(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160265
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】清掃システム及び清掃方法
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20231026BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20231026BHJP
【FI】
A47L9/28 E
A47L9/28 U
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070488
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大平 昭義
(72)【発明者】
【氏名】田中 佐知
(72)【発明者】
【氏名】吉田 征義
【テーマコード(参考)】
3B057
5H301
【Fターム(参考)】
3B057DE02
3B057DE06
5H301AA02
5H301BB11
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
5H301LL01
5H301LL02
5H301LL06
5H301LL11
(57)【要約】
【課題】清掃用移動体及び自律移動体の処理の効率化を図る清掃システム等を提供する。
【解決手段】清掃システム100は、壁L1で仕切られるとともに少なくとも玄関口E1、ドアD1又は窓W1a,W1b,W1c,W1dを有する部屋R1の中を移動して清掃する清掃用移動体10と、部屋R1の中を移動する自律移動体20と、を備え、清掃用移動体10は、部屋R1の壁L1に沿った部分である内周部の清掃を部屋R1の中の他の部分の清掃よりも優先して行い、清掃用移動体10による内周部の清掃が終わった後、自律移動体20が内周部に移動する、又は、清掃用移動体10による内周部の清掃中、自律移動体20が内周部において清掃済みの部分を移動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁で仕切られるとともに少なくとも入退口又は窓を有する部屋の中を移動して清掃する清掃用移動体と、前記部屋の中を移動する自律移動体と、を備え、
前記清掃用移動体は、前記部屋の前記壁に沿った部分である内周部の清掃を前記部屋の中の他の部分の清掃よりも優先して行い、
前記清掃用移動体による前記内周部の清掃が終わった後、前記自律移動体が前記内周部に移動する、
又は、
前記清掃用移動体による前記内周部の清掃中、前記自律移動体が前記内周部において清掃済みの部分を移動する清掃システム。
【請求項2】
前記自律移動体が前記部屋への訪問者又はユーザの帰宅を検知した場合、前記自律移動体は前記入退口に向かって移動し、前記清掃用移動体は移動を一時的に停止すること
を特徴とする請求項1に記載の清掃システム。
【請求項3】
前記自律移動体の電池残量が所定値以下になった場合、前記自律移動体が充電台に到着するまで、前記清掃用移動体は移動を一時的に停止すること
を特徴とする請求項1に記載の清掃システム。
【請求項4】
前記清掃用移動体の電池残量が所定値以下になった場合、前記清掃用移動体が充電台に到着するまで、前記自律移動体は移動を一時的に停止すること
を特徴とする請求項1に記載の清掃システム。
【請求項5】
前記清掃用移動体による前記部屋の清掃が終了した後、前記清掃用移動体が前記部屋から他の部屋に移動する際、前記自律移動体は移動を一時的に停止すること
を特徴とする請求項1に記載の清掃システム。
【請求項6】
前記部屋に含まれる複数の領域のうち、前記清掃用移動体の侵入が禁止される所定の領域が所定の時間帯に対応付けて設定されること
を特徴とする請求項1に記載の清掃システム。
【請求項7】
前記自律移動体が前記部屋にいる人の異常を検知した場合、前記清掃用移動体による前記部屋の清掃中でも、前記自律移動体は前記人に向かって移動し、前記清掃用移動体は移動を一時的に停止すること
を特徴とする請求項1に記載の清掃システム。
【請求項8】
前記自律移動体が前記部屋への侵入者を検知した場合、前記清掃用移動体による前記部屋の清掃中でも、前記自律移動体は前記侵入者に向かって移動し、前記清掃用移動体は移動を一時的に停止すること
を特徴とする請求項1に記載の清掃システム。
【請求項9】
前記清掃用移動体が前記内周部を清掃しているとき、前記自律移動体は、前記清掃用移動体の後ろに付いて行くこと
を特徴とする請求項1に記載の清掃システム。
【請求項10】
壁で仕切られるとともに少なくとも入退口又は窓を有する部屋の中を移動して清掃する清掃用移動体による清掃方法であって、
前記清掃用移動体は、前記部屋の前記壁に沿った部分である内周部の清掃を前記部屋の中の他の部分の清掃よりも優先して行い、
前記清掃用移動体による前記内周部の清掃が終わった後、前記部屋の中を移動する自律移動体が前記内周部に移動する、
又は、
前記清掃用移動体による前記内周部の清掃中、前記自律移動体が前記内周部において清掃済みの部分を移動する清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
部屋の中を移動する複数種類のロボットの制御に関して、例えば、特許文献1,2に記載の技術が知られている。すなわち、特許文献1には、「少なくとも1つの仮想遮断領域が示された地図データ」に基づいて、自律移動ロボットが移動し、「仮想遮断領域は、ロボットを制御する際に、実際に検出された障害物を同じように考慮される」ことが記載されている。
また、特許文献2には、「複数種類のロボットの移動を共通に管理するための共通マップを、取得したマップデータから生成する共通マップ生成部」と、「複数種類の特定マップを前記共通アップから生成する特定マップ生成部と、」を備えるロボット管理システムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/158248号
【特許文献2】国際公開第2019/171916号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、ロボット掃除機(清掃用移動体)が部屋を掃除しているとき、別の自律移動体の処理が効率的に行われるようにロボット掃除機(清掃用移動体)の制御を工夫するといったことは、特許文献1,2のいずれにも記載されていない。
