(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160281
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】排水集合継手
(51)【国際特許分類】
E03C 1/12 20060101AFI20231026BHJP
E03C 1/122 20060101ALI20231026BHJP
F16L 55/00 20060101ALI20231026BHJP
F16L 5/00 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
E03C1/12 E
E03C1/122 Z
F16L55/00 G
F16L5/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070522
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】渕上 斉太
【テーマコード(参考)】
2D061
3H025
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AB10
2D061AC07
2D061AC10
3H025BA25
3H025BB02
(57)【要約】
【課題】排水性能が高い集合継手を提供することを目的とする。
【解決手段】建物の最下階に設けられ、建物の上階の排水を流下させる立管と接続可能な上側接続部212と、建物の最下階スラブSの上に配置される横枝管と接続可能な枝管接続部213と、を有する樹脂製の本体部210と、最下階スラブSの下側に配置された横主管に接続される脚部継手と、本体部210と、を繋ぐ樹脂製の接続縦管220と、を備える排水集合継手(集合継手200)であって、本体部210における枝管接続部213の下側には、円筒状の下側接続部211Bが形成され、接続縦管220は、本体部210とは別体であって、接続縦管220の上端部が下側接続部211Bに差し込まれ、接続縦管220の下端部が最下階スラブSに形成された貫通孔を通って脚部継手と接続されており、接続縦管220は、内部に突起または羽根部材を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の最下階に設けられ、
前記建物の上階の排水を流下させる立管と接続可能な上側接続部と、前記建物の最下階スラブの上に配置される横枝管と接続可能な枝管接続部と、を有する樹脂製の本体部と、
前記最下階スラブの下側に配置された横主管に接続される脚部継手と、前記本体部と、を繋ぐ樹脂製の接続縦管と、
を備える排水集合継手であって、
前記本体部における前記枝管接続部の下側には、円筒状の下側接続部が形成され、
前記接続縦管は、前記本体部とは別体であって、前記接続縦管の上端部が前記下側接続部に差し込まれ、前記接続縦管の下端部が最下階スラブに形成された貫通孔を通って前記脚部継手と接続されており、
前記接続縦管は、内部に突起または羽根部材を有する、
排水集合継手。
【請求項2】
前記接続縦管は、外面に前記突起または前記羽根部材に対応した凹部を備える、
請求項1に記載の排水集合継手。
【請求項3】
前記羽根部材は、前記本体部と前記接続縦管との間に配置されている、
請求項1又は2に記載の排水集合継手。
【請求項4】
建物の最下階に設けられ、
前記建物の上階の排水を流下させる立管と接続可能な上側接続部と、前記建物の最下階スラブの上に配置される横枝管と接続可能な枝管接続部と、を有する樹脂製の本体部と、
前記最下階スラブの下側に配置された横主管に接続される脚部継手と、前記本体部と、を繋ぐ樹脂製の接続縦管と、
を備える排水集合継手であって、
前記本体部における前記枝管接続部の下側には、円筒状の下側接続部が形成され、
前記接続縦管は、前記本体部とは別体であって、前記接続縦管の下端部が前記最下階スラブに形成された貫通孔を通って前記脚部継手と接続されており、
前記本体部の下部の内面には段差が無く、
前記接続縦管は、内部または外部に前記本体部の下端と当接するストッパーを有し、
前記接続縦管の内径は、前記本体部の下側接続部の内径よりも大きい、
排水集合継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水集合継手に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅などの多層建物には、各階居室部の衛生機器等からの排水を導入する横枝管が設けられている。横枝管により運搬された排水は、集合継手により集約される。集約された排水は、集合継手の下部に接続された脚部継手を介して下水路に流される。
建物の最下層部(床下)における集合継手と脚部継手との接続について、排水管が占める空間を少なくするために、集合継手の下部を受口として、前記受口に挿入する立管の長さを調整する構造が開示されている(特許文献1)。
また、建物における床スラブの厚さに対応して、床スラブ集合継手と脚部継手との間の立管の長さを変更可能とする構造が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-69974号公報
