(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160171
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】クッション部品及びクッション
(51)【国際特許分類】
A47C 27/14 20060101AFI20231026BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20231026BHJP
H02K 35/00 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
A47C27/14 C
A47C27/14 D
A47C7/62 Z
H02K35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070323
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 傑
【テーマコード(参考)】
3B084
3B096
【Fターム(参考)】
3B084JC00
3B084JC01
3B084JC06
3B096AA01
3B096AC11
(57)【要約】
【課題】本開示は、クッション部品における、発電を含む一連の動作が、カバーの押し位置に依らずに実現される可能性を高めることを目的とする。
【解決手段】クッション部品2は、ベース4と、カバー3と、発電デバイスP1と、通信部T1と、第1圧縮ばね81と、第2圧縮ばね82と、を備える。発電デバイスP1は、駆動体5と、発電部64と、を有する。駆動体5は、カバー3の下面のうち中央部分に対向する。カバー3が下方に移動するとき、第1圧縮ばね81及び第2圧縮ばね82はそれぞれ、カバー3から受けた下向きの圧縮力を弾性エネルギーに変換し、駆動体5は、カバー3から第1圧縮ばね81を介して受けた力により運動し、発電部64は、駆動体5の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースの上方に配置されており、上下方向に移動するカバーと、
前記カバーと前記ベースとの間の空間に配置されており、前記カバーの下面のうち中央部分に対向する駆動体と、電気エネルギーを発生する発電部と、を有する発電デバイスと、
前記発電部で発生する前記電気エネルギーを用いて信号を送信する通信部と、
前記カバーと前記駆動体との間に配置された第1圧縮ばねと、
前記カバーと前記ベースとの間の前記空間に配置された第2圧縮ばねと、
を備え、
前記カバーが下方に移動するとき、
前記第1圧縮ばね及び前記第2圧縮ばねはそれぞれ、前記カバーから受けた下向きの圧縮力を弾性エネルギーに変換し、
前記駆動体は、前記カバーから前記第1圧縮ばねを介して受けた力により運動し、
前記発電部は、前記駆動体の運動エネルギーを前記電気エネルギーに変換する、
クッション部品。
【請求項2】
前記カバーが下方に移動するのに伴い、前記駆動体が所定の位置まで移動すると、前記通信部が前記信号を送信し、
前記駆動体が前記所定の位置まで移動した後、前記カバーが更に下方に移動すると、前記第1圧縮ばねは前記カバーから受けた前記下向きの圧縮力により圧縮される、
請求項1に記載のクッション部品。
【請求項3】
前記第1圧縮ばねと前記駆動体との間に挟まれた押し子を更に備え、
前記第1圧縮ばねは、前記カバーと前記押し子との間に挟まれている、
請求項1に記載のクッション部品。
【請求項4】
前記カバーが下方に移動するとき、前記押し子は下方に移動し、前記駆動体は前記押し子から下向きの力を受けて回転する、
請求項3に記載のクッション部品。
【請求項5】
前記第1圧縮ばねを2つ備え、
前記押し子は、
接触部と、
前記接触部の第1端につながっている第1支持部と、
前記接触部の第2端につながっている第2支持部と、を有し、
前記第2端は、前記第1端とは反対側の端であり、
前記2つの第1圧縮ばねのうち1つの第1圧縮ばねは、前記第1支持部と前記カバーとの間に配置されており、
前記2つの第1圧縮ばねのうち別の1つの第1圧縮ばねは、前記第2支持部と前記カバーとの間に配置されており、
前記接触部の下面は、前記駆動体の上面に接触し、
前記接触部の前記下面は、前記2つの第1圧縮ばねのそれぞれの下端よりも上側に位置する、
請求項3又は4に記載のクッション部品。
【請求項6】
前記押し子は、接触部を有し、
前記接触部の下面は、前記駆動体の上面に接触し、
前記接触部の前記下面と前記駆動体の前記上面とのうち少なくとも一方の断面形状は、円弧状である、
請求項3又は4に記載のクッション部品。
【請求項7】
所定の断面における前記接触部の前記下面の断面形状及び前記駆動体の前記上面の断面形状は、下に凸の円弧状であり、
前記所定の断面における前記接触部の前記下面の曲率半径は、前記駆動体の前記上面の曲率半径以下である、
請求項6に記載のクッション部品。
【請求項8】
前記第1圧縮ばねは、圧縮コイルばねである、
請求項1に記載のクッション部品。
【請求項9】
前記カバーが下方に移動するとき、前記駆動体から受けたねじり力を弾性エネルギーに変換するトーションスプリングを更に備える、
請求項1に記載のクッション部品。
【請求項10】
前記ベースと前記カバーとのうち少なくとも一方は、前記ベースに対する前記カバーの移動方向を前記上下方向に規制するガイド構造を有する、
請求項1に記載のクッション部品。
【請求項11】
前記カバーが上限位置を越えて上向きに移動することを規制する規制部を更に備え、
前記規制部は、弾性体である、
請求項1に記載のクッション部品。
【請求項12】
請求項1に記載のクッション部品と、
前記カバーよりも剛性が小さく、少なくとも前記カバーを覆う緩衝材と、を備える、
クッション。
【請求項13】
前記緩衝材は、
前記カバーを覆う上部緩衝材と、
前記上部緩衝材の下方に配置されており、前記ベースに結合された下部緩衝材と、を有し、
前記上部緩衝材は、前記下部緩衝材に結合されている、
請求項12に記載のクッション。
【請求項14】
前記緩衝材は、前記クッション部品のうち前記上下方向に沿った側面を覆っている、
