(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016021
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】製造するウェハ中に複数の機械的共振器を製造する方法
(51)【国際特許分類】
H03H 3/02 20060101AFI20230125BHJP
H03H 3/04 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
H03H3/02 C
H03H3/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022114391
(22)【出願日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】2028796
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(71)【出願人】
【識別番号】522286159
【氏名又は名称】フレクサス メカニズムス アイピー ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】Flexous Mechanisms IP B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ジュフリー,エオラ ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ルスティヒ,マールテン ピーター
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB01
5J108KK01
5J108KK05
5J108MM08
5J108MM11
5J108NB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】一つ一つの共振器又は少なくとも大半の共振器を補償し、該共振器を可能な限り仕様に近づけることを可能にする方法を提供する。
【解決手段】製造するウェハ中に、時辰儀の調節部材を具備するように意図された複数の機械的共振器を製造する方法であって、基準仕様に従って少なくとも1つのウェハ中に複数の共振器を製作すること複数の共振器各々の実際の周波数を測定する工程と、基準仕様に対する共振器の実際の周波数のオフセットを判定する工程と、複数の共振器のうちの少なくとも1つに、一連のチューニングマスからの少なくとも2つの質量を適用して、対象共振器を基準仕様に近づけるように対象共振器のオフセットを補償する工程と、を含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造するウェハ(1)中に複数の機械的共振器(G1~G4)を製造する方法であって、複数の前記共振器(G1~G4)は時辰儀の調節部材を具備するように意図されており、前記方法は、
(a)基準仕様に従って少なくとも1つのウェハ(1)中に複数の共振器(G1~G4)を製作すること
(b)前記複数の共振器(G1~G4)各々の実際の周波数を測定すること;
(c)前記基準仕様に対する前記共振器(G1~G4)の前記実際の周波数のオフセットを判定すること;
(d)複数の前記共振器(G1~G4)のうちの少なくとも1つに、一連のチューニングマス(M1~M4)からの少なくとも2つの質量を適用して、対象共振器(G1~G4)を前記基準仕様に近づけるように前記対象共振器(G1~G4)のオフセットを補償すること
の工程を含む、前記方法。
【請求項2】
工程(d)を適用する前に前記共振器がグループ(G1~G4)にソートされ、特定のグループにおける前記共振器は、予め決められた第1の範囲内の前記基準仕様からの第1のオフセットを有し、前記予め決められた第1の範囲内の前記第1のオフセットは、第2のグループ内の前記共振器の予め決められた第2の範囲内の第2のオフセットと異なることにおいて特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シリコンからなるウェハ(1)またはSOIウェハを用意することによって特徴付けられる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(d)を適用する前に、前記共振器が、該共振器を制御された酸化の工程及び/又は該共振器上に酸化シリコンを堆積させる工程に付され、それに続いて、酸化シリコンの制御された除去が行われて、全ての共振器に、全ての共振器を基準仕様に近づける酸化シリコンの層の厚みを提供することにおいて特徴付けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程(d)を適用する前に、前記グループが、好ましくは1Hz以下の幅で、目標周波数になるように処理される、請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記グループが、前記共振器を酸化させることによって、及び/又は前記共振器上に酸化シリコンを堆積させることによって処理され、それに続いて、前記目標周波数になるように酸化シリコンの制御された除去が行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
