(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160273
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】異常検出装置
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20231026BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070508
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】推名 兼士
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
【Fターム(参考)】
2H045AB06
2H045AB13
2H045AB22
2H045AB38
2H045AB81
2H045BA12
2H045CB65
2H141MA12
2H141MB24
2H141MC09
2H141MD13
2H141MD24
2H141MF02
2H141MF10
2H141MZ12
(57)【要約】
【課題】光偏向器がミラー部の揺動に応じて出力する共振センサ信号の異常を検出できる異常検出装置を提供する。
【解決手段】光偏向器1のセンサ部が出力する共振センサ信号の異常を検出する異常検出装置であって、前記センサ部が出力する前記共振センサ信号を共振センサ信号データにA/D変換する機能、及びデータ取得完了及び前記A/D変換後の前記共振センサ信号データを出力する機能を有する共振センサ信号処理部50と、前記共振センサ信号の予測データを算出する共振センサ信号予測データ算出部133d4と、前記ミラー部が共振状態である場合、前記共振センサ信号の予測データと実際の共振センサ信号データとを比較し、その比較の結果に基づき、前記共振センサ信号の異常を検出する共振センサ信号異常判定部133d5と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー部と、前記ミラー部を支持する支持部と、共振制御信号が印加されることにより前記ミラー部を前記支持部に対して揺動軸周りに揺動させる少なくとも1つのアクチュエータと、前記ミラー部の揺動に応じて共振センサ信号を出力するセンサ部と、を備えた光偏向器の前記センサ部が出力する前記共振センサ信号の異常を検出する異常検出装置であって、
一定周期ごとにデータ取得要求を出力するデータ取得タイミング生成部と、
前記データ取得要求を受信するごとに、前記センサ部が出力する前記共振センサ信号を共振センサ信号データにA/D変換する機能、及び前記A/D変換が完了するごとに、データ取得完了及び前記A/D変換後の前記共振センサ信号データを出力する機能を有する共振センサ信号処理部と、
前記データ取得要求を受信するごとに、前記アクチュエータに印加される前記共振駆動信号の位相と前記アクチュエータに直前に印加された前記共振駆動信号の位相との差分である位相変化量を算出する位相変化量算出部と、
前記センサ部が出力する前記共振センサ信号の振幅、及び、前記共振駆動信号と前記共振センサ信号の位相差を取得する直交検波部と、
前記データ取得完了を受信するごとに、前記位相変化量に基づき、前記共振センサ信号の予測位相を算出する共振センサ信号予測位相算出部と、
前記データ取得完了を受信するごとに、前記共振センサ信号の振幅、前記位相差及び前記予測位相に基づき、前記共振センサ信号の予測データを算出する共振センサ信号予測データ算出部と、
前記ミラー部が共振状態である場合、前記共振センサ信号の予測データと実際の共振センサ信号データとを比較し、その比較の結果に基づき、前記共振センサ信号の異常を検出する共振センサ信号異常判定部と、を備える異常検出装置。
【請求項2】
前記共振センサ信号異常判定部は、前記共振センサ信号の予測データと実際の共振センサ信号データとの差分がしきい値を超えた場合、前記共振センサ信号の異常を検出する請求項1に記載の異常検出装置。
【請求項3】
前記共振センサ信号異常判定部は、前記共振センサ信号の異常を検出した場合、共振センサ信号異常信号を出力する請求項1に記載の異常検出装置。
【請求項4】
前記ミラー部が共振状態である場合、過去に取得された複数の前記位相差の平均値である平均位相差を算出する平均位相差算出部と、
前記位相差と前記平均位相差との差分を算出する位相差分算出部と、
前記位相差と前記平均位相差との差分が小さくなるように前記共振駆動信号の周波数を増減する共振駆動信号周波数制御部と、を備える請求項1に記載の異常検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異常検出装置に関し、特に、振幅(位相差)が許容範囲内か否かを判定することなく、共振センサ信号(光偏向器がミラー部の揺動に応じて出力する共振センサ信号)の異常を検出できる異常検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光偏向器を備え、この光偏向器(アクチュエータ)に印加される駆動信号の振幅(位相差)が許容範囲内か否かを判定し、その結果、振幅(位相差)が許容範囲外と判定された場合、異常処理を実行する照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者が検討したところ、振幅(位相差)が許容範囲内であっても、A/Dコンバータ(共振センサ信号を共振センサ信号データにA/D変換するA/Dコンバータ)の故障やノイズ発生等に起因してA/D変換結果(共振センサ信号データ)が変化する等の異常が発生する場合があり、特許文献1においては、この種の異常を検出できないことが判明した。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、振幅(位相差)が許容範囲内か否かを判定することなく、共振センサ信号(光偏向器がミラー部の揺動に応じて出力する共振センサ信号)の異常を検出できる異常検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる異常検出装置は、ミラー部と、前記ミラー部を支持する支持部と、共振制御信号が印加されることにより前記ミラー部を前記支持部に対して揺動軸周りに揺動させる少なくとも1つのアクチュエータと、前記ミラー部の揺動に応じて共振センサ信号を出力するセンサ部と、を備えた光偏向器の前記センサ部が出力する前記共振センサ信号の異常を検出する異常検出装置であって、一定周期ごとにデータ取得要求を出力するデータ取得タイミング生成部と、前記データ取得要求を受信するごとに、前記センサ部が出力する前記共振センサ信号を共振センサ信号データにA/D変換する機能、及び前記A/D変換が完了するごとに、データ取得完了及び前記A/D変換後の前記共振センサ信号データを出力する機能を有する共振センサ信号処理部と、前記データ取得要求を受信するごとに、前記アクチュエータに印加される前記共振駆動信号の位相と前記アクチュエータに直前に印加された前記共振駆動信号の位相との差分である位相変化量を算出する位相変化量算出部と、前記センサ部が出力する前記共振センサ信号の振幅、及び、前記共振駆動信号と前記共振センサ信号の位相差を取得する直交検波部と、前記データ取得完了を受信するごとに、前記位相変化量に基づき、前記共振センサ信号の予測位相を算出する共振センサ信号予測位相算出部と、前記データ取得完了を受信するごとに、前記共振センサ信号の振幅、前記位相差及び前記予測位相に基づき、前記共振センサ信号の予測データを算出する共振センサ信号予測データ算出部と、前記ミラー部が共振状態である場合、前記共振センサ信号の予測データと実際の共振センサ信号データとを比較し、その比較の結果に基づき、前記共振センサ信号の異常を検出する共振センサ信号異常判定部と、を備える。
【0007】
このような構成により、振幅(位相差)が許容範囲内か否かを判定することなく、共振センサ信号(光偏向器がミラー部の揺動に応じて出力する共振センサ信号)の異常を検出できる。
【0008】
上記異常検出装置において、前記共振センサ信号異常判定部は、前記共振センサ信号の予測データと実際の共振センサ信号データとの差分がしきい値を超えた場合、前記共振センサ信号の異常を検出してもよい。
【0009】
また、上記異常検出装置において、前記共振センサ信号異常判定部は、前記共振センサ信号の異常を検出した場合、共振センサ信号異常信号を出力してもよい。
【0010】
また、上記異常検出装置において、前記ミラー部が共振状態である場合、過去に取得された複数の前記位相差の平均値である平均位相差を算出する平均位相差算出部と、前記位相差と前記平均位相差との差分を算出する位相差分算出部と、前記位相差と前記平均位相差との差分が小さくなるように前記共振駆動信号の周波数を増減する共振駆動信号周波数制御部と、を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、振幅(位相差)が許容範囲内か否かを判定することなく、共振センサ信号(光偏向器がミラー部の揺動に応じて出力する共振センサ信号)の異常を検出できる異常検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】1軸非共振・1軸共振タイプの光偏向器1の斜視図である。
【
図3】(a)
図2の光偏向器のI-I線端面を模式的に示す図、(b)II-II線端面を模式的に示す図である。
【
図4】(a)光偏向器の圧電アクチュエータが作動していない状態を示し、(b)圧電アクチュエータが作動している状態を示す図である。
【
図5】光偏向器1(第1圧電アクチュエータ31,32)に印加される共振駆動信号、光偏向器1(第1検知部71y,72y)から出力される共振センサ信号等の一例である。
【
図6】光偏向器1が走査(ラスタースキャン)するレーザー光Rayにより、スクリーンSに映像pを描画している様子を表す図である。
【
図8】全体制御ブロック136及び共振センサ信号データ処理ブロック133の構成図である。
【
図9】共振センサ信号異常判定部133dの構成図である。
【
図10】A/Dコンバータ50の動作例のフローチャートである。
【
図11】共振センサ信号データ処理ブロック133の動作例のフローチャートである。
【
図12】共振センサ信号異常判定部133dの動作例のフローチャートである。
【
図13】共振駆動信号の周波数にフィードバック制御を行う動作例のフローチャートである。
【
