(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160294
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 9/06 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
H02K9/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070549
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中濱 敬文
(72)【発明者】
【氏名】王 蕾
(72)【発明者】
【氏名】内藤 克仁
(72)【発明者】
【氏名】安室 慧
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB18
5H609PP08
5H609PP09
5H609QQ02
5H609QQ11
5H609RR10
5H609RR11
5H609RR20
5H609RR23
5H609RR24
5H609RR38
5H609RR39
5H609RR42
(57)【要約】 (修正有)
【課題】騒音低減と冷却性能の確保を両立すること。
【解決手段】回転子鉄心12の軸方向の端部に配設されロータシャフトに取り付けられたボス51とボスの外周面に接続し径方向外側に広がる回転円板52とボスの軸方向外側面に取り付けられた複数の外扇ブレード60とを有する外扇50、固定子鉄心22を有する固定子、固定子鉄心を回転子鉄心に対向配置させて固定し固定子鉄心および回転子鉄心を収容する固定子枠32、ロータシャフト11を支承する軸受40および軸受の外周側に形成された吸気口44を有する軸受ブラケット30、固定子鉄心に対応する位置に開口部46が形成され固定子枠の外周面を覆うフレーム34、軸受ブラケット内面における吸気口の外周縁部から外扇ブレードの軸受側端部に向けて回転円板と対向する位置に形成され吸気口から外扇ブレードのロータシャフトに対向する端部に向けて気流を形成可能な導風板62を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータシャフトと、
前記ロータシャフトの外周に沿って固定された回転子鉄心を有する回転子と、
前記回転子鉄心の軸方向の端部に配設され、前記ロータシャフトに取り付けられたボスと、前記ボスの外周面に接続し径方向外側に広がる回転円板と、前記ボスの軸方向外側面に取り付けられた複数の外扇ブレードとを有する外扇と、
前記回転子鉄心の径方向外側に配された固定子鉄心を有する固定子と、
前記ロータシャフトと同軸的に配設され、前記固定子鉄心を前記回転子鉄心に対向配置させて固定し、前記固定子鉄心および前記回転子鉄心を収容する固定子枠と、
前記ロータシャフトを回転自在に支承する軸受および該軸受の外周側に形成された吸気口を有する軸受ブラケットと、
前記固定子鉄心に対応する位置に開口部が形成され前記固定子枠の外周面を覆うフレームと、
前記軸受ブラケット内面における前記吸気口の外周縁部から前記外扇ブレードの前記軸受側端部に向けて前記回転円板と対向する位置に形成され、前記吸気口から前記外扇ブレードの前記ロータシャフトに対向する端部に向けて気流を形成可能な導風板と、
を備えた回転電機。
【請求項2】
前記回転円板は、前記ボスの前記軸受側の外周縁部から前記ロータシャフトの径方向の前記回転円板の端部までの略中央が前記ロータシャフトを含む平面における変曲点となるように、前記ボス側は前記回転子鉄心に向けて凸型の面形状、前記外扇の端部側は前記軸受側に向けて凸型の面形状を有すること
を特徴とする請求項1記載の回転電機。
【請求項3】
前記導風板は、前記軸受ブラケット内面から前記ロータシャフトの径方向の前記ロータシャフト側の端部までの略中央が前記ロータシャフトを含む平面における変曲点となるように、前記軸受ブラケット内面側は前記吸気口に向けて凸型の面形状、前記導風板の端部側は前記回転円板側に向けて凸型の面形状を有すること
を特徴とする請求項1記載の回転電機。
【請求項4】
前記導風板の変曲点は、前記吸気口の中心よりも外径側に位置することを特徴とする請求項3記載の回転電機。
【請求項5】
前記回転円板は、前記ボスの前記軸受側の外周縁部から前記ロータシャフトの径方向の前記回転円板の端部までの略中央が前記ロータシャフトを含む平面における変曲点となるように、前記ボス側は前記回転子鉄心に向けて凸型の面形状、前記外扇の端部側は前記軸受側に向けて凸型の面形状を有し、
前記導風板は、前記軸受ブラケット内面から前記ロータシャフトの径方向の前記ロータシャフト側の端部までの略中央が前記ロータシャフトを含む平面における変曲点となるように、前記軸受ブラケット内面側は前記吸気口に向けて凸型の面形状、前記導風板の端部側は前記回転円板側に向けて凸型の面形状を有し、
前記回転円板の変曲点は、前記導風板の変曲点よりも外径側に位置することを特徴とする請求項1記載の回転電機。
【請求項6】
