(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160179
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】電子スイッチ
(51)【国際特許分類】
H03K 17/725 20060101AFI20231026BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20231026BHJP
H05B 45/24 20200101ALI20231026BHJP
H05B 45/31 20200101ALI20231026BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20231026BHJP
H01H 9/54 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
H03K17/725 B
H05B47/16
H05B45/24
H05B45/31
H05B47/105
H03K17/725 A
H01H9/54 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070336
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】宮内 拓也
【テーマコード(参考)】
3K273
5G034
【Fターム(参考)】
3K273AA09
3K273BA30
3K273CA02
3K273DA07
3K273DA08
3K273EA14
3K273EA22
3K273EA36
3K273FA11
3K273FA33
3K273FA40
3K273GA03
3K273GA04
3K273GA12
5G034AB01
(57)【要約】
【課題】より多くの種類の負荷に適合した電子スイッチを提供する。
【解決手段】交流電源の電力を負荷に供給する状態と、交流電源の電力の負荷への供給を停止した状態と、を切り替える主開閉部と;主開閉部と並列に設けられ、交流電源から入力された交流電力を整流して整流電力に変換する整流器と;整流電力を直流電力に変換する電荷蓄積素子と;整流電力を電荷蓄積素子に供給する供給状態と、整流電力の電荷蓄積素子への供給を停止した停止状態と、を切り替える補助開閉部と;電荷蓄積素子に蓄積された電力に基づいて動作し、補助開閉部の供給状態と停止状態との切り替えを制御する制御部と;負荷に電力を供給する状態と、負荷への電力の供給を停止した状態と、を切り替えるための切替信号を制御部に入力する入力部と;整流電流を検出して検出結果を制御部に入力する電流検出部と;を備えた電子スイッチが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源と負荷との間に設けられ、前記交流電源の電力を前記負荷に供給する状態と、前記交流電源の電力の前記負荷への供給を停止した状態と、の切り替えを行う主開閉部と;
前記主開閉部と並列に設けられ、前記交流電源から入力された交流電力を整流して整流電力に変換する整流器と;
前記整流器から出力された整流電力に基づいて充電されることにより、前記整流電力を直流電力に変換する電荷蓄積素子と;
前記整流電力を前記電荷蓄積素子に供給する供給状態と、前記整流電力の前記電荷蓄積素子への供給を停止した停止状態と、の切り替えを行う補助開閉部と;
前記電荷蓄積素子に蓄積された電力に基づいて動作し、前記補助開閉部の前記供給状態と前記停止状態との切り替えを制御する制御部と;
前記負荷に電力を供給する状態と、前記負荷への電力の供給を停止した状態と、を切り替えるための切替信号を前記制御部に入力する入力部と;
前記整流器から前記電荷蓄積素子に供給される整流電流の検出を行い、前記整流電流の検出結果を前記制御部に入力する電流検出部と;
を備え、
前記制御部は、前記入力部から入力された前記切替信号と、前記電流検出部から入力された前記整流電流の検出結果と、を基に、前記補助開閉部の前記供給状態と前記停止状態との切り替えを制御する電子スイッチ。
【請求項2】
前記制御部は、前記負荷に電力を供給する状態の時に、前記電流検出部の検出結果を基に、前記整流電流のゼロクロス点の検出を行い、前記ゼロクロス点の検出から前記電流検出部の検出結果が所定の閾値以上となった後、下限値未満となった際に、前記補助開閉部を前記供給状態から前記停止状態に切り替える請求項1記載の電子スイッチ。
【請求項3】
前記制御部は、前記ゼロクロス点の検出から所定時間以内に前記閾値以上となった場合には、前記閾値以上となった後、前記下限値未満となった際に、前記補助開閉部を前記供給状態から前記停止状態に切り替え、前記ゼロクロス点の検出から前記所定時間以内に前記閾値以上とならなかった場合には、前記所定時間の経過に応じて前記補助開閉部を前記供給状態から前記停止状態に切り替える請求項2記載の電子スイッチ。
【請求項4】
前記制御部は、前記ゼロクロス点の検出のタイミングから前記下限値未満となったタイミングまでの時間が、一定未満である場合には、前記補助開閉部を前記供給状態から前記停止状態に切り替えることなく、前記供給状態のままとする請求項2又は3に記載の電子スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
センサの検知情報などを基に、負荷への電力の供給及び電力の供給の停止を切り替える電子スイッチがある。電子スイッチは、例えば、人体の手などの接近を非接触で検知することによって負荷への電力の供給を行う非接触式のスイッチや、人体の検知に応じて負荷への電力の供給を行う人感式のスイッチなどとして用いられている。
【0003】
