(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160229
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】トレー、包装体、およびトレーの使用方法
(51)【国際特許分類】
B65D 77/02 20060101AFI20231026BHJP
B65D 71/42 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B65D77/02 D
B65D71/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070428
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】仲辻 裕一
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB16
3E067AC12
3E067BA06A
3E067BB02A
3E067BC02A
3E067EA01
3E067FA01
3E067FC02
(57)【要約】
【課題】 使用時に変形させて内容物を再収容することが可能なトレー、包装体、およびトレーの使用方法を提供する。
【解決手段】 矩形状の底面板21と底面板の4辺から夫々立設する側面板とを有して上面に開口部を開口するトレーであって、側面板として、底面板の長辺に連設する長側面板23と、底面板の短辺に連設する短側面板22と、を有し、底面板には、底面板の短尺方向に沿って延びる第1折り予定線F1が2本形成されており、長側面板には、各第1折り予定線が延びる方向と交差する位置から、長側面板の立設方向に延びる第2折り予定線F2がそれぞれ形成されており、長側面板には、各第1折り予定線が延びる方向と交差する位置から、各第2折り予定線に対して、短側面板側に傾斜する方向に延びる第3折り予定線F3がそれぞれ形成されている、トレー。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底面板と前記底面板の4辺から夫々立設する側面板とを有して上面に開口部を開口するトレーであって、
前記側面板として、前記底面板の長辺に連設する長側面板と、前記底面板の短辺に連設する短側面板と、を有し、
前記底面板には、前記底面板の短尺方向に沿って延びる第1折り予定線が2本形成されており、
前記長側面板には、各前記第1折り予定線が延びる方向と交差する位置から、前記長側面板の立設方向に延びる第2折り予定線がそれぞれ形成されており、
前記長側面板には、各前記第1折り予定線が延びる方向と交差する位置から、各前記第2折り予定線に対して、前記短側面板側に傾斜する方向に延びる第3折り予定線がそれぞれ形成されている、トレー。
【請求項2】
前記底面板には、2本の前記第1折り予定線の間に、折り曲げ予定線と切り取り予定線で囲まれた開口形成部が形成されている、請求項1に記載のトレー。
【請求項3】
前記開口形成部が2個以上形成されている、請求項2に記載のトレー。
【請求項4】
前記底面板には、2本の前記第1折り予定線の間に、切り取り予定線で囲まれた開口形成部が形成されている、請求項1に記載のトレー。
【請求項5】
前記短側面板の上部には、他方の前記短側面板と係合するための係合部が形成されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のトレー。
【請求項6】
前記係合部は、短側面板の端部に形成された切り欠きと、前記切り欠きから底面板に向かう方向に対して傾斜して延びる第1切り込みと、前記第1切り込みの底面板側の端部から長側面板に向かって延びる第2切り込みと、を有する、請求項5に記載のトレー。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載されたトレーが包装袋に収容された包装体であって、
内容物の長手方向が、前記トレーの短尺方向に沿った方向となるようにして、前記内容物が前記トレーに収容されている包装体。
【請求項8】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載されたトレーの使用方法であって、
長手方向が、前記トレーの底面板の短尺方向に沿った方向となるようにして配置された内容物を、トレーから取り出し、
前記トレーを第2折り予定線、第3折り予定線から折り曲げて、前記長側面板を底面板側に折り曲げ、
