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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160202
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】騒音低減構造
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/172 20060101AFI20231026BHJP
   G10K 11/162 20060101ALI20231026BHJP
   E04B 1/86 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
G10K11/172
G10K11/162
E04B1/86 K
E04B1/86 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070377
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】594075765
【氏名又は名称】日本環境アメニティ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(74)【代理人】
【識別番号】100146503
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健久
(72)【発明者】
【氏名】木山 雅和
(72)【発明者】
【氏名】木元 省吾
(72)【発明者】
【氏名】増田 崇
【テーマコード(参考)】
2E001
5D061
【Fターム(参考)】
2E001DF05
2E001FA31
2E001FA35
2E001GA48
5D061AA12
5D061AA22
5D061AA25
5D061CC04
(57)【要約】
【課題】より広い周波数域において騒音低減効果が大きくなる騒音低減構造を提供する。
【解決手段】建造物の開口部又は風路、その近傍に減音装置1を設けてある騒音低減構造であって、減音装置1としてスリット状開口部を有する共鳴器と多孔質材内蔵の吸音器4とを、開口部の奥行方向に並設すると共に、共鳴器として共鳴周波数が500Hz以下で、共鳴周波数が異なった物を複数設け、共鳴周波数が異なった複数の共鳴器を、吸音器4を挟んでその両側に各別に隣接させて並設してある騒音低減構造。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の開口部又は風路、その近傍に減音装置を設けてある騒音低減構造であって、
前記減音装置としてスリット状開口部を有する共鳴器と多孔質材内蔵の吸音器とを、前記開口部の奥行方向に並設すると共に、
前記共鳴器として共鳴周波数が500Hz以下で、共鳴周波数が異なった物を複数設け、
前記共鳴周波数が異なった複数の共鳴器を、前記吸音器を挟んでその両側に各別に隣接させて並設してある騒音低減構造。
【請求項2】
複数の前記共鳴器として、互いに隣り合う共鳴周波数fが、0.5f<f<2fの範囲内にある共鳴器を並設してある請求項1に記載の騒音低減構造。
【請求項3】
前記共鳴器として、共鳴周波数が少なくとも1/3オクターブバンド中心周波数の125Hzと63Hzの範囲の物を設け、
前記共鳴器を前記吸音器を挟んでその両側に各別に隣接させて並設してある騒音低減構造。
【請求項4】
前記吸音器に内蔵の多孔質材は、グラスウールである請求項1~3のいずれか1項に記載の騒音低減構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建物、地下鉄、地下道路、トンネル、換気塔、などの建造物の開口部又は風路、その近傍に減音装置を設けてある騒音低減構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記減音装置としては、スリット状開口部を有する共鳴器や繊維材内蔵の吸音器などがあった(周知技術)。
前記共鳴器では、設計により設定した共鳴周波数の騒音を低減できるもので(例えば、特許文献1参照)、また、前記吸音器では、内蔵する多孔質材により幅広い周波数の騒音が低減できる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-101530号公報
