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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160291
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】コネクタ及びコネクタ分解具
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20231026BHJP
   H01R 43/22 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
H01R13/42 E
H01R43/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070542
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】浅野 泰徳
【テーマコード(参考)】
5E063
5E087
【Fターム(参考)】
5E063HA08
5E063HB17
5E063HB20
5E063XA20
5E087EE02
5E087EE11
5E087EE14
5E087FF06
5E087GG26
5E087HH04
5E087MM05
5E087RR25
(57)【要約】
【課題】リテーナによる端子の保持状態を容易に解除できるようにすることを目的とする。
【解決手段】コネクタ10は、端子20と、キャビティを有するハウジング本体32と、ハウジング本体に着脱可能に取付けられるリテーナ50とを含むコネクタハウジングとを備え、ハウジング本体は、キャビティ露出用凹部40と、一対のリテーナガイド溝44と、一対のリテーナガイド溝の底面のそれぞれに形成された一対の係止部とを有し、リテーナは、キャビティ内の端子を保持するリテーナ本体52と、一対のリテーナガイド溝に沿って延びる一対のリテーナ側部56と、一対のリテーナ側部のそれぞれに形成された一対の相手側係止部とを有し、ハウジング本体のうち一対の係止部のそれぞれが形成された箇所からハウジング本体の少なくとも一方の端に向う一対の凹溝48が形成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子と、
一端から他端に向って延びるキャビティを有するハウジング本体と、前記ハウジング本体に着脱可能に取付けられるリテーナとを含み、前記キャビティ内に前記端子を収容するコネクタハウジングと、
を備えるコネクタであって、
前記ハウジング本体は、前記キャビティの延在方向中間部を外側に露出させるキャビティ露出用凹部と、前記キャビティ露出用凹部の両側部から前記キャビティの延在方向に交差する方向に延びるように前記ハウジング本体の両側部に形成された一対のリテーナガイド溝と、前記一対のリテーナガイド溝の底面のそれぞれに形成された一対の係止部とを有し、
前記リテーナは、前記キャビティ露出用凹部に配置されて前記キャビティ内の端子を保持するリテーナ本体と、前記リテーナ本体の両側部から前記一対のリテーナガイド溝に沿って延びる一対のリテーナ側部と、前記一対のリテーナ側部のそれぞれに形成され前記係止部と係止可能な一対の相手側係止部とを有し、
前記ハウジング本体のうち前記一対の係止部のそれぞれが形成された箇所から前記ハウジング本体の少なくとも一方の端に向う一対の凹溝が形成されている、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記一対の凹溝のそれぞれは、前記ハウジング本体のうち前記一対の係止部のそれぞれが形成された箇所から前記ハウジング本体の両端に向う溝である、コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記リテーナ本体の内向き部分に前記キャビティの延在方向に沿って延びるスリットが形成され、
前記リテーナ本体が、前記スリットの外側に部分的な薄肉部を有する、コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記リテーナ本体のうち前記薄肉部が形成された部分の少なくとも一方の縁が前記リテーナガイド溝の延在方向において部分的に凹んでいる、コネクタ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記ハウジング本体は、前記リテーナが装着された状態で、前記リテーナ本体の外向き面の延長上に位置する主面と、前記一対のリテーナ側部の外向き面の延長上に位置する一対の側面とを有する、コネクタ。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記ハウジング本体は、前記リテーナ本体の一側から他側に向って一列に並ぶ複数のキャビティを有する。コネクタ。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記ハウジング本体は、前記リテーナ本体の一側から他側に向って、前記リテーナガイド溝に沿った方向において位置を変えて複数列で並ぶ複数のキャビティを有し、
前記ハウジング本体は、前記複数のキャビティの各列に応じて、前記キャビティ露出用凹部を複数有し、
前記リテーナは、前記複数のキャビティの各列に応じて、前記リテーナ本体を複数有する、
コネクタ。
【請求項8】
ハウジング本体に対するリテーナの係止状態を解除するためのコネクタ分解具であって、
長尺形状に形成された一対の係止解除部と、
前記一対の係止解除部が前記ハウジング本体の両側部と前記リテーナとの係止箇所に応じた並列状態に保たれるように、前記一対の係止解除部を支持する分解具本体と、
を備え、
前記一対の係止解除部のそれぞれが、前記リテーナと前記ハウジング本体の側部との間に入り込み可能なように先端に向って徐々に細くなる先端部を有する、コネクタ分解具。
【請求項9】
請求項8に記載のコネクタ分解具であって、
前記係止解除部の先端部は、前記係止解除部が前記ハウジング本体の側部に沿って移動する際に、前記ハウジング本体の側部に形成された凹溝の底面と一方側面とに接する接触受面と、前記接触受面とは反対側に位置し、基端側に向うにつれて徐々に前記凹溝の底面及び前記一方側面から離れる離脱持上げ面とを有する。コネクタ分解具。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載のコネクタ分解具であって、
前記分解具本体により、前記一対の係止解除部が延出する方向と同じ方向に延出するように支持された追加持上げ部をさらに備え、
前記追加持上げ部は、前記一対の係止解除部の先端部が前記リテーナと前記ハウジング本体の側部との間に入り込んだ状態で、前記一対の係止解除部の間の位置で、前記リテーナと前記ハウジング本体との間に入り込んで前記リテーナを前記ハウジング本体から離脱する方向に移動させる、コネクタ分解具。
【請求項11】
請求項8又は請求項9に記載のコネクタ分解具であって、
前記分解具本体は、前記一対の係止解除部が前記ハウジング本体の両側部に形成された一対の凹溝に沿って移動する際に、前記ハウジング本体への干渉を避けつつ前記ハウジング本体の周りの少なくとも一部を囲う形状に形成されている、コネクタ分解具。
【請求項12】
請求項8又は請求項9に記載のコネクタ分解具であって、
