型シーラント層で、他方がイージーピール層であることが好ましい。
【0176】
より好ましい包装体102としては、第1樹脂フィルム6と第2樹脂フィルム7のいずれか一方が、積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されており、他方が積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されていてもよいし、本実施形態の積層フィルム以外の他の樹脂フィルムを用いて構成されていてもよく、第1樹脂フィルム6及び第2樹脂フィルム7のうち、積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されている方の、前記一方の面(第2面)を有する層(すなわち、第1樹脂層11)が、非イージーピール型シーラント層及びイージーピール層のいずれであってもよく、残りの樹脂フィルムの前記一方の面(第2面)を有する層が、非イージーピール型シーラント層である包装体が挙げられる。
【0177】
さらに好ましい包装体102としては、包装体102の再利用適性が最も高いことから、第1樹脂フィルム6及び第2樹脂フィルム7がいずれも、積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されており、第1樹脂フィルム6及び第2樹脂フィルム7のいずれか一方の、前記一方の面(第2面)を有する層(すなわち、第1樹脂層11)が、非イージーピール型シーラント層及びイージーピール層のいずれであってもよく、第1樹脂フィルム6及び第2樹脂フィルム7の他方の、前記一方の面(第2面)を有する層(すなわち、第1樹脂層11)が、非イージーピール型シーラント層である包装体が挙げられる。
【0178】
図4においては、包装体102の収納部102a内において、収納物9と第2樹脂フィルム7との間、並びに、収納物9と第1樹脂フィルム6との間には、一部隙間が見られるが、これら隙間の存在は、収納物9を収納した状態の包装体102において、必須ではない。
【0179】
第1樹脂フィルム6及び第2樹脂フィルム7の厚さは、いずれも、先に説明した積層フィルム1又は積層フィルム2の厚さと同様であってもよい。
【0180】
ここまでは、本実施形態の包装体として、積層フィルム1又は積層フィルム2を用いて構成されているものについて、説明したが、本実施形態の包装体は、積層フィルム1と、積層フィルム2と、のいずれにも該当しない、本発明の一実施形態に係る他の積層フィルムを用いて構成されていてもよい。
【0181】
<<包装体の製造方法>>
前記包装体は、例えば、前記積層フィルム同士、又は、前記積層フィルムと、前記積層フィルム以外の他の樹脂フィルムと、によって、包装対象物(換言すると収納物)を収納するための収納部を形成しながら、包装対象物を収納して行き、これらフィルムの前記収納部以外の領域を加熱シールすることにより、製造できる。
【実施例0182】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0183】
[実施例1]
<<積層フィルムの製造>>
以下に示す手順により、
図2に示す構成の積層フィルムを製造した。
すなわち、第1樹脂層及び第3-2樹脂層を構成する樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)(宇部丸善ポリエチレン社製「UBEポリエチレン(登録商標)F222NH」、密度0.922g/cm
3)を用意した。
第2樹脂層を構成する樹脂として、高密度ポリエチレン(HDPE)(東ソー社製「ニポロンハード(登録商標)4010」、密度0.964g/cm
3、メルトマスフローレイト5.4g/10min)を用意した。
第3-1樹脂層、及び第3-3樹脂層を構成する樹脂として、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)(宇部丸善ポリエチレン社製「ユメリット(登録商標)1520F」、密度0.913g/cm
3)を用意した。
第3-2樹脂層を構成する樹脂として、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(EVA部分ケン化物)(東ソー社製「メルセン(登録商標)-H3051R」)と、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)(クラレ社製「エバール(登録商標)E173B」、エチレンの共重合比率44モル%)を用意した。本明細書においては、このEVOHを「EVOH(1)」と称することがある。
【0184】
前記EVOH(1)(60質量部)と、前記LDPE(10質量部)と、前記EVA部分ケン化物(30質量部)と、を混合することにより、第3樹脂組成物(1)を準備した。
【0185】
前記LDPEと、前記mLLDPEと、前記第3樹脂組成物(1)と、前記mLLDPEと、前記HDPEとを、この順で共押出しすることにより、第1樹脂層(厚さ30μm)と、第3-1樹脂層(厚さ37.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ45μm)と、第2樹脂層(厚さ30μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。
第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
【0186】
<<積層フィルムの評価>>
<積層フィルムの酸素透過量の測定>
上記で得られた積層フィルムについて、JIS K 7126-2:2006に準拠して、温度23℃、相対湿度60%の条件下での酸素透過量を測定した。結果を表1に示す。
【0187】
<積層フィルムのシール強度の測定>
