(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160187
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E05B 1/00 20060101AFI20231026BHJP
E06B 7/28 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
E05B1/00 311D
E06B7/28 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070347
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】須藤 勝仁
(57)【要約】
【課題】戸体本体とハンドルとの意匠性を向上できる建具を提供すること。
【解決手段】建具1は、横方向に並ぶ複数のモール材33が表面に配置された戸体本体3と、戸体本体3におけるモール材33が配置された面側に設けられた第1ハンドル26と、を備え、モール材33及び第1ハンドル26は、同一種類の外観意匠を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向又は上下方向に並ぶ複数のモール材が表面に配置された戸体本体と、
前記戸体本体における前記モール材が配置された面側に設けられた第1ハンドルと、を備え、
前記モール材及び前記第1ハンドルは、同一種類の外観意匠を有する、建具。
【請求項2】
前記複数のモール材は、それぞれ上下方向に延びて形成される共に、横方向に並んで配置され、
前記第1ハンドルは、上下方向に延びて形成される、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記複数のモール材は、それぞれ横方向に延びて形成されると共に、上下方向に並んで配置され、
前記第1ハンドルは、横方向に延びて形成される、請求項1に記載の建具。
【請求項4】
前記第1ハンドルの幅は、前記複数のモール材のうちの少なくとも1つのモール材の幅と略同一である、請求項2又は3に記載の建具。
【請求項5】
前記第1ハンドルは、断面視T字状又は断面視L字状に形成され、前記戸体本体から突出する突出部と、前記突出部における前記戸体本体とは反対側の端部に接続される板状のハンドル本体と、を有する、請求項1~3のいずれかに記載の建具。
【請求項6】
前記ハンドル本体の背面側の幅方向の端部側は、曲面形状に形成される、請求項5に記載の建具。
【請求項7】
前記第1ハンドルが断面視T字状に形成されており、
前記戸体本体における前記第1ハンドルが設けられた面と反対側の面側に設けられた第2ハンドルを備え、
前記第1ハンドルは、前記戸体本体における室内外方向の一方側に設けられ、
前記第2ハンドルは、前記戸体本体における室内外方向の他方側に設けられ、
前記戸体本体は、前記室内外方向の一方側に向かって開くように、横方向の一端部側に設けられる回転軸を中心に回転可能に支持され、
前記第2ハンドルは、前記戸体本体の横方向において、前記第1ハンドルよりも前記回転軸側に配置される、請求項5に記載の建具。
【請求項8】
前記第1ハンドルが断面視L字状に形成されており、
前記戸体本体における前記第1ハンドルが設けられた面と反対側の面側に設けられた第2ハンドルを備え、
前記第1ハンドルは、前記戸体本体における室内外方向の一方側に設けられ、
前記第2ハンドルは、前記戸体本体における室内外方向の他方側に設けられ、
前記戸体本体は、前記室内外方向の一方側に向かって開くように、横方向の一端部側に設けられる回転軸を中心に回転可能に支持され、
前記第1ハンドル及び前記第2ハンドルは、前記戸体本体の横方向において、同じ位置に配置される、請求項5に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横方向に並ぶ複数のモール材が表面に配置された戸体本体と、戸体本体におけるモール材が配置された面側に設けられたハンドルと、を備える建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の建具は、戸体本体とハンドルとのデザインが統一されておらず、意匠性の観点から改善の余地がある。
【0005】