請求項12又は13に記載のクッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般にクッション部品及びクッションに関し、より詳細には、発電デバイスを備えるクッション部品及びこのクッション部品を備えるクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の機械電気変換装置(クッション部品)は、第1基部(ベース)と、第2基部(カバー)と、ヒンジ部と、機械電気変換部(発電デバイス)と、を備える。ヒンジ部は、第1基部と第2基部とを連結する。機械電気変換部は、第1基部の一端と第2基部の一端とが近づく方向又は遠ざかる方向に移動することによる機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する。機械電気変換装置は、クッション又は椅子の座部などに設けられてよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の機械電気変換装置(クッション部品)では、例えば、第2基部(カバー)の中央ではなく、端の部分が押されて第1基部に近づく方向に移動した場合には、機械電気変換部(発電デバイス)が正常に発電しない可能性がある。このように、特許文献1では、第2基部(カバー)の押し位置によっては動作が安定しない可能性がある。
【0005】
本開示は、クッション部品における、発電を含む一連の動作が、カバーの押し位置に依らずに実現される可能性を高めることができるクッション部品及びクッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るクッション部品は、ベースと、カバーと、発電デバイスと、通信部と、第1圧縮ばねと、第2圧縮ばねと、を備える。前記カバーは、前記ベースの上方に配置されており、上下方向に移動する。前記発電デバイスは、駆動体と、発電部と、を有する。前記駆動体は、前記カバーと前記ベースとの間の空間に配置されており、前記カバーの下面のうち中央部分に対向する。前記発電部は、電気エネルギーを発生する。前記通信部は、前記発電部で発生する前記電気エネルギーを用いて信号を送信する。前記第1圧縮ばねは、前記カバーと前記駆動体との間に配置されている。前記第2圧縮ばねは、前記カバーと前記ベースとの間の前記空間に配置されている。前記カバーが下方に移動するとき、前記第1圧縮ばね及び前記第2圧縮ばねはそれぞれ、前記カバーから受けた下向きの圧縮力を弾性エネルギーに変換し、前記駆動体は、前記カバーから前記第1圧縮ばねを介して受けた力により運動し、前記発電部は、前記駆動体の運動エネルギーを前記電気エネルギーに変換する。
【0007】
本開示の一態様に係るクッションは、前記クッション部品と、緩衝材と、を備える。前記緩衝材は、前記カバーよりも剛性が小さい。前記緩衝材は、少なくとも前記カバーを覆う。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、クッション部品における、発電を含む一連の動作が、カバーの押し位置に依らずに実現される可能性を高めることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るクッション部品の断面図である。
【
図2】
図2は、同上のクッション部品を備えるクッションの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、同上のクッションを椅子に取り付けた様子を表す斜視図である。
【
図6】
図6は、同上のクッション部品の分解斜視図である。
【
図7】
図7は、同上のクッション部品の分解斜視図である。
【
図8】
図8は、同上のクッション部品の分解斜視図である。
【
図9】
図9は、同上のクッション部品の一部分の断面図である。
【
図10】
図10は、同上のクッション部品の別の一部分の断面図である。
【
図11】
図11は、同上のクッション部品の断面図であって、カバーが押されていない状態を表す。
【
図12】
図12は、同上のクッション部品の断面図であって、カバーが押された状態を表す。
【
図13】
図13は、同上のクッション部品の断面図であって、カバーが更に押された状態を表す。
【
図14】
図14は、変形例1に係るクッション部品の一部分の断面図である。
【
図15】
図15は、変形例2に係るクッション部品の一部分の断面図である。
【
図16】
図16は、同上のクッション部品の別の一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係るクッション部品及びクッションについて、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
(実施形態)
(概要)
図1に示すように、本実施形態のクッション部品2は、ベース4と、カバー3と、発電デバイスP1と、通信部T1と、第1圧縮ばね81と、第2圧縮ばね82と、を備える。カバー3は、ベース4の上方に配置されており、上下方向に移動する。発電デバイスP1は、駆動体5と、発電部64と、を有する。駆動体5は、カバー3とベース4との間の空間SP1に配置されており、カバー3の下面のうち中央部分300(
図8参照)に対向する。発電部64は、電気エネルギーを発生する。通信部T1は、発電部64で発生する電気エネルギーを用いて信号を送信する。第1圧縮ばね81は、カバー3と駆動体5との間に配置されている。第2圧縮ばね82は、カバー3とベース4との間の空間SP1に配置されている。カバー3が下方に移動するとき、第1圧縮ばね81及び第2圧縮ばね82はそれぞれ、カバー3から受けた下向きの圧縮力を弾性エネルギーに変換し、駆動体5は、カバー3から第1圧縮ばね81を介して受けた力により運動し、発電部64は、駆動体5の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0012】
本実施形態によれば、第1圧縮ばね81及び第2圧縮ばね82を設けたことにより、カバー3が下向きに押されて下方に移動するときに発電デバイスP1に加わる衝撃を、低減させることができる。また、発電デバイスP1の駆動体5には第1圧縮ばね81を介して力が加わるので、駆動体5に加わる衝撃を低減させることができる。
【0013】
また、カバー3が押されて駆動体5に力が伝達されることにより、駆動体5が運動し、発電部64が電気エネルギーを発生し、通信部T1が信号を送信する。このように、クッション部品2は、カバー3が押されるのに応じて通信部T1が信号を送信するという一連の動作を実現する。ここで、駆動体5は、カバー3の下面のうち中央部分300に対向する位置に配置されている。そのため、カバー3の上面のうち中央部分が押された場合に限らず、周縁部分が押された場合であっても、駆動体5に力が伝達されやすい。また、カバー3がまっすぐ下向きに押された場合に限らず、斜め下向きに押された場合であっても、駆動体5に力が伝達されやすい。つまり、駆動体5をカバー3の下面のうち中央部分300に対向する位置に配置することによって、クッション部品2の一連の動作(発電を含む)が、カバー3の押し位置及びカバー3を押す向きに依らずに実現される可能性が高まる。
【0014】
また、発電デバイスP1で振動が発生した場合に、第1圧縮ばね81及び第2圧縮ばね82で振動が減衰されることで、カバー3の上面に伝わる振動を低減させることができる。よって、カバー3の上面に触れた人が違和感を感じる可能性を低減させることができる。さらに、発電デバイスP1で発生する音の外部への拡散を抑制することができる。