図14】共振駆動信号の周波数にフィードバック制御を行う動作例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態である異常検出装置100を備える映像投影装置10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0014】
【0015】
図1に示すように、映像投影装置10は、半導体光源12、半導体光源12が発光したレーザー光Rayを二次元的に(水平方向及び垂直方向に)走査することによりスクリーンSに映像を投影する光偏向器1、制御装置20を備えている。なお、図示しないが、半導体光源12と光偏向器1との間に、半導体光源12が発光したレーザー光Rayを集光する集光レンズを設けてもよい。また、図示しないが、光偏向器1が走査するレーザー光Rayにより映像が描画されるスクリーン部材(例えば、蛍光体プレート)、及びこのスクリーン部材に描画された映像をスクリーンSに投影する投影レンズを設けてもよい。
【0016】
半導体光源12は、例えば、発光波長が青色域のレーザー光Rayを発光するレーザーダイオード(LD)である。半導体光源12が発光したレーザー光Rayは、光偏向器1(ミラー部2)に入射する。
【0017】
次に、光偏向器1について説明する。
【0018】
光偏向器1は、半導体光源12が発光したレーザー光Rayが入射し当該入射したレーザー光Rayを二次元的に(水平方向及び垂直方向に)走査するミラー部2(例えば、MEMSミラー)を備えている。光偏向器1が走査するレーザー光Rayにより、スクリーンSに映像が描画される。
【0019】
光偏向器1は、例えば、MEMSスキャニングミラーデバイス(MEMSスキャナ)である。光偏向器1の駆動方式には大別して圧電方式、静電方式、電磁方式があるが、いずれの方式であってもよい。以下、圧電方式(1軸非共振・1軸共振タイプ)の光偏向器1について説明する。
【0020】
図2は、1軸非共振・1軸共振タイプの光偏向器1の斜視図である。
【0021】
光偏向器1は、ミラー部2と、一対の第1圧電アクチュエータ31,32(本開示のアクチュエータの一例)と、第1支持部4(本開示の支持部の一例)と、一対の第2圧電アクチュエータ51,52と、第2支持部6とを備える。
【0022】
ミラー部2は、入射した光を反射する円形の反射面2aと、反射面2aを支持する円形の反射面支持体2bとを備える。
【0023】
反射面支持体2bは、シリコン基板で構成される。反射面支持体2bには、その両端から外側へ延びた一対のトーションバー21,22が連結されている。
【0024】
第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれが半円弧形状に形成され、互いにミラー部2を囲むように空隙を隔てて配置されている。第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれの一方の端部が一方のトーションバー21を挟んで対向して連結され、それぞれの他方の端部が他方のトーションバー22を挟んで対向して連結されている。
【0025】
第1支持部4は、矩形の枠形状に形成されており、ミラー部2と第1圧電アクチュエータ31,32とを囲むように設けられている。第1支持部4は、第1圧電アクチュエータ31,32の円弧部の中心位置の外側に連結されており、第1圧電アクチュエータ31,32を介してミラー部2を支持している。
【0026】
第2圧電アクチュエータ51,52は、第1支持部4を挟んで対向して配置されている。第2圧電アクチュエータ51,52は、それらの先端部が、第1支持部4のトーションバー21,22と直交する方向の一対の両側にそれぞれ連結されている。
【0027】
第2支持部6は、矩形の枠形状に形成されており、第1支持部4と第2圧電アクチュエータ51,52とを囲むように設けられている。第2支持部6には、第2圧電アクチュエータ51,52の、第1支持部4と連結されていない側の一対の他端がそれぞれ連結されている。これにより、第2支持部6は、第2圧電アクチュエータ51,52を介して第1支持部4を支持している。
【0028】
次に、第1圧電アクチュエータ31,32の詳細な構成について説明する。第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれが、圧電駆動によって屈曲変形するように構成された第1圧電カンチレバー31A,32Aを備える。詳細には、第1圧電アクチュエータ31,32のうちの一方の第1圧電アクチュエータ31が一方の第1圧電カンチレバー31Aを備え、第1圧電アクチュエータ31,32のうちの他方の第1圧電アクチュエータ32が他方の第1圧電カンチレバー32Aを備える。第1圧電アクチュエータ31,32は、第1圧電カンチレバー31A,32Aの屈曲変形により、トーションバー21,22を介して、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動可能となっている。第1軸Yは、本開示の揺動軸の一例である。
【0029】
次に、第2圧電アクチュエータ51,52の詳細な構成について説明する。第2圧電アクチュエータ51,52は、それぞれが、圧電駆動によって屈曲変形するように構成された一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dを備える。詳細には、一対の第2圧電アクチュエータ51,52のうちの一方の第2圧電アクチュエータ51は、4つの圧電カンチレバーからなる一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dで構成される。また、一対の第2圧電アクチュエータ51,52のうちの他方の第2圧電アクチュエータ52は、4つの圧電カンチレバーからなる他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dで構成される。
【0030】
一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dは、その長さ方向が同じになるようにそれぞれの両端部が隣り合うと共に、ミラー部2を第2軸X(第1軸Yに直交する軸。但し、正確に直交している必要はない。)周りに揺動可能に所定の間隔で並んで配置されている。そして、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dは、隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように連結されている。
【0031】
他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dは、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dと同様に、その長さ方向が同じになるようにそれぞれの両端部が隣り合うと共に、ミラー部2を第2軸X周りに揺動可能に所定の間隔で並んで配置されている。そして、他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dは、隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように連結されている。
【0032】
このように、一方の第2圧電アクチュエータ51及び他方の第2圧電アクチュエータ52は、それを形成する一方の第2圧電カンチレバー51A~51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dが、所謂ミアンダ形状(又は蛇腹形状)に形成されている。
【0033】
一方の第2圧電カンチレバー51A~51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dのうちのミラー部2側(第1支持部4側)に配置されているカンチレバー(以下、「1番目の第2圧電カンチレバー」という)51A,52Aは、その隣り合う第2圧電カンチレバー(以下、「2番目の第2圧電カンチレバー」という)51B,52Bと連結されていない側のそれぞれの一端(自由端)が第1支持部4の外周部に連結されている。
【0034】
同様に、一方の第2圧電カンチレバー51A~51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dのうちの第2支持部6側に配置されている圧電カンチレバー(以下、「4番目の第2圧電カンチレバー」という)51D,52Dは、その隣り合う第2圧電カンチレバー(以下、「3番目の第2圧電カンチレバー」という)51C,52Cと連結されていない側のそれぞれの一端(自由端)が第2支持部6の内周部に連結されている。
【0035】
これにより、第1支持部4は、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの屈曲変形によって、第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動可能となっている。
【0036】
以降、一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのうち、ミラー部2から数えて奇数番目に配置されたそれぞれの圧電カンチレバー(1番目の第2圧電カンチレバー51A,52A及び3番目の第2圧電カンチレバー51C,52C)を奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cという。
【0037】
また、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cのうち、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dに含まれるものを一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cといい、他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dに含まれるものを他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cという。
【0038】
