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特開2023-160190編レース、編レース製品、及び編レースの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160190
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】編レース、編レース製品、及び編レースの製造方法
(51)【国際特許分類】
   D04B 21/10 20060101AFI20231026BHJP
   D04B 21/00 20060101ALI20231026BHJP
   D04B 21/18 20060101ALI20231026BHJP
   D04B 21/16 20060101ALI20231026BHJP
   A41D 31/00 20190101ALN20231026BHJP
【FI】
D04B21/10
D04B21/00 A
D04B21/18
D04B21/16
A41D31/00 502T
A41D31/00 502D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070354
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】597027305
【氏名又は名称】株式会社クロダレース
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 茂男
【テーマコード(参考)】
4L002
【Fターム(参考)】
4L002AA01
4L002AA05
4L002AA06
4L002AA07
4L002AA08
4L002AB02
4L002AB04
4L002AC01
4L002AC05
4L002CA00
4L002CA03
4L002CA04
4L002CB02
4L002DA01
4L002EA00
4L002FA01
4L002FA03
(57)【要約】
【課題】 透かし感を向上させつつ、破れにくく、かつ、ほつれにくい編レースを提供することを目的とする。
【解決手段】 本実施形態における編レースは、複数の編み目が連続する基本組織12と、複数の編み目が連続する方向において、基本組織12に挿入した挿入糸20と、挿入糸20により形成したニードルループ20Aとを有し、ニードルループ20Aは、基本組織12に含まれる複数の編み目うち、規則的に一部の編み目に設けられている。 挿入糸20は、熱融着性のある糸であり、ニードルループ20Aは、配置された編み目に含まれるニードルループと接着している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の編み目が連続する基本組織と、
複数の前記編み目が連続する方向において、前記基本組織に挿入した挿入糸と、
前記挿入糸により形成したニードルループと
を有し、
前記ニードルループは、前記基本組織に含まれる複数の編み目うち、一部の編み目に設けられる
編レース。
【請求項2】
前記ニードルループは、前記基本組織に含まれる複数の編み目うち、規則的に一部の編み目に設けられている
請求項1に記載の編レース。
【請求項3】
前記挿入糸は、接着性のある糸であり、
前記ニードルループは、当該ニードルループが設けられた前記編み目のうち、少なくとも当該編み目に含まれるニードルループと接着している
請求項1又は2に記載の編レース。
【請求項4】
前記挿入糸は、接着性の無い糸であり、
前記ニードルループは、当該ニードルループが設けられた前記編み目のうち、当該編み目に含まれるニードルループと接触している
請求項1又は2に記載の編レース。
【請求項5】
前記基本組織は、複数の前記編み目が連続する方向と直交する方向に複数設けられ、
前記基本組織を形成する糸により、隣り合う2つ前記基本組織を連結する連結部
をさらに有する
請求項1から4のいずれか1項に記載の編レース。
【請求項6】
複数の前記編み目が連続する方向において、前記基本組織の当該編み目に挿入した第2の挿入糸と、
前記基本組織が複数設けられた方向において、隣り合う2つの前記基本組織を連結し、地組織又は柄を形成する第3の挿入糸と
をさらに有し、
前記第3の挿入糸は、前記挿入糸と前記第2の挿入糸との間に位置し、
前記第2の挿入糸は、機能性のある糸、伸縮性のある糸、及び、接着性のある糸のうち少なくとも1つの糸、又は、機能性のある糸、伸縮性のある糸、及び、接着性のある糸のうち少なくとも2つを組み合わせた複合糸であり、前記基本組織に挿入されている
請求項5に記載の編レース。
【請求項7】
複数の編み目が連続する基本組織と、
複数の前記編み目が連続する方向において、前記基本組織に挿入した挿入糸と、
前記挿入糸により形成したニードルループと
を有し、
前記ニードルループは、前記基本組織に含まれる複数の編み目うち、一部の編み目に設けられる
