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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160141
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】ホース引上げ装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/304 20060101AFI20231026BHJP
   B08B 9/04 20060101ALI20231026BHJP
   B08B 9/032 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
E03C1/304
B08B9/04
B08B9/032 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070275
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】393023536
【氏名又は名称】フジクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 英
(72)【発明者】
【氏名】大津 芳永
(72)【発明者】
【氏名】八木下 徹哉
【テーマコード(参考)】
2D061
3B116
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AE03
3B116AA13
3B116AB53
3B116BB21
3B116BB90
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型にして引上げ動作の信頼性が確保できると共に、現場への搬送および設置を容易にすることで、排水管の洗浄作業の効率が向上できるホース引上げ装置を提供する。
【解決手段】洗浄水を送るホースHの長手方向の両外側に、ホースを挟むようにして配列された複数のタイミングプーリー3と、複数のホース押さえローラー4とを有し、各タイミングプーリーが、原動機7からの回転駆動力を受けて同時に回転駆動される。各ホース押さえローラーが、各タイミングプーリーに向かって前進および後退可能に配置され、各ホース押さえローラーの前進動作により、ホースを各タイミングプーリーに向かって圧接させて、各タイミングプーリーの回転駆動力により、ホースをホースの長手方向に移送させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅等に敷設された排水管の洗浄に用いられるホース引上げ装置であって、
洗浄水を送るホースの長手方向の両外側に、前記ホースを挟むようにして配列された複数のタイミングプーリーと、複数のホース押さえローラーとを有し、
前記各タイミングプーリーが、原動機からの回転駆動力を受けて同時に回転駆動されると共に、前記各ホース押さえローラーが、前記各タイミングプーリーに向かって前進および後退可能に配置され、
前記各ホース押さえローラーの前進動作により、前記ホースを前記各タイミングプーリーに向かって圧接させて、前記各タイミングプーリーの回転駆動力により、前記ホースをホースの長手方向に移送させることを特徴とするホース引上げ装置。
【請求項2】
前記各タイミングプーリーに接して帯状のタイミングベルトが掛けられ、前記原動機からの回転駆動力を受ける少なくとも一つのタイミングプーリーの回転運動を、前記タイミングベルトによって他のタイミングプーリーに伝達するように構成され、
前記ホースは、各ホース押さえローラーの前進状態において、前記帯状のタイミングベルトを介して各タイミングプーリーに圧接されることを特徴とする請求項1に記載のホース引上げ装置。
【請求項3】
前記各ホース押さえローラーは、ローラーホルダーに立設された支軸に回転可能に取り付けられ、ハンドル操作によって前記ローラーホルダーを前進または後退位置に設定するトグルクランプによって、前記ホースを前記タイミングプーリーに向かって、圧接および非圧接状態に設定することを特徴とする請求項1に記載のホース引上げ装置。
【請求項4】