【0005】
そこで、本発明は、清掃用移動体及び自律移動体の処理の効率化を図る清掃システム等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明に係る清掃システムは、壁で仕切られるとともに少なくとも入退口又は窓を有する部屋の中を移動して清掃する清掃用移動体と、前記部屋の中を移動する自律移動体と、を備え、前記清掃用移動体は、前記部屋の前記壁に沿った部分である内周部の清掃を前記部屋の中の他の部分の清掃よりも優先して行い、前記清掃用移動体による前記内周部の清掃が終わった後、前記自律移動体が前記内周部に移動する、又は、前記清掃用移動体による前記内周部の清掃中、前記自律移動体が前記内周部において清掃済みの部分を移動することとした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、清掃用移動体及び自律移動体の処理の効率化を図る清掃システム等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る清掃システムの説明図である。
【
図2】第1実施形態に係る清掃システムの機能ブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る清掃システムにおいて、清掃用移動体や自律移動体が部屋で使用されている様子を示す説明図である。
【
図4】第1実施形態に係る清掃システムにおける地図情報の例を示す説明図である。
【
図5A】第1実施形態に係る清掃システムにおけるサーバ、清掃用移動体、及び自律移動体のそれぞれの処理を示すフローチャートである。
【
図5B】第1実施形態に係る清掃システムにおけるサーバ、清掃用移動体、及び自律移動体のそれぞれの処理を示すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態に係る清掃システムにおいて、清掃用移動体が領域Aの清掃を行っている様子を示す説明図である。
【
図7】第1実施形態に係る清掃システムにおいて、清掃用移動体が領域Bの清掃を行っている様子を示す説明図である。
【
図8】第1実施形態に係る清掃システムにおいて、清掃用移動体が領域C,Dを順次に移動しながら清掃を行っている様子を示す説明図である。
【
図9】第2実施形態に係る清掃システムにおけるサーバ、清掃用移動体、及び自律移動体のそれぞれの処理を示すフローチャートである。
【
図10】第2実施形態に係る清掃システムにおいて、清掃用移動体の清掃中に訪問者が来訪した場合の説明図である。
【
図11】第2実施形態の変形例において、清掃用移動体が清掃の途中で充電を行う場合の説明図である。
【
図12】第3実施形態に係る清掃システムにおける部屋の地図情報を例を示す説明図である。
【
図13】第3実施形態に係る清掃システムにおいて、ユーザの1日のスケジュールと、清掃システムの運転スケジュールと、の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪第1実施形態≫
<清掃システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る清掃システム100の説明図である。
図1に示す清掃システム100は、清掃用移動体10によって部屋R1の清掃を行うとともに、自律移動体20によって部屋R1の見守り等を行うシステムである。なお、部屋R1を含む建物B1は、例えば、住宅であってもよいし、オフィスやホテル、高齢者施設であってもよい。部屋R1は、屋外の空間や他の部屋(図示せず)に対して、壁L1で仕切られている。
図1に示すように、清掃システム100は、清掃用移動体10と、自律移動体20と、サーバ30と、情報端末40と、を含んで構成されている。
【0010】
清掃用移動体10は、部屋R1の中を移動して清掃するロボットであり、サーバ30との間で所定に通信を行うようになっている。
図1に示すように、清掃用移動体10は、距離センサ11と、集塵部12と、ブラシ13と、駆動輪14と、制御基板15と、本体16と、を備えている。
【0011】
距離センサ11は、障害物41までの距離を測定するセンサである。なお、部屋R1の壁L1や柱(図示せず)も障害物として認識される。距離センサ11は、マイクロ波やミリ波、レーザ等の電波を放射してから反射波を受信するまでの時間に基づいて、障害物41までの距離を測定するようになっている。なお、距離センサ11の種類はこれに限定されず、光学式のTOF(Time-of-Flight)センサが用いられてもよいし、また、超音波式のセンサが用いられてもよい。
図1の例では、距離センサ11が本体16の前面に設置されているが、本体16の側面や上面といった他の箇所に設置されてもよい。
【0012】
集塵部12は、集塵室(図示せず)と、この集塵室に空気が吸い込まれるように駆動されるファン12a(
図2参照)と、を含んで構成されている。ブラシ13は、部屋R1の床の塵埃を集めるものであり、本体16に設置されている。なお、ブラシ13を所定に移動させるためのブラシ用モータ(図示せず)が設けられているものとする。ブラシ13で集められた塵埃は、吸込口(図示せず)を介して、集塵室(図示せず)に導かれる。駆動輪14は、清掃用移動体10の走行に用いられる車輪であり、モータ14a(
図2参照)の回転軸に連結されている。
【0013】
制御基板15は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。制御基板15は、距離センサ11の検出値の他、サーバ30から受信したデータに基づいて、集塵部12のファン12a(図示せず)や駆動輪14のモータ14a(
図2参照)を制御する。
【0014】
本体16は、距離センサ11や集塵部12、ブラシ13、駆動輪14、制御基板15等が設置される収容体である。このような構成を備える清掃用移動体10は、距離センサ11の測定結果に基づいて、部屋R1の形状を推定するとともに、部屋R1の中の自己位置を推定しながら移動するようになっている。清掃用移動体10は、距離センサ11によって検出された障害物41を避けて移動しつつ、部屋R1の清掃を行う。
【0015】
自律移動体20は、部屋R1の中を所定に移動して、部屋R1や人M1(ユーザ)の見守り等を行うロボットであり、サーバ30との間で通信を行うようになっている。このような自律移動体20として、例えば、家庭用ロボットやペットロボット、介護ロボット、サービスロボットが用いられる。また、自律移動体20の機能は、部屋R1や人M1の見守りに限定されるものではない。
