IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160162
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】圧力調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/08 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
A47J27/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070312
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】森 大輝
(72)【発明者】
【氏名】椿 恵
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA08
4B055BA31
4B055CA21
4B055CA81
4B055CB02
(57)【要約】
【課題】使い勝手を向上させることができる圧力調理器を提供する。
【解決手段】本発明に係る加熱調理器は、上部開口部が設けられた筐体と、筐体内に収容される鍋と、上部開口部を覆う閉位置と上部開口部から離れた開位置とに移動可能な外蓋と、外蓋に取り付けられ、鍋の開口部を開閉可能に覆う内蓋と、内蓋と鍋のフランジ部とを挟むクランプ位置とクランプ解除位置とに移動可能なクランプ部と、外蓋を閉位置で保持するロック位置とロック解除位置とに移動可能な蓋ロック部と、外蓋に取り付けられた操作部と、クランプ部を移動させるクランプ部移動機構と、蓋ロック部を移動させる蓋ロック部移動機構とを備え、クランプ部移動機構は、操作部が一方向に初期位置から第1位置まで移動されるとき、クランプ部をクランプ解除位置に移動させ、蓋ロック部移動機構は、操作部が一方向に更に第2位置まで移動されるとき、蓋ロック部をロック解除位置に移動させる。
【選択図】図4D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口部が設けられた筐体と、
フランジ部を有し、前記上部開口部を通じて前記筐体内に収容される鍋と、
前記上部開口部を覆う閉位置と、前記上部開口部から離れた開位置とに移動可能な外蓋と、
前記外蓋に着脱自在に取り付けられ、前記外蓋の開閉動作に連動して前記鍋の開口部を開閉可能に覆う内蓋と、
前記内蓋と前記フランジ部とを厚さ方向に挟むクランプ位置と、前記内蓋及び前記フランジ部から離れたクランプ解除位置とに移動可能なクランプ部と、
前記筐体の一部に係合して前記外蓋を前記閉位置で保持するロック位置と、前記筐体の一部との係合が解除されるロック解除位置とに移動可能な蓋ロック部と、
前記外蓋に設けられ前記外蓋に対して相対移動可能である操作部と、
前記操作部の移動に連動して前記クランプ部を移動させるクランプ部移動機構と、
前記操作部の移動に連動して前記蓋ロック部を移動させる蓋ロック部移動機構と、
を備え、
前記クランプ部移動機構は、前記操作部が一方向に初期位置から第1位置まで移動されるとき、前記クランプ部を前記クランプ位置から前記クランプ解除位置に移動させ、
前記蓋ロック部移動機構は、前記操作部が前記一方向に前記第1位置から更に第2位置まで移動されるとき、前記蓋ロック部を前記ロック位置から前記ロック解除位置に移動させる、圧力調理器。
【請求項2】
前記操作部は、第1回動軸を中心として回動するように構成され、
前記クランプ部移動機構は、
前記操作部の一部に係合し、前記操作部が回動する際、前記第1回動軸に対して平行に配置された第2回動軸を中心として前記操作部とは反対方向に回動するように構成されたリンク部材と、
前記リンク部材の一部に係合し、前記リンク部材が回動する際、前記リンク部材に押圧又は牽引されて前記外蓋の面方向に沿う直線方向に進退移動するように構成されたスライド板と、
前記スライド板の一部に係合するとともに前記クランプ部に取り付けられ、前記スライド板が進退移動する際、前記スライド板に押圧又は牽引されて前記外蓋の面方向に沿い且つ前記直線方向に対して交差する交差方向に進退移動するように構成されたクランプアームと、
を備える、請求項1に記載の圧力調理器。
【請求項3】
前記内蓋と前記外蓋との間に設けられ、前記クランプ部移動機構の一部に係合可能なロック機構を更に備え、