上記で得られた積層フィルム同士を、これらの第1樹脂層同士が対向するように向かい合わせて、さらにこれら(積層フィルム)のMDを一致させて、シール温度140℃、シール圧力0.2MPa、シール時間2.0秒の条件で加熱シールした。次いで、得られたものの加熱シール部位から、幅15mmの領域を裁断することで、試験片を作製した(裁断物を試験片とした)。このとき、試験片の長手方向を積層フィルムのMDと一致させた。
この試験片について、JIS Z 0238:1998に準拠して、剥離速度を300mm/minとし、剥離方向を試験片中の積層フィルムのMDと一致させて、積層フィルム同士を剥離し、このときの剥離強度の測定値を、積層フィルムのシール強度(N/15mm)として採用した。結果を表1に示す。
【0188】
<積層フィルムの成形性の評価>
深絞り成形機(MULTIVAC社製「R535」)を用い、下記成形条件で、上記で得られた積層フィルムに凹部(ポケット)を形成して深絞り成形することにより、6個の成形体を製造した。
[成形条件]
成形温度:100~120℃
加熱時間:1.5秒
成形時間:2.0秒
使用型サイズ:幅110mm、長さ150mm、深さ30mm、4箇所の角部のうちの3箇所の曲率半径が10mm、残りの1箇所の曲率半径が35mm
【0189】
得られた6個の成形体のうち3個について、これらの凹部の四隅における厚さを、マイクロメータを用いて測定し、下記基準に従って、積層フィルムの成形性を評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
A:最も薄い部位の厚さが20μm以上であり、成形性に優れている。
B:最も薄い部位の厚さが15μm以上20μm未満であり、成形性が良好である。
C:最も薄い部位の厚さが15μm未満であり、成形性が不良である。
【0190】
<積層フィルムのEF’(110)の測定>
上記で得られた積層フィルムから、長さ15cm、幅4mmの試験片(1)を切り出した。このとき、試験片(1)の長さ方向を、積層フィルムの樹脂の流れ方向(MD)と一致させた。そして、測定対象部位の長さが2cmとなるように、この試験片(1)をサンプルホルダー内に設置した。
次いで、動的粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス社製「DMA 7100」)を用いて、JIS K7244-4に準拠して、引っ張りモードで、25℃から135℃の温度範囲において、変位10μm、振動周波数1Hz、昇温速度3℃/minの条件で、積層フィルム(試験片(1))の動的粘弾性測定を行い、EF’(110)を測定した。結果を表1に示す。
【0191】
<積層フィルムのヘーズの測定>
上記で得られた積層フィルムについて、JIS K 7136:2000に準拠して、その第2樹脂層側の外部からヘーズを測定した。結果を表1に示す。
【0192】
<<積層フィルムの製造及び評価>>
[実施例2]
樹脂の共押出し時の条件を変更した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ30μm)と、第3-1樹脂層(厚さ45μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
【0193】
[実施例3]
樹脂の共押出し時の条件を変更した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ30μm)と、第3-1樹脂層(厚さ52.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ7.5μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
【0194】
[実施例4]
前記HDPE(50質量部)と、前記mLLDPE(50質量部)と、を混合することにより、第2樹脂組成物(1)を準備した。
そして、前記HDPEに代えて、この第2樹脂組成物(1)を用いた点以外は、実施例2の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ30μm)と、第3-1樹脂層(厚さ45μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
【0195】
[実施例5]
前記HDPE(75質量部)と、前記mLLDPE(25質量部)と、を混合することにより、第2樹脂組成物(2)を準備した。
そして、前記HDPEに代えて、この第2樹脂組成物(2)を用いた点以外は、実施例2の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ30μm)と、第3-1樹脂層(厚さ45μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
【0196】
[実施例6]
前記HDPE(25質量部)と、前記mLLDPE(75質量部)と、を混合することにより、第2樹脂組成物(3)を準備した。
そして、前記HDPEに代えて、この第2樹脂組成物(3)を用いた点以外は、実施例2の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ30μm)と、第3-1樹脂層(厚さ45μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
【0197】
[実施例7]
実施例4の場合と同じ第2樹脂組成物(1)を準備した。
前記HDPEに代えて、この第2樹脂組成物(1)を用いた点以外は、実施例3の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ30μm)と、第3-1樹脂層(厚さ52.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ7.5μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
【0198】
[実施例8]
前記HDPE(50質量部)と、前記LDPE(50質量部)と、を混合することにより、第2樹脂組成物(4)を準備した。