本開示は、戸体本体とハンドルとの意匠性を向上できる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、横方向に並ぶ複数のモール材が表面に配置された戸体本体と、前記戸体本体における前記モール材が配置された面側に設けられた第1ハンドルと、を備え、前記モール材及び前記第1ハンドルは、同一種類の外観意匠を有する、建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態の建具を室外側から見た斜視図である。
【
図2】一実施形態の建具を室外側から見た正面図である。
【
図3】一実施形態の建具を室内側から見た斜視図である。
【
図6】室外側ハンドルの接続部及び室外側モール材の固定部材の取り付け位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の建具の一実施形態について図面を用いて詳細に説明する。以下の説明においては、ドア本体3及び袖部4の横方向を左右方向Xとする。左右方向Xは、ドア本体3の幅方向であり、袖部4の幅方向である。左右方向Xにおいて、一方側をX1側(
図1における右上側)とし、他方側をX2側(
図1における左下側)とする。また、建具1の室内外方向を室内外方向Yとする。室内外方向Yにおいて、室外側を室外側Y1とし、室内側を室内側Y2とする。
【0009】
図1~
図3に示すように、本実施形態の建具1は、建物に固定される枠体2と、枠体2内に開閉可能に配置されるドア本体3(戸体本体)と、枠体2の戸先側に配置される袖部4と、を備える。建具1は、建物の玄関用として設けられる。建具1は、手動錠装置5及び電気錠装置6により、施解錠を行うことが可能である。
【0010】
枠体2は、建物の開口部の四周に沿って設けられる。枠体2は、
図1~
図3に示すように、横枠としての上枠21及び下枠22と、左右方向XのX1側に配置される縦枠23と、左右方向XのX2側に配置される縦枠24と、により矩形に枠組みされる。枠体2内には、ドア本体3及び袖部4が、幅方向に隣接して配置されている。ドア本体3は、左右方向XのX1側に配置されている。袖部4は、左右方向XのX2側に配置されている。
【0011】
ドア本体3は、玄関用のドアである。ドア本体3は、玄関用であり、室内用のドア本体と比べて重量が重く、重量感を有する。ドア本体3は、左右方向XのX1側の縦枠23に設けられる丁番25の回転軸を中心に回転して開閉可能な開きドアである。ドア本体3は、室内外方向Yの室外側Y1に向かって開くように、左右方向XのX1側の端部側に設けられる丁番25の回転軸を中心に回転可能に支持されている。ドア本体3は、閉じた状態から室外側Y1に向けて回転する、いわゆる外開きで取り付けられる。
【0012】
ドア本体3には、室外側Y1の面に室外側ハンドル26が取り付けられ、室内側Y2の面に室内側ハンドルが取り付けられている。室外側ハンドル26及び室内側ハンドル27は、ドア本体3を開閉する利用者(以下、「利用者」と言う)が手を掛けて開閉できる。利用者は、室外側ハンドル26又は室内側ハンドル27に手を掛けて、ドア本体3を押したり引いたりしてドア本体3を開閉することが可能である。
【0013】
ドア本体3は、上下方向に長い略長方形の板状に形成されている。
図4及び
図5に示すように、ドア本体3は、ドア本体基板部31と、ドア本体戸先側補強枠32と、ドア本体基板部31の室外側Y1の表面に配置される複数の室外側モール材33と、ドア本体基板部31の室内側Y2の表面に配置される1つの室内側モール材34と、を有する。
【0014】
ドア本体基板部31は、ドア本体3の基部を構成し、室内外方向Yに厚みを有し、左右方向Xに所定幅を有すると共に上下方向に延びる板状に形成される。ドア本体戸先側補強枠32は、ドア本体基板部31の戸先側の端部に配置され、上下方向に延びる枠状に形成される。
【0015】
複数の室外側モール材33は、ドア本体基板部31の室外側Y1の面に配置され、上下方向に延びて形成される。複数の室外側モール材33は、いずれも、
図5に示すように、同じ横幅H1を有して形成され、左右方向Xに並んで配置される。室外側モール材33は、横方向に沿って切断した断面形状が、ドア本体基板部31側が開放したU字の薄板状に形成される。室外側モール材33は、例えば、アルミニウム材料により形成される。室外側モール材33は、
