(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160144
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】重機運搬用車両の荷台の床板及び重機運搬用車両の荷台に重機を積み込む方法
(51)【国際特許分類】
B27D 1/04 20060101AFI20231026BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20231026BHJP
B60P 1/04 20060101ALI20231026BHJP
B62D 33/02 20060101ALI20231026BHJP
B27J 1/00 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B27D1/04 E
B60P3/00 K
B60P1/04 A
B62D33/02 B
B27J1/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070285
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】596092551
【氏名又は名称】信和自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 敦
【テーマコード(参考)】
2B200
【Fターム(参考)】
2B200AA01
2B200BA09
2B200BB11
2B200DA11
(57)【要約】
【課題】重機の履帯又は車輪が滑りにくい重機運搬用車両の荷台の床板を提供する。
【解決手段】竹製集成材からなる重機運搬用車両1の荷台3の竹床板15は、複数層が積層されてなる第1ラミナ20を有し、第1ラミナ20の各層は、竹製集成材である複数の帯板30,32を、竹の繊維方向である長手方向を揃えた状態で並列に接合されて構成され、第1ラミナ20の最表層である表層ラミナ21は、帯板30の長手方向が重機運搬用車両1の車幅方向となるように配置され、第1ラミナ20の最表層以外の少なくとも1つの層である裏層ラミナ22は、帯板32の長手方向が重機運搬用車両1の車長方向となるように配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹製集成材からなる重機運搬用車両の荷台の床板であって、
前記床板は、複数層が積層されてなる第1ラミナを有し、
前記第1ラミナの各層は、竹製集成材である複数の帯板を、竹の繊維方向である長手方向を揃えた状態で並列に接合されて構成され、
前記第1ラミナの最表層は、前記帯板の長手方向が前記重機運搬用車両の車幅方向となるように配置され、
前記第1ラミナの最表層以外の少なくとも1つの層は、前記帯板の長手方向が前記重機運搬用車両の車長方向となるように配置される、
床板。
【請求項2】
前記床板は、第2ラミナを更に有し、
前記第2ラミナの前記重機運搬用車両の車幅方向の端面に沿って前記第1ラミナが取り付けられている
請求項1に記載の床板。
【請求項3】
重機運搬用車両の荷台に重機を積み込む方法であって、
前記荷台に、請求項1または2に記載の床板を設置する工程と、
前記荷台の後端部が下方に移動するように前記荷台を傾ける工程と、
前記床板の上を前記重機の履帯又は車輪が移動するように前記重機を前記荷台に積み込む工程と、
前記荷台の傾きを元に戻す工程と、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重機運搬用車両の荷台の床板及び重機運搬用車両の荷台に重機を積み込む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されるように、複数の積層された竹製集成材のラミナによって構成される貨物自動車の荷台用の床板が知られている。各ラミナは、複数の竹製の帯板をその長手方向を揃えた状態で並列に接合して構成されており、帯板の長手方向は竹の繊維方向に一致し、この方向が貨物自動車の車長方向となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