前記内蓋は、前記鍋内の圧力が大気圧よりも高くなるように上昇したとき、当該圧力に押されて前記外蓋に近づく方向に移動可能に構成され、
前記ロック機構は、前記内蓋が前記外蓋に近づく方向に移動したとき、前記クランプ部移動機構の一部に係合して、前記クランプ部移動機構の動作をロックする、請求項1又は2に記載の圧力調理器。
【請求項4】
前記内蓋に設けられた蒸気排出穴を閉塞する閉塞位置と、前記蒸気排出穴を開放する排気位置に移動可能な排気弁を更に備え、
前記クランプ部移動機構は、前記操作部の移動に連動して前記排気弁及び前記クランプ部を移動させるように構成され、前記操作部が一方向に初期位置から第1位置まで移動されるとき、前記排気弁を前記閉塞位置から前記排気位置に移動させた後、前記クランプ部を前記クランプ位置から前記クランプ解除位置に移動させる、請求項1又は2に記載の圧力調理器。
【請求項5】
前記クランプ部移動機構に取り付けられた第1位置検出素子と、前記外蓋に取り付けられた第2位置検出素子とを備え、前記第1位置検出素子と前記第2位置検出素子との相対位置に基づいて、前記クランプ部が前記クランプ位置及び前記クランプ解除位置のいずれに位置するかを検出する位置検出部を更に備える、請求項1又は2に記載の圧力調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の圧力調理器として、例えば、特許文献1に記載の圧力調理器が知られている。特許文献1には、鍋のフランジ部と内蓋とを挟持する挟持部を備え、内蓋が鍋内の圧力を受けて挟持部を押圧して上方に移動する一方で、外蓋部には鍋内の圧力が加えられないように構成された圧力調理器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-140174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の圧力調理器においては、より使い勝手を向上させるという観点において、未だ改善の余地がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、使い勝手を向上させることができる圧力調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明によれば、上部開口部が設けられた筐体と、
前記上部開口部を覆う閉位置と、前記上部開口部から離れた開位置とに移動可能な外蓋と、
フランジ部を有し、前記上部開口部を通じて前記筐体内に収容される鍋と、
前記外蓋に着脱自在に取り付けられ、前記外蓋の開閉動作に連動して前記鍋の開口部を開閉可能に覆う内蓋と、
前記内蓋と前記フランジ部とを厚さ方向に挟むクランプ位置と、前記内蓋及び前記フランジ部から離れたクランプ解除位置とに移動可能なクランプ部と、
前記筐体の一部に係合して前記外蓋を前記閉位置で保持するロック位置と、前記筐体の一部との係合が解除されるロック解除位置とに移動可能な蓋ロック部と、
前記外蓋に設けられ前記外蓋に対して相対移動可能である操作部と、
前記操作部の移動に連動して前記クランプ部を移動させるクランプ部移動機構と、
前記操作部の移動に連動して前記蓋ロック部を移動させる蓋ロック部移動機構と、
を備え、
前記クランプ部移動機構は、前記操作部が一方向に初期位置から第1位置まで移動されるとき、前記クランプ部を前記クランプ位置から前記クランプ解除位置に移動させ、
前記蓋ロック部移動機構は、前記操作部が前記一方向に前記第1位置から更に第2位置まで移動されるとき、前記蓋ロック部を前記ロック位置から前記ロック解除位置に移動させる、圧力調理器を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使い勝手を向上させることができる圧力調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る圧力調理器の斜視図である。
図2図1の圧力調理器のA1-A1線断面図である。
図3A図1の圧力調理器の操作部が外蓋に対して相対移動する様子を示す斜視図である。
図3B図1の圧力調理器の操作部が外蓋に対して相対移動する様子を示す斜視図である。
図3C図1の圧力調理器の操作部が外蓋に対して相対移動する様子を示す斜視図である。
図3D図1の圧力調理器の操作部が外蓋に対して相対移動する様子を示す斜視図である。
図4A図1の圧力調理器の操作部の外蓋に対する相対移動に連動して移動する各部及び各機構を示す斜視図である。