そして、前記第2樹脂組成物(1)に代えて、この第2樹脂組成物(4)を用いた点以外は、実施例4の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ30μm)と、第3-1樹脂層(厚さ45μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
【0199】
[実施例9]
第3-2樹脂層を構成する樹脂としてエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)(三菱ケミカル社製「GH3804B」、エチレンの共重合比率38モル%)を用意した。本明細書においては、このEVOHを「EVOH(2)」と称することがある。
前記EVOH(2)(60質量部)と、前記LDPE(10質量部)と、前記EVA部分ケン化物(30質量部)と、を混合することにより、第3樹脂組成物(2)を準備した。
そして、前記第3樹脂組成物(1)に代えて、この第3樹脂組成物(2)を用いた点以外は、実施例2の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ30μm)と、第3-1樹脂層(厚さ45μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
【0200】
[実施例10]
第3-2樹脂層を構成する樹脂としてエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)(クラレ社製「エバール(登録商標)J171B」、エチレンの共重合比率32モル%)を用意した。本明細書においては、このEVOHを「EVOH(3)」と称することがある。
前記EVOH(3)(60質量部)と、前記LDPE(10質量部)と、前記EVA部分ケン化物(30質量部)と、を混合することにより、第3樹脂組成物(3)を準備した。
そして、前記第3樹脂組成物(1)に代えて、この第3樹脂組成物(3)を用いた点以外は、実施例2の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ30μm)と、第3-1樹脂層(厚さ45μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
【0201】
[実施例11]
前記mLLDPEと、前記第3樹脂組成物(3)と、前記mLLDPEと、前記HDPEとを、この順で共押出しすることにより、第1樹脂層(厚さ75μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
【0202】
[実施例12]
第3-1樹脂層の形成時に、前記第3樹脂組成物(3)に代えて、前記第3樹脂組成物(1)を用いた点以外は、実施例11の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ75μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
【0203】
[実施例13]
第3-1樹脂層を構成する樹脂としてエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)(クラレ社製「エバール(登録商標)L171B」、エチレンの共重合比率27モル%)を用意した。本明細書においては、このEVOHを「EVOH(4)」と称することがある。
前記EVOH(4)(60質量部)と、前記LDPE(10質量部)と、前記EVA部分ケン化物(30質量部)と、を混合することにより、第3樹脂組成物(4)を準備した。
そして、前記第3樹脂組成物(3)に代えて、この第3樹脂組成物(4)を用いた点以外は、実施例11の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ75μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
【0204】
[実施例14]
前記EVOH(4)(50質量部)と、前記LDPE(25質量部)と、前記EVA部分ケン化物(25質量部)と、を混合することにより、第3樹脂組成物(5)を準備した。
そして、前記第3樹脂組成物(3)に代えて、この第3樹脂組成物(5)を用いた点以外は、実施例11の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ75μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
【0205】
[実施例15]
前記EVOH(4)(70質量部)と、前記LDPE(15質量部)と、前記EVA部分ケン化物(15質量部)と、を混合することにより、第3樹脂組成物(6)を準備した。
そして、前記第3樹脂組成物(3)に代えて、この第3樹脂組成物(6)を用いた点以外は、実施例11の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ75μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
【0206】
[実施例16]
前記EVOH(4)(40質量部)と、前記LDPE(30質量部)と、前記EVA部分ケン化物(30質量部)と、を混合することにより、第3樹脂組成物(7)を準備した。
そして、前記第3樹脂組成物(3)に代えて、この第3樹脂組成物(7)を用いた点と、樹脂の共押出し時の条件を変更した点以外は、実施例11の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ75μm)と、第3-1樹脂層(厚さ10.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ49.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表4に示す。
【0207】
[実施例17]