【0015】
なお、本開示で言う「上」及び「下」は、クッション部品2の相対的な方向を表しているに過ぎない。つまり、ベース4から見てカバー3が配置された側を、便宜上、「上」と呼び、カバー3から見てベース4が配置された側を、便宜上、「下」と呼んでいるに過ぎない。本開示で言う「上」及び「下」は、これによりクッション部品2の使用方向を限定する趣旨ではない。本開示で言う「上」が、例えば、下、前、後、左又は右となる向きで、クッション部品2が使用されてもよい。あるいは、本開示で言う「上」が、実際の上となる向きで、クッション部品2が使用されてもよい。
【0016】
一例として、クッション部品2を備えるクッション1が座布団として使用される場合には、本開示で言う「上」が、実際の上となる向きで、クッション部品2が使用される。つまり、クッション1は、カバー3側が表であってベース4側が裏となる向きで椅子C1(
図5参照)又は床等に敷かれる。人がクッション1に座ることによって、カバー3が人の重みで押されて下方に移動し、これに伴い、駆動体5が下向きに運動し、発電部64は、駆動体5の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。また、人がクッション1に座った状態から立ち上がって、クッション1に座っていない状態になると、クッション部品2の構成(後述のトーションスプリング83)の弾性的作用により駆動体5が上向きに運動し、発電部64は、駆動体5の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0017】
本実施形態では、クッション1が座布団として使用される場合を例に説明する。
【0018】
また、以下では、発電デバイスP1の長手方向を「左右方向」とし、カバー3とベース4とが並んでいる方向(上下方向)及び左右方向の両方と直交する方向を「前後方向」として説明するが、これによりクッション部品2の使用方向を限定する趣旨ではない。
図1、
図10における前後、左右、上下を表す矢印はそれぞれ、説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0019】
(詳細)
(1)クッション
図2~
図4に示すように、クッション1は、クッション部品2と、緩衝材11と、底板13と、を備える。緩衝材11は、上部緩衝材111と、下部緩衝材112と、を有する。
【0020】
緩衝材11は、カバー3よりも剛性が小さく、少なくともカバー3を覆うように構成されている。緩衝材11は、内部に空気の層を有している。緩衝材11は、例えば、ウレタンフォームから構成されている。
【0021】
上部緩衝材111の形状は、円盤状である。上部緩衝材111は、カバー3を覆っている。より詳細には、上部緩衝材111は、カバー3を上から覆っている。
【0022】
下部緩衝材112の形状は、円筒状である。下部緩衝材112は、上部緩衝材111の下方に配置されている。下部緩衝材112は、上部緩衝材111の下面から下方に突出している。
【0023】
下部緩衝材112は、上部緩衝材111に結合されている。一例として、下部緩衝材112は、粘着テープ又は接着剤を介して上部緩衝材111に結合されている。別の一例として、下部緩衝材112は、上部緩衝材111と一体に形成されることで上部緩衝材111に結合されている。
【0024】
また、下部緩衝材112は、ベース4に結合されている。より詳細には、下部緩衝材112は、底板13を介して、ベース4に結合されている。
【0025】
底板13は、例えば、酢酸ビニルを材料として形成されている。底板13の形状は、円盤状である。底板13の厚さは、上部緩衝材111の厚さよりも小さい。底板13は、ベース4を覆っている。より詳細には、底板13の上面は、ベース4の下面に対向している。また、底板13の上面は、下部緩衝材112の下面に対向している。
【0026】
また、底板13は、ベース4に結合されている。さらに、底板13は、下部緩衝材112に結合されている。例えば、底板13は、粘着テープ又は接着剤を介してベース4及び下部緩衝材112に結合されている。よって、下部緩衝材112は、底板13を介して、ベース4に結合されている。
【0027】
緩衝材11は、クッション部品2のうち上下方向に沿った側面を覆っている。より詳細には、下部緩衝材112が上記側面を覆っている。更に詳細には、下部緩衝材112は、上下方向と直交する平面においてクッション部品2を環状に囲むように配置されている。
【0028】
クッション1は、一例として、
図5に示すように、座布団カバーV1に収容されて使用される。座布団カバーV1は、一例として、座布団カバーV1に取り付けられたバンドV2により椅子C1の背もたれC11又は座板C12等に固定される。なお、座布団カバーV1が固定されることは必須ではない。また、クッション1を座布団カバーV1に収容することも必須ではない。
【0029】
上部緩衝材111に人が座ること等により、上部緩衝材111が下に押されると、上部緩衝材111を介してカバー3に下向きの力が加わり、カバー3が下方に移動する。そして、カバー3に加えられた力が、発電デバイスP1に伝達される。上部緩衝材111が存在することによって、カバー3に直接力が加えられる場合と比較して、発電デバイスP1に加わる衝撃を低減させることができる。よって、発電デバイスP1に不具合が発生する可能性を低減させることができる。
【0030】
図4は、上部緩衝材111が押されていない状態のクッション1を表している。上部緩衝材111が押されていないとき、
図4に示すように、カバー3の上面は、下部緩衝材112の上面と同一平面上に存在する。上部緩衝材111が下に押されると、緩衝材11が下向きに圧縮されながら、カバー3が下方に移動する。上部緩衝材111を押す力が取り除かれると、クッション部品2の構成の弾性的作用により、カバー3は、押される前の位置に戻るように上方に移動する。つまり、カバー3は、上部緩衝材111を押しながら、ベース4に対して上方に移動する。ここで、上部緩衝材111が下部緩衝材112に結合されているので、上部緩衝材111が下部緩衝材112に結合されていない場合と比較して、カバー3が上方へ勢いよく移動する可能性を低減させることができる。これにより、クッション部品2に加わる衝撃を低減させることができる。よって、クッション部品2に不具合が発生する可能性を低減させることができる。
【0031】
また、緩衝材11は、吸音材及び制振材として機能する。底板13は、制振材及び遮音材として機能する。つまり、緩衝材11及び底板13は、クッション部品2の機械的動作により発生する音の、外部への拡散を抑制する。これにより、クッション1を静音化することができる。
【0032】