前記分解具本体から突出する持ち手部をさらに備えるコネクタ分解具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ及びコネクタ分解具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ランス機構によって保持される上側端子と、上側端子よりも開口部側に位置する上側および下側ガイド突起と、を有するコネクタに使用される端子抜き治具を開示している。端子抜き治具は、治具本体と、解除ピンを有している。治具本体を先端側からコネクタのアウターハウジング内に挿入し、ランス機構に向かう解除ピンを治具本体の中心軸の周りに回転させて、ランス機構を解除状態とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-170108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタとして、ハウジング本体にリテーナを取付け、当該リテーナによって端子を保持するものがある。このようにリテーナによって端子を保持するコネクタにおいても、当該リテーナによる端子の保持状態を容易に解除できるようにすることが要請されている。
【0005】
そこで、本開示は、リテーナによる端子の保持状態を容易に解除できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、端子と、一端から他端に向って延びるキャビティを有するハウジング本体と、前記ハウジング本体に着脱可能に取付けられるリテーナとを含み、前記キャビティ内に前記端子を収容するコネクタハウジングと、を備えるコネクタであって、前記ハウジング本体は、前記キャビティの延在方向中間部を外側に露出させるキャビティ露出用凹部と、前記キャビティ露出用凹部の両側部から前記キャビティの延在方向に交差する方向に延びるように前記ハウジング本体の両側部に形成された一対のリテーナガイド溝と、前記一対のリテーナガイド溝の底面のそれぞれに形成された一対の係止部とを有し、前記リテーナは、前記キャビティ露出用凹部に配置されて前記キャビティ内の端子を保持するリテーナ本体と、前記リテーナ本体の両側部から前記一対のリテーナガイド溝に沿って延びる一対のリテーナ側部と、前記一対のリテーナ側部のそれぞれに形成され前記係止部と係止可能な一対の相手側係止部とを有し、前記ハウジング本体のうち前記一対の係止部のそれぞれが形成された箇所から前記ハウジング本体の少なくとも一方の端に向う一対の凹溝が形成されている、コネクタである。
【0007】
本開示のコネクタ分解具は、ハウジング本体に対するリテーナの係止状態を解除するためのコネクタ分解具であって、長尺形状に形成された一対の係止解除部と、前記一対の係止解除部が前記ハウジング本体の両側部と前記リテーナとの係止箇所に応じた並列状態に保たれるように、前記一対の係止解除部を支持する分解具本体と、を備え、前記一対の係止解除部のそれぞれが、前記リテーナと前記ハウジング本体の側部との間に入り込み可能なように先端に向って徐々に細くなる先端部を有する、コネクタ分解具である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、リテーナによる端子の保持状態を容易に解除できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は実施形態に係るコネクタを示す斜視図である。
図2図2はリテーナを取外したコネクタを示す斜視図である。
図3図3図1のIII-III線断面図である。
図4図4図1のIV-IV線断面図である。
図5図5は実施形態に係るコネクタ分解具を示す斜視図である。
図6図6はコネクタ分解具を示す斜視図である。
図7図7はコネクタの分解作業例を示す説明図である。
図8図8はコネクタの分解作業例を示す説明図である。
図9図9はコネクタの分解作業例を示す説明図である。
図10図10は変形例に係るコネクタ分解具を示す説明図である。
図11図11は変形例に係るコネクタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本開示のコネクタは、次の通りである。
【0012】
(1)端子と、一端から他端に向って延びるキャビティを有するハウジング本体と、前記ハウジング本体に着脱可能に取付けられるリテーナとを含み、前記キャビティ内に前記端子を収容するコネクタハウジングと、を備えるコネクタであって、前記ハウジング本体は、前記キャビティの延在方向中間部を外側に露出させるキャビティ露出用凹部と、前記キャビティ露出用凹部の両側部から前記キャビティの延在方向に交差する方向に延びるように前記ハウジング本体の両側部に形成された一対のリテーナガイド溝と、前記一対のリテーナガイド溝の底面のそれぞれに形成された一対の係止部とを有し、前記リテーナは、前記キャビティ露出用凹部に配置されて前記キャビティ内の端子を保持するリテーナ本体と、前記リテーナ本体の両側部から前記一対のリテーナガイド溝に沿って延びる一対のリテーナ側部と、前記一対のリテーナ側部のそれぞれに形成され前記係止部と係止可能な一対の相手側係止部とを有し、前記ハウジング本体のうち前記一対の係止部のそれぞれが形成された箇所から前記ハウジング本体の少なくとも一方の端に向う一対の凹溝が形成されている、コネクタである。
【0013】
このコネクタによると、一対の凹溝内の空間を利用して、一対のリテーナ側部をハウジング本体の側部から離す方向に移動させて係止部と相手側係止部との係止を解除したり、リテーナ本体をキャビティ露出用凹部から離脱する方向に移動させたりすることが容易となる。これにより、リテーナによる端子の保持状態を容易に解除できる。
【0014】
(2)(1)のコネクタであって、前記一対の凹溝のそれぞれは、前記ハウジング本体のうち前記一対の係止部のそれぞれが形成された箇所から前記ハウジング本体の両端に向う溝であってもよい。
【0015】
これにより、ハウジング本体のうち一対の係止部のそれぞれが形成された箇所から前記ハウジング本体の両端に向う凹溝を利用して、リテーナによる端子の保持状態を容易に解除できる。
【0016】
(3)(1)又は(2)のコネクタであって、前記リテーナ本体の内向き部分に前記キャビティの延在方向に沿って延びるスリットが形成され、前記リテーナ本体が、前記スリットの外側に部分的な薄肉部を有してもよい。
【0017】
この場合、リテーナ本体が部分的な薄肉部を含むため、リテーナ本体をキャビティ露出用凹部から離脱する方向に移動させる距離が少なくても、当該薄肉に形成された部分の内向き面を、ハウジング本体の外向き面よりも外側に位置させ易い。これにより、リテーナ本体をキャビティ露出用凹部から離脱する方向に移動させる方向にさらに移動させ易い。
【0018】
(4)(3)のコネクタであって、前記リテーナ本体のうち前記薄肉部が形成された部分の少なくとも一方の縁が前記リテーナガイド溝の延在方向において部分的に凹んでいてもよい。
【0019】
この場合、例えば、コネクタ分解具をリテーナガイド溝に沿って移動させてリテーナを外す際に、当該コネクタ分解具がリテーナ本体のうち薄肉部が形成された部分の少なくとも一方の縁に接触するタイミングを調整することができる。
【0020】
(5)(1)から(4)のいずれか1つのコネクタであって、前記ハウジング本体は、前記リテーナが装着された状態で、前記リテーナ本体の外向き面の延長上に位置する主面と、前記一対のリテーナ側部の外向き面の延長上に位置する一対の側面とを有していてもよい。
【0021】
これにより、主面及び一対の側面の外側で、リテーナを外すためのコネクタ分解具を取回し易い。
【0022】
(6)(1)から(5)のいずれか1つのコネクタであって、前記ハウジング本体は、前記リテーナ本体の一側から他側に向って一列に並ぶ複数のキャビティを有してもよい。
【0023】
この場合、キャビティが複数列並ぶ場合と比較して、リテーナをハウジング本体から分離させ易い。
【0024】