図4B図1の圧力調理器の操作部の外蓋に対する相対移動に連動して移動する各部及び各機構を示す斜視図である。
図4C図1の圧力調理器の操作部の外蓋に対する相対移動に連動して移動する各部及び各機構を示す斜視図である。
図4D図1の圧力調理器の操作部の外蓋に対する相対移動に連動して移動する各部及び各機構を示す斜視図である。
図5A図1の圧力調理器の操作部が図4Aに示す位置に位置するときに、当該操作部の相対移動に連動して移動する蓋ロック部、蓋ロック部移動機構、及びロック部の位置を示す断面図である。
図5B図1の圧力調理器の操作部が図4Bに示す位置に位置するときに、当該操作部の相対移動に連動して移動する蓋ロック部、蓋ロック部移動機構、及びロック部の位置を示す断面図である。
図5C図1の圧力調理器の操作部が図4Cに示す位置に位置するときに、当該操作部の相対移動に連動して移動する蓋ロック部、蓋ロック部移動機構、及びロック部の位置を示す断面図である。
図5D図1の圧力調理器の操作部が図4Dに示す位置に位置するときに、当該操作部の相対移動に連動して移動する蓋ロック部、蓋ロック部移動機構、及びロック部の位置を示す断面図である。
図6A図1の圧力調理器の操作部が図4Aに示す位置に位置するときに、当該操作部の相対移動に連動して移動するクランプ部及びクランプ部移動機構の位置を示す平面図である。
図6B図1の圧力調理器の操作部が図4Bに示す位置に位置するときに、当該操作部の相対移動に連動して移動するクランプ部及びクランプ部移動機構の位置を示す平面図である。
図6C図1の圧力調理器の操作部が図4Cに示す位置に位置するときに、当該操作部の相対移動に連動して移動するクランプ部及びクランプ部移動機構の位置を示す平面図である。
図7A図1の圧力調理器の操作部が図4Aに示す位置に位置するときに、当該操作部の相対移動に連動して移動するクランプ部及びクランプ部移動機構の位置を示す断面図である。
図7B図1の圧力調理器の操作部が図4Bに示す位置に位置するときに、当該操作部の相対移動に連動して移動するクランプ部及びクランプ部移動機構の位置を示す断面図である。
図7C図1の圧力調理器の操作部が図4Cに示す位置に位置するときに、当該操作部の相対移動に連動して移動するクランプ部及びクランプ部移動機構の位置を示す断面図である。
図8A図1の圧力調理器の操作部が図4Aに示す位置に位置するときに、当該操作部の相対移動に連動して移動する位置検出部、排気弁、及びクランプ部移動機構の位置を示す断面図である。
図8B図1の圧力調理器の操作部が図4Bに示す位置に位置するときに、当該操作部の相対移動に連動して移動する位置検出部、排気弁、及びクランプ部移動機構の位置を示す断面図である。
図8C図1の圧力調理器の操作部が図4Cに示す位置に位置するときに、当該操作部の相対移動に連動して移動する位置検出部、排気弁、及びクランプ部移動機構の位置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0010】
また、以下では、説明の便宜上、通常使用時の状態を想定して「上」、「下」、「側」等の方向を示す用語を用いるが、本発明に係る圧力調理器の使用状態等を限定することを意味するものではない。
【0011】
(実施形態)
図1及び図2を用いて、本発明の実施形態に係る圧力調理器の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る圧力調理器の斜視図である。図2は、図1の圧力調理器の断面図である。本実施形態に係る圧力調理器は、例えば、圧力炊飯器である。
【0012】
図1又は図2に示すように、本実施形態に係る圧力調理器は、上部開口部1Aが設けられた筐体1と、上部開口部1Aを通じて筐体1内に収容される鍋2と、上部開口部1Aを開閉可能な外蓋3とを備えている。
【0013】
本実施形態において、筐体1は、上壁11から内側に凹むように設けられた有底筒状の鍋収容部12を有している。鍋収容部12の上部開口部が上部開口部1Aに一致する。鍋2は、上部開口部1Aを通じて鍋収容部12内に着脱自在に収容される。鍋2は、上端部から外方に向けて突出する環状のフランジ部21を有する。鍋収容部12の内側面は、鍋2の外側面との間に所定の隙間が空くように形成されている。鍋2には、米、水などの被調理物が入れられる。
【0014】