図4及び
図6に示すように、複数の固定部材331により、ドア本体基板部31に固定されている。
【0016】
複数の室外側モール材33の表面には、意匠材(図示せず)が貼り付けられている。本実施形態においては、室外側モール材33の表面には、意匠材として、例えば、厚さ0.2mm程度の樹脂シート材が貼り付けられている。樹脂シート材の表面には、例えば、木目のデザインが施されている。
【0017】
1つの室内側モール材34は、ドア本体基板部31の室内側Y2の面において、ドア本体3の戸先側の端部寄りに配置され、上下方向に延びて形成される。室内側モール材34は、
図5に示すように、横幅H2を有して形成される。室内側モール材34は、横方向に沿って切断した断面形状が、ドア本体基板部31側が開放したU字の薄板状に形成される。室内側モール材34は、例えば、アルミニウム材料により形成される。室内側モール材34は、
図4及び
図6に示すように、複数の固定部材341により、ドア本体基板部31に固定されている。
【0018】
ドア本体基板部31の室内側Y2の面と室内側モール材34の表面には、意匠材(図示せず)が貼り付けられている。本実施形態においては、ドア本体基板部31の室内側Y2の面及び室内側モール材34の表面には、意匠材として、例えば、厚さ0.2mm程度の樹脂シート材が貼り付けられている。樹脂シート材の表面には、例えば、木目のデザインが施されている。
【0019】
室外側ハンドル26(第1ハンドル)は、
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、ドア本体3における室外側モール材33が配置された室外側Y1の面側に取り付けられている。室外側ハンドル26は、ドア本体3の戸先側の端部寄りにおいて、上下方向に延びて形成される。本実施形態においては、室外側ハンドル26は、ドア本体3の室外側Y1に取り付けられる複数の室外側モール材33のうち、最も戸先側に配置される室外側モール材33aの室外側Y1に配置される。
【0020】
室外側ハンドル26には、複数の室外側モール材33と同一種類の意匠が施されている。具体的には、室外側ハンドル26の表面には、複数の室外側モール材33に貼り付けられた意匠材と同一種類の意匠材(図示せず)が貼り付けられている。本実施形態においては、室外側ハンドル26の表面には、意匠材として、例えば、厚さ0.2mm程度の樹脂シート材が貼り付けられている。樹脂シート材の表面には、例えば、木目のデザインが施されている。これにより、室外側ハンドル26及び複数の室外側モール材33は、同一種類の外観意匠を有する。
【0021】
室外側ハンドル26は、
図5に示すように、横方向に切断した断面形状が断面視T字状に形成される。室外側ハンドル26は、
図1及び
図5に示すように、板状の突出板261(突出部)と、板状の幅広板状取手262(ハンドル本体)と、を有する。突出板261は、板状に形成され、ドア本体3の室外側Y1の面から突出すると共に、上下方向に延びる。突出板261のドア本体3側の端部は、
図4及び
図6に示すように、上下方向に離れて配置される複数の接続部263により、ドア本体3の戸先側に設けられるドア本体戸先側補強枠32に固定される。
【0022】
接続部263は、
図5に示すように、U字金具263aと、一対のハンドル側ネジ263bと、ドア側ネジ263cと、を有する。U字金具263aは、U字の閉じた部分がドア本体3側に向いた状態で、突出板261の内部に配置される。一対のハンドル側ネジ263bは、U字金具263aのU字の開放した側に形成される一対の端部と室外側ハンドル26とを固定する。ドア側ネジ263cは、U字金具263aのU字の閉じた部分とドア本体3の室外側Y1の面とを固定する。
【0023】
幅広板状取手262は、突出板261におけるドア本体3とは反対側の端部に接続される。幅広板状取手262は、長手方向に直交する方向に切断した断面形状が、
図5に示すように、全体の外観形状が横長の略四角形状に形成される。幅広板状取手262は、横幅H3を有して、上下方向に延びる。幅広板状取手262の横幅H3は、
図5に示すように、室外側モール材33の横幅H1と略同一である。
【0024】