【特許文献2】特開2016-204837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の構造について、特許文献1、2の構造には、排水性能の向上させるために改善の余地がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、排水性能が高い集合継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の態様1に係る排水集合継手は、建物の最下階に設けられ、前記建物の上階の排水を流下させる立管と接続可能な上側接続部と、前記建物の最下階スラブの上に配置される横枝管と接続可能な枝管接続部と、を有する樹脂製の本体部と、前記最下階スラブの下側に配置された横主管に接続される脚部継手と、前記本体部と、を繋ぐ樹脂製の接続縦管と、を備える排水集合継手であって、前記本体部における前記枝管接続部の下側には、円筒状の下側接続部が形成され、前記接続縦管は、前記本体部とは別体であって、前記接続縦管の上端部が前記下側接続部に差し込まれ、前記接続縦管の下端部が最下階スラブに形成された貫通孔を通って前記脚部継手と接続されており、前記接続縦管は、内部に突起または羽根部材を有する。
【0007】
この発明によれば、接続縦管は、内部に突起または羽根部材を有する。排水集合継手の内部を流れる排水が突起を通過すると、通過後の排水の流速が低下する。これにより、配管内が負圧となることを防ぐことができる。また、排水集合継手の内部を流れる排水が羽根部材を通過することで、排水によって排水集合継手内部に渦が発生することを防ぐことができる。つまり、配管内の排水の流れを整えることができる。これらによって、排水性能が高い排水集合継手とすることができる。
【0008】
<2>本発明の態様2に係る排水集合継手は、態様1に係る排水集合継手において、前記接続縦管は、外面に前記突起または前記羽根部材に対応した凹部を備える。
【0009】
この発明によれば、接続縦管は、外面に突起に対応した凹部を備える。つまり、突起は、接続縦管の外面を凹ませることで形成される。これにより、接続縦管の製造性を向上することができる。
【0010】
<3>本発明の態様3に係る排水集合継手は、態様1又は態様2に係る排水集合継手において、前記羽根部材は、前記本体部と前記接続縦管との間に配置されている。
【0011】
この発明によれば、羽根部材は、本体部と接続縦管との間に配置されている。これにより、接続縦管より下流側における排水の流れを整えることができる。接続縦管や、接続縦管より下流側に羽根部材を配置する場合と比較して、より上流側において排水の流れを整えることで、より排水性を向上することができる。また、本体部の内部に羽根部材を設けると、枝管接続部から流下した排水の合流を妨げ、却って排水性が低下することがある。羽根部材が本体部と接続縦管との間に配置されていることで、排水性を向上しつつ、上述の問題を回避することができる。
【0012】
<4>本発明の態様4に係る排水集合継手は、建物の最下階に設けられ、前記建物の上階の排水を流下させる立管と接続可能な上側接続部と、前記建物の最下階スラブの上に配置される横枝管と接続可能な枝管接続部と、を有する樹脂製の本体部と、前記最下階スラブの下側に配置された横主管に接続される脚部継手と、前記本体部と、を繋ぐ樹脂製の接続縦管と、を備える排水集合継手であって、前記本体部における前記枝管接続部の下側には、円筒状の下側接続部が形成され、前記接続縦管は、前記本体部とは別体であって、前記接続縦管の下端部が前記最下階スラブに形成された貫通孔を通って前記脚部継手と接続されており、前記本体部の下部の内面には段差が無く、前記接続縦管は、内部または外部に前記本体部の下端と当接するストッパーを有し、前記接続縦管の内径は、前記本体部の下側接続部の内径よりも大きい。
【0013】
この発明によれば、接続縦管は、内部または外部に本体部の下端と当接する段差であるストッパーを有する。これにより、接続縦管と本体部との接続をする際は、本体部の下端がストッパーに当接するまで接続させることで、正確な接続しろを容易に確保することができる。よって、接続縦管と本体部との接続の作業性を向上することができる。また、接続縦管の内径は、本体部の下側接続部の内径よりも大きい。これにより、上流側の本体部から流下した排水の流れが、下流側の接続縦の内部で滞ることを防ぐことができる。よって、排水性能が高い排水集合継手とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、排水性能が高い集合継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る配管構造が施工された箇所を示す概要図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る集合継手の施工場所を示す断面図である。
【
図3】
図2の集合継手における、接続縦管の上端の変形例を示す断面図である。
【
図4】
図2の集合継手の接続縦管の上端に突起が設けられ、更に集合継手の下端と当接するストッパーが設けられた変形例を示す断面図である。
【
図5】
図2の集合継手の周囲における複数の箇所に耐火材が配置された例である。
【
図6】
図2の集合継手の直管部の内部に付属品の第1例が設けられた変形例を示す断面図である。
【
図7】
図2の集合継手の直管部の内部に付属品の第2例が設けられた変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る集合継手200(排水集合継手)及び配管構造1000を説明する。