一連のチューニングマス(M1~M4)からの少なくとも2つの質量を適用することを含み、ここで、前記質量(M1~M4)のそれぞれが、該質量の幾何学的中心の外側にある質量中心を有すること、及び、複数の前記共振器(G1~G4)に適用される前記質量M1~M4)が、該共振器の基準仕様に近づけて複数の前記共振器(G1~G4)を微調整する為に回転されることによって特徴付けられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記一連のチューニングマス(M1~M4)が、前記共振器の該基準仕様の最大15%の複数の前記共振器(G1~G4)の範囲をカバーすることによって特徴付けられる、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
複数の前記共振器(G1~G4)の前記基準仕様の0.5%の周波数ステップで前記共振器を同調することを可能にするように、該一連のチューニングマスにおける隣接する質量(M1、M2;M2、M3;M3、M4;等)が異なる重さを有することを用意することによって特徴付けられる、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
該共振器(G1~G4)の基準仕様に近づけて該共振器(G1~G4)を同調する為に正確に2つの質量又は2つの質量の倍数が適用されることを用意することによって特徴付けられる、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
それぞれの質量(M1~M4)が、各自の設計重さに対して10%の許容差を有することを用意することによって特徴付けられる、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
各質量(M1~M4)の同調範囲が、一連のチューニングマス(M1~M4)において隣接する質量の同調範囲と0~50%重なり合っていることを用意することによって特徴付けられる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
複数の前記共振器(G1~G4)にチューニングマス(M1~M4)を追加することにより、該共振器(G1~G4)の慣性モーメントが、チューニングマスのない同じ共振器と比較して、少なくとも1~100%、又は好ましくは少なくとも1~30%、増大することを用意することによって特徴付けられる、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記共振器周波数を調節する為に、且つ該共振器の向きの感受性を調節する為に、複数の前記共振器(G1~G4)のうちの少なくとも1つに3つの質量を適用することによって特徴付けられる、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
複数の該共振器(G1~G4)のうちの少なくとも1つに3つの質量を適用することであって、ここで、上記3つの質量のうち1つの質量は、該共振器(G1~G4)の周波数をその基準仕様に近づけて設定する為に適用され、上記3つのチューニングマスのうち2つの質量は、該共振器(G1~G4)の該周波数を、該共振器の基準仕様に更に近づけて微調整する為に適用されることによって特徴付けられる、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造するウェハ(manufacturing wafer)中に複数の機械的共振器を製造する方法であって、該共振器は時辰儀(timepiece)の調節部材を具備するように意図されており、該方法は、基準仕様(reference specifications)に従って少なくとも1つのウェハ中に複数の共振器を製作することの工程を含む上記の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2021/053501号パンフレットはそのような方法を教示しており、そこでは、a)少なくとも1つの基準ウェハに又はその上方に複数の共振器のパターンを形成する為の少なくとも1つのリソグラフィ工程と、上記パターンを通して上記基準ウェハを機械加工する工程とを含む基準仕様に従って、上記基準ウェハに該共振器を製作する工程、の後に以下の工程が続く;
(b)少なくとも1つの基準プレートについて、平均剛性値に対する該共振器の剛性のばらつきを示すマップを作成すること;
(c)該マッピングを領域に分割し、上記ばらつきを低減する為に、複数の該領域のうちの少なくとも1つについて該共振器の寸法に実施される補正を決定すること;
(d)該リソグラフィ工程において上記少なくとも1つの領域に対して該寸法補正を実施するように、該リソグラフィ工程の該基準仕様を修正すること;
(e)該修正された仕様を使用して、製造ウェハに共振器を製作すること。
【0003】
国際公開第2021/053501号パンフレットから知られている該方法に伴う一つの問題は、共振器が仕様に近い周波数を呈するように、それぞれの又は実質的に一つ一つの単独の共振器を補償することが可能でないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故に、本発明の目的は、一つ一つの共振器又は少なくとも大半の共振器を補償し、該共振器を可能な限り仕様に近づけることを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従うと、この目的は、添付の請求項の1以上に記載の方法に従って達成される。
