(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160197
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】保持部材、被保持部材、左右設置共通化機構及び左右取付可能製品
(51)【国際特許分類】
F16B 2/22 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
F16B2/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070363
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】北澤 誠一
【テーマコード(参考)】
3J022
【Fターム(参考)】
3J022DA11
3J022DA17
3J022EA41
3J022EB03
3J022EC02
3J022ED02
3J022FA05
3J022HA03
3J022HB02
3J022HB06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】左右取付可能製品に関して部品費・製造コストの低減等を可能にする。
【解決手段】保持部材は、基底面部、及び交差する方向において基底面部の平行に対向する両側縁部から夫々基底面部に対し同方向に延出する第1係止部及び第2係止部を含み、夫々、基底面部に結合している基部、所定の位置から基底面部に延出する横爪部、横爪部とは異なる位置において基部から基底面部に対し所定の傾斜角で延出する傾斜爪部を含む。第1係止部と第2係止部の横爪部は互いに反対向きに夫々の基部から延出し、夫々の傾斜爪部は互いに反対向きに夫々の基部から延出する。保持部材は2つの組付状態で被保持部材を保持するよう構成され、第1組付状態では第1係止部の横爪部のみが被保持部材に係合しかつ第2係止部の傾斜爪部のみが被保持部材に係合し、第2組付状態では第2係止部の横爪部のみが被保持部材に係合しかつ第1係止部の傾斜爪部のみが被保持部材に係合する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
くの字型に屈曲した被保持部材を保持するための保持部材であって、
前記保持部材は、
基底面部、及び、
前記基底面部に対して交差する方向において前記基底面部の平行に対向する両側縁部から夫々前記基底面部に対して同じ方向に延出する第1係止部及び第2係止部
を含み、
前記第1係止部及び前記第2係止部は、夫々、
前記基底面部に結合している基部、
前記基部の所定の位置から前記基底面部の面方向に延出する横爪部、及び、
前記横爪部とは異なる所定の位置において前記基部から前記基底面部に対し所定の傾斜角をなして延出する傾斜爪部
を含み、
前記第1係止部の横爪部と前記第2係止部の横爪部は互いに対し反対向きに夫々の基部から延出し、
前記第1係止部の傾斜爪部と前記第2係止部の傾斜爪部は互いに対し反対向きに夫々の基部から延出し、
前記保持部材は2つの組付状態即ち第1組付状態及び第2組付状態で前記被保持部材を保持するよう構成されており、
前記第1組付状態では、前記第1係止部の横爪部のみが前記被保持部材に係合しかつ前記第2係止部の傾斜爪部のみが前記被保持部材に係合し、及び、
前記第2組付状態では、前記第2係止部の横爪部のみが前記被保持部材に係合しかつ前記第1係止部の傾斜爪部のみが前記被保持部材に係合すること
を特徴とする、保持部材。
【請求項2】
請求項1に記載の保持部材において、
前記第1係止部及び前記第2係止部は、前記組付状態において、前記被保持部材の壁部に前記第1係止部及び前記第2係止部に対応して形成された穴部に挿通されるよう構成されており、
前記横爪部及び前記傾斜爪部は、前記組付状態において、前記被保持部材の前記壁部の内側面に係合するよう構成されていること
を特徴とする、保持部材。
【請求項3】
請求項1に記載の保持部材において、
前記傾斜爪部は前記基部の自由端部から延出すること、
前記第1係止部の横爪部及び傾斜爪部と、前記第2係止部の横爪部及び傾斜爪部は、互いに対し離隔するよう夫々の基部から延出すること
を特徴とする、保持部材。
【請求項4】
請求項1に記載の保持部材において、
前記基部は、前記基底面部から離隔する側に向かって先細になるよう形成されていること
を特徴とする、保持部材。
【請求項5】
請求項1に記載の保持部材において、
前記基底面部は、前記組付状態において、前記被保持部材を押圧する押圧突出部を有すること
を特徴とする、保持部材。
【請求項6】
請求項1に記載の保持部材において、
前記基底面部は、前記2つの組付状態の夫々において、前記基底面部の面方向に配向された前記被保持部材の壁部分に形成された切欠部に嵌合する嵌合突出部を有すること
を特徴とする、保持部材。
【請求項7】
保持部材に保持される被保持部材であって、
前記被保持部材は、所定の屈曲角でくの字型に屈曲した底部、及び、
前記所定の屈曲角でくの字型に屈曲し、前記底部の対向する両側縁部のうち、前記被保持部材と前記保持部材の組付状態において前記保持部材の近い側に位置する側縁部から前記底部に対して交差する方向に延出する壁部
を含み、
前記壁部はその屈曲部を挟んだ第1壁部分と第2壁部分とから構成されており、
前記第1壁部分及び前記第2壁部分は、それぞれ、前記屈曲部から同じ距離の部位に、前記組付状態において前記保持部材が部分的に挿通される穴部を有し、
前記被保持部材は2つの組付状態即ち第1組付状態及び第2組付状態で前記保持部材によって保持されるよう構成されており、
前記第1組付状態では、前記第1壁部分は前記保持部材の基底面部の面方向に延在するよう配置されかつその穴部から挿通された前記保持部材の対応する係合部と係合し、及び、前記第2壁部分は前記保持部材の基底面部の面方向に対し所定の角度をなして配向されかつその穴部から挿通された前記保持部材の対応する係合部と係合し、