筐体1の内部で且つ鍋収容部12の外周面には、鍋2内の被調理物を加熱する加熱部4が設けられている。本実施形態において、加熱部4は、鍋収容部12を介して鍋2を誘導加熱する誘導加熱コイルユニットで構成されている。当該誘導加熱コイルユニットは、底内加熱コイル41と、底外加熱コイル42とを備えている。底内加熱コイル41は、鍋収容部12を介して鍋2の底部の中央部周囲に対向するように配置されている。底外加熱コイル42は、鍋収容部12を介して鍋2の底部のコーナー部に対向するように配置されている。
【0015】
鍋収容部12の底部の中央部分には、開口部12Aが設けられている。開口部12Aには、鍋2の温度を検知するための鍋温度検知部の一例である鍋温度センサ5が設けられている。鍋温度センサ5は、鍋収容部12に収容された鍋2の底部に当接可能に配置されている。本実施形態においては、鍋温度センサ5の検知温度に基づいて、鍋2内の被調理物の温度を推定する。
【0016】
また、筐体1の内部には、制御部6が設けられている。制御部6は、被調理物を調理するための調理シーケンスを複数記憶する記憶部を備えている。ここで、「調理シーケンス」とは、通電時間、加熱温度、加熱時間、加熱出力等が予め決められている調理の手順をいう。各調理シーケンスは、複数の調理コースのいずれかにそれぞれ対応している。制御部6は、後述する入力部7にて入力された調理コース及び鍋温度センサ5の検知温度などに基づいて、加熱部4の駆動を制御し、調理工程を実行する。
【0017】
外蓋3は、上部開口部1Aを覆う閉位置(図1及び図2に示す位置)と、上部開口部1Aから離れた開位置とに移動可能に構成されている。本実施形態において、外蓋3は、筐体1の上壁11の上方に配置されるヒンジ軸3Aを中心として回動することにより、閉位置と開位置とに移動可能に構成されている。外蓋3は、中空構造を有している。外蓋3には、鍋2内で発生した蒸気を外部に排出するため、外蓋3を厚さ方向に貫通する排気穴31が設けられている。外蓋3の内部には、各種情報を入力する入力部7が設けられている。
【0018】
入力部7は、調理コース、調理時間などの各種情報を表示する液晶ディスプレイなどの表示部(図示せず)と、複数の調理コースの中から特定の調理コースを選択可能な選択部(図示せず)とが設けられている。選択部は、調理コースの選択の他、調理の開始、取り消し、予約などの実行を指示できるように構成されている。使用者は、表示部の表示内容を参照しつつ、選択部にて特定の調理コースを選択し、調理開始を指示することができる。本実施形態において、入力部7は、タッチパネル式の入力部である。
【0019】
図2に示すように、外蓋3には、内蓋8が着脱自在に取り付けられている。内蓋8は、外蓋3の開閉動作(回動動作)に連動して鍋2の開口部を開閉可能に覆うように構成されている。すなわち、内蓋8は、外蓋3において鍋収容部12に収容された鍋2の上部開口部との対向面に着脱自在に取り付けられている。外蓋3が閉位置に位置するとき、内蓋8は、鍋2の上部開口部を覆うように構成されている。内蓋8の外周部の鍋2側の面には、環状のパッキン81が取り付けられている。パッキン81は、外蓋3が閉位置に位置するとき、鍋2のフランジ部21の近傍に密着して、鍋2と内蓋8との隙間をシールするように構成されている。
【0020】
外蓋3には、外蓋3に対して相対移動可能に操作部32が設けられている。図3A図3Dは、操作部32が外蓋3に対して相対移動する様子を示している。図4A図4D図5A図5D図6A図6C図7A図7C、及び図8A図8Cは、操作部32の外蓋3に対する相対移動に連動して移動する各部及び各機構を示している。
【0021】
図4A図4Dに示すように、外蓋3には、蓋ロック部33と、蓋ロック部移動機構34と、クランプ部35と、クランプ部移動機構36とが設けられている。蓋ロック部33、蓋ロック部移動機構34、クランプ部35、及びクランプ部移動機構36は、操作部32の移動に連動して移動するように構成されている。
【0022】
蓋ロック部33は、筐体1の一部に係合して外蓋3を閉位置で保持するロック位置(図5A図5Cに示す位置)と、筐体1の一部との係合が解除されるロック解除位置(図5Dに示す位置)とに移動可能に構成されている。蓋ロック部移動機構34は、操作部32の移動に連動して蓋ロック部33を移動させるように構成されている。具体的には、蓋ロック部移動機構34は、操作部32が一方向に図3Aに示す位置(初期位置)から図3Dに示す位置(第2位置)まで移動されるとき、蓋ロック部33をロック位置からロック解除位置に移動させるように構成されている。本実施形態において、操作部32は、図4B図4Dに示すように、回動軸32A(第1回動軸)を中心として回動するように構成されている。