前記導風板の変曲点から前記ロータシャフト側の端部までの領域は、前記ロータシャフトから前記吸気口に向けて曲面形状に形成され、その断面が屈曲していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項7】
前記固定子枠および前記軸受ブラケットがなす空間の前記ロータシャフト方向の径が、前記回転円板および前記軸受ブラケットがなす空間の前記ロータシャフト方向の径よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、品質向上やメンテナンス負荷の軽減を目的とし、車両駆動に用いる回転電機の分野などにおいて開放型から全閉型への切り替えが進んでいる。全閉型の回転電機は、開放型のそれとは異なり、回転電機内で発生した熱を、フレームなどの外被を介して放熱する。したがって、固定子の固定子巻線などの温度が上昇しやすい。
【0003】
回転電機の固定子巻線の温度が高くなると、巻線を絶縁する絶縁物の劣化が早くなり、回転電機の寿命が短くなる。固定子巻線に関係するメンテナンスでは機器の分解を伴うオーバーホールが必要であるが、機器の寿命が短くなることによりオーバーホールのインターバルが短くなってしまう。そのため、特に全閉型の回転電機においては冷却を強化することが重要である。
【0004】
鉄心の両側に外扇を有し、かつ内扇と一体となっている回転電機では、主に固定子巻線の端部から内気、外扇、外気という放熱経路と、固定子鉄心内の固定子巻線から直接固定子鉄心、固定子を覆うフレーム、外気という経路から放熱される。そのため、機内の固定子巻線等の冷却性能をさらに向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-25521
【特許文献2】特開2014-103762
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、回転子端部に外扇を備える回転電機では、吸気口から吸入した空気を機器内に取り入れて通過させている。このとき、吸気口から吸入した空気が機器内の外扇に当たる際にサイレン音のような騒音が生じていた。このほか、機器内を通過する気流により、翼通過周波数騒音や乱流騒音が発生していた。一方、騒音を低減すべく吸気口からの空気の吸入量を減少させると、回転電機の冷却機能を維持することができなくなるという問題があった。
【0007】
この発明はかかる課題に鑑みなされたもので、外気を取り入れる際の騒音の低減と冷却性能の確保を両立することのできる回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の回転電機は、ロータシャフトと、ロータシャフトの外周に沿って固定された回転子鉄心を有する回転子と、回転子鉄心の軸方向の端部に配設され、ロータシャフトに取り付けられたボスと、ボスの外周面に接続し径方向外側に広がる回転円板と、ボスの軸方向外側面に取り付けられた複数の外扇ブレードとを有する外扇と、回転子鉄心の径方向外側に配された固定子鉄心を有する固定子と、ロータシャフトと同軸的に配設され、固定子鉄心を回転子鉄心に対向配置させて固定し、固定子鉄心および回転子鉄心を収容する固定子枠と、ロータシャフトを回転自在に支承する軸受および該軸受の外周側に形成された吸気口を有する軸受ブラケットと、固定子鉄心に対応する位置に開口部が形成され固定子枠の外周面を覆うフレームと、軸受ブラケット内面における吸気口の外周縁部から外扇ブレードの軸受側端部に向けて回転円板と対向する位置に形成され、吸気口から外扇ブレードのロータシャフトに対向する端部に向けて気流を形成可能な導風板と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る回転電機の回転軸方向の上半の断面を示す部分断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る回転電機の外扇の拡大図である。
【
図3】第2の実施形態に係る回転電機の外扇の拡大図である。
【
図4】回転電機の流路における段差状部分の様子を示す模式図である。
【
図5】回転電機の流路における段差状部分の様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の回転電機1の回転軸方向の断面を示す部分断面図である。
図1に示すように、実施形態の回転電機1は、回転子10および固定子20を有する。回転子10は、ロータシャフト11、その外周に沿って固定された回転子鉄心12、および回転子巻線14を有している。ロータシャフト11は、軸受40を介して軸受ブラケット30により支承される。固定子20は、回転子鉄心12と対向配置される固定子鉄心22を有する。固定子鉄心22は、固定子巻線24を有している。
【0011】