【0016】
図1に示すように、自律移動体20は、画像センサ21と、距離センサ22と、駆動輪23と、制御基板24と、本体25と、を備えている。画像センサ21は、所定の撮像データ(可視光画像)を生成するカメラである。例えば、撮像素子(図示せず)に入射する光を光電変換することで撮像データを生成するように画像センサ21が構成されていてもよい。前記した撮像素子として、CCDセンサ(Charge Coupled Device)やCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が用いられる。
【0017】
図1の例では、本体25の上面に画像センサ21が設置されている。このような画像センサ21として、画角が比較的広角である全天球カメラを用いることで、自律移動体20の周囲の全体的な画像を取得できる。なお、画像センサ21の種類や設置位置や個数は、適宜に変更可能である。
距離センサ22は、障害物51までの距離を測定するセンサであり、
図1の例では、本体25の前面に設置されている。このような距離センサ22として、レーザ式のセンサや、光学式のTOF(Time of Flight)センサ、超音波式のセンサ等が用いられる。
【0018】
駆動輪23は、自律移動体20の走行に用いられる車輪であり、モータ23a(
図2参照)の回転軸に連結されている。制御基板24は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、画像センサ21や距離センサ22の検出結果に基づいて、自律移動体20が障害物51を避けながら、部屋R1の中を所定に走行するようになっている。
【0019】
自律移動体20は、画像センサ21の撮像結果に基づいて、人を認識する機能を有している。例えば、自律移動体20は、部屋R1にいる人の頭部の形状や皮膚の色、目の大きさ、両目間の距離、唇の横幅、体型等に基づいて、人を認識する。また、ユーザ等の顔情報がサーバ30に予め記憶されている場合において、部屋R1にいる人がユーザであるか否かといった判定を自律移動体20が行うことも可能である。なお、自律移動体20から受信する撮像データに基づいて、サーバ30が人を認識する処理を行い、この処理の結果を自律移動体20に送信するようにしてもよい。
【0020】
サーバ30は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。サーバ30は、清掃用移動体10との間で通信を行うとともに、自律移動体20との間で通信を行う。また、サーバ30に格納されている所定の情報がユーザの情報端末40に送信され、情報端末40の画面に表示されるようになっている。このような情報端末40として、携帯電話やスマートフォン、タブレット、ウェアラブル端末、パソコン、テレビ等が用いられる。情報端末40には、自律移動体20による見守り等の設定情報や部屋R1の状態を示す情報が表示される。
【0021】
<清掃システムの制御構成>
図2は、清掃システム100の機能ブロック図である。
図2に示すように、清掃用移動体10の制御基板15は、機能的な構成として、記憶部15aと、制御部15bと、通信部15cと、を備えている。記憶部15aには、所定のプログラムが予め格納されている他、部屋R1(
図1参照)の地図情報や距離センサ11の測定値等が格納される。
【0022】
制御部15bは、部屋R1の地図情報の他、距離センサ11の測定値に基づいて、部屋R1の形状を推定するとともに、清掃用移動体10の自己位置を推定し、集塵部12(
図1参照)のファン12aや駆動輪14(
図1参照)のモータ14aを駆動する。なお、部屋R1の地図情報については、距離センサ11の測定値に基づいて生成されるようにしてもよいし、また、サーバ30に予め記憶されていてもよい。
図2に示す通信部15cは、サーバ30との間で所定に通信を行う。
【0023】
自律移動体20の制御基板24は、記憶部24aと、制御部24bと、通信部24cと、を備えている。記憶部24aには、所定のプログラムが予め格納されている他、画像センサ21や距離センサ22によって取得されたデータが格納される。制御部24bは、所定のプログラムや地図情報の他、画像センサ21や距離センサ22で取得したデータに基づいて、部屋R1の形状を推定するとともに、清掃用移動体10の自己位置を推定し、駆動輪23(
図1参照)のモータ23aを制御する。
図2に示す通信部24cは、サーバ30との間で所定に通信を行う。
【0024】
サーバ30は、記憶部30aと、制御部30bと、通信部30cと、を備えている。記憶部30aには、所定のプログラムが予め格納されている他、清掃用移動体10や自律移動体20から受信したデータが格納される。また、記憶部30aには、部屋R1の地図情報が格納されている。そして、清掃用移動体10及び自律移動体20によって、部屋R1の地図情報が共有されるようになっている。
【0025】
制御部30bは、清掃用移動体10や自律移動体20から受信したデータの分析を行う機能を有している。通信部30cは、清掃用移動体10や自律移動体20との間で通信を行う他、ユーザの情報端末40との間でも通信を行う。
以下では、一例として、自律移動体20が部屋R1や人の見守りに用いられる場合について説明するが、自律移動体20の機能は見守りに限定されるものではない。
【0026】
<清掃システムの処理>
図3は、清掃用移動体10や自律移動体20が部屋R1で使用されている様子を示す説明図である。
図3では、清掃用移動体10の充電が完了して、清掃用移動体10が充電台C1から移動し始めたときの状態を示している。自律移動体20は、人M1(例えば、建物B1の居住者)が外出する際、玄関E1(入退口)の付近で人M1を見送っている。
【0027】
図3に示すように、玄関E1(入退口)やドアD1(入退口)の他、複数の窓W1a,W1b,W1c、W1dが部屋R1に設けられている。なお、ドアD1は、ヒンジ等(図示せず)を用いた開き戸であってもよいし、レール(図示せず)を用いた引き戸やアコーデオンドアであってもよい。また、ベランダや庭等との境に窓W1a,W1b,W1c、W1dが設けられて、入退口を兼ねるようになっていてもよい。また、
図3には示していないが、部屋R1がドアD1を介して、別の部屋(図示せず)に隣り合うように設けられていてもよい。