こうした電子スイッチにおいて、接続される負荷によっては、負荷に供給する電流が安定せず、負荷への安定した電力供給を行うことができなくなってしまう場合がある。このため、電子スイッチにおいては、より多くの種類の負荷に適合し、多くの種類の負荷に対して適切に電力を供給できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、より多くの種類の負荷に適合した電子スイッチを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、交流電源と負荷との間に設けられ、前記交流電源の電力を前記負荷に供給する状態と、前記交流電源の電力の前記負荷への供給を停止した状態と、の切り替えを行う主開閉部と;前記主開閉部と並列に設けられ、前記交流電源から入力された交流電力を整流して整流電力に変換する整流器と;前記整流器から出力された整流電力に基づいて充電されることにより、前記整流電力を直流電力に変換する電荷蓄積素子と;前記整流電力を前記電荷蓄積素子に供給する供給状態と、前記整流電力の前記電荷蓄積素子への供給を停止した停止状態と、の切り替えを行う補助開閉部と;前記電荷蓄積素子に蓄積された電力に基づいて動作し、前記補助開閉部の前記供給状態と前記停止状態との切り替えを制御する制御部と;前記負荷に電力を供給する状態と、前記負荷への電力の供給を停止した状態と、を切り替えるための切替信号を前記制御部に入力する入力部と;前記整流器から前記電荷蓄積素子に供給される整流電流の検出を行い、前記整流電流の検出結果を前記制御部に入力する電流検出部と;を備え、前記制御部は、前記入力部から入力された前記切替信号と、前記電流検出部から入力された前記整流電流の検出結果と、を基に、前記補助開閉部の前記供給状態と前記停止状態との切り替えを制御する電子スイッチが提供される。
【発明の効果】
【0007】
より多くの種類の負荷に適合した電子スイッチが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る電子スイッチを模式的に表す回路図である。
【
図2】実施形態に係る電子スイッチの動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
【
図3】
図3(a)~
図3(e)は、実施形態に係る電子スイッチの動作の一例を模式的に表す波形図である。
【
図4】
図4(a)~
図4(e)は、実施形態に係る電子スイッチの動作の一例を模式的に表す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る電子スイッチを模式的に表す回路図である。
図1に表したように、電子スイッチ10は、主開閉部12と、整流器14と、補助開閉部16と、電荷蓄積素子18と、電源回路20と、制御部22と、入力部24と、筐体26と、を備える。
【0011】
電子スイッチ10は、交流電源2と負荷4との間に設けられ、交流電源2から負荷4への通電状態を切り替える配線器具である。筐体26は、主開閉部12、整流器14、補助開閉部16、電荷蓄積素子18、電源回路20、制御部22、及び入力部24などの電子スイッチ10の各部を内部に収容する。筐体26は、電子スイッチ10の各部を収容した状態で、規格化された配線器具取付枠に取り付けられる。筐体26は、規格化された配線器具取付枠に取り付け可能な筐体である。これにより、電子スイッチ10は、例えば、住宅や工場などの建築物の壁などに取り付けて使用される。
【0012】
但し、電子スイッチ10の取付位置は、建築物の壁に限ることなく、任意の位置でよい。また、電子スイッチ10は、必ずしも1つの筐体26内に収容する構成でなくてもよい。電子スイッチ10は、例えば、複数の筐体に分割して設置する構成などでもよい。例えば、負荷4への電力の供給及び供給の停止の切り替えに用いられる入力部24のみを建築物の壁などに設置し、その他の部分を壁内や天井裏の空間などの別の位置に設置する構成などとしてもよい。電子スイッチ10の設置方法は、電子スイッチ10を建築物などに適切に設置可能な任意の方法でよい。
【0013】
交流電源2は、例えば、商用電源である。交流電源2の電力は、例えば、単相交流電力である。交流電源2の電圧は、例えば、100Vである。交流電源2の周波数は、例えば、50Hz又は60Hzである。
【0014】
負荷4は、例えば、光源と、光源を点灯させる点灯回路と、を有する照明装置である。光源は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。この場合、負荷4(照明装置)は、交流電源2からの電力の供給に応じて光源を点灯させる。
【0015】
但し、交流電源2の交流電力は、上記に限ることなく、任意の交流電力でよい。交流電源2は、商用電源に限ることなく、例えば、自家発電機などでもよい。負荷4は、照明装置に限ることなく、交流電力の供給を必要とする任意の負荷でよい。
【0016】
主開閉部12は、交流電源2と負荷4との間に設けられ、交流電源2の電力を負荷4に供給する状態と、交流電源2の電力の負荷4への供給を停止した状態と、の切り替えを行う。主開閉部12は、例えば、双方向の通電が可能な半導体スイッチである。主開閉部12には、例えば、電圧の印加によってオン状態及びオフ状態を切り替えるゲート端子(以下、制御端子という。)を有し、オン状態では保持電流が流れる双方サイリスタ(トライアック)が用いられる。
【0017】
主開閉部12は、一対の主端子と、制御端子と、を有する。また、主開閉部12は、一対の主端子間を導通させたオン状態と、一対の主端子間を非導通としたオフ状態と、を有する。主開閉部12は、一対の主端子間の電圧の大きさ、及び制御端子の電圧の大きさに応じて、オン状態及びオフ状態を切り替える。
【0018】
主開閉部12のオフ状態とは、例えば、一対の主端子間に実質的に電流が流れない状態である。オフ状態では、例えば、電子スイッチ10の動作に影響を与えない程度の微弱な電流が一対の主端子間に流れてもよい。主開閉部12のオン状態とは、換言すれば、一対の主端子間に電流が流れる第1状態であり、オフ状態とは、一対の主端子間に流れる電流が、第1状態よりも小さい第2状態である。
【0019】
電子スイッチ10は、主開閉部12を電子的に制御することにより、負荷4への電力の供給及び供給の停止を電子的に切り替える。電子スイッチ10は、例えば、2本の配線を接続可能な、いわゆる片切スイッチである。
【0020】
電子スイッチ10は、例えば、2つの接続端子31、32を備えている。接続端子31は、交流電源2に接続されている。接続端子32は、負荷4に接続されている。接続端子31、32は、例えば、配線を電気的かつ機械的に接続するための部品である。但し、接続端子31、32は、電源線を接続するための部品(端子)に限ることなく、例えば、電子部品のリード、又は回路基板に含まれる導体の一部などでもよい。
【0021】