固定子鉄心22は、固定子枠32により固定される。固定子枠32は、略円筒状の形状を有しており、ロータシャフト11と同軸的に配設される。固定子枠32は、固定子鉄心22を回転子鉄心12に対向配置させて固定し、回転子鉄心12および固定子鉄心22を収容する。固定子枠32は、フレーム34および軸受ブラケット30により覆われている。フレーム34および軸受ブラケット30は、回転子10および固定子20を収容している。すなわち、回転電機1は、回転子鉄心12および回転子巻線14並びに固定子20が、フレーム34および軸受ブラケット30に収容された全閉回転電機である。固定子枠32と、フレーム34および軸受ブラケット30との間には空間42が形成されている。空間42は、回転電機を冷却する空気の流路を形成する。
【0012】
軸受ブラケット30は、軸受40の外周側近傍に吸気口44を有する。フレーム34は、その軸方向中央部(固定子鉄心22に対応する位置)に開口部46を有する。フレーム34は、固定子枠32の外周面を覆っている。この実施形態の回転電機1では、吸気口44から、固定子枠32およびフレーム34の間の空間42を経て開口部46に至る空気の流路(第1の流路)が形成される。すなわち、吸気口44から取り込まれた空気は、固定子枠32の外周を通って固定子鉄心22を冷却し、開口部46から流出する。吸気口44は、少なくとも一つ設けるが、例えば、周方向に間隔を置いて複数設けてもよい。
【0013】
固定子鉄心22および固定子巻線24の間には、ロータシャフト11の径方向に向けた隙間48が形成されている。隙間48は、固定子巻線24が固定子鉄心22から軸方向の外側に出た位置に形成される。回転子10の回転に伴って固定子枠32内部に気流が発生し、その気流は固定子巻線24の外周を経て隙間48を通過する(第2の流路)。固定子鉄心22および回転子鉄心12において発生した熱は、第2の流路を流れる空気によって固定子枠32に伝達され、さらに第1の流路を流れる空気によって回転電機1の外に排出される。
【0014】
回転子鉄心12の両端部には、ロータシャフト11の外周に沿って固定された外扇50が配設されている。外扇50は、ロータシャフト11の回転に従って回転する。外扇50は、ロータシャフト11に取り付けられた円筒状のボス51、ボス51の外周面に接続して径方向外側に広がる回転円板52、回転円板52の軸方向外側の面に周方向に間隔を置いて取り付けられた複数の外扇ブレード60、および外扇ブレード60の軸方向外側に外扇ブレード60と間隙を置いて配された導風板62を有する。
【0015】
外扇50の軸受ブラケット30側の外周縁部には、ロータシャフト11の軸方向から見て円板状の回転円板52が、ロータシャフト11と同軸的に形成されている。回転円板52は、ロータシャフト11の軸方向に沿って回転子鉄心12から軸受ブラケット30に向けた滑らかな曲面状に形成され、回転円板変曲点53を境にロータシャフト11から固定子枠32に向けた滑らかな曲面状に形成される。すなわち、第2の流路において隙間48から回転円板52を経て固定子枠32の内面に向けて滑らかな気流が形成されるように構成される。
【0016】
ボス51の軸受ブラケット30側(軸受側)の端部には、外扇ブレード60が設けられている。外扇ブレード60は、ロータシャフト11の回転に伴ってロータシャフト11に対向する端部から、回転円板52および軸受側ブラケット30がなす空間および固定子枠32およびフレーム34がなす空間42を経て開口部46に向かう第1の流路に気流を生成可能に構成されている。
【0017】
回転円板52の端部には、固定子巻線24と対向しロータシャフト11を中心として放射状に複数の内扇ブレード54が形成されている。内扇ブレード54の固定子巻線24に対向する端部には、回転円板52に沿って円環状の内扇シュラウド55が形成されている。内扇ブレード54は、ロータシャフト11および外扇50の回転に伴って、固定子巻線24の外周、隙間48を経て内扇ブレード54の内周側に向かう第2の流路に気流を発生させる。
【0018】
以上のように、本実施形態では、外扇50に内扇ブレード54が設けられており、外扇50が内扇としての機能をも有している場合を例に示しているが、これには限定されない。すなわち、内扇が外扇と独立して設けられている場合であってもよい。
【0019】
軸受ブラケット30の吸気口44の内面側外周部には、導風板62が配設されている。導風板62は、軸受ブラケット30の内面における吸気口44の外周縁部から外扇ブレード60の軸受側の端部に向けて、回転円板52と対向する位置に形成される。導風板62は、吸気口44から外扇ブレード60のロータシャフト11に対向する端部(内周縁部)に向けて気流を形成可能に構成される。導風板62は、ロータシャフト11の軸方向に沿って軸受ブラケット30から外扇ブレード60に向けた滑らかな曲面状に形成され、導風板変曲点63を境に固定子枠32からロータシャフト11に向けた滑らかな曲面状に形成される。
【0020】
外扇ブレード60の軸受40側端部と導風板62の導風板変曲点63から端部側とは、略同一の断面形状を有している。すなわち、第1の流路において吸気口44から、導風板62の端部面、外扇ブレード60、フレーム34および固定子枠32の間の空間42を経て開口部46に向けた滑らかな気流が生ずるように形成される。外扇ブレード60は、ロータシャフト11および回転子鉄心12の回転に伴って、第1の流路に気流を発生させる。