第1折り予定線と第2折り予定線を重ねた状態で、2つの前記短側面板が互いに近付くように、第1折り予定線と第2折り予定線を折り曲げ、
一方の前記短側面板の係合部と、他方の前記短側面板の係合部を係合させて、箱体を形成し、
前記開口部を破断して、開口を形成し、
形成された箱体の底面を下方に向けた状態で、前記内容物を前記箱体の前記開口を通して再収容する、
トレーの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トレー、包装体、およびトレーの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、菓子が入った小袋をより大きな袋や箱に収容して販売することが行われている。使用者は、袋や箱から複数の小袋を取り出して、それぞれ喫食することになる。菓子と該菓子が複数個載せられるトレーとからなり、複数個の菓子をトレーに載せた状態で、複数個の菓子とトレーとを包装袋に収容して密封するようにした包装袋入り菓子等の販売も行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装袋の開封後、菓子等の内容物をすぐに消費しない場合には、内容物を保管しておく場所が必要となる。流通の際には適した形態であった包装袋やトレーは、家庭における保管時には必ずしも適していないという問題がある。
【0005】
そこで、本開示は、使用時に変形させて内容物を再収容することが可能なトレー、包装体、およびトレーの使用方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示では、
矩形状の底面板と前記底面板の4辺から夫々立設する側面板とを有して上面に開口部を開口するトレーであって、
前記側面板として、前記底面板の長辺に連設する長側面板と、前記底面板の短辺に連設する短側面板と、を有し、
前記底面板には、前記底面板の短尺方向に沿って延びる第1折り予定線が2本形成されており、
前記長側面板には、各前記第1折り予定線が延びる方向と交差する位置から、前記長側面板の立設方向に延びる第2折り予定線がそれぞれ形成されており、
前記長側面板には、各前記第1折り予定線が延びる方向と交差する位置から、各前記第2折り予定線に対して、前記短側面板側に傾斜する方向に延びる第3折り予定線がそれぞれ形成されている、トレーを提供する。
【0007】
また、本開示のトレーにおいて、
前記底面板には、2本の前記第1折り予定線の間に、折り曲げ予定線と切り取り予定線で囲まれた開口形成部が形成されていてもよい。
【0008】
また、本開示のトレーにおいて、
前記開口形成部が2個以上形成されていてもよい。
【0009】
また、本開示のトレーにおいて、
前記底面板には、2本の前記第1折り予定線の間に、切り取り予定線で囲まれた開口形成部が形成されていてもよい。
【0010】
また、本開示のトレーにおいて、
前記短側面板の上部には、他方の前記短側面板と係合するための係合部が形成されていてもよい。
【0011】
また、本開示のトレーにおいて、
前記係合部は、短側面板の端部に形成された切り欠きと、前記切り欠きから底面板に向かう方向に対して傾斜して延びる第1切り込みと、前記第1切り込みの底面板側の端部から長側面板に向かって延びる第2切り込みと、を有してもよい。
【0012】
また、本開示では、
前記トレーが包装袋に収容された包装体であって、
内容物の長手方向が、前記トレーの短尺方向に沿った方向となるようにして、前記内容物が前記トレーに収容されている包装体を提供する。
【0013】
また、本開示では、
前記トレーの使用方法であって、
長手方向が、前記トレーの底面板の短尺方向に沿った方向となるようにして配置された内容物を、トレーから取り出し、
前記トレーを第2折り予定線、第3折り予定線から折り曲げて、前記長側面板を底面板側に折り曲げ、
第1折り予定線と第2折り予定線を重ねた状態で、2つの前記短側面板が互いに近付くように、第1折り予定線と第2折り予定線を折り曲げ、
一方の前記短側面板の係合部と、他方の前記短側面板の係合部を係合させて、箱体を形成し、
前記開口部を破断して、開口を形成し、
形成された箱体の底面を下方に向けた状態で、前記内容物を前記箱体の前記開口を通して再収容する、
