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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160257
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】チャックユニット
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20231026BHJP
   B25B 23/10 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B23P19/06 D
B25B23/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070477
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安積 慶一
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038AA01
3C038BB03
(57)【要約】
【課題】本発明は、ねじを保持孔まで円滑に供給可能なチャックユニットを提供する。
【解決手段】
締結部品Sと嵌合可能な締結工具90あるいは前記締結工具90を内包する吸着パイプ91を案内するチャック本体20と、前記チャック本体20に揺動可能に支持された保持爪40および連結爪30を一対ずつ備え、前記保持爪40の対向面には、締結工具90あるいは吸着パイプ91の軸線上に締結部品Sを保持可能な保持孔41が分割形成されており、前記チャック本体20には、前記連結爪30の揺動面と交差する方向に延びる供給孔22が設けられており、前記連結爪30の対向面には、前記供給孔22と保持孔30とを連続させる連結孔31が分割形成されていることを特徴とするチャックユニット10による。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部品と係合可能な締結工具を案内する案内孔とこの案内孔と交差する方向に延びる供給孔を有するチャック本体と
前記チャック本体に開閉可能に支持された一対の保持爪とを備え、
前記保持爪の対向面には、前記締結部品を締結工具の軸線上に保持可能な保持孔が分割形成されているチャックユニットにおいて、
前記チャック本体と保持爪との間には、開閉可能に構成される一対の連結爪が設けられ、
前記連結爪の対向面には、閉じた状態において前記供給孔および前記保持孔を連結させる連結孔が分割形成されていることを特徴とするチャックユニット。
【請求項2】
前記保持爪および連結爪は、チャック本体に固定された支軸によって揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載のチャックユニット
【請求項3】
前記連結爪の先端面は、前記揺動の支軸を中心とした曲面に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のチャックユニット
【請求項4】
前記保持爪は、前記連結爪の先端面と平行な摺動面を有することを特徴とする請求項3に記載のチャックユニット。
【請求項5】
前記連結爪には、締結工具が当接するテーパ部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載のチャックユニット。
【請求項6】
前記連結爪には、前記保持爪のみ開くことがないよう係止する係止部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載のチャックユニット。
【請求項7】
前記連結爪および前記保持爪の少なくとも一方には、閉じた状態での位置を調節する調節ねじが固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載のチャックユニット。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給されたねじを安定して受け取り可能なチャックユニットに関する
【背景技術】
【0002】
従来、所定の供給装置から圧送されるねじSをドライバビット90の移動経路上に保持するチャックユニット200として特許文献1に開示されるものが知られている。このようなチャックユニット200は、図11に示すようにドライバビット90の移動経路上に配置されるスイングパイプ201と、このスイングパイプ201に連続する保持孔203が分割形成されたチャック爪202と有しており、スイングパイプ201は、二点鎖線に示すようにドライバビット90に押圧されて揺動可能に構成されていた。