前記第2組付状態では、前記第2壁部分は前記保持部材の基底面部の面方向に延在するよう配置されかつその穴部から挿通された前記保持部材の対応する係合部と係合し、及び、前記第1壁部分は前記保持部材の基底面部の面方向に対し所定の角度をなして配向されかつその穴部から挿通された前記保持部材の対応する係合部と係合すること
を特徴とする、被保持部材。
【請求項8】
請求項7に記載の被保持部材において、
前記保持部材の係合部は、前記組付状態において、前記基底面部の面方向に延在する横爪部と前記基底面部の面方向に対し前記所定の角度をなして延在する傾斜爪部を有し、
前記第1組付状態では、前記第1壁部分には、前記保持部材の対応する係合部の横爪部が係合し、かつ、前記第2壁部分には、前記保持部材の対応する係合部の傾斜爪部が係合し、
前記第2組付状態では、前記第2壁部分には、前記保持部材の対応する係合部の横爪部が係合し、かつ、前記第1壁部分には、前記保持部材の対応する係合部の傾斜爪部が係合すること
を特徴とする、被保持部材。
【請求項9】
請求項1~6の何れかに記載の保持部材と請求項7又は8に記載の被保持部材から構成される左右設置共通化機構。
【請求項10】
基準構造体の両側部の何れにも所定の角度をなして取付可能に構成され、請求項9に記載の左右設置共通化機構を備えた左右取付可能製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保持部材、被保持部材、左右設置共通化機構及び左右取付可能製品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、商品登録作業に使用される据置型スキャナ装置と精算作業を行うためのPOS(Point Of Sales)端末装置を備えたPOSシステムは、据置型スキャナ装置が顧客用表示装置を備えているものがある。この据置型スキャナ装置は、店舗事情に応じて、その支柱の左側面部又は右側面部に顧客用表示装置が支柱に対し角度を付けて設置可能に構成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の分析は本発明者によってなされたものである。なお、上記特許文献1は引用により本書に繰り込み記載されているものとする。
【0005】
上記の顧客用表示装置は、支柱の左右両側への角度を付けた設置に資するために、くの字型に屈曲したアームと、アームに係合する取り付け板金を含む。
【0006】
しかしながら、この取り付け板金は、顧客用表示装置を左側面部と右側面部に取り付ける場合とでは別部品として提供されている。このため、店舗事情等に応じて支柱の左右の何れにも顧客用表示装置を取り付ける可能性がある場合、顧客は、例えば右側用部品が標準部品として提供されている場合、左側用部品を別途購入しなければならず、製造業者も両方の部品を製造しなければならなかった。これにより、部品費・製造コストの増大、部品・品番管理のコストの増大が生じていた。
【0007】
本開示の課題は、とりわけ、部品費・製造コストの低減、部品・品番管理の簡便化等に貢献する、保持部材、被保持部材、左右設置共通化機構及び左右取付可能製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本開示の第1の視点により、くの字型に屈曲した被保持部材を保持するための保持部材が提供される。前記保持部材において、
前記保持部材は、
基底面部、及び、
前記基底面部に対して交差する方向において前記基底面部の平行に対向する両側縁部から夫々前記基底面部に対して同じ方向に延出する第1係止部及び第2係止部
を含み、
前記第1係止部及び前記第2係止部は、夫々、
前記基底面部に結合している基部、
前記基部の所定の位置から前記基底面部の面方向に延出する横爪部、及び、
前記横爪部とは異なる所定の位置において前記基部から前記基底面部に対し所定の傾斜角をなして延出する傾斜爪部
を含み、
前記第1係止部の横爪部と前記第2係止部の横爪部は互いに対し反対向きに夫々の基部から延出し、
前記第1係止部の傾斜爪部と前記第2係止部の傾斜爪部は互いに対し反対向きに夫々の基部から延出し、
前記保持部材は2つの組付状態即ち第1組付状態及び第2組付状態で前記被保持部材を保持するよう構成されており、
前記第1組付状態では、前記第1係止部の横爪部のみが前記被保持部材に係合しかつ前記第2係止部の傾斜爪部のみが前記被保持部材に係合し、及び、
前記第2組付状態では、前記第2係止部の横爪部のみが前記被保持部材に係合しかつ前記第1係止部の傾斜爪部のみが前記被保持部材に係合すること
を特徴とする(形態1)。
(2)本開示の第2の視点により、保持部材に保持される被保持部材が提供される。前記被保持部材において、
前記被保持部材は、所定の屈曲角でくの字型に屈曲した底部、及び、
前記所定の屈曲角でくの字型に屈曲し、前記底部の対向する両側縁部のうち、前記被保持部材と前記保持部材の組付状態において前記保持部材の近い側に位置する側縁部から前記底部に対して交差する方向に延出する壁部
を含み、
前記壁部はその屈曲部を挟んだ第1壁部分と第2壁部分とから構成されており、
前記第1壁部分及び前記第2壁部分は、それぞれ、前記屈曲部から同じ距離の部位に、前記組付状態において前記保持部材が部分的に挿通される穴部を有し、
前記被保持部材は2つの組付状態即ち第1組付状態及び第2組付状態で前記保持部材によって保持されるよう構成されており、
前記第1組付状態では、前記第1壁部分は前記保持部材の基底面部の面方向に延在するよう配置されかつその穴部から挿通された前記保持部材の対応する係合部と係合し、及び、前記第2壁部分は前記保持部材の基底面部の面方向に対し所定の角度をなして配向されかつその穴部から挿通された前記保持部材の対応する係合部と係合し、
前記第2組付状態では、前記第2壁部分は前記保持部材の基底面部の面方向に延在するよう配置されかつその穴部から挿通された前記保持部材の対応する係合部と係合し、及び、前記第1壁部分は前記保持部材の基底面部の面方向に対し所定の角度をなして配向されかつその穴部から挿通された前記保持部材の対応する係合部と係合すること