トレーの使用方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、使用時に変形させて商品を再収容することが可能なトレー、包装体、およびトレーの使用方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の一実施形態に係るトレーの開口部側からの斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るトレーの展開図である。
【
図3】
図2に示した係合部SAの詳細を示す図である。
【
図4】トレー20を変形する様子を示す斜視図である。
【
図5】箱体50の底面51側から見た斜視図である。
【
図7】トレーに内容物を収容した状態を示す斜視図である。
【
図8】トレー20を包装袋10に封入して構成される包装体100を示す斜視図である。
【
図9】箱体50に内容物を再収容した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
<トレーの構成>
図1は本開示の一実施形態に係るトレー20の開口部側からの斜視図である。
図1に示すように、トレー20は矩形状の底面板21(
図2参照)と底面板21の4辺から夫々立設する4つの側面板とを有し、上面に開口部20aを開口する。側面板は、底面板21の短辺に連設する短側面板22a、22bと、底面板21の長辺に連設する長側面板23a、23bと、に分類することができる。
【0017】
短側面板22aの上部には係合部SAが設けられている。また、短側面板22bの上部には係合部SBが設けられている。係合部SAと係合部SBは、後述するように、箱体50を形成する際に、互いに係合する。係合部SAと係合部SBが係合することにより、短側面板22aと短側面板22bが箱体50の底面51を形成する。
【0018】
図2はトレー20の展開図である。トレー20を展開したブランク板29は所定の坪量を有するマニラボール、ボール紙、カード紙、クラフトボール等の板紙のシートを打ち抜いて形成される。なお、樹脂板によりブランク板29を形成してもよい。
【0019】
ブランク板29は矩形状の底面板21を有している。底面板21の2つの短辺には矩形状の短側面板22a、22bが折り線26を介してそれぞれ連設される。底面板21の2つの長辺には矩形状の長側面板23a、23bが折り線26を介してそれぞれ連設される。
図2において、折り線26は破線で示されている。また、互いに対向する長側面板23a、23bの両側部には折り線26を介して糊代片25がそれぞれ連設される。糊代片25は、長側面板23a、23bではなく、短側面板22a、22bの両側部に折り線26を介して連設されていてもよい。本実施形態では、矩形状の底面板21は、長尺方向(
図2の左右方向)と短尺方向(
図2の上下方向)を有している。このため、底面板21は、短側面板22a、22bよりも長い辺で、長側面板23a、23bと連設されている。
【0020】
トレー20には、第1折り予定線、第2折り予定線、第3折り予定線、の3種の折り予定線が形成されている。折り予定線としては、底面板21、長側面板23a、23bを折ることができる構造であれば、どのような構造のものであってもよい。本実施形態では、第1折り予定線F1、第2折り予定線F2、第3折り予定線F3のいずれも押罫である。底面板21には、底面板21の短尺方向に延びる第1折り予定線F1が2本形成されている。本実施形態では、第1折り予定線F1と第2折り予定線F2は、組み立て後の状態における長側面板23aの上端(
図2における上端)から長側面板23bの上端(
図2における下端)まで連続して形成されている。第1折り予定線F1と第2折り予定線F2は、必ずしも、長側面板23a、長側面板23bの上端まで達している必要はない。第1折り予定線F1から折ることにより、底面板21、長側面板23a、23bを折ることができればよい。
【0021】
第1折り予定線F1の形成位置は、必ずしも限定されないが、第1折り予定線F1は、底面板21の長尺方向の略中央位置に対称であることが好ましい。2本の第1折り予定線F1は、底面板21の長尺方向の中央位置に対称な位置であることにより、箱体50(
図6、
図9参照)を組み立てた際、箱体50の上面52の高さが水平な状態となる。
【0022】
底面板21には、底面板21の短尺方向(図面上下方向)に沿って延びる第1折り予定線F1が2本形成されている。以降、2本の第1折予定線を区別しない場合は、第1折予定線F1と称し、2本の第1折予定線を区別する場合は、それぞれ第1折予定線F1a、第1折予定線F1bと称する。本実施形態では、第1折予定線F1aと第1折予定線F1bは互いに平行である。また、本実施形態では、第1折予定線F1は、底面板21の短辺と平行であり、底面板21の長辺と直交している。