樹脂の共押出し時の条件を変更した点以外は、実施例13の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ112.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ15μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表4に示す。
【0208】
[実施例18]
第3-1樹脂層、及び第3-3樹脂層を構成する樹脂として、無水マレイン酸変性ポリエチレン(接着性樹脂、三井化学社製「NF536」)を用意した。本明細書においては、この無水マレイン酸変性ポリエチレンを「変性PE」と称することがある。
前記mLLDPEと、前記変性PEと、前記EVOH(4)と、前記変性PEと、前記HDPEとを、この順で共押出しすることにより、第1樹脂層(厚さ112.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表4に示す。
【0209】
[実施例19]
樹脂の共押出し時の条件を変更した点以外は、実施例18の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ120μm)と、第3-1樹脂層(厚さ3.75μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ3.75μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表4に示す。
【0210】
[実施例20]
前記変性PE(75質量部)と、前記mLLDPE(25質量部)と、を混合することにより、第3樹脂組成物(8)を準備した。
そして、前記変性PEに代えて、この第3樹脂組成物(8)を用いた点以外は、実施例18の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ112.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表4に示す。
【0211】
[実施例21]
前記変性PE(50質量部)と、前記mLLDPE(50質量部)と、を混合することにより、第3樹脂組成物(9)を準備した。
そして、前記変性PEに代えて、この第3樹脂組成物(9)を用いた点以外は、実施例18の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ112.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表5に示す。
【0212】
[実施例22]
前記変性PE(25質量部)と、前記mLLDPE(75質量部)と、を混合することにより、第3樹脂組成物(10)を準備した。
そして、前記変性PEに代えて、この第3樹脂組成物(10)を用いた点以外は、実施例18の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ112.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表5に示す。
【0213】
[実施例23]
樹脂の共押出し時の条件を変更した点以外は、実施例21の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ97.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ30μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表5に示す。
【0214】
[実施例24]
前記HDPEに代えて、前記mLLDPEを用いた点以外は、実施例21の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ112.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表5に示す。
【0215】
[実施例25]
前記HDPEに代えて、前記mLLDPEを用いた点と、樹脂の共押出し時の条件を変更した点以外は、実施例21の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ63.75μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ63.75μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表5に示す。
【0216】
[実施例26]
前記mLLDPEと、前記第3樹脂組成物(9)と、前記EVOH(4)と、前記第3樹脂組成物(9)と、前記mLLDPEと、前記HDPEとを、この順で共押出しすることにより、第1樹脂層(厚さ67.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-4樹脂層(厚さ45μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。この積層フィルムは、
図2に示す構成の積層フィルムにおいて、さらに第3-4樹脂層を設けた、前記変形例2-4の積層フィルムに相当する。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第3-4樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表6に示す。
【0217】
[実施例27]
前記変性PEに代えて、前記EVA部分ケン化物を用いた点以外は、実施例18の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ112.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表6に示す。
【0218】
[実施例28]