を特徴とする(形態7)。
(3)本開示の第3の視点により、本開示の保持部材と本開示の被保持部材から構成される左右設置共通化機構が提供される(形態9)。
(4)本開示の第4の視点により、基準構造体の両側部の何れにも所定の角度をなして取付可能に構成され、本開示の左右設置共通化機構を備えた左右取付可能製品が提供される(形態10)。
【0009】
上記形態1の保持部材において、
前記第1係止部及び前記第2係止部は、前記組付状態において、前記被保持部材の壁部に前記第1係止部及び前記第2係止部に対応して形成された穴部に挿通されるよう構成されており、
前記横爪部及び前記傾斜爪部は、前記組付状態において、前記被保持部材の前記壁部の内側面に係合するよう構成されていることが好ましい(形態2)。
上記形態1の保持部材において、
前記傾斜爪部は前記基部の自由端部から延出すること、
前記第1係止部の横爪部及び傾斜爪部と、前記第2係止部の横爪部及び傾斜爪部は、互いに対し離隔するよう夫々の基部から延出することが好ましい(形態3)。
上記形態1の保持部材において、
前記基部は、前記基底面部から離隔する側に向かって先細になるよう形成されていることが好ましい(形態4)。
上記形態1の保持部材において、
前記基底面部は、前記組付状態において、前記被保持部材を押圧する押圧突出部を有すること
が好ましい(形態5)。
上記形態1の保持部材において、
前記基底面部は、前記2つの組付状態の夫々において、前記基底面部の面方向に配向された前記被保持部材の壁部分に形成された切欠部に嵌合する嵌合突出部を有することが好ましい(形態6)。
上記形態7の被保持部材において、
前記保持部材の係合部は、前記組付状態において、前記基底面部の面方向に延在する横爪部と前記基底面部の面方向に対し前記所定の角度をなして延在する傾斜爪部を有し、
前記第1組付状態では、前記第1壁部分には、前記保持部材の対応する係合部の横爪部が係合し、かつ、前記第2壁部分には、前記保持部材の対応する係合部の傾斜爪部が係合し、
前記第2組付状態では、前記第2壁部分には、前記保持部材の対応する係合部の横爪部が係合し、かつ、前記第1壁部分には、前記保持部材の対応する係合部の傾斜爪部が係合することが好ましい(形態8)。
【発明の効果】
【0010】
本開示ないしその各視点は、とりわけ基準構造体の両側部の何れにも所定の角度をなして取付可能に構成された左右取付可能製品に関して、部品費・製造コストの低減、部品・品番管理の簡便化等に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の左右設置共通化機構の一例の2つの組付状態を示す概念図。
【
図2】本開示の左右設置共通化機構の他の一例の2つの組付状態を示す概念図。
【
図3】本開示の左右設置共通化機構の更なる一例の2つの組付状態を示す概念図。
【
図4】本開示の左右設置共通化機構の更に他の一例の2つの組付状態を示す概念図。
【
図8】本開示の左右設置共通化機構の一具体例の1つの組付状態を示す斜視図。
【
図10】本開示の左右設置共通化機構の一例を含む顧客用表示装置の一例の左右の取付状態に対応する分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、専ら本開示の理解を助けるためのものであり、本開示を図示の態様に限定することは意図していない。
【0013】
更に、以下の説明及び図面において、同一の又は共通の機能を有する要素には同一の図面参照符号が付記されている。
【0014】
本願において使用する用語「第1」及び「第2」は、これらによって特定される概念を区別するためのものに過ぎず、順序や優劣等を示すことは意図されていない。
【0015】
本願において使用する用語「右」及び「左」も、これらによって特定される概念を区別するためのものであって相対的な概念に過ぎず、方向ないし向き等を特定のものに限定することは意図されていない。
【0016】
本願において使用する用語「面方向」は、面に対し平行な方向ないし面に沿った方向を意味する。
【0017】
本願において使用する用語「交差する方向」とは、2つの線ないし面が交わる方向ないし平行でない方向を意味し、とりわけ直交する方向を意味する。
【0018】
本願において使用する用語「屈曲角」は、くの字型に屈曲した被保持部材の壁部の第1壁部分と第2壁部分の間の夾角(但し0°<屈曲角<180°)を意味し、「屈曲角の外角」は、(180°-屈曲角)を意味する。なお、「屈曲角」は、本開示の性質上、鈍角である。
【0019】
なお、本願において使用する「対称」、「平行」、「直交」等の用語は、数学的に厳密な意味での「対称」、「平行」、「直交」等のみを意味するのではなく、実質的に「対称」、「平行」、「直交」等であればよく、従って、本開示の左右設置共通化機構がその機能を発揮し得る範囲において「対称」、「平行」、「直交」等からずれたものも意味し得る。
【0020】
(実施形態)
図1は、本開示の左右設置共通化機構300の一例の2つの組付状態即ち第1組付状態(A)及び第2組付状態(B)を概念図で示す。左右設置共通化機構300は、とりわけスナップフィットによって互いに結合ないし固定された保持部材100と被保持部材200から構成されている。なお、
図1において、図面参照符号は、理解の容易化ないし視認性の観点から、基本的に、第1組付状態(A)においては保持部材100についてのもののみ、及び、第2組付状態(B)においては被保持部材200についてのもののみを示している。
【0021】
(保持部材100の構成例)
保持部材100は、基底面部101と2つの係止部即ち第1係止部104及び第2係止部105を含んで構成されている。なお、基底面部101は、図示の例では、平板状に構成されている。
【0022】