重機運搬用車両の荷台の床板として特許文献1に開示される床板を採用した場合、荷台を後方が下がるように傾けた状態で、重機を後方から前進させながら積み込むことになる。その際、重機の移動方向と、床板表面の竹の繊維方向が一致するため、重機の履帯又は車輪が床板表面で滑りやすくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、重機の履帯又は車輪が滑りにくい重機運搬用車両の荷台の床板及び重機運搬用車両の荷台に重機を積み込む方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、竹製集成材からなる重機運搬用車両の荷台の床板であって、前記床板は、複数層が積層されてなる第1ラミナを有し、前記第1ラミナの各層は、竹製集成材である複数の帯板を、竹の繊維方向である長手方向を揃えた状態で並列に接合されて構成され、前記第1ラミナの最表層は、前記帯板の長手方向が前記重機運搬用車両の車幅方向となるように配置され、前記第1ラミナの最表層以外の少なくとも1つの層は、前記帯板の長手方向が前記重機運搬用車両の車長方向となるように配置される、床板が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、重機の履帯又は車輪が重機運搬用車両の荷台の床板の表面を滑りにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図9】第1ラミナ20と第2ラミナ50を分解した状態の竹床板15を示す斜視図である。
【
図10】竹床板15を荷台3に取り付けた際の斜視図である。
【
図11】重機運搬用車両1の荷台3に重機を積み込む方法のフローチャートである。
【
図12】竹床板15aを荷台3に取り付けた際の斜視図である。
【
図13】竹床板15bを荷台3に取り付けた際の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
==重機運搬用車両==
図1(a)は、重機運搬用車両1の構成を示す側面図である。重機運搬用車両1は、シャーシ2と、荷台3と、運転室4と、アウトリガ5と、を備える。なお、本実施形態の説明において、重機運搬用車両1の前後方向が車長方向であり、重機運搬用車両1の左右方向が車幅方向であり、重機運搬用車両1の上下方向が車高方向である。
【0011】
シャーシ2は、重機運搬用車両1の車体フレームである。シャーシ2の上には、荷台3と、運転室4とが設置される。シャーシ2の上の前方に運転室4が設置され、運転室4の後方に荷台3が設置される。運転室4と荷台3の間には、アウトリガ5が設置される。アウトリガ5は、シャーシ2に対して左右一対に設置される。
【0012】
アウトリガ5は、図示しない油圧シリンダー機構と、支持脚6と、を有する。支持脚6は、油圧シリンダー機構によって上下方向に伸縮する。支持脚6を下方に伸ばすことによって、重機運搬用車両1は、
図1(b)に示すように後端が下がるように前後に傾斜する。
図1(b)の状態から支持脚6を縮めることによって、重機運搬用車両1は、
図1(a)に示すように水平となる。
【0013】
荷台3の後端部には、車長方向に伸縮可能な傾斜板7が設けられている。
図1(b)に示す、荷台3が傾斜した状態において、傾斜板7は、後方に向けて伸びることによって荷台3の後端部と地面との間を掛け渡す。なお、傾斜板7は、伸縮式以外でもよく、例えば、荷台3の後端に折り畳む方式であってもよいし、荷台3とは別体の板を設置することでもよい。
【0014】
<荷台>
図2は、荷台3の斜視図である。荷台3は、ガードフレーム11と、縦根太12と、横根太13と、床フレーム14と、竹床板15(床板の一例)と、を備える。
【0015】