前記ホースを中央にして、両外側に対向する各タイミングプーリーまたは各ホース押さえローラーの少なくとも一部には、前記ホースの外周面が入り込む凹み部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のホース引上げ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の複数台のホース引上げ装置が、前記ホースの移送方向が直線状となるように隣接した状態でフレームに取り付けられ、各ホース引上げ装置に配置された前記原動機を同時に駆動させることで、前記複数台のホース引上げ装置により、1本のホースを長手方向に移送させることを特徴とするホース引上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は集合住宅等に敷設された排水管内を洗浄する際に、好適に用いることができるホース引上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土地の有効活用等の観点から、都市部やその近郊において高層ビル形式の集合住宅が多数建設されている。このビル形式の集合住宅から排出される生活排水(汚水)は、個別の宅内に敷設された専用排水管から、ビル内部に設けられた共用排水管(縦管とも言う。)を介して、屋外の排水管(横引き管)に排出され、これにより良好な生活環境が維持されるようになされている。
【0003】
ところで、この生活排水(汚水)には多量の残渣、油脂等が含まれているために、この残渣、油脂等が共用排水管の管壁に固形物となって付着し、相当の期間の経過により排水管を閉塞させることもある。また、この固形物から悪臭が放され、生活環境を悪化させることがある。このような生活環境の悪化を防止し、良好な生活環境を維持するために、一定期間ごとに共用排水管の清掃が必要となる。
【0004】
従来より、このように排水管内に付着した固形物を洗浄して除去する一つの方法として、高圧水噴射洗浄法が採用されている。この高圧水噴射洗浄法は、洗浄水を送るホースの先端に取り付けられたノズルから排水管内に付着した固形物に向けて、高圧洗浄水を噴射し、前記固形物を除去するものである。
【0005】
これには、ビルの屋上に設けられた共用排水管の上端開口から、前記したノズルを先端部に取り付けたホースを挿入して、共用排水管の洗浄が行われる。
この場合、ビル屋上の共用排水管の上端開口より前記ノズルを挿入し、高圧水を噴射させない状態でホースを繰り出して、先端のノズルを最下層の前記した横引き管に至るまで降ろす。この状態で高圧水をノズルより噴射させつつ、ホースを定速度で引き上げることで、共用排水管内を洗浄することができる。
【0006】
前記した排水管の洗浄工法によれば、ホースの引き上げに多大な労力が必要となり、特に超高層化された集合住宅での作業は、ホースの長さが増大して重量も嵩むことになり、その洗浄作業はかなりの重労働となる。
そこで本出願人は、モーター等の原動機によって定速回転されるドラムを備え、このドラムにホースを1~2周程度巻回させることによるドラムとホースとの間の摩擦力によって、ホースを容易に引き上げることができるホース引上げ装置について過去に提案をしており、これは特許文献1に開示されている。
【0007】
図8は、特許文献1に開示されたホース引上げ装置の例を示しており、このホース引上げ装置をビル屋上に搬送し、ビルに敷設された共用排水管Pの上端開口部から高圧水の噴射ノズルを先端に取り付けたホースHを、ホース引上げ装置によって巻き上げる状態を示している。
このホース引上げ装置は、アングル材などの鋼材を、立体形状に組み上げて基台(フレーム)51を形成し、この基台51の中央上部にドラム52を搭載し、このドラム52を定速で正転および逆転駆動するモーター53が備えられる。
そして、ドラム52の前方および後方には、それぞれ周面が凹曲面にされた第1ローラー54および第2ローラー55が前記基台51に取り付けられており、前後の第1および第2ローラー54,55によって、ホースHの位置をガイドすることで、ドラム52の適正な位置にホースHが接触するように構成されている。
【0008】
このホース引上げ装置によると、ドラム52にホースHを1~2周程度巻回させることによる摩擦力によって、ホースHを排水管Pから容易に引き上げること、もしくはホースHを排水管Pに向かって繰り出すことができるので、洗浄作業者に多大な労力をかけることなく、ホース先端部のノズル本体を所定の速度で縦管内を移動させることができる。
したがって、ノズル本体に、高圧水の噴射による反作用によりノズル位置が回転する回転噴射ノズルを用いることで、回転噴射される高圧水によって、前記排水管(縦管)P内を効率良く満遍なく洗浄することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3694243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、昨今における集合住宅においては、その屋上階に各種の設備等が設置されている場合が多く、これらの設備等に各種配管が接続されると共に、電力線や通信線等も屋上階の床面に沿って配される。これにより、特許文献1に開示されたような比較的大型のホース引上げ装置を、屋上階の所定の場所に運び入れるのが困難となる場合がある。
【0011】
また、超高層の集合住宅においては、縦管の途中に掃除口が設けられている場合があり、この掃除口を利用してノズルを挿入し、縦管を長さ方向で別けて、個別に洗浄する作業を選択する場合もある。