(7)(1)から(5)のいずれか1つのコネクタであって、前記ハウジング本体は、前記リテーナ本体の一側から他側に向って、前記リテーナガイド溝に沿った方向において位置を変えて複数列で並ぶ複数のキャビティを有し、前記ハウジング本体は、前記複数のキャビティの各列に応じて、前記キャビティ露出用凹部を複数有し、前記リテーナは、前記複数のキャビティの各列に応じて、前記リテーナ本体を複数有していてもよい。
【0025】
これにより、複数のキャビティの各列において、リテーナ本体による端子の保持状態が一括して解除される。
【0026】
また、本開示のコネクタ分解具は、次の通りである。
【0027】
(8)ハウジング本体に対するリテーナの係止状態を解除するためのコネクタ分解具であって、長尺形状に形成された一対の係止解除部と、前記一対の係止解除部が前記ハウジング本体の両側部と前記リテーナとの係止箇所に応じた並列状態に保たれるように、前記一対の係止解除部を支持する分解具本体と、を備え、前記一対の係止解除部のそれぞれが、前記リテーナと前記ハウジング本体の側部との間に入り込み可能なように先端に向って徐々に細くなる先端部を有する、コネクタ分解具である。
【0028】
このコネクタ分解具によると、一対の係止解除部をハウジング本体の両側部に沿って移動させて、一対の係止解除部の先端部をリテーナとハウジング本体の側部との間に入り込ませることができる。これにより、ハウジング本体に対するリテーナの係止状態を解除し、リテーナによる端子の保持状態を容易に解除できる。
【0029】
(9)(8)のコネクタ分解具であって、前記係止解除部の先端部は、前記係止解除部が前記ハウジング本体の側部に沿って移動する際に、前記ハウジング本体の側部に形成された凹溝の底面と一方側面とに接する接触受面と、前記接触受面とは反対側に位置し、基端側に向うにつれて徐々に前記凹溝の底面及び前記一方側面から離れる離脱持上げ面とを有していてもよい。
【0030】
この場合、係止解除部が凹溝内を移動すると、離脱持上げ面が、リテーナを凹溝の底面と一方側面から離れる方向に移動させることができる。これにより、ハウジング本体に対するリテーナの係止状態を解除し、かつ、リテーナを、ハウジング本体から離脱する方向に移動させることができ、リテーナによる端子の保持状態を容易に解除できる。
【0031】
(10)(8)又は(9)のコネクタ分解具であって、前記分解具本体により、前記一対の係止解除部が延出する方向と同じ方向に延出するように支持された追加持上げ部をさらに備え、前記追加持上げ部は、前記一対の係止解除部の先端部が前記リテーナと前記ハウジング本体の側部との間に入り込んだ状態で、前記一対の係止解除部の間の位置で、前記リテーナと前記ハウジング本体との間に入り込んで前記リテーナを前記ハウジング本体から離脱する方向に移動させてもよい。
【0032】
この場合、追加持上げ部によって、リテーナ本体をキャビティ露出用凹部からさらに離脱させる方向に持上げることができるため、コネクタの分解がさらに容易となる。
【0033】
(11)(8)から(10)のいずれか1つのコネクタ分解具であって、前記分解具本体は、前記一対の係止解除部が前記ハウジング本体の両側部に形成された一対の凹溝に沿って移動する際に、前記ハウジング本体への干渉を避けつつ前記ハウジング本体の周りの少なくとも一部を囲う形状に形成されていてもよい。
【0034】
これにより、一対の係止解除部を一対の凹溝に沿って移動させ易い。凹溝がハウジング本体の両端に貫通していれば、一対の係止解除部が、一対の凹溝を通過するように設定でき、コネクタの分解作業を行い易い。
【0035】
(12)(8)から(11)のいずれか1つのコネクタ分解具であって、前記分解具本体から突出する持ち手部をさらに備えてもよい。
【0036】
この場合、コネクタ分解具に力を加えやすいので、コネクタの分解作業を容易に実施できる。
【0037】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタ及びコネクタ分解具の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0038】
[実施形態]
以下、実施形態に係るコネクタについて説明してから、当該コネクタを分解するためのコネクタ分解具について説明する。
【0039】
<コネクタ>
図1はコネクタ10を示す斜視図である。図2はリテーナ50を取外したコネクタ10を示す斜視図である。図3図1のIII-III線断面図である。図4図1のIV-IV線断面図である。図1から図4では端子20及び電線28が2点鎖線で示される。図1から図3では一部の端子20又は一部の電線28が示される。
【0040】
コネクタ10は、端子20と、コネクタハウジング30とを備える。
【0041】
端子20は、銅、銅合金等の金属板材をプレス加工等することにより形成されている。端子20は、相手側接続部22と電線接続部24とが連結部23を介して直線状に連なる形状に形成されている。
【0042】
相手側接続部22は、相手側の端子等と接続される部分である。ここでは、相手側接続部22は、角筒状の形状、いわゆるメス端子としての形状に形成されている。そして、この相手側接続部22に、ピン状或はタブ状の接続部を有する相手側端子(いわゆるオス端子)が挿入接続される。もっとも、相手側接続部22は、ピン状或はタブ状の形状、いわゆるオス端子としての形状に形成されていてもよい。オス端子の場合、ピン状或はタブ状の部分の基端部に箱部が形成される。
【0043】
電線接続部24は、電線28の端部に圧着されて当該電線28と接続される部分である。電線接続部24は、例えば、芯線圧着部と、被覆圧着部とを含む。もっとも、電線接続部24において、被覆圧着部は省略されることもあり得る。
【0044】
芯線圧着部は、底板部の両側部から一対の圧着片が立ち上がる形状に形成されている。芯線圧着部内に、電線28の端部に露出した芯線が配設された状態で、一対の圧着片が内向きに曲げられる。これにより、芯線圧着部が露出した芯線に圧着される。
【0045】
被覆圧着部も、底板部の両側部から一対の圧着片が立ち上がる形状に形成されている。被覆圧着部内に電線28の絶縁被覆の端部が配設された状態で、一対の圧着片が内向きに曲げられている。これにより、被覆圧着部が絶縁被覆の端部に圧着される。
【0046】
相手側接続部22の底部と電線接続部24との底部とが連結部23を介して連なっている。このため、相手側接続部22の底部と連結部23と電線接続部24との底部とは同一直線上に連なっている。連結部23に対して相手側接続部22と電線接続部24とが突出している。換言すれば、端子20は、相手側接続部22と電線接続部24との間で底側に凹む形状に形成されている。リテーナ50が相手側接続部22と電線接続部24との間の凹みに嵌ることで、端子20をコネクタハウジング30内の一定位置に保持する。
【0047】
コネクタハウジング30は、ハウジング本体32と、リテーナ50とを含む。
【0048】
ハウジング本体32は、一端から他端に向って延びるキャビティ34を有し、当該キャビティ34内に端子20を収容する部品である。ハウジング本体32は、樹脂等によって金型成形される部品である。端子20がハウジング本体32内に収容された状態で、コネクタハウジング30が相手側コネクタ(図示省略)と接続される。これにより、端子20が当該相手側コネクタ内に収容された相手側端子と接続される。
【0049】
より具体的には、ハウジング本体32は、扁平な直方体形状部分33を含む。直方体形状部分33の一端から他端に向って延びるキャビティ34が形成されている。キャビティ34は、直方体形状部分33の一端及び他端に開口する貫通孔である。キャビティ34は、端子20よりも長く、端子20の延在方向全体が当該キャビティ34内に収容される。キャビティ34の一端側の開口から電線28が引出される。キャビティ34の他端側の開口から相手側端子が挿入される。説明の便宜上、コネクタ10のうち電線28が延出する側を後、その反対側を前という場合がある。