前記EVA部分ケン化物(50質量部)と、前記mLLDPE(50質量部)と、を混合することにより、第3樹脂組成物(11)を準備した。
そして、前記変性PEに代えて、この第3樹脂組成物(11)を用いた点以外は、実施例18の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ112.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表6に示す。
【0219】
[実施例29]
前記HDPEに代えて、前記mLLDPEを用いた点以外は、実施例27の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ112.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表6に示す。
【0220】
[実施例30]
第1樹脂層及び第3-2樹脂層を構成する樹脂として、メタロセン触媒直鎖状超低密度ポリエチレン(V-mLLDPE)(宇部丸善ポリエチレン社製「ユメリット(登録商標)0520F」、密度0.904g/cm3)を用意した。
前記mLLDPEに代えて、前記V-mLLDPEを用いた点以外は、実施例17の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ112.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ15μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表6に示す。
【0221】
[実施例31]
第1樹脂層を構成する樹脂として、前記mLLDPEに代えて、前記V-mLLDPEを用いた点以外は、実施例21の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ112.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表7に示す。
【0222】
[実施例32]
第1樹脂層及び第2樹脂層を構成する樹脂として、前記mLLDPEに代えて、前記V-mLLDPEを用いた点以外は、実施例25の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ63.75μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ63.75μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表7に示す。
【0223】
[実施例33]
前記EVOH(4)に代えて、前記EVOH(1)を用いた点以外は、実施例21の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ112.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表7に示す。
【0224】
[実施例34]
前記mLLDPE(50質量部)と、前記LDPE(50質量部)と、を混合することにより、第1樹脂組成物(1)を準備した。
そして、前記mLLDPEに代えて、この第1樹脂組成物(1)を用いた点以外は、実施例26の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ67.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-4樹脂層(厚さ45μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第3-4樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表7に示す。
【0225】
[実施例35]
前記第1樹脂組成物(1)と、前記mLLDPEと、前記第3樹脂組成物(9)と、前記EVOH(4)と、前記第3樹脂組成物(9)と、前記mLLDPEと、前記HDPEとを、この順で共押出しすることにより、第1樹脂層(厚さ30μm)と、第3-1樹脂層(厚さ37.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-4樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-5樹脂層(厚さ45μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。この積層フィルムは、
図2に示す構成の積層フィルムにおいて、さらに第3-4樹脂層及び第3-5樹脂層を設けた、前記変形例2-3と前記変形例2-4の構成を共に有する積層フィルムに相当する。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第3-4樹脂層と、第3-5樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表7に示す。
【0226】
[実施例36]
前記第1樹脂組成物(1)をさらに第2樹脂組成物(5)として用い、前記HDPEに代えて、この第2樹脂組成物(5)を用いた点と、樹脂の共押出し時の条件を変更した点以外は、実施例35の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ30μm)と、第3-1樹脂層(厚さ35μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-4樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-5樹脂層(厚さ32.5μm)と、第2樹脂層(厚さ30μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第3-4樹脂層と、第3-5樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表8に示す。