【特許文献2】特開2013-213334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の前記共鳴器は、設定した共鳴周波数の騒音を低減できるものの、広い帯域においての騒音低減効果は少なく、そのために、共鳴周波数の異なった多種類の共鳴器を設けなければならず、設置スペースが大きくなりコスト高になる問題があった。
また、前記吸音器においては、幅広い周波数域の騒音に低減効果があるものの、周波数が500Hz以下の低周波数域においての騒音低減効果が少ないという問題点があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、より広い周波数域において騒音低減効果が大きくなる騒音低減構造を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、建造物の開口部又は風路、その近傍に減音装置を設けてある騒音低減構造であって、前記減音装置としてスリット状開口部を有する共鳴器と多孔質材内蔵の吸音器とを、前記開口部の奥行方向に並設すると共に、前記共鳴器として共鳴周波数が500Hz以下で、共鳴周波数が異なった物を複数設け、前記共鳴周波数が異なった複数の共鳴器を、前記吸音器を挟んでその両側に各別に隣接させて並設したところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、前記共鳴器として共鳴周波数が500Hz以上の周波数域においては、前記吸音器による騒音低減効果が広い周波数帯域において大きく、共鳴周波数が500Hz以下において前記吸音器による騒音低減効果が減少する傾向にあるのを、設定された共鳴周波数の前記共鳴器が騒音を低減して全体として騒音低減能力を向上させることができる。
その上、共鳴周波数が異なった物を複数設け、前記共鳴周波数が異なった複数の共鳴器を、前記吸音器を挟んでその両側に各別に隣接させて並設したことにより、単に吸音器に隣接させて共鳴器を設けるだけよりも、更に低周波数域においての騒音低減効果を向上させることができる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、複数の前記共鳴器として、互いに隣り合う共鳴周波数fが、0.5f<f<2fの範囲内にある共鳴器を並設したところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、複数の前記共鳴器として、互いに隣り合う共鳴周波数fが、0.5f<f<2fの範囲内にある共鳴器を並設することにより、互いに隣り合う共鳴周波数の異なる共鳴器夫々の共鳴特性によって合成される周波数の変化に基づく音響透過損失の変化曲線が、よりなだらかになり、全体として低音域から高音域にかけて安定した騒音低減効果が得られる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記共鳴器として、共鳴周波数が少なくとも1/3オクターブバンド中心周波数の125Hzと63Hzの範囲の物を設け、前記共鳴器を前記吸音器を挟んでその両側に各別に隣接させて並設したところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、共鳴周波数が1/3オクターブバンド中心周波数の125Hzと63Hzの範囲の物を、互いに隣接させて並べるよりも、前記吸音器を挟んでその両側に各別に隣接させて並設させる方が、より低周波音域での騒音低減効果が大きくなる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記吸音器に内蔵の多孔質材は、グラスウールである。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、グラスウールを内蔵した吸音器は、幅広い周波数域において吸音効果が、軽量で安価なもので向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】減音装置の全体斜視図である。
図2】共鳴器の斜視図である。
図3】共鳴器の横断面図である。
図4】吸音器の設置例を示す横断面図で、(a)は開口部における風路幅を小にしてその両側に一対の吸音器を設置した状態、(b)は開口部における風路幅を大にして、その両側に一対の吸音器を設置した状態を示す。
図5図4の設置例における実験結果を示すグラフである。