図1に示すように、本実施形態の配管構造1000は、高層マンションや商業ビル等の多層階建物(建物)に適用された一例である。この種の建物においては、各階の便器、化粧台、流し台等の衛生機器(排水設備)から排出される排水が、排水路を構成する立管100に図示略の横枝管300を介し流入される。本実施形態における配管構造1000は、特に建物の最下層部に配置されるものとする。
図1に示すように、配管構造1000は、立管100と、集合継手200と、横枝管300と、脚部継手400と、横主管500と、を備える。
【0017】
立管100は、建物において上下方向に設けられている。立管100は、建物の上階の排水を流下させる。具体的には、各排水設備からの排水は、立管100に沿って建物の最下層まで流下し、立管100の下端部に接続された集合継手200と脚部継手400を介し横主管500に流れ込み、最終的に下水本管や浄化槽等に送られる。配管構造1000は、各階の排水設備からの排水を建物の外部に排出する。
立管100は、各階に設けられた排水設備からの排水を集合させて下方に導く。建物の最下階に設けられた立管100の下端部は、集合継手200に接続されている。
【0018】
集合継手200は、建物の最下階に設けられ、立管100から流入した排水と、横枝管300から流入した排水とを集合させる。集合継手200によって集合した排水は、脚部継手400に流下する。また、集合継手200の周囲には、遮音カバー240及び耐火材250が設けられている(詳細は後述する)。
【0019】
横枝管300は、建物において水平方向に設けられている。横枝管300は、建物に設けられた各排水部材に接続される。これにより、建物の各階で生じた排水を集合させる。本実施形態における横枝管300は、建物の最下階に設けられた集合継手200に接続されている。また、横枝管300は、建物の最下階に設けられた最下階スラブSの上に配置される。
【0020】
脚部継手400は、建物の床下、すなわち最下階スラブSの下側に設けられている。脚部継手400は、L字型の形状を有し、上方から流下した排水を水平方向への移動に変換する。本実施形態において、脚部継手400の一方の端部には集合継手200の接続縦管220(後述する)が接続されている。脚部継手400の他方の端部には、横主管500が接続されている。脚部継手400の曲管部の中央付近には支持脚410が形成され、この支持脚410が図示略の支持金具等により支持される。横主管500は建物の床下、すなわち最下階スラブSの下側に配置され、不図示の下水本管や浄化槽等に接続されている。
【0021】
集合継手200は、本体部210と、接続縦管220と、を備える。上述の立管100及び横枝管300は本体部210に接続されている。本体部210に流入した排水は接続縦管220へと移動し、接続縦管220に接続された脚部継手400へと移動する。
本体部210は、集合部211と、上側接続部212と、枝管接続部213と、を備える。
【0022】
集合部211は、本体部210に備えられた各構成品の中央に位置している。本実施形態において、集合部211の上方には上側接続部212が、側方には枝管接続部213が設けられている。また、集合部211の内側には偏流板211Aが、枝管接続部213の下側には、円筒状の下側接続部211Bが一体に成形されている。下側接続部211Bは、例えば、接続縦管220に向かって内径が徐々に拡径するように成形されている。
【0023】
偏流板211Aは、集合部211の内側に一体に成形された突起状の部位である。偏流板211Aは、集合部211において、枝管接続部213が設けられている部位よりも上側に設けられる。
ここで、本体部210内に多量の排水が流入したとき、集合継手200および配管内を流れる排水の流速が増加し、結果として配管内が負圧となることがある。これに対し、立管100から集合部211内に流入した排水が偏流板211Aに接触すると、集合継手200内を流れる排水が偏流する。これにより、集合継手200及び立管100内において通気を取りやすくし、配管構造1000内における圧力変動を減らす役割を有する。
集合部211に設けられる偏流板211Aの数は任意に選択可能である。例えば、1箇所のみに設けられてもよいし、集合部211の内周面において間隔をあけて複数設けられていてもよい。また、偏流板211Aは後述する上側接続部212の取付部212Aの内部に設けられていてもよい。
【0024】
下側接続部211Bは、本体部210と接続縦管220とを接続する部位である。具体的には、下側接続部211Bの内側に接続縦管220の上端に設けられた差口部220A(後述する)が差し込まれる。このことで、集合部211と接続縦管220とを接続する。
図2及び
図3に示すように、下側接続部211Bに挿入可能とするため、差口部220Aは接続縦管220に対して縮径されていてもよい。
図4に示すように、接続縦管220の外径を、下側接続部211Bの内径と同じにしてもよい。
図5~
図7に示すように、下側接続部211Bの下端部には、下側受口211Bsを設けてもよい。(詳細は後述する)。
下側接続部211B及び下側受口211Bsは、集合部211の下部に一体に成形されている。本実施形態において、下側接続部211Bと接続縦管220との取付には、接着が好適に用いられる。
【0025】