縦管の途中に設けられる前記した掃除口は、建物の廊下に面した部分のみならず、個別の宅内における台所付近に配置される場合もある。この場合には、前記した特許文献1に開示されたように基台(フレーム)51にドラム52を搭載した大型のホース引上げ装置を集合住宅の宅内まで運び入れることは困難である。
【0012】
この発明は、前記した実情に鑑みてなされたものであり、小型にしてホースの引上げ動作の信頼性が確保できると共に、現場への搬送および設置を容易にすることで、排水管の洗浄作業の効率を向上させることができるホース引上げ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記した課題を解決するためになされたこの発明にかかるホース引上げ装置は、集合住宅等に敷設された排水管の洗浄に用いられるホース引上げ装置であって、洗浄水を送るホースの長手方向の両外側に、前記ホースを挟むようにして配列された複数のタイミングプーリーと、複数のホース押さえローラーとを有し、前記各タイミングプーリーが、原動機からの回転駆動力を受けて同時に回転駆動されると共に、前記各ホース押さえローラーが、前記各タイミングプーリーに向かって前進および後退可能に配置され、前記各ホース押さえローラーの前進動作により、前記ホースを前記各タイミングプーリーに向かって圧接させて、前記各タイミングプーリーの回転駆動力により、前記ホースをホースの長手方向に移送させることを特徴とする。
【0014】
この場合、前記各タイミングプーリーに接して帯状のタイミングベルトが掛けられ、前記原動機からの回転駆動力を受ける少なくとも一つのタイミングプーリーの回転運動を、前記タイミングベルトによって他のタイミングプーリーに伝達するように構成され、前記ホースは、各ホース押さえローラーの前進状態において、前記帯状のタイミングベルトを介して各タイミングプーリーに圧接されるように構成されていることが望ましい。
【0015】
そして、好ましい実施の形態においては、前記各ホース押さえローラーは、ローラーホルダーに立設された支軸に回転可能に取り付けられ、ハンドル操作によって前記ローラーホルダーを前進もまたは後退位置に設定するトグルクランプによって、前記ホースを前記タイミングプーリーに向かって、圧接および非圧接状態に設定するように構成される。
【0016】
加えて、前記ホースを中央にして、両外側に対向する各タイミングプーリーまたは各ホース押さえローラーの少なくとも一部には、前記ホースの外周面が入り込む凹み部が形成されていることが望ましい。
【0017】
また、好ましい一つの例においては、前記した複数台のホース引上げ装置を、前記ホースの移送方向が直線状となるように隣接した状態でフレームに取り付けられる。そして、各ホース引上げ装置に配置された前記原動機を同時に駆動させることで、前記複数台のホース引上げ装置により、1本のホースを長手方向に移送させる構成も好適に利用することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係るホース引上げ装置によれば、ホースの長手方向の両外側に複数のタイミングプーリーと、複数のホース押さえローラーとが配置されて、各ホース押さえローラーが、各タイミングプーリーに向かって前進することで、前記ホースを前記タイミングプーリーに向かって圧接させることができる。各タイミングプーリーは原動機からの回転駆動力を受けて同時に回転駆動されるので、複数のタイミングプーリーの回転駆動力により、前記ホースをホースの長手方向に向かって効果的に移送させることができる。
これにより、排水管内に挿入された洗浄水を送るホースを、排水管内から効果的に引き上げることができる。
【0019】
この場合、各タイミングプーリーに接して帯状のタイミングベルトを掛けることで、原動機からの回転駆動力を各タイミングベルトに伝達することができる。そして、前記ホースを帯状のタイミングベルトを介して各タイミングプーリーに圧接させるように構成することで、前記ホースに対する滑りの度合いを少なくすることができ、効果的にホースに対して引上げ力を与えることが可能となる。
したがって、小型にしてホースの引上げ動作の信頼性が確保でき、現場への搬送および設置も容易であり、これにより、排水管の洗浄作業の効率を向上させることが可能なホース引上げ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明に係るホース引上げ装置の全体構成を示した平面図である。
図2】同じくホースが未装着状態の平面図である。
図3】この発明に係るホース引上げ装置の全体構成を示した正面図である。
図4】同じく左側面図である。
図5】ホース引上げ装置を排水管の途中に形成した掃除口に装着する例を示した側面図である。
図6】ホース引上げ装置を建物の屋上に設置する例を示した正面図である。