【0050】
本実施形態では、ハウジング本体32は、複数のキャビティ34を有する。複数のキャビティ34は、ハウジング本体32(ここでは、直方体形状部分33)の一側から他側に向って並列状態で一列に並ぶように形成されている。複数のキャビティ34のそれぞれに端子20が収容されることで、複数の端子20が一列に並列状態で並んだ状態に保持される。
【0051】
上記ハウジング本体32にリテーナ50が着脱可能に取付けられる。ここで、複数のキャビティ34の延在方向と複数のキャビティ34が並ぶ方向との両方に直交する方向を、ハウジング本体32の厚み方向と把握するとする。ハウジング本体32の厚み方向に一方面側にリテーナ50が着脱可能に取付けられる。
【0052】
なお、本実施形態では、ハウジング本体32は、相手側コネクタと着脱可能に係止するコネクタ接続用係止片35を備える(図3参照)。コネクタ接続用係止片35は、直方体形状部分33に対してリテーナ50とは反対側に設けられる。
【0053】
また、ハウジング本体32は、コネクタ接続用係止片35を押下げるための操作部36及び当該操作部36を囲う囲い部37を備える(図3参照)。
【0054】
本コネクタ10が相手側コネクタと接続された状態で、コネクタ接続用係止片35が相手側コネクタと係止して、両コネクタの接続状態が維持される。また、この状態で、操作部36を押下げることで、コネクタ接続用係止片35と相手側コネクタとの係止状態が解除され、両コネクタの接続状態が解除される。囲い部37は、操作部36を囲うことで、不用意にコネクタ接続用係止片35が押下げられることを抑制する役割を果す。
【0055】
コネクタ10におけるコネクタ接続用係止片35、操作部36及び当該操作部36の形状例は上記構成である必要は無いし、また、これらの構成は省略されてもよい。
【0056】
ハウジング本体32は、キャビティ露出用凹部40と、リテーナガイド溝44と、一対の係止部46とを有する。
【0057】
キャビティ露出用凹部40は、キャビティ34の延在方向中間部を外側に露出させる凹みである。本実施形態では、直方体形状部分33の厚み方向に一方面側において、複数のキャビティ34が並ぶ方向に延びるようにキャビティ露出用凹部40が形成されている。キャビティ露出用凹部40は、複数のキャビティ34の延在方向に対して交差する方向(ここでは直交する方向)に延びて、複数のキャビティ34の延在方向中間部を横切っている。このため、複数のキャビティ34の長方向中間の内部が直方体形状部分33の厚み方向に一方面側に露出する。上記キャビティ露出用凹部40の位置は、キャビティ34内に端子20を収容した状態で、連結部23が配置される部分である。このため、端子20のうち相手側接続部22と電線接続部24との間で凹む部分がキャビティ露出用凹部40を通じて外部に露出することができる。
【0058】
なお、キャビティ34の一端の開口34aは、その中間部よりも開口を小さくして端子20の抜止めを行う抜止め形状に形成されている(図4参照)。端子20の先端部が当該開口34aに接触することで、端子20がキャビティ34の一端の開口34aから抜けることが抑制される。また、ハウジング本体32は、端子20の相手側接続部22に係止する弾性係止片32Pを有している。弾性係止片32Pは、キャビティ34の内外に向けて弾性変形可能な細長い弾性変形片であり、先端部が相手側接続部22に形成された係止孔22hに係止可能に構成されている(図4参照)。かかる弾性係止片32Pは、ランスと呼ばれることがある部分である。
【0059】
キャビティ34内における端子20の位置は、端子20が上記開口34aに当ると共に、上記弾性係止片32Pが相手側接続部22に形成された係止孔22hに係止することによって規制される位置である。
【0060】
一対のリテーナガイド溝44は、キャビティ露出用凹部40の両側部からキャビティ34の延在方向に交差する方向に延びるようにハウジング本体32の両側部に形成された溝である。本実施形態では、リテーナガイド溝44は、ハウジング本体32の側部において、キャビティ34の延在方向及び複数のキャビティ34が並ぶ方向の両方に直交する方向に延びる凹溝である。ハウジング本体32の厚み方向には貫通してない。
【0061】
一対の係止部46が、一対のリテーナガイド溝44の底面44bのそれぞれに形成されている。本実施形態では、係止部46は、リテーナガイド溝44においてキャビティ34の底よりも溝44の先端側に離れた位置に形成されている。本実施形態では、係止部46は、係止用の突部である。係止部46のうちキャビティ露出用凹部40側の面は、当該キャビティ露出用凹部40から遠ざかるに連れて係止部の高さを徐々に大きくするガイド面に形成されている。係止部46のうちキャビティ露出用凹部40とは反対側の面は、ハウジング本体32の側面に対する角度が前記ガイド面よりも大きい(直角に近い)当接面に形成されている。これにより、リテーナ50のリテーナ側部56(後述する)がガイド面を乗越え易く、かつ、当接面に対して係止状態に保たれ易い。なお、一対の係止部46とは別に、キャビティ露出用凹部40に近い側に補助係止部が設けられていてもよい。補助係止部は、例えば、相手側係止部58が係止部46に係止する前の状態で、相手側係止部58に係止するものであってもよい。
【0062】
ハウジング本体32のうち一対の係止部46のそれぞれが形成された箇所からハウジング本体32の少なくとも一方の端部に向うように一対の凹溝48が形成されている。本実施形態では、凹溝48は、ハウジング本体32の両端に至るように形成されている。凹溝48は、その延在方向において同じ幅部分が連続する形状に形成されている。
【0063】
凹溝48は、上記係止部46が形成された箇所を通過することから、凹溝48の延在方向中間部に、リテーナガイド溝44が交差している。よって、凹溝48の延在方向中間部とリテーナガイド溝44の先端部との交差箇所は、凹溝48の一部であるし、リテーナガイド溝44の一部でもある。
【0064】
凹溝48の底面48bとリテーナガイド溝44の底面44bとは、同一面上に位置している。後述する係止解除部70を、凹溝48の底面48b上に滑らせていくと、リテーナガイド溝44の底面44bと共通する部分に達する。これにより、係止解除部70を凹溝48の底面48bとリテーナ側部56との間に差込み易い。
【0065】
また、リテーナガイド溝44に対してキャビティ露出用凹部40から遠ざかる側に位置する面は、凹溝48のうちキャビティ露出用凹部40から離れた側の側面48aの一部である。後述するリテーナ側部56の先端部は、当該凹溝48の側面48aに対向するように配置される。後述する係止解除部70を、凹溝48の側面48a及び底面48b上に滑らせていくと、係止解除部70を凹溝48の当該側面とリテーナ側部56の先端部との間に差込み易い。
【0066】
リテーナ50は、リテーナ本体52と、一対のリテーナ側部56と、相手側係止部58とを備える。
【0067】
リテーナ本体52は、キャビティ露出用凹部40に配置されてキャビティ34内の端子20を保持する。本実施形態では、リテーナ本体52は、キャビティ露出用凹部40の延在方向全体、即ち、直方体形状部分33の幅方向全体に亘ってキャビティ露出用凹部40に配置可能な長尺板状に形成されている。リテーナ本体52の幅は、キャビティ露出用凹部40の幅と同じであり、リテーナ本体52は、キャビティ露出用凹部40内に収って、コネクタハウジング30の前後方向において位置決めされる。
【0068】
リテーナ本体52の外向き面52fは平坦な面である。リテーナ50がハウジング本体32に装着された状態で、ハウジング本体32のうち厚み方向一方側の主面32f1は、リテーナ本体52の外向き面52fの延長上に位置している。ハウジング本体32のうち厚み方向一方側の主面32f1は、リテーナ本体52の外向き面52fから突出する突部を有さない面であることが好ましい。