【0023】
長側面板23a、23bには、各第1折り予定線F1が延びる方向と交差する位置から、長側面板23a、23bの立設方向に延びる第2折り予定線F2がそれぞれ形成されている。
図2に示すような展開図の状態では、第1折り予定線F1と第2折り予定線F2は、同一直線上に位置する。第1折り予定線F1と第2折り予定線F2は、組み立て後の状態における長側面板23aの上端(
図2における上端)から長側面板23bの上端(
図2における下端)まで連続して形成されている。第2折り予定線F2は、必ずしも、長側面板23a、長側面板23bの上端まで達している必要はない。第1折り予定線F1から折ることにより、底面板21、長側面板23a、23bを折ることができればよい。
【0024】
展開図の状態では、長側面板23a、底面板21、長側面板23bにおける第2折り予定線F2a、第1折り予定線F1a、第2折り予定線F2aが1本の直線上に位置している。また、長側面板23a、底面板21、長側面板23bにおける第2折り予定線F2b、第1折り予定線F1b、第2折り予定線F2bが1本の直線上に位置している。
【0025】
長側面板23a、23bには、各第1折り予定線F1が延びる方向と交差する位置から、各第2折り予定線F2に対して、短側面板22a、22b側に傾斜する方向に延びる第3折り予定線F3がそれぞれ形成されている。より詳細には、長側面板23a、23bには、第1折り予定線F1aが延びる方向と交差する位置である点Paから、各第2折り予定線F2aに対して、短側面板22a側に傾斜する方向に延びる第3折り予定線F3aがそれぞれ形成されている。また、長側面板23a、23bには、第1折り予定線F1bが延びる方向と交差する位置である点Pbから、各第2折り予定線F2bに対して、短側面板22b側に傾斜する方向に延びる第3折り予定線F3bがそれぞれ形成されている。
【0026】
長側面板23a、23bにおいて、第2折り予定線F2と第3折り予定線F3がなす角度Rについて、特に限定はないが、30度以上60度以下であることが好ましく、40度以上50度以下であることが特に好ましい。第2折り予定線F2と第3折り予定線F3がなす角度Rが小さ過ぎると、長側面板23a、23bの中央部を底面板21と重ねることが難しくなり、好ましい箱体の形成が難しくなる。第2折り予定線F2と第3折り予定線F3がなす角度Rが大き過ぎると、箱体の側面に空隙部分が大きくなり、好ましい箱体の形成が難しくなる。本実施形態では、第2折り予定線F2と第3折り予定線F3がなす角度Rは45度である。したがって、第2折り予定線F2aと第3折り予定線F3aがなす角度、第2折り予定線F2bと第3折り予定線F3bがなす角度も、ともに45度である。
【0027】
底面板21には、2本の第1折り予定線F1a、F1bの間に、折り曲げ予定線Gと切り取り予定線K1で囲まれた開口形成部35が形成されている。本実施形態では、開口形成部35は2個形成されている。開口形成部35の数は1個であっても3個以上であってもよい。バランスを考慮すると、開口形成部35の数は2個が最適である。本実施形態では、開口形成部35は、底面板中央部21aの長尺方向に長い矩形状である。したがって、開口形成部35の短辺は底面板21と長側面板23a、23bとを区分する折り線26に平行である。また、開口形成部35の長辺は第1折り予定線F1a、F1bに平行である。
【0028】
開口形成部35の2つの短辺は折り曲げ予定線Gで形成されている。また、開口形成部35の2つの長辺は切り取り予定線K1で形成されている。さらに、開口形成部35には、2つの短辺である2本の折り曲げ予定線Gに平行で、2つの長辺である2本の切り取り予定線K1に直交する第2切り取り予定線K2が形成されている。第2切り取り予定線K2は、2本の折り曲げ予定線Gと等距離となる位置に形成されていることが好ましい。
【0029】
箱体50の形成後に、開口形成部35の中心付近を押し込み、第2切り取り予定線K2を破断し、さらに切り取り予定線K1を破断する。これにより開口形成部35は2つに分離される。分離された開口形成部35は、押し込まれた力により、折り曲げ予定線Gで折り曲げられて、下方に移動する。これにより、底面板中央部21aには、開口36が形成される。
【0030】
本実施形態では、開口形成部35は、折り曲げ予定線Gと切り取り予定線K1で囲まれた構成となっているが、開口形成部の周囲が全て切り取り予定線であってもよい。すなわち、開口形成部が切り取り予定線により囲まれていてもよい。この場合、開口形成部の内部に第2の切り取り予定線はなくてもよい