図7】同じく側面図である。
図8】従来のホース引上げ装置の例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明に係るホース引上げ装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
図1および図2は、ホース引上げ装置1の全体構成を示した平面図であり、このうち図2は洗浄水を送るホースHが未装着の状態で示している。また図3および図4はホース引上げ装置1の全体構成を示した正面図および左側面図である。
このホース引上げ装置1は、図1に示されているように、直方体状に形成されたケース2のトップパネル2a上に、ホースHを両外側から挟むようにして配列された複数のタイミングプーリー3と、複数のホース押さえローラー4とが備えられる。
これにより、タイミングプーリー3と、ホース押さえローラー4で挟まれたトップパネル2aの中央部に、ホースHの移送路5が直線状に形成されている。
【0022】
前記タイミングプーリー3は、この実施の形態においては大小5つ備えられており、径の大きな3つのタイミングプーリー3Lと、径の小さな2つのタイミングプーリー3Sより構成される。
そして、径の大きな3つのタイミングプーリー3Lが等間隔をおいて直線状に配列され、また径の小さな2つのタイミングプーリー3Sは、大径の各プーリー3Lの間において、前記したホース移送路5に面して配置されている。これにより、大小の各タイミングプーリー3L,3Sのプーリー面が、ホース移送路5側において、直線状となるようにそれぞれプーリー支軸6に取り付けられている。
【0023】
なお、図1および図2において向かって右側に配置された径の大きなタイミングプーリー3Lは、ケース2内に収容された原動機としてのモーター(減速ギヤーを備えた直流ギヤードモーター)7の駆動軸(前記したプーリー支軸6の一つ)に直結されている。
そして、大径の各プーリー3Lには、図4に示したように軸方向の上下に環状の鍔部3aがそれぞれ形成されており、上下の鍔部3aの間のプーリー面に接して、帯状のタイミングベルト8が掛けられている。
【0024】
また、前記モーター7によって回転駆動を受ける図1および図2の右側に配置されたタイミングプーリー3L以外の大小4つのタイミングプーリー3L,3Sは、前記タイミングベルト8によって転動するように、各プーリー支軸6に回転可能に取り付けられている。これにより、5つの大小のタイミングプーリー3は、モーター7からの回転駆動力を受けて同時に回転駆動される。
なお、前記した大径の各プーリー3Lの軸方向の上下に形成された鍔部3aは、転動するタイミングベルト8が、各タイミングプーリー3から外れるのを防止するように機能するものとなる。
また、図4に示すように5つの大小のタイミングプーリー3のプーリー面には、前記ホースHの外周面が入り込むことでホースガイドとして機能する凹み部3bが周に沿って形成されている。
【0025】
一方、前記した各ホース押さえローラー4は、長手方向に直交する断面がコ字状を形成するチャンネル材を用いたローラーホルダー9に取り付けられている。この実施の形態においては外径の等しい5つのホース押さえローラー4が用いられており、これらのローラー4は、ローラーホルダー9の長手方向に沿って等間隔に取り付けられたローラー支軸11によって回転可能に支持されている。
これにより、各ホース押さえローラー4の各ローラー面は、前記したホース移送路5に面して、直線状となるように配列されている。
【0026】
そして、5つのホース押さえローラー4と前記した大小5つのタイミングプーリー3の配列ピッチは同一になされており、したがってそれぞれのホース押さえローラー4は、前記した大小5つのタイミングプーリー3に対して、前記ホース移送路5を中央にしてそれぞれ対峙した状態に配置されている。
また、図4に示すように5つのホース押さえローラー4のローラー面には、前記ホースHの外周面が入り込むことでホースガイドとして機能する凹み部4aが周に沿って形成されている。
【0027】
さらに、前記ローラーホルダー9は、図1および図2に示すようにホルダー支持アーム12によって、タイミングプーリー3側に向かって、前進または後退できるように支持されている。
すなわち、前記ホルダー支持アーム12の基端部は、図4に示すようにケース2のトップパネル2aに樹立されたアーム支持ピン13に取り付けられて、トップパネル2aの面方向に沿って回動可能に軸支されている。また、ホルダー支持アーム12の自由端側には軸支ピン14が取り付けられ、ローラーホルダー9の背面側を、軸支ピン14によって回動可能に軸支している。
これにより、前記した5つのホース押さえローラー4を備えたローラーホルダー9は、タイミングプーリー3側に向かって、前進(図1の状態)または後退(図2の状態)できるように構成されている.