ガードフレーム11は、荷台3の最前方の位置において、シャーシ2の上に立設される。ガードフレーム11の後方且つシャーシ2の上には、2本の縦根太12が、車幅方向に互いに間隔を空けて車長方向に延在するように取り付けられている。縦根太12の上には、複数の横根太13が取り付けられる。複数の横根太13は、縦根太12に対して上面視で直交するように車幅方向に延在し、車長方向に間隔を空けて釘等の留付具によって縦根太12に取り付けられる。複数の横根太13の上には、矩形状の竹床板15が敷設される。従って、竹床板15は、横根太13に対して、側面視において車長方向に離間した2点で支持された状態となり、重機が積み込まれると、重機の重量によりこの2点間に車長方向の曲げ荷重が作用する。なお、竹床板15のうち後方側の1辺を除く外縁部には、竹床板15の外縁部を保護する床フレーム14が設けられる。
【0016】
(竹床板)
図3は、竹床板15の斜視図である。竹床板15は、第1ラミナ20と、第2ラミナ50と、を有する。本実施形態では、竹床板15が矩形状となるように第1ラミナ20と第2ラミナ50の長手方向の長さは等しく形成され、また、第1ラミナ20と第2ラミナ50の厚さも等しく形成される。竹床板15は、第2ラミナ50の長辺の両端部に第1ラミナ20の長辺の端部をそれぞれ接合して構成される。
【0017】
[ラミナ]
第1ラミナ20は、表層ラミナ21(第1ラミナの最表層の一例)と、裏層ラミナ22(第1ラミナの最表層以外の少なくとも1つの層の一例)とを積層して構成される。
【0018】
図4は、表層ラミナ21の斜視図である。表層ラミナ21は、複数の長方形状の帯板30を有する。表層ラミナ21は、帯板30の長手方向を揃えて並列し、隣り合う帯板30の間に接着剤を塗布して接着したものである。
【0019】
帯板30は、複数の竹角材31を有する。竹角材31は、竹(孟宗竹、虎斑竹、淡竹、真竹、亀甲竹、布袋竹、黒竹、篶竹、図面竹、ゴマ竹、紋竹、煤竹、蓬莱竹、楠竹等)を切断することによって得られる竹無垢材からなる棒状の角材である。竹角材31は、竹の繊維方向が長手方向となるように形成される。帯板30は、複数の竹角材31が、その長手方向にフックドジョイント40及び接着剤により接合されて構成されている。すなわち、帯板30は、複数の竹角材31によって構成される竹製集成材であり、複数の帯板30によって構成される表層ラミナ21もまた竹製集成材である。
【0020】
以下、フックドジョイント40について詳細に説明する。
図5は、
図4内のV部を側方から見た側面図である。一方の竹角材31aの端部が溝切り加工されることによって、ほぞフック41aとほぞ溝42aが形成される。ほぞフック41aは、一方の竹角材31aの端部の端面43aから一方の竹角材31aの長手方向に突出するとともに、その突出部の先端側が一方の竹角材31aの厚さ方向に突出して形成される。ほぞ溝42aは、一方の竹角材31aの長手方向において、ほぞフック41aの突出部と端面43aの間に形成される溝である。一方、他方の竹角材31bの端部が溝切り加工されることによって、一方の竹角材31aと同じようにほぞフック41bとほぞ溝42bが形成される。ほぞフック41aとほぞフック41bとは、互いに対向する。
【0021】
図5に示すように、一方の竹角材31aの端部と他方の竹角材31bの端部が重なってフックドジョイント40を構成する。具体的には、一方の竹角材31aのほぞフック41aが他方の竹角材31bのほぞ溝42bに嵌合し、他方の竹角材31bのほぞフック41bが一方の竹角材31aのほぞ溝42aに嵌合する。この時、ほぞフック41aの突面と、ほぞ溝42bの底面と、端面43aとに接着剤が塗布されることによって、一方の竹角材31aと他方の竹角材31bは、フックドジョイント40と接着剤によって接合される。
【0022】
図6は、裏層ラミナ22の斜視図である。裏層ラミナ22は、複数の帯板32を有する。帯板32の構成は、表層ラミナ21の帯板30の構成と同様であり、フックドジョイント40による接合形態も同一であるため、説明を省略するが、帯板32の長手方向は、帯板30の長手方向と直交している。
【0023】
なお、帯板30,32を構成する竹角材31の接合形態は、上述したフックドジョイント40と接着剤による接合に限定されるものではなく、適宜な公知の接合形態を用いることができる。
【0024】
図7に示すように、第1ラミナ20は、表層ラミナ21の板面と裏層ラミナ22の板面とを接触させて積層したものである。この時、互いに接触する表層ラミナ21の板面と、裏層ラミナ22の板面の少なくとも一方には接着剤が塗布され、表層ラミナ21と裏層ラミナ22は、接着剤によって接合される。