同様に、一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのうち、ミラー部2から数えて偶数番目に配置されたそれぞれの圧電カンチレバー(2番目の第2圧電カンチレバー51B,52B及び4番目の第2圧電カンチレバー51D,52D)を偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dという。
【0039】
また、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dのうち、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dに含まれるものを一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dといい、他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dに含まれるものを他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dという。
【0040】
図3は、光偏向器1の模式的な端面図を示す。
図3(a)は、
図2のI-I線端面図を示す。但し、
図3(a)では、第2支持部6を省略して示している。
図3(b)は、
図2のII-II線端面図を示す。但し、
図3(b)では、第2支持部6、及び一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのうち3番目の第2圧電カンチレバー51C,52C及び4番目の第2圧電カンチレバー51D,52Dを省略して示している。
【0041】
3番目の第2圧電カンチレバー51C,52Cは、1番目の第2圧電カンチレバー51A,52Aと同じ構成である。同様に、4番目の第2圧電カンチレバー51D,52Dは、2番目の第2圧電カンチレバー51B,52Bと同じ構成である。
【0042】
第1圧電アクチュエータ31,32を構成する第1圧電カンチレバー31A,32Aのそれぞれと、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのそれぞれとは、起歪体(カンチレバー本体)としての支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2及び上部電極L3を積層した構造の圧電カンチレバーである。
【0043】
なお、圧電カンチレバーの詳細な構造は、支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2、及び上部電極L3が積層されており、これらの下部電極L1、圧電体L2、及び上部電極L3を囲むように層間絶縁膜M1が設けられている。そして、層間絶縁膜M1上に上部電極配線Wが積層され、この上部電極配線Wを囲むようにパッシベーション膜M2が設けられている。
【0044】
なお、上部電極配線Wは、後述するように、第1駆動用上部電極配線Wy、第2駆動用奇数上部電極配線Wo、第2駆動用偶数上部電極配線We、第1検知用上部電極配線Wmy、及び第2検知用上部電極配線Wmxがあり、これらを特に区別する必要が無いときは、上部電極配線Wという。
【0045】
これらの圧電カンチレバー31A,32A,51A~51D,52A~52Dの圧電体L2は、上部電極L3と下部電極L1との間に駆動電圧が印加されることで、圧電駆動により屈曲変形する。これらの圧電カンチレバー31A,32A,51A~51D,52A~52Dは、圧電体L2の屈曲変形に伴って、屈曲変形する。
【0046】
なお、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのそれぞれの隣り合う圧電カンチレバーの連結部は、その隣り合う圧電カンチレバーのそれぞれの支持体Bを一体に連結した部分となっており、その連結部には圧電体L2及び上部電極L3の層は設けられていない。
【0047】
第1支持部4上には、第1検知部71y,72y(本開示のセンサ部の一例)と、第2検知部71x,72xとが設けられている。第1検知部71y,72yは、第1支持部4上に、当該第1支持部4の第2軸Xに平行な辺(第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの各圧電カンチレバーの長手方向の辺に直交する辺)に沿うように、当該辺の中央部に配置されている。
【0048】
第2検知部71x,72xは、第1支持部4上に、当該第1支持部4の第1軸Yに平行な辺に沿うように、当該辺の中央部に配置されている。第1検知部71y,72yと第2検知部71x,72xは、平面的に互いに分離して設けられている。
【0049】
第1検知部71y,72yは、第1圧電アクチュエータ31,32の圧電駆動によって、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動させるときに、第1支持部4に伝達される第1振動を検知するためのセンサとして設けられている。第2検知部71x,72xは、第2圧電アクチュエータ51,52の圧電駆動によって、第1支持部4を第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動させるときに、第1支持部4に伝達される第2振動を検知するためのセンサとして設けられている。
【0050】
第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xは、第1圧電カンチレバー31A,32A及び第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dと同様に、第1支持部4を構成する支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2及び上部電極L3を積層した構造になっている。なお、第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xにおいても、各圧電カンチレバー31A,32A,51A~51D,52A~52Dと同様に、層間絶縁膜M1、上部電極配線W、パッシベーション膜M2が設けられている。
【0051】
そして、第1支持部4に第1振動又は第2振動が伝達されることで、第1支持部4が屈曲変形したときに、第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xの圧電体L2がこの屈曲変形の変形量に応じた電圧を出力する。光偏向器1は、このときの電圧値によって、第1支持部4に伝達された振動を検知することができる。以下、第1検知部71y,72yが出力する電圧を、共振センサ信号(アナログ信号)とも呼ぶ。
【0052】
本実施形態の光偏向器1の第1支持部4は、ミラー部2を第1軸Y周りで揺動しているときには、第2軸Xに平行な2辺のそれぞれの中央部が屈曲変形しやすいことが、予め行なわれた実験によって分かった。このため、第1検知部71y,72yを当該2辺の中央部に配置している。また、第1支持部4を第2軸X周りで揺動しているときには、第1軸Yに平行な2辺のそれぞれの中央部が屈曲変形しやすいことが、予め行なわれた実験によって分かった。このため、第2検知部71x,72xを当該2辺の中央部に配置している。
【0053】
光偏向器1は、第2支持部6上に、下部電極パッド61a,62aと、第1上部電極パッド61b,62bと、奇数用第2上部電極パッド61c,62cと、偶数用第2上部電極パッド61d,62dと、第1検知用電極パッド61eと、第2検知用電極パッド62eとを備える。
【0054】
下部電極パッド61a,62aのうちの一方の下部電極パッド61aは、一方の第1圧電カンチレバー31Aの下部電極L1、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dの下部電極L1、及び第1検知部71y,72yの下部電極L1に電気的に接続されている。下部電極パッド61a,62aのうちの他方の下部電極パッド62aは、他方の第1圧電カンチレバー32Aの下部電極L1、他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dの下部電極L1、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1に電気的に接続されている。
【0055】
このように、下部電極パッド61a,62aは、第1圧電アクチュエータ31,32、第2圧電アクチュエータ51,52、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xで共通の電極パッドとしている。
【0056】
第1上部電極パッド61b,62bのうちの一方の第1上部電極パッド61bは、一方の第1圧電カンチレバー31Aの上部電極L3に電気的に接続されている。第1上部電極パッド61b,62bのうちの他方の第1上部電極パッド62bは、他方の第1圧電カンチレバー32Aの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0057】
奇数用第2上部電極パッド61c,62cのうちの一方の奇数用第2上部電極パッド61cは、一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cの上部電極L3に電気的に接続されている。奇数用第2上部電極パッド61c,62cのうちの他方の奇数用第2上部電極パッド62cは、他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0058】
偶数用第2上部電極パッド61d,62dのうちの一方の偶数用第2上部電極パッド61dは、一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dの上部電極L3に電気的に接続されている。偶数用第2上部電極パッド61d,62dのうちの他方の偶数用第2上部電極パッド62dは、他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0059】
第1検知用電極パッド61eは、第1検知部71y,72yの上部電極L3に電気的に接続されている。第2検知用電極パッド62eは、第2検知部71x,72xの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0060】
以上のような電気的接続により、上部電極L3と下部電極L1との間に駆動電圧が印加された場合に、この印加された上部電極L3と下部電極L1との間に積層された圧電体L2が圧電駆動により屈曲変形する。これにより、この屈曲変形した圧電体L2に応じた支持体B(圧電カンチレバー)が屈曲変形する。