【0023】
本実施形態において、蓋ロック部移動機構34は、回動軸34Aを中心として回動自在に構成された板状部材で構成されている。蓋ロック部33は、当該板状部材の回動軸34Aから離れた端部に一体的に設けられた係合爪で構成されている。蓋ロック部移動機構34は、操作部32が図3Aに示す位置(初期位置)及び図3Bに示す位置に位置するとき、操作部32から離れて位置するように構成されている。一方、蓋ロック部移動機構34は、操作部32が図3Cに示す位置(第1位置)に位置するとき、操作部32の一部に接触するように構成されている。また、蓋ロック部移動機構34は、操作部32が図3Cに示す位置(第1位置)から図3Dに示す位置(第2位置)に移動するとき、操作部32の一部に押圧されて回動軸34Aを中心として回動するよう構成されている。これにより、蓋ロック部33は、ロック位置からロック解除位置に移動する。
【0024】
クランプ部35は、図7A図7Cに示すように、内蓋8とフランジ部21とを厚さ方向に挟むクランプ位置(図7Aに示す位置)と、内蓋8及びフランジ部21から離れたクランプ解除位置(図7B及び図7Cに示す位置)とに移動可能に構成されている。
【0025】
本実施形態においては、2つのクランプ部35が、平面視において、直線方向X1に対して線対称の位置に設けられている。
【0026】
クランプ部移動機構36は、操作部32の移動に連動してクランプ部35を移動させるように構成されている。具体的には、クランプ部移動機構36は、操作部32が一方向に図3Aに示す位置(初期位置)から図3Cに示す位置(第1位置)まで移動されるとき、クランプ部35をクランプ位置からクランプ解除位置に移動させるように構成されている。
【0027】
本実施形態において、クランプ部移動機構36は、リンク部材361と、スライド板362と、クランプアーム363とを備えている。
【0028】
図4A図4Dに示すように、リンク部材361は、操作部32の一部に係合し、操作部32が回動する際、回動軸32Aに対して平行に配置された回動軸36A(第2回動軸)を中心として操作部32とは反対方向に回動するように構成されている。本実施形態において、操作部32には、両側面から突出するように係合ピン32B,32Bが設けられている。リンク部材361は、係合ピン32B,32Bが係合する長穴形状の係合穴361A,361Aを有している。操作部32が回動する際、各係合ピン32Bが各係合穴361A内を摺動することにより、リンク部材361が回動軸36Aを中心として操作部32とは反対方向に回動する。
【0029】
スライド板362は、リンク部材361の一部に係合し、リンク部材361が回動する際、リンク部材361に押圧又は牽引されて外蓋3の面方向に沿う直線方向X1(図4B及び図4C参照)に進退移動するように構成されている。
【0030】
本実施形態において、リンク部材361には、図5A図5Dに示すように、回動軸36Aと平行に延在する係合軸361Aが設けられている。スライド板362は、係合軸361Aが係合する係合溝362Aを有している。係合軸361Aが係合溝362Aに係合した状態でリンク部材361が回動することにより、リンク部材361に押圧又は牽引されて直線方向X1に進退移動する。
【0031】
クランプアーム363は、スライド板362の一部に係合するとともにクランプ部35に取り付けられている。クランプアーム363は、スライド板362が進退移動する際、スライド板362に押圧又は牽引されて外蓋3の面方向に沿い且つ直線方向X1に対して交差(例えば、直交又は略直交)する交差方向Y1(図4C参照)に進退移動するように構成されている。
【0032】
本実施形態において、スライド板362には、図6A図6Cに示すように、一対のカム溝362B,362Bが設けられている。一対のカム溝362B,362Bは、直線方向X1に対して線対称に設けられている。各カム溝362Bは、直線方向X1及び交差方向Y1に対して傾斜する傾斜面362Baを有している。一方のカム溝362Bの傾斜面362Baと他方のカム溝362Bの傾斜面362Baとは、平面視において、操作部32に近づくに従い互いに離れる方向に傾斜している。
【0033】