(2)カバー及びベース
次に、
図6~
図9を参照して、クッション部品2のカバー3及びベース4について説明する。
【0033】
カバー3及びベース4は、例えば、金属又は合成樹脂を材料として形成されている。
【0034】
カバー3は、カバー本体30と、第1筒部31と、複数(
図8では6つ)の第1結合部32と、複数(
図8では6つ)のボス部33と、複数(
図8では2つ)のばね保持部34と、を有する。
【0035】
カバー本体30の上面の形状は、円状である。カバー本体30の形状は、円盤状である。カバー本体30の周縁部分は、中央部分よりも下方に突出している。
【0036】
第1筒部31の形状は、円筒状である。第1筒部31は、カバー本体30の下面から下方に突出している。第1筒部31は、複数(
図8では4つ)のガイド構造311を有する。複数のガイド構造311は、第1筒部31の周方向において並んでいる。各ガイド構造311は、第1筒部31の内周縁から外向きに窪んだ凹部である。この凹部は、上下方向に延びている。複数のガイド構造311は、ベース4の後述の複数のガイド構造411と嵌合する。
【0037】
複数の第1結合部32の各々の形状は、円筒状である。複数の第1結合部32は、カバー本体30の下面から下方に突出している。複数の第1結合部32は、カバー本体30の下面の中央部分300の周囲に、環状に並んでいる。
【0038】
複数のボス部33の各々の形状は、円筒状である。複数のボス部33は、カバー本体30の下面から下方に突出している。複数のボス部33は、複数の第1結合部32と一対一で対応している。各ボス部33は、対応する第1結合部32の内側に配置されている。
【0039】
複数のばね保持部34の各々の形状は、円柱状である。複数のばね保持部34は、カバー本体30の下面の中央部分300に配置されている。より詳細には、複数のばね保持部34は、中央部分300から下方に突出している。
【0040】
カバー本体30の下面のうち、各ばね保持部34の周囲には、第1圧縮ばね81の上端が挿入される凹部35が設けられている(
図8、
図10参照)。
【0041】
ベース4は、ベース本体40と、第2筒部41と、複数(
図6では6つ)の第2結合部42と、収容部43と、を有する。
【0042】
ベース本体40の形状は、円盤状である。ベース本体40は、カバー本体30の下方に配置されている。
【0043】
第2筒部41の形状は、円筒状である。第2筒部41は、ベース本体40の上面から上方に突出している。
【0044】
第2筒部41と第1筒部31とは同心状であって、一方の内面が他方の外面に対向していることが好ましい。これにより、カバー3が上下方向と交差する方向に移動することが抑制される。本実施形態では、
図9に示すように、第1筒部31の内面が第2筒部41の外面に対向している。
【0045】
第2筒部41は、複数(
図6では4つ)のガイド構造411を有する。複数のガイド構造411は、第2筒部41の周方向において並んでいる。各ガイド構造411は、第2筒部41の外周縁から外向きに突出した凸部である。この凸部は、上下方向に延びた角柱状に形成されている。複数のガイド構造411は、カバー3の複数のガイド構造311と一対一で対応する。各ガイド構造411は、対応するガイド構造311と嵌合する。これにより、カバー3は、ベース4に対して上下方向に移動することが可能な一方で、上下方向と交差する方向に移動することや、上下方向に沿った軸を中心に回転移動することが、ガイド構造311とガイド構造411との干渉により抑制される。このように、ベース4とカバー3とのうち少なくとも一方(本実施形態では両方)は、ベース4に対するカバー3の移動方向を上下方向に規制するガイド構造311又は411を有することが好ましい。
【0046】
複数の第2結合部42の各々の形状は、円筒状である。複数の第2結合部42は、ベース本体40の上面から上方に突出している。複数の第2結合部42は、複数の第1結合部32と一対一で対応している。各第2結合部42は、対応する第1結合部32と対向する位置に配置されている。
【0047】
互いに対応する第1結合部32及び第2結合部42は同心状であって、一方の内面が他方の外面に対向していることが好ましい。本実施形態では、
図9に示すように、第1結合部32の内面が第2結合部42の外面に対向している。
【0048】
第2結合部42の内側には、ボス部33が挿入されている。ボス部33の内側には、ビス又はボルト等の締結部材21が挿入されている。さらに、締結部材21とボス部33との間には、規制部22が挟まれている。本実施形態の規制部22は、ワッシャである。
【0049】
ボス部33は、第2結合部42の内側を上下方向に移動可能である。つまり、カバー3全体が上下方向に移動するとき、ボス部33は第2結合部42の内側を上下方向に移動する。
図9に示すように、カバー3が上限位置にあるとき、規制部22は、第2結合部42に接触する。規制部22が第2結合部42と接触することによって、カバー3が上限位置よりも上に移動することが抑制される。つまり、規制部22は、ボス部33が第2結合部42から抜けることを規制する抜け止めとして機能する。このように、クッション部品2は、カバー3が上限位置を越えて上向きに移動することを規制する規制部22を備える。規制部22は、弾性体である。規制部22の材料は、例えば、ゴムである。本実施形態のクッション部品2は、規制部22を複数(
図8では6つ)備える。複数の規制部22は、複数のボス部33と一対一で対応する。各規制部22は、対応するボス部33に、締結部材21により取り付けられている。
【0050】
収容部43の形状は、上面が開口した箱状である。収容部43には、発電デバイスP1が収容される。また、カバー3が下方に移動すると、駆動体5が下方に移動して、駆動体5の少なくとも一部が収容部43に挿入される。
【0051】
(3)発電デバイス
図1に示すように、発電デバイスP1は、駆動体5と、操作子61と、ばね部材62と、可動部材63と、発電部64と、筐体65と、を備える。発電部64は、コア641と、コア641が挿入されたコイル642と、複数(
図1では2つ)の永久磁石643と、複数のヨークと、を含む。
【0052】
筐体65は、駆動体5の回転軸51を支持する軸支持部を有する。筐体65は、駆動体5の一部と、操作子61と、ばね部材62と、可動部材63と、発電部64と、通信部T1と、を収容している。
【0053】
図11に示すように、駆動体5は、回転軸51と、切替部52と、受圧部53と、を有する。
【0054】
回転軸51は、切替部52から前後方向に突出している。駆動体5は、回転軸51を中心に回転可能である。
【0055】
受圧部53は、切替部52から延びている。受圧部53は、上面から下方に窪んだ凹面530を有する。
【0056】