【0061】
また、後述するように、第1支持部4は、伝達された振動による屈曲変形による圧電効果によって第1検知部71y,72yから発生した電圧が、第1検知用電極パッド61eと一方の下部電極パッド61aとの間の電位差として出力される。同様に、この第1支持部4の屈曲変形による圧電効果によって第2検知部71x,72xから発生した電圧が、第2検知用電極パッド62eと一方の下部電極パッド61aとの間の電位差として出力される。
【0062】
一対の下部電極パッド61a,62aと、第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1とは、シリコン基板上の金属薄膜(本実施形態では2層の金属薄膜、以下、下部電極層ともいう)を、半導体プレーナプロセスを用いて形状加工することにより形成される。この金属薄膜の材料としては、例えば、1層目(下層)にはチタン(Ti)、二酸化チタン(TiO2)又は酸化量が調整された酸化チタン(TiOx)が用いられ、2層目(上層)には白金(Pt)、LaNiO3又はSrRuO3が用いられる。
【0063】
この場合、第1圧電カンチレバー31A,32Aの下部電極L1は、当該第1圧電カンチレバー31A,32Aの支持体B上のほぼ全面に形成される。第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの下部電極L1は、当該第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの支持体B上(各圧電カンチレバーが延在する直線部と連結部とを合わせた全体)のほぼ全面に形成される。
【0064】
第1検知部71y,72yの下部電極L1は、第1支持部4の支持体B上の第1検知部71y,72yが配置される部分に形成される。第2検知部71x,72xの下部電極L1は、第1支持部4の支持体B上の第2検知部71x,72xが配置される部分に形成される。また、第2支持部6上においても同様に、下部電極L1、層間絶縁膜M1、上部電極配線W、パッシベーション膜M2が設けられている。
【0065】
そして、下部電極パッド61a,62aは、第2支持部6上及び第1支持部4上に形成された下部電極L1を介して、第1圧電カンチレバー31A,32Aの下部電極L1、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの下部電極L1、第1検知部71y,72yの下部電極L1、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1に、上述したように導通される。
【0066】
第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの圧電体L2は、半導体プレーナプロセスを用いて、下部電極層上の1層の圧電膜(以下、圧電体層ともいう)を形状加工することにより、それぞれの圧電カンチレバーの下部電極L1上に互いに分離して形成されている。この圧電膜の材料としては、例えば、圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が用いられる。
【0067】
この場合、第1圧電カンチレバー31A,32Aの圧電体L2は、各第1圧電カンチレバー31A,32A毎に下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの圧電体L2は、各第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの延在部分(直線部)において、下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。第1検知部71y,72yの圧電体L2は、各第1検知部71y,72y毎に下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。第2検知部71x,72xの圧電体L2は、各第2検知部71x,72x毎に下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。
【0068】
「第1上部電極パッド61b,62b、奇数用第2上部電極パッド61c,62c、偶数用第2上部電極パッド61d,62d、第1検知用電極パッド61e、及び第2検知用電極パッド62e」と、「第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの上部電極L3」と、これらを導通する上部電極配線Wは、半導体プレーナプロセスを用いて、圧電体層上の金属薄膜(本実施形態では1層の金属薄膜。以下、上部電極層ともいう)を形状加工することにより形成されている。この金属薄膜の材料としては、例えば白金(Pt)、金(Au)、アルミ(Al)、又はアルミ合金(Al合金)等が用いられる。
【0069】
この場合、第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの上部電極L3は、各圧電カンチレバー毎又は各検知部毎の圧電体L2上のほぼ全面に形成されている。
【0070】
そして、第1上部電極パッド61b,62bは、それぞれ、第1圧電カンチレバー31A,32Aの上部電極L3に、第1駆動用上部電極配線Wyを介して、上述したように導通される。また、奇数用第2上部電極パッド61c,62cは、それぞれ、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cの上部電極L3に、第2駆動用奇数上部電極配線Woを介して、上述したように導通される。また、偶数用第2上部電極パッド61d,62dは、それぞれ、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dの上部電極L3に、第2駆動用偶数上部電極配線Weを介して、上述したように導通される。
【0071】
また、第1検知用電極パッド61eは、第1検知部71y,72yの上部電極L3に、第1検知用上部電極配線Wmyを介して、上述したように導通される。また、第2検知用電極パッド62eは、第2検知部71x,72xの上部電極L3に、第2検知用上部電極配線Wmxを介して、上述したように導通される。
【0072】
図3に示されるように、第1駆動用上部電極配線Wy、第2駆動用奇数上部電極配線Wo、第2駆動用偶数上部電極配線We、第1検知用上部電極配線Wmy、及び第2検知用上部電極配線Wmxは、平面的に互いに分離して設けられている。また、上部電極配線Wは、上部電極L3との間に形成された層間絶縁膜M1によって絶縁されており、上部電極配線Wを上部電極L3に導通する場合には、当該上部電極配線Wと当該上部電極L3とを導通可能に層間絶縁膜M1に導通部材(例えば、電極ビア等)が形成される。
【0073】
また、パッシベーション膜M2は、半導体プレーナプロセスを用いて、上部電極配線W上に、当該上部電極配線Wを囲うように形成されている。
【0074】
また、反射面支持体2bと、トーションバー21,22と、支持体Bと、第1支持部4と、第2支持部6とは、複数の層から構成される半導体基板(シリコン基板)を形状加工することにより一体的に形成されている。半導体基板を形状加工する手法としては、フォトリソグラフィ技術やドライエッチング技術等を利用した半導体プレーナプロセス及びMEMSプロセスが用いられる。
【0075】
次に、本実施形態の光偏向器1の作動について説明する。まず、第1圧電アクチュエータ31,32により、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動させる場合について説明する。
【0076】
この場合には、光偏向器1は、第1圧電アクチュエータ31,32に駆動電圧を印加する。具体的には、一方の第1圧電アクチュエータ31では、一方の第1上部電極パッド61bと一方の下部電極パッド61aとの間に第1駆動電圧Vy1を印加して、一方の第1圧電カンチレバー31Aを駆動させる。また、他方の第1圧電アクチュエータ32では、他方の第1上部電極パッド62bと他方の下部電極パッド62aとの間に第2駆動電圧Vy2を印加して、他方の第1圧電カンチレバー32Aを駆動させる。ここで、第1駆動電圧Vy1と第2駆動電圧Vy2とは、互いに逆位相或いは位相のずれた交流電圧(例えば正弦波、ノコギリ波等)である。以下、第1駆動電圧Vy1、第2駆動電圧Vy2を、共振駆動信号(アナログ信号)とも呼ぶ。
【0077】
このとき、第1駆動電圧Vy1及び第2駆動電圧Vy2の揺動用の電圧成分は、第1圧電アクチュエータ31,32の垂直方向(
図2の上方向U及びその反対の方向である下方向)について、一方の第1圧電カンチレバー31Aと他方の第1圧電カンチレバー32Aとの角度変位が逆方向に発生するように印加する。
【0078】
例えば、第1軸Y周りに揺動するときに、一方の第1圧電アクチュエータ31の先端部を上方向に変位させる場合には、一方の第1圧電カンチレバー31Aを上方向に変位させる。一方の第1圧電アクチュエータ31の先端部を下方向に変位させるには、一方の第1圧電カンチレバー31Aを下方向に変位させる。
【0079】
また、他方の第1圧電アクチュエータ32についても一方の第1圧電アクチュエータ31と同様に、他方の第1圧電アクチュエータ32の先端部を上方向に変位させる場合には、他方の第1圧電カンチレバー32Aを上方向に変位させる。他方の第1圧電アクチュエータ32の先端部を下方向に変位させるには、他方の第1圧電カンチレバー32Aを下方向に変位させる。
【0080】
本実施形態の光偏向器1では、「一方の第1圧電アクチュエータ31の先端部を上方向に変位させると共に、他方の第1圧電アクチュエータ32の先端部を下方向に変位させること」か、又は「一方の第1圧電アクチュエータ31の先端部を下方向に変位させると共に、他方の第1圧電アクチュエータ32の先端部を上方向に変位させること」で、第1軸Y周りで揺動するとき、大きな偏向角を得ている。このように、本実施形態では、ミラー部2を第1軸Y周りに揺動することができ、所定の第1周波数Fyで所定の第1偏向角の光走査をすることができる。
【0081】
次に、第2圧電アクチュエータ51,52により、第1支持部4を第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動させる場合について説明する。
【0082】