図6】実験例1の設置状態を示す横断面図で、(A)は吸音器を2個並設した状態、(B)は吸音器を3個並設した状態である。
図7a】実験例1における第1実験装置と第2実験装置とを計測した測定結果のグラフである。
図7b】第2実験装置において、βが200mmでαの異なるものの比較測定結果のグラフである。
図7c】第2実験装置において、βが300mmでαの異なるものの比較測定結果のグラフである。
図7d】第2実験装置において、αが300mmでβが300mmの場合で、lの異なるものの比較測定結果のグラフである。
図8】実験例2の設置状態を示す横断面図で、(C)は吸音器の奥側で第1共鳴器が開口部側に位置し、(D)は吸音器の奥側で、第2共鳴器が開口部側に位置する状態を示す。
図9】実験例2の測定結果のグラフである。
図10】実験例2において、吸音器だけの測定値を減算した計算値のグラフである。
図11】実験例3の設置状態を示す横断面図で、(E)は吸音器よりも共鳴器が開口部側に位置し、第1共鳴器が吸音器に隣接し、(F)は吸音器よりも共鳴器が開口部側に位置し、第2共鳴器が吸音器に隣接する状態を示す。
図12】実験例3の測定結果のグラフである。
図13】実験例3において、吸音器だけの測定値を減算した計算値のグラフである。
図14】実験例4の設置状態を示す横断面図で、(G)は第1共鳴器が開口部側に位置し、(H)は第2共鳴器が開口部側に位置する状態を示す。
図15】実験例4の測定結果のグラフである。
図16図15の夫々の測定結果から第1実験装置の測定値を引いた変化値を示すグラフである。
図17】第3実験装置、第5実験装置、第7実験装置、第8実験装置それぞれの測定値を並べたグラフである。
図18】第7実験装置、第8実験装置夫々の測定値から第3実験装置の測定値を引いた変化値のグラフである。
図19】第7実験装置、第8実験装置夫々の測定値から第5実験装置の測定値を引いた変化値のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明は、建物に設置される蒸気復水器、冷却塔、空調室外機などの設置物、または地下鉄、地下道路、トンネルなどの風路、換気塔、から発生する騒音が、近隣環境に害を及ぼさないように設けられる騒音低減構造であって、上記設置物に対して通気させる通気路7を形成するために設けられる例えば、建物、地下鉄、地下道路、トンネル、換気塔、などの建造物の開口部又は風路、その近傍に減音装置1を設けてある騒音低減構造を示すものである。
【0016】
図1図3に示すように、上下に長い建物の開口部が、その横幅方向に複数本設けられ、それらの建物の開口部を介して建物外方から建物内方へと形成される通気路7に沿って、前記減音装置1としての、スリット状開口部2を有する共鳴器3と繊維材内蔵の吸音器4とを、前記複数本の開口部夫々の奥行方向に並設してある。
共鳴器3は、背後に密閉された空洞部5を持つスリット状開口部2を備え、空洞部5の体積とスリット状開口部2から奥に続くネック状の隔壁部6の長さ、スリット状開口部2の開口幅および断面積により夫々共鳴周波数が設定されたヘルムホルツ共鳴器が形成される。
【0017】
吸音器4は、図4図5に示すように、グラスウールやロックウールなどの繊維材9を内蔵する箱体で、建物の開口部に続く通気路7に対する対向面に音の挿通可能な多孔面部8を備えてある。
グラスウール内蔵の吸音器4において、前記箱体の大きさ、及び内蔵する繊維材9の体積が大きければ大きいほど高周波域における音響透過損失は大きくなり、特に周波数が250Hz以上の帯域で大きな騒音低減効果を発揮する。
尚、吸音器4による吸音効果は、図4に示すように、箱体の厚みβ及び繊維材9の体積を一定にした状態で、建物の開口部における開口率が変化した場合、開口率が低くしかも風路幅αが小さい方が、図5のグラフに示すように、音響透過損失(遮音性能)が大きくなる傾向にあるが、低周波域においては、あまり大きな差は生じないことがわかる。
また、開口部の奥行方向に吸音器4の並べる数を2個から3個に増やして(図6(A)→(B))、開口部の長さlが長くなっても図7aに示すように、音響透過損失は大きくなる傾向にあるが、低周波域においては、あまり大きな差は生じないことがわかる。
【0018】
そこで、高周波域に限らず低周波域においても騒音低減効果を上げるべく、共鳴器3と吸音器4の組み合わせにおいて、より効果的な騒音低減効果を求める実験をした。