【0031】
図3は、
図2に示した係合部SAの詳細を示す図である。
図3に示すように、係合部SAは、切り欠き31と、第1切り込み32aと、第2切り込み32bを有する。切り欠き31は、短側面板22aの端部Eから底面板21側に形成された切り欠きである。第1切り込み32aは、切り欠き31から底面板21に向かう方向に対して傾斜して延びる切り込みである。第2切り込み32bは、第1切り込み32aの底面板21側の端部から長側面板23aに向かって延びる切り込みである。本実施形態では、第2切り込み32bは、底面板21の短辺および端部Eに平行である。係合部SBも係合部SAと同様の形態である。
【0032】
短側面板22aに形成された係合部SAと、短側面板22bに形成された係合部SBは、互いに同一形状である。また、係合部SAと係合部SBは、底面板21の中心に対して点対称となる位置に形成されている。このため、切り欠き31、第1切り込み32a、第2切り込み32bで囲まれた部分が互いに係合して、短側面板22aと短側面板22bを固定することができる。
【0033】
ブランク板29を折り線26で折曲してトレー20が形成される。即ち、4つの側面板を底面板21の周縁から折曲して立設し、糊代片25を隣接する各短側面板の内面に接着剤を介して各々接着する。これにより、隣接する側面板が夫々連結する、
図1に示したようなトレー20が形成される。
【0034】
なお、糊代片25の代わりに隣接する短側面板22a、22bに形成されたスリットに挿入される挿入片を長側面板23a、23bの両側部に設けても隣接する各側面板を夫々連結することができる。なお、糊代片25は、
図1においては図示を省略してある。
【0035】
図4は、トレー20を変形する様子を示す斜視図である。
図4では、
図1と同様、底面板21を下方に向けて、開口部20aを上方に向けた状態を示している。
図1に示したような状態から、長側面板23a、23bそれぞれについて、それらの中央部分を底面板21に重なる方向に、折り線26から更に折り曲げる。同時に第2折り予定線F2を底面板21側に突出するように折り、第3折り予定線F3をトレーの外方に突出するように折る。
図4は、この時点における状態を示している。
図4に示す状態では、第1折り予定線F1aと第1折り予定線F1bの間に挟まれた底面板中央部21aは、載置面に接触しており、底面板側部21b、21cは、それぞれ載置面から浮いた状態となる。
【0036】
図4に示した状態から、さらに折り線26を折り曲げて、長側面板23a、23bが底面板中央部21aに接触する状態とする。この時点において、第2折り予定線F2は、第1折り予定線F1に完全に重なった状態となる。続いて、重なった第1折り予定線F1、第2折り予定線F2を、底面板中央部21aを外側とした状態で折り曲げる。これにより、短側面板22a、22bが互いに近付く。そして、短側面板22a、22bが接触した状態から係合部SAと係合部SBを係合させる。このようにして、箱体50が形成される。
【0037】
この結果、連結された短側面板22aと短側面板22bを新たな底面51とし、この底面51と対向する側が上面52となった箱体50が形成される。
図5は、箱体50の底面51側から見た斜視図である。
図5に示すように、短側面板22aと短側面板22bは係合部SAと係合部SBが係合されて新たな底面51を形成する。底面板側部21bは箱体50の側面53となり、底面板側部21cは箱体50の側面54となる。側面53と側面54は互いに対向する。長側面板23a、長側面板23bはそれぞれ一部が折り曲げられて、中央部分を除いた部分が箱体50の側面55、側面56を形成する。側面55と側面56は互いに対向する。
【0038】
その後、上面52において、開口形成部35の周囲にある切り取り予定線から切り、開口形成部の周囲にある折り曲げ予定線を内側に折ることにより、開口36を形成する。本実施形態では、開口形成部35は、上面52に2つ形成されている。このため、開口36は2つ形成される。このようにして、上面52に開口36を有する箱体50が組み立てられる。
図6は、組み立て後の箱体50を示す斜視図である。
図6においては、
図5とは上下を逆にして、箱体50の上面52側から見た状態を示している。
図6に示すように、箱体50の上面52には、開口36が2つ形成される。このような箱体50の組み立ては、商品を購入した消費者が行うことも想定される。