ここで、集合部211の成形には、ポリ塩化ビニル系樹脂を用いた射出成型が好適に用いられる。このとき、射出成型の際に必要となるゲートが下側接続部211Bに設けられると、ゲート痕が下側接続部211Bと接続縦管220との接着に支障をきたすおそれがある。このため、集合部211における射出成型のゲートは、下側接続部211Bを避けて設けることが好ましい。なお、集合部211は透明としてもよい。この場合は、上側接続部212や枝管接続部213との接合状態を容易に確認することができる。
下側接続部211Bの内径は、接続縦管220(後述する)の内径と同じか、より大きいことが好ましい。また、下側接続部211Bの外径は、接続縦管220の外径と同じか、より大きいことが好ましい。
【0026】
上側接続部212は、集合部211の上方に配置されている。上側接続部212は、立管100と接続可能である。本実施形態において、上側接続部212は、取付部212Aと、カバー部212Bと、ゴム輪212Cと、を備える。
取付部212Aは、上側接続部212と集合部211とを接続する筒状の部材である。取付部212Aには、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂が好適に用いられる。上側接続部212と集合部211との取付は、例えば、接着が好適に用いられる。また、取付部212Aの内周面には、ゴム輪212Cが設けられている。
【0027】
ゴム輪212Cは、取付部212Aの内周面に設けられ、上側接続部212に接続された立管100と直接接する環状の部品である。これにより上側接続部212に接続された立管100との隙間をなくし、排水が漏れ出すことを防ぐ役割を有する。ゴム輪212Cには、例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等の通常排水設備に使用されているゴム材料が好適に用いられる。
【0028】
カバー部212Bは、取付部212A及びゴム輪212Cの端部を覆うように設けられた環状の部材である。これにより、取付部212Aからゴム輪212Cが脱落することを防ぐ役割を有する。カバー部212Bには、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂が好適に用いられる。
【0029】
上側接続部212と立管100との接続は、立管100の下端部を上側接続部212内に挿入することで行う。このため、ゴム輪212Cの内径は、立管100の外径よりも小さいことが好ましい。これにより、立管100が挿入されることで生じるゴム輪212Cの有する弾性力によって立管100を締め付け、上側接続部212と立管100とを固定する。
または、挿入された立管100と上側接続部212とを接着により固定してもよい。この場合、ゴム輪212Cは設けられていなくてもよい。
【0030】
上側接続部212への立管100の挿入量の確認には、任意の方法が用いられる。例えば、立管100に規定の挿入代を示すマーキングを施し、挿入時にマーキングの位置を目視する方法が挙げられる。
あるいは、上側接続部212の各構成部品を透明にすることで、上側接続部212の内部における立管100の挿入代を目視で確認してもよい。この場合は、挿入代の確認をより容易に行うことができる。
【0031】
枝管接続部213は、集合部211の側方に配置されている。枝管接続部213は、横枝管300と接続可能である。集合継手200に設けられる枝管接続部213の数は、施工現場の条件や集合継手200の大きさ等に合わせて任意に設定可能である。
本実施形態において、枝管接続部213は、取付部213Aと、カバー部213Bと、ゴム輪213Cと、を備える。
なお、枝管接続部213は、横枝管300の挿入を規制するストッパーを設けていてもよい。このとき、ストッパーは集合部211の内部、または外部に位置するように設けられる。ストッパーが集合部211の外部にあり、枝管接続部213が透明な場合には、横枝管300の挿入を外部から容易に確認できる。また、ストッパーが集合部211の内部にある場合、横枝管300を長くできるため適切な排水勾配にしやすい。
【0032】
取付部213Aは、枝管接続部213と集合部211とを接続する筒状の部材である。取付部213Aには、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂が好適に用いられる。枝管接続部213と集合部211との取付は、例えば、接着が好適に用いられる。また、取付部213Aの内周面には、ゴム輪213Cが設けられている。
【0033】
ゴム輪213Cは、取付部213Aの内周面に設けられ、枝管接続部213に接続された横枝管300と直接接する環状の部品である。これにより枝管接続部213に接続された横枝管300との隙間をなくし、排水が漏れ出すことを防ぐ役割を有する。ゴム輪213Cには、例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等の通常排水設備に使用されているゴム材料が好適に用いられる。
【0034】
カバー部213Bは、取付部213A及びゴム輪213Cの端部を覆うように設けられた環状の部材である。これにより、取付部213Aからゴム輪213Cが脱落することを防ぐ役割を有する。カバー部213Bには、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂が好適に用いられる。
【0035】