編レースを含む編レース製品。
【請求項8】
複数の編み目が連続する基本組織を形成する工程と、
複数の前記編み目が連続する方向に前記基本組織に挿入糸を挿入し、所定の前記
編み目に、当該挿入糸によりニードルループを形成する工程と、
前記ニードルループを形成した前記編み目から規則的な位置にある第2の編み目に、前記挿入糸により第2のニードルループを形成する工程と
を有する編レースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編レース、編レース製品、及び編レースの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、編み立て方向に延びる鎖編組織をそれぞれ形成する複数の鎖編糸と、前記鎖編糸によって形成された複数の鎖編組織間に編地緯方向に渡って編み込まれる緯渡り糸と、加熱処理されて一部若しくは全部が溶融して溶着性を示す熱溶融糸とをラッセル編機に掛けてラッセル編地を編成する編成工程と、前記編成工程を経て得られるラッセル編地を熱処理する熱処理工程とを実行し、ラッセルレース編地を得るラッセルレース編地の製造方法であって、前記編成工程において、加熱処理されて一部若しくは全部が溶融する溶融性材料からなる溶融性糸条部位を第1鎖編部位として、前記溶融性材料より溶融温度が高い難溶融性材料からなる難溶融性糸条部位を第2鎖編部位として、前記第1鎖編部位及び第2鎖編部位を同一の鎖編組織に備えた複数の鎖編組織を編成するとともに前記溶融性材料と同種材料からなる挿入糸を、前記鎖編組織に挿入してラッセル編地を編成し、前記熱処理工程において、前記編成工程を経て得られたラッセル編地を、編地緊張状態で、前記難溶融性材料及び前記緯渡り糸の溶融温度以下で、前記溶融性材料の溶融温度以上の温度に加熱する熱処理を、前記難溶融性糸条部位及び前記緯渡り糸が糸条として残る処理時間、実行してラッセルレース編地を得るラッセルレース編地の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、原料糸を準備するステップ1と、原料糸をループ形成用地ガイドバーに送り込むステップ2と、ループ形成用地ガイドバーが編織作業を開始するステップ3 とを含み、前記原料糸は、N(N≧1)本の糸から構成され、N本の糸中の少なくとも1本が伝線防止性糸であることを特徴とするマルチバー経編機による編み方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-184672号公報
【特許文献2】特開2019-35183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、透かし感を向上させつつ、破れにくく、かつ、ほつれにくい編レースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る編レースは、複数の編み目が連続する基本組織と、複数の前記編み目が連続する方向において、前記基本組織に挿入した挿入糸と、前記挿入糸により形成したニードルループとを有し、前記ニードルループは、前記基本組織に含まれる複数の編み目うち、一部の編み目に設けられる。
【0006】
好適には、前記ニードルループは、前記基本組織に含まれる複数の編み目うち、規則的に一部の編み目に設けられている。
【0007】
好適には、前記挿入糸は、接着性のある糸であり、前記ニードルループは、当該ニードルループが設けられた前記編み目のうち、少なくとも当該編み目に含まれるニードルループと接着している。
【0008】
好適には、前記挿入糸は、接着性の無い糸であり、前記ニードルループは、当該ニードルループが設けられた前記編み目のうち、当該編み目に含まれるニードルループと接触している。
【0009】
好適には、前記基本組織は、複数の前記編み目が連続する方向と直交する方向に複数設けられ、前記基本組織を形成する糸により、隣り合う2つ前記基本組織を連結する連結部をさらに有する。
【0010】
好適には、複数の前記編み目が連続する方向において、前記基本組織の当該編み目に挿入した第2の挿入糸と、前記基本組織が複数設けられた方向において、隣り合う2つの前記基本組織を連結し、地組織又は柄を形成する第3の挿入糸とをさらに有し、前記第3の挿入糸は、前記挿入糸と前記第2の挿入糸との間に位置し、前記第2の挿入糸は、機能性のある糸、伸縮性のある糸、及び、接着性のある糸のうち少なくとも1つの糸、又は、機能性のある糸、伸縮性のある糸、及び、接着性のある糸のうち少なくとも2つを組み合わせた複合糸であり、前記基本組織に挿入されている。
【0011】
また、本発明に係る編レース製品は、複数の編み目が連続する基本組織と、複数の前記編み目が連続する方向において、前記基本組織に挿入した挿入糸と、前記挿入糸により形成したニードルループとを有し、 前記ニードルループは、前記基本組織に含まれる複数の編み目うち、一部の編み目に設けられる編レースを含む。