【0039】
次に、内容物が収容された状態について説明する。
図7は、トレーに内容物を収容した状態を示す斜視図である。
図7は、
図1と同様に、開口部20a側から見た状態となっている。
図7の例では、外形が略円筒状の内容物Nが、8個収容された状態を示している。本実施形態に係るトレー20から箱体50を組み立てて利用する場合には、内容物Nの長手方向が、底面板21の短尺方向に沿う方向となるように、内容物Nを配置して収容することが好ましい。ここで、沿う方向としては、好ましくは平行である。しかし、トレー20内に厳密に平行に配置することは難しいため、実質的にトレー20内に揃えて内容物Nを収容できる程度に、方向が合っていればよい。
【0040】
<包装袋の特徴>
包装体100は包装袋10の内部にトレー20を収納して構成される。
図8は、トレー20を包装袋10に封入して構成される包装体100を示す斜視図である。外側からは包装袋10が視認でき、透明である場合は、内部のトレー20も視認可能となる。
図8の例では、トレー20の図示は省略している。包装袋10はトレー20を収納した状態において、上面部12と底面部13と一対の側面部14とを有する。上面部12はトレー20の開口部20aと対向し、底面部13はトレー20の底面板21と対向する。側面部14は上面部12と底面部13とを連結する。
図8に示した包装体100は、内容物の長手方向が、トレー20の短尺方向に沿った方向となるようにして、内容物Nがトレー20に収容されている包装体である。
【0041】
包装袋10は積層フィルムの対向する端縁を合掌シール部により合掌貼りして筒状体を形成し、合掌シール部は底面部13に配される。筒状体の開口部は熱接着部により熱接着してトレー20が密封される。
【0042】
熱接着部は側面部14を内側に折り畳んで上面部12と底面部13とで挟持してシールバーで外側から挟み込んで熱接着することにより形成される。
【0043】
また、側面部14と上面部12とを連設する辺、側面部14と底面部13とを連設する辺に沿ってシール部が形成されている。このシール部を形成することにより、包装袋10をトレー20の形状に沿って形成することができ、包装体100を小型化することができる。
【0044】
各シール部は積層フィルムの最内層の熱接着性樹脂層同士が対向するように所定幅で折返してシールバーで外側から挟み込んで熱接着することにより形成される。なお、シール部は5mm~15mmのシール幅で形成することが好ましい。
【0045】
使用者は合掌貼りされた合掌シール部を片手で摘持して上面部12を残る片手で摘持し、両手が離れる方向に引張ることにより、上面部12と底面部13とのシール部が引き剥されて開封口が形成される。開封口を介してトレー20は包装袋10から引き出される。
【0046】
包装袋10を構成する積層フィルムは、基材層、熱接着性樹脂層が順に積層されている。なお、基材層と熱接着性樹脂層との間にガスバリア性を有する金属箔や金属の蒸着膜から成る中間層を配してもよい。
【0047】
基材層は樹脂フィルムを用いることができ、例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の公知の樹脂を任意に選択することができる。また、これらの樹脂から選ばれた1種ないし2種以上を使用して基材層を形成してもよい。また、樹脂フィルムの代わりに紙基材を用いてもよい。
【0048】
基材層の外面には印刷層が配され、印刷層はグラビア印刷またはオフセット印刷によってインキ材を所定位置に印刷塗布して形成される。印刷層により、例えば、文字、図形、記号等の所望の絵柄を基材層の外面に任意に形成することができる。
【0049】
熱接着性樹脂層は熱によって溶融して対向する熱接着性樹脂層と融着して熱接着し得る樹脂で構成される。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・α-オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
【0050】
次に、トレー20の使用方法について説明する。
図8は、トレー20を包装袋10に封入して構成される包装体100を示す斜視図である。
図7に示したような、商品Nを収容したトレー20を包装袋に挿入し、包装袋の外側を密封シールすることにより、商品Nが封入された包装体100が得られる。このような、内容物Nを収容した包装体100の状態で流通が行われることも想定される。消費者は、