【0006】
本発明は主として、複数の機械的共振器が製造するウェハ中に製造される方法において具現化され、該共振器は、時辰儀の調節部材を具備するように意図されており、該方法は、
(a)基準仕様に従って少なくとも1つのウェハ中に複数の共振器を製作すること;
(b)該複数の共振器各々の実際の固有周波数(actual natural frequency)を測定すること;
(c)該共振器基準仕様に対する該共振器の該実際の周波数のオフセットを判定すること;
(d)複数の該共振器のうちの少なくとも1つに、一連のチューニングマス(a series of tuning masses;一連の調製する質量)からの少なくとも2つの質量を適用して、対象共振器(concerning resonator)を該共振器基準仕様に近づけるように該共振器の該オフセットを補償すること
の工程を含む。これは、大抵の場合に、該共振器を仕様の範囲内にするのに十分である。
【0007】
工程(d)を適用する前に、該共振器が好ましくは、該ウェハから取り外されてグループ(G1~G4)にソートされ、特定のグループにおける該共振器は、予め決められた第1の範囲内の該基準仕様からの第1のオフセットを有し、該予め決められた第1の範囲内の該第1のオフセットは、別のグループ内の該共振器の予め決められた第2の範囲内の第2のオフセットと異なり、その他のグループについても同様であることが好ましいことがありうる。従って、これは、最終的な同調工程に先立つ粗い同調工程を提供する。しかしながら、これは必須ではなく、該最終的な同調工程が唯一の同調工程であることもできる。
【0008】
シリコンからなるウェハまたはSOIウェハを用意することが好ましい。これは、耐磁性の振る舞いを助け、該チューニングマスに付着し続ける為の高い弾性を提供する。
【0009】
工程(d)を適用する前に、該共振器が、該共振器を酸化させる、及び/又は該共振器上に酸化シリコンを堆積させる工程に付されることができ、それに続いて、酸化シリコンの制御された除去が行われて、該共振器、好ましくは全ての該共振器、に、該共振器、好ましくは全ての該共振器、を基準仕様に近づける酸化シリコン層の厚みを提供することが更に好ましい。
【0010】
工程(d)を適用する前に、該個々のグループが、好ましくは1Hz以下の幅で、目標周波数になるように処理されることが好ましい。一つの実施態様において、該グループは、該共振器を酸化させることによって、及び/又は該共振器上に酸化シリコンを堆積させることによって処理され、それに続いて、上記の目標周波数になるように酸化シリコンの制御された除去が行われる。
【0011】
本発明により、対称性の理由の為に補償される各共振器につき、好ましくは2個の又は2の倍数個の質量が適用される。
【0012】
ある実施態様において、一連のチューニングマスからの少なくとも2つの質量を適用することを含み、ここで、該質量の各々は、該質量の幾何学的中心の外側にある質量中心を有すること、及び、該共振器に適用される該質量は、該共振器の基準仕様に近づけて該共振器を微調整する為に、回転されることが好ましい。
【0013】
本発明の該方法により、該一連のチューニングマスが、該共振器の該基準仕様の10~15%の該共振器の範囲をカバーするようにすることが可能となる。
【0014】
該共振器の該基準仕様の0.5%の周波数ステップで該共振器を同調することを可能にするように、該一連のチューニングマスにおける隣接する質量が異なる重さを有することが好ましい。
【0015】
一つの実施態様において、該共振器の基準仕様に近づけて該共振器を同調する為に正確に2つの質量が適用される。すでに上記で言及されたように、対称性の為に2つの質量が必要とされる(各質量が該共振器の各質量に適用される)。1つのみのチューニングマスが使用された場合、それは、上昇する温度により該共振器に対する内部応力を生じさせ、よって精度に悪影響を与える。
【0016】
好適には、該質量は、設計重さに対して10%の許容差を有する。これにより、製造及び組み立て誤差に対処し、向きの誤差が低いままとなることを保証する。
【0017】
各質量の同調範囲は、該一連のチューニングマスにおいて隣接する質量の同調範囲と0~50%重なり合っていることが更に好ましい。このようにして、該チューニングマスの製造公差が容易に対処されることができる。
【0018】
該共振器に該チューニングマスを追加することが、該共振器の慣性モーメントを、チューニングマスのない同じ共振器と比較して、少なくとも1~100%、又は好ましくは1~30%、増大させることが更に好ましい。これは特に、より周波数の低い共振器に対して、又はより少ないチューニングマスのグループを使用したいときに、有利である。すると、より細いビームを利用することなく該共振器の周波数が低減されることができ、これは該共振器の堅牢性に利益となり、製造誤差の可能性を低減させる。
【0019】
本発明の該方法の一つの実施態様は、該共振器周波数を同調させる為、及び該共振器の向きの感受性を調節する為に、複数の該共振器のうちの少なくとも1つに3つの質量を適用することによって特徴付けられる。