共鳴器3と吸音器4との相対的な配置に基づく騒音低減効果の差を計測し、図7a~図7d、図9図10図12図13のグラフに示した。
共鳴器3は、共鳴周波数が500Hz以下(望むべくは250Hz以下)で、1/3オクターブバンド分析における中心周波数が少なくとも125Hzの範囲に騒音低減効果の高い第1共鳴器3Aと、中心周波数が63Hzの範囲に騒音低減効果の高い第2共鳴器3Bとを、前記開口部の奥行方向に並設し、吸音器4は、グラスウールを内蔵した箱体を、共鳴器3と共に、開口部の奥行方向に並設した。
尚、1/3オクターブバンド分析における中心周波数が125Hzの範囲の共鳴器3とは、共鳴周波数が111.4~140.3Hzの範囲の物が含まれ、例えば、115Hz、125Hz、130Hzのもの全てが含まれる。また、中心周波数63Hzの範囲の共鳴器3とは、56.1Hz~70.7Hzの範囲の物が含まれる。
【0019】
[実験例1]
吸音器4のみを複数並べ、その吸音器4の数を、2個の場合の第1実験装置(図6(A))と、3個の場合の第2実験装置(図6(B))とを、夫々準備して音響透過損失(dB)を計測し、その結果を、図7a~図7dに示した。
【0020】
つまり、第1実験装置(図6(A))において、α=300mm、β=300mm、l=1000mmをA1とし、第2実験装置(図6(B))において、α=300mm、β=300mm、l=1500mmをB1とした場合の測定結果が図7aとなる。
図7aのグラフによると、吸音器4は数が多いほど音響透過損失が大きくなることが明確であるが、特に周波数が125Hz以下では差が小さくなる。
【0021】
また、第2実験装置(図6(B))において、α=200mm、β=200mm、l=1500mmをB2とし、α=400mm、β=200mm、l=1500mmをB3とした場合、図7bのグラフになる。
図7bのグラフによると、αが小さい方が音響透過損失が大きくなるが、周波数が125Hz以下では差が小さくなる。
【0022】
また、第2実験装置(図6(B))において、α=200mm、β=300mm、l=1500mmをB4とし、α=300mm、β=300mm、l=1500mmをB5とし、α=400mm、β=300mm、l=1500mmをB6とした場合、図7cのグラフになる。
図7cのグラフによると、αが小さい方が音響透過損失が大きくなり、且つ、βが大の方が音響透過損失が大きくなるが、周波数が125Hz以下では差が小さくなる。
【0023】
また、第2実験装置(図6(B))において、α=300mm、β=300mm、l=500mmをB7とし、α=300mm、β=300mm、l=1500mmをB5とし、α=300mm、β=300mm、l=2500mmをB8とした場合、図7dのグラフになる。
図7dのグラフによると、lが大(吸音器4の長さが大で、開口部における吸音器の奥行が大)の方が音響透過損失が大になるが、周波数が125Hz以下では差が小さくなる。
【0024】
[実験例2]
図8(C)、(D)に示すように、通気路7に沿って、開口部の内側に吸音器4を2個並べ、それらの吸音器4よりも更に奥側に第1共鳴器3Aと第2共鳴器3Bを並べてそれぞれの音響透過損失(dB)を計測した。
つまり、第1実験装置(図6(A))に対して、2個の吸音器4に加えてその奥側に順に第1共鳴器3A、第2共鳴器3Bを並べた第3実験装置(図8(C))と、2個の吸音器4に加えてその奥側に順に第2共鳴器3B、第1共鳴器3Aを並べた第4実験装置(図8(D))を設けて、その結果を、図9のグラフに示す。
そして、各周波数に基づく第3実験装置(図8(C))の計測値から第1実験装置(図6(A))の計測値を差し引いた変化値C1、及び、第4実験装置(図8(D))の計測値から、第1実験装置(図6(A))の計測値を差し引いた変化値D1を、図10のグラフに示す。
測定結果では、吸音器4だけよりも吸音器4と共鳴器3を並設することにより、250Hz以下の低周波域における音響透過損失が上がることが明確である。
【0025】
[実験例3]
図11(E)、(F)に示すように、通気路7に沿って、開口部の内側に、順に第2共鳴器3B、第1共鳴器3Aを並設し、それらの共鳴器3の更に奥側に2個の吸音器4を並べた第5実験装置(図11(E))を設けると共に、開口部の内側に、順に第1共鳴器3A、第2共鳴器3Bを並設し、それらの更に奥側に2個の吸音器4を並べた第6実験装置(図11(F))を設けて、それぞれの音響透過損失(dB)を計測した。