本実施形態においては、「幅広板状取手262の横幅H3と室外側モール材33の横幅H1とが略同一」とは、幅広板状取手262の横幅H3が、室外側モール材33の横幅H1に対して、90%~110%の範囲であることを意味する。なお、幅広板状取手262が室外側モール材33よりも室外側Y1に配置されており、室外側モール材33が幅広板状取手262に隠されるため、幅広板状取手262の横幅H3が室外側モール材33の横幅H1よりも広いことが好ましく、幅広板状取手262の横幅H3は、室外側モール材33の横幅H1の横幅H3に対して、100%~110%の範囲であることが好ましい。
【0025】
幅広板状取手262は、ドア本体3の開閉操作の際に、利用者が手を掛けることが可能である。室外側ハンドル26の幅広板状取手262は、室外側Y1から見た場合に、
図1及び
図2に示すように、例えば、ドア本体3の上下方向の長さの全域に亘った長さ(100%の長さ)で、上下方向に延びる直線状に形成されている。
【0026】
幅広板状取手262は、
図5に示すように、ドア本体3の室外側Y1に取り付けられる複数の室外側モール材33のうち、最も戸先側に配置される室外側モール材33aの室外側Y1において、左右方向Xの位置が室外側モール材33aと同じ位置となるように設けられている。つまり、幅広板状取手262の横幅H3と室外側モール材33の横幅H1とが略同一であるため、幅広板状取手262は、
図5に示すように、室外側Y1から見た場合に室外側モール材33aに重なるように、室外側モール材33aの室外側Y1に配置される。
【0027】
これにより、
図2に示すように、建具1を室外側Y1から見た場合に、室外側ハンドル26の幅広板状取手262は、最も戸先側に配置される室外側モール材33aに重なっているため、ドア本体3の室外側Y1の表面に配置された複数の室外側モール材33と区別できずに、あたかも室外側ハンドル26が存在しないように、複数の室外側モール材33と一体化して視認される。これにより、室外側ハンドル26がドア本体3と一体化したように見えるため、すっきりとしたデザインとすることができ、建具1の意匠性を向上できる。
【0028】
幅広板状取手262の前面262aは、
図5に示すように、左右方向X及び上下方向に延びる平面状に形成される。幅広板状取手262の前面262a側の左右方向Xの両端部に形成される一対の前面側の角部は、面取りされている。
【0029】
幅広板状取手262の背面262bは、左右方向Xの中央側において、左右方向X及び上下方向に延びる平面状に形成される。幅広板状取手262の背面262b側の左右方向X(幅方向)の両端部側には、一対の背面側角部262cが形成される。一対の背面側角部262c,は、ドア本体3側に緩やかに突出するR(アール)の曲面形状に形成される。幅広板状取手262の断面形状は全体として略四角形状に形成されているが、握り易さを考慮して、背面262bの左右方向Xの両端部側を緩やかなR(アール)の曲面形状に形成している。
【0030】
なお、背面262bの左右方向Xの両端部側において、緩やかなR(アール)の曲面形状に形成される部分を、幅広板状取手262の長手方向の全域に設けなくてもよく、室外側ハンドル26の幅広板状取手262の長手方向における人が握る範囲のみに設けてもよい。
【0031】
室内側ハンドル27(第2ハンドル)は、
図3~
図5に示すように、ドア本体3における室内側モール材34が配置された室内側Y2の面側に取り付けられている。室内側ハンドル27は、ドア本体3の戸先側の端部寄りにおいて、上下方向に延びて形成される。本実施形態においては、室外側ハンドル26は、ドア本体3の室外側Y1に取り付けられる1枚の室内側モール材が設けられる位置にのみに配置される。
【0032】
室内側ハンドル27は、
図5に示すように、ドア本体3の左右方向Xにおいて、室外側ハンドル26よりも丁番25の回転軸側に配置される。本実施形態においては、
図4に示すように、ドア本体3は、室内外方向Yの室外側Y1に向かって開くように、左右方向XのX1側の端部側に設けられる丁番25の回転軸を中心に回転可能に支持されている。そのため、ドア本体3を開ける場合には、室内側Y2に配置される室内側ハンドル27は、丁番25の回転軸を中心に円弧を描きながら、室内側Y2から室外側Y1に向かって移動する。
【0033】
この場合、室内側ハンドル27を、ドア本体3の左右方向XのX2側の端部に配置すると、ドア本体3を開ける場合に、室内側ハンドル27が袖部4に当たってしまう可能性がある。よって、室内側ハンドル27は、