【0028】
図3に示す充電台C1は、清掃用移動体10の充電に用いられるものであり、部屋R1の隅に設けられている。別の充電台C2は、自律移動体20の充電に用いられるものであり、部屋R1の隅に設けられている。
【0029】
図4は、清掃システムにおける地図情報の例を示す説明図である。
図4の例では、部屋R1を4つの領域A,B,C,Dに分割するように地図情報が設定されている。なお、部屋R1を複数の領域に分割する処理は、サーバ30(
図2参照)又は清掃用移動体10で行われる。領域Aは、部屋R1の内周部に設定されている。なお、
図4では、分かりやすくするために、部屋R1の壁際から内側に所定に離れた箇所に領域Aを図示しているが、領域Aは、実際には部屋R1の壁に沿った部分が「内周部」に設定されている。
【0030】
残り3つの領域B,C,Dは、領域Aの内側を3分割するように設定されている。このような地図情報は、サーバ30(
図2参照)の記憶部30a(
図2参照)から読み出され、通信部30c(
図2参照)を介して、清掃用移動体10及び自律移動体20のそれぞれに送信される。そして、清掃用移動体10が、領域A,B,C,Dの清掃を順次に行うようになっている。また、領域A,B,C,Dのそれぞれの清掃状況(未清掃、清掃中、清掃済み)に基づいて、自律移動体20の「侵入禁止領域」や「侵入許可領域」が適宜に設定される。なお、
図4の地図情報は一例であり、部屋R1を複数の領域に分割する仕方は、これに限定されるものではない。
【0031】
図5A、
図5Bは、サーバ、清掃用移動体、及び自律移動体のそれぞれの処理を示すフローチャートである(適宜、
図1も参照)。
図5のステップS101においてサーバ30は、見守りモードの設定・開始を行う。例えば、ユーザ(建物B1の居住者)が外出する際、情報端末40(
図2参照)を用いて、「見守りモード」の設定・開始の操作を行い、この操作に基づいて、サーバ30がステップS101の処理を行う。
【0032】
次に、ステップS102においてサーバ30は、対象とする部屋の地図を選択する。すなわち、サーバ30は、ユーザによる情報端末40(
図2参照)の操作で選択された部屋R1(
図1参照)の地図情報を記憶部30a(
図2参照)から読み出す。
【0033】
ステップS103においてサーバ30は、見守りモードのデータを清掃用移動体10に送信するとともに、自律移動体20にも送信する。なお、見守りモードのデータには、データの送信元・送信先を示す情報の他、侵入者の監視や訪問者の確認といった処理(見守りモード)を自律移動体20に実行させるための指令信号や、部屋R1の地図情報(
図4参照)が含まれている。その他、ユーザの外出中、清掃用移動体10に部屋R1の清掃を行わせるための指令信号が見守りモードのデータに含まれるようにしてもよい。
【0034】
ステップS104において清掃用移動体10は、見守りモードのデータをサーバ30から受信する。清掃用移動体10が部屋R1の清掃を行う際には、見守りモードのデータに含まれる地図情報(
図4参照)が用いられる。前記したように、部屋R1の地図情報には、部屋R1の4つの領域A,B,C,D(
図4参照)を示すデータが含まれている。
【0035】
ステップS105において自律移動体20は、見守りモードのデータをサーバ30から受信する。ステップS106において自律移動体20は、待機する。つまり、自律移動体20は、領域Aの清掃終了を示す信号をサーバ30から受信するまで待機する。なお、清掃用移動体10が領域Aの清掃を開始する際や領域Aの清掃中は、4つの領域A,B,C,Dの全てが「侵入禁止領域」に設定されている。ここで、「侵入禁止領域」とは、自律移動体20の侵入を禁止する領域である。
【0036】
したがって、ステップS106において自律移動体20は、前記した「侵入禁止領域」の外側であって、訪問者を確認(例えば、撮像)しやすい玄関E1の付近に待機するようにしてもよいし、その他の場所に待機するようにしてもよい。これによって、自律移動体20が清掃の邪魔になることを防止できる。
【0037】
ステップS107において清掃用移動体10は、部屋R1の領域Aの清掃を行う。すなわち、清掃用移動体10は、部屋R1(
図1参照)のドアD1や窓W1a,W1b,W1c,W1dに沿って設定された領域A(内周部)の清掃を開始する。
【0038】
図6は、清掃用移動体10が領域Aの清掃を行っている様子を示す説明図である。
図6に示すように、清掃用移動体10は、部屋R1の内周部である領域Aの清掃を、部屋R1の他の領域B,C,D(他の部分)の清掃よりも優先して行う。すなわち、清掃用移動体10は、部屋R1の内外の行き来が可能なドアD1や玄関E1、窓W1a,W1b,W1c,W1dが設けられた壁際の付近の内周部の清掃を優先的に行う。
【0039】
図5AのステップS108において清掃用移動体10は、領域Aの清掃が終了したか否かを判定する。例えば、清掃用移動体10が、部屋R1の壁際に沿って、内周部である領域Aを略1周した場合、領域Aの清掃が終了したと判定するようにしてもよい。また、ステップS108において領域Aの清掃が終了していない場合(S108:No)、清掃用移動体10の処理はステップS107に戻る。
【0040】
ステップS108において領域Aの清掃が終了した場合(S108:Yes)、清掃用移動体10は、
図5Aの破線矢印で示すように、領域Aの清掃が終了したことを示す信号をサーバ30に送信する。この信号を受信した場合、サーバ30は、領域Aの清掃が終了したことを示す信号を自律移動体20に送信する。なお、サーバ30が、地図情報において、清掃済みである領域Aの属性を「侵入禁止領域」から「侵入許可領域」に変更し、変更後の地図情報を自律移動体20に送信するようにしてもよい。ここで、「侵入許可領域」とは、自律移動体20の侵入が許可された領域である。
【0041】
このように、第1実施形態では、清掃用移動体10による部屋R1の領域A,B,C,Dの清掃状況を示す情報に基づいて、自律移動体20の侵入が禁止される「侵入禁止領域」が設定されるとともに、自律移動体20の侵入が許可された「侵入許可領域」が設定されるようにしている。例えば、清掃後の領域A(内周部)は「侵入許可領域」に設定されるため、清掃後の領域Aを自律移動体20が巡回できる。
【0042】