【0025】
図8は、第2ラミナ50の斜視図である。第2ラミナ50は、複数の長方形状の帯板60を有する。第2ラミナ50は、帯板60の長手方向を揃えて並列させ、隣り合う帯板60の間に接着剤を塗布して接着したものである。
【0026】
帯板60は、帯板30,31と同様に、竹無垢材からなる棒状の角材である複数の竹角材61が、長手方向に接続されて構成される。複数の竹角材61は、フックドジョイント40と同様のフックドジョイント70及び接着剤により接合され、帯板60を構成する。
【0027】
図9は、第1ラミナ20と第2ラミナ50を分解した状態の竹床板15を示す。竹床板15は、2つの第1ラミナ20が第2ラミナ50の長辺の両端部にそれぞれ接着剤により接合されたものである。この時、2つの第1ラミナ20は、それぞれの表層ラミナ21が同一の面を形成するように第2ラミナ50に接合される。また、2つの第1ラミナ20は、表層ラミナ21の帯板30の長手方向が第2ラミナ50の帯板60の長手方向に対して直交するように第2ラミナ50に接合される。
【0028】
図10に示すように、竹床板15は、第1ラミナ20の表層ラミナ21が車高方向上側となるように、且つ、表層ラミナ21の帯板30の長手方向が車幅方向となるように荷台3に設置される。つまり、表層ラミナ21は、荷台3の表面、且つ、荷台3の車幅方向の両端に配置される。また、帯板30の長手方向が車幅方向となっているため、表層ラミナ21の竹の繊維方向は、車幅方向となる。これにより、重機運搬用車両1の荷台3の上に重機が積み込まれる際、重機の履帯又は車輪は、表層ラミナ21の上を車長方向に移動することになる。そして、表層ラミナ21の竹の繊維方向が車幅方向となっているため、重機の履帯又は車輪は、竹の繊維方向に対して垂直に移動することになる。
【0029】
また、帯板32の長手方向が帯板30の長手方向に対して直交しているため、裏層ラミナ22の竹の繊維方向は、車長方向となる。一般に、竹製集成材の竹の繊維方向の曲げ強度は、竹の繊維方向と直交する方向の曲げ強度よりも大きい。上述のように重機が竹床板15上に積み込まれた状態では、重機の重量により第1ラミナ20には長手方向である車長方向の曲げ荷重が作用するが、裏層ラミナ22の竹の繊維方向が車長方向であることによって、第1ラミナ20は、この曲げ荷重に対して十分な強度を有する。
【0030】
<荷台に重機を積み込む方法>
続いて、本実施形態に係る荷台3に重機を積み込む方法について、
図1、
図10、及び
図11を用いて説明する。
【0031】
図11は、荷台3に重機を積み込む方法のフローチャートである。重機を積み込む方法は、S11からS14までの4つの工程で構成される。
【0032】
(S11)
S11は、重機運搬用車両1の荷台3に竹床板15を設置する工程である。
【0033】
作業者は、
図10に示すように、竹床板15を、第1ラミナ20が重機運搬用車両1の車幅方向の両端に配置され、且つ、表層ラミナ21が重機運搬用車両1の車高方向の上側に配置されるように、重機運搬用車両1の荷台3に設置する。
【0034】
(S12)
S12は、荷台3の後端部が下方に移動するように荷台3を傾ける工程である。
【0035】
作業者は、重機運搬用車両1に積み込む重機の移動方向の前方に荷台3が位置するように重機運搬用車両1を移動する。次に、作業者は、アウトリガ5の操作盤を操作して支持脚6を下方に伸ばすことで、荷台3を、荷台3の後端部が下方に移動するように傾斜させる。つまり、荷台3を、
図1(a)に示す水平状態から、
図1(b)に示す傾斜状態とする。続いて、作業者は、荷台3の後端部に設けられた傾斜板7を車長方向に伸ばし、傾斜板7を地面に接触させる。
【0036】
(S13)
S13は、竹床板15の上を重機の履帯又は車輪が移動するように重機を荷台3に積み込む工程である。
【0037】