【0227】
[実施例37]
樹脂の共押出し時の条件を変更した点以外は、実施例36の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ15μm)と、第3-1樹脂層(厚さ50μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-4樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-5樹脂層(厚さ47.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第3-4樹脂層と、第3-5樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表8に示す。
【0228】
[実施例38]
第1樹脂層を構成する樹脂として、ホモポリプロピレン(hPP)(住友化学社製「住友ノーブレンFS2011DG2」、融点158℃)を用意した。
前記LDPE(75質量部)と、前記hPP(25質量部)と、を混合することにより、第1樹脂組成物(2)を準備した。
前記第1樹脂組成物(2)と、前記mLLDPEと、前記第3樹脂組成物(9)と、前記EVOH(4)と、前記第3樹脂組成物(9)と、前記HDPEとを、この順で共押出しすることにより、第1樹脂層(厚さ10.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ97.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-4樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ19.5μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第3-4樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表9に示す。
【0229】
[実施例39]
前記第1樹脂組成物(1)に代えて、前記第1樹脂組成物(2)を用いた点と、樹脂の共押出し時の条件を変更した点以外は、実施例35の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ10.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ52.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-4樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-5樹脂層(厚さ45μm)と、第2樹脂層(厚さ19.5μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第3-4樹脂層と、第3-5樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表9に示す。
【0230】
[実施例40]
第1樹脂層を構成する樹脂として、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)(三井・ダウポリケミカル社製「ニュクレルN0903HC」)と、プロピレン-エチレンランダム共重合体(rPP)(住友化学社製「住友ノーブレンS131」)を用意した。
前記EMAA(35質量部)と、前記rPP(65質量部)と、を混合することにより、第1樹脂組成物(3)を準備した。
前記第1樹脂組成物(2)に代えて、前記第1樹脂組成物(3)を用いた点以外は、実施例38の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ10.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ97.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-4樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ19.5μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第3-4樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表9に示す。
【0231】
[実施例41]
第2樹脂層を構成する樹脂として、前記HDPEに代えて、前記mLLDPEを用いた点以外は、実施例38の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ10.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ97.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-4樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ19.5μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第3-4樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表9に示す。
【0232】
[実施例42]
前記第1樹脂組成物(2)に代えて、前記第1樹脂組成物(3)を用いた点以外は、実施例41の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ10.5μm)と、第3-1樹脂層(厚さ97.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-3樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-4樹脂層(厚さ7.5μm)と、第2樹脂層(厚さ19.5μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第3-3樹脂層と、第3-4樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表9に示す。