そのため、外部の供給装置から供給されたねじSは、スイングパイプ201とチャック爪202の保持孔203を通過して、前記ドライバビット90の軸線上に保持されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-107159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のチャックユニットは、図11に示すようにチャック爪の保持孔203がねじSの外径より大きい吸着パイプ33が挿通可能な穴径に構成されており、保持孔203とねじSとの間に隙間が空くため、ねじSが保持孔203内で姿勢を崩すことがあった。しかも、ねじSの通過経路は、スイングパイプ201とチャック爪202の保持孔203との繋ぎ目で屈曲しているとともに保持孔203の入り口部分に接触したねじSを先端側に移動させるテーパ面が設けられている。このため、当該繋ぎ目部分でスイングパイプ201あるいは保持孔203とねじSとの隙間が大きくなっており、ねじSが特に姿勢を崩し易くなっていた。このようにチャック内で姿勢が崩れたねじSは、図11の二点鎖線に示すようにスイングパイプ201とチャック爪202の保持孔203との繋ぎ目やチャック爪202の内部で詰まり、供給不良を引き起こすという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて創生されたものであり、ねじを保持孔まで円滑に供給可能なチャックユニットを提供する。その目的を達成するために本発明は、締結部品と係合可能な締結工具を案内する案内孔とこの案内孔と交差する方向に延びる供給孔を有するチャック本体と前記チャック本体に開閉可能に支持された一対の保持爪とを備え、前記保持爪の対向面には、前記締結部品を締結工具の軸線上に保持可能な保持孔が分割形成されているチャックユニットにおいて、前記チャック本体と保持爪との間には、開閉可能に構成される一対の連結爪が設けられ、前記連結爪の対向面には、閉じた状態において前記供給孔および前記保持孔を連結させる連結孔が分割形成されていることを特徴とする。なお、前記保持爪および連結爪は、チャック本体に固定された支軸によって揺動可能に支持されていることが好ましい。また、前記連結爪の先端面は、前記揺動の支軸を中心とした曲面に構成されていることが好ましい。さらに前記保持爪は、前記連結爪の先端面と平行な摺動面を有することが好ましい。しかも、前記連結爪には、締結工具が当接するテーパ部が形成されていることが好ましい。また、前記連結爪には、前記保持爪のみ開くことがないよう係止する係止部が設けられていることが好ましい。さらに、前記前記連結爪および前記保持爪の少なくとも一方には、閉じた状態での位置を調節する調節ねじが固定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明のチャックユニットによれば、前記チャック本体と保持爪との間に設けられた一対の連結爪の対向面に締結部品を通過させる連結孔が形成されており、連結孔をねじに合わせて自由に設計可能となるため、ねじを安定して供給できる等の利点を有する。なお、保持爪および連結爪が揺動可能に支持されている構成のため、別途駆動源を用意する必要がなく制御が容易になる等の利点もある。また、前記連結爪の先端面が曲面に構成されているため、連結爪の揺動時、連結爪と保持爪が干渉することが防止され、円滑に揺動可能となる等の利点もある。また、前記保持爪の摺動面も先端面と平行な曲面に構成されているため、連結孔と保持孔との隙間が狭くなり、ねじをより円滑に供給可能となる。さらに、前記連結爪にテーパ部が形成されているため、吸着パイプや締結工具等によって揺動し易くなる等の利点もある。また、前記連結爪には、前記保持爪のみ開くことがないように係止する係止部が設けられているため、圧送されたねじに保持爪が押し開かれることが防止される等の利点もある。さらに前記調節ねじにより、保持爪や連結爪の揺動停止を調節できるため、ねじを円滑に供給可能等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るねじ締め機の構造を示す側面図である。
図2】本発明に係るチャックユニットの構造を示す要部拡大側面図である。
図3】本発明に係るチャックユニットの構造を示す要部拡大一部断面側面図である。
図4図3のA-A線に沿った一部断面平面図である。
図5図4から次の状態に移行する動作を示す一部断面平面図である。
図6図5から次の状態に移行する動作を示す一部断面平面図である。
図7】本発明のチャックユニットの第二の実施形態を示す一部断面平面図である。
図8】本発明のチャックユニットの第三の実施形態を示す一部断面平面図である。
図9図8から次の状態に移行する動作を示す一部断面平面図である。
図10図8に示されたチャックユニットを用いたねじ締め機の構造を示す側面図である。
図11】従来のチャックユニットの構造を示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図6において10は、ねじ締め機100等に設けられるチャックユニット10であり、外部の供給装置(図示せず)から供給される締結部品の一例であるねじSを一旦保持可能に構成されている。このチャックユニット10は、後述の吸着パイプ91の移動経路上に固定されるチャック本体20と、このチャック本体20に対して揺動自在に装着された連結爪30および保持爪40,40を有している。