枝管接続部213と横枝管300との接続は、横枝管300の下端部を枝管接続部213内に挿入することで行う。このため、ゴム輪213Cの内径は、横枝管300の外径よりも小さいことが好ましい。これにより、横枝管300が挿入されることで生じるゴム輪213Cの有する弾性力によって横枝管300を締め付け、枝管接続部213と横枝管300とを固定する。
または、挿入された横枝管300と枝管接続部213とを接着により固定してもよい。この場合、ゴム輪213Cは設けられていなくてもよい。
【0036】
枝管接続部213への横枝管300の挿入量の確認には、任意の方法が用いられる。例えば、横枝管300に規定の挿入代を示すマーキングを施し、挿入時にマーキングの位置を目視する方法が挙げられる。
あるいは、枝管接続部213の各構成部品を透明にすることで、枝管接続部213の内部における横枝管300の挿入代を目視で確認してもよい。この場合は、挿入代の確認をより容易に行うことができる。
【0037】
接続縦管220は、集合継手200の下方に設けられる部材である。本実施形態において、接続縦管220は、本体部210とは別体である。接続縦管220の上端には、差口部220Aを備える。差口部220Aは、接続縦管220と一体に成形される。差口部220Aは、接続縦管220の、下側接続部211Bに挿入される部分である。また、接続縦管220の下端部は、最下階スラブSに形成された貫通孔を通って脚部継手400に接続される。これにより、接続縦管220は、脚部継手400と、本体部210と、を繋ぐ。
接続縦管220は、例えば、その上端から下端にかけて内径の断面積が略一定とされた直線状の円筒である。上述したように、差口部220Aは、下側接続部211Bに挿入される。これにより、下側接続部211Bと接続縦管220とを接続する。下側接続部211Bと接続縦管220との取付は、例えば、接着が好適に用いられるが、下側接続部211Bの内側にゴム輪を設け、下側接続部211Bに差口部220Aを挿入することによってゴム輪を介して接続してもよい。
【0038】
接続縦管220及び差口部220Aの成形方法には、押出成形した管を受口加工(拡径)する方法や、射出成型、ブロー成型による方法が挙げられる。また、接続縦管220にはポリ塩化ビニル系樹脂が好適に用いられる。ここで、押出成形によると接続縦管220の内外径がどの部位においても一定になるのに対し、射出成型によると接続縦管220の管軸方向に抜き勾配による肉厚差や内外径差が生じる。このため、押出成形した管を受口加工することによる成形が好適に用いられる。
なお、射出成型やブロー成型により差口部220Aを備えた直管を成形し、その後、加熱加工することで、後述するような接続縦管220の内部に設けられた突起220Cまたは羽根部材220Dを設けてもよい。また、突起220Cまたは羽根部材220Dに対応した凹部220Eを、接続縦管220の外面に設けても良い。
【0039】
接続縦管220と差口部220Aとの境界は段差状となっていてもよい。前記段差は、例えば、本体部210の下端と当接するストッパー220Fとして機能してもよい。
ストッパー220Fは、例えば、
図2及び
図3に示すように、差口部220Aを縮径することで、接続縦管220の外面に生じる段差である。
図4に示すように、接続縦管220の外側面にストッパー220Fを別途形成してもよい。また、
図5~
図7に示すように、差口部220Aの上端がストッパー220Fであってもよい。
【0040】
接続縦管220の内径は、例えば、下側接続部211Bの内径と同じであることが好ましい。接続縦管220の内径は、下側接続部211Bの内径以上であってもよい。接続縦管220の内径を下側接続部211Bの内径以上とする場合は、排水性能をより向上することができる。
図2及び
図3に示すように、差口部220Aを縮径する場合、接続縦管220の内径は、本体部210の下側接続部211Bの内径よりも大きいことが好ましい。あるいは、集合継手200に求められる排水性能が十分に担保できる場合、接続縦管220の内径は、本体部210の下側接続部211Bの内径と同じであってもよい。
【0041】
接続縦管220の、ストッパー220Fが設けられた側の反対の側においては、
図2に示すように、差口部220Aと接続縦管220との間にテーパ部220Bが設けられていることがより好ましい。この場合、テーパ部220Bの上端をストッパー220Fとしてもよい。特に、接続縦管220の内径が集合継手200の下側接続部211Bの内径よりも小さい場合、差口部220Aから接続縦管220にかけて排水の流れが乱れることを防ぐことができる。よって、排水性を向上することができる。
【0042】
また、
図5に示すように、接続縦管220と差口部220Aとの境界に環状の突起220Cを設けてもよい。ここで、集合継手200では、多量の排水が一度に集合継手200に流入したとき、集合継手200および配管内を流れる排水の流速が増加し、結果として配管構造1000の内部が負圧となることがある。このとき、排水が突起220Cを通過すると、通過後の排水の流速が低下する。つまり、環状の突起220Cを備えることで、集合部211の内部における排水の流化の仕方によらず、配管構造1000内部を流れる排水の流速を減速し、配管内が負圧となることを防ぐことができる。なお、突起220Cを設ける際は、
図5に示すように、接続縦管220の外面に凹部220Eを設け、それに対応して接続縦管220の内面に突起220Cが形成されるようにしてもよい。
【0043】
テーパ部220Bや突起220Cより下側の接続縦管220の内面には突起や段差、偏流板などを設けず、前記内面は平滑な円筒状であることが好ましい。