【0233】
[比較例1]
前記第3樹脂組成物(3)に代えて、前記第3樹脂組成物(7)を用いた点以外は、実施例11の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ75μm)と、第3-1樹脂層(厚さ7.5μm)と、第3-2樹脂層(厚さ52.5μm)と、第2樹脂層(厚さ15μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。第1樹脂層と、第3-1樹脂層と、第3-2樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
そして、この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表10に示す。
【0234】
[比較例2]
<<積層フィルムの製造>>
シーラント層を構成する樹脂として、前記LDPEを用意した。
中間層を構成する樹脂として、前記mLLDPEを用意した。
外層を構成する樹脂として、前記HDPEを用意した。
【0235】
前記LDPEと、前記mLLDPEと、前記HDPEとを、この順で共押出しすることにより、シーラント層(厚さ30μm)と、中間層(厚さ90μm)と、外層(厚さ30μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ150μm)を得た。シーラント層と、中間層と、外層は、いずれも無延伸の層である。
【0236】
<<積層フィルムの評価>>
上記で得られた積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表10に示す。
なお、表10中では、便宜上、シーラント層、中間層及び外層を、それぞれ第1樹脂層、第3-3樹脂層及び第2樹脂層として示している。
【0237】
<<積層フィルムの製造及び評価>>
[比較例3]
前記HDPEを押出し成形することにより、HDPEで構成された無延伸の単層フィルム(厚さ150μm)を得た。
そして、この単層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表10に示す。
なお、表10中では、便宜上、この単層フィルムを第2樹脂層として示している。
【0238】
[比較例4]
前記mLLDPEを押出し成形することにより、mLLDPEで構成された無延伸の単層フィルム(厚さ150μm)を得た。
そして、この単層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表10に示す。
なお、表10中では、便宜上、この単層フィルムを第3-3樹脂層として示している。
【0239】
【0240】
【0241】
【0242】
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
【0247】
【0248】
【0249】
上記結果から明らかなように、実施例1~42においては、積層フィルムが第1樹脂層、第2樹脂層及び第3樹脂層(第3-1樹脂層、第3-2樹脂層及び第3-3樹脂層、第3-1樹脂層及び第3-2樹脂層、第3-1樹脂層、第3-2樹脂層、第3-3樹脂層及び第3-4樹脂層、又は第3-1樹脂層、第3-2樹脂層、第3-3樹脂層、第3-4樹脂層及び第3-5樹脂層)を備え、第1樹脂層、第2樹脂層及び第3樹脂層が、PE又はエチレン系共重合体(すなわち、ポリエチレン系樹脂)を含んでおり、主たる含有成分が同種のポリオレフィン系樹脂であって、再利用適性が高かった。さらに、実施例1~42においては、積層フィルムの酸素透過量が、45cc/(m2・24h・atm)以下(0.6~45cc/(m2・24h・atm))であり、積層フィルムの酸素バリア性が高かった。
【0250】
実施例2、9及び10の比較、並びに、実施例11~13の比較から、EVOHにおける、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が小さい(換言すると、EVOHにおける、構成単位の全量(モル)に対する、ビニルアルコールから誘導されたと見做せる構成単位の量(モル)の割合が大きい)方が、積層フィルムの酸素バリア性が向上する傾向にあることを確認できた。
また、実施例13~15の比較から、第3樹脂層(第3-1樹脂層)におけるEVOHの含有量の割合が大きい方が、積層フィルムの酸素バリア性が向上する傾向にあることを確認できた。
【0251】
実施例1~42においては、積層フィルムの成形性が良好であった。実施例1~42においては、積層フィルムのEF’(110)が2.6×107Pa以下(1×106~2.6×107Pa)であった。なかでも、実施例2~22、24~37、41、42においては、積層フィルムの成形性が特に優れており、これら実施例においては、積層フィルムのEF’(110)が1.5×107Pa以下(1×106~1.5×107Pa)であった。実施例38~40においても、積層フィルムの成形性が特に優れており、これら実施例においては、積層フィルムのEF’(110)が1.7×107Paであった。
実施例2、4~6の比較から、第2樹脂層における、第2樹脂層の総質量(質量部)に対する、HDPEの含有量(質量部)の割合が小さい方が、より具体的には、[HDPEの含有量(質量部)]:[mLLDPEの含有量(質量部)]の比率における、HDPEの含有量の比率が小さい(換言すると、mLLDPEの含有量の比率が大きい)方が、積層フィルムの成形性が向上する傾向にあることを確認できた。
一方、実施例1~3の比較から、積層フィルム全体の厚さに対する、第2樹脂層の厚さの割合が、小さい方が、積層フィルムの成形性が向上する傾向にあることを確認できた。