【0069】
リテーナ本体52の内向き面のうち各キャビティ34を仕切る側壁と対向する部分は、当該側壁に対してなるべく小さい隙間で対向する形状に形成されている。これにより、各キャビティ34に収容された端子20が絶縁状態で保持される。
【0070】
リテーナ本体52の内向き面のうち各キャビティ34に配置される部分は、キャビティ34に配置される端子20の相手側接続部22と電線接続部24との間の凹部に入り込み可能なように、当該キャビティ34内に出っ張る形状に形成されている。リテーナ本体52の内向き面のうち各キャビティ34に配置される部分の一部が、端子20の形状に合わせて部分的に他の部分よりも凹んでいてもよい。リテーナ本体52の内向き部分がキャビティ34内に突出して当該キャビティ34内の端子20の相手側接続部22と電線接続部24との間の凹部に入り込むことで、端子20がキャビティ34内の一定位置に保持される。この状態で、リテーナ本体52は、キャビティ露出用凹部40内に嵌っている。端子20がその延在方向に移動しようとすると、当該力は、リテーナ本体52を介してキャビティ露出用凹部40の前後両面によって受止められる。
【0071】
リテーナ本体52の内向き部分にキャビティの延在方向に沿って延びるスリット52sが形成されている。リテーナ本体52は、スリット52sの外側に部分的な薄肉部52pを有する。
【0072】
本実施形態では、リテーナ本体52に、その厚み方向中間部を貫通する肉抜き孔52hが形成されている。肉抜き孔52hは、それぞれの端から1つ目及び2つ目のキャビティ34に亘る領域に形成される扁平な孔に形成されている。リテーナ本体52のうち各肉抜き孔52hからいずからのキャビティ34に至る部分に細長いスリット52sが形成される。リテーナ本体52のうちスリット52sの外側に位置し各肉抜き孔52hを囲む部分が薄肉部52pである。
【0073】
上記薄肉部52pの内向き面は、リテーナ本体52がキャビティ露出用凹部40から持上げられる初期段階で、ハウジング本体32の主面32f1よりも外方に位置する。また、上記薄肉部52pの内向き面の正面延長上に、分解用の道具を配置する際に干渉する部分が存在しない。このため、薄肉部52pを利用してリテーナ50をコネクタハウジング30から外す作業を行い易い。
【0074】
また、リテーナ本体52のうち薄肉部52pが形成された部分の少なくとも一方の縁がリテーナガイド溝44の延在方向(キャビティ34の延在方向と同じ方向)において部分的に凹んで、凹部52gが形成されている。本実施形態では、リテーナ本体52のうち端子20の先端側(電線28が延出する側とは反対側)の縁が凹んで凹部52gが形成されている。本実施形態では、凹部52gは、肉抜き孔52hの幅方向全体に凹んでいるが、スリット52sの幅に応じた薄肉部52pの幅に応じた部分にのみ凹部52gが形成されてもよい。
【0075】
一対のリテーナ側部56は、リテーナ本体52の両側部から一対のリテーナガイド溝44に沿って延びるように形成されている。本実施形態では、リテーナ側部56は、等幅な長方形板状である。リテーナ側部56の幅は、リテーナガイド溝44内に収る程度で、当該リテーナ側部56と同じ幅に設定されている。本実施形態では、ハウジング本体32の前後方向におけるリテーナ側部56の幅は、リテーナ本体52の幅よりも大きい。
【0076】
リテーナ側部56の長さは、リテーナ本体52がキャビティ露出用凹部40内に配置された状態で、リテーナ側部56の先端部が凹溝48の側面48aの手前(例えば、2mm以内の手間、好ましくは1mm以内の手前)に達する大きさに設定される。
【0077】
リテーナ側部56の先端部の内向き面は、先端側に向うに連れて外側に向うガイド面56gに形成されている。リテーナ側部56をリテーナガイド溝44に沿って当該リテーナガイド溝44を移動させる際に、ガイド面56gが係止部46に接触することで、リテーナ側部56が外向きに容易に弾性変形し得る。
【0078】
リテーナ側部56の先端部が凹溝48の側面48aの手前に達していることから、周辺部材が上記ガイド面56gに接触して、リテーナ側部56を意図せず外側に変形させてしまうといった状態が生じ難い。
【0079】
一対のリテーナ側部56のそれぞれに、係止部46と係止可能な一対の相手側係止部58が形成されている。本実施形態では、相手側係止部58は、突部である係止部46と係止する凹部である。より具体的には、リテーナ側部56の内向き面に、リテーナ側部56の延在方向に沿って延びる凹溝状の相手側係止部58が形成されている。相手側係止部58の先端部は、リテーナ側部56の先端部の手前に達している。相手側係止部58の先端部において、リテーナ本体52側を向く面が係止部46に係止し得る係止面58fである。
【0080】
なお、相手側係止部58は、一対のリテーナ側部56の基端に向けて延び、リテーナ本体52を貫通している。これにより、溝形状の相手側係止部58を金型成形し易い。相手側係止部58が一対のリテーナ側部56の基端に達していることは必須ではない。
【0081】
リテーナ側部56は、リテーナガイド溝44に配置された状態で、係止部46に係止することができる。リテーナ50がコネクタハウジング30に装着された状態で、ハウジング本体32の両外向きの側面32f2は、リテーナ側部56の外向き面56fの延長上に位置している。ハウジング本体32の側面32f2は、リテーナ側部56の外向き面56fから突出する突部を有さない面であることが好ましい。
【0082】
このコネクタ10においては、端子20をキャビティ34内に挿入した状態で、リテーナ50をコネクタハウジング30に装着することによって、端子20がキャビティ34内に保持される。リテーナ50の装着状態では、コネクタハウジング30の係止部46がリテーナ50の相手側係止部58に係止した状態となっている。また、リテーナ本体52の内向き部分がキャビティ34内に入り込み、かつ、当該キャビティ34内の端子20の相手側接続部22と電線接続部24との間の凹部に入り込んだ状態となっている。
【0083】
脱炭素化に向けて車両に搭載される車載部品についてもリサイクル性を向上させることが要請されている。コネクタ10は車載部品として適用可能な部品の一例である。コネクタ10については、リサイクル性を向上させるために、金属製の端子20と樹脂製のコネクタハウジング30とを簡易かつ素早く分解することが要請されている。
【0084】
コネクタ10については、コネクタハウジング30からリテーナ50を浮上がらせて、リテーナ本体52がキャビティ34内で端子20に引っ掛る状態を素早く解除できるようにすることが要請されている。リテーナ50が端子20に引っ掛る状態を解除できれば、電線28を引張る等して、端子20をキャビティ34から引抜いてコネクタ10を容易に分解することができるからである。なお、コネクタ10は、少なくとも樹脂部分であるコネクタハウジング30と、端子20とに分解できればよく、コネクタハウジング30をハウジング本体32とリテーナ50とに分解できることは必須ではない。
【0085】
<コネクタ分解具>
以下、コネクタ10の分解に適用可能なコネクタ分解具60について説明する。図5及び図6はコネクタ分解具60を示す斜視図である。
【0086】
コネクタ分解具60は、一対の係止解除部70と、分解具本体62とを備える。コネクタ分解具60は、例えば、樹脂の金型成形品であってもよいし、金属によって形成された道具であってもよいし、樹脂と金属との複合部品であってもよい。
【0087】