図4に示すように、突起220Cは差口部220Aの上端に配置されてもよい。
【0044】
図6に示すように、接続縦管220の内部には、羽根部材220Dを設けてもよい。ここで、集合継手200では、本体部210の内部において渦を形成することがある。このとき、排水は、集合継手200の内部及び集合継手200の下流側の配管の内周面を回転しながら下方へ移動する。すると、排水が下流側に向けてまっすぐ流れる場合と比較して、排水の流速が大幅に低下し、排水の効率が低下する。羽根部材220Dを設けることで、集合継手200の内部において排水の流れを整える。これにより、排水が渦を形成することを防ぐことができる。
【0045】
突起220Cまたは羽根部材220Dは、例えば、接続縦管220の内側に一体に形成される。このとき、接続縦管220の外面には、突起220Cまたは羽根部材220Dに対応した凹部220Eを備えてもよい。また、突起220Cまたは羽根部材220Dは、
図6及び
図7に示すように、接続縦管220の内側に別途付属品として取りつけることで設けられてもよい。
羽根部材220Dは、本体部210と接続縦管220との間に配置されていてもよい。
【0046】
突起220Cまたは羽根部材220Dを設ける際には、射出成型が好適に用いられる。このとき、射出成型によるゲート痕が接続縦管220の外面、特に、脚部継手400に接続縦管220を挿入したとき、脚部継手400の受口と接触する部位にあると、ゲート痕と脚部継手400の受口との間に隙間が生じ、止水性が低下することがある。このため、射出成型のゲートは、接続縦管220の外面を避けて設けることが好ましい。また、排水性及び直管接続部との接続への影響を避けるため、ゲートは直管部及び受口部の内面を避けて設けることが好ましい。
【0047】
上記を鑑み、接続縦管220を射出成型する場合におけるゲートの設定部位には、下記が挙げられる。すなわち、例えば、脚部継手400の受口と接続縦管220の外面との間に隙間を生じさせることがないことから、接続縦管220の下端の端面、または下端の周辺にゲートを設けてもよい。
また、上述のように、脚部継手400に接続縦管220を接続する際、接続縦管220の下端を適宜切断することから、接続縦管220の下端部のみであればゲートを設けてもよい。
【0048】
また、脚部継手400が接続されないことから、接続縦管220の上端付近の外面であればゲートを設けてもよい。同様の理由で、接続縦管220における耐火材250が取付けられる箇所にゲートを設けてもよい。
また、ゲートは複数設けてもよく、複数のゲート痕が接続縦管220の外面に形成されていてもよい。
【0049】
接続縦管220をブロー成型する場合、接続縦管220の外面にはゲート痕は形成されず、接続縦管220の管軸と平行な方向のパーティングラインが接続縦管220の外面に形成される。また、接続縦管220の上下の端面は切断面とされる。
【0050】
接続縦管220の大きさは施工現場の条件によって任意に選択可能であるが、特に呼び径100(外径114mm)や125(外径140mm)のもの、または150(外径165mm)のものが好適に用いられ、接続縦管220の外径は114mm以上140mm以下の範囲で適宜設定される。
また、接続縦管220の内径は立管100の内径と同じか、より大きいことが好ましい。
よって、集合継手200の一実施形態として、集合継手200を構成する各部の内径について、内径の小さい順に立管100、接続縦管220、下側接続部211Bとなる。これにより、立管100および枝管接続部213からの排水が合流する本体部210の下部にある下側接続部211Bで排水が詰まりにくく、下側接続部211Bから下流側への排水をスムーズにできる。
【0051】
また、差口部220Aの開口端部から接続縦管220下端までの長さは、1000mm以下であり、800mm以下であることが好ましい。更に、700mm以下とすることがより好ましく、600mm以下とすることが最適である。上記上限値以下とすることで、施工時の設置し易さや輸送時の搬送性が向上するだけでなく、射出成型やブロー成型などで接続縦管220を成形しやすく、押出成形された管を差口部220Aに加工する作業も行いやすく、生産性に優れる。特に、接続縦管220を射出成型により成形する場合には、接続縦管220の内面に位置する金型を引き抜きやすくする抜き勾配を設けても接続縦管220の肉厚を所定厚さとするため、差口部220Aの開口端部から接続縦管220下端までの長さは、500mm以下とすることが好ましい。
また、差口部220Aの開口端部から接続縦管220下端までの長さは200mm以上であることが好ましく、300mm以上であることがより好ましい。上記下限値以上とすることにより、最下階スラブSの厚さが厚い場合でも立管100と脚部継手400とを他の継手を介さずに直接接続できる。
また、接続縦管220を脚部継手400に接続する際は、施工現場の寸法に合わせて接続縦管220を切断することで適宜長さを調整可能である。
【0052】
図2に示すように、下側接続部211Bと差口部220Aとの接続部は、建物における最下階スラブSの貫通孔の内部に位置するよう配置される。このように集合継手200を設置した後、最下階スラブSの貫通孔はモルタルMやロックウールなどの充填剤で埋設される。差口部220Aの上端は、最下階スラブSの上面を超えないことが好ましい。このことで、集合継手200における枝管接続部213と最下階スラブSとの距離を小さくする。これにより、集合継手200に接続される横枝管300の排水勾配を取りやすくする。なお、本実施形態において、集合継手200の外側には、遮音カバー240及び耐火材250が設けられている。