本実施形態においては、2つのクランプアーム363が交差方向Y1に延在する同一直線上に整列するように設けられている。各クランプアーム363の端部にクランプ部35が取り付けられている。各クランプアーム363は、カム溝362Bに係合するカムピン363Aを有している。スライド板362が直線方向X1に進退移動する際、各カムピン363Aが各カム溝362Bの傾斜面362Baに沿って摺動することにより、2つのクランプアーム363が互いに近づく又は離れるように交差方向Y1に進退移動する。その結果、図7A図7Cに示すように、2つのクランプ部35がクランプ位置(図7Aに示す位置)とクランプ解除位置(図7B及び図7Cに示す位置)との間で移動する。
【0034】
また、図5A図5Dに示すように、内蓋8と外蓋3との間には、クランプ部移動機構36の一部に係合可能なロック機構37が設けられている。内蓋8は、鍋2内の圧力が大気圧よりも高くなるように上昇したとき、当該圧力に押されて外蓋3に近づく方向に移動可能に構成されている。ロック機構37は、内蓋8が外蓋3に近づく方向に移動したとき、クランプ部移動機構36の一部に係合して、クランプ部移動機構36の動作をロックするように構成されている。なお、この場合でも、パッキン81は、鍋2のフランジ部21の近傍に密着して、鍋2と内蓋8との隙間をシールするように構成されている。
【0035】
本実施形態において、ロック機構37は、ロックピン371と、ロックレバー372とを備えている。外蓋3の底壁(内蓋8と対向する壁)には、厚さ方向に貫通する貫通穴3aが設けられている。ロックピン371は、貫通穴3a内を進退移動可能に構成されるとともに、内蓋8に接触可能に構成されている。ロックレバー372は、一端部が回動軸371Aに取り付けられ、回動軸372Aを中心として回動するように設けられた略長板状の部材である。ロックレバー372の他端部は、スライド板362の一部に係合可能なフック形状を有している。ロックピン371は、ロックレバー372の長手方向の中間部に接触可能に構成されている。ロックピン371は、内蓋8が外蓋3に近づく方向に移動したとき、内蓋8に押圧されて貫通穴3a内を摺動(上昇)し、ロックレバー372を回動軸371Aを中心として回動させる。これにより、ロックレバー372の他端部がスライド板362の一部に係合して、クランプ部移動機構36の動作がロックされる。また、ロックピン371は、内蓋8が外蓋3から遠ざかる方向に移動したとき、内蓋8を押圧して貫通穴3a内を摺動(下降)し、ロックレバー372を回動軸371Aを中心として回動させる。これにより、ロックレバー372の他端部とスライド板362の一部との係合が解除され、クランプ部移動機構36が動作可能になる。
【0036】
また、内蓋8には、鍋2内と外蓋3の排気穴31とを流体連通する蒸気排出穴82が設けられている。鍋2内で発生した蒸気は、内蓋8の蒸気排出穴82及び外蓋3の排気穴31を通じて外部に排出される。図8A図8Cに示すように、蒸気排出穴82の近傍には、蒸気排出穴82を閉塞する閉塞位置(図8Aに示す位置)と、蒸気排出穴82を開放する排気位置(図8B及び図8Cに示す位置)に移動可能な排気弁83が設けられている。排気弁83は、通常、排気位置に位置するようにバネ等の弾性部材により付勢されている。
【0037】
本実施形態において、クランプ部移動機構36は、操作部32の移動に連動して排気弁83及びクランプ部35を移動させるように構成されている。クランプ部移動機構36は、操作部32が図3Aに示す位置から図3Cに示す位置まで移動されるとき、排気弁83を閉塞位置から排気位置に移動させた後、クランプ部35をクランプ位置からクランプ解除位置に移動させるように構成されている。
【0038】
より具体的には、外蓋3には、スライド板362の下面(内蓋8側の面)に沿って摺動可能であり且つ排気弁83を下方に押圧可能である押圧ピン38が設けられている。スライド板362の下面には、操作部32から離れるに従い下方に傾斜する傾斜面362Cが形成されている。押圧ピン38は、操作部32が図3Aに示す位置(初期位置)に位置するとき、図8Aに示すように、排気弁83を下方に押圧して、排気弁83を閉塞位置で保持する。一方、押圧ピン38は、操作部32が図3Aに示す位置から図3Cに示す位置に移動するとき、図8B及び図8Cに示すように、傾斜面362Cに沿って移動することで上昇して排気弁83から離れる。これにより、排気弁83は、上述した弾性部材の弾性力により排気位置に移動(弾性復帰)する。
【0039】