一対の係止解除部70は、長尺形状に形成されている。係止解除部70の先端部は、リテーナ側部56とハウジング本体32との間に入り込み可能なように、先端に向って徐々に細くなる形状に形成されている。分解具本体62は、一対の係止解除部70を並列状態に支持する。分解具本体62によって、一対の係止解除部70は、一対の凹溝48の間隔に応じた並列状態に保たれる。
【0088】
より具体的には、係止解除部70は、その延在方向を凹溝48の延在方向に沿わせた状態で、凹溝48内に配置可能な太さの長尺形状に形成されている。係止解除部70は、本体部71と、先端部72とを含む。本体部71は、同じ断面形状部分が連続する部分である。当該本体部71の基端部が上記分解具本体62に支持されている。先端部72は、本体部71の先端に直線的に連なって徐々に細くなる部分である。
【0089】
本体部71は、直角をなして隣合う第1接触面71a及び第2接触面71bを含む。第1接触面71aが凹溝48の底面48bに接し、かつ、第2接触面71bが凹溝48の側面48aに接することができる。
【0090】
本体部71は、第1接触面71aとは反対側を向く外向き面71cと、外向き面71cから第2接触面71bとは反対側に向うに連れて徐々に第1接触面71aに近づく側に傾斜する傾斜面71dとを含む。第1接触面71aと外向き面71cとは互いに平行である。本実施形態では、第1接触面71aと傾斜面71dとが連結面71eを介して繋がっている。よって、本体部71は、第1接触面71a、第2接触面71b、外向き面71c、傾斜面71d及び連結面71eによって囲まれる長尺部材である。
【0091】
先端部72は、第1接触面72a、第2接触面72b、外向き面72c、傾斜面72d及び連結面72eを含む。
【0092】
第1接触面72aは第1接触面71aの平面延長上に位置し、第2接触面72bは第2接触面71bの平面延長上に位置する。このため、第1接触面71a、72aを凹溝48の底面48bに接触させると共に、第2接触面71b、72bを凹溝48の側面48aに接触させた状態で、係止解除部70を凹溝48に沿って移動させることができる。第1接触面72a及び第2接触面72bは、係止解除部70が凹溝48内を移動する際に、凹溝48の底面48bと側面48aとに接する接触受面の一例である。
【0093】
外向き面72cは、外向き面71cの先端縁から先端側に向って徐々に第1接触面72aに近づく形状に形成されている。本実施形態では、外向き面72cの先端寄りの部分は、第2接触面72bとは反対側に向うに連れて徐々に第1接触面72a側に近づく形状に形成されている。
【0094】
傾斜面72dは、傾斜面71dの先端縁から先端側に向って徐々に第1接触面72a及び第2接触面72bに近づく形状に形成されている。
【0095】
外向き面72c及び傾斜面72dは、第1接触面72a及び第2接触面72bを含む接触受面とは反対側に位置し、基端側に向うにつれて徐々に凹溝48の底面48b及び側面48aから離れる離脱持上げ面の一例である。
【0096】
連結面72eは、第1接触面72aと傾斜面72dとを連結する形状に形成されている。
【0097】
なお、上記各面は、平面であってもよいし、曲面であってもよく、また、各面の間に丸め加工された部分、角取りされた部分が介在していてもよい。
【0098】
係止解除部70の先端部は、尖っていてもよいし、平面であってもよいし、丸め加工されていてもよい。本実施形態では、係止解除部70の先端部は、平面に形成されている。
【0099】
分解具本体62は、一対の側部66と、連結部64とを備える。
【0100】
一対の側部66は、細長い板状部分66aの先端部に、ガイド突部66gが形成された構成とされている。板状部分66aは、ハウジング本体32のうち凹溝48よりもキャビティ露出用凹部40寄りの側面32f2の外側に配置可能な板状に形成されている。板状部分66aの先端部の内側に細長いガイド突部66gが突出している。ガイド突部66gは、凹溝48の幅に応じた幅を有する直方体状に形成されている。ガイド突部66gが凹溝48内に配置されることによって、コネクタ分解具60が凹溝48に沿って移動するようにガイドされる。
【0101】
一対の側部66の先端部の内側寄りの部分のそれぞれに、係止解除部70が突出している。係止解除部70は、ガイド突部66gの延在方向に沿って突出している。係止解除部70の第1接触面71a、72a及び第2接触面71b、72bが凹溝48の底面48b及び側面48aに接触してスライド移動した後、ガイド突部66gが凹溝48内に入り込むことができる。
【0102】
連結部64は、一対の側部66の基端同士を連結し、当該一対の側部66を平行状態に保つ。これにより、一対の側部66の間に、ハウジング本体32の幅に応じた間隔が隔てられる。
【0103】
連結部64は、間隔をあけて平行状態に配置された一対の板部64aを含む。一対の板部64aのそれぞれが一対の側部66を平行状態に保っている。一対の板部64a間の一方の開口は閉じられているが、これは必須ではない。
【0104】
上記ガイド突部66gが凹溝48内に配置された状態で、連結部64の内向き面は、ハウジング本体32のうちコネクタハウジング30のうち主面32f1に対向して配置される。上記したように、側部66の内向き面も、コネクタハウジング30の側面32f2に対向して配置されている。ハウジング本体32は、主面32f1及び側面32f2から突出する部分を有していない。
【0105】
よって、分解具本体62は、一対の係止解除部70が一対の凹溝48に沿って移動する際に、ハウジング本体32への干渉を避けつつハウジング本体32の周りの少なくとも一部を囲う形状とされる。
【0106】
ハウジング本体32が、主面32f1又は側面32f2から突出する部分を有する場合、分解具本体の内向き部分が、当該突出する部分を回避する凹み形状を有していればよい。
【0107】
なお、ハウジング本体32は、ハウジング本体32の周りの全体を囲む環状形状、例えば、四角い枠形状であってもよい。
【0108】
本実施形態では、コネクタ分解具60は、追加持上げ部80をさらに備える。
【0109】
追加持上げ部80は、分解具本体62により、一対の係止解除部70が延出する方向と同じ方向に延出するように支持されている。追加持上げ部80は、一対の係止解除部70が並ぶ方向に対して直交する板状に形成されている。追加持上げ部80のうち一対の係止解除部70側の縁は、一対の係止解除部70が一対の凹溝48に沿って移動する際に、ハウジング本体32の主面32f1に接触する接触縁81に形成されている。
【0110】
追加持上げ部80は、先端側に向うにつれて一対の係止解除部70側に向う持上げ縁82を有する。持上げ縁82は、接触縁81の先端から追加持上げ部80の基端に向うに連れて一対の係止解除部70から離れる方向に向っているともいえる。
【0111】
本実施形態では、一対の係止解除部70の突出長は、追加持上げ部80の突出長と同じである。リテーナ50の形状に応じて、一対の係止解除部70が追加持上げ部80よりも先にリテーナ50に接触し得るように、一対の係止解除部70及び追加持上げ部80の突出長が設定されるとよい。
【0112】
そして、一対の係止解除部70の先端部72がリテーナ側部56とハウジング本体32の側面32f2との間に入り込んだ状態で、追加持上げ部80がハウジング本体32の主面32f1とリテーナ本体52との間に入り込むことができる。この際、接触縁81がハウジング本体32の主面32f1に接触し、持上げ縁82がリテーナ本体52の内向き面に接触する。追加持上げ部80がハウジング本体32の主面32f1とリテーナ本体52との間に向って入り込んでいくと、持上げ縁82が、リテーナ本体52をキャビティ露出用凹部40から離脱する方向に移動させることができる。
【0113】
<コネクタの分解作業>
上記コネクタ分解具60を用いてコネクタ10を分解する作業例について説明する。
【0114】