その結果を、図12のグラフに示す。
そして、各周波数に基づく第5実験装置(図11(E))の計測値から第1実験装置(図6(A))の計測値を差し引いた変化値E1、及び、第6実験装置(図11(F))の計測値から、第1実験装置(図6(A))の計測値を差し引いた変化値F1を、図13のグラフに示す。
測定結果では、前記実験例2と同様に吸音器4だけよりも吸音器4と共鳴器3を並設することにより、250Hz以下の低周波域における音響透過損失が上がることが明確である。
【0026】
上記実験例2と実験例3との実験結果を更に詳細に検討すると、夫々の実験で吸音器4に対して隣接する共鳴器3については、共鳴中心周波数63Hzの範囲の第2共鳴器3Bよりも、共鳴中心周波数125Hzの範囲の第1共鳴器3Aの方が、吸音器4に隣接して配置した方が63Hz~125Hzの間でより騒音低減効果が高くなることがわかる。
【0027】
[実験例4]
図14(G)、(H)に示すように、通気路7に沿って、開口部の内側に第1共鳴器3Aと第2共鳴器3B、並びに、複数の吸音器4を並べ、それらの並べ方を前記第2実験例及び第3実験例とは別に、吸音器4を挟んでその両側に共鳴器3を配置して音響透過損失(dB)の変化を計測した。
つまり、開口部から順に奥に第1共鳴器3A、2個の吸音器4、第2共鳴器3Bを並べる第7実験装置(図14(G))と、開口部から奥に第2共鳴器3B、2個の吸音器4、第1共鳴器3Aを並べる第8実験装置(図14(H))とを設け、それぞれの音響透過損失(dB)を計測した。
その結果を、第1実験装置(図6(A))の計測値A1と並べた図15のグラフに示す。
【0028】
そして、第7実験装置(図14(G))の計測値から第1実験装置(図6(A))の計測値を差し引いた変化値G1、及び、第8実験装置(図14(H))の計測値から第1実験装置(図6(A))の計測値を差し引いた変化値H1を、図16のグラフに示す。
【0029】
また、周波数250Hz以下の領域において、図17のグラフにおいて、第3実験装置(図8(C))の計測値C、第5実験装置(図11(E))の計測値E、第7実験装置(図14(G))の計測値G、第8実験装置(図14(H))の計測値H、を並べて示した。
【0030】
また、第7実験装置(図14(G))の計測値Gから第3実験装置(図8(C))の計測値Cを引いた変化値G2、第8実験装置(図14(H))の計測値Hから第3実験装置(図8(C))の計測値Cを引いた変化値H2を、図18のグラフに示し、さらに、第7実験装置(図14(G))の計測値Gから第5実験装置(図11(E))の計測値Eを引いた変化値G3、第8実験装置(図14(H))の計測値Hから第5実験装置(図11(E))の計測値Eを引いた変化値H3を、図19のグラフに示した。
【0031】
上記測定結果では、実験例1、実験例2及び実験例3の結果よりも、吸音器4の両側に、共鳴中心周波数63Hzの範囲の第2共鳴器3Bと共鳴中心周波数125Hzの範囲の第1共鳴器3Aとを、各別に配置した方が、周波数125Hz~250Hzの間で更に音響透過損失(dB)が上がることがわかる。
つまり、図16図19に示すように、実験例2、3で得られた構成より第1共鳴器3Aと第2共鳴器3Bとを離して、吸音器4の外側に配置した方が、160Hz~200Hzの間で、更に音響透過損失(dB)が上がることがわかる。
【0032】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
なお、以下の他の実施形態において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
〈1〉前記吸音器4は、内蔵する繊維材9としてグラスウール以外に、ロックウール、アルミ繊維、スポンジ等の穴の開いた材料でもよく、これらを多孔質材と総称する。それらの中でもグラスウールは軽量で安価である。そして、ロックウールは安価ではあるけれども、グラスウールと同等の吸音効果を得るためには密度を大きくする必要があり、アルミ繊維は高価になる弱点があり、スポンジは有機材料であるために耐候性が劣る問題がある。
【0033】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
1 減音装置
2 スリット状開口部
3 共鳴器
4 吸音器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19