カバー3が下方に移動するとき、受圧部53がカバー3から力を受ける。これにより、駆動体5が回転軸51を中心に回転する。すなわち、このとき、切替部52も回転する。切替部52は、操作子61に力を加えて、可動部材63を移動させる。
【0057】
駆動体5は、カバー3が下方に移動するとき、第1方向(
図11の時計回りの方向)に回転し、カバー3が上方に移動するとき、第1方向とは反対向きの第2方向(
図11の反時計回りの方向)に回転する。
【0058】
操作子61は、左右方向に互いに離隔した第1ボタン611及び第2ボタン612を有する。カバー3が下方に移動すると、駆動体5の回転に伴って第1ボタン611が切替部52に押される。一方で、カバー3が上方に移動すると、駆動体5の回転に伴って第2ボタン612が切替部52に押される。
【0059】
第1ボタン611が押されると、操作子61は軸613を中心に第1方向に回転する。第2ボタン612が押されると、操作子61は軸613を中心に第2方向に回転する。
【0060】
ばね部材62は、板ばねである。ばね部材62は、可動部材63に保持されている。第1ボタン611又は第2ボタン612が押され操作子61が回転すると、操作子61からの力がばね部材62を介して可動部材63に伝達され、可動部材63が移動する。第2ボタン612が押された場合は、可動部材63は、
図11に示す第2位置に移動する。第1ボタン611が押された場合は、可動部材63は、
図12、
図13に示す第1位置に移動する。
【0061】
可動部材63は、発電部64の複数の永久磁石643及び複数のヨークを保持している。複数のヨークは、複数の永久磁石643で発生する磁束を通す磁路を形成する。可動部材63が第1位置から第2位置へ、又は、第2位置から第1位置へ移動すると、複数の永久磁石643及び複数のヨークと、コア641及びコイル642と、の相対的な位置関係が変化する。これにより、コイル642中の磁場が変化するので、コイル642に誘導電流が流れる。このようにして、発電部64は、駆動体5の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。つまり、駆動体5の動きに伴ってコイル642と複数の永久磁石643との間の相対移動が生じ、発電部64は電磁誘導によって発電する。
【0062】
(4)通信部
図1に示すように、通信部T1は、基板T11と、アンテナT12と、種々の電子部品と、を有する。電子部品は、基板T11に実装される。電子部品は、例えば、電源回路、制御回路、メモリ、及び送信回路等を構成する。
【0063】
通信部T1は、発電部64で発生した電力(電気エネルギー)を電源として用いて動作する。さらに、通信部T1は、発電部64で発生した電力を電気信号として用い、この電気信号に応じて検知情報を生成する。通信部T1は、生成した検知情報を含む信号を、電波を伝送媒体とする無線通信によって、アンテナT12から受信装置に送信する。通信部T1の通信方式は、例えばWiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又は、特定小電力無線等である。特定小電力無線は、免許及び登録を必要としない小電力無線であって、例えば日本国においては、420MHz帯又は920MHz帯の電波を使用する小電力無線である。
【0064】
可動部材63の移動に伴って、発電部64では、電気信号としての電力が発生する。可動部材63が第1位置から第2位置に移動するときと、可動部材63が第2位置から第1位置に移動するときとでは、発電部64から出力される電気信号が異なる(例えば極性が異なる)。つまり、カバー3が下方に移動するときと、カバー3が上方に移動するときとでは、発電部64から出力される電気信号が異なる(例えば極性が異なる)。通信部T1は、発電部64から出力される電気信号に基づいて、カバー3の移動の向きに応じた検知情報を生成し、受信装置に送信する。つまり、カバー3が押されると、通信部T1は、所定の第1信号を送信する。また、カバー3を押す力が取り除かれると、通信部T1は、第1信号とは異なる第2信号を送信する。これにより、受信装置は、受信した信号に基づいて、カバー3の移動の向きを識別可能である。
【0065】
(5)トーションスプリング
図6に示すように、クッション部品2は、トーションスプリング83を更に備える。トーションスプリング83は、カバー3が下方に移動するとき、駆動体5から受けたねじり力を弾性エネルギーに変換する。
【0066】
トーションスプリング83は、2つのコイル部831と、アーム部832と、を有する。2つのコイル部831の軸方向は、前後方向に沿っている。2つのコイル部831は、発電デバイスP1の筐体65に保持されている。アーム部832は、2つのコイル部831を連結している。アーム部832は、駆動体5の下面に接触している(
図11参照)。カバー3が下方に移動するとき、アーム部832は、駆動体5から下向きの力を受ける。アーム部832は、駆動体5から受けた力を2つのコイル部831に伝達する。これにより、2つのコイル部831がねじり力を受け、ねじり力を弾性エネルギーに変換する。
【0067】
カバー3を押す力が取り除かれると、トーションスプリング83が弾性エネルギーを用いて駆動体5を上方に押す。これにより、駆動体5及びカバー3が上方に移動する。そして、発電部64は、駆動体5が上向きに移動するときの駆動体5の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0068】
カバー3を、押される前の位置に復帰させるための構成として、圧縮コイルばね等を用いる場合と比較して、トーションスプリング83を用いることにより、クッション部品2を薄型化することができる。
【0069】
(6)押し子
図6、
図7、
図10、
図11に示すように、クッション部品2は、押し子7を更に備える。押し子7は、2つの第1圧縮ばね81と駆動体5との間に挟まれている。2つの第1圧縮ばね81は、カバー3と押し子7との間に挟まれている。また、カバー3が下方に移動するとき、押し子7は下方に移動し、駆動体5は押し子7から下向きの力を受けて回転する。
【0070】
押し子7は、接触部73と、第1支持部71と、第2支持部72と、を有する。接触部73の形状は、板状である。第1支持部71は、接触部73の第1端(後端)につながっている。第2支持部72は、接触部73の第2端(前端)につながっている。第2端は、第1端とは反対側の端である。
【0071】
2つの第1圧縮ばね81のうち1つの第1圧縮ばね81は、第1支持部71とカバー3との間に配置されており、2つの第1圧縮ばね81のうち別の1つの第1圧縮ばね81は、第2支持部72とカバー3との間に配置されている。
【0072】
図10、
図11に示すように、接触部73の下面730は、駆動体5の上面(凹面530)に接触する。接触部73の下面730は、2つの第1圧縮ばね81のそれぞれの下端810(ばね座)よりも上側に位置する。より詳細には、