主開閉部12は、接続端子31と接続端子32との間に接続されている。主開閉部12の一方の主端子は、接続端子31と電気的に接続され、主開閉部12の他方の主端子は、接続端子32と電気的に接続される。換言すれば、接続端子31は、主開閉部12を介して接続端子32と接続される。これにより、主開閉部12をオン状態とすることにより、接続端子31と接続端子32との間が導通し、主開閉部12を介して交流電源2の電力が負荷4に供給される。そして、主開閉部12をオフ状態とすることにより、接続端子31と接続端子32との間が非導通となり、主開閉部12を介した交流電源2の電力の負荷4への供給が停止される。
【0022】
整流器14は、主開閉部12と並列に設けられる。整流器14は、交流電源2から入力された交流電力を整流して整流電力に変換する。整流器14には、例えば、4つの整流素子を組み合わせたダイオードブリッジが用いられる。すなわち、整流器14は、全波整流器である。整流電力は、例えば、脈流電力である。
【0023】
整流器14は、一対の入力端子14a、14bと、高電位出力端子14cと、低電位出力端子14dと、を有する。入力端子14aは、接続端子31と電気的に接続されている。入力端子14bは、接続端子32と電気的に接続されている。これにより、整流器14は、入力端子14a、14b及び接続端子31、32を介して交流電源2及び負荷4と電気的に接続される。
【0024】
整流器14は、入力端子14a、14bを介して入力される交流電力を整流電力に変換し、高電位出力端子14c及び低電位出力端子14dから出力する。低電位出力端子14dの電位は、基準電位(例えば接地電位)に設定される。高電位出力端子14cの電位は、低電位出力端子14dの電位よりも高い電位に設定される。
【0025】
なお、整流器14は、全波整流器に限ることなく、半波整流器などでもよい。整流電力は、全波整流された脈流でもよいし、半波整流された脈流でもよい。
【0026】
電荷蓄積素子18は、整流器14から出力された整流電力に基づいて充電されることにより、整流器14から出力された整流電力を直流電力に変換する。電荷蓄積素子18は、例えば、平滑コンデンサである。
【0027】
電源回路20は、電荷蓄積素子18によって変換された直流電力を制御部22及び入力部24に応じた直流電力に変換し、変換後の直流電力を制御部22及び入力部24に供給する。制御部22及び入力部24は、電源回路20からの電力の供給に応じて動作する。換言すれば、制御部22及び入力部24は、電荷蓄積素子18に蓄積された電力に基づいて動作する。電源回路20は、例えば、直流電圧を安定化させるレギュレータである。電源回路20は、必要に応じて設けられ、省略可能である。例えば、電荷蓄積素子18に蓄積された電力を直接的に制御部22及び入力部24に入力して制御部22及び入力部24を動作させてもよい。
【0028】
補助開閉部16は、整流器14の高電位出力端子14cと低電位出力端子14dとの間に設けられる。補助開閉部16は、整流器14から出力された整流電力を電荷蓄積素子18に供給する供給状態と、整流器14から出力された整流電力の電荷蓄積素子18への供給を停止した停止状態と、の切り替えを行う。補助開閉部16は、換言すれば、交流電源2の電力を電子スイッチ10側に供給する状態と、交流電源2の電力の電子スイッチ10側への供給を停止した状態と、を切り替える。補助開閉部16は、例えば、一方向への通電が可能な半導体スイッチである。補助開閉部16には、例えば、MOSFETが用いられる。
【0029】
補助開閉部16は、一対の主端子と、制御端子と、を有する。また、補助開閉部16は、一対の主端子間を導通させたオン状態と、一対の主端子間を非導通としたオフ状態と、を有する。補助開閉部16は、一対の主端子間の電圧の大きさ、及び制御端子の電圧の大きさに応じて、オン状態及びオフ状態を切り替える。なお、補助開閉部16のオン状態及びオフ状態は、主開閉部12のオン状態及びオフ状態と同様でよい。
【0030】
補助開閉部16の一方の主端子は、高電位出力端子14cと電気的に接続され、補助開閉部16の他方の主端子は、低電位出力端子14dと電気的に接続される。これにより、補助開閉部16をオフ状態とすることにより、高電位出力端子14cと低電位出力端子14dとの間が非導通となり、整流器14から出力された整流電力を電荷蓄積素子18に供給する供給状態となる。そして、補助開閉部16をオン状態とすることにより、高電位出力端子14cと低電位出力端子14dとの間が導通し、整流器14から出力された整流電力の電荷蓄積素子18への供給を停止した停止状態となる。
【0031】
電子スイッチ10は、補助開閉部16をオン状態とし、電荷蓄積素子18への整流電力の供給を停止した停止状態とした場合には、電荷蓄積素子18に蓄積された電力に基づいて動作を継続する。電子スイッチ10は、負荷4に電力を供給する状態においては、補助開閉部16のオン状態及びオフ状態を切り替え、負荷4に供給する電力の一部の供給を受けることにより、負荷4への電力の供給を行いつつ、自身の動作を継続させる。
【0032】
主開閉部12の制御端子は、整流器14の一方の入力端子14bと電気的に接続されている。また、主開閉部12の制御端子は、抵抗素子34の一端に接続されている。抵抗素子34の他端は、接続端子32と電気的に接続されている。また、抵抗素子34には、コンデンサ35が並列に接続されている。これにより、主開閉部12の制御端子には、整流器14の入力端子14a、14b間の電圧(交流電源2の交流電圧)に応じた電圧が印加される。
【0033】
主開閉部12の制御端子に印加される電圧は、交流電源2の交流電圧の周期的な変動に応じて変化する。主開閉部12は、交流電源2の交流電圧がゼロクロス点から徐々に大きくなり、制御端子に印加される電圧が所定の閾値以上となることによって、オフ状態からオン状態に切り替わる。主開閉部12がオン状態になると、接続端子31、32間が導通し、整流器14に入力される交流電圧及び主開閉部12の制御端子に印加される電圧も実質的にゼロになる。主開閉部12は、保持電流が流れる半導体スイッチであるから、制御端子の電圧が低下したとしても、主端子間の電流が所定値未満となるまで、オン状態が継続される。従って、主開閉部12は、オン状態となった後、交流電源2の交流電圧がピークを越えて再びゼロクロス点に近付くことにより、オン状態からオフ状態に切り替わる。
【0034】
また、主開閉部12の制御端子に印加される電圧は、補助開閉部16がオン状態であるかオフ状態であるかによっても変化する。補助開閉部16がオフ状態であり、電荷蓄積素子18側(電子スイッチ10側)への電力の供給が行われている状態では、電子スイッチ10側での電力の消費にともなって、補助開閉部16がオン状態であり、電荷蓄積素子18側への電力の供給が停止されている状態と比べて、主開閉部12の制御端子に印加される電圧が小さくなる。