第1係止部104及び第2係止部105は、基底面部101に対して交差する方向において基底面部101の平行に対向する2つの側縁部即ち第1側縁部102及び第2側縁部103から、夫々、基底面部101に対して同じ方向に延出している。なお、図示の例では、第1係止部104及び第2係止部105は、基底面部101に対して直交する方向に延出しているが、保持部材100と被保持部材200とのとりわけスナップフィットによる結合可能な範囲において直交方向から外側又は内側に逸れるよう延出することも可能である。
【0023】
第1係止部104と第2係止部105は、夫々、基底面部101に結合している基部106、107、横爪部108、109、及び、傾斜爪部110、111を含んで構成されている。なお、基部106、107は、図示の例では、夫々平板状に構成されている。
【0024】
第1係止部104の横爪部108と第2係止部105の横爪部109は、夫々対応する基部106及び107の所定の位置から、即ち基底面部101から同じ距離の位置から、基底面部101の面方向に延出するよう構成されている。
【0025】
第1係止部104の傾斜爪部110と第2係止部105の傾斜爪部111は、夫々の横爪部108、109とは異なる所定の位置において、夫々対応する基部106、107から基底面部101に対し所定の傾斜角をなして延出するよう構成されている。即ち、第1係止部104の傾斜爪部110と第2係止部105の傾斜爪部111は、基底面部101から同じ距離の位置において(但し夫々の横爪部108、109とは異なる位置において)夫々の基部106及び107から延出するよう構成されている。ここで、「所定の傾斜角」の大きさは、図示の例では、被保持部材200の上記「屈曲角の外角」の大きさに対応し、第1係止部104及び第2係止部105について同一である。
【0026】
なお、図示の例では、第1係止部104の傾斜爪部110と第2係止部105の傾斜爪部111は、夫々の基部106、107の自由端部即ち基部106、107の基底面部101に結合していない端部から延出するよう構成されており、従って、第1係止部104の横爪部108と第2係止部105の横爪部109は、基底面部101と、夫々の傾斜爪部110及び傾斜爪部111との間に位置するよう構成されている。
【0027】
第1係止部104の横爪部108と第2係止部105の横爪部109は互いに対し反対向きに、図示の例では図の紙面において左向き及び右向きに、夫々の基部106、107から延出するよう構成されている。
【0028】
第1係止部104の傾斜爪部110と第2係止部105の傾斜爪部111も互いに対し反対向きに、図示の例では図の紙面において左向き及び右向きに、夫々の基部106、107から延出するよう構成されている。
【0029】
保持部材100は、上記のように構成されているため、第1係止部104の横爪部108の寸法・形状と第2係止部105の横爪部109の寸法・形状が同一であり、かつ、第1係止部104の傾斜爪部110の寸法・形状と第2係止部105の傾斜爪部111の寸法・形状が同一であれば、面対称的に(図の記載上は線対称的に)構成されることになる(各爪部の形状の一具体例については、
図5及び
図6参照)。
【0030】
但し、図示のような2つの組付状態即ち第1組付状態(A)及び第2組付状態(B)が実現可能であればよいので、第1係止部104の横爪部108と第2係止部105の横爪部109は、少なくとも、基底面部101からの距離ないし夫々の基部106、107における位置及び基底面部101ないし夫々の基部106、107に対する配向ないし角度が同じ即ちこれらの距離ないし位置及び配向ないし角度に関し面対称的に(図の記載上は線対称的に)構成されていればよい。従って、この限りにおいて、第1係止部104の横爪部108の寸法・形状と第2係止部105の横爪部109の寸法・形状は必ずしも同一でなくてもよい。なお、これらの関係は、第1係止部104の傾斜爪部110及び第2係止部105の傾斜爪部111についても同様に当て嵌まる。
【0031】
(被保持部材200の構成例)
被保持部材200は、所定の屈曲角でくの字型に屈曲した底部201と、同じ所定の屈曲角でくの字型に屈曲した壁部204を含んで構成されている。なお、底部201は、図示の例では、平板状に構成されている。なお、本開示において「底」及び「壁」は関係する部分間における相互の区別のための相対的な概念に過ぎず、従って、被保持部材200の「底部」及び「壁部」は夫々「壁部」及び「底部」として理解することも可能である。
【0032】
壁部204は、底部201の対向する両側縁部202、203のうち、被保持部材200と保持部材100の組付状態において保持部材100の近い側に位置する側縁部202から底部201に対して交差する方向に延出するよう構成されている。なお、図示の例では、壁部204は、底部201に対して直交する方向に延出しているが、保持部材100と被保持部材200とのとりわけスナップフィットによる結合可能な範囲において直交方向から逸れるよう延出することも可能である。
【0033】
壁部204は、その屈曲部209を挟んだ第1壁部分205と第2壁部分206とから構成されている。
【0034】
壁部204の第1壁部分205及び第2壁部分206は、夫々、屈曲部209から同じ距離の部位に、組付状態において保持部材100の第1係止部104と第2係止部105が、夫々、少なくとも部分的に挿通される穴部207、208を有するよう構成されている。
【0035】
なお、被保持部材200も、保持部材100の場合と同様に、少なくとも保持部材100の第1係止部104と第2係止部105が挿通される穴部207、208の形成部位について、屈曲部209に関し面対称的に(図の記載上は線対称的に)構成されることが好ましい。
【0036】
(組付状態例)
保持部材100と被保持部材200は上記のように構成されているため、2種類の保持部材即ち右側取付用保持部材と左側取付用保持部材を使用することなく1種類の保持部材100のみで、以下のような2つの組付状態即ち第1組付状態(A)と第2組付状態(B)を実現することができる。