【0012】
また、本発明に係る編レースの製造方法は、複数の編み目が連続する基本組織を形成する工程と、複数の前記編み目が連続する方向に前記基本組織に挿入糸を挿入し、所定の前記編み目に、当該挿入糸によりニードルループを形成する工程と、前記ニードルループを形成した前記編み目から規則的な位置にある第2の編み目に、前記挿入糸により第2のニードルループを形成する工程とを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、透かし感を向上させつつ、破れにくく、かつ、ほつれにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態における柄模様入り編レース1を例示する図である。
図2】柄模様入り編レース1の編成組織を説明するための図示例である。
図3】柄模様入り編レース1の編成組織の詳細を説明する図である。
図4】柄模様入り編レース1の編成組織の詳細を説明する断面図である。
図5】柄模様入り編レース1の製造方法(S10)を説明するフローチャートである。
図6】柄模様入り編レースの破裂に対する強さを計測した試験結果を例示する表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
まず、図1図4を参照し、柄模様入り編レース1の構成を説明する。
図1は、本実施形態における柄模様入り編レース1を例示する図である。
図1に例示するように、柄模様入り編レース1(以下、編レース1)は、例えば編レース製品の少なくとも一部に使用される編レースである。編レース製品とは、少なくとも一部に編レース1を含む編レース製品であり、例えばインナーウエア、アウターウエア若しくはスポーツウエア等の衣服、包帯等の医療用具、コルセット、矯正ベルト若しくは矯正バンド等のサポーター、アンダーアイマスク、シートマスク若しくはフェイスマスク等のスキンケア用品、又は、カーテン等のインテリア用品である。なお、本例の編レース製品は、衣服である。衣服には、例えば、女性用のインナーウエア(下着)の全部又は一部に使用される。なお、女性用インナーウエアには、ファンデーション(基礎下着)、ランジェリー(装飾下着)、及びアンダーウエア(肌着)が含まれる。
この編レース1は、例えば、ラッセル機などの経編機によって編成された経編地のラッセルレースであり、複数の透孔が形成され、各透孔の形状および配置の組合せによりレース模様が形成される。編レース1は、地組織2と、地組織2に編み込まれた柄部6とを有する。
【0016】
地組織2は、隣り合う2つの基本となる組織(後述する基本組織12)を互いに連結して形成された編み地組織である。地組織2は、例えば、鎖編組織、チュール組織、アトラス組織、又はパワーネット組織等である。なお、本例の地組織2は、鎖編組織であり、隣り合う基本組織12(ウェール)を行き来するラン止め(ほつれ防止)機能を有する。
また、地組織2は、透かし部4と、地模様5とを含む。
透かし部4は、単位面積あたりに配置される糸の量が疎な領域であり、様々な複数のネット目である透孔が配置される。
地模様5は、単位面積あたりに配置される糸の量が密な領域であり、所定の模様に形成される。
柄部6は、地組織2に柄糸が編み込まれ、地組織2を装飾する領域である。柄部6は、編み込まれた柄糸の太さや疎密度合いにより、花柄模様(以下、柄モチーフと称呼することもある)の輪郭、濃淡、或いは凹凸を現出させる。
【0017】
図2は、柄模様入り編レース1の編成組織を説明するための図示例である。なお、説明の便宜上、各糸同士に間隔を設けているが、実際に各糸同士は密着している。
図2に例示するように、編レース1は、鎖編糸10、鎖編糸10により形成された基本組織12、第1編目14、第2編目15、挿入糸20、挿入糸40(不図示)、ジャカード糸50(不図示)、及び、柄糸60(不図示)とを有する。
【0018】
鎖編糸10は、複数の鎖編み目が連続する基本組織12(後述)を形成する編糸である。鎖編糸10が形成する鎖編み目は、ニードルループ10Aとシンカーループ10Bとを含む。鎖編糸10は、鎖編み目を連続して形成することにより、地組織2の基礎となる基本組織12を形成する。
また、鎖編糸10は、化学繊維のうち合成繊維で形成した糸であり、単独素材糸又は複合糸である。例えば、鎖編糸10が単独素材糸(例えばフィラメント糸)である場合、ポリアミドナイロン(ナイロン)、アクリル、又は、ポリエステル等で形成される。また、鎖編糸10が複合糸である場合、例えば、熱により材料が融解することで他の糸と接着する弾性糸である熱融着性弾性糸を芯糸にして、ナイロン糸を被覆した複合糸である。また、鎖編糸10は、接触温感、接触冷感又は抗菌防臭等の機能性繊維を含む糸でもよい。温感機能性繊維糸として例えばアクリル繊維糸や、冷感機能性繊維糸として例えばキュプラ繊維糸、その他抗菌や防臭など、追加する目的や効果に応じた素材の選択や、複合素材の組み合わせも適宜選択できる。また、複合糸の複合方法は、例えばカバーリング加工、エア交絡加工、又は合撚加工の他、既知の複合加工法を適宜選択できる。なお、本例の鎖編糸10は、ナイロンで形成したマルチフィラメント糸である。