図5Aの破線矢印で示すように、領域Aの清掃が終了したことを示す信号をサーバ30から受信した場合、ステップS109において自律移動体20は、領域Aの見守り移動を行う。すなわち、清掃用移動体10による領域A(内周部)の清掃が終わった後、自律移動体20は、領域A(内周部)に移動する。このように自律移動体20が領域Aを巡回することで、侵入者や訪問者の有無を監視しやすくなる。また、領域Aの清掃の終了後(S108:Yes)、ステップS110において清掃用移動体10は、領域Aの内側に設定された領域Bの清掃を行う。
【0043】
図7は、清掃用移動体10が領域Bの清掃を行っている様子を示す説明図である。
前記したように、領域Aの清掃が領域B,C,Dの清掃よりも優先的に行われる。そして、清掃済みとなった領域Aは、地図情報において、自律移動体20が侵入してもよい「侵入許可領域」に設定される。これによって、自律移動体20は、領域Aの巡回を行う(S109の見守り移動を行う)ことができるようになる。
【0044】
領域Aは、ドアD1や窓W1a,W1b,W1c,W1dが設けられた壁際の付近の内周部になっている。このような領域Aを自律移動体20が巡回することで、外部からの侵入者を発見しやすくなる他、訪問者を確認しやすくなる。また、部屋R1の壁際には塵埃が溜まりやすいため、内周部である領域Aの清掃を清掃用移動体10が優先的に行うことで、部屋R1の清掃を効率的に進めることができる。
【0045】
なお、清掃用移動体10が清掃中である領域Bや、未清掃の領域C,Dについては、自律移動体20の「侵入禁止領域」となるように地図情報が設定されている。仮に、領域B,C,Dのいずれかに自律移動体20が侵入した場合、自律移動体20の接近を検知した清掃用移動体10が走行経路を変更する可能性がある。このように清掃用移動体10の走行経路が変更されると、当初の計画どおりには清掃が進まず、清掃に時間を要する他、清掃用移動体10の消費電力量も増加する。そこで、第1実施形態では、清掃用移動体10が清掃中の領域や未清掃の領域については、サーバ30(
図2参照)が、自律移動体20の「侵入禁止領域」に設定するようにしている。
【0046】
ちなみに、
図5A、
図5Bのフローチャートには特に示していないが、例えば、部屋R1に侵入者が入り、玄関E1や窓W1a等に設けたオートロックの解除信号を自律移動体20が受信したとする。このような場合、自律移動体20が侵入者を画像センサ21で撮影し、その撮像データをサーバ30に送信するようにしてもよい。また、自律移動体20からサーバ30を介して、ユーザの情報端末40(
図2参照)に通知したり、ユーザが契約している警備会社に通報したりしてもよい。
【0047】
図5AのステップS111において清掃用移動体10は、領域Bの清掃が終了したか否かを判定する。領域Bの清掃が終了していない場合(S111:No)、清掃用移動体10の処理はステップS110に戻る。また、ステップS111において領域Bの清掃が終了した場合(S111:Yes)、清掃用移動体10は、
図5Aの破線矢印で示すように、領域Bの清掃が終了したことを示す信号をサーバ30に送信する。この信号を受信した場合、サーバ30は、領域Bの清掃が終了したことを示す信号(又は変更後の地図情報)を自律移動体20に送信する。
【0048】
領域Bの清掃が終了したことを示す信号をサーバ30から受信した場合、
図5BのステップS112において自律移動体20は、領域A,Bの見守り移動を行う。ここで、領域A,Bはいずれも清掃済みであるため、自律移動体20の「侵入許可領域」が領域A,Bに拡大される。自律移動体20は、見守り移動において、部屋R1の壁際に沿うように領域Aを移動してもよいし、また、領域Bに適宜に入ってもよい。一方、清掃用移動体10が清掃中の領域Cや、未清掃の領域Dについては、自律移動体20の「侵入禁止領域」に設定されている。
【0049】
図5BのステップS113において清掃用移動体10は、領域Cの清掃を行う。
次に、ステップS114において清掃用移動体10は、領域Cの清掃が終了したか否かを判定する。領域Cの清掃が終了していない場合(S114:No)、清掃用移動体10の処理はステップS113に戻る。また、ステップS114において領域Cの清掃が終了した場合(S114:Yes)、清掃用移動体10は、
図5Bの破線矢印で示すように、領域Cの清掃が終了したことを示す信号をサーバ30に送信する。この信号を受信した場合、サーバ30は、領域Cの清掃が終了したことを示す信号(又は変更後の地図情報)を自律移動体20に送信する。
【0050】
領域Cの清掃が終了したことを示す信号をサーバ30から受信した場合、ステップS115において自律移動体20は、領域Cの見守り移動を行う。ここで、領域A,B,Cはいずれも清掃済みであるため、自律移動体20の「侵入許可領域」が領域A,B,Cに拡大される。一方、清掃用移動体10が清掃中である領域Dについては、自律移動体20の「侵入禁止領域」に設定されている。
【0051】
図8は、清掃用移動体10が領域C,Dを順次に移動しながら清掃を行っている様子を示す説明図である。
図8では、清掃用移動体10が領域C,Dの清掃を順次に行っているとき、自律移動体20が領域Aを移動する例を示しているが、自律移動体20が清掃済みの領域Bに入ることも可能である。
【0052】
図5BのステップS116において清掃用移動体10は、領域Dの清掃を行う。
次に、ステップS117において清掃用移動体10は、領域Dの清掃が終了したか否かを判定する。領域Dの清掃が終了していない場合(S117:No)、清掃用移動体10の処理はステップS116に戻る。また、ステップS117において領域Dの清掃が終了した場合(S117:Yes)、清掃用移動体10は、
図5Bの破線矢印で示すように、領域Dの清掃が終了したことを示す信号をサーバ30に送信する。この信号を受信した場合、サーバ30は、領域Dの清掃が終了したことを示す信号(又は変更後の地図情報)を自律移動体20に送信する。
【0053】
そして、ステップS118において清掃用移動体10は、充電台C1に戻り、一連の処理を終了する(END)。
また、領域Dの清掃が終了したことを示す信号をサーバ30から受信した場合、ステップS119において自律移動体20は、領域Dの見守り移動を行う。この場合、清掃済みである領域A,B,C,Dの全てが自律移動体20の「侵入許可領域」に設定される。
次に、ステップS120において自律移動体20は、ユーザが帰宅したか否かを判定する。ユーザがまだ帰宅していない場合(S120:No)、自律移動体20の処理はステップS119に戻る。一方、ステップS120においてユーザが帰宅した場合(S120:Yes)、自律移動体20は、一連の処理を終了する(END)。