【0037】
第1組付状態(A)は、例えば、以下のようにして形成される:まず、保持部材100の第1係止部104を被保持部材200の第1壁部分205の穴部207に挿通し、組付状態において基底面部101の近い側に位置する横爪部108を、とりわけ組付状態において基底面部101を指向するその平面状の係合面を、第1壁部分205に、とりわけ組付状態において基底面部101の反対側を指向するその平面状の内側面に係合させる;次に、保持部材100の第2係止部105を撓ませつつその傾斜爪部111のみを被保持部材200の第2壁部分206の穴部208に挿通し、この傾斜爪部111を、とりわけ組付状態において基底面部101を指向するその平面状の係合面を、第2壁部分206に、とりわけ組付状態において基底面部101の反対側を指向するその平面状の内側面に係合させることにより、即ち、保持部材100の第2係止部105ないしその傾斜爪部111を被保持部材200の第2壁部分206にスナップフィットさせることにより、保持部材100と被保持部材200を結合ないし固定させる。なお、図示から明らかなように、第1組付状態(A)においては、第1係止部104の横爪部108と第2係止部105の傾斜爪部111のみが被保持部材200の壁部204と係合し、かつ、第1係止部104の傾斜爪部110と第2係止部105の横爪部109は被保持部材200の壁部204と係合しないように、保持部材100と被保持部材200は組付けられている。
【0038】
この場合、更に、組付状態において被保持部材200を指向する基底面部101の面部分が部分的に被保持部材200の壁部204の第1壁部分205の対向面部分に(又は基底面部101の該面部分に形成された押圧突出部112(
図6及び
図9参照)が被保持部材200の屈曲部209の領域に)当接して被保持部材200を押圧することにより、保持部材100と被保持部材200の更に強固な結合ないし固定状態が達成される。
【0039】
他方、第2組付状態(B)は、例えば、以下のようにして形成される:まず、保持部材100の第2係止部105を被保持部材200の第2壁部分206の穴部208に挿通し、組付状態において基底面部101の近い側に位置する横爪部109を、とりわけ組付状態において基底面部101を指向するその平面状の係合面を、第2壁部分206に、とりわけ組付状態において基底面部101の反対側を指向するその平面状の内側面に係合させ、次に、保持部材100の第1係止部104を撓ませつつその傾斜爪部110のみを被保持部材200の第1壁部分205の穴部207に挿通し、この傾斜爪部110を、とりわけ組付状態において基底面部101を指向するその平面状の係合面を、第1壁部分205に、とりわけ組付状態において基底面部101の反対側を指向するその平面状の内側面に係合させることにより、即ち、保持部材100の第1係止部104ないしその傾斜爪部110を被保持部材200の第1壁部分205にスナップフィットさせることにより、保持部材100と被保持部材200を結合ないし固定させる。なお、図示から明らかなように、第2組付状態(B)においては、第1係止部104の傾斜爪部110と第2係止部105の横爪部109のみが被保持部材200の壁部204と係合し、かつ、第1係止部104の横爪部108と第2係止部105の傾斜爪部111は被保持部材200の壁部204と係合しないように、保持部材100と被保持部材200は組付けられている。
【0040】
この場合も、組付状態において被保持部材200を指向する基底面部101の面部分が部分的に被保持部材200の壁部204の第2壁部分206の対向面部分に(又は基底面部101の該面部分に形成された押圧突出部112(
図6及び
図9参照)が被保持部材200の屈曲部209の領域に)当接して被保持部材200を押圧することにより、保持部材100と被保持部材200の更に強固な結合ないし固定状態が達成される。
【0041】
なお、保持部材100の材料は可撓性を有する樹脂であることが好ましいが、被保持部材200とのスナップフィットが可能な一定の可撓性を有するものであれば任意の材料が保持部材100の材料として使用可能である。
【0042】
他方、被保持部材200の材料としては、上記の保持部材100とのスナップフィットを可能にする強度及び形状保持性を有する金属、樹脂その他の任意の材料が使用可能である。なお、例えば本開示の左右設置共通化機構がPOSシステムの顧客用表示装置に使用される場合に大人が誤って顧客用表示装置に寄り掛かってしまったときに大きな力が被保持部材200に印加され得るため、被保持部材200は、そのような力による変形や破損を回避可能な程度の強度や形状保持性を提供する任意の金属であることが好ましい。
【0043】
(左右設置共通化機構300の構成のバリエーション例)
図2~
図4は、
図1に示した保持部材100の可能な幾つかのバリエーション例と、そのような保持部材100を用いた場合に達成される左右設置共通化機構300の例の第1組付状態(A)及び第2組付状態(B)を概念図で示す。なお、
図1の場合と同様に、
図2~
図4において、図面参照符号は、理解の容易化ないし視認性の観点から、基本的に、第1組付状態(A)においては保持部材100についてのもののみ、及び、第2組付状態(B)においては被保持部材200についてのもののみを示している。
【0044】
図2~
図4に示した左右設置共通化機構300の構成や組付態様については、当業者であれば、
図1に示した左右設置共通化機構300についての上記の説明から容易に理解可能であるので、説明は省略するが、何れの例でも、
図1の例と同様に、保持部材100は、その両方の横爪部108、109同士の寸法・形状が同一でかつ両方の傾斜爪部110、111同士の寸法・形状が同一であれば、面対称的に(図の記載上は線対称的に)構成されており、少なくとも、両方の横爪部108、109同士及び傾斜爪部110、111同士の基底面部101からの距離ないし夫々の基部106、107における位置及び基底面部101ないし夫々基部106、107に対する配向ないし角度が同じ即ちこれらの距離ないし位置及び配向ないし角度に関し面対称的に(図の記載上は線対称的に)構成されていることが分かる。