図5に示すように、ドア本体3を開ける場合に袖部4に当たらない距離だけX1側にずらした位置に配置する。本実施形態においては、室内側ハンドル27は、ドア本体3の左右方向Xにおいて、室外側ハンドル26よりも丁番25側に配置される。これにより、ドア本体3を開ける場合に、室内側ハンドル27が袖部4に当たることを抑制できる。
【0034】
室内側ハンドル27には、室内側モール材34及びドア本体基板部31の室内側Y2の面と、同一種類の意匠が施されている。具体的には、室内側ハンドル27の表面には、室内側モール材34及びドア本体基板部31の室内側Y2の面に貼り付けられた意匠材と同一種類の意匠材(図示せず)が貼り付けられている。本実施形態においては、室内側ハンドル27の表面には、意匠材として、例えば、厚さ0.2mm程度の樹脂シート材が貼り付けられている。樹脂シート材の表面には、例えば、木目のデザインが施されている。これにより、室内側ハンドル27、室内側モール材34及びドア本体基板部31の室内側Y2の面は、同一種類の外観意匠を有する。
【0035】
室内側ハンドル27は、
図5に示すように、横方向に切断した断面形状が断面視T字状に形成される。室内側ハンドル27は、
図2及び
図5に示すように、板状の突出板271と、板状の幅広板状取手272と、を有する。突出板271は、板状に形成され、ドア本体3の室内側Y2の面から突出すると共に、上下方向に延びる。突出板271のドア本体3側の端部は、
図4に示すように、上下方向に離れて配置される複数の接続部273により、ドア本体3の戸先側に設けられるドア本体戸先側補強枠32に固定される。
【0036】
接続部273は、
図5に示すように、U字金具273aと、一対のハンドル側ネジ273bと、ドア側ネジ273cと、を有する。U字金具273aは、U字の閉じた部分がドア本体3側に向いた状態で、突出板271の内部に配置される。一対のハンドル側ネジ273bは、U字金具273aのU字の開放した側に形成される一対の端部と室内側ハンドル27とを固定する。ドア側ネジ273cは、U字金具273aのU字の閉じた部分とドア本体3の室内側Y2の面とを固定する。
【0037】
幅広板状取手272は、突出板271におけるドア本体3とは反対側の端部に接続される。幅広板状取手272は、長手方向に直交する方向に切断した断面形状が、
図5に示すように、全体の外観形状が横長の略四角形状に形成される。幅広板状取手272は、横幅H4を有して、上下方向に延びる。幅広板状取手272の横幅H4は、
図5に示すように、室内側モール材34の横幅H2と略同一である。
【0038】
本実施形態においては、「幅広板状取手272の横幅H4と室内側モール材34の横幅H2とが略同一」とは、幅広板状取手272の横幅H4が、室内側モール材34の横幅H2に対して、90%~110%の範囲であることを意味する。なお、幅広板状取手272が室内側モール材34よりも室内側Y2に配置されており、室内側モール材34が幅広板状取手272に隠されるため、幅広板状取手272の横幅H4が室内側モール材34の横幅H2よりも広いことが好ましく、幅広板状取手272の横幅H4は、室内側モール材34の横幅H2に対して、100%~110%の範囲であることが好ましい。
【0039】
幅広板状取手262は、ドア本体3の開閉操作の際に、利用者が手を掛けることが可能である。室内側ハンドル27の幅広板状取手は、室内側Y2から見た場合に、
図3に示すように、例えば、ドア本体3の上下方向の長さの80%~100%の長さで、上下方向に延びる直線状に形成されている。
【0040】
幅広板状取手272は、
図5に示すように、室内側モール材34の室内側Y2において、左右方向Xの位置が室内側モール材34と同じ位置となるように設けられている。つまり、幅広板状取手272の横幅H4と室内側モール材34の横幅H2とが略同一であるため、幅広板状取手272は、
図5に示すように、室内側Y2から見た場合に室内側モール材34に重なるように、室内側モール材34の室内側Y2に配置される。
【0041】
幅広板状取手272の前面272aは、
図5に示すように、左右方向X及び上下方向に延びる平面状に形成される。幅広板状取手272の前面272a側の左右方向Xの両端部に形成される一対の前面側の角部は、面取りされている。
【0042】