【0028】
加えて、前記ケース2の側面にはL字状に折り曲げ形成されたクランプ搭載プレート2Aが取り付けられており、このクランプ搭載プレート2Aの上面にはトグルクランプ15が取り付けられている。このトグルクランプ15はその後部に配置されたハンドル15aを起立させること(図4に示す状態)によって、トグルクランプ15の前部に配置された作動子15bを前進させると共に、ハンドル15aを倒すこと(図2に示す状態)によって作動子15bを後退させるように動作する。
【0029】
そして、トグルクランプ15は、ハンドル15aを起立させて前記作動子15bが前進した状態で、作動子15bの先端部が、前記したホルダー支持アーム12の自由端側に当接する(図1に示す状態)ように配置されている。これにより、ローラーホルダー9に取り付けられた各ホース押さえローラー4は、タイミングプーリー3側に向かって前進する。したがって、前記したホース移送路5に位置するホースHは、タイミングベルト8を介してタイミングプーリー3に向かって圧接されることになる。
そして、モーター7の回転駆動力を受ける各タイミングプーリー3およびタイミングベルト8の転動動作によって、前記ホースHをホースの長手方向に移送させることができる。
【0030】
一方、トグルクランプ15のハンドル15aを倒した場合には、図2に示すようにトグルクランプ15の作動子15bは後端し、ローラーホルダー9に取り付けられた各ホース押さえローラー4の位置はフリー状態となって後退する。したがって、前記ホースHは非圧接状態となり、この状態でホース引上げ装置1からのホースHの取り外し、またはホース移送路5へのホースHの装着操作を行うことができる。
【0031】
図1および図2に示す状態の前記したホース移送路5の両端部には、ホースHを下側から受ける第1ガイドローラー16および第2ガイドローラー17が配置されている。この第1と第2のガイドローラー16,17は、ホース引上げ装置1に装着されるホースHを下側から支えてホースHの位置決めを果たすように作用する。
また、第1ガイドローラー16の上部には図3に示すように、ホースHを上側から押さえる押さえガイドローラー18が、その支軸が19が上下に移動可能となるようにして、ガイドローラー支持体20に取り付けられている。
なお、前記第1ガイドローラー16および押さえガイドローラー18を備えた図3に示すケース2の左側に、洗浄しようとする共用排水管Pが位置することになる。すなわち、図3に示すケース2の左側が、共用排水管Pに向けてのホースHの繰り出し側、および共用排水管PからのホースHの引き上げ側となる。
【0032】
ケース2内には前記したモーター7に隣接して、モーター7の駆動制御等を行うコントローラ21(図3図4参照)が収容されており、図3に示すケース2の右側には、モーター7およびコントローラ21の電源スイッチ(防水型オン/オフスイッチ)22が配置されている。そして、ケース2の底面を構成するベース材2bの四隅には、つまみにボルトを埋め込んだ締結ノブ23が捩じ込みにより取り付けられている。
この締結ノブ23は、ホース引上げ装置1を、後述する装置取付けフレーム31,41などに締結する際に利用される。
【0033】
図1図4に示したホース引上げ装置1によると、図2に示すようにトグルクランプ15のハンドル15aを倒し、ローラーホルダー9に取り付けられた各ホース押さえローラー4が後退した状態において、ホース移送路5にホースHを位置させることができる。
この時、ホースHは第1ガイドローラー16と第2ガイドローラー17の上に載せられて、上下方向の位置決めがなされる。続いてトグルクランプ15のハンドル15aを起立させることで、ローラーホルダー9に取り付けられた各ホース押さえローラー4は、タイミングプーリー3に向かって前進し、ホースHはタイミングベルト8を介して、各タイミングプーリー3に圧接される。
【0034】
この状態で、電源スイッチ22をオン操作にすることで、前記コントローラ21の制御に基づいて、モーター7が駆動され、ホースHはホースの長手方向に移送されることになる。前記コントローラ21には、洗浄作業員が操作する図示せぬフットスイッチなどからの制御信号が与えられ、前記モーター7ヘの駆動電流のオン・オフおよびモーター7の正転・逆転操作およびモーター7の回転速度調整などを行うことができる。
【0035】
図5は、共用排水管Pの途中に形成した掃除口Pcに対して、ホース引上げ装置1を装置取付けフレーム31を用いて装着する例を示している。
なお、この例に示す共用排水管Pには、鉛直方向に敷設された排水管Pの途中に、鉛直方向に対して45度の角度をもって掃除口Pc形成されている。
前記フレーム31は、アングル材を用いて、排水管Pの側面に締結される締結部材32と、この締結部材32に対して直交するように、例えば溶接により取り付けられた水平アーム部材33と、水平アーム部材33にボルト・ナットにより結合された立脚部材34と、立脚部材34の上端部にボルト・ナットにより結合された装置搭載部材35より構成されている。
なお、フレーム31を形成する前記した各部材は、図示せぬステーを介して図5に示す前後の方向にそれぞれ備えられて立体構造を構成している。
【0036】