まず、図7に示すように、分解の対象となるコネクタ10を準備する。コネクタ10の各キャビティ34には端子20が収容されている。リテーナ本体52が相手側接続部22と電線接続部24との間の凹部に入り込むと共に、弾性係止片32Pが相手側接続部22の係止孔22hに引っ掛っていることが考えられる。端部に端子20が圧着された電線28は、キャビティ34からハウジング本体32の後端側に延出している。
【0115】
ハウジング本体32の前側から一対の係止解除部70を一対の凹溝48内に差込んで、係止解除部70の第1接触面71a、72aを凹溝48の底面48bに接触させると共に、第2接触面71b、72bを凹溝48の側面48aに接触させる。また、追加持上げ部80の接触縁81をハウジング本体32の主面32f1に接触させる。
【0116】
上記各接触状態を保ったまま、一対の係止解除部70を一対の凹溝48内にさらに押込む。すると、図8に示すように、係止解除部70の先端部がハウジング本体32の側面32f2とリテーナ側部56との間に入り込む。
【0117】
より具体的には、係止解除部70の先端部72のうち、離脱持上げ面を構成する外向き面72c及び傾斜面72dが、凹溝48の底面48b及び側面48aと、リテーナ側部56の先端部との間の隙間に入り込む。離脱持上げ面を構成する外向き面72c及び傾斜面72dは、先端側に向かうにつれて凹溝48の底面48b及び側面48a側に向う形状に形成されているため、当該先端部は、凹溝48の底面48b及び側面48aと、リテーナ側部56の先端部との間の隙間に容易に入り込むことができる。また、リテーナ側部56の先端部にガイド面56gが形成されているため、このガイド面によって、凹溝48の底面48b及び側面48aと、リテーナ側部56の先端部との間の隙間を大きくすることができる。これによっても、係止解除部70の先端部が凹溝48の底面48b及び側面48aと、リテーナ側部56の先端部との間の隙間に容易に入り込むことができる。
【0118】
係止解除部70の先端部72及び本体部71がハウジング本体32の側面32f2とリテーナ側部56との間に入り込むと、リテーナ側部56の先端部が側面32f2から離れる方向に弾性変形する。これにより、係止部46と相手側係止部58との係止状態が解除される。この状態で、係止解除部70の先端部72及び本体部71は、リテーナ側部56をリテーナ本体52側に移動させることができる。これにより、リテーナ本体52は、キャビティ露出用凹部40から離脱する方向に移動する。
【0119】
係止解除部70がリテーナ側部56の先端部との間の隙間に入り込んだ状態で、リテーナ本体52が相手側接続部22と電線接続部24との間の凹部に入り込んだ状態が解除されること、即ち、リテーナ50による端子20の保持状態が解除されることが好ましい。
【0120】
リテーナ50による端子20の保持状態が解除されれば、端子20は、弾性係止片32Pによって保持された状態となっている。弾性係止片32Pによる係止状態は、電線28を大きな力で引っ張ることによって、解除されることが想定される。コネクタハウジング30の再利用を想定しない場合、弾性係止片32Pは破損してもよい。
【0121】
一対の係止解除部70を一対の凹溝48内に押込んでいくと、追加持上げ部80の先端がリテーナ本体52に達し、持上げ縁82がリテーナ本体52に内側から接触し始める。本実施形態では、リテーナ本体52の延在方向において、追加持上げ部80は、薄肉部52p(つまりスリット52sが形成された箇所)に位置している。このため、持上げ縁82は、薄肉部52pに接触する。薄肉部52pの内向き面は、リテーナ本体52における他の部分の内向き面よりも早期にハウジング本体32の主面32f1から浮上がった位置に配置される。このため、リテーナ本体52の持上がり量が少ない初期段階で、追加持上げ部80によってリテーナ本体52を持上げることができる。
【0122】
また、リテーナ本体52のうち薄肉部52pが形成された部分に凹部52gが形成されている。凹部52gの凹み長さによって、追加持上げ部80の先端がリテーナ本体52に接触し始める位置又はタイミングが調整され得る。
【0123】
図9に示すように、リテーナ50をさらに押していくと、持上げ縁82がリテーナ本体52をさらに上方に持上げ、リテーナ本体52からキャビティ露出用凹部40から脱すると共に、リテーナ側部56がリテーナガイド溝44から脱する。これにより、リテーナ50がハウジング本体32に対して分離する。
【0124】
分解具本体62は、ハウジング本体32への干渉を避けつつハウジング本体32の周りの少なくとも一部を囲っている。このため、一対の係止解除部70が凹溝48を通過すると、分解具本体62は、ハウジング本体32の周りを同方向に抜けていくことができる。つまり、一対の係止解除部70が一対の凹溝48によってガイドされた状態で、コネクタ10がコネクタ分解具60内を通過するように、コネクタ10を引抜けば、リテーナ50がハウジング本体32に対して分解される。この際、リテーナ50が分解具本体62によって押されてハウジング本体32からより確実に分離される。
【0125】
リテーナ50がハウジング本体32に対して分解された後、電線28が引張られて、端子20がキャビティ34から抜かれてもよい。
【0126】
なお、コネクタ分解具60は、コネクタ10に凹溝48が形成されていない場合においても、リテーナ側部56をコネクタハウジング30の側面32f2から遠ざける方向に変形させることができる。この場合においても、コネクタ分解具60は、コネクタハウジング30から端子20を分解するための分解具として利用可能である。
【0127】
<効果等>
以上のように構成されたコネクタ10によると、一対の凹溝48内の空間を利用して、一対のリテーナ側部56とハウジング本体32の側面32f2との間の隙間にアクセスし易い。このため、一対の凹溝48を利用して、一対のリテーナ側部56をハウジング本体32の側面32f2から離す方向に移動させて係止部46と相手側係止部58との係止を解除したり、リテーナ本体52をキャビティ露出用凹部40からから離脱する方向に移動させたりすることが容易となる。これにより、リテーナ50による端子20の保持状態を容易に解除できる。
【0128】
これにより、例えば、脱炭素化へ向けて車載部品であるコネクタをリサイクルする際に、金属製の端子20と樹脂製のコネクタハウジング30とを、簡単かつ素早く分解することができる。
【0129】
また、一対の凹溝48のそれぞれは、ハウジング本体32のうち一対の係止部46のそれぞれが形成された箇所からハウジング本体32の両端に向う溝であるため、当該凹溝48を利用して、リテーナ50による端子20の保持状態を容易に解除できる。例えば、一対の係止解除部70をリテーナ側部56とハウジング本体32の側面32f2との間に差込んだ後、そのまま一対の係止解除部70を一対の凹溝48を抜けていくことができる。これにより、追加持上げ部80によるリテーナ50の移動や、分解具本体62によってリテーナ50を押退けたりすることができる。
【0130】
また、リテーナ本体52が部分的な薄肉部52pを有するため、リテーナ本体52をキャビティ露出用凹部40から離脱する方向に移動させる距離が少なくても、当該薄肉部52pの内向き面を、ハウジング本体32の主面32f1よりも外側に位置させ易い。これにより、リテーナ50を僅かに浮かせた状態から、リテーナ本体52をキャビティ露出用凹部40から離脱する方向に移動させる方向にさらに移動させ易い。
【0131】
また、リテーナ本体52のうち薄肉部52pが形成された部分の少なくても一方の縁が部分的に凹む凹部52gに形成されているため、例えば、コネクタ分解具60をリテーナガイド溝44に沿って移動させてリテーナ50を外す際に、当該コネクタ分解具60がリテーナ本体52のうち薄肉部52pが形成された部分の少なくても一方の縁に接触するタイミングを調整することができる。