【0035】
補助開閉部16をオン状態とし、電荷蓄積素子18側への電力の供給を停止した場合には、交流電源2の交流電圧に応じてより確実に主開閉部12をオフ状態からオン状態に切り替えることができる。補助開閉部16は、換言すれば、電荷蓄積素子18側への電力の供給及び供給の停止を切り替えるとともに、電荷蓄積素子18側への電力の供給を停止することによって、主開閉部12をより確実にオン状態に切り替えられるようにするための開閉部である。
【0036】
さらに、主開閉部12の制御端子に印加される電圧は、接続される負荷4によっても変化する。例えば、負荷4のインピーダンスの成分が大きく、負荷4に流れる交流電流が比較的大きい場合には、負荷4のインピーダンスの成分が小さく、負荷4に流れる交流電流が比較的小さい場合と比べて、主開閉部12の制御端子に印加される電圧が大きくなる。なお、負荷4のインピーダンスの成分とは、例えば、実際に素子として組み込まれた静電容量や素子としては存在しない寄生容量(浮遊容量)などを含む電子スイッチ10側から見た負荷4の総合的なインピーダンスである。
【0037】
制御部22は、補助開閉部16における、整流器14から出力された整流電力を電荷蓄積素子18に供給する供給状態と、整流器14から出力された整流電力の電荷蓄積素子18への供給を停止した停止状態と、の切り替えを制御する。制御部22は、換言すれば、補助開閉部16のオン状態及びオフ状態の切り替えを制御する。
【0038】
電子スイッチ10は、例えば、駆動部40と、抵抗素子41と、スイッチ部42と、をさらに備える。駆動部40は、電荷蓄積素子18から電力の供給を受けて動作する。抵抗素子41の一端は、電荷蓄積素子18の高電位側の端子に接続されている。抵抗素子41の他端は、スイッチ部42の一方の主端子に接続されている。スイッチ部42の他方の主端子は、低電位出力端子14dと接続される。スイッチ部42の制御端子は、制御部22と接続されている。
【0039】
制御部22は、スイッチ部42のオン状態及びオフ状態を切り替えることにより、補助開閉部16のオン状態及びオフ状態を切り替えるための制御信号を駆動部40に入力する。駆動部40は、補助開閉部16の制御端子と接続されている。駆動部40は、制御部22から入力された制御信号に応じて補助開閉部16の制御端子に入力する電圧を変化させることにより、制御信号に応じて補助開閉部16のオン状態及びオフ状態を切り替える。これにより、制御部22の制御に基づいて、補助開閉部16のオン状態及びオフ状態が切り替えられる。
【0040】
但し、補助開閉部16のオン状態及びオフ状態を切り替えるための構成は、上記に限定されるものではない。例えば、制御部22の出力で補助開閉部16を直接的に駆動できる場合には、補助開閉部16の制御端子を制御部22に接続することによって、補助開閉部16のオン状態及びオフ状態を切り替えればよい。この場合には、駆動部40、抵抗素子41、及びスイッチ部42は、省略可能である。
【0041】
入力部24は、負荷4に電力を供給する状態と、負荷4への電力の供給を停止した状態と、を切り替えるための切替信号を制御部22に入力する。制御部22は、入力部24から入力された切替信号に応じて、負荷4に電力を供給する状態と、負荷4への電力の供給を停止した状態と、の切り替えの制御を行う。制御部22は、例えば、入力部24から入力された切替信号に応じて、補助開閉部16のオン状態及びオフ状態の切り替えを制御する。
【0042】
入力部24は、例えば、赤外光を照射する発光部と、赤外光を受光する受光部と、を有する反射型の検知センサである。入力部24は、例えば、発光部から照射され、人体の手のひらなどで反射した赤外光を受光部で受光することにより、人体の手のひらなどの接近を検知する。入力部24は、換言すれば、人体の手のひらなどの接近を検知するセンサ部である。入力部24は、手のひらなどの接近の検知に応じて切替信号の状態を変化させる。これにより、電子スイッチ10では、例えば、入力部24が接近を検知することに応じて、負荷4へ電力を供給し、入力部24が再び接近を検知することに応じて、負荷4への電力の供給を停止することができる。例えば、負荷4が照明装置である場合には、入力部24が接近を検知することに応じて、照明装置を点灯させ、入力部24が再び接近を検知することに応じて、照明装置を消灯させることができる。この場合、電子スイッチ10は、非接触型のスイッチとして機能することができる。
【0043】
なお、人体の手のひらなどの接近を検知する構成は、反射型の検知センサに限定されるものではない。例えば、発光部と受光部とを向かい合わせに配置し、赤外光の遮断によって接近を検知する透過型の検知センサでもよい。入力部24は、例えば、人体から放出される赤外線によって接近を検知する焦電センサや、電波によって接近を検知する電波センサなどでもよい。
【0044】
また、入力部24は、人体のてのひらなどの接近を検知するものに限定されるものではない。入力部24は、例えば、室内への人の入室及び退室を検知するセンサなどでもよい。この場合、電子スイッチ10は、人感式のスイッチとして機能することができる。入室及び退室を検知するセンサには、例えば、上記の焦電センサや電波センサなどを用いることができる。入力部24は、例えば、指などの接触を検知するタッチセンサでもよい。電子スイッチ10は、タッチ式のスイッチとして機能するものでもよい。
【0045】
入力部24は、例えば、スマートフォンなどの携帯端末や専用のリモコンなどから送信された無線信号を受信する受信部でもよい。このように、入力部24は、検知によって切替信号を制御部22に入力する構成に限ることなく、外部からの信号の受信に応じて切替信号を制御部22に入力する構成としてもよい。
【0046】
入力部24は、例えば、操作指示の入力に応じて切替信号を制御部22に入力する構成としてもよい。入力部24は、例えば、使用者などからの操作指示の入力を受け付ける押しボタン式のスイッチやロッカスイッチなどでもよい。このように、入力部24は、必ずしも電力を必要とするものでなくてもよい。入力部24は、電荷蓄積素子18(電源回路20)から電力の供給を受けなくてもよい。入力部24の構成は、負荷4に電力を供給する状態と、負荷4への電力の供給を停止した状態と、を切り替えるための切替信号を適切に制御部22に入力可能な任意の構成でよい。