なお、清掃用移動体10が部屋R1を再び清掃する際には、部屋R1の地図情報において、領域A,B,C,Dが未清掃領域(自律移動体20の「侵入禁止領域」)に戻る。
【0054】
<効果>
第1実施形態によれば、清掃用移動体10による清掃がまだ行われていない未清掃の領域が、自律移動体20の「侵入禁止領域」に設定される。これによって、部屋R1の中に複数種類の移動体(清掃用移動体10及び自律移動体20)が存在する場合でも、当初の計画どおりに清掃が進められる。したがって、部屋R1を効率的に清掃できる他、清掃の途中で清掃用移動体10のバッテリ(図示せず)が切れることを抑制できる。
【0055】
また、清掃用移動体10と自律移動体20が共有する地図情報には、玄関E1やドアD1、窓W1a,W1b,W1c,W1dの場所が保存され、清掃用移動体10が部屋R1の内周部(領域A)の清掃を優先的に行う。これによって、自律移動体20が部屋R1の内周部(領域A)の巡回を早期に開始できるため、見守りモードを効率的に実行できる。例えば、侵入者が部屋R1に入ってきた場合に、自律移動体20が画像センサ21で侵入者を撮像しやすくなる。このように、第1実施形態によれば、清掃用移動体10及び自律移動体20の処理の効率化を図る清掃システム100を提供できる。
【0056】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、清掃用移動体10(
図10参照)が清掃中の領域や未清掃の領域であっても、所定の場合には自律移動体20が侵入できるようにする点が、第1実施形態とは異なっている。なお、清掃システム100(
図1、
図2参照)の構成については、第1実施形態と同様である。また、部屋R1の清掃に関する地図情報(
図4参照)についても、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0057】
図9は、第2実施形態に係る清掃システムにおけるサーバ、清掃用移動体、及び自律移動体のそれぞれの処理を示すフローチャートである(適宜、
図2も参照)。
なお、ステップS101~S111については第1実施形態(
図5A参照)と同様であるため、説明を省略する。例えば、清掃用移動体10が領域Cを清掃しているとき(S113)、自律移動体20は、領域A,Bの見守り移動を行い(S112)、さらに、ステップS214の処理に進む。
【0058】
ステップS214において自律移動体20は、訪問者が来訪したか否かを判定する。例えば、玄関チャイム(図示せず)が鳴らされた場合や、玄関E1(
図10参照)から人が入ってきた場合、自律移動体20は、訪問者が来訪したと判定する。ステップS214において訪問者が来訪していない場合(S214:No)、自律移動体20の処理はステップS112に戻る。
【0059】
また、ステップS214において訪問者が来訪した場合(S214:Yes)、自律移動体20は、
図9の破線矢印で示すように、訪問者が来訪したことを示す信号をサーバ30に送信する。この信号を受信した場合、サーバ30は、訪問者が来訪したことを示す信号を清掃用移動体10に送信する。この信号をサーバ30から受信した場合、ステップS215において清掃用移動体10は、その場で一時的に待機する。これによって、清掃用移動体10が自律移動体20の移動の妨げになることを防止できる。
【0060】
次に、ステップS208において自律移動体20は、それまで「侵入禁止領域」に設定されていた領域(清掃中の領域や未清掃の領域)を侵入許可領域に変更する。なお、サーバ30が、「侵入禁止領域」を「侵入許可領域」に変更するように地図情報を変更し、変更後の地図情報を自律移動体20に送信するようにしてもよい。
【0061】
図10は、清掃用移動体10の清掃中に訪問者M2が来訪した場合の説明図である。
なお、
図10では、清掃用移動体10が領域Cを清掃しているときであって、自律移動体20が領域A,Bの見守りを行っているときに、訪問者M2が来訪した場合を示している。訪問者M2が来訪するまでは、領域C,Dが自律移動体20の「侵入禁止領域」であったが、訪問者M2が来訪した場合には、領域A,Bに加えて、領域C,Dも自律移動体20が侵入できるようになる。つまり、訪問者M2が部屋R1にいる間は、領域C,Dが一時的に「侵入許可領域」に変更される。
【0062】
これによって、玄関E1の訪問者M2に向かって、自律移動体20が領域C,Dを横切るように直線的に移動し、訪問者M2を素早く確認できる。例えば、訪問者M2を確認する際、清掃用移動体10が画像センサ21(
図2参照)で訪問者M2を撮像し、その撮像結果をサーバ30(
図2参照)を介して、ユーザの情報端末40(
図2参照)に送信するようにしてもよい。このように、自律移動体20が部屋R1への訪問者M2を検知した場合、自律移動体20は玄関E1(入退口)に向かって移動し、清掃用移動体10は移動を一時的に停止する。これによって、自律移動体20が玄関E1に移動する際、清掃用移動体10が妨げになることを防止できる。
【0063】
再び、
図9に戻って説明を続ける。
図9のステップS217において自律移動体20は、訪問者M2を確認する。
次に、ステップS218において自律移動体20は、訪問者M2が帰ったか否かを判定する。つまり、自律移動体20は、
図10に示す訪問者M2が玄関E1から出て行ったか否かを判定する。ステップS218において訪問者M2がまだ帰っていない場合(S218:No)、自律移動体20の処理はステップS217に戻る。
【0064】
また、ステップS218において訪問者M2が帰った場合(S218:Yes)、自律移動体20は、訪問者M2が帰ったことを示す信号をサーバ30に送信する。この信号を自律移動体20から受信した場合、サーバ30は、訪問者M2が帰ったことを示す信号を清掃用移動体10に送信する。この信号をサーバ30から受信した場合、ステップS219において清掃用移動体10は、領域Cにおいて一時的に待機していた場所から清掃を再開する。一方、訪問者M2が帰った後(S218:Yes)、ステップS220において自律移動体20は、清掃済みの領域(
図10の例では、領域A,B)で見守り移動を再開する。
【0065】
なお、
図9では、清掃用移動体10が領域Cを清掃している場合の処理について説明したが、他の領域A,B,Dの清掃中も同様の処理が行われる。また、