図10に示すように、第1支持部71は、第1圧縮ばね81の下端810が挿入される凹部710を有し、凹部710の底面が、接触部73の下面730より下側に設けられている。同様に、第2支持部72は、第1圧縮ばね81の下端810が挿入される凹部720を有し、凹部720の底面が、接触部73の下面730より下側に設けられている。
【0073】
上述の通り、押し子7は、接触部73を有し、接触部73の下面730は、駆動体5の上面(凹面530)に接触する。ここで、接触部73の下面730と駆動体5の上面(凹面530)とのうち少なくとも一方の断面形状は、円弧状であることが好ましい。これにより、接触部73を駆動体5に安定的に接触させることができる。つまり、下面730と凹面530とが共に平面である場合と比較して、下面730と凹面530との接触面積の大きさが、クッション部品2の各構成のがたつき又は製造誤差等に起因して変化する可能性を低減させることができる。
【0074】
本実施形態では、
図11に示すように、前後方向と直交する断面における下面730の断面形状が円弧状である。同断面において、凹面530のうち下面730と接触する領域の断面形状は、直線状である。
【0075】
また、
図10に示すように、左右方向と直交する断面における下面730及び凹面530の断面形状は、直線状である。下面730は、全体として円柱側面状に形成されている。
【0076】
(7)第1圧縮ばね
クッション部品2は、複数(
図7では2つ)の第1圧縮ばね81を備える。各第1圧縮ばね81の伸縮方向は、上下方向に沿っている。
【0077】
各第1圧縮ばね81は、例えば、金属を材料として形成されている。各第1圧縮ばね81は、圧縮コイルばねである。各第1圧縮ばね81の軸方向は、上下方向に沿っている。
【0078】
2つの第1圧縮ばね81は、前後に並んでいる。2つの第1圧縮ばね81は、2つのばね保持部34(
図8参照)と一対一で対応している。各第1圧縮ばね81は、対応するばね保持部34を囲む螺旋状に形成されている。さらに、各第1圧縮ばね81の上端は、対応する凹部35に挿入されており、カバー本体30の下面に接触している。各第1圧縮ばね81の下端810は、押し子7の凹部710又は720に挿入されている。
【0079】
カバー3が下方に移動するのに伴い、駆動体5が所定の位置まで移動すると、通信部T1(
図1参照)が信号を送信する。所定の位置は、
図12に示す位置である。駆動体5が所定の位置まで移動した後、カバー3が更に下方に移動すると、2つの第1圧縮ばね81はカバー3から受けた下向きの圧縮力により圧縮される。より詳細には、
図11では、カバー3が押されていない状態であり、駆動体5が初期位置にある。ここから、カバー3が押されて駆動体5が
図12に示す位置(所定の位置)まで移動すると、発電部64が電気エネルギーを発生し、この電気エネルギーを用いて通信部T1が信号を送信する。その後、カバー3が更に押されると、
図13に示すように、駆動体5が移動することなく、2つの第1圧縮ばね81が圧縮される。このように、本実施形態のクッション部品2は、カバー3のオーバートラベルが可能に構成されている。つまり、駆動体5が所定の位置にあるときのカバー3の位置(動作点)から、カバー3を更に押して移動させることが可能である。
【0080】
駆動体5が初期位置から所定の位置まで移動する際には、2つの第1圧縮ばね81は、圧縮されてもよいし、圧縮されなくてもよい。
【0081】
仮に駆動体5が初期位置から所定の位置まで移動した時点で2つの第1圧縮ばね81が限界まで圧縮された状態になる場合には、カバー3が更に押されたときの衝撃を2つの第1圧縮ばね81で吸収することができない。これに対して、本実施形態では、駆動体5が所定の位置にある状態から2つの第1圧縮ばね81を圧縮させながらカバー3を押すことが可能であり、2つの第1圧縮ばね81により衝撃を吸収することができる。
【0082】
カバー3が押されることで、各第1圧縮ばね81は、弾性エネルギーを蓄える。カバー3を押す力が取り除かれると、各第1圧縮ばね81は、弾性エネルギーを用いてカバー3を上方に押す。
【0083】
(8)第2圧縮ばね
クッション部品2は、複数(
図7では6つ)の第2圧縮ばね82を備える。各第2圧縮ばね82の伸縮方向は、上下方向に沿っている。
【0084】
各第2圧縮ばね82は、例えば、金属を材料として形成されている。各第2圧縮ばね82は、圧縮コイルばねである。各第2圧縮ばね82の軸方向は、上下方向に沿っている。
【0085】
複数の第2圧縮ばね82は、カバー本体30の下面の中央部分300(
図8参照)の周囲に、環状に並んでいる。より詳細には、複数の第2圧縮ばね82は、複数の第1結合部32と一対一で対応している。
図9に示すように、各第2圧縮ばね82は、対応する第1結合部32と、この第1結合部32に対応する第2結合部42と、を囲む螺旋状に形成されている。
【0086】
各第2圧縮ばね82の上端は、カバー本体30に接触しており、下端は、ベース本体40に接触している。
【0087】
カバー3が押されることで、各第2圧縮ばね82は、弾性エネルギーを蓄える。カバー3を押す力が取り除かれると、各第2圧縮ばね82は、弾性エネルギーを用いてカバー3を上方に押す。
【0088】
(9)使用例
クッション部品2のカバー3が押されると、通信部T1は、所定の第1信号を受信装置に送信する。また、カバー3を押す力が取り除かれると、通信部T1は、第1信号とは異なる第2信号を受信装置に送信する。そのため、クッション部品2を備えるクッション1が座布団として使用される場合に、受信装置は、通信部T1から送信される信号に基づいて、クッション1への着席状況を判断できる。例えば、受信装置は、人の着席と離席との履歴を得ることができる。また、複数のクッション1を用いれば、受信装置は例えば、着席人数を検知することができる。
【0089】
別の一例として、クッション1は、椅子C1(
図5参照)の背もたれC11に取り付けられてもよいし、ソファ又はベッド等に備えられてもよい。
【0090】
別の一例として、クッション1は、操作パネルとして使用されてもよい。つまり、受信装置は、クッション1に荷重がかかっている負荷状態と、荷重がかかっていない解放状態とを識別できるので、負荷状態のときに所定の制御(ドアを開く等)を行い、解放状態のときに別の制御(ドアを閉める等)を行ってもよい。
【0091】
(変形例1)
以下、変形例1に係るクッション部品2について、
図14を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
上述の実施形態では、
図10に示すように、左右方向と直交する断面における接触部73の下面730の断面形状は、直線状である。これに対して、本変形例1では、