この場合には、光偏向器1は、第2圧電アクチュエータ51,52に駆動電圧を印加する。具体的には、一方の第2圧電アクチュエータ51では、一方の奇数用第2上部電極パッド61cと一方の下部電極パッド61aとの間に第3駆動電圧Vx1を印加して、一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cを駆動させる。これと共に、一方の第2圧電アクチュエータ51では、一方の偶数用第2上部電極パッド61dと一方の下部電極パッド61aとの間に第4駆動電圧Vx2を印加して、一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dを駆動させる。
【0083】
更に、他方の第2圧電アクチュエータ52では、他方の奇数用第2上部電極パッド62cと他方の下部電極パッド62aとの間に第3駆動電圧Vx1を印加して、他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cを駆動させる。これと共に、他方の第2圧電アクチュエータ52では、他方の偶数用第2上部電極パッド62dと他方の下部電極パッド62aとの間に第4駆動電圧Vx2を印加して、他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dを駆動させる。
【0084】
ここで、第3駆動電圧Vx1と第4駆動電圧Vx2は、互いに逆位相の交流電圧(例えば正弦波、ノコギリ波等)である。なお、第3駆動電圧Vx1と第4駆動電圧Vx2は、互いに位相のずれた交流電圧(例えば正弦波、ノコギリ波等)であってもよい。以下、第3駆動電圧Vx1、第4駆動電圧Vx2を、非共振駆動信号(アナログ信号)とも呼ぶ。映像投影装置10により投影される映像の画角及び偏向方向は非共振駆動信号の振幅及びオフセット量を変更することで可変できる。これにより、揺動の角度やオフセットされる角度を制御することができる。
【0085】
このとき、第3駆動電圧Vx1及び第4駆動電圧Vx2の揺動用の電圧成分は、第2圧電アクチュエータ51,52の垂直方向(
図2の上方向U及びその反対の方向である下方向)について、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cと偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dとの角度変位が、逆方向に発生するように設定される。
【0086】
例えば、第2軸X周りに揺動するとき、第2圧電アクチュエータ51,52の先端部を上方向(
図2に示す方向U)に変位させる場合には、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cを上方向に変位させ、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dを下方向に変位させる。第2圧電アクチュエータ51,52の先端部を下方向に変位させるには、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cを下方向に変位させ、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dを上方向に変位させる。
【0087】
これにより、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cと、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dとが、互いに逆方向に屈曲変形する。
【0088】
図4は、光偏向器1の一方の第2圧電アクチュエータ51の作動を示す図である。
図4(a)は一方の第2圧電アクチュエータ51が作動していない状態を示し、
図4(b)は一方の第2圧電アクチュエータ51が作動している状態を示す。
【0089】
図4(b)に示されるように、4番目の一方の第2圧電カンチレバー51Dは、第2支持部6と連結した基端部を支点として、その先端部に下方向の角度変位が発生している。3番目の一方の第2圧電カンチレバー51Cは、4番目の一方の第2圧電カンチレバー51Dの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部に上方向の角度変位が発生している。
【0090】
2番目の一方の第2圧電カンチレバー51Bは、3番目の一方の第2圧電カンチレバー51Cの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部に下方向の角度変位が発生している。1番目の一方の第2圧電カンチレバー51Aは、2番目の一方の第2圧電カンチレバー51Bの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部(第1支持部4と連結している)に上方向の角度変位が発生している。これにより、一方の第2圧電アクチュエータ51では、各一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dの屈曲変形の大きさを加算した大きさの角度変位が発生する。
【0091】
従って、第1支持部4を第2軸X周りに揺動することができ、所定の第2周波数Fxで所定の第2偏向角の光走査をすることができる。このとき、これらの第2圧電アクチュエータ51,52では、駆動電圧として第2圧電アクチュエータ51,52を含む第1支持部4の機械的な共振周波数付近の周波数の交流電圧を印加して共振駆動させることで、より大きな偏向角で光走査することができる。
【0092】
また、第1支持部4を第2軸X周りに揺動する場合には、上述したように交流電圧を印加する必要はなく、直流電圧を印加してもよい。この場合、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dで発生する屈曲変形の大きさは、直流電圧の大きさに応じて線形的に変化する。従って、例えば交流電圧を印加して圧電カンチレバーを共振駆動させる場合と異なり、直流電圧の大きさを制御することで第2圧電アクチュエータ51,52から任意の出力を得ることができる。
【0093】
このように、光偏向器1では、第2軸X周りに揺動する場合には、駆動電圧として印加した直流電圧の大きさに応じて線形的に偏向角を制御することができるので、任意の速度で任意の偏向角を得ることができる。
【0094】
また、第2圧電アクチュエータ51,52は、それぞれがミアンダ形状(又は蛇腹形状)に形成されている。これによって、各圧電カンチレバーの屈曲変形が累積されるように形成されている。このため、第2圧電アクチュエータ51,52は、第1圧電アクチュエータ31,32に比べて大きな偏向角を得やすい。
【0095】
このため、本実施形態では、第1圧電アクチュエータ31,32によって揺動する場合には、なるべく大きな偏向角を得るために、第1圧電アクチュエータ31,32の上方向又は下方向の変位を変化させる周波数、すなわち第1周波数Fyが、光偏向器1(特に、圧電カンチレバー等)の構造や材料等によって決定される共振周波数になるように設定している。
【0096】
また、第2圧電アクチュエータ51,52は、ミアンダ形状(又は蛇腹形状)に形成されており、第1圧電アクチュエータ31,32に比べて揺動しやすい。このため、第2周波数Fxは、第1周波数Fyに比べて充分に低く設定されている。本実施形態では、例えば、第1周波数Fyを30kHz、第2周波数Fxを60Hzに設定している。
【0097】
図5は、光偏向器1(第1圧電アクチュエータ31,32)に印加される共振駆動信号、光偏向器1(第1検知部71y,72y)から出力される共振センサ信号等の一例である。
【0098】
共振駆動信号(
図5参照)が光偏向器1(第1圧電アクチュエータ31,32)に印加されることにより、MEMSミラー(ミラー部2)が鉛直軸を中心に揺動する。このMEMSミラー(ミラー部2)の揺動(振れ角)に応じた共振センサ信号(
図5参照)が光偏向器1(第1検知部71y,72y)から出力される。
【0099】
図6は、光偏向器1が走査(ラスタースキャン)するレーザー光Rayにより、スクリーンSに映像pを描画している様子を表す図である。
【0100】
以上のように、ミラー部2が第1支持部4に対して第1軸Yを中心に揺動することにより、
図6に示すように、ミラー部2に入射する半導体光源12からのレーザー光Rayが第1方向(例えば水平方向)に走査される。
【0101】
また、ミラー部2が第2支持部6に対して第2軸Xを中心に揺動することにより、
図6に示すように、ミラー部2に入射する半導体光源12からのレーザー光Rayが第2方向(例えば垂直方向)に走査される。
【0102】
以上のように、光偏向器1が走査するレーザー光Rayにより、スクリーンSに映像pが描画(投影)される。
【0103】
次に、制御装置20について説明する。
【0104】
図1に示すように、制御装置20は、システム制御部130、光源駆動部40、共振センサ信号処理部50、共振駆動信号生成部60、非共振駆動信号生成部70を備えている。
【0105】
光源駆動部40は、システム制御部130から送信される画像データを光源駆動用の駆動信号(アナログ信号)に変換(D/A変換)し、この変換後の駆動信号を半導体光源12に印加する。これにより、半導体光源12が、光源駆動部40から印加される制御信号に従い発光する。
【0106】
共振駆動信号生成部60は、主に、D/Aコンバータ、このD/Aコンバータの出力をMEMSミラー(ミラー部2)の駆動電圧レベルまで増幅させるオペアンプ (増幅器)から構成される。以下、共振駆動信号生成部60については、便宜上、D/Aコンバータの機能を中心に説明する。共振駆動信号生成部60は、システム制御部130が出力する共振駆動信号データ(デジタル信号)を共振駆動信号(アナログ信号)に変換(D/A変換)し、この変換後の共振駆動信号(
図5参照)を光偏向器1(第1圧電アクチュエータ31,32)に印加する。これにより、MEMSミラー(ミラー部2)が鉛直軸を中心に揺動する。このMEMSミラー(ミラー部2)の揺動(振れ角)に応じて、光偏向器1(第1検知部71y,72y)は、共振センサ信号(
図5参照)を出力する。
【0107】
共振センサ信号処理部50は、主に、A/Dコンバータ、このA/Dコンバータに対して適切な入力レベルへ増幅させるオペアンプ (増幅器)から構成される。以下、共振センサ信号処理部50については、便宜上、A/Dコンバータの機能を中心に説明する。以下、共振センサ信号処理部50をA/Dコンバータ50と呼ぶ。A/Dコンバータ50は、システム制御部130が出力するデータ取得要求(