【0019】
基本組織12は、鎖編糸10により形成され、複数の鎖編み目が連続した編み組織である。基本組織12は、図2に例示したように、基本組織12A~12Dを含む。なお、説明の便宜上、基本組織12A~12Dは、とりわけ区別する必要のない場合に基本組織12と称呼する。基本組織12は、複数の鎖編み目が連続する方向(以下コース方向)と直交する方向(以下ウェール方向)において、並列して配置される。また、基本組織12は、隣り合う2つの基本組織12において、それぞれの鎖編み目が隣り合う位置に配置される。
また、基本組織12は、隣り合う2つの基本組織12を連結するラン止め部100を有する。ラン止め部100は、基本組織12を形成する鎖編糸10により、隣り合う2つの基本組織12のうち、一方の基本組織12の鎖編み目から他方の基本組織12の鎖編み目に横渡りし、隣り合う2つの基本組織12を連結する。ラン止め部100は、規則的に配置される。ラン止め部100を配置する周期は、基本組織12のコース方向において、例えば3コース以上の周期であり、好ましくは3コース以上20コース以下の周期であり、より好ましくは3コース以上9コース以下の周期あり、さらに好ましくは3コース以上7コース以下の周期である。なお、本例のラン止め部100は、3コースの周期で、隣り合う2つの基本組織12を連結する。なお、ラン止め部100は、本発明に係る連結部の一例である。
【0020】
第1編目14は、基本組織12の複数の鎖編み目のうち、鎖編糸10により形成したニードルループ10Aと、後述する挿入糸20により形成したニードルループ20Aとを含む編み目である。本例の第1編目14は、挿入糸20のニードルループ20Aが溶けて鎖編糸10のニードルループ10Aに接着している。また、第1編目14は、ラン止め部100が設けられた位置の鎖編み目である。
【0021】
第2編目15は、基本組織12の複数の鎖編み目のうち、鎖編糸10により形成したニードルループ10Aの編み目である。つまり、第2編目15は、ニードルループ20Aを含まない、ニードルループ10Aのみの鎖編み目である。本例の第2編目15は、鎖編糸10により形成したシンカーループの内側又はシンカーループの外側に、挿入糸20を位置する。本例の第2編目15は、鎖編糸10により形成したシンカーループに挿入糸20が挿通し、挿通した挿入糸20とシンカーループとの接点で接着している。また、第2編目15は、ラン止め部100が設けられていない位置の鎖編み目である。
【0022】
挿入糸20は、本発明に係る挿入糸の一例であり、複数の鎖編み目が連続する方向において、基本組織12の複数の編み目に挿入した糸である。挿入糸20は、コース方向において、各基本組織12(図2中では、12A~12D)にそれぞれ挿入される。また、挿入糸20は、ニードルループ20Aを含む。
ニードルループ20Aは、挿入糸20により形成したニードルループである。ニードルループ20Aは、基本組織12に含まれる複数の編み目うち、一部の編み目に設けられる。具体的には、ニードルループ20Aは、基本組織12に含まれる複数の編み目うち、規則的に一部の編み目に設けられている。例えば、ニードルループ20Aを配置する周期は、1個の編み目置きに設けてもよいし、また、複数個の編み目ごと、又は、複数個の編み目置きに設けてもよい。具体的にはニードルループ20Aを配置する周期は、例えば2個以上10個以下の編み目ごと、又は、2個以上10個以下の編み目に置き設けてもよい。なお、本例のニードルループ20Aを配置する周期は、1個の第1編目14と2個の第2編目15とを含んだ3つの編み目ごとに設けており、具体的には、2個の第2編目15置きに1個の第1編目14を設けている。また、ニードルループ20Aは、横渡りするラン止め部100を含む鎖編み目に設けている。ここで、形成されたニードルループ20Aは、オープンループでもよいし、クローズドループであってもよく、本例ではクローズドループである。また、ニードルループ20Aは、ニードルループ10Aに接触して設けられる。具体的には、ニードルループ20Aは、ニードルループ10Aに少なくとも一部が密着状態で接触してもよいし、少なくとも一部が交差又は重なる状態で接触してもよい。
【0023】
また、挿入糸20は、例えば主として接着性のある糸、主として接着性のない糸、又は、接着性及び伸縮性のある糸である。挿入糸20は、例えば、主として接着性のある糸である場合、熱融着糸又は熱合着糸である。接着性のある糸とは、他の糸と接着する材料により形成された糸であり、例えば熱により融解して変形し他の糸との接着する熱融着糸、及び、熱により他の糸の凹凸等に入り込むように変形して接着する熱合着糸を含む。