【0252】
実施例1~10と、実施例11~28の比較から、第1樹脂層の主たる含有成分が、LDPEである場合よりも、mLLDPEである場合の方が、積層フィルムのシール強度が向上する傾向にあることを確認できた。
実施例13と実施例17の比較から、積層フィルム全体の厚さに対する、第1樹脂層の厚さの割合が、大きい方が、積層フィルムのシール強度が向上する傾向にあることを確認できた。
【0253】
実施例26と実施例34の比較から、第1樹脂層の主たる含有成分が、mLLDPEではなく、mLLDPE及びLDPEである場合でも、mLLDPEの含有量が一定量以上であることで、第1樹脂層の主たる含有成分がmLLDPEである場合と同程度の、積層フィルムのシール強度が得られることを確認できた。
実施例34と、実施例35~37の比較から、第1樹脂層の主たる含有成分がmLLDPE及びLDPEである場合、第1樹脂層の厚さが薄くなっても、第3-1樹脂層の主たる含有成分がmLLDPEであることで、第1樹脂層の厚さが厚い場合と同程度の、積層フィルムのシール強度が得られることを確認できた。そして、実施例35~36と、実施例37の比較から、第1樹脂層の厚さがさらに薄くなっても、第3-1樹脂層の厚さが厚くなることによって、積層フィルムの同等のシール強度が得られることを確認できた。
【0254】
実施例38~42においては、積層フィルムのシール強度が、4.5N/15mm以下(2.5~4.5N/15mm)であって、実施例1~37における積層フィルムのシール強度(14~46N/15mm)よりも小さかった。実施例1~37における第1樹脂層は、非イージーピール型シーラント層として好適であるのに対し、実施例38~42における第1樹脂層は、非相溶性の2種のポリオレフィンを含んでおり、イージーピール型シーラント層(イージーピール層)として好適であった。
【0255】
実施例18と実施例19の比較から、積層フィルム全体の厚さに対する、第3-1樹脂層と第3-3樹脂層のそれぞれの厚さの割合が小さくなる、すなわち、積層フィルム中の変性PEの含有量が少なくなり、ポリエチレンの含有量が増えても、積層フィルムの特性全般は良好なままとなることを確認できた。
実施例18と、実施例20~22と、の比較から、第3-1樹脂層と第3-3樹脂層において、変性PEの含有量が少なくなり、ポリエチレンの含有量が増えても、積層フィルムの特性全般は良好なままとなることを確認できた。
【0256】
実施例21と実施例23の比較から、第2樹脂層の構成材料がHDPEである場合、積層フィルム全体の厚さに対する、第1樹脂層の厚さの割合が小さくなり、第2樹脂層の厚さの割合が大きくなることで、積層フィルムのヘーズが大きくなることを確認できた。また、第2樹脂層の厚さの割合が同じである実施例23と実施例1を比較すると、第3樹脂層(特に第3-2樹脂層)の構成材料の違いに基づいて、実施例23の方が実施例1よりも、積層フィルムのヘーズが依然小さくなることを確認できた。
実施例21と実施例24の比較から、第2樹脂層の構成材料がHDPEからmLLDPEに代わることで、積層フィルムのヘーズが小さくなることを確認できた。
実施例35と実施例36の比較からも、第2樹脂層の構成材料がHDPEからmLLDPE又はLDPEに代わることで、積層フィルムのヘーズが小さくなる傾向にあることを確認できた。
実施例24と実施例25の比較から、積層フィルム全体の厚さに対する、第1層と第2層のそれぞれの厚さの割合が変化しても、積層フィルムの特性全般に変化がほぼないことを確認できた。
【0257】
実施例21と実施例26の比較から、第3-4樹脂層を備えた積層フィルムは、第3-4樹脂層を備えていない積層フィルムと同様の、良好な特性を示すことを確認できた。
【0258】
実施例13~17等の場合のような、EVA部分ケン化物の組成物を含む第3-1樹脂層ではなく、実施例27の場合のような、EVA部分ケン化物を単独で含む第3-1樹脂層を備えていることで、積層フィルムの酸素バリア性が向上していた。
実施例27と実施例28の比較から、第3-1樹脂層及び第3-3樹脂層において、EVA部分ケン化物の一部をmLLDPEに置き換えても、積層フィルムの酸素バリア性をはじめとする各種物性に、変化がほぼないことを確認できた。
【0259】
実施例17、21、25又は27と、実施例29~32の比較から、いずれかの層の構成材料として、mLLDPE又はHDPEに代えて、前記V-mLLDPEを用いた場合であっても、積層フィルムの特性が良好なまま維持されることを確認できた。
【0260】
実施例21と実施例33の比較から、第3-2樹脂層の構成材料がEVOHである場合には、EVOHにおけるエチレンの共重合比率が低い方(換言すると、ビニルアルコールの共重合比率が高い方)が、積層フィルムの酸素バリア性が高くなることを確認できた。また、第3-2樹脂層の構成材料のEVOHにおけるエチレンの共重合比率(換言すると、ビニルアルコールの共重合比率)が変化しても、積層フィルムの酸素バリア性以外の各種物性には、変化がほぼないことを確認できた。
【0261】
実施例35と実施例36の比較から、第2樹脂層の構成材料がHDPEである場合よりも、LDPE又はmLLDPEである場合の方が、積層フィルムのEF’(110)が小さくなることを確認できた。
【0262】
これに対して、比較例1~4においては、積層フィルム又は単層フィルムの酸素透過量が多く、積層フィルム又は単層フィルムの酸素バリア性が低かった。
比較例1においては、積層フィルム中の第3樹脂層(第3-1樹脂層)において、EVOHの含有量の割合が小さかった。なお、比較例1の積層フィルムは、実施例16の積層フィルムとは、第3-1樹脂層の厚さが薄い(第3-2樹脂層の厚さが厚い)点のみで相違しており、この厚さの相違によって、酸素バリア性も相違していることを確認できた。
比較例2~4においては、積層フィルム又は単層フィルムが、酸素バリア層に相当する層を備えていなかった。