図8に示したような包装体100において、包装袋10を開封して、
図7に示したようなトレー20を取り出す。すなわち、長手方向が、トレー20の底面板21の短尺方向に沿った方向となるようにして配置された内容物Nを、トレー20から取り出す。
【0051】
そして、トレー20から内容物を取り出した
図1に示す状態において、トレー20を第2折り予定線F2、第3折り予定線F3から折り曲げる。そして、
図4に示したような状態から、さらに、長側面板23a、23bを底面板21側に折り曲げる。さらに、第1折り予定線F1と第2折り予定線F2を重ねた状態で、短側面板22a、短側面板22bが互いに近付くように、第1折り予定線F1と第2折り予定線F2を折り曲げる。続いて、一方の短側面板22aの係合部SAと、他方の短側面板22bの係合部SBを係合させて、短側面板22aと短側面板22bにより1つの底面51を形成する。このようにして、箱体50を形成する。
【0052】
箱体50が完成したら、収容されていた内容物Nを再収容することができる。
図9は、箱体50に内容物を再収容した状態を示す図である。
図9に示すように、形成された箱体50の底面51を下方に向けた状態で、内容物Nを箱体50に再収容する。具体的には、内容物の長手方向が開口36から底面51に向かう方向になるように、内容物Nを立てた状態で収容する。
図9の例では、1つの開口36を通して、内容物Nがそれぞれ4つずつ収容された状態を示している。箱体50の高さ(底面51と上面52の距離)は、トレー20の底面板21の長尺方向における底面板側部21b、21cの長さである。商品の流通時における商品の収容形態は、商品のサイズとトレーのサイズに応じて、任意に行うことができる。例えば、効率的な収容形態として、商品の長手方向の長さが、トレー20の底面板21の短尺方向に納まる程度の長さである場合が考えられる。例えばトレー20の底面板21の長尺方向における底面板側部21b、21cの長さを、底面板21の短尺方向における底面板21の長さの1/2より長くする。これにより、箱体50の高さは、商品の長手方向の長さの1/2を超えることになる。このため、
図9に示したように、縦置きで収容した場合、商品の1/2を超える部分が箱体50内に納まることになる。これにより、商品である内容物Nを安定的に保持することができる。
【0053】
また、包装袋10の側面部14は上面部12及び底面部13と連設する辺に沿って熱接着されたシール部が形成される。これにより、包装袋10をトレー20の形状に沿って形成することができる。このため、トレー20を収容した包装体100を小型化することができる。
【0054】
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、内容物として外形がほぼ円柱状のものを用いたが、内容物の形状については特に限定されない。ただし、内容物が長手方向を有するものであって、内容物の長手方向の長さがトレーの底面板の短尺方向より短いことが好ましい。このような関係であることにより、商品の流通時には、内容物をトレーの底面板の長尺方向に並べて収容することができる。内容物の形状としては、長手方向を有していれば、角柱状、円錐状、角錐状や、それに類する形状とすることができる。また、内容物は、内容物そのものでなく、個別に小袋に収納した態様であってもよい。各内容物は、小袋に入った状態で、トレーに収容してもよい。
【0055】
また、本開示においては、特に組み合わせに困難を有する構成でない限り、上記実施形態で示された構成要素を適宜組み合わせることができる。また、本開示においては、上記実施形態で示された構成要素の一部を省略した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10・・・包装袋
12・・・上面部
13・・・底面部
14・・・側面部
20・・・トレー
20a・・・開口部
21・・・底面板
21a・・・底面板中央部
21b、21c・・・底面板側部
22a、22b・・・短側面板
23a、23b・・・長側面板
25・・・糊代片
26・・・折り線
29・・・ブランク板
31・・・切り欠き
32a・・・第1切り込み
32b・・・第2切り込み
35・・・開口形成部
36・・・開口
50・・・箱体
51・・・底面
52・・・上面
53~56・・・側面
100・・・包装体
F1・・・第1折り予定線
F2・・・第2折り予定線
F3・・・第3折り予定線
G・・・折り曲げ予定線
K1・・・切り取り予定線
K2・・・第2切り取り予定線
SA、SB・・・係合部