また、挿入糸20は、例えば、主として接着性のない糸である場合、例えば化学繊維糸条、天然繊維糸条、又は、これらの少なくとも1つを含む複合糸である。化学繊維糸条は、例えばポリウレタン弾性糸(いわゆるスパンデックス)、ナイロン、又は、ポリエステルなどで形成した糸ある(なお、ポリウレタン弾性糸において、熱融着性を有さないポリウレタン弾性糸は、ポリウレタン伸縮糸と称呼する場合もある)。また、天然繊維糸条は、綿、絹、又は羊毛などで形成した糸ある。また、これらの少なくとも1つを含む複合糸は、ポリウレタン弾性糸、ナイロン、又は、ポリエステルなどの化学繊維糸条と、綿、絹、又は羊毛などの天然繊維糸条との少なくとも1つを含む糸である。また、挿入糸20は、比較的摩擦力のある糸が好ましく、例えばポリウレタン弾性糸、又はポリウレタン弾性糸を含む複合糸である。ポリウレタン弾性糸は、防滑性及び伸縮性を兼備する糸であり、糸の抜けを防止するとともに、生地の伸縮性に寄与する。
また、挿入糸20は、接着性及び伸縮性のある糸である場合、熱融着性及び伸縮性のある材料を糸状に形成した糸であり、例えば熱融着性ポリウレタン弾性糸である(なお、熱融着性を有するポリウレタン弾性糸は、ポリウレタン接着糸と称呼する場合もある)。また、挿入糸20は、糸の長さ方向に伸縮する弾性糸を含む複合糸であってもよく、例えば、弾性のある芯糸に被覆糸を被覆した複合糸であってもよい。
なお、本例の挿入糸20は、熱融着性および伸縮性のある糸である熱融着性ポリウレタン弾性糸であり、鎖編糸10より伸縮する。熱融着した状態の挿入糸20は、少なくとも一部においてこの糸が連続する部分が含まれる。挿入糸20は、この糸が連続する部分のみであってもよいし、この糸が連続する部分とこの糸が破断する部分とが含まれてもよい。本例の挿入糸20は、概ね糸が連続する部分が含まれる。
【0024】
機能性挿入糸40は、鎖編糸10により形成された基本組織12の鎖編み目に挿入された機能性に優れた挿入糸である。本例の機能性挿入糸40は、コース方向において、各基本組織12(図2中では、12A~12D)における複数の鎖編み目に挿入される。機能性挿入糸40は、弾性糸41、接着糸42、及び機能糸43の少なくとも1つを含む。機能性挿入糸40は、基本組織12の鎖編み目に、弾性糸41、接着糸42、及び機能糸43を全て挿入してもよいし、弾性糸41、接着糸42、及び機能糸43のうち2つを選択して挿入してもよいし、弾性糸41、接着糸42、及び機能糸43のうち1つを選択して挿入してもよい。本例の機能性挿入糸40は、弾性糸41及び接着糸42の2つを選択して、基本組織12の鎖編み目に挿入する。
【0025】
弾性糸41は、本発明に係る第2の挿入糸の一例であり、糸の長さ方向に伸縮する弾性糸である。弾性糸41は、例えば、ポリウレタン弾性糸(いわゆるスパンデックス)であり、熱融着性を有さないポリウレタン弾性糸である(なお、熱融着性を有さないポリウレタン弾性糸は、ポリウレタン伸縮糸と称呼する場合もある)。本例の弾性糸41は、コース方向に基本組織12を伸縮させる。その結果、弾性糸40は、地組織2に伸縮性を付与し、編レース1をストレッチレースとすることができる。
【0026】
接着糸42は、本発明に係る第2の挿入糸の一例であり、接着性のある材料、具体的には熱融着性のある材料を糸状に形成した糸である。接着糸42は、熱により材料が融解することで他の糸との接着機能を発揮する。また、接着糸42は、熱融着性に加えて糸の長さ方向に伸縮する伸縮性のある接着糸であってもよく、本例の接着糸42は、熱融着性ポリウレタン弾性糸である。また、接着糸42は、糸の長さ方向に伸縮する弾性糸を含む複合糸であってもよく、例えば、弾性のある芯糸に被覆糸を被覆した複合糸であってもよい。熱融着した状態の接着糸42は、少なくとも一部においてこの糸が連続する部分が含まれる。接着糸42は、この糸が連続する部分のみであってもよいし、この糸が連続する部分とこの糸が破断する部分とが含まれてもよい。本例の接着糸42は、概ね糸が連続する部分が含まれる。
【0027】
機能糸43は、本発明に係る第2の挿入糸の一例であり、接触温感、接触冷感又は抗菌防臭等の機能性繊維を主とする糸である。機能糸43は、単独素材糸又は複合糸であり、温感機能性繊維糸として例えばアクリル繊維糸、冷感機能性繊維糸として例えばキュプラ繊維糸、又は、その他抗菌や防臭など、追加する目的や効果に応じた素材を適宜組み合わせた複合糸であってもよい。
【0028】
ジャカード糸50は、本発明に係る第3の挿入糸の一例であり、鎖編糸10により形成された基本組織12の鎖編み目に挿入され、隣り合う2つの基本組織12を連結しレース模様のある地組織2を形成する挿入糸である。ジャカード糸50は、挿入糸20と挿入糸40との間に位置する。
ジャカード糸50は、ジャカード糸50は、単独素材糸、又は複合糸であり、本例では単独素材糸である。ジャカード糸50は、単独素材糸である場合、例えば合成繊維または再生繊維である。また、ジャカード糸50は、複合糸である場合、例えば天然繊維若しくは再生繊維と合成繊維との複合糸、又は、合成繊維同士との複合糸である。ここで、天然繊維とは、例えば、綿、麻、シルク、又はウール等であり、再生繊維とは、例えば、レーヨン、キュプラ、又はポリノジック等である。また、合成繊維とは、例えば、アクリル、ポリエステル、ナイロン、又はポリウレタン等である。