幅広板状取手272の背面272bは、左右方向Xの中央側において、左右方向X及び上下方向に延びる平面状に形成される。幅広板状取手272の背面272b側の左右方向X(幅方向)の両端部側には、一対の背面側角部272cが形成される。一対の背面側角部272cは、ドア本体3側に緩やかに突出するR(アール)の曲面形状に形成される。幅広板状取手272の断面形状は全体として略四角形状に形成されているが、握り易さを考慮して、背面272bの左右方向Xの両端部側を緩やかなR(アール)の曲面形状に形成している。
【0043】
なお、背面272bの左右方向Xの両端部側において、緩やかなR(アール)の曲面形状に形成される部分を、幅広板状取手272の長手方向の全域に設けなくてもよく、室内側ハンドル27の幅広板状取手272の長手方向における人が握る範囲のみに設けてもよい。
【0044】
袖部4は、
図1及び
図2に示すように、ドア本体3に隣接して枠体2内に配置されている。袖部4は、ドア本体3が閉位置に位置する場合において、ドア本体3の戸先側に配置されている。袖部4は、左右方向XのX2側の縦枠24に設けられる丁番41の回転軸を中心に回転して開閉可能な子扉である。袖部4は、閉じた状態から室外側Y1(
図1の紙面の手前側)に向けて回転する、いわゆる外開きで取り付けられる。袖部4は、通常時は、閉じた状態で固定されており、引っ越し等において大きな荷物を出し入れする際に枠体2内の開口部を大きく広げたい場合などに、開いた状態で使用される。
【0045】
袖部4は、
図4及び
図5に示すように、袖部基板部42と、室外側モール材43と、を有する。室外側モール材43は、袖部基板部42の室外側Y1の面に配置され、上下方向に延びて形成される。室外側モール材43は、横方向に沿って切断した断面形状が、袖部基板部42側が開放したU字の薄板状に形成される。室外側モール材43は、例えば、アルミニウム材料により形成される。
【0046】
袖部4には、
図1に示すように、2つの手動錠装置5と、電気錠装置6と、が設けられている。2つの手動錠装置5は、袖部4において、上下に離間して設けられる。
【0047】
2つの手動錠装置5は、室外側Y1においては、利用者が手動錠装置5のシリンダー部51(
図1参照)の鍵穴に鍵を挿入して回転させることで、ドア本体3の解錠を行うことができる。2つの手動錠装置5は、室内側Y2においては、利用者が手動錠装置5のサムターン52(
図3参照)を回転させることで、ドア本体3の解錠を行うことができる。
【0048】
電気錠装置6は、室外側認証部61を備える。室外側認証部61は、
図1に示すように、袖部4の室外側Y1に露出して配置されている。室外側認証部61は、利用者が認証用の携帯機器を持参した状態で認証用ボタンを押した場合や、利用者が認証用のボタンを押して認証用のカードキーをかざした場合などに、認証信号を無線により受信して利用者を認証する。制御部(図示せず)は、電気錠装置6の室外側認証部61から送信される認証信号を判断して、所定の条件の場合に、モータ(図示せず)を駆動させる。これにより、ドア本体3の施解錠が行われる。
【0049】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の建具1は、左右方向Xに並ぶ複数の室外側モール材33が表面に配置されたドア本体3と、ドア本体3における室外側モール材33が配置された面側に設けられた室外側ハンドル26と、を備え、室外側モール材33及び室外側ハンドル26は、同一種類の外観意匠を有する。これにより、ドア本体3と室外側ハンドル26とのデザインが統一され、意匠性を向上できる。
【0050】
また、本実施形態においては、複数の室外側モール材33は、それぞれ、上下方向に延びて形成され、室外側ハンドル26は、上下方向に延びて形成される。これにより、複数の室外側モール材33及び室外側ハンドル26の両方を、上下方向の同じ方向に沿って延びるように配置できるため、意匠性を向上できる。
【0051】
また、本実施形態においては、室外側ハンドル26の横幅H3は、複数の室外側モール材33のうちの少なくとも1つの室外側モール材33aの横幅H1と略同一である。これにより、ドア本体3を室外側Y1から見た場合に、室外側ハンドル26がドア本体3と一体化したように見える。よって、室外側ハンドル26及びドア本体3を一体化したすっきりとしたデザインとすることができ、意匠性を向上できる。