【0047】
電子スイッチ10は、電流検出部50と、スイッチング素子51、52と、整流素子54と、充電回路56と、をさらに備える。電流検出部50は、整流器14から電荷蓄積素子18に供給される整流電流の検出を行う。電流検出部50は、整流電流の検出結果を制御部22に入力する。制御部22は、入力部24から入力された切替信号と、電流検出部50から入力された整流電流の検出結果と、を基に、補助開閉部16のオン状態及びオフ状態の切り替えを制御する。
【0048】
スイッチング素子51、52は、一対の主端子と、制御端子と、を有する。スイッチング素子51の一方の主端子は、整流器14の高電位出力端子14cと接続される。スイッチング素子51の他方の主端子は、電流検出部50と接続される。スイッチング素子51の制御端子は、スイッチング素子52の一方の主端子と接続される。スイッチング素子52の他方の主端子は、整流器14の低電位出力端子14dと接続される。スイッチング素子52の制御端子は、制御部22と接続される。これにより、スイッチング素子51、52は、制御部22の制御に基づいて、電流検出部50に整流電流を供給する状態と、電流検出部50への整流電流の供給を停止した状態と、を切り替える。
【0049】
制御部22は、スイッチング素子52の制御端子に入力する電圧により、電流検出部50に整流電流を供給する状態と、電流検出部50への整流電流の供給を停止した状態と、の切り替えを制御する。
【0050】
制御部22は、入力部24から入力された切替信号を基に、負荷4に電力を供給する状態の時に、電流検出部50に整流電流を供給し、負荷4への電力の供給を停止した状態の時に、電流検出部50への整流電流の供給を停止する。電流検出部50は、負荷4に電力を供給する状態の時に、整流器14から電荷蓄積素子18に供給される整流電流の検出を行う。
【0051】
整流素子54は、電流検出部50と電荷蓄積素子18との間に設けられ、電流検出部50から電荷蓄積素子18に向かう方向に電流の流れを整流する。整流素子54は、例えば、電荷蓄積素子18に蓄積された電力の電流検出部50側への逆流を抑制する。
【0052】
充電回路56は、電流検出部50、スイッチング素子51、及び整流素子54で構成される電荷蓄積素子18の充電経路と並列に設けられる。充電回路56は、負荷4への電力の供給を停止した状態の時に、電荷蓄積素子18の充電を行う。充電回路56は、換言すれば、スイッチング素子51がオフ状態となり、電流検出部50を介した電荷蓄積素子18の充電経路が開放された状態の時に、電荷蓄積素子18の充電を行う。
【0053】
充電回路56は、例えば、負荷4への電力の供給を停止した状態の時に、僅かな電流を電荷蓄積素子18に供給する。これにより、充電回路56は、負荷4への電力の供給を停止した状態において、電子スイッチ10での消費電力を抑制しつつ、電荷蓄積素子18の充電を行う。充電回路56は、例えば、定電流回路である。
【0054】
また、電流検出部50を介して電荷蓄積素子18の充電を行う場合には、主開閉部12がオフ状態の時においても、整流器14、電流検出部50、及び電荷蓄積素子18などを介して、負荷4に交流電源2の電力の一部が供給されてしまう。
【0055】
充電回路56は、例えば、電荷蓄積素子18に供給する電流を微弱な電流とすることなどにより、主開閉部12がオフ状態の時において、負荷4への電力の供給を抑制するとともに、主開閉部12が意図せずオフ状態からオン状態に切り替わってしまうことを抑制する。これにより、入力部24から入力された切替信号によって負荷4への電力の供給を停止することが指示された際に、負荷4への電力の供給を適切に停止することができる。例えば、負荷4が照明装置である場合に、照明装置を適切に消灯させることができる。
【0056】
電流検出部50は、例えば、抵抗素子60、61と、トランジスタ62、63と、を有する。トランジスタ62、63は、一対の主端子と、制御端子と、を有する。トランジスタ62、63は、例えば、PNP型のバイポーラトランジスタである。
【0057】
抵抗素子60の一端は、スイッチング素子51の電流検出部50側の主端子と接続される。抵抗素子60の他端は、トランジスタ62の一方の主端子と接続される。トランジスタ62の他方の主端子は、整流素子54を介して電荷蓄積素子18の高電位側の端子に接続される。トランジスタ62の制御端子は、整流素子54を介して電荷蓄積素子18の高電位側の端子に接続される。
【0058】
抵抗素子61の一端は、スイッチング素子51の電流検出部50側の主端子と接続される。換言すれば、抵抗素子61は、抵抗素子60と並列に設けられる。抵抗素子61の他端は、トランジスタ63の一方の主端子と接続される。トランジスタ63の他方の主端子は、制御部22と接続される。トランジスタ63の制御端子は、整流素子54を介して電荷蓄積素子18の高電位側の端子に接続される。換言すれば、トランジスタ63の制御端子は、トランジスタ62の制御端子と接続される。
【0059】
この例において、電流検出部50は、いわゆるカレントミラー回路である。抵抗素子60及びトランジスタ62は、整流器14から出力された整流電力を電荷蓄積素子18に供給する経路として機能する。これにより、補助開閉部16がオフ状態で、スイッチング素子51がオン状態である場合には、整流器14から出力された整流電力が、抵抗素子60及びトランジスタ62を介して電荷蓄積素子18に供給され、電荷蓄積素子18が、整流器14から出力された整流電力に基づいて充電される。
【0060】
抵抗素子61及びトランジスタ63は、抵抗素子60及びトランジスタ62に流れる電流に応じた電流を流すことにより、整流器14から電荷蓄積素子18に供給される整流電流の検出を可能とする。抵抗素子61及びトランジスタ63は、例えば、整流器14から電荷蓄積素子18に供給される整流電流を電圧の信号に変換して制御部22に入力する。換言すれば、抵抗素子61及びトランジスタ63は、整流器14から電荷蓄積素子18に供給される整流電流に応じた検出電圧を制御部22に入力する。これにより、制御部22において、整流器14から電荷蓄積素子18に供給される整流電流を認識することができる。
【0061】
但し、電流検出部50の構成は、上記に限定されるものではない。電流検出部50の構成は、整流器14から電荷蓄積素子18に供給される整流電流を検出し、整流電流の検出結果を制御部22に入力可能な任意の構成でよい。
【0062】