また、ジャカード糸50は、熱融着する接着糸であってもよく、例えば、ポリウレタン接着糸、又は、ポリウレタン伸縮糸を芯糸にして、ナイロン糸を被覆した複合糸であってもよい。これにより、地組織2のホツレや裂けを防止できる。ジャカード糸の複合方法は、例えばカバーリング加工、エア交絡加工、又は合撚加工等の既知の複合方法を適宜選択でき、条件に適した上記複合方法で製造された複合糸である。
また、ジャカード糸50は、接触温感、接触冷感又は抗菌防臭等の機能性繊維を主とする糸であってもよく、温感機能性繊維糸として例えばアクリル繊維糸、冷感機能性繊維糸として例えばキュプラ繊維糸、又は、その他抗菌や防臭など、追加する目的や効果に応じた素材を適宜組み合わせた複合糸であってもよい。
【0029】
柄糸60は、鎖編糸10により形成された基本組織12の鎖編み目に挿入され、隣り合う2つの基本組織12を連結しレース模様や柄を形成する挿入糸である。柄糸60は、編レース1の表側に位置し、所定の柄を形成することで柄部6を形成する。柄糸60は、図1に例示した地組織2に編み込まれ柄部6を形成する。編み込まれた柄糸は、太さや単位面積当たりの疎密度合いにより、地組織2に柄モチーフの輪郭、濃淡、或いは凹凸を現出させる。
【0030】
図3は、柄模様入り編レース1の編成組織の詳細を説明する図である。
図4は、柄模様入り編レース1の編成組織の詳細を説明する断面図である。
なお、説明の便宜上、各糸同士に間隔を設けているが、実際に各糸同士は密着又は密接している。
図3に例示するように、挿入糸20は、鎖編組織12のコース方向において、基本組織12に挿入され、規則的に一部の編み目にニードルループ20Aを設けている。ここで、基本組織12の編み目のうち、挿入糸20により形成されたニードルループ20Aを含む編み目を第1編目14とし、ニードルループ20Aを含まない編み目を第2編目15と称呼する。
また、弾性糸41、及び、接着糸42は、鎖編組織12のコース方向において、基本組織12に挿入される。また、ジャカード糸50又は柄糸60は、鎖編組織12のウエール方向において、隣り合う2つの基本組織12を連結する。
鎖編組織12は、1目の第1編目14と2目の第2編目15との3目を1セットとし、この1セットをコース方向に複数並べて形成される。第1編目14は、第2編目15を2目置きとなる周期で配置される。よって、ニードルループ20Aは、2目置きの編み目に設ける周期で配置される。すなわち、ニードルループ20Aは、鎖編組織12の鎖編み目において、第1編目14と第2編目15とが規則的に並ぶ一部の編み目に設けられている。また、第1編目14において、鎖編糸10と挿入糸20とは、鎖編糸10のニードルループ10Aと挿入糸20のニードルループ20Aとが重なるように形成されている。そのため、挿入糸20が接着性のない糸であっても、鎖編糸10と挿入糸20とによる互いの張力差による締め付けや、それに伴う摩擦抵抗によりほつれが軽減される。さらに加えて、挿入糸20が接着性のある糸である場合、挿入糸20を介して他の糸同士が接着されるため、よりほつれが軽減される。
なお、本例の鎖編組織12は、1目の第1編目14を周期的に配置する場合を説明するがこれに限定するものではなく、2目以上(複数)連続した第1編目14を周期的に配置してもよい。また、挿入糸20は、1目の第1編目14と、複数連続した第1編目14とを組み合わせた配置にしても可能である。
【0031】
図4は、柄模様入り編レース1の編成組織の詳細を説明する断面図である。
図4に例示するように、鎖編組織12の編み目は、編レース1の厚み方向において、編レース1の表側に位置するニードルループ10Aと、編レース1の裏側に位置するシンカーループ10Bとにより形成される。そして、鎖編糸10の編み目に、挿入糸20、挿入糸40、ジャカード糸50及び、柄糸60が挿入される。
挿入糸20は、ジャカード糸50及び柄糸60より編レース1の表側に位置し、機能性挿入糸40は、ジャカード糸50及び柄糸60より編レース1の裏側に位置する。そして、ジャカード糸50及び柄糸60は、挿入糸20及び挿入糸40の間に位置する。
このように、編レース1は、ニードルループ20Aを規則的に一部の編み目に設けることにより、透かし感が向上すると共に、ほつれを防止することができる。また、編レース1は、編レース1の表側にて、第1編目14にある挿入糸20のニードルループ20Aの露出頻度を抑える。これにより、編レース1の肌に当たる部分において、極度のゴムのべたつき感を抑えることができる。
【0032】
次に、図5を参照し、編レース1の製造方法を説明する。
図5は、柄模様入り編レース1の製造方法(S10)を説明するフローチャートである。