【0045】
なお、
図2~
図4に示した態様は飽くまで例示であり、保持部材100の構成及びその構成に対応する被保持部材200の構成はこれらのみに限定されない。従って、保持部材100が上記の態様で対称的に構成されており、かつ、左右取付可能製品の左右の取付けを可能にする上記のような2つの組付状態で保持部材100が被保持部材200を保持することが可能な限りにおいて、保持部材100の横爪部108、109と傾斜爪部110、111の基底面部101に対する位置関係及び横爪部108、109と傾斜爪部110、111の配向(外向き及び内向き)について
図1~
図4に示したものと異なる任意の組み合わせが可能である。
【0046】
(具体例)
図5は、本開示の保持部材100の一具体例を斜視図で示す。図示の具体例では、第2係止部105の基部107は、基底面部101から離隔する側に向かって先細になるよう、即ち先細の台形状になるよう、形成されており、また、第1係止部104の基部106(ほぼ不図示)も同様に形成されている。係止部の基部がこのように形成されていることにより、保持部材の係止部の被保持部材の壁部分の穴部への挿通が容易化されると共に、係止部ないしその基部の被保持部材内への過大な挿入を阻止することも可能になる。
【0047】
図示の保持部材100は、更に、取付補助部113と、嵌込補助部114、115を有する。取付補助部113は、左右設置共通化機構を左右取付可能製品に取り付ける際に、左右取付可能製品の筐体の内面に形成された溝に嵌め込むこと等による、取付・固定のための補助手段として役立つ(
図10も参照)。更に、取付補助部113は、左右取付可能製品が顧客用表示装置として構成される場合における顧客用表示装置の開口部の目隠しカバーとしての機能も有する(
図10参照)。他方、嵌込補助部114、115は、保持部材を被保持部材に嵌め込む際の補助手段として役立つ(
図8も参照)。更に、嵌込補助部114、115は、左右取付可能製品が顧客用表示装置として構成される場合における被保持部材200用の目隠しカバー440(
図10参照)の取付部としての機能も有する。
【0048】
図6は、
図5の保持部材100を
図5に示した矢印Xの方向に見た斜視図である。
【0049】
図示の保持部材100は、組付状態において被保持部材200を指向する基底面部101の面部分に、組付状態において被保持部材200の屈曲部209の領域に当接し被保持部材200を押圧するよう形成された押圧突出部112(
図9も参照)を有する。なお、押圧突出部112は、図示から分かるように、保持部材100の上記の対称構造の対称面と基底面部101の交線(ないし
図1~
図4の記載における対称線)の領域に延在するよう構成されている。
【0050】
図示の保持部材100は、更に、組付状態において被保持部材200を指向する基底面部101の面部分に、とりわけ該面部分における第1係止部104及び第2係止部105に近接する領域に、夫々、略円筒状ないし略円錐台状に構成された嵌合突出部(「左右ズレ防止ボス」とも称する。)116、117を有する。嵌合突出部116、117は、組付状態において、被保持部材200の壁部204の第1壁部分205及び第2壁部分206にそれらの穴部207、208に開口するよう形成された切欠部210、211(
図7、
図9参照;但し切欠部211の図示は省略されている。)に嵌合し、被保持部材200の延伸方向に対する横方向における保持部材100のズレ(左右ズレ)の防止に寄与する。
【0051】
図示の保持部材100は、更に、傾斜爪部110、111は、夫々、基底面部101から遠い側に、左右取付可能製品内においてケーブルの案内等をするためのケーブル噛み込み防止リブ118、119を有する(
図9も参照)。
【0052】
図7は、本開示の被保持部材200の一具体例を斜視図で示す。
【0053】
図示の被保持部材200は、第1壁部分205及び第2壁部分206に、夫々、組付状態において保持部材100の第1係止部104及び第2係止部105が夫々少なくとも部分的に挿通される穴部207、208を有する。なお、被保持部材200は、屈曲部を挟んだ2つの部分の接合によって、又は、一体的に、形成されることが可能である。
【0054】
図示の被保持部材200は、更に、第1壁部分205に、その穴部207に開口するよう形成され、第1組付状態において保持部材100の第1係止部104に形成された嵌合突出部116が嵌り組む切欠部210が形成されている。なお、
図7においては、被保持部材200の第2壁部分206の切欠部211の記載は省略されているが、切欠部は図示の通りに形成されなくてもよく、その場合は、保持部材100の対応する嵌合突出部も形成されない。
【0055】
図示の被保持部材200は、更に、第1壁部分205に、左右設置共通化機構300が配される左右取付可能製品の筐体にねじ留めに使用されるネジ孔220a~220dを、及び、第2壁部分206に、基準構造体(例えばPOSシステムの支柱)にネジ留めによって取り付けるためのネジ孔230a~230dを有する(
図10も参照)。
【0056】
なお、図示の被保持部材200は、更に、幾つかの切欠部分を有するが、これらは例えば左右設置共通化機構300が配される左右取付可能製品や左右取付可能製品が取り付けられる基準構造体の所定の部分や部品との嵌合の形成に寄与するために形成されたものである。
【0057】
図8は、本開示の左右設置共通化機構300の一具体例の第1組付状態を斜視図で示し、
図9は、
図8の矢視Y-Y断面図である。
【0058】
とりわけ