【0009】
前記ねじ締め機100は、前記ねじSと嵌合可能なドライバビット90と、このドライバビット90を内包する円筒形状の吸着パイプ91を有している。この吸着パイプ91には、負圧発生装置等の吸引手段(図示せず)が連続しており、この吸引手段が駆動することにより吸着パイプ91の内部にねじSを吸着保持可能に構成されている。また、前記ドライバビット90および吸着パイプ91は、往復駆動部92に連結されており、軸方向に往復移動可能に構成されている。さらに、前記ドライバビット90の基端部には、回転駆動源93が連結されており、ドライバビット90は、回転駆動源93の駆動を受けて吸着パイプ91の内部で回転自在に構成されている。
【0010】
なお、吸着パイプ91は、クッションばね(図示せず)により常時先端側に付勢されており、当該クッションばねが撓むことでドライバビット90に対して軸方向に相対移動してその先端からドライバビット90を突出させるよう構成されている。また、前記吸着パイプ91は、その先端に向かうにつれて縮径する先細り形状の傾斜部を介して、小径部911が形成されている。
【0011】
前記チャック本体20には、前記吸着パイプ91の移動経路上に案内孔21が貫通形成されている。この案内孔21は、前記吸着パイプ91の最大径より若干大きい穴径に構成されており、吸着パイプ91が軸方向に挿通自在に構成されている。また、チャック本体20には、前記案内孔21に対して傾斜し、それぞれの延長線が交差する供給孔22が形成されている。この供給孔22には、前記供給装置から伸びる供給ホース94が連続しており、供給孔22およびこれに連続する供給ホース94は、その内部をねじSが通過可能かつその内部を通過するねじSがこれらに対して45度以上傾斜することがないようにその穴径が設定されている。さらに、チャック本体20の両側面には、図2に示すように案内孔21と平行に第一支持溝23,23および第二支持溝24,24が形成されている。第一支持溝23,23は、前記案内孔21を挟むように設けられており、連結爪30がそれぞれ揺動自在に支持されている。一方、第二支持溝24,24は、第一支持溝23,23より供給孔22から離反した位置に設けられており、前記保持爪40、40がそれぞれ揺動自在に支持されている。しかも、チャック本体20には、支持溝23,24を貫通する取り付けねじ25が固定されており、前記連結爪30および保持爪40,40は、当該取り付けねじ25を支軸に揺動している。
【0012】
前記連結爪30は、前記チャック本体20との間に挟設された爪ばね34,34により、常時一端側が閉じるよう付勢されており、その対向面には、前記チャック本体20の供給孔22に連続する連結孔31が分割形成されている。この連結孔31は、内部で緩やかに湾曲しており、一端側が前記供給孔22に連続するとともに他端側が後述の保持孔41に連続するように構成されている。また、連結孔31の穴径は、前記供給孔22や供給ホース94と同様にその内部をねじSが通過可能かつその内部を通過するねじSがこれらに対して45度以上傾斜することがないよう設定されている。さらに、連結爪30には吸着パイプ91と対向する位置にテーパ部32が分割形成されている。このテーパ部32は、吸着パイプ91の移動経路上に形成された先細りの円錐形状に構成されており、その最大径部は、吸着パイプ91の小径部911より大径に構成されている。このため、吸着パイプ91がその小径部911をテーパ部32に当接させた状態でさらに前進することで円滑に連結爪30を押し開けることが可能となる。
【0013】
前記保持爪40,40は、前記連結爪30と同様、チャック本体20との間に挟設された爪ばね(図示せず)により、常時一端側が閉じるよう付勢されており、その対向面には、吸着パイプ91の延長線上に位置する保持孔41が分割形成されている。この保持孔41は、前記吸着パイプ91の小径部911の外径より大きい穴径に形成されており、その一端には、ガイド部42が形成されている。このガイド部42は、ねじSの頭部径より小さく、ねじSの首部径より大きい径に構成されており、図3示すように前記連結孔31を経由して供給されたねじSの軸部を受け入れ可能に構成されている。また、前記保持孔41は、その軸方向寸法が小径部911の軸方向寸法より短寸に構成されており、後述の駆動時、吸着パイプ91の小径部911が連結爪30に接触する前に小径部911が前記保持孔41の内部に当接する。
【0014】
なお、図4に示すように前記連結爪30は、保持爪40,40と摺動する先端面33が前記取り付けねじ25を中心とした円弧状の凸曲面に構成されている一方、前記保持爪40,40は、連結爪30の先端面33と摺動する摺動面43が取り付けねじ25を中心とした円弧に沿う凹曲面に構成されている。このため、図5および図6に示すように連結爪30と保持爪40が互いに干渉することがなく、自由に揺動可能となる。また、連結孔31の凹部と保持孔41との間に隙間が発生せず、当該隙間にねじSが引っ掛かることを防止できる。