また、本実施形態に係る圧力調理器は、図8A図8Cに示すように、位置検出部9を備えている。位置検出部9は、第1位置検出素子91と、第2位置検出素子92とを備えている。第1位置検出素子91は、クランプ部移動機構36に取り付けられている。本実施形態において、第1位置検出素子91は、スライド板362に取り付けられている。第2位置検出素子92は、外蓋3に取り付けられている。位置検出部9は、第1位置検出素子91と第2位置検出素子92との相対位置に基づいて、クランプ部35がクランプ位置及びクランプ解除位置のいずれに位置するかを検出するように構成されている。第1位置検出素子91は、例えば、マグネットである。第2位置検出素子92は、例えば、ホール素子である。この場合、位置検出部9は、ホール素子がマグネットから受けた磁気量を電気量に変換し、当該電気量の大きさに基づいて、クランプ部35がクランプ位置及びクランプ解除位置のいずれに位置するかを検出する。
【0040】
本実施形態によれば、クランプ部移動機構36は、操作部32が一方向に図3Aに示す位置(初期位置)から図3Cに示す位置(第1位置)まで移動されるとき、クランプ部35をクランプ位置からクランプ解除位置に移動させるように構成されている。また、蓋ロック部移動機構34は、操作部32が一方向に図3Cに示す位置(第1位置)から更に図3Dに示す位置(第2位置)まで移動されるとき、蓋ロック部33をロック位置からロック解除位置に移動させるように構成されている。これにより、操作部32を図3Aに示す位置から図3Dに示す位置まで移動させるという一連の動作によって、クランプ部35をクランプ解除位置に移動させた後、蓋ロック部33をロック解除位置に移動させることができる。これにより、使い勝手を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、クランプ部移動機構36のスライド板362とクランプアーム363とが外蓋3の面方向に移動するように構成されている。これにより、外蓋3の厚さの増加を抑えたコンパクトな構成で、使い勝手を向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、鍋2内の圧力が大気圧よりも高くなるように上昇したとき、ロック機構37がクランプ部移動機構36の動作をロックするように構成されている。これにより、鍋2内が高圧の状態で外蓋3が開位置に移動することを抑えることができ、安全性を向上させることができる。また、このとき、使用者が行うべき動作が増加しないので、使い勝手を一層向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、操作部32を一方向に図3Aに示す位置から図3Cに示す位置まで移動させるという一連の動作によって、排気弁83を排気位置に移動させた後、蓋ロック部33をロック解除位置に移動させるように構成されている。これにより、例えば、鍋2内の圧力が大気圧以下まで低下していない状態で外蓋3が開位置に移動することを抑えることができ、安全性を一層向上させることができる。また、このとき、使用者が行うべき動作が増加しないので、使い勝手を一層向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、第1位置検出素子91と第2位置検出素子92との相対位置に基づいて、クランプ部35がクランプ位置及びクランプ解除位置のいずれに位置するかを検出するように構成されている。これにより、例えば、クランプ部35がクランプ解除位置に位置する状態で調理が開始されることを抑えることができ、適切な圧力調理を行うことができる。また、このとき、使用者が行うべき動作が増加しないので、使い勝手を一層向上させることができる。
【0045】
本発明の第1態様によれば、
上部開口部が設けられた筐体と、
フランジ部を有し、前記上部開口部を通じて前記筐体内に収容される鍋と、
前記上部開口部を覆う閉位置と、前記上部開口部から離れた開位置とに移動可能な外蓋と、
前記外蓋に着脱自在に取り付けられ、前記外蓋の開閉動作に連動して前記鍋の開口部を開閉可能に覆う内蓋と、
前記内蓋と前記フランジ部とを厚さ方向に挟むクランプ位置と、前記内蓋及び前記フランジ部から離れたクランプ解除位置とに移動可能なクランプ部と、
前記筐体の一部に係合して前記外蓋を前記閉位置で保持するロック位置と、前記筐体の一部との係合が解除されるロック解除位置とに移動可能な蓋ロック部と、
前記外蓋に設けられ前記外蓋に対して相対移動可能である操作部と、
前記操作部の移動に連動して前記クランプ部を移動させるクランプ部移動機構と、