図5(a)参照)を受信するごとに、光偏向器1(第1検知部71y,72y)が出力する共振センサ信号を共振センサ信号データ(
図5(h)参照)にA/D変換する機能、及びA/D変換が完了するごとに、データ取得完了(
図5(e)参照)及びA/D変換後の共振センサ信号データ(
図5(h)参照)を出力する機能を有する。
【0108】
図5(a)は、システム制御部130が出力するデータ取得要求の一例である。システム制御部130は、このデータ取得要求を出力する(
図1参照)。A/Dコンバータ50は、システム制御部130が出力したデータ取得要求の立ち上がりを検出してA/D変換動作を開始する。
【0109】
図5(h)は、A/Dコンバータ50が出力する共振センサ信号データ(A/D変換結果)の一例である。
図5(h)中、最初(左端)のA/D変換結果は、時刻t1に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じてA/D変換された共振センサ信号データを表す。次のA/D変換結果は、時刻t2に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じてA/D変換された共振センサ信号データを表す。それ以降のA/D変換結果についても同様である。
図5(e)は、A/Dコンバータ50が出力するデータ取得完了の一例である。A/Dコンバータ50は、A/D変換を完了後、このデータ取得完了をシステム制御部130へ出力する(
図1参照)。システム制御部130は、A/Dコンバータ50が出力したデータ取得完了の立ち上がりを検出して、A/Dコンバータ50が出力しているA/D変換データを共振センサ信号データとして保持する。
【0110】
次に、A/Dコンバータ50の動作例について説明する。
【0111】
図10は、A/Dコンバータ50の動作例のフローチャートである。
【0112】
図10に示すように、A/Dコンバータ50は、システム制御部130が出力するデータ取得要求(
図5(a)参照)を受信すると(ステップS1:YES)、光偏向器1(第1検知部71y,72y)が出力する共振センサ信号を共振センサ信号データ(
図5(h)参照)にA/D変換する(ステップS2)。
【0113】
次に、A/Dコンバータ50は、A/D変換を完了後、データ取得完了(
図5(e)参照)をシステム制御部130へ出力する(ステップS3)。システム制御部130は、データ取得完了の立ち上がりを検出して、A/Dコンバータ50が出力しているA/D変換データを共振センサ信号データとして保持する。
【0114】
非共振駆動信号生成部70は、D/Aコンバータである。非共振駆動信号生成部70は、システム制御部130が出力する非共振駆動信号データ(デジタル信号)を非共振駆動信号(アナログ信号)に変換(D/A変換)し、この変換後の非共振駆動信号を光偏向器1(第2圧電アクチュエータ51,52)に印加する。これにより、MEMSミラー(ミラー部2)が水平軸を中心に揺動する。
【0115】
次に、システム制御部130について説明する。
【0116】
【0117】
図7に示すように、システム制御部130は、全体制御ブロック136、画像処理ブロック131、光源駆動制御ブロック132、共振センサ信号データ処理ブロック133、共振駆動信号データ処理ブロック134、非共振駆動信号データ処理ブロック135を備えている。
【0118】
図8は、全体制御ブロック136及び共振センサ信号データ処理ブロック133の構成図である。
【0119】
図8に示すように、全体制御ブロック136は、コントローラ136a、レジスタ136b、異常信号生成部136c、設定値変更検出部136dを備えている。
【0120】
コントローラ136aは、FPGA等の論理回路、又はコントローラの機能を有するCPUである。
【0121】
レジスタ136bは、他の制御ブロックからの制御信号や異常信号を受信し、値を保持する。また、レジスタ136bは、他の制御ブロックが使用するパラメータ等を保持する。
【0122】
異常信号生成部136cは、共振センサ信号異常判定部133dが出力する共振センサ信号異常信号を受信した場合、電源遮断を行うための異常信号を生成し出力する。
【0123】
設定値変更検出部136dは、共振駆動信号の振幅、非共振駆動信号の振幅・オフセットが変更された場合、共振駆動信号振幅の変更通知・変更完了通知、又は非共振駆動信号振幅・オフセットの変更通知・変更完了通知を生成し出力する。
【0124】
画像処理ブロック131は、システム外部(例えば、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置)から入力された映像信号とMEMSミラー(ミラー部2)の走査位置情報をもとに、画像データを生成する。
【0125】
光源駆動制御ブロック132は、画像処理ブロック131により生成された画像データを光源駆動部40へ出力するためのI/F制御(例えば、動作タイミング変換、データ変換)を行う。
【0126】
共振センサ信号データ処理ブロック133は、共振センサ信号データを取得するためのI/F制御(例えば、データ取得要求)を行う。
【0127】
図8に示すように、共振センサ信号データ処理ブロック133は、データ取得タイミング生成部133a、直交検波部133b、振幅異常判定部133c、共振センサ信号異常判定部133dを備えている。
【0128】
データ取得タイミング生成部133aは、A/D変換I/Fである。データ取得タイミング生成部133aは、共振センサデータを取得するためのI/F制御(A/D変換要求、データ取得)を行う。
【0129】
例えば、データ取得タイミング生成部133aは、一定周期(時間Δt)ごとにデータ取得要求(
図5(a)参照)を出力する。
【0130】
また、データ取得タイミング生成部133aは、A/Dコンバータ50が出力するデータ取得完了(
図5(e)参照)及びA/D変換後の共振センサ信号データ(
図5(h)参照)を受信するごとに、この受信した共振センサ信号データを全体制御ブロック136のレジスタ136bに格納する。
【0131】
直交検波部133bは、A/Dコンバータ50が出力する共振センサ信号データ及び共振駆動信号データ処理ブロック134が出力する共振駆動信号データ(SIN・COS)に基づき直交検波を行うことにより、共振センサ信号の振幅A及び共振駆動信号と共振センサ信号の位相差φを取得する。例えば、振幅A及び位相差φは、データ取得要求(
図5(a)参照)に応じて出力された共振センサ信号データ(A/D変換結果。
図5(h)参照)及びその際の共振駆動信号の位相に対応した共振駆動信号データ(SIN・COS)に基づき畳み込み積分を行うことにより取得される。
【0132】
図5(f)は、直交検波部133bにより取得された共振センサ信号の振幅Aの一例である。
図5(f)中、最初(左端)のAは、時刻t1に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じて直交検波部133bにより取得された共振センサ信号の振幅を表す。次のAは、時刻t2に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じて直交検波部133bにより取得された共振センサ信号の振幅を表す。それ以降のAについても同様である。
【0133】
図5(g)は、直交検波部133bにより取得された共振駆動信号と共振センサ信号の位相差φの一例である。
図5(g)中、最初(左端)のφは、時刻t1に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じて直交検波部133bにより取得された位相差を表す。次のφは、時刻t2に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じて直交検波部133bにより取得された位相差を表す。それ以降のφについても同様である。
【0134】
また、直交検波部133bは、MEMSミラー(ミラー部2)の共振状態を判定する。MEMSミラー(ミラー部2)の共振状態は、例えば、直交検波により算出した共振センサ信号の振幅値の変化や経過時間から安定しているかを判定することにより判定することができる。この判定されたMEMSミラー(ミラー部2)の共振状態は、全体制御ブロック136のレジスタ136bに格納される。
【0135】
振幅異常判定部133cは、共振センサ信号の振幅Aが想定している一定の値より小さい場合は異常を検出し、共振センサ信号振幅異常信号を出力する。一定の値はデバイスの特性により決定される。また、値は全体制御ブロック136内のレジスタ136b(共振センサ信号振幅しきい値)で設定する。ただし、振幅がその値を超えていれば異常を検出することができない。異常判定は共振駆動が安定している状態(共振状態)で行う。共振状態は、直交検波により算出した共振センサ信号の振幅Aの変化や経過時間から安定しているかを判定する。
【0136】
次に、共振センサ信号異常判定部133dについて説明する。
【0137】
図9は、共振センサ信号異常判定部133dの構成図である。
【0138】
図9に示すように、共振センサ信号異常判定部133dは、位相変化量算出部133d1、共振時データ取得部133d2、共振センサ信号予測位相算出部133d3、共振センサ信号予測データ算出部133d4、共振センサ信号異常判定部133d5を備えている。
【0139】
主に、データ取得タイミング生成部133a、位相変化量算出部133d1、共振センサ信号予測位相算出部133d3、共振センサ信号予測データ算出部133d4、共振センサ信号異常判定部133d5、及び共振センサ信号処理部50が、異常検出装置100を構成している。
【0140】
位相変化量算出部133d1は、データ取得要求を受信するごとに、光偏向器1(第1圧電アクチュエータ31,32)に印加される共振駆動信号の位相(今回の位相)と光偏向器1(第1圧電アクチュエータ31,32)に直前に印加された共振駆動信号の位相(前回の位相)との差分である位相変化量(データ取得1周期あたりの位相変化量)を算出する。
【0141】
図5(b)は、共振駆動信号の位相の一例である。
図5(b)中、最初(左端)のθは、時刻t1に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じて取得された位相を表す。次のθ+Δθは、時刻t2に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じて取得された位相を表す。それ以降のθ+2Δθ等についても同様である。