図9では、訪問者M2が来訪した場合について説明したが、ユーザが帰宅した場合についても同様の処理が行われる。すなわち、自津移動体20がユーザの帰宅を検知した場合、自律移動体20は玄関E1(入退口)に向かって移動し、清掃用移動体10は移動を一時的に停止するようにしてもよい。
【0066】
<効果>
第2実施形態によれば、部屋R1にユーザが不在の状況で訪問者M2が来訪した場合、それまでは「侵入禁止領域」に設定されていた領域C,Dを横切るように自律移動体20が移動する。これによって、自律移動体20が訪問者M2を素早く確認できる。また、訪問者M2が来訪しているときは、清掃用移動体10が一時待機するため、自律移動体20の移動の妨げになることを防止できる。
【0067】
≪第2実施形態の変形例≫
第2実施形態では、部屋R1(
図10参照)の清掃中に訪問者M2が来訪した場合の処理について説明したが、例えば、自律移動体20の電池残量が所定値以下になった場合も同様の処理が行われるようにしてもよい。すなわち、自律移動体20のバッテリ(図示せず)の電池残量(充電率)が所定値以下になった場合、その旨の信号がサーバ30を介して、清掃用移動体10に送信される。この信号を受信した場合、清掃用移動体10は、清掃を停止し、その場で一時的に待機する。
【0068】
そして、自律移動体20は、充電台C2(
図10参照)に向かって直線的に移動して、充電を行う。なお、自律移動体20が充電台C2に移動する際、清掃中の領域や未清掃の領域が一時的に「侵入許可領域」に変更されるため、これらの領域を自律移動体20が横切るように直線的に移動できる。このように、自律移動体20の電池残量が所定値以下になった場合、自律移動体20が充電台C2に到着するまで、清掃用移動体10は移動を一時的に停止する。これによって、清掃用移動体10が自律移動体20の移動の妨げになることを防止できる。また、
図11に示すように、清掃用移動体10の充電についても同様のことがいえる。
【0069】
図11は、清掃用移動体10が清掃の途中で充電を行う場合の説明図である。
図11に示すように、清掃用移動体10が清掃を行っている途中で、清掃用移動体10の電池残量が所定値以下になったとする。このような場合、清掃用移動体10の電池残量が所定値以下になったことを示す信号が、サーバ30を介して、自律移動体20に送信される。この信号を受信した場合、自律移動体20は、一時的に待機する。また、清掃用移動体10は、所定に区画された領域A,B,C,Dとは特に関係なく、充電台C1に向かって直線的に移動する。
【0070】
このように、清掃用移動体10の電池残量が所定値以下になった場合、清掃用移動体10が充電台C1に到着するまで、自律移動体20は移動を一時的に停止する。これによって、清掃用移動体10の電池残量がゼロになる前に充電を行うことができる。また、自律移動体20が清掃用移動体10の移動の妨げになることを防止できる。
【0071】
なお、部屋R1(
図11参照)の清掃が終了し、ドアD1を介して、清掃用移動体10が別の部屋(図示せず)に移動する場合も同様の処理が行われる。すなわち、清掃用移動体10による部屋R1の清掃が終了した後、清掃用移動体10が部屋R1から他の部屋(図示せず)に移動する際、自律移動体20は移動を一時的に停止する。これによって、自律移動体20が清掃用移動体10の移動の妨げになることを防止できる。
【0072】
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、キッチン・ダイニング(領域B:
図12参照)において、所定の時間帯には清掃用移動体10の清掃が禁止される点が、第1実施形態とは異なっている。なお、清掃システム100(
図1、
図2参照)の構成については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0073】
図12は、第3実施形態に係る清掃システムにおける部屋R1の地図情報を例を示す説明図である。
図12に示す例では、部屋R1の領域B(ハッチングの部分)がキッチン・ダイニングとして、地図情報で設定されている。そして、次に説明するように、ユーザの1日のスケジュールに基づいて、ユーザが領域B(キッチン・ダイニング)で食事をとる時間帯には、清掃用移動体10が領域Bに入らないようにしている。なお、領域Bの属性(キッチン・ダイニング)は、例えば、ユーザによる情報端末40(
図2参照)の操作に基づいて設定される。
【0074】
図13は、ユーザの1日のスケジュールと、清掃システムの運転スケジュールと、の関係を示す説明図である。
なお、
図13の横軸は、時刻である。また、
図13の紙面上から順に、ユーザのスケジュールと、清掃用移動体10の稼働時間帯と、清掃用移動体10の侵入禁止の時間帯・領域と、自律移動体20の稼働時間帯と、を示している。
【0075】
図13の例では、清掃用移動体10及び自律移動体20のそれぞれの稼働時間帯が0時から24時に設定されている。また、ユーザ(例えば、建物B1の居住者)のスケジュールに対応付けて、清掃用移動体10の侵入禁止の時間帯・領域が設定されている。具体的には、その属性がキッチン・ダイニングとして設定されている領域B(
図12参照)において、ユーザの朝食・昼食・夕食の時間帯では、清掃用移動体10の侵入が禁止されている。すなわち、部屋R1に含まれる複数の領域A,B,C,Dのうち、清掃用移動体10の侵入が禁止される所定の領域(
図13の例では領域B)が所定の時間帯に対応付けて設定されている。
【0076】
清掃用移動体10の侵入が禁止される時間帯・領域は、例えば、ユーザによる情報端末40(
図2参照)の操作に基づいて設定される。すなわち、ユーザが朝食・昼食・夕食の各時間帯を情報端末40(
図2参照)の操作で入力した場合、これらの各時間帯では、領域B(キッチン・ダイニング)への清掃用移動体10の侵入を禁止するようにサーバ30(
図2参照)が設定してもよい。
【0077】
例えば、清掃用移動体10が領域A(
図12参照)の清掃を終了し、次の領域Bに移動する際、ユーザの朝食・昼食・夕食のいずれかの時間帯に重なる場合には、領域Bの清掃を行わずに、領域Cや領域Dの清掃を先に行うようにする。未清掃の領域Bについては、領域C,Dの清掃が完了した後であって、ユーザの朝食・昼食・夕食のいずれの時間帯にも重ならない場合に、清掃用移動体10が領域Bの清掃を行うようにする。
【0078】
また、領域Bの清掃中に朝食・昼食・夕食のいずれかの時間帯に入ってしまった場合には、清掃用移動体10は、領域B(