【0052】
また、本実施形態においては、室外側ハンドル26は、断面視T字状に形成され、ドア本体3から突出する突出板261と、突出板261におけるドア本体3とは反対側の端部に接続される板状の幅広板状取手262と、を有する。室外側ハンドル26を断面視T字状に形成することで、すっきりとしたデザインとすることができ、意匠性を向上できる。
【0053】
また、本実施形態においては、室外側ハンドル26の幅広板状取手262の背面側の幅方向の端部側は、曲面形状に形成される。これにより、利用者は、室外側ハンドル26を握る場合に、室外側ハンドル26を握り易い。
【0054】
また、本実施形態においては、室内側ハンドル27は、ドア本体3の左右方向Xにおいて、室外側ハンドル26よりも丁番25の回転軸側に配置される。これにより、ドア本体3を開ける場合に、室内側ハンドル27が袖部4に当たることを抑制できる。
【0055】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0056】
例えば、前記実施形態では、室外側ハンドル26、室内側ハンドル27、複数の室外側モール材33、室内側モール材34及びドア本体基板部31の室内側Y2の面に、意匠材として、同一種類のデザインが施された樹脂シート材を貼り付けることで、同一種類の外観意匠を有する構成とした。しかし、これに限定されない。同一種類の外観意匠を構成する意匠材として、同一の素材、同一の表面処理及び同一の塗装の少なくとも1以上を有する意匠材を設けることで、同一種類の外観意匠を有する構成としてもよい。また、例えば、意匠材の素材や表面処理や塗装が異なる場合であっても、外観の意匠(見た目、デザイン)が同一種類である意匠材を設けることで、同一種類の外観意匠を有する構成としてもよい。また、例えば、上下方向及び左右方向の少なくともいずれかの方向で各意匠材の色調が変化するグラデーションを形成することにより、同一種類の外観意匠を有する構成としてもよい。
【0057】
また、前記実施形態では、枠体2内に、ドア本体(戸体本体)に隣接して、袖部4を設けたが、これに限定されない。袖部4を設けなくてもよい。
【0058】
また、前記実施形態では、戸体本体3を、回転軸を中心に回転して開閉可能な開きドア本体3で構成したが、これに限定されず、戸体本体を、横方向に移動可能な引戸により構成してもよい。
【0059】
また、前記実施形態では、複数のモール材を上下方向に延びるように形成して横方向に並べて配置したが、これに限定されない。複数のモール材を横方向に延びるように形成して上下方向(縦方向)に並べて配置してもよい。
【0060】
また、前記実施形態では、第1ハンドル(室外側ハンドル)及び第2ハンドル(室内側ハンドル)を断面視T字状に形成したが、これに限定されない。第1ハンドル(室外側ハンドル)を断面視L字状に形成してもよいし、第2ハンドル(室内側ハンドル)を断面視L字状に形成してもよい。
【0061】
また、前記実施形態では、第1ハンドル(室外側ハンドル)及び第2ハンドル(室内側ハンドル)の両方を断面視T字状に形成して、第2ハンドル(室内側ハンドル)を、戸体本体(ドア本体)の横方向(左右方向)において、第1ハンドル(室外側ハンドル)よりも丁番25の回転軸側に配置したが、これに限定されない。第1ハンドル(室外側ハンドル)及び第2ハンドル(室内側ハンドル)の両方を断面視L字状に形成して、第1ハンドル(室外側ハンドル)及び第2ハンドル(室内側ハンドル)を、戸体本体(ドア本体)の横方向(左右方向)において、同じ位置に配置してもよい。第1ハンドル(室外側ハンドル)及び第2ハンドル(室内側ハンドル)の両方を断面視L字状に形成する場合には、戸体本体(ドア本体3)を開ける場合に第2ハンドル(室内側ハンドル27)が袖部に当たることを抑制するために、第1ハンドル(室外側ハンドル)及び第2ハンドル(室内側ハンドル)において、幅広板状取手262,272(ハンドル本体)を、突出板261,271(突出部)の先端から、丁番25の回転軸側に延びるよう形成することが好ましい。
【符号の説明】
【0062】
1 建具、3 ドア本体(戸体本体)、25 丁番、26 室外側ハンドル(第1ハンドル)、27 室内側ハンドル(第2ハンドル)、33 室外側モール材(モール材)、261 突出板(突出部)、262 幅広板状取手(ハンドル本体)