【0142】
図5(c)は、位相変化量(データ取得1周期あたりの位相変化量)の一例である。
図5(c)中、最初(左端)のΔθは、時刻t1に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じて算出された位相変化量を表す。次のΔθは、時刻t2に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じて算出された位相変化量を表す。それ以降のΔθについても同様である。
【0143】
共振時データ取得部133d2は、MEMSミラー(ミラー部2)が共振状態である場合(共振状態に移行した場合)、位相変化量算出部133d1が出力する共振センサ信号の振幅A及び共振駆動信号と共振センサ信号の位相差φ、共振駆動信号データ処理ブロック134が出力する共振駆動信号の位相θ、位相変化量算出部133d1が出力する位相変化量を取得し保持する。なお、MEMSミラー(ミラー部2)が共振状態か否かは、全体制御ブロック136のレジスタ136b(共振状態)を参照することにより判定できる。
【0144】
共振時データ取得部133d2は、全体制御ブロック136の設定値変更検出部136dが共振駆動信号振幅の変更通知・変更完了通知又は非共振駆動信号振幅・オフセットの変更通知・変更完了通知を出力した場合、再度、位相変化量算出部133d1が出力する共振センサ信号の振幅A及び共振駆動信号と共振センサ信号の位相差φ、共振駆動信号データ処理ブロック134が出力する共振駆動信号の位相θ、位相変化量算出部133d1が出力する位相変化量を取得し保持する。
【0145】
共振センサ信号予測位相算出部133d3は、MEMSミラー(ミラー部2)が共振状態である場合、データ取得完了を受信するごとに、位相変化量(
図5(c)参照)等に基づき、共振センサ信号の予測位相(θ+Δθ)+φを算出(予測)する。なお、共振センサ信号予測位相算出部133d3は、データ取得完了を受信するごとに、位相変化量Δθを加算する(
図5(b)参照)。
【0146】
図5(d)において、最初(左端)のA×sin((θ+Δθ)+φ)+B中の「(θ+Δθ)+φ」は、時刻t1に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じて算出された予測位相を表す。次のA×sin((θ+2Δθ)+φ)+B中の「(θ+2Δθ)+φ」は、時刻t2に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じて算出された予測位相を表す。それ以降のA×sin((θ+3Δθ)+φ)+Bについても同様である。
【0147】
共振センサ信号予測データ算出部133d4は、データ取得完了を受信するごとに、予測位相等に基づき、共振センサ信号の予測データ(信号強度)、すなわち、A×sin((θ+Δθ)+φ)+Bを算出(予測)する。なお、Bは、A/D変換向けのオフセット補正値(DC成分。A/Dコンバータオフセット補正値)で、全体制御ブロック136のレジスタ136bに格納されている。Bは、A/Dコンバータ50の性能等を考慮して設定される。
図5(i)は、オフセット補正値Bの一例である。
【0148】
図5(d)は、予測データの一例である。
図5(d)中、最初(左端)のA×sin((θ+Δθ)+φ)+Bは、時刻t1に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じて算出された予測データを表す。次のA×sin((θ+2Δθ)+φ)+Bは、時刻t2に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じて予測された予測データを表す。それ以降のA×sin((θ+3Δθ)+φ)+Bについても同様である。
【0149】
共振センサ信号異常判定部133d5は、光偏向器1(第1検知部71y,72y)が出力する共振センサ信号(
図5参照)の異常を検出(判定)する信号異常判定処理を実行する。
【0150】
ここで、共振センサ信号の異常を検出する原理について
図5を参照しながら説明する。
【0151】
以下、前提として、共振駆動信号が光偏向器1(第1圧電アクチュエータ31,32)に印加されることにより、MEMSミラー(ミラー部2)が鉛直軸を中心に揺動しているものとする。また、このMEMSミラー(ミラー部2)の揺動(振れ角)に応じて、光偏向器1(第1検知部71y,72y)が、共振センサ信号を出力しているものとする。なお、MEMSミラー(ミラー部2)は、非共振状態ではなく共振状態であるものとする。
【0152】
MEMSミラー(ミラー部2)が共振状態である場合、データ取得1周期あたりの位相変化量Δθ(
図5(c)参照)、共振駆動信号と共振センサ信号の位相差φ(
図5(g)参照)、共振センサ信号の振幅A(
図5(f)参照)は、安定する。そのため、共振センサ信号が正常である場合、予測した共振センサ信号(信号強度)と実際に取得した共振センサ信号(信号強度)とを比較すると、両者は一致(概ね一致)するはずである。
【0153】
この特性を活かし、共振センサ信号異常判定部133d5は、MEMSミラー(ミラー部2)が共振状態である場合、共振センサ信号の予測データ(信号強度)と実際の共振センサ信号データ(信号強度)とを比較し、その比較の結果に基づき、光偏向器1(第1検知部71y,72y)が出力する共振センサ信号(
図5参照)の異常を検出(判定)する信号異常判定処理を実行する。
【0154】
例えば、
図5中、時刻t2に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じてデータ取得完了が出力された場合、共振センサ信号異常判定部133d5は、時刻t2に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じて算出された予測データA×sin((θ+Δθ)+φ)+Bと、時刻t2に出力されたデータ取得要求(
図5(a)参照)に応じて実際に取得された共振センサ信号データ(A/D変換結果。
図5(h)参照)と、を比較する。
【0155】
その結果、共振センサ信号異常判定部133d5は、共振センサ信号の予測データ(
図5(d)参照)と実際の共振センサ信号データ(
図5(h)参照)との差分がしきい値を超えた場合、共振センサ信号の異常を検出する。このしきい値は、共振センサ信号異常判定許容誤差(A/Dコンバータの誤差を考慮したしきい値)としてレジスタ136bに格納されている。
【0156】
なお、共振センサ信号の予測データ(
図5(d)参照)と実際の共振センサ信号データ(
図5(h)参照)との差分がしきい値を超えた回数をカウントし、この回数がしきい値を超えた場合、共振センサ信号の異常を検出してもよい。このしきい値は、共振センサ信号異常判定検出回数(一時的なノイズを考慮した検出回数)としてレジスタ136bに格納されている。
【0157】
共振センサ信号異常判定部133d5は、共振センサ信号の異常を検出した場合、共振センサ信号異常信号を出力する。この共振センサ信号異常信号は、共振センサ信号異常としてレジスタ136bに格納される。この共振センサ信号異常信号に応じて、例えば、異常信号生成部136cは、電源遮断を行うための異常信号を生成し出力する。これにより、光偏向器1やA/Dコンバータ50の故障が発生した場合の異常動作に対して即時対応が可能となる。
【0158】
次に、共振センサ信号データ処理ブロック133の動作例について説明する。
【0159】
図11は、共振センサ信号データ処理ブロック133の動作例のフローチャートである。
【0160】
図11に示すように、まず、データ取得要求(
図5(a)参照)を出力する(ステップS10)。これは、データ取得タイミング生成部133aが実行する。
【0161】
次に、データを取得する(ステップS11)。具体的には、共振駆動信号データ処理ブロック134が出力する共振駆動信号データ(SIN・COS)及び共振駆動信号の位相θを取得する。
【0162】
次に、データ取得1周期あたりの位相変化量Δθを算出する(ステップS12)。これは、位相変化量算出部133d1が実行する。
【0163】
次に、データ取得完了を受信した場合(ステップS13:YES)、センサ信号データ(
図5(h)参照)を取得する(ステップS14)。
【0164】
次に、直交検波実施により共振センサ信号の振幅A、位相差φを取得する(ステップS15)。これは、直交検波部133bが実行する。
【0165】
直交検波を実施する理由は次のとおりである。すなわち、MEMSミラー(ミラー部2)が共振状態である場合、位相差φの値は理論上90°を示す。(光偏向器1の入出力信号で見た場合)。ただし、光偏向器1が共振センサ信号を出力し、A/D変換によりシステム制御部130で実際に取得したデータ値から位相差を算出すると90°とはならない。これは、データ値を取得するまでにボード特性等による要因で遅延が発生するためである。この遅延を考慮するため、位相差φは90°ではなく直交検波により実際に取得した値を使用する。
【0166】
次に、MEMSミラー(ミラー部2)の共振状態を判定する(ステップS16)。これは、直交検波部133bが実行する。この判定されたMEMSミラー(ミラー部2)の共振状態は、全体制御ブロック136のレジスタ136bに格納される。
【0167】
以上のステップS10~S15の処理はデータ取得要求を出力するごとに繰り返し実行される。
【0168】
次に、共振センサ信号異常判定部133dの動作例について説明する。
【0169】
図12は、共振センサ信号異常判定部133dの動作例のフローチャートである。
【0170】
図12に示すように、まず、MEMSミラー(ミラー部2)が共振状態か否かを判定する(ステップS20)。共振状態か否かは、全体制御ブロック136のレジスタ136bを参照することにより判定することができる。
【0171】
次に、MEMSミラー(ミラー部2)が共振状態であると判定された場合(ステップS20:YES)、共振状態に移行したときのデータを取得する(ステップS21)。具体的には、共振駆動信号の位相θ、位相変化量Δθ、共振センサ信号の振幅A、位相差φを所得する。
【0172】
次に、駆動信号の振幅・オフセット設定に変更があったか否かを判定する(ステップS22)。例えば、全体制御ブロック136の設定値変更検出部136dが共振駆動信号振幅の変更通知・変更完了通知又は非共振駆動信号振幅・オフセットの変更通知・変更完了通知を出力した場合、駆動信号の振幅・オフセット設定に変更があったと判定される。