本実施形態の編レース1は、フロントジャカードラッセル編機(以下、フロントジャカード機)により編成される。以下、本例の製造方法では、上記フロントジャカード機を使用してレース地の編成し、編成したレース地を染色し、染色したレース地を熱処理することで、編レース1を得る。なお、本例では、フロントジャカード機で編成するが、これに限定するものではなく、バックジャカード機等でも実現可能である。
【0033】
図5に例示するように、ステップ100(S100)において、作業者は、地筬によって鎖編糸10を編針に導き経編用の鎖編み目を形成し、形成した鎖編み目をコース方向に複数連続させて基本組織12を複数形成する。形成される基本組織12は、ウェール方向に等間隔で複数並列して設けられる。また、鎖編糸10を3コースの周期で横渡りさせ、ラン止め部100を入れ、隣り合う2つの基本組織12を連結する。
【0034】
ステップ102(S102)において、作業者は、フロントジャカード機に、コース方向において、鎖編糸10で形成した基本組織12の鎖編み目に挿入糸20を挿入させ、ニードルループ20Aを形成し、第1編目14とする。
【0035】
ステップ104(S104)において、作業者は、フロントジャカード機に、ニードルループ20Aを形成した第1編目14から規則的な位置にある鎖編み目に第2のニードルループ20Aを形成させる。図3に例示するように、作業者は、ニードルループ20Aを配置した第1編目14から、2個の第2編目15置きの位置にある鎖編み目に、ニードルループ20Bを形成した第1編目14を設ける。
【0036】
ステップ104(S104)において、作業者は、フロントジャカード機に、コース方向において、基本組織12の鎖編み目に挿入糸40を挿入させる。図2及び図3に例示するように、弾性糸41、及び接着糸42は、同じ基本組織12のコース方向において、少なくとも一部が同じ挿入経路に配置される。本例の弾性糸41及び接着糸42は、全て同じ挿入経路となるよう配置される。具体的は、弾性糸41及び接着糸42は、挿入元の鎖編み目と挿入先の鎖編み目とが互いに同じ鎖編み目であり、かつ、挿入元の鎖編み目から挿入先の鎖編み目までの糸の道筋が同じであり、全体的に互いに並走するように配置される。なお、弾性糸41、及び接着糸42は、互いに交差する挿入経路であってもよい。
【0037】
ステップ106(S106)において、作業者は、フロントジャカード機に、コース方向において、基本組織12の鎖編み目にジャカード糸50及び柄糸60を挿入させる。これにより、作業者は、図1に例示した透かし部4、地模様5、柄部6を形成させる。基本組織12に挿入された複数のジャカード糸50のうち、隣り合う2つのジャカード糸50は、例えば、少なくとも一部において対称性があり、かつ、少なくとも一部が互いに重なる又は交差するように配置してもよい。
このように上記ステップS100~S106では、フロントジャカード編機の編成動作にて同一コース上で編込み等が行われ、染色加工前のレース地が製造される。
【0038】
ステップ108(S108)において、作業者は、編成後のレース地を染色する。なお、本例では、後染めの場合を説明するが、これに限定するものではなく、先染めあってもよいし、原着糸であれば本工程を省くことができる。
【0039】
ステップ110(S110)において、作業者は、レース地の挿入糸20及び接着糸42が融解する温度で加熱する熱処理を行う(熱セット工程)。熱セット工程時の熱セット条件は、例えば160℃以上200℃以下の温度で90秒以下であり、好ましくは180℃以上190℃以下で40秒以上80秒以下である。熱セット工程により、挿入糸20及び接着糸42は、溶融する。溶融した挿入糸20及び接着糸42は、糸が連続する部分と、部分的に破断すると共に、溶融した部分を鎖編糸10、ジャカード糸50、及び柄糸60に付着させる。これにより、第1編目14において、挿入糸20のニードルループ20Aは、鎖編糸10のニードルループ10Aと接着する。また、第2編目15において、挿入糸20は、鎖編糸10のシンカーループに挿通する位置、及び、シンカーループと接触する位置において、鎖編糸10と接着する。これにより、作業者は、図1に例示した編レース1を得ることができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の編レース1によれば、基本組織12の鎖編み目に挿入する挿入糸20でニードルループ20Aを規則的に配置し、鎖編糸10のニードルループ10Aと挿入糸20のニードルループ20Aとを接着することにより、破裂強度を向上させることができる。また、例えば、編レース1を裁断した場合であっても、裁断した布端からのほつれを抑制することができる。
また、編レース1によれば、編レース1の表側にて、ニードルループ20Aを規則的に形成して配置することにより、挿入糸20のニードルループ20Aの露出頻度を抑えることができる。これにより、編レース1の肌に当たる部分において、極度のゴムのべたつき感を抑えることができるため、柔軟性とレース強度とを兼備した編みレースを実現することができる。