制御部22は、電流検出部50の検出結果を基に、整流器14から電荷蓄積素子18に供給される整流電流のゼロクロス点の検出を行う。制御部22は、入力部24から入力された切替信号と、電流検出部50から入力された整流電流のゼロクロス点の検出結果と、を基に、補助開閉部16のオン状態及びオフ状態の切り替えを制御する。換言すれば、制御部22は、入力部24から入力された切替信号と、電流検出部50から入力された整流電流の検出結果と、を基に、補助開閉部16の供給状態と停止状態との切り替えを制御する。
【0063】
次に、電子スイッチ10の動作について説明する。
電子スイッチ10の制御部22は、入力部24から入力された切替信号を基に、負荷4に電力を供給する状態か、負荷4への電力の供給を停止した状態か、を判定する。制御部22は、負荷4への電力の供給を停止した状態と判定した場合には、補助開閉部16をオフ状態とするとともに、スイッチング素子51、52をオフ状態とする。
【0064】
この場合には、上記のように、充電回路56による電荷蓄積素子18の充電が行われ、主開閉部12のオフ状態が継続されるとともに、整流器14を介した負荷4への電力の供給も抑制されることにより、負荷4への電力の供給を停止した状態となる。
【0065】
制御部22は、負荷4に電力を供給する状態と判定した場合には、まず、スイッチング素子51、52をオフ状態からオン状態に切り替える。これにより、整流器14から出力された整流電力が電流検出部50に供給され、電流検出部50を介して電荷蓄積素子18の充電が行われるとともに、整流器14から電荷蓄積素子18に供給される整流電流が電流検出部50によって検出され、整流電流の検出結果が制御部22に入力される。
【0066】
制御部22は、電流検出部50の検出結果を基に、整流器14から電荷蓄積素子18に供給される整流電流のゼロクロス点の検出を行う。そして、制御部22は、整流電流のゼロクロス点の検出結果を基に、補助開閉部16のオン状態及びオフ状態の切り替えを制御する。これにより、制御部22は、負荷4への電力の供給、及び電荷蓄積素子18の充電を制御し、交流電源2の電力を適切に負荷4へ供給できるようにするとともに、交流電源2から負荷4へ供給する電力の一部を利用して電荷蓄積素子18を充電することにより、電子スイッチ10自身の動作を継続できるようにする。
【0067】
図2は、実施形態に係る電子スイッチの動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
図3(a)~
図3(e)及び
図4(a)~
図4(e)は、実施形態に係る電子スイッチの動作の一例を模式的に表す波形図である。
図2~
図4は、電子スイッチ10の負荷4に電力を供給する状態における動作の一例を模式的に表す。また、
図3は、負荷4のインピーダンス成分が比較的大きく、主開閉部12がオンし易い場合の動作の一例であり、
図4は、負荷4のインピーダンスの成分が比較的小さく、主開閉部12がオンし難い場合の動作の一例である。
【0068】
図3(a)及び
図4(a)は、一対の接続端子31、32間に入力される交流電源2の入力電圧の一例を模式的に表す。
図3(b)及び
図4(b)は、主開閉部12の制御端子に入力される制御電圧の一例を模式的に表す。
図3(c)及び
図4(c)は、電流検出部50から制御部22に入力される整流電流の検出結果の一例を模式的に表す。なお、以下では、電流検出部50による整流電流の検出結果を便宜的にゼロクロス検出信号と称す場合がある。
図3(d)及び
図4(d)は、補助開閉部16の制御端子に入力される制御電圧の一例を模式的に表す。
図3(e)及び
図4(e)は、負荷4に供給される出力電圧の一例を模式的に表す。
【0069】
制御部22は、入力部24から入力された切替信号を基に、負荷4に電力を供給する状態と判定した場合には、スイッチング素子51、52をオフ状態からオン状態に切り替えることにより、電流検出部50から入力されるゼロクロス検出信号の監視を行う(
図2のステップS101)。換言すれば、制御部22は、電流検出部50から入力されるゼロクロス検出信号を基に、整流電流(交流電源2の交流電流)のゼロクロス点の検出を行う。
【0070】
負荷4に電力を供給する状態と判定した時点において、主開閉部12及び補助開閉部16は、オフ状態である。この状態でスイッチング素子51、52をオン状態に切り替えると、整流器14から出力された整流電流が電流検出部50に供給される。電流検出部50は、供給された整流電流に応じたゼロクロス検出信号を制御部22に入力するとともに、供給された整流電流に基づいて電荷蓄積素子18を充電する。
【0071】
また、主開閉部12及び補助開閉部16がオフ状態で、スイッチング素子51、52がオン状態である場合には、整流器14や電荷蓄積素子18などを介して抵抗素子34に流れる電流により、交流電源2の交流電流に応じた制御電圧が、主開閉部12の制御端子に入力される(
図3の時刻t10~t11、
図4の時刻t20~t21)。また、主開閉部12の一対の主端子間には、交流電源2の交流電圧に応じた電圧が印加される。
【0072】
さらに、主開閉部12及び補助開閉部16が、オフ状態で、スイッチング素子51、52がオン状態である場合には、電荷蓄積素子18の充電などにともなって電子スイッチ10側で消費された交流電源2の電力の残りの電力が、整流器14や電荷蓄積素子18などを介して負荷4にも供給される。
【0073】
制御部22は、ゼロクロス検出信号の監視を開始すると、ゼロクロス検出信号が第1閾値を超えたか否かを判定する(
図2のステップS102)。制御部22は、ゼロクロス検出信号が第1閾値を超えた際に、整流電流のゼロクロス点を検出する(
図2のステップS103、
図3の時刻t11、
図4の時刻t21)。
【0074】
制御部22は、ゼロクロス点の検出に応じて、所定時間の計時を開始するとともに、ゼロクロス検出信号が第1所定時間以内に第1閾値よりも高い第2閾値を超えたか否かを判定する(
図2のステップS104)。
【0075】