【0173】
その結果、ステップS22において駆動信号の振幅・オフセット設定に変更があると判定された場合(ステップS22:YES)、ステップS21の処理が再度実行される。
【0174】
一方、ステップS22において駆動信号の振幅・オフセット設定に変更がないと判定された場合(ステップS22:NO)、共振センサ信号の予測データを算出する(ステップS23)。これは、共振センサ信号予測データ算出部133d4が実行する。
【0175】
次に、データ取得完了を受信した場合(ステップS24:YES)、共振センサ信号の異常判定(一致比較)を行う(ステップS25)。これは、共振センサ信号異常判定部133d5が実行する。
【0176】
次に、判定結果が想定内か否かを判定する(ステップS26)。例えば、共振センサ信号の予測データ(
図5(d)参照)と実際の共振センサ信号データ(
図5(h)参照)との差分がしきい値を超えたか以下かを判定する。その結果、共振センサ信号の予測データ(
図5(d)参照)と実際の共振センサ信号データ(
図5(h)参照)との差分がしきい値(共振センサ信号異常判定許容誤差)を超えたと判定された場合(ステップS26:NO)、共振センサ信号の異常を検出する(ステップS27)。これは、共振センサ信号異常判定部133d5が実行する。共振センサ信号異常判定部133d5は、共振センサ信号の異常を検出した場合、共振センサ信号異常信号を出力する。この共振センサ信号異常信号に応じて、例えば、異常信号生成部136cは、電源遮断を行うための異常信号を生成し出力する。これにより、光偏向器1やA/Dコンバータ50の故障が発生した場合の異常動作に対して即時対応が可能となる。
【0177】
以上説明したように、本実施形態によれば、振幅(位相差)が許容範囲内か否かを判定することなく、共振センサ信号(光偏向器がミラー部の揺動に応じて出力する共振センサ信号)の異常を検出できる。
【0178】
また、本実施形態によれば、共振センサ信号の異常を検出することにより、光偏向器1やA/Dコンバータ50の故障が発生した場合の異常動作に対して即時対応が可能となる。
【0179】
また、本実施形態によれば、共振センサ信号の異常を即時に検出できる。
【0180】
また、本実施形態によれば、故障による異常を検出する方法として一般的に用いられている回路の2重化と比較して非常に少ない回路規模増加により、共振センサ信号(光偏向器がミラー部の揺動に応じて出力する共振センサ信号)の異常を検出できる。
【0181】
また、本実施形態によれば、定期的なソフトウエアによる診断(ソフトウエア負荷)は不要である。また、本実施形態によれば、定期的なソフトウエアによる診断が不要であるため、アプリケーションのパフォーマンスは低下しない。
【0182】
次に、変形例として、共振駆動信号の周波数にフィードバック制御を行う例について説明する。
【0183】
共振駆動信号の周波数にフィードバック制御を行う技術的意義は次のとおりである。すなわち、共振センサ信号データ処理ブロック133によりMEMSミラー(ミラー部2)が共振状態と判断した後、動作温度などの外部要因によりMEMSミラー(ミラー部2)の共振周波数がわずかに変動してしまうことが考えられる。
【0184】
共振駆動信号の周波数にフィードバック制御においては、この現象を考慮し、共振状態と判断後も共振駆動信号と共振センサ信号の状態を監視して共振周波数の微調整を行う。
【0185】
図13は、共振駆動信号の周波数にフィードバック制御を行う動作例のフローチャートである。
【0186】
図13は、
図11に示すフローチャートにステップS17~S19を追加したものに相当する。以下、
図11との相違点であるステップS17~S19を中心に説明する。
【0187】
図13に示すように、ステップS16に引き続き、MEMSミラー(ミラー部2)が共振状態か否かを判定する(ステップS20)。共振状態か否かは、全体制御ブロック136のレジスタ136bを参照することにより判定することができる。
【0188】
次に、ステップS17において共振状態であると判定された場合(ステップS18)、過去に取得された位相差φ(複数)の平均値である平均位相差を算出する(ステップS18)。このステップS18が本開示の平均位相算出部の一例である。
【0189】
次に、共振周波数のフィードバックを行う(ステップS19)。具体的には、位相差(例えば、今回取得された位相差)と平均位相差(過去に取得された複数の位相差の平均値)との差分を算出する。これは、本開示の位相差分算出部の一例である。そして、位相差(例えば、今回取得された位相差)と平均位相差(過去に取得された複数の位相差の平均値)との差分が小さくなるように共振駆動信号の周波数を増減する。これは、本開示の共振駆動信号周波数制御部の一例である。
【0190】
図14は、共振駆動信号の周波数にフィードバック制御を行う動作例のフローチャートである。
【0191】
図14は、
図12に示すフローチャートにステップS22Aを追加したものに相当する。以下、
図12との相違点であるステップS22Aを中心に説明する。
【0192】
図14に示すように、ステップS22:NOに引き続き、共振状態に移行したときの位相差と現在の位相差の差分が規定範囲内か否かを判定する(ステップS22A)。
【0193】
その結果、ステップS22Aにおいて規定範囲内でないと判定された場合(ステップS22A:NO)、ステップS21、S22の処理が再度実行される。
【0194】
一方、ステップS22Aにおいて規定範囲外であると判定された場合、ステップS23以降の処理が実行される。
【0195】
本変形例によれば、上記実施形態の効果に加え、さらに、共振状態と判断後も共振駆動信号と共振センサ信号の状態を監視して共振周波数の微調整を行うことができる。これにより、共振センサ信号データ処理ブロック133によりMEMSミラー(ミラー部2)が共振状態と判断した後、動作温度などの外部要因によりMEMSミラー(ミラー部2)の共振周波数がわずかに変動した場合であっても、共振センサ信号の異常を検出することができる。
【0196】
なお、本変形例のように共振駆動信号の周波数にフィードバック制御を行う場合、(1)フィードバック制御により変動した位相差と、(2)共振センサ異常検出ブロックで共振状態と判断したときに取得した位相差φの値でずれが発生する。これは、次の方法で対処可能である。第1に、A/Dコンバータ50の誤差等を考慮したレジスタ:36(共振センサ信号異常判定許容誤差)に位相差のずれを考慮した値を設定する。第2に、フィードバック制御により変動した位相差と最初に共振状態と判断したときに取得した位相差の差分が、規定した値を超えたとき、異常検出に使用する位相差の再取得を行う。なお、規定した値は定数またはレジスタ136bによる設定などにより決定する。
【0197】
また、上記実施形態では、光偏向器1として、1軸非共振・1軸共振タイプの光偏向器を用いた例について説明したが、これに限らない。すなわち、ミラー部と、前記ミラー部を支持する支持部と、共振制御信号が印加されることによりミラー部を支持部に対して揺動軸周りに揺動させる少なくとも1つのアクチュエータと、ミラー部の揺動に応じて共振センサ信号を出力するセンサ部と、を備えた光偏向器であれば、どのような構成の光偏向器であってもよい。
【0198】
なお、上記実施形態では、本発明の異常検出装置を映像投影装置10に適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、本発明の異常検出装置をMEMS販促キット (有償のエンジニアリングサンプル)、MEMS標準キットその他に適用してもよい。
【0199】
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0200】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本開示は限定的に解釈されるものではない。本開示はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0201】
1…光偏向器、2…ミラー部、2a…反射面、2b…反射面支持体、4…第1支持部、6…第2支持部、10…光偏向器駆動システム、12…光源、14…集光レンズ、18…補正ミラー、20…制御装置、21、22…トーションバー、23…投影レンズ、31…第1圧電アクチュエータ、31A…第1圧電カンチレバー、32…第1圧電アクチュエータ、32A…第1圧電カンチレバー、40…光源駆動部、50…共振センサ信号処理部(A/Dコンバータ)、51…第2圧電アクチュエータ、51A…第2圧電カンチレバー、51B…第2圧電カンチレバー、51C…第2圧電カンチレバー、51D…第2圧電カンチレバー、52…第2圧電アクチュエータ、52A…第2圧電カンチレバー、52B…第2圧電カンチレバー、52C…第2圧電カンチレバー、52D…第2圧電カンチレバー、60…共振駆動信号生成部、61a…下部電極パッド、61b…第1上部電極パッド、61c…奇数用第2上部電極パッド、61d…偶数用第2上部電極パッド、61e…第1検知用電極パッド、62a…下部電極パッド、62b…第1上部電極パッド、62c…奇数用第2上部電極パッド、62d…偶数用第2上部電極パッド、62e…第2検知用電極パッド、71x…第2検知部、71y…第1検知部、72x…第2検知部、72y…第1検知部、100…異常検出装置、130…システム制御部、131…画像処理ブロック、132…光源駆動制御ブロック、133…共振センサ信号データ処理ブロック、133a…データ取得タイミング生成部、133b…直交検波部、133c…振幅異常判定部、133d…共振センサ信号異常判定部、133d1…位相変化量算出部、133d2…共振時データ取得部、133d3…共振センサ信号予測位相算出部、133d4…共振センサ信号予測データ算出部、133d5…共振センサ信号異常判定部、134…共振駆動信号データ処理ブロック、135…非共振駆動信号データ処理ブロック、136…全体制御ブロック、136a…コントローラ、136b…レジスタ、136c…異常信号生成部、136d…設定値変更検出部、A…振幅、B…オフセット補正値、Ray…レーザー光、S…スクリーン、Δθ…位相変化量、θ…位相、φ…位相差、Fx…第2周波数、Fy…第1周波数、L1…下部電極、L2…圧電体、L3…上部電極、M1…層間絶縁膜、M2…パッシベーション膜