そして、前記締結部材32は、共用排水管Pに周回させた締結バンド37によって、排水管Pの長手方向に沿って鉛直方向に締結され、フレーム31の装置搭載部材35には、ホース引上げ装置1が搭載されて、前記した締結ノブ23によって、固定されている。
前記した装置取付けフレーム31を用いることで、ホース引上げ装置1を排水管Pの任意の位置に安定した状態で取り付けることができ、排水管P内の洗浄を、安全かつ円滑に行うことができる。
なお、前記した装置取付けフレーム31は、図示していないが、鉛直方向に敷設された排水管Pの途中に、鉛直方向に対して90度の角度をもって掃除口Pcが施された排水管P内の洗浄作業にも同様に利用することができる。
【0037】
次に図6および図7は、ホース引上げ装置1を建物の屋上に設置する例を示しており、この例においては、2台のホース引上げ装置1がホースHの移送方向が直線状となるように隣接した状態で、装置取付けフレーム41に締結されている。
この例に示すフレーム41は、アングル材を用いて成形されており、図7に示されているように、水平方向に配置される前後一対のベース部材42と、このベース部材42の端部に直交するように溶接により取り付けられて、鉛直方向に立設される前後一対の装置取付け部材43より構成される。そして、フレーム41を形成する前記した前後一対の各部材は、図示せぬステーを介して連結され、全体がL字状に形成されている。
【0038】
そして、2台のホース引上げ装置1のケース底部のベース材2aが、装置取付け部材43に対して例えばボルト締めにより上下に隣接した状態で締結され、これにより、前記したとおり2台のホース引上げ装置1がホースHの移送方向が直線状となるように、フレーム41に取り付けられる。
また、2台のホース引上げ装置1を装着した装置取付けフレーム41は、脚立状の足場台45の台座46上に、井桁状に形成されたベース部材42を下にして搭載され、ベース部材42の隅角部が、締結ノブ23によって台座46上に締結されている。これにより、2台のホース引上げ装置1は、L字状に形成されたフレーム41によって、足場台45の台座46上に安定した状態で取り付けられる。
【0039】
なお、この例に示す足場台45の4本の脚部には、一部の図示を省略しているが、セルフブレーキの機能を備えたキャスター47が取り付けられている。
したがって、キャスター47を利用して、屋上に設けられた共用排水管Pの上端開口付近に足場台45を搬送し、キャスター47のセルフブレーキにより足場台45の位置を固定させて配置することができる。
また、足場台45の4本の脚部は、伸縮して台座46の高さが調整できる構成を採用することが望ましい。これにより、現場の状況に応じて台座46に搭載されるホース引上げ装置1の好ましい鉛直方向の位置を設定することができ、排水管Pの洗浄作業の効率を向上させることに寄与できる。
【0040】
図6および図7に示した例においては、上下に配置された2台のホース引上げ装置1の各コントローラ21に対して、前記したフットスイッチなどからの同一の制御信号を与えることができる。これにより、それぞれのホース引上げ装置1に配置されたモーター7を同期させた状態で駆動させることが可能となる。
【0041】
図6および図7に示すように建物の屋上から共用排水管P内に、ホースHを投入する場合においては、ホースHの投入長さが増大してホースHを含む全体重量が嵩む例が多く、必然的にホース引上げ装置1に加わる負荷は大きくなる。さらに昨今においては、共用排水管Pが屋上付近でクランク状に屈曲した状態で敷設された例が増えており、この場合にはさらにホース引上げ装置1に加わる負荷が増大する。
したがって、建物の屋上から共用排水管Pを洗浄する場合においては、図6および図7に示すように、それぞれが小型軽量に形成された2台以上の複数台のホース引上げ装置1を積み上げて運転させることが望ましく、これにより、円滑なホースHの引き上げ動作を実現させることができる。
【0042】
なお、以上説明したホース引上げ装置1の実施の形態においては、5つのタイミングプーリー3に対して、5つのホース押さえローラー4が、それぞれ対峙して配置された例を示しているが、これらの数は必要に応じて適宜選定することができる。
また、実施の形態においては、ホースHは帯状のタイミングベルト8を介して、各タイミングプーリー3に圧接される構成を採用しているが、ホースHは各タイミングプーリー3に直接圧接されると共に、各タイミングプーリー3はタイミングベルト8によって回転駆動力を受ける構成としても、同様の作用効果を期待することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ホース引上げ装置
2 ケース
2a トップパネル
3 タイミングプーリー
3L 大径プーリー
3S 小径プーリー
3a 鍔部
3b 凹み部(ホースガイド)
4 ホース押さえローラー
4a 凹み部(ホースガイド)
5 ホース移送路
7 モーター(原動機)
8 タイミングベルト
9 ローラーホルダー
12 ホルダー支持アーム
15 トグルクランプ
15a ハンドル
15b 作動子
21 コントローラ
22 電源スイッチ
23 締結ノブ
31 フレーム
41 フレーム
H ホース
P 共用排水管
Pc 掃除口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8