前記操作部の移動に連動して前記蓋ロック部を移動させる蓋ロック部移動機構と、
を備え、
前記クランプ部移動機構は、前記操作部が一方向に初期位置から第1位置まで移動されるとき、前記クランプ部を前記クランプ位置から前記クランプ解除位置に移動させ、
前記蓋ロック部移動機構は、前記操作部が前記一方向に前記第1位置から更に第2位置まで移動されるとき、前記蓋ロック部を前記ロック位置から前記ロック解除位置に移動させる、圧力調理器を提供する。
【0046】
本発明の第2態様によれば、前記操作部は、第1回動軸を中心として回動するように構成され、
前記クランプ部移動機構は、
前記操作部の一部に係合し、前記操作部が回動する際、前記第1回動軸に対して平行に配置された第2回動軸を中心として前記操作部とは反対方向に回動するように構成されたリンク部材と、
前記リンク部材の一部に係合し、前記リンク部材が回動する際、前記リンク部材に押圧又は牽引されて前記外蓋の面方向に沿う直線方向に進退移動するように構成されたスライド板と、
前記スライド板の一部に係合するとともに前記クランプ部に取り付けられ、前記スライド板が進退移動する際、前記スライド板に押圧又は牽引されて前記外蓋の面方向に沿い且つ前記直線方向に対して交差する交差方向に進退移動するように構成されたクランプアームと、
を備える、第1態様に記載の圧力調理器を提供する。
【0047】
本発明の第3態様によれば、前記内蓋と前記外蓋との間に設けられ、前記クランプ部移動機構の一部に係合可能なロック機構を更に備え、
前記内蓋は、前記鍋内の圧力が大気圧よりも高くなるように上昇したとき、当該圧力に押されて前記外蓋に近づく方向に移動可能に構成され、
前記ロック機構は、前記内蓋が前記外蓋に近づく方向に移動したとき、前記クランプ部移動機構の一部に係合して、前記クランプ部移動機構の動作をロックする、第1又は2態様に記載の圧力調理器を提供する。
【0048】
本発明の第4態様によれば、前記内蓋に設けられた蒸気排出穴を閉塞する閉塞位置と、前記蒸気排出穴を開放する排気位置に移動可能な排気弁を更に備え、
前記クランプ部移動機構は、前記操作部の移動に連動して前記排気弁及び前記クランプ部を移動させるように構成され、前記操作部が一方向に初期位置から第1位置まで移動されるとき、前記排気弁を前記閉塞位置から前記排気位置に移動させた後、前記クランプ部を前記クランプ位置から前記クランプ解除位置に移動させる、第1~3態様のいずれか1つに記載の圧力調理器を提供する。
【0049】
本発明の第5態様によれば、前記クランプ部移動機構に取り付けられた第1位置検出素子と、前記外蓋に取り付けられた第2位置検出素子とを備え、前記第1位置検出素子と前記第2位置検出素子との相対位置に基づいて、前記クランプ部が前記クランプ位置及び前記クランプ解除位置のいずれに位置するかを検出する位置検出部を更に備える、第1~4態様のいずれか1つに記載の圧力調理器を提供する。
【0050】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0051】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る圧力調理器は、使い勝手を向上させることができるので、例えば、圧力炊飯器として有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 筐体
1A 上部開口部
2 鍋
3 外蓋
3A ヒンジ軸
3a 貫通穴
4 加熱部
5 鍋温度センサ
6 制御部
7 入力部
8 内蓋
9 位置検出部
11 上壁
12 鍋収容部
12A 開口部
21 フランジ部
31 排気穴
32 操作部
32A 回動軸(第1回動軸)
32B 係合ピン
33 蓋ロック部
34 蓋ロック部移動機構
34A 回動軸
35 クランプ部
36 クランプ部移動機構
36A 回動軸(第2回動軸)
37 ロック機構
38 押圧ピン
41 底内加熱コイル
42 底外加熱コイル
81 パッキン
82 蒸気排出穴
83 排気弁
91 第1位置検出素子
92 第2位置検出素子
361 リンク部材
361A 係合軸
362 スライド板
362A 係合溝
362B カム溝
362C 傾斜面
362Ba 傾斜面
363 クランプアーム
363A カムピン
371 ロックピン
371A 回動軸
372 ロックレバー
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C