第2閾値は、例えば、主開閉部12がオフ状態からオン状態に切り替わる制御電圧の閾値に対応して設定される。第2閾値は、例えば、主開閉部12の制御電圧の閾値よりも僅かに低い値に設定される。第2閾値は、換言すれば、主開閉部12がオフ状態からオン状態に切り替わるタイミングの目安として設定される閾値である。ゼロクロス検出信号は、前述のように、電圧の信号である。第1閾値及び第2閾値は、電圧で設定される閾値である。例えば、交流電源2の交流電圧が100Vである場合には、第1閾値は、1.8V程度に設定され、第2閾値は、3V程度に設定される。第2閾値は、主開閉部12の特性に応じて適宜設定すればよい。第1閾値は、第2閾値よりも低い任意の値に設定すればよい。また、この場合の第1所定時間は、例えば、2msである。但し、第1所定時間は、これに限ることなく、任意の時間でよい。第1所定時間は、例えば、主開閉部12の制御電圧の閾値などに応じて適宜設定すればよい。
【0076】
制御部22は、第1所定時間以内に第2閾値を超えたと判定した場合には、第2閾値を超えたと判定したタイミングから計時を開始し、第2閾値を超えた後、ゼロクロス検出信号が第2所定時間以内に下限値を下回ったか否かを判定する(
図2のステップS105)。第1閾値及び第2閾値が上記のように設定される場合、下限値は、例えば、0.5V程度に設定される。下限値は、例えば、第1閾値よりも低い任意の値でよい。第2所定時間は、例えば、1ms程度に設定される。但し、第2所定時間は、これに限ることなく、任意の時間でよい。
【0077】
制御部22は、ゼロクロス検出信号が第2所定時間以内に下限値を下回ったと判定した場合には、続けて、ゼロクロス点の検出のタイミングから下限値を下回ったタイミングまでの時間が、第3所定時間以上か否かを判定する(
図2のステップS106)。第3所定時間は、例えば、1ms程度に設定される。但し、第3所定時間は、これに限ることなく、任意の時間でよい。
【0078】
例えば、
図3の時刻t12に表したように、負荷4のインピーダンスの成分が比較的大きく、負荷4に比較的大きな交流電流が流れ、主開閉部12がオンし易い場合には、ゼロクロス検出の判定後、主開閉部12の制御電圧が第1所定時間以内に閾値以上となることにより、第1所定時間以内に主開閉部12がオフ状態からオン状態に切り替わる。
【0079】
主開閉部12がオン状態に切り替わると、交流電源2の電力が負荷4に供給され、整流器14側への電力の供給が停止される。従って、主開閉部12がオン状態に切り替わると、主開閉部12の制御電圧が立ち下がるとともに、ゼロクロス検出信号も立ち下がる(
図3の時刻t12)。換言すれば、主開閉部12がオン状態に切り替わることにより、ゼロクロス検出信号が下限値以下となる。主開閉部12は、保持電流が流れる半導体スイッチであるから、制御電圧が立ち下がった後も、オン状態を継続する。
【0080】
制御部22は、ゼロクロス点の検出のタイミングから下限値を下回ったタイミングまでの時間が、第3所定時間以上であると判定した場合には、補助開閉部16をオフ状態からオン状態に切り替える(
図2のステップS107、
図3の時刻t12)。
【0081】
上記のように、交流電源2の電力に基づいて主開閉部12が自動的にオン状態に切り替わる場合には、交流電源2の電力の時間的な変化に応じて、ゼロクロス検出信号が、ゼロクロス点の検出から第1所定時間以内に第2閾値を超え、第2閾値を超えたタイミングから第2所定時間以内に下限値を下回るとともに、ゼロクロス点の検出のタイミングから下限値を下回ったタイミングまでの時間が、第3所定時間以上となる。従って、制御部22は、このゼロクロス検出信号の立ち下がりのタイミングを主開閉部12のオン状態への切り替わりのタイミングと判断し、補助開閉部16をオン状態に切り替える。
【0082】
このように、制御部22は、負荷4に電力を供給する状態の時に、電流検出部50の検出結果を基に、整流電流のゼロクロス点の検出を行い、ゼロクロス点の検出から電流検出部50の検出結果が所定の閾値以上となった後、下限値未満となった際に、補助開閉部16を供給状態から停止状態に切り替える。
【0083】
一方で、例えば、
図4の時刻t21~t22に表したように、負荷4のインピーダンスの成分が比較的小さく、負荷4に流れる交流電流も比較的小さく、主開閉部12がオンし難い場合には、ゼロクロス検出の判定後、主開閉部12の制御電圧が第1所定時間以内に閾値以上とならず、第1所定時間以内に主開閉部12がオン状態に切り替わらない可能性がある。
【0084】
このため、制御部22は、ステップS104において、第1所定時間以内に第2閾値を超えなかったと判定した場合には、ゼロクロス点の検出から第1所定時間の経過の後、補助開閉部16をオフ状態からオン状態に切り替える(
図2のステップS108、
図4の時刻t22)。換言すれば、制御部22は、ゼロクロス点の検出のタイミングから第1所定時間が経過するまでの間に主開閉部12がオン状態に切り替わらなかった場合(ゼロクロス検出信号が立ち下がらなかった場合)に、補助開閉部16を自発的にオン状態に切り替える。
【0085】
このように、制御部22は、ゼロクロス点の検出から所定時間以内に閾値以上となった場合には、閾値以上となった後、下限値未満となった際に、補助開閉部16を供給状態から停止状態に切り替え、ゼロクロス点の検出から所定時間以内に閾値以上とならなかった場合には、所定時間の経過に応じて補助開閉部16を供給状態から停止状態に切り替える。
【0086】
補助開閉部16をオン状態に切り替えると、補助開閉部16よりも下流側への電力の供給が停止され、ゼロクロス検出信号が立ち下がる。また、電荷蓄積素子18の充電などが停止されることにより、負荷4への電力の供給が増加し、主開閉部12の制御電圧も増加する(
図4の時刻t22~t23)。これにより、主開閉部12をオフ状態からオン状態に切り替え易くすることができる。
【0087】
図4では、時刻t22において補助開閉部16をオン状態に切り替えた後、時刻t23において主開閉部12がオン状態に切り替わった例を表している。例えば、主開閉部12の定格電流は、補助開閉部16の定格電流よりも高い。これにより、補助開閉部16をオン状態とした後、主開閉部12をオン状態とすることで、例えば、負荷4に対して大きな電流を供給することが可能となる。また、例えば、負荷4のインピーダンスの成分が小さく、負荷4に流れる交流電流が小さいため、主開閉部12がオン状態に切り替わらない可能性もある。この場合には、流れる電流が小さいことから、補助開閉部16のみで負荷4への電力の供給を行ってもよい。
【0088】
制御部22は、ステップS105において、ゼロクロス検出信号が第2所定時間以内に下限値を下回らなかったと判定した場合には、第2閾値を超えた後、第2所定時間の経過に応じて補助開閉部16をオフ状態からオン状態に切り替える(