【0015】
次に、上記のように構成されたチャックユニット10の作用を説明する。
駆動信号が入力されると前記供給装置は、チャックユニット10に向かいねじSを圧送する。この圧送されたねじSは、前記供給ホース94および供給孔22を通じて前記連結孔31まで達する。このように連結孔31まで達したねじSは、連結孔31に沿って方向を変えて前記保持孔41まで供給される。また、連結爪30は、爪ばね34により、閉じる方向に付勢されているため、ねじSが通過する際の衝撃等によって開くことが防止されている。
【0016】
上述のようなねじSの供給時、前述のように連結孔31および保持孔41がねじSの頭部外径を基準に穴径が設計されているため、ねじSは、供給途中で姿勢を崩し難い。また、連結孔31が供給孔22と保持孔41とを連続させるように緩やかに湾曲しているため、連結孔31と供給孔22との境界部分に屈曲がなく部分的に穴径が拡大することもない。このため、ねじSは、供給孔22および連結孔31にガイドされて、安定して保持孔41まで到達可能となる。また、保持爪40,40は、前記爪ばねによって閉じる方向に付勢されているため、供給されたねじSが保持爪40,40を押し開けて外部に飛び出すことが防止される。さらに、前述のように前記連結爪30の先端面33および保持爪40の摺動面43の両方が取り付けねじ25を中心とした円弧形状に構成されており、連結孔31と保持孔41との隙間が狭くなるため、ねじSは、当該隙間に引っ掛かることなく円滑に保持孔41まで供給される。
【0017】
上述のようにねじSが保持孔41まで供給された後、前記往復駆動部92、回転駆動源93、吸引手段が作動し、前記ドライバビット90の回転動作、前記ドライバビット90および吸着パイプ91のねじSに向かっての前進動作、吸着パイプ91の開口部からの吸引動作が開始される。このように前進した吸着パイプ91は、その前方を閉鎖している連結爪30に当接してこれを揺動方向外側に押し開ける。この時、連結爪30に先細り形状に構成されたテーパ部32が形成されており、吸着パイプ91の小径部911がテーパ部32に入り込むため、連結爪30が円滑揺動することが可能となる。このため、連結爪30を開ける時に吸着パイプ33を付勢する前記クッションばねが撓み難く、連結爪30が開き抵抗が弱くなった際に吸着パイプ33が撓んだクッションばねの反力で勢い良く前方に移動することおよびこの勢いよく前進した吸着パイプ33が保持孔41内のねじと衝突して弾き出すこと等を防止できる。また、連結爪30の先端面33,33が円弧状の凸曲面に構成されており、揺動時に先端面33,33が保持爪40,40と接触することを防止している。このため、連結爪30の揺動時、保持爪が開き、ねじが脱落すること等を防止される。
【0018】
上述のように連結爪30を押し開けた後、吸着パイプ91は、往復駆動部92の駆動を受けてさらに前進する。これにより、吸着パイプ91はその先端の小径部911が保持孔41に進入する。この時、吸引手段の駆動が駆動しており、吸着パイプ91の開口部から吸気しているため、保持孔41に保持されたねじSは、吸着パイプ33内に吸引される。このようにねじSを吸着保持した吸着パイプ91は、往復駆動部92の駆動を受けてさらに前進し、図6に示すように前記連結爪30と同様に保持爪40,40を押し開けてチャックユニット10の先端から突出する。この時、保持爪40、40と連結爪30、30が同一の取り付けねじ24を中心に揺動するとともにそれぞれの摺動面43,43と先端面33,33が共に円弧状に構成されているため、互いに干渉することなく保持爪40も連結爪30と同様に円滑に揺動可能となる。結果、吸着パイプ33が保持爪40に引っかかり停止する一方、ドライバビット90が前進することで、ドライバビット90がねじに当接して吸着パイプ33から押し出すこと等が防止される。その後、往復駆動部92の駆動によりワークに向かい前進する吸着パイプ91がワークと接触すると、前記クッションばねが撓み、ドライバビット90が吸着パイプ91に対して相対移動するため、ドライバビット90が吸着パイプ91内に保持されたねじSと当接する。この時、ドライバビット90は、前記回転駆動源93の駆動を受けて回転しているため、ねじSと嵌合するとともに、ねじSをワークに締結する。
【0019】
以下、第二の実施形態であるチャックユニット10′を図7に基づいて説明する。
このチャックユニット10′は、前記連結爪30の揺動方向外側に開口防止部材51,51が装着されており、この開口防止部材51,51の先端は、前記保持爪40,40を揺動方向外側から押さえている。このため、保持爪40,40が揺動する際、前記開口防止部材51,51を介して連結爪30も開かれ、つまり保持爪40,40のみが揺動することが防止される。これにより、供給装置から供給されたねじSが保持爪40,40に当たった際、保持爪40,40は、前述のように連結爪30によって揺動方向外側から押さえられているため、開くことがない。このように、供給されたねじSがチャックユニット10′の外部に飛び出すことが防止される。また、ねじSの飛び出しが防止されるため、ねじSをより速く圧送することが可能となり、サイクルタイムが短縮され、作業効率が向上する。