図12参照)の清掃をいったん中断して、その場で待機するようにしてもよいし、また、領域C,Dに移動して清掃を行うようにしてもよい。一方、自律移動体20は、領域A,B,C,Dのうち清掃済みの領域で見守り等を行う。
【0079】
なお、清掃用移動体10に代えて(又は清掃用移動体10とともに)、自律移動体20の侵入禁止の時間帯・領域が、ユーザによる情報端末40の操作で設定されるようにしてもよい。また、部屋R1の領域に対応付けられる属性は、キッチン・ダイニングに限定されず、リビングや寝室といった他の属性であってもよい。また、複数の部屋が設けられた建物において、部屋ごとに所定の属性が付与されるようにしてもよい。
【0080】
<効果>
第3実施形態によれば、ユーザの1日のスケジュールに対応させて、清掃用移動体10の侵入禁止の時間帯・領域が設定される。つまり、ユーザは、情報端末40(
図2参照)を操作することで、清掃用移動体10の侵入を禁止する時間帯・領域を設定できる。したがって、部屋R1にユーザがいる間も、清掃用移動体10等がユーザの食事等の邪魔になることを防止できる他、清掃用移動体10及び自律移動体20を効率的に稼働させることができる。
【0081】
≪変形例≫
以上、本発明に係る清掃システム100等について各実施形態で説明したが、これらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、地図情報において部屋R1(
図4参照)が領域A,B,C,Dの4つの分割される場合について説明したが、これに限らない。すなわち、部屋R1の領域の分割の仕方は、適宜に変更可能である。
また、各実施形態では、玄関E1やドアD1といった入退口、及び窓W1a,W1b,W1c,W1bが部屋R1に設けられる場合について説明したが、これに限らない。すなわち、入退口及び窓のうちいずれか一方が設けられた部屋R1にも、各実施形態を適用できる。また、部屋R1の壁L1の開口部(人が通れる程度の大きさのもの)において、ドアが特に設けられていない場合でも、この開口部は「入退口」として機能する。
【0082】
また、各実施形態では、清掃用移動体10(
図1参照)が距離センサ11を備える場合について説明したが、さらに他の所定のセンサを備えるようにしてもよい。例えば、清掃用移動体10がダストセンサ(図示せず)を本体16の内部に備える構成にしてもよい。そして、清掃用移動体10がダストセンサの検出値に基づいて、集塵部12(
図1参照)のファン12a(
図2参照)の回転速度を調整するようにしてもよい。その他にも、例えば、建物B1に設けられたダストセンサ(図示せず)の検出値に基づいて、清掃用移動体10がダストセンサの付近に適宜に移動して、掃除を行うようにしてもよい。
また、自律移動体20が、画像センサ21や距離センサ22の他、音声センサ(図示せず)も備えるようにしてもよい。そして、音声センサ(図示せず)で所定の音声が検出された場合、その音声の発生方向に自律移動体20が移動するようにしてもよい。
【0083】
また、各実施形態では、建物B1の外にサーバ30が設けられる場合について説明したが、清掃用移動体10及び自律移動体20のそれぞれと通信可能であれは、サーバ30の設置場所は適宜に変更可能である。例えば、建物B1の中にサーバ30が設置されてもよいし、また、サービス運営会社やクラウドサービス会社にサーバ30が設置されてもよい。
【0084】
また、第1実施形態では、部屋R1の内周部である領域A(
図4参照)の清掃が終わった後、自律移動体20が領域Aに入ることができる場合について説明したが、これに限らない。例えば、清掃用移動体10による領域A(内周部)の清掃中、自律移動体20が領域A(内周部)において清掃済みの部分を移動するようにしてもよい。具体例を挙げると、清掃用移動体10が領域A(内周部)を清掃しているとき、自律移動体20が、清掃用移動体10の後ろに付いて行くようにしてもよい。これよって、自律移動体20が清掃の妨げになることを防止しつつ、内周部である領域Aの巡回を早期に開始できる。
なお、領域Aにおいて清掃済みの部分を自律移動体20が移動し、その移動の向きが清掃用移動体10による清掃時の移動の向きと同様である場合には、自律移動体20が清掃用移動体20の「後ろに付いて行く」という事項に含まれるものとする。
【0085】
また、第2実施形態(
図10参照)では、自律移動体20の電池残量が所定値以下になった場合、自律移動体20が充電台C2に到着するまで、清掃用移動体10が移動を一時的に停止する処理について説明したが、これに限らない。例えば、自律移動体20が部屋R1にいる人の異常を検知した場合、清掃用移動体10による部屋R1の清掃中でも、自律移動体20が人(異常が検知された人)に向かって移動し、清掃用移動体10は移動を一時的に停止するようにしてもよい。これによって、部屋R1にいる人が倒れたり、うずくまったりして、異常が検知された場合、自律移動体20が即座に対応できる。
また、自律移動体20が部屋R1への侵入者を検知した場合、清掃用移動体20による部屋R1の清掃中でも、自律移動体20が侵入者に向かって移動し、清掃用移動体20は移動を一時的に停止するようにしてもよい。これによって、自律移動体20が、部屋R1への侵入者を即座に確認できる。例えば、異常が検知された人や侵入者を自律移動体20が撮像し、その撮像結果をサーバ30を介して、ユーザの情報端末40に通知するようにしてもよい。
【0086】
また、各実施形態は、適宜に組み合わせることができる。例えば、第2実施形態(
図10参照)と第3実施形態(
図12参照)とを組み合わせてもよい。
また、各実施形態で説明した清掃方法をコンピュータに実行させるためのプログラムは、通信回線を介して提供することもできるし、CD-ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。
【0087】
また、実施形態は本開示を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0088】
10 清掃用移動体
20 自律移動体
30 サーバ
40 情報端末
100 清掃システム
A 領域(内周部)
B,C,D 領域(他の部分)
C1 充電台(清掃用移動体の充電台)
C2 充電台(自律移動体の充電台)
D1 ドア(入退口)
E1 玄関(入退口)
L1 壁
M1 人
M2 訪問者
R1 部屋
W1a,W1b,W1c,W1d 窓