作業者は、重機を前進させ、傾斜板7を経由して荷台3に重機を積み込む。この重機は、車幅方向の両側に履帯又は車輪が設けられている。作業者は、荷台3の後方から重機を前進させて、重機の履帯又は車輪を荷台3の竹床板15上に乗せる。このとき、上述のように、重機の履帯又は車輪が竹床板15の表層ラミナ21の上を車長方向に移動し、その移動方向は、竹の繊維方向に直交している。そして、作業者は、重機が竹床板15上の所定の停止位置に到達したところで重機を停止させる。
【0038】
重機が竹床板15の上を移動する際、荷台3と共に竹床板15が傾斜しているため、重機の履帯又は車輪が竹床板15の上で滑らないことが求められる。ここで、本実施形態では、上述のように、重機の履帯又は車輪は、竹の繊維方向が車幅方向である第1ラミナ20の表層ラミナ21上を車長方向に移動する。なお、竹製集成材である表層ラミナ21の表面は、竹の繊維方向よりも竹の繊維方向と直交する方向に力を与えた場合の方が発生する摩擦力が大きい。つまり、重機の履帯又は車輪が移動する車長方向に対して、表層ラミナ21の竹の繊維方向が直交しているため、重機の履帯又は車輪が竹床板15の上を滑りにくい。
【0039】
(S14)
S14は、荷台3の傾きを元に戻す工程である。
【0040】
作業者は、傾斜板7を縮めて荷台3に収納する。次に、作業者は、アウトリガ5の操作盤を操作して支持脚6を縮めることで、荷台3を、その後端部が上方に向かうように移動させる。つまり、荷台3を、
図1(b)に示す傾斜状態から、
図1(a)に示す水平状態とする。そして、作業者は、重機運搬用車両1を運転し、重機を目的地へと運搬する。
【0041】
<効果>
本実施形態において、竹製集成材からなる重機運搬用車両1の荷台3の竹床板15は、複数層が積層されてなる第1ラミナ20を有し、第1ラミナ20の各層は、竹製集成材である複数の帯板30,32を、竹の繊維方向である長手方向を揃えた状態で並列に接合されて構成され、第1ラミナ20の最表層である表層ラミナ21は、帯板30の長手方向が重機運搬用車両1の車幅方向となるように配置され、第1ラミナ20の表層ラミナ21以外の少なくとも1つの層である裏層ラミナ22は、帯板32の長手方向が重機運搬用車両1の車長方向となるように配置される。
【0042】
上記のような構成によれば、竹床板15の表面に竹製集成材である帯板30の長手方向が重機運搬用車両1の車幅方向となるように表層ラミナ21が配置されているため、竹床板15の表面の竹の繊維方向が車幅方向となっている。傾斜した竹床板15上に重機を積み込む際に、重機の移動方向である車長方向に対して竹床板15の表面の竹の繊維方向が直交しているため、重機が竹床板15に対して滑りにくい。
【0043】
重機が竹床板15上に積み込まれると、重機の重量により第1ラミナ20には、車長方向の曲げ荷重が作用する。ここで、竹製集成材である帯板30,32の竹の繊維方向の曲げ強度は、竹の繊維方向と直交する方向の曲げ強度よりも大きい。上記のような構成によれば、第1ラミナ20が表層ラミナ21と裏層ラミナ22が積層されてなり、裏層ラミナ22の帯板32の長手方向が重機運搬用車両1の車長方向となるように配置されることによって、裏層ラミナ22の竹の繊維方向と第1ラミナ20に作用する曲げ荷重の方向が同一となる。その結果、第1ラミナ20は、表層ラミナ21のみで構成される場合よりも重機の重量により作用する曲げ荷重に対して高い強度を有する。
【0044】
また、竹床板15は、木製の床板よりも耐久力が高く、且つ低価格である。その結果、竹床板15を交換する頻度が少なくて済み、重機運搬用車両1の運用コストを抑えることができる。
【0045】
また、本実施形態に係る竹床板15は、第2ラミナ50を更に有し、第2ラミナ50の重機運搬用車両1の車幅方向の端面に沿って第1ラミナ20が取り付けられている。
【0046】
複数層で構成される第1ラミナ20のようなラミナは、各層を構成するラミナをそれぞれ接着させて1つのラミナとするため、製造コストが高くなる。一方、単層で構成される第2ラミナ50は、複数のラミナを接着させる工程が無いため、その分製造コストが安くなる。上記のような構成によれば、竹床板15が第2ラミナ50の端面に沿って第1ラミナ20を取り付けて構成されるため、竹床板15は、第1ラミナ20のみで構成される場合よりも安く製造することができる。
【0047】