【0020】
また、チャックユニット10′には、保持爪40,40および連結爪30に調節ねじ52,52等が装着されている。この調節ねじ52,52は、それぞれ保持爪40,40および連結爪30の揺動方向外側からチャック本体20に向かって延びており、その先端部が前記チャック本体20の支持溝23,24の底面に接している。これにより、調節ねじ52,52を回し、その先端部の保持爪40,40および連結爪30からの突き出し量を調節することで、保持爪40,40および連結爪30のチャック本体20に対する揺動停止位置を調節可能となる。このため、保持爪40,40および連結爪30の保持孔41および連結孔31が前記ドライバビット90の軸線上に位置することが可能となる。結果、供給されたねじSは、保持孔41と連結孔31との境界部分に引っ掛かること等なる円滑に供給される。また、保持孔41がドライバビット90の軸線上に位置するため、ドライバビット90とねじSとの嵌合性が向上する等の利点がある。
【0021】
以下、第三の実施形態であるチャックユニット10′′を図8に基づいて説明する。
このチャックユニット10′′は、前記チャックユニット10′′から吸着パイプ91を排除するとともにチャック本体20′の案内孔21′をドライバビット90の外径より若干大きい径に変更したものである。このチャックユニット10′′を有するねじ締め機(図示せず)は、前記チャックユニット10′′の保持孔41にねじSが供給された後、チャックユニット10′′をワーク付近まで下降させるとともに、チャックユニット10′′をワーク付近で停止させた後にドライバビット90のみを下降させるよう構成されている。このため、図9に示すようにドライバビット90が連結爪30および保持爪40,40を押し開き、ねじSをワークに締結することが可能となる。このような、チャックユニット10′′は、吸着パイプ91に連続する吸引手段が必要無いため、吸引手段を用意できない環境でもねじSを締結可能となる。
【0022】
また、第三のチャックユニット10′′は、図10に示すような作業者が手動で操作する手動式ねじ締め機100′に使用されてもよい。この手動式ねじ締め機100′は、鉛直方向に延びる固定軸95と、この固定軸95に対して回転自在および固定軸95の径方向に移動自在な駆動ロッド96とを備えており、駆動ロッド96の先端には、作業者が把持する取手部97が取り付けられている。なお、取手部97の上方には、回転駆動源93が載置されている一方、取手部97の下方には、これに対して、摺動する摺動筒部98が装着されており、チャックユニット10′′は、摺動筒部98の下端に取り付けられている。このため、チャックユニット10′′の下端がワークに当接して停止した状態で作業者が取手部97をさらに下降させることで、回転駆動源93に連結されるドライバビット90が摺動筒部96およびチャックユニット10′′に対して下方に相対移動してねじと嵌合可能となる。このように手動式ねじ締め機100′にチャックユニット10′′を適用した場合、図11に示す従来のチャックユニット200と異なり、スイングパイプ201が揺動せず、作業者の視界を遮らないため、作業性が向上する。
【0023】
なお、本発明に係るチャックユニット10,10′,10′′は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態において、連結孔31は、供給孔22と保持孔41を連結させるように湾曲していたが、湾曲に限らず、複数回屈曲して供給孔22と保持孔41を連結させるように構成であってもよい。このように、従来のスイングパイプ201とチャック爪202のように一箇所の屈曲部で大きく角度変化するのではなく、ちいさな角度変化を複数回行う構成であるため、ねじSの姿勢が崩れ難くなり、安定した供給が可能となる。また、ねじSは、頭部を有する小ねじに限定されず、例えば頭部を有さない止めねじ等であってもよい。このようにねじSが止めねじである場合、前記保持孔41は、縮径部32の先端が閉鎖された袋穴形状に構成されていることが好ましい。さらに、前記テーパ部32は、円錐形状に限定されず、先細り形状であればその他形状であっても何ら問題ない。
【符号の説明】
【0024】
10 … チャックユニット
20 … チャック本体
21 … 案内孔
22 … 供給孔
23 … 第一支持溝
24 … 第二支持溝
25 … 取り付けねじ
30 … 連結爪
31 … 連結孔
32 … テーパ部
33 … 先端面
34 … 爪ばね
40 … 保持爪
41 … 保持孔
42 … ガイド部
43 … 摺動面
90 … ドライバビット
91 … 吸着パイプ
93 … 供給ホース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11