図9において、第1組付状態における保持部材100の横爪部108及び傾斜爪部111と被保持部材200の壁部204との所定の係合状態に加え、保持部材100の第1係止部104に近い側に位置する嵌合突出部(左右ズレ防止ボス)116が被保持部材200の第1壁部分205の切欠部210に嵌り込んでいる様子、及び、保持部材100の基底面部101に形成された押圧突出部112が被保持部材200の壁部204の屈曲部209の領域に当接して被保持部材200を押圧している様子を見出すことができる。
【0059】
図10は、本開示の左右設置共通化機構300の一例を含む左右取付可能製品の一例として、POSシステムの支柱(不図示)に取り付けられる顧客用表示装置(カスタマディスプレイ)400の一例を分解斜視図で示したものであり、(A)は左側取付用の第1組付状態に対応し、他方、(B)は右側取付用の第2組付状態に対応する。なお、顧客用表示装置がPOSシステムの支柱の左側に取り付けられた状態については上記特許文献1の
図1A及び
図1Bを参照されたい。右側に取り付けられた状態は、当業者であれば、これらの図の記載から容易に理解することができる。なお、上記のとおり、「右」及び「左」は相対的な概念に過ぎない。
【0060】
図示の顧客用表示装置400は、背面ケース410、被保持部材補強板金420、被保持部材200、保持部材100、表示ユニット430及び目隠しカバー440を含んで構成される。
【0061】
左右設置共通化機構300ないし保持部材100は、顧客用表示装置400が支柱の左側に取り付けられる場合(A)、顧客用表示装置400の(紙面上の)右側部に配設され、他方、顧客用表示装置400が支柱の右側に取り付けられる場合(B)、顧客用表示装置400の(紙面上の)左側部に配設される。なお、顧客用表示装置400は、所定の角度即ち被保持部材200の屈曲角に相当する角度をなして支柱に取り付けられる。また、保持部材100の取付補助部113は、上記のとおり、左側取付の場合(A)、顧客用表示装置400の右側部の開口部の目隠しカバーとしても機能し、他方、右側取付の場合(B)、顧客用表示装置400の左側部の開口部の目隠しカバーとしても機能する。また、保持部材100の嵌込補助部114、115は、上記のとおり、目隠しカバー440の取付部としても機能する。
【0062】
左右設置共通化機構300は、被保持部材200がその壁部204に形成されたネジ孔220a~220dとこれらに対応する表示ユニット430の被保持部材支持部450、450’に形成されたネジ孔450a~450dとを用いてネジ(不図示)によって表示ユニット430にネジ留めされることにより、表示ユニット430に従って顧客用表示装置400により強固に固定されることができる。このネジ留めの際に、被保持部材補強板金420も併せて用いることにより、被保持部材200を補強することができる。
【0063】
左右設置共通化機構300は、更に、被保持部材200がその壁部204に形成されたネジ孔230a~230dとこれらに対応する支柱のネジ孔(不図示)とを用いたネジ留めによって、支柱の右側又は左側に取り付けられることができる。
【0064】
このように、本開示の左右設置共通化機構300は、POSシステムの支柱等の基本構造体の左右の何れの側部に顧客用表示装置等の左右取付可能製品を所定の角度をなして取り付ける場合に共通の保持部材100を使用することができるため、部品費・製造コストの低減、部品・品番管理の簡便化等に貢献することができる。
【0065】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]くの字型に屈曲した被保持部材を保持するための保持部材。
前記保持部材は、
基底面部、及び、
前記基底面部に対して交差する方向において前記基底面部の平行に対向する両側縁部から夫々前記基底面部に対して同じ方向に延出する第1係止部及び第2係止部
を含む。
前記第1係止部及び前記第2係止部は、夫々、
前記基底面部に結合している基部、
前記基部の所定の位置から前記基底面部の面方向に延出する横爪部、及び、
前記横爪部とは異なる所定の位置において前記基部から前記基底面部に対し所定の傾斜角をなして延出する傾斜爪部(とりわけ該所定の傾斜角は前記被保持部材の屈曲角の外角に対応する)
を含む。
前記第1係止部の横爪部と前記第2係止部の横爪部は互いに対し反対向きに夫々の基部から延出する。
前記第1係止部の傾斜爪部と前記第2係止部の傾斜爪部は互いに対し反対向きに夫々の基部から延出する。
前記保持部材は2つの組付状態即ち第1組付状態及び第2組付状態で前記被保持部材を保持するよう構成されている。
前記第1組付状態では、前記第1係止部の横爪部のみが前記被保持部材に係合しかつ前記第2係止部の傾斜爪部のみが前記被保持部材に係合し、及び、
前記第2組付状態では、前記第2係止部の横爪部のみが前記被保持部材に係合しかつ前記第1係止部の傾斜爪部のみが前記被保持部材に係合する。
[付記2]上記の保持部材において、
前記第1係止部及び前記第2係止部は、前記組付状態において、前記被保持部材の壁部に前記第1係止部及び前記第2係止部に対応して形成された穴部に挿通されるよう構成されている;
前記横爪部及び前記傾斜爪部は、前記組付状態において、前記被保持部材の前記壁部の内側面に係合するよう構成されている。
[付記3]上記の保持部材において、
前記傾斜爪部は前記基部の自由端部から延出する;
前記第1係止部の横爪部及び傾斜爪部と、前記第2係止部の横爪部及び傾斜爪部は、互いに対し離隔するよう夫々の基部から延出する(即ち、前記第1係止部及び前記第2係止部の横爪部及び傾斜爪部は何れも前記保持部材の外側を指向するよう夫々の基部から延出する)。
[付記4]上記の保持部材において、
前記基部は、前記基底面部から離隔する側に向かって先細になる(即ち先細の台形状になる)よう形成されている。
[付記5]上記の保持部材において、
前記基底面部は、前記組付状態において、前記被保持部材を押圧する押圧突出部を有する。
[付記6]上記の保持部材において、