【0132】
これにより、例えば、長さが異なるという点で異なる種類のコネクタ、又は、リテーナの位置が異なるという点で異なる種類のコネクタが存在する場合に、上記凹部の凹み量を調整することで、同じコネクタ分解具60を、異なる種類のコネクタの分解具として適用し易い。
【0133】
また、ハウジング本体32は、リテーナ50が装着された状態で、リテーナ本体52の外向き面の延長上に位置する主面32f1と、一対のリテーナ側部56の外向き面の延長上に位置する一対の側面32f2とを有するため、主面32f1及び一対の側面32f2の外側で、リテーナ50を外すためのコネクタ分解具60を取回し易い。例えば、コネクタ分解具60内を、コネクタハウジング30が通過するようにして、コネクタ分解具60によってリテーナ50の取外し作業を実施できる。
【0134】
また、ハウジング本体32は、一列に並ぶ複数のキャビティ34のみを有しているため、リテーナ50をハウジング本体32から分離させ易い。
【0135】
また、このコネクタ分解具60によると、一対の係止解除部70のそれぞれが、リテーナ50とハウジング本体32の側部との間に入り込み可能なように先端に向って徐々に細くなる先端部72を有するため、一対の係止解除部70をハウジング本体32の両側部に沿って移動させて、一対の係止解除部70の先端部72をリテーナ50とハウジング本体32の側部との間に入り込ませることができる。これにより、ハウジング本体32に対するリテーナ50の係止状態を解除し、リテーナ50による端子20の保持状態を容易に解除できる。
【0136】
また、係止解除部70の先端部72は、凹溝48の底面48bと一方の側面48aとに接する接触受面としての第1接触面72a及び第2接触面72bと、当該接触受面とは反対側に位置し、基端側に向うにつれて徐々に凹溝48の底面48b及び側面48aから離れる離脱持上げ面としての外向き面72c及び傾斜面72dとを有する。このため、係止解除部70が凹溝48内を移動することによって、離脱持上げ面によって、リテーナ50を凹溝48の底面48bと側面48aから離れる方向に移動させることができる。これにより、ハウジング本体32に対するリテーナ50の係止状態を解除し、かつ、リテーナ50を、ハウジング本体32から離脱する方向に移動させることができ、リテーナ50による端子20の保持状態を容易に解除できる。
【0137】
また、分解具本体62は、追加持上げ部80を有するため、係止解除部70によって持上げたリテーナ50を、追加持上げ部80によってさらにキャビティ露出用凹部40からさらに離脱させる方向に持上げることができ、コネクタ10の分解がさらに容易となる。
【0138】
また、分解具本体62は、一対の係止解除部70が一対の凹溝48に沿って移動する際に、ハウジング本体32への干渉を避けつつハウジング本体32の周りの少なくとも一部を囲う形状に形成されているため、一対の係止解除部70を一対の凹溝48に沿って移動させ易い。凹溝48がハウジング本体32の両端に貫通していれば、一対の係止解除部70が、一対の凹溝48を通過するように設定でき、コネクタ10の分解作業を行い易い。
【0139】
[変形例]
図10に示す変形例に係るコネクタ分解具160のように、コネクタ分解具160は、分解具本体62から突出する持ち手部170を備えていてもよい。持ち手部170は、分解具本体62から突出することによって、コネクタ分解具160を一定位置に保持するか、又は、コネクタ10に対して移動させる力を受止める部分である。持ち手部170は、作業者の手180が掴み易い細長い棒状の柄であってもよい。持ち手部170は、分解具本体62からいずれの方向に延出していてもよい。図10では、持ち手部170は、連結部64から分解具本体62に対して係止解除部70と同じ方向に突出している。
【0140】
持ち手部は、側部66の外面から突出する板状、方形状、又は、棒状の突起であってもよい。持ち手部は、手が掴める程度の大きさである必要は無い。例えば、手指の力を受止めることができる程度の面を有する突起であってもよい。
【0141】
コネクタ10自体が小さく(幅10mm~15mm程度)、従って、分解具本体62自体も小さいことが考えられる。このような場合に、コネクタ分解具160が持ち手部170を備えることによって、コネクタ10に対してコネクタ分解具160を移動させ易い。これにより、コネクタ10の分解作業を容易に実施できる。
【0142】
図11に示す変形例に係るコネクタ210のように、ハウジング本体32に対応するハウジング本体232は、リテーナ本体52に対応するリテーナ本体252の一側から他側に向って、リテーナガイド溝44に沿った方向において位置を変えて複数列で並ぶ複数のキャビティ34を有していてもよい。
【0143】
この場合、ハウジング本体232は、複数のキャビティの各列に応じて、キャビティ露出用凹部40に対応するキャビティ露出用凹部240を複数有している。リテーナに対応するリテーナ250は、複数のキャビティ34の各列に応じて、リテーナ本体252を複数有する。
【0144】
この場合においても、コネクタ210が凹溝48を有することによって、上記実施形態と同様に、ハウジング本体232に対するリテーナ250の係止状態を容易に解除できる。
【0145】
また、上記コネクタ分解具60の側部66を長くすることによって、上記実施形態と同様に、係止解除部70を、リテーナ側部56に対応するリテーナ側部256とハウジング本体232の側部との間に容易に差込んで、ハウジング本体232に対するリテーナ250の係止状態を容易に解除できる。
【0146】
これにより、複数のキャビティ34の各列において、リテーナ本体252による端子20の保持状態を一括して解除できる。
【0147】
なお、本変形例の場合、ハウジング本体232に対するリテーナ250の係止状態を解除した後、端子20を抜き、その後、ハウジング本体232からリテーナ250を離脱させればよい。なお、リテーナ250をハウジング本体232から離脱させなくてもよい。
【0148】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0149】
10、310 コネクタ
20 端子
22 相手側接続部
22h 係止孔
23 連結部
24 電線接続部
28 電線
30 コネクタハウジング
32、232 ハウジング本体
32P 弾性係止片
32f1 ハウジング本体の主面
32f2 ハウジング本体の側面
33 直方体形状部分
34 キャビティ
34a キャビティの開口
35 コネクタ接続用係止片
36 操作部
37 囲い部
40、240 キャビティ露出用凹部
44 リテーナガイド溝
46 係止部
48 凹溝
48a 凹溝の側面(一方側面)
48b 凹溝の底面
50、250 リテーナ
52、252 リテーナ本体
52f 外向き面
52g 凹部
52h 肉抜き孔
52p 薄肉部
52s スリット
56、256 リテーナ側部
56f 外向き面
56g ガイド面
58 相手側係止部
58f 係止面
60、160 コネクタ分解具
62 分解具本体
64 連結部
64a 板部
66 側部
66a 板状部分
66g ガイド突部
70 係止解除部
71 本体部
71a 第1接触面
72a 第1接触面(接触受面)
71b 第2接触面
72b 第2接触面(接触受面)
71c 外向き面
72c 外向き面(離脱持上げ面)
71d 傾斜面
72d 傾斜面(離脱持上げ面)
71e、72e 連結面
72 先端部
80 追加持上げ部
81 接触縁
82 持上げ縁
170 持ち手部
180 作業者の手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11