図2のステップS109)。これにより、上記と同様に、主開閉部12をオフ状態からオン状態に切り替え易くすることができる。
【0089】
制御部22は、ステップS106において、ゼロクロス点の検出のタイミングから下限値を下回ったタイミングまでの時間が、第3所定時間未満であると判定した場合には、ノイズと判定し、ゼロクロス検出信号の監視に戻る(
図2のステップS110)。
【0090】
このように、制御部は、ゼロクロス点の検出のタイミングから下限値未満となったタイミングまでの時間が、一定未満である場合には、補助開閉部16を供給状態から停止状態に切り替えることなく、供給状態のままとする。
【0091】
例えば、負荷4によっては、負荷4の動作にともなってパルスのような電流が発生する場合がある。
図3に表した例では、ゼロクロス検出信号の立ち上がり及び立ち下がりをトリガとして主開閉部12のオン状態を判断し、補助開閉部16の切り替えの制御を行っている。この際、上記のパルスのような電流が整流器14の整流電流に発生すると、主開閉部12のオン状態への切り替わりと誤判断し、補助開閉部16をオン状態に切り替えてしまう可能性がある。この場合には、例えば、電荷蓄積素子18の充電量が不足し、電子スイッチ10の動作が不安定になってしまうことが懸念される。
【0092】
このため、制御部22は、ゼロクロス検出信号の立ち上がりから立ち下がりまでの時間(パルス幅)が一定未満である場合には、ノイズと判定し、補助開閉部16をオン状態に切り替えることなく、ゼロクロス検出信号の監視に戻る。これにより、例えば、電子スイッチ10の動作をより安定させることができる。例えば、パルス状のノイズが入力された後、適切なタイミングで補助開閉部16をオン状態に切り替えることが可能となる。
【0093】
制御部22は、補助開閉部16をオフ状態からオン状態に切り替えた場合には、補助開閉部16のオン状態への切り替えのタイミングから第4所定時間の経過に応じて、補助開閉部16をオン状態からオフ状態に切り替える(
図2のステップS111、
図3の時刻t13、
図4の時刻t24)。
【0094】
補助開閉部16をオフ状態に切り替えたとしても、主開閉部12に流れる電流が保持電流を維持していれば、主開閉部12は、オン状態を継続する(
図3の時刻t13~t14、
図4の時刻t24~t25)。主開閉部12は、交流電源2の交流電流が再びゼロクロス点に近付き、一対の主端子間に流れる電流が保持電流未満となることに応じてオン状態からオフ状態に切り替わる(
図3の時刻t14、
図4の時刻t25)。主開閉部12がオフ状態に切り替わることにより、再び電荷蓄積素子18への充電が可能となる。このように、電子スイッチ10は、負荷4に電力を供給する状態においては、ゼロクロス点から主開閉部12又は補助開閉部16がオン状態に切り替わるまでの短い時間で、交流電源2の電力の半周期毎に電荷蓄積素子18の充電を行うことにより、自身の動作を継続させる。
【0095】
例えば、接続された負荷4によっては、負荷4の浮遊容量などでフラバック電圧が発生した場合などに、主開閉部12のオン状態への切り替えの直後に逆電流が発生し、保持電流を下回ってオフ状態になってしまう場合がある。
【0096】
このため、制御部22は、上記のように、補助開閉部16をオン状態へ切り替えた後、補助開閉部16のオン状態を第4所定時間継続させる。すなわち、制御部22は、主開閉部12をオフ状態からオン状態に切り替え易くした状態を第4所定時間継続させる。これにより、主開閉部12が逆電流の発生などで意図せずオフ状態に戻ってしまったとしても、オフ状態となった後に、再びオン状態に切り替えることができる。これにより、例えば、逆電流の発生し易い負荷4が接続された場合などにおいても、負荷4への電力の供給をより安定させることができる。
【0097】
第4所定時間は、例えば、4ms程度に設定される。但し、第4所定時間は、これに限ることなく、主開閉部12が意図せずオフ状態のままとなってしまうことを抑制でき、かつ電荷蓄積素子18の充電を適切に行うことができる任意の時間に設定すればよい。
【0098】
制御部22は、補助開閉部16をオフ状態に切り替えた後、ゼロクロス点の検出を第5所定時間休止する(
図2のステップS112)。第5所定時間は、例えば、0.5ms程度に設定される。但し、第5所定時間は、これに限ることなく、任意の時間でよい。第5所定時間は、必ずしも設定しなくてもよい。
【0099】
制御部22は、第5所定時間の経過の後、ゼロクロス検出信号の監視に戻る。制御部22は、以下、同様の処理を繰り返す。これにより、負荷4に電力を供給する状態において、電荷蓄積素子18の充電を行って自身の動作を継続させつつ、負荷4への電力の供給を行うことができる。例えば、負荷4が照明装置である場合には、照明装置を点灯させることができる。
【0100】
以上、説明したように、本実施形態に係る電子スイッチ10では、制御部22が、入力部24から入力された切替信号と、電流検出部50から入力された整流電流の検出結果と、を基に、補助開閉部16の供給状態と停止状態との切り替えを制御する。これにより、本実施形態に係る電子スイッチ10では、例えば、インピーダンスの成分の大きい負荷4、インピーダンスの成分の小さい負荷4、パルス状の電流を発生させる可能性のある負荷4、及び逆電流の発生し易い負荷4などの多くの種類の負荷4に対して安定して電力の供給を行うことができる。接続された負荷4の種類に応じて適切なタイミングで主開閉部12及び補助開閉部16の切り替えの制御を行うことができる。従って、より多くの種類の負荷4に適合した電子スイッチ10を提供することができる。
【0101】
上記実施形態において、電子スイッチ10は、2本の配線を接続可能な、いわゆる片切スイッチである。電子スイッチ10は、片切スイッチに限ることなく、3本の配線を接続可能な三路スイッチや、4本の配線を接続可能な四路スイッチなどでもよい。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
2…交流電源、 4…負荷、 10…電子スイッチ、 12…主開閉部、 14…整流器、 16…補助開閉部、 18…電荷蓄積素子、 20…電源回路、 22…制御部、 24…入力部、 26…筐体、 31、32…接続端子、 34…抵抗素子、 35…コンデンサ、 40…駆動部、 41…抵抗素子、 42…スイッチ部、 51、52…スイッチング素子、 54…整流素子、 56…充電回路、 60、61…抵抗素子、 62、63…トランジスタ