【0020】
本発明の該方法の別の実施態様は、複数の該共振器のうちの少なくとも1つに3つの質量を適用することによって特徴付けられ、ここで、上記3つの質量のうち1つの質量は、該共振器の周波数を所望の周波数に設定する為に適用され、上記3つの質量のうち2つのチューニングマスは、該共振器の該周波数を微調整する為に適用される。
【0021】
国際公開第2017/068538号パンフレットは、機械時辰儀のムーブメントを調整する為の発振器を開示しており、該発振器は、がんぎ車と、該発振器のタイムベースを形成する共振器とを備えており、該共振器は、少なくとも2つの振動要素によって発振状態に保たれる質量要素を含み、該質量要素は、該質量要素と強固に連結される少なくとも1つのアンカー部分であって、該共振器の発振を維持する為に該がんぎ車と直接係合するように構成されたアンカー部分、を含んでいる。該発振器は、単一の基板、好ましくはガラス、セラミック、ガラスセラミック、又はシリコン基板、から作られ、これらはウェハの形態である。該質量要素の慣性モーメントは、該質量要素に重さを追加するか、又は重さを除去することによって変更されることができる。
【0022】
スイス国特許第709291号明細書は、時辰儀用の回転発振器に関係し、該回転発振器は、該発振器が時辰儀に組み付けられることを可能にするように設計された支持要素と、テンプ(balance)と、該支持要素を該テンプに接続し、該テンプに戻りトルクを及ぼすことが可能な、複数の柔軟なブレードと、該テンプに固定して取り付けられたフェロー(felloe)とを備えている。
【0023】
欧州特許第3182213号明細書は、がんぎ車と、機械的発振器とを備えている、時辰儀ムーブメント内で平均速度を調整する為の機構に関し、発振面において弾性的に柔軟な複数のブレードが、テンプが該発振面内である角度で発振するように該テンプを支持し、戻す。パレットフォークが2つの硬質パレットを備え、それらは、該テンプに強固に接続され、該テンプがある角度で発振するときに該がんぎ車の歯と交互に協働するように構成されている。
【0024】
米国特許出願公開第2021/0026299号明細書は、a)第1のシリコン層、第2のシリコン層、及びそれらの間の中間酸化シリコン層を含む基板を用意すること、b)該第1のシリコン層をエッチングしてその内部に時辰儀部品を形成すること、c)該エッチングされた第1のシリコン層の少なくとも全て又は一部によって形成された、該時辰儀部品を含むウェハを、該基板から解放すること、d)該時辰儀部品を熱酸化させ、次いで脱酸する工程と、e)熱酸化又は堆積により、該時辰儀部品上に酸化シリコン層を形成すること、f)該時辰儀部品を該ウェハから取り外すことの工程を含む方法に関係する。
【0025】
本発明は、以降において、添付の特許請求の範囲に関して制限的でない、本発明に従う方法の例示的実施態様を参照しながら、更に解説される。
【0026】
以下の解説は、添付の図面を参照しながら行われる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】
図1Aは、本発明に従う、チューニングマスを用いて同調される共振器を伴うウェハを示す。
【
図1B】
図1Bは、本発明に従う、チューニングマスを用いて同調される共振器を伴うウェハを示す。
【
図2】
図2は、グループ化された共振器をチューニングマスと共に示す。
【
図3】
図3は、2つのチューニングマスが設けられた共振器を示す。
【
図4】
図4は、該チューニングマスによってカバーされるありうる周波数幅を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
該共振器は、例えば、リソグラフィ処理又はウェハ1に共振器を設ける任意の他の好適な製造方法において製造されることができる。これが
図1A及び
図1Bに示されている。
図1A及び
図1Bに示されている該ウェハ1は好ましくは、シリコンからなるか又はSOIウェハである。まだ該ウェハ1内にあるとき、共振器G1~G4はランダムに分散していることが明確に示されている。
【0029】
2つの異なる製造方法が可能であり、第1の方法は第2の方法よりも緻密であり、以下の工程を有する:
a.ウェハ1内に共振器を製造する。その結果得られる共振器は、ある周波数範囲(例えば、例として約6Hzの幅を有する)にわたって分散されている。
図1Bを参照されたい。
b.該ウェハ1から全ての共振器を取り出す。
c.各共振器の固有周波数を測定する。
d.似た周波数を有する共振器同士を、例えば、例として約1Hzの粗い同調グループG1、G2、G3、G4等(例えば、50.0~51.0Hz、51.0~52.0Hz、53.0~54.0Hz、及び54.0Hz~55.0Hz)に、グループ化する。これは
図1Bの右側に示されている。
e.該グループを、該共振器を酸化させること、及び/又は酸化シリコンを堆積させ、酸化シリコンを除去することによって、例として約1Hzの最大の幅で目標周波数になるように処理する(その結果、例えば合計の幅が6Hzから1Hzに低下する)。
f.共振器ごとに正確な質量を選定し(例えば、次第に重さが増していく、一連の、例えば10個の、質量M1、M2、M3等から。