【0053】
遮音カバー240は、集合継手200の内部を排水が流れることによって生じる音が、外部に伝播することを防ぐ役割を有する。また、下側接続部211Bと接続縦管220との接続部の周囲に密着して設けられることで、接続部の止水性を補完する役割も同時に有している。
遮音カバー240は、内層側に設けられる吸音材と、外層に設けられる遮音材とを備える構造が好適に用いられる(不図示)。吸音材としては、グラスウールやロックウールなどの無機繊維、フェルトなどの有機繊維、ウレタンなどの多孔質体などが挙げられ、耐火性を向上させるためにアルミニウム箔やガラス繊維などを積層した多層構造のもの用いることができる。
【0054】
遮音カバー240の上端は、例えば、本体部210の下側受口211Bsよりも上に位置することが好ましい。
差口部220Aが縮径されることで下側接続部211Bの内側に差し込まれている場合、遮音カバー240の上端は、例えば、
図2及び
図3に示すように、差口部220Aの上端部よりも上に位置することが好ましい。また、遮音カバー240の下端部は最下階スラブSの下面部よりも下側に設けられることが好ましい。
なお、遮音カバー240の上端の外面に、不図示のゴムリングなどを設け、下側接続部211Bと遮音カバー240との間に水が浸入するのを防止してもよい。
【0055】
耐火材250は、集合継手200が最下階スラブSに埋設されている部位において、接続縦管220の周囲に設けられる部材である。なお、耐火材250は、接続縦管220の全周囲に環状に設けられていてもよいし、間隔をあけて複数設けられていてもよいし、複数の耐火材250が積層されていてもよい。
耐火材250は、熱膨張性黒鉛などの熱膨張性耐火材とバインダー樹脂とをシートに加工した耐火シートやバインダー樹脂と無機材料を混合したパテ状の耐火パテ、または環状に成形された耐火部材が好適に用いられる。耐火材250は、建物の火災時に熱膨張することで集合継手200の接続縦管220を変形させ、配管構造1000を閉塞する。これにより、配管構造1000の内部から火災時の煙が上層階へ移動することを防ぐ役割を有する。
【0056】
上述のように、耐火材250は最下階スラブSに埋設されている部位に設けられる。このとき、接続縦管220に設けられた耐火材250の外径は、差口部220Aの外径を超えないことが好ましい。
なお、
図2に示すように、接続縦管220にテーパ部220B又は突起220Cが設けられている場合は、耐火材250は受口外面のテーパ部220B又は突起220Cと重なってもよい。つまり、耐火材250をテーパ部220Bの外面又は突起220Cの外面(接続縦管220の管軸方向における高さ方向の同じ位置)に設けても良い。
【0057】
差口部220Aが縮径されている場合、
図2に示すように、耐火材250は、接続縦管220の縮径部の周りに設けられてもよい。
図3に示すように、耐火材250は、例えば、接続縦管220の縮径部の下に設けられてもよい。
また、
図5に示すように、耐火材250は、例えば、下側接続部211Bの下側受口211Bsより上の外面に設けられてもよい。耐火材250は、凹部220Eより上の外面に設けられてもよい。耐火材250は、凹部220Eより下の外面に設けられてもよい。また、耐火材250は、遮音カバー240の内部に設けられてもよい。
また、
図6及び
図7に示すように、耐火材250は、下側接続部211Bの下側受口211Bsより下の外面に設けられてもよい。
耐火材250は、1つの集合継手200において、上述した取り付け場所に複数設けられてもよいし、1箇所のみ設けられてもよい。
【0058】
また、上述のように、接続縦管220は、脚部継手400との接続部の位置に合わせて適宜切断される。このため、切断可能な接続縦管220の範囲をより大きくするため、耐火材250の高さ(最下階スラブSの厚さ方向の長さ)は、20mm以上80mm以下の範囲とすることが好ましい。
耐火材250は少なくとも最下階スラブSに埋設される部位に設けられていればよく、耐火材250の一部が最下階スラブSの貫通孔の外部に位置していてもよい。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る集合継手200(排水集合継手)によれば、接続縦管220は、内部に突起220Cまたは羽根部材220Dを有する。集合継手200の内部を流れる排水が突起220Cを通過すると、通過後の排水の流速が低下する。これにより、配管内が負圧となることを防ぐことができる。また、集合継手200の内部を流れる排水が羽根部材220Dを通過することで、排水によって集合継手200内部に渦が発生することを防ぐことができる。つまり、配管内の排水の流れを整えることができる。これらによって、排水性能が高い集合継手200とすることができる。
【0060】
また、接続縦管220は、外面に突起220Cに対応した凹部220Eを備える。つまり、突起220Cは、接続縦管220の外面を凹ませることで形成される。これにより、接続縦管220の製造性を向上することができる。
【0061】