図14に示すように、左右方向と直交する断面における接触部73の下面730の断面形状は、円弧状である。同断面において、下面730と凹面530とが接触する。また、上述の実施形態と同様に本変形例1でも、
図11に示すように、前後方向と直交する断面における下面730の断面形状は円弧状である。同断面において、下面730と凹面530とが接触する。下面730は、全体として、球面状に形成されている。
【0093】
本変形例1でも、下面730と凹面530とが共に平面である場合と比較して、接触部73を駆動体5に安定的に接触させることができる。
【0094】
(変形例2)
以下、変形例2に係るクッション部品2について、
図15、
図16を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
本変形例2では、
図15に示すように、左右方向と直交する断面における接触部73の下面730の断面形状は、円弧状である。同断面における駆動体5の上面(凹面530)の形状は、円弧状である。同断面において、下面730と凹面530とが接触する。
【0096】
また、
図16に示すように、前後方向と直交する断面における下面730の断面形状は円弧状である。同断面における駆動体5の上面(凹面530)の形状は、円弧状である。同断面において、下面730と凹面530とが接触する。
【0097】
下面730は、全体として、球面状に形成されている。凹面530も、全体として、球面状に形成されている。
【0098】
このように、接触部73の下面730の断面形状及び駆動体5の上面(凹面530)の断面形状は、下に凸の円弧状である。より詳細には、左右方向と直交する断面と、前後方向と直交する断面と、のそれぞれにおいて、下面730及び凹面530が、下に凸の円弧状である。
【0099】
また、接触部73の下面730の曲率半径は、駆動体5の上面(凹面530)の曲率半径以下である。曲率半径が上記のような関係なので、下面730と凹面530との接触が安定する。より詳細には、左右方向と直交する断面において、下面730の曲率半径が凹面530の曲率半径と等しい。さらに、前後方向と直交する断面において、下面730の曲率半径が凹面530の曲率半径よりも小さい。
【0100】
なお、下面730の形状及び凹面530の形状としては、様々な組み合わせが可能である。例えば、球面状と、円柱側面状と、平面状と、の中から、下面730の形状が選択されてもよく、さらに、球面状と、円柱側面状と、平面状と、の中から、凹面530の形状が選択されてもよい。
【0101】
また、下面730の断面形状及び凹面530の断面形状は、上に凸の円弧状であってもよい。
【0102】
(実施形態のその他の変形例)
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、上述の各変形例と適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0103】
第1圧縮ばね81の個数は、2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0104】
第2圧縮ばね82の個数は、6つに限定されず、1~5つ又は7つ以上であってもよい。
【0105】
第1圧縮ばね81は、例えば、板ばねであってもよい。第2圧縮ばね82は、例えば、板ばねであってもよい。
【0106】
ガイド構造311とガイド構造411とは、一例として、凹部と凸部との組み合わせであってよく、ガイド構造311が凹部でガイド構造411が凸部でもよいし、あるいは、ガイド構造311が凸部でガイド構造411が凹部でもよい。
【0107】
ガイド構造311とガイド構造411との組は、実施形態では4つ存在するが、1~3つ又は5つ以上存在してもよい。
【0108】
クッション部品2は、カバー3を押す力が取り除かれたときに弾性エネルギーを用いて駆動体5及びカバー3を上方に押すための構成として、トーションスプリング83に代えて、圧縮ばねを備えていてもよい。
【0109】
カバー3が押されたときに、駆動体5は、回転移動ではなく、直線移動をするように構成されていてもよい。
【0110】
通信部T1は、受信装置と有線通信するように構成されていてもよい。
【0111】
発電部64は、コア641を有していなくてもよい。
【0112】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0113】
第1の態様に係るクッション部品(2)は、ベース(4)と、カバー(3)と、発電デバイス(P1)と、通信部(T1)と、第1圧縮ばね(81)と、第2圧縮ばね(82)と、を備える。カバー(3)は、ベース(4)の上方に配置されており、上下方向に移動する。発電デバイス(P1)は、駆動体(5)と、発電部(64)と、を有する。駆動体(5)は、カバー(3)とベース(4)との間の空間(SP1)に配置されており、カバー(3)の下面のうち中央部分(300)に対向する。発電部(64)は、電気エネルギーを発生する。通信部(T1)は、発電部(64)で発生する電気エネルギーを用いて信号を送信する。第1圧縮ばね(81)は、カバー(3)と駆動体(5)との間に配置されている。第2圧縮ばね(82)は、カバー(3)とベース(4)との間の空間(SP1)に配置されている。カバー(3)が下方に移動するとき、第1圧縮ばね(81)及び第2圧縮ばね(82)はそれぞれ、カバー(3)から受けた下向きの圧縮力を弾性エネルギーに変換し、駆動体(5)は、カバー(3)から第1圧縮ばね(81)を介して受けた力により運動し、発電部(64)は、駆動体(5)の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0114】
上記の構成によれば、クッション部品(2)の一連の動作(発電を含む)が、カバー(3)の押し位置に依らずに実現される可能性が高まる。
【0115】
また、第2の態様に係るクッション部品(2)では、第1の態様において、カバー(3)が下方に移動するのに伴い、駆動体(5)が所定の位置まで移動すると、通信部(T1)が信号を送信する。駆動体(5)が所定の位置まで移動した後、カバー(3)が更に下方に移動すると、第1圧縮ばね(81)はカバー(3)から受けた下向きの圧縮力により圧縮される。
【0116】
上記の構成によれば、駆動体(5)が所定の位置まで移動した時点で第1圧縮ばね(81)が限界まで圧縮された状態になる場合と比較して、カバー(3)が下向きに押されて下方に移動するときに発電デバイス(P1)に加わる衝撃を低減させることができる。
【0117】
また、第3の態様に係るクッション部品(2)は、第1又は2の態様において、押し子(7)を更に備える。押し子(7)は、第1圧縮ばね(81)と駆動体(5)との間に挟まれている。第1圧縮ばね(81)は、カバー(3)と押し子(7)との間に挟まれている。