また、本実施形態における重機運搬用車両1の荷台3に重機を積み込む方法は、荷台3に、竹床板15を設置する工程と、荷台3の後端部が下方に移動するように荷台3を傾ける工程と、竹床板15の上を重機の履帯又は車輪が移動するように重機を荷台3に積み込む工程と、荷台3の傾きを元に戻す工程と、を含む。
【0048】
このような方法によれば、重機運搬用車両1の荷台3に竹床板15を設置した後で荷台3を傾け、重機を竹床板15の上へと積み込む。重機の積み込みの際に、竹床板15の上を重機の履帯又は車輪が移動するように積み込むため、重機の履帯又は車輪は、傾いた状態の表層ラミナ21の上を移動する。この時、重機の履帯又は車輪が、竹の繊維方向が車幅方向となっている表層ラミナ21の上を車長方向に移動するため、重機の履帯又は車輪は、竹床板15の表面を滑りにくい。
【0049】
<変形例>
以下に説明する各変更点を組み合わせて適用してもよい。
【0050】
(1)変形例1
上記実施形態において、第1ラミナ20は、表層ラミナ21と裏層ラミナ22の2層によって構成されている。しかし、第1ラミナ20は、最表層に表層ラミナ21を有する3層以上の複数層によって構成されて、表層ラミナ21以外の少なくとも一つの層の竹の繊維方向が車幅方向である構成でもよい。
【0051】
(2)変形例2
上記実施形態において、竹床板15は、第1ラミナ20と第2ラミナ50を組み合わせて構成されている。しかし、
図12に示すように、竹床板15は、第1ラミナ20のみによって形成される竹床板15aでもよい。要するに、少なくとも重機の履帯又は車輪が移動する部分に第1ラミナ20が設けられていればよい。
【0052】
変形例2の構成によれば、竹床板15aの表面全体に表層ラミナ21が配置されるため、車幅が竹床板15aの車幅方向の幅よりも小さい重機の履帯又は車輪も、竹床板15aの表面を滑りにくい。つまり、竹床板15aの車幅方向の幅に対して車幅の異なる重機であっても、重機の履帯又は車輪が荷台3の表面を滑りにくい。また、運搬する重機の車幅に応じて、竹床板15aを変更する必要がない。
【0053】
(3)変形例3
上記実施形態において、竹床板15は、2つの第1ラミナ20が第2ラミナ50の長辺の両端部にそれぞれ接着剤により接合されたものである。しかし、
図13に示すように、竹床板15は、第2ラミナ50を中心にして、第1ラミナ20と第2ラミナ50とをそれぞれの長辺を接触させるように交互に配置し、それぞれを接着剤により接合した竹床板15bでもよい。つまり、竹床板15bは、第2ラミナ50を中心にして、第1ラミナ20と第2ラミナ50とを交互に接合したものである。なお、
図13に示す変形例において、竹床板15bを構成する車幅方向のラミナの数は7つであるが、竹床板15bは、少なくとも2つ以上の第1ラミナ20と、少なくとも1つの第2ラミナ50によって構成されていればよい。また、竹床板15bは、第1ラミナ20と第2ラミナ50とをそれぞれの長辺を接触させるように交互に配置したものであってもよい。
【0054】
変形例3の構成によれば、竹床板15bを荷台3に取り付けた際に車長方向に延びる第1ラミナ20の列が車幅方向に複数形成される。つまり、竹床板15bの表面に表層ラミナ21の列が車幅方向に複数形成される。ここで、任意の2つの第1ラミナ20同士の車幅方向の距離を荷台3に搭載する重機の履帯又は車輪の幅となるように第1ラミナ20を配置することによって、竹床板15bの車幅方向の幅に対して車幅の異なる重機であっても、重機の履帯又は車輪が荷台3の表面を滑りにくい。
【0055】
(4)変形例4
上記実施形態において、竹床板15は、複数の横根太13の上に敷設されている。しかし、竹床板15は、複数の横根太13の代わりに縦根太12又はシャーシ2に取り付けられる鉄板等の板状部材の上に敷設されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…重機運搬用車両,3…荷台,15,15a,15b…竹床板(床板),20…第1ラミナ,21…表層ラミナ(第1ラミナの最表層),22…裏層ラミナ(第1ラミナの最表層以外の少なくとも1つの層),30,32…帯板,50…第2ラミナ