また、羽根部材220Dは、本体部210と接続縦管220との間に配置されている。これにより、接続縦管220より下流側における排水の流れを整えることができる。接続縦管220や、接続縦管220より下流側に羽根部材220Dを配置する場合と比較して、より上流側において排水の流れを整えることで、より排水性を向上することができる。また、本体部210の内部に羽根部材220Dを設けると、枝管接続部213から流下した排水の合流を妨げ、却って排水性が低下することがある。羽根部材220Dが本体部210と接続縦管220との間に配置されていることで、排水性を向上しつつ、上述の問題を回避することができる。
【0062】
また、接続縦管220は、内部または外部に本体部210の下端と当接する段差であるストッパー220Fを有する。これにより、接続縦管220と本体部210との接続をする際は、本体部210の下端がストッパー220Fに当接するまで接続させることで、正確な接続しろを容易に確保することができる。よって、接続縦管220と本体部210との接続の作業性を向上することができる。また、接続縦管220の内径は、本体部210の下側接続部211Bの内径よりも大きい。これにより、上流側の本体部210から流下した排水の流れが、下流側の接続縦の内部で滞ることを防ぐことができる。よって、排水性能が高い集合継手200とすることができる。
【0063】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態において、上述した各部位の各構成は、1つの集合継手200に対して複数同時に組み合わせて使用してもよい。
耐火材250は、上述した位置に限らず、例えば、接続縦管220の外面に形成された凹部220Eの内部に埋め込まれるように配置されてもよい。
【0064】
また、上側接続部212の取付部212A及び枝管接続部213の取付部213Aは、集合部211に一体に成形されてもよい。
また、集合部211は複数の部材で構成されていてもよく、上側接続部212と接続縦管220との間に集合部211が複数設けられていても良い。この場合、集合部211は上下に連結され、複数の集合部211それぞれの側方に枝管接続部213が設けられていてもよい。
また、接続縦管220の材質には、熱膨張性耐火材(熱膨張性黒鉛)を含んでいてもよい。
【0065】
また、本体部210や集合部211の周囲に着脱可能な遮音カバーを設けてもよい。これにより、集合継手200を最下階スラブSの貫通孔に設置した後でも本体部210や集合部211に遮音カバーを設置することができる。
また、枝管接続部213の周囲に遮音カバーを設けてもよく、枝管接続部213が最下階スラブSの上面と対向する位置に防振材を設けてもよい。これにより、枝管接続部213で生じた音や振動を最下階スラブSに伝搬させるのを防ぐことができる。
また、接続縦管220ではなく、本体部210の下側接続部211Bを長尺に形成し、長尺の下側接続部211Bを切断することで適宜長さを調整可能としてもよい。この場合、下側接続部211Bは接続縦管220以上の長さまたは最下階スラブSの厚さ以上に成形されていてもよい。
【0066】
また、耐火材250は接続縦管220の周囲に直接設置されるのではなく、遮音カバー240の内部または外面であって、最下階スラブSの貫通孔内に位置する箇所に設けられていても良い。
また、耐火材250は接続縦管220の内部に埋設されていても良く、接続縦管220と耐火材250とが一体とされていても良い。
例えば、接続縦管220が射出成型により成形されている場合、リング状の耐火材250を金型内に配置した後、接続縦管220を形成する樹脂を金型内に射出することで、接続縦管220内に耐火材250が埋設された状態とすることができる。この場合でも、耐火材250は最下階スラブSの貫通孔内に位置するよう、差口部220Aの上端部または差口部220Aの内部に配置される。
【0067】
さらに、耐火材250となる熱膨張性耐火材を含む耐火樹脂層と、熱膨張性耐火材を含まない非耐火樹脂層と、を積層状態で管状に押出成形することで、接続縦管220と耐火材250とを一体に成形しても良い。この場合、接続縦管220の全体に亘って耐火材250が配置されている。なお、この場合には接続縦管220を加熱して差口部220Aを形成するため、熱により膨張する耐火材250に含まれる熱膨張性黒鉛などの熱膨張性耐火材は、接続縦管220を構成する樹脂に対して多すぎないことや、膨張開始温度は低すぎないことが好ましい。例えば、耐火材250としては、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対し、膨張開始温度は210℃以上の熱膨張性黒鉛を2質量部以上18質量部以下含有させた熱膨張性樹脂組成物を管状にして接続縦管220と一体に成形することが好ましい。熱膨張性樹脂組成物としては、熱膨張性黒鉛として膨張開始温度が220℃以上の熱膨張性黒鉛を3質量部以上15質量部以下含むものであることがより好ましい。
さらに、耐火材250となる熱膨張性耐火材を射出成形で環状に成形し、接続縦管220の内外面に接着しても良く、接続縦管220を射出成形する際に環状の耐火材250が接続縦管220内部に埋没されるように成形してもよい。
【0068】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
100 立管
200 集合継手
210 本体部
211B 下側接続部
212 上側接続部
213 枝管接続部
220 接続縦管
220C 突起
220D 羽根部材
220E 凹部
220F ストッパー
300 横枝管
400 脚部継手
500 横主管
S 最下階スラブ