【0041】
また、編レース1は、弾性糸41及び接着糸42を同じコース方向に同じ挿入経路となるよう、基本組織12に挿入しているため、透け感が損なわれない。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、これらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。
【0042】
[実施例と比較例との性能評価]
実施例、及び、比較例の各編レースの性能を破裂強度試験及び耐洗濯性試験を行いそれぞれ評価した。
まず、実施例、及び、比較例の構成を説明する。
本実施例の編レース(以下、実施例)、及び、比較例の編レース(以下、比較例)は、同じフロントジャカード機により編成され、同じ柄模様である編レースである。以下、各編レースの詳細を説明する。
実施例は、44dtxのナイロン糸である鎖編糸により複数の鎖編み目が連続する基本組織に、編レースの表側から順に、44dtxの熱融着性ポリウレタン弾性糸Aと、44dtxのジャカード糸及び78dtx以上156dtx以下の柄糸と、78dtxのポリウレタン弾性糸及び44dtxの熱融着性ポリウレタン弾性糸Bとを挿入して形成される。編レースの表側に位置する熱融着性ポリウレタン弾性糸Aは、基本組織に含まれる複数の鎖編み目うち、2目置きの編み目にニードルループを形成する。編レースの裏側に位置するポリウレタン弾性糸及び熱融着性ポリウレタン弾性糸Bは、同じ基本組織のコース方向において、全て同じ挿入経路となるよう挿入される。そして、熱処理を行い、熱融着性ポリウレタン弾性糸は他の糸に融着している。このように、実施例の編レースを得た。
比較例は、44dtxのナイロン糸である鎖編糸により複数の鎖編み目が連続する基本組織に、編レースの表側から順に、44dtxのジャカード糸及び78dtx以上156dtx以下の柄糸と、156dtxの熱融着性ポリウレタン弾性糸を挿入して形成される。そして、熱処理を行い、熱融着性ポリウレタン弾性糸は他の糸に融着している。このように、比較例の編レースを得た。比較例は、実施例の編レースの表側に位置する熱融着性ポリウレタン弾性糸Aに相当する糸を備えておらず、これに伴って熱融着性ポリウレタン弾性糸Aで形成されるニードルループも備えていない。
【0043】
次に、破裂強度試験及び耐洗濯性試験における試験方法及び試験結果を説明する。
[破裂強度試験]
図6は、柄模様入り編レースの破裂に対する強さを計測した試験権結果を例示する表である。
(試験目的)
実施例及び比較例の各編レースの破裂強度を比較・評価する。
(試験方法)
試験方法は、株式会社大栄科学精器製作所製であるミューレン型破裂強度試験機・型式アナログタイプを使用し、実施例及び比較例の各編レースにおいて、互いに対応する位置にある所定の柄モチーフを選択し、選択した柄モチーフにおいて、互いに対応する7箇所の位置で破裂強度を計測する。なお、計測された数値は、測定後の圧力計数値よりゴム膜圧を引いた数値である。
(試験結果)
図6に例示するように、実施例では、223kPa以上290kPa以下の範囲の計測値を示し、これらの平均値が250kPaであった。また、比較例では、207kPa以上257kPa以下の範囲の計測値を示し、これらの平均値が234kPaであった。これらより、実施例は、比較例より、平均値で16kPaの破裂強度が向上していることを確認した。また、破裂強度が最弱となる部分において、実施例における6箇所目の計測値が223kPaであるのに対し、比較例における6箇所目の計測値が207kPaであるため、これからも破裂強度が向上していることが確認できる。
【0044】
[耐洗濯試験]
(試験目的)
実施例及び比較例の各編レースの裁ち端部分のほつれ具合を比較・評価する。
(試験方法)
試験方法は、株式会社東芝製である家庭用二層式洗濯機(型番VH30S)を使用し、15分×20回(連続300分)の編レースの洗い工程と、洗いを終了した編レースを吊り干しする乾燥工程とを行い、実施例及び比較例の各編レースの裁ち端部分のほつれ具合を目視にて確認する。なお、耐洗濯性試験は、公的検査機関にて試験を実施した。
(試験結果)
実施例では、目視にて、裁ち端からのほつれが認められなかったのに対し、比較例では、目視にて、裁ち端からのほつれが認められたことを確認した。これらより、編レースの表側に位置する熱融着性ポリウレタン弾性糸により形成されたニードルループがほつれを抑制している。
【符号の説明】
【0045】
1 柄模様入り編レース
2 地組織
4 透かし部
5 地模様
6 柄部
10 鎖編糸
100 ラン止め部
12 基本組織
14 第1編目
15 第2編目
20 挿入糸
40 機能性挿入糸
41 弾性糸
42 接着糸
43 機能糸
50 ジャカード糸
60 柄糸
図1
図2
図3
図4
図5
図6