【0118】
上記の構成によれば、押し子(7)を設けたことにより、第1圧縮ばね(81)を安定的に保持できる。
【0119】
また、第4の態様に係るクッション部品(2)では、第3の態様において、カバー(3)が下方に移動するとき、押し子(7)は下方に移動し、駆動体(5)は押し子(7)から下向きの力を受けて回転する。
【0120】
上記の構成によれば、カバー(3)に加えられた下向きの力を、押し子(7)により駆動体(5)の回転運動に変換することができる。
【0121】
また、第5の態様に係るクッション部品(2)は、第3又は4の態様において、第1圧縮ばね(81)を2つ備える。押し子(7)は、接触部(73)と、接触部(73)の第1端につながっている第1支持部(71)と、接触部(73)の第2端につながっている第2支持部(72)と、を有する。第2端は、第1端とは反対側の端である。2つの第1圧縮ばね(81)のうち1つの第1圧縮ばね(81)は、第1支持部(71)とカバー(3)との間に配置されており、2つの第1圧縮ばね(81)のうち別の1つの第1圧縮ばね(81)は、第2支持部(72)とカバー(3)との間に配置されている。接触部(73)の下面(730)は、駆動体(5)の上面(凹面530)に接触する。接触部(73)の下面(730)は、2つの第1圧縮ばね(81)のそれぞれの下端(810)よりも上側に位置する。
【0122】
上記の構成によれば、接触部(73)の上面に2つの第1圧縮ばね(81)の下端(810)が接触している場合よりも、2つの第1圧縮ばね(81)の上端から駆動体(5)の下端までの間の上下方向の長さを短くできる。すなわち、駆動体(5)及び2つの第1圧縮ばね(81)を含むユニットを、薄型化することができる。
【0123】
また、第6の態様に係るクッション部品(2)では、第3~5の態様のいずれか1つにおいて、押し子(7)は、接触部(73)を有する。接触部(73)の下面(730)は、駆動体(5)の上面(凹面530)に接触する。接触部(73)の下面(730)と駆動体(5)の上面とのうち少なくとも一方の断面形状は、円弧状である。
【0124】
上記の構成によれば、接触部(73)を駆動体(5)に安定的に接触させることができる。
【0125】
また、第7の態様に係るクッション部品(2)では、第6の態様において、所定の断面における接触部(73)の下面(730)の断面形状及び駆動体(5)の上面(凹面530)の断面形状は、下に凸の円弧状である。所定の断面における接触部(73)の下面(730)の曲率半径は、駆動体(5)の上面の曲率半径以下である。
【0126】
上記の構成によれば、接触部(73)を駆動体(5)に、より安定的に接触させることができる。
【0127】
また、第8の態様に係るクッション部品(2)では、第1~7の態様のいずれか1つにおいて、第1圧縮ばね(81)は、圧縮コイルばねである。
【0128】
上記の構成によれば、発電デバイス(P1)に加わる衝撃を低減させることができる。
【0129】
また、第9の態様に係るクッション部品(2)は、第1~8の態様のいずれか1つにおいて、トーションスプリング(83)を更に備える。トーションスプリング(83)は、カバー(3)が下方に移動するとき、駆動体(5)から受けたねじり力を弾性エネルギーに変換する。
【0130】
上記の構成によれば、トーションスプリング(83)により、駆動体(5)に復帰力を与えることができる。
【0131】
また、第10の態様に係るクッション部品(2)では、第1~9の態様のいずれか1つにおいて、ベース(4)とカバー(3)とのうち少なくとも一方は、ガイド構造(311、411)を有する。ガイド構造(311、411)は、ベース(4)に対するカバー(3)の移動方向を上下方向に規制する。
【0132】
上記の構成によれば、クッション部品(2)の一連の動作が、カバー(3)の押し位置に依らずに実現される可能性が更に高まる。
【0133】
また、第11の態様に係るクッション部品(2)は、第1~10の態様のいずれか1つにおいて、規制部(22)を更に備える。規制部(22)は、カバー(3)が上限位置を越えて上向きに移動することを規制する。規制部(22)は、弾性体である。
【0134】
上記の構成によれば、規制部(22)は弾性体なので、カバー(3)が上限位置に到達したときに、規制部(22)がベース(4)又はカバー(3)等に衝突して発生する異音を抑えることができる。
【0135】
第1の態様以外の構成については、クッション部品(2)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0136】
また、第12の態様に係るクッション(1)は、第1~11の態様のいずれか1つに係るクッション部品(2)と、緩衝材(11)と、を備える。緩衝材(11)は、カバー(3)よりも剛性が小さい。緩衝材(11)は、少なくともカバー(3)を覆う。
【0137】
上記の構成によれば、緩衝材(11)を設けたことにより、発電デバイス(P1)に加わる衝撃を低減させることができる。
【0138】
また、第13の態様に係るクッション(1)では、第12の態様において、緩衝材(11)は、上部緩衝材(111)と、下部緩衝材(112)と、を有する。上部緩衝材(111)は、カバー(3)を覆う。下部緩衝材(112)は、上部緩衝材(111)の下方に配置されている。下部緩衝材(112)は、ベース(4)に結合されている。上部緩衝材(111)は、下部緩衝材(112)に結合されている。
【0139】
上記の構成によれば、上部緩衝材(111)が下部緩衝材(112)に結合されているので、カバー(3)がベース(4)に対して上方に移動するとき、上部緩衝材(111)がカバー(3)と干渉することで、カバー(3)が勢いよく移動する可能性を低減させることができる。
【0140】
また、第14の態様に係るクッション(1)では、第12又は13の態様において、緩衝材(11)は、クッション部品(2)のうち上下方向に沿った側面を覆っている。
【0141】
上記の構成によれば、クッション部品(2)で発生する音の拡散を抑えることができる。
【0142】
第12の態様以外の構成については、クッション(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 クッション
2 クッション部品
3 カバー
4 ベース
5 駆動体
7 押し子
11 緩衝材
22 規制部
64 発電部
71 第1支持部
72 第2支持部
73 接触部
81 第1圧縮ばね
82 第2圧縮ばね
83 トーションスプリング
111 上部緩衝材
112 下部緩衝材
300 中央部分
311 ガイド構造
411 ガイド構造
530 凹面(上面)
730 下面
810 下端
P1 発電デバイス
SP1 空間
T1 通信部