前記基底面部は、前記2つの組付状態の夫々において、前記基底面部の面方向に配向された前記被保持部材の壁部分に形成された切欠部に嵌合する嵌合突出部(左右ズレ防止ボス)を有する。該嵌合突出部は、とりわけ、組付状態において前記被保持部材の延伸方向の横方向に対する前記保持部材のずれを阻止するストッパとして役立つ。
[付記7]保持部材に保持される被保持部材。
前記被保持部材は、所定の屈曲角でくの字型に屈曲した底部、及び、
前記所定の屈曲角でくの字型に屈曲し、前記底部の対向する両側縁部のうち、前記被保持部材と前記保持部材の組付状態において前記保持部材の近い側に位置する側縁部から前記底部に対して交差する方向に延出する壁部
を含む。
前記壁部はその屈曲部を挟んだ第1壁部分と第2壁部分とから構成されている。
前記第1壁部分及び前記第2壁部分は、それぞれ、前記屈曲部から同じ距離の部位に、前記組付状態において前記保持部材が部分的に挿通される穴部を有する。
前記被保持部材は2つの組付状態即ち第1組付状態及び第2組付状態で前記保持部材によって保持されるよう構成されている。
前記第1組付状態では、前記第1壁部分は前記保持部材の基底面部の面方向に延在するよう配置されかつその穴部から挿通された前記保持部材の対応する係合部と係合し、及び、前記第2壁部分は前記保持部材の基底面部の面方向に対し所定の角度をなして配向されかつその穴部から挿通された前記保持部材の対応する係合部と係合する(とりわけ該所定の角度は前記屈曲角の外角に対応する)。
前記第2組付状態では、前記第2壁部分は前記保持部材の基底面部の面方向に延在するよう配置されかつその穴部から挿通された前記保持部材の対応する係合部と係合し、及び、前記第1壁部分は前記保持部材の基底面部の面方向に対し所定の角度をなして配向されかつその穴部から挿通された前記保持部材の対応する係合部と係合する(とりわけ該所定の角度は前記屈曲角の外角に対応する)。
[付記8]上記の被保持部材において、
前記保持部材の係合部は、前記組付状態において、前記基底面部の面方向に延在する横爪部と前記基底面部の面方向に対し前記所定の角度をなして延在する傾斜爪部を有する;
前記第1組付状態では、前記第1壁部分には、前記保持部材の対応する係合部の横爪部が係合し、かつ、前記第2壁部分には、前記保持部材の対応する係合部の傾斜爪部が係合する;
前記第2組付状態では、前記第2壁部分には、前記保持部材の対応する係合部の横爪部が係合し、かつ、前記第1壁部分には、前記保持部材の対応する係合部の傾斜爪部が係合する。
[付記9]上記の保持部材と上記の被保持部材から構成される左右設置共通化機構。
[付記10]基準構造体の両側部の何れにも所定の角度をなして取付可能に構成され、上記の左右設置共通化機構を備えた左右取付可能製品。
[付記11]前記保持部材の前記基底面部は平板状に構成されている。
[付記12]前記保持部材の前記係止部の前記基部は平板状に構成されている。
[付記13]前記第1係止部及び前記第2係止部は前記基底面部に対し直交方向に配向されている(即ち、前記基底面部と前記2つの基部の結合体は、コの字型の断面を有する)。
[付記14]前記横爪部及び/又は前記傾斜爪部は、とりわけ前記組付状態において前記被保持部材の前記壁部の平面状に構成された内側面に係合するよう、前記基底面部を指向する側が平面状に構成されている。
[付記15]前記第1係止部の前記横爪部及び前記傾斜爪部と、前記第2係止部の前記横爪部及び前記傾斜爪部は、夫々、同じ寸法及び同じ形状で形成されている。
[付記16]前記組付状態において、前記基底面部は、部分的に、前記基底面部の面方向に配向された前記壁部に直接当接し、前記被保持部材を押圧する。
[付記17]前記壁部は、前記底部に対し直交方向に延出する(即ち、前記底部と前記壁部の結合体はL字型の断面を有する)。即ち、前記被保持部材は、屈曲部に関し、少なくとも部分的に面対称的に構成されている。
[付記18]前記傾斜爪部は、前記基底面部から遠い側に、前記左右取付可能製品内においてケーブルを案内するためのケーブル噛み込み防止リブを有する。
[付記19]前記左右取付可能製品は、前記POSシステムの顧客用表示装置である。
【0066】
本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本開示は、上記特許文献1に記載されたようなPOSシステムに限定されず、該POSシステムの支柱のような基準構造体の左右両側の何れにも所定の角度をなして取り付けられる可能性のある任意の製品に適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
100 保持部材
101 基底面部
102 第1側縁部
103 第2側縁部
104 第1係止部
105 第2係止部
106 (第1係止部の)基部
107 (第2係止部の)基部
108 (第1係止部の)横爪部
109 (第2係止部の)横爪部
110 (第1係止部の)傾斜爪部
111 (第2係止部の)傾斜爪部
112 押圧突出部
113 取付補助部
114 嵌込補助部
115 嵌込補助部
116 (第1係止部側の)嵌合突出部(左右ズレ防止ボス)
117 (第2係止部側の)嵌合突出部(左右ズレ防止ボス)
118 (第1係止部の)ケーブル噛み込み防止リブ
119 (第2係止部の)ケーブル噛み込み防止リブ
200 被保持部材
201 底部
202 側縁部
203 側縁部
204 壁部
205 第1壁部分
206 第2壁部分
207 (第1壁部分の)穴部
208 (第2壁部分の)穴部
209 屈曲部
210 (第1壁部分の)切欠部
211 (第2壁部分の)切欠部
220a~220d (左右取付可能製品取付用)ネジ孔
230a~230d (基準構造体取付用)ネジ孔
300 左右設置共通化機構
400 左右取付可能製品(顧客用表示装置ないしカスタマディスプレイ)
410 背面ケース
420 被保持部材補強板金
430 表示ユニット
440 目隠しカバー
450、450’ 被保持部材支持部
450a~450d (被保持部材取付用)ネジ孔