図2を参照されたい)、仕様に従って目標共振周波数とのオフセットを補償する。精度の理由から、各チューニングマスは、例えば0.1HzのΔを同調できることが望ましい。望ましくは、一連の10個のチューニングマスが使用され、これは目標設計周波数の前後1Hzの幅をカバーする。これは
図4に示されている。
【0030】
本発明に従う第2のより高速な製造方法において、以下の工程が区別されることができる。
a.ウェハ1内に共振器を製造する。その結果得られる共振器は、ある周波数範囲(例えば、例として約6Hzの幅を有する)にわたって分散されている。
図1Aを参照されたい。
b.まだ該ウェハ1の一部である間に全ての個々の共振器を測定する。
c.該ウェハ1から全ての共振器を取り出し、似た周波数を有する共振器を、例えば同調グループG1、G2、G3、G4等に、グループ化する。
d.共振器ごとに正確な質量を選定し(一連の60個の質量から)、仕様に従って目標設計周波数とのオフセットを補償する。これは
図1Aに示され、該図は、似た周波数を有する複数の該共振器G1~G4を、例として約0.1Hzの細かい同調グループに、グループ化することに関係する。
【0031】
要約すると、
図1A及び
図1Bはいずれも、製造するウェハ1中に複数の機械的共振器G1~G4を製造した結果を描いており、複数の該共振器G1~G4は、基準仕様に従って製造され、続いて以下の工程が適用される。
複数の該共振器G1~G4各々の実際の周波数を測定する;それに続いて、
該基準仕様に対する複数の該共振器G1~G4の該実際の周波数のオフセットを判定する;
複数の該共振器G1~G4(のうちの少なくとも1つ)に、一連のチューニングマスから少なくとも2つの質量M1を適用して(
図3に示されているように)、複数の該共振器G1~G4を該基準仕様に近づけるように対象共振器G1~G4のオフセットを補償する。
【0032】
当業者には、
図3から、該質量M1の各々は、該質量の幾何学的中心の外側にある質量中心を有すること、及び、複数の該共振器G1~G4に適用される該質量M1は、共振器の基準仕様に近づけて複数の該共振器G1~G4を微調整する為に、複数の該共振器G1~G4に適用される間に回転されることが明らかであろう。
【0033】
好ましくは、
図2に描かれている一連のチューニングマスM1、M2、M3等は、該共振器の該基準仕様の最大15%の複数の該共振器G1~G4の範囲をカバーする。更に、該一連のチューニングマスM1~M4において隣接する質量M1、M2、又はM2、M3等は、該共振器の該基準仕様の0.5%である周波数ステップで各共振器G1~G4を同調することを可能にするように、異なる重さを有することが望ましい。例えば50Hzの設計周波数では、同調周波数範囲は好ましくは、2Hzであり、該周波数ステップはその場合、0.2Hzになる。しかしながら、
図1A、
図1B、及び
図4の例示的実施態様に示されているように、異なる値が明らかに実施可能である。
【0034】
図3を参照すると、少なくとも2つの質量M1が、0.5%未満の相互との重さの差を有することが好ましい。同じくこの図には、共振器の基準仕様に近づけて該共振器G1を同調する為に、正確に2つの質量M1が適用される実施態様が描かれている。しかしながら、これは、2つの質量M1の倍数であることもできる。
【0035】
望ましくは、それぞれの質量は、各自の設計重さに対して10%の許容差を有する。
【0036】
図4は、各質量の同調範囲が、該一連のチューニングマスにおいて隣接する質量の同調範囲と0~50%重なり合っていることを描いている。これは、重心周波数43.0Hz、43.1Hz、43.2Hz等によって描かれている。該重心周波数は、同調範囲の真ん中にあり、隣り合う同調範囲同士は明らかに重なり合っている。
【0037】
複数の該共振器G1~G4にチューニングマスを追加することにより、複数の該共振器G1~G4の慣性モーメントが、チューニングマスのない同じ共振器と比較して、1~30%、又は好ましくは少なくとも1~100%、増大することが好ましい。
【0038】
本発明は、本発明の該方法の例示的実施態様を参照して前述で解説されたが、本発明は、本発明から逸脱することなく多くの形で変化させられることができる、それらの特定の実施態様に制約されない。それ故に、該解説された例示的実施態様は、添付の特許請求の範囲を厳格にそれらに従って解釈する為に使用されるべきではない。その反対に、該実施態様は、請求項をそれら例示的実施態様に制限する意図無しに、添付の特許請求の範囲の文言を説明することを意図されるにすぎない。それ故に、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲のみに従って解釈されるべきであり、あり得る請求項の文言の曖昧さは、それら例示的実施態様を使用して解消されるべきである。
【0039】
例えば、該共振器周波数を調節する為に、且つ該共振器の向きの感受性を調節する為に、複数の該共振器のうちの少なくとも1つに3つの質量を適用することは本発明の範囲内にある。
【0040】
また、複数の該共振器のうちの少なくとも1つに3つの質量を適用すること、ここで、上記3つの質量のうち1つの質量は、該共振器の周波数をその基準仕様に近づけて設定する為に適用され、上記3つのチューニングマスのうち2つの質量は、該共振器の該周波数を、該共振器の基準仕様に更に近づけて微調整する為に適用されることがまた本発明の範囲内である。
【外国語明細書】