【0021】
(回転円板の詳細)
図2は、回転円板52を含む外扇50の拡大図である。
図2は、吸気口44から開口部46に向けた第1の流路と、内扇ブレード54から固定子巻線24の外周、隙間48を経て内扇ブレード54に向けた第2の流路が矢印により示されている。
【0022】
図2に示すように、回転円板52は、ボス51との接続点から回転円板変曲点53までの領域について固定子巻線24に向けた凸型形状を有している。また、回転円板52は、回転円板変曲点53から回転円板52の端部までの領域について導風板62に向けた凸型形状を有している。回転円板変曲点53は、回転円板52の径方向の略中央部に位置している。
【0023】
導風板62は、回転円板52に対向し、回転円板52の端部の位置に対応する軸受ブラケット30内表面の位置から、外扇ブレード60の軸受11側縁部に対応する位置にかけて形成されている。導風板62は、その軸受40側表面において端部から導風板変曲点63までの領域について外扇ブレード60に向けた凸型形状を有している。導風板62の導風板変曲点63から端部までの領域は、対向する外扇ブレード60に対し相対的に近接させた位置に形成される(図中X点)。また、導風板62は、導風板変曲点63から軸受ブラケット30の接続点までの領域について軸受ブラケット30に向けた凸型形状を有している。導風板変曲点63は、導風板62の径方向の略中央部に位置している。
【0024】
この実施形態の回転電機1によれば、外扇ブレード60と吸気口44との間に導風板62を備えたので、ロータシャフト11の回転に伴って回転する外扇ブレード60に吸気口44から流入する気流が直接当たることにより発生するサイレン音を抑制することができる。また、導風板62を軸受型ブレード60と近接させて対向配置したので、両者の隙間に漏れる気流を抑えることが可能となる。これにより乱流騒音を抑制することができる。同様に、外扇ブレード60の外径側縁部から内径側縁部へ向けた空気の循環流れを抑制することができ、外扇ブレード60における空気の流量の減少を抑えることができる。これは、第1の流路の気流を確保することを可能にし、回転電機1の温度上昇を抑えることができる。すなわち、気流による騒音の低減と冷却性能の維持とを両立することができる。
【0025】
なお、導風板62に対向する外扇ブレード60の端部にシュラウドを形成してもよい。これにより、騒音の低減と冷却性能の維持とを両立することができる。以下に説明する他の実施形態においても同様の構成により同様の効果を得ることができる。
【0026】
(変曲点の位置)
図2に示すように、導風板変曲点63のロータシャフト11からの距離φDpは、軸受ブラケット30に形成された吸気口44の中心点のロータシャフト11からの距離φDsよりも長いこと(φDp>φDs)が望ましい。すなわち、導風板変曲点63は、吸気口44の中心点よりもロータシャフト11を中心に外径側に配設されることが望ましい。かかる構成により、吸気口44と導風板62の間の通風断面積を確保することができ、通風抵抗を下げ空気の流量を増やすことが可能となる。すなわち、第1の流路を流れる気流を確保し回転電機1の温度上昇を抑えることができる。
【0027】
さらに、
図2に示すように、回転円板変曲点53のロータシャフト11からの距離φDiは、導風板変曲点63のロータシャフト11からの距離φDpよりも長いこと(φDi>φDp)が望ましい。すなわち、回転円板変曲点53は、導風板変曲点63よりもロータシャフト11を中心に外径側に配設されることが望ましい。かかる構成により、回転円板変曲点53と導風板変曲点63の間の通風断面積を確保することができ、通風抵抗を下げ空気の流量を増やすことが可能となる。すなわち、第1の流路を流れる気流を確保し回転電機1の温度上昇を抑えることができる。
【0028】
(流体騒音の低減)
図1および
図2に示すように、実施形態の回転電機1では、第1の流路をなす外扇ブレード60から回転円板52の端部までの部分と、同じく第1の流路をなす固定子枠32とフレーム34および軸受ブラケット30の間の空間42をなす部分とでは、その接続点において流路の径が小さくなるよう壁面が段差状に形成されている。
図4は、第1の実施形態の回転電機1における当該段差状部分を示している。
【0029】
図4に示すように、回転円板52と軸受ブラケット30との間に形成される第1の流路の径は、固定子枠32とフレーム34および軸受ブラケット30との間に形成される第1の流路の径よりも大きくなるよう形成される。これは、段差部分において、第1の流路の気流が縮流となることを意味している。
【0030】
ここで、当該段差部分において、第1の流路の径が拡大する場合について説明する。
図5は、回転円板52と軸受ブラケット30との間に形成される第1の流路の径が、固定子枠32とフレーム34および軸受ブラケット30との間に形成される第1の流路の径よりも小さい場合を示している。
図5に示す例では、第1の流路の径の段差部分において、気流が拡大流となっている。このような拡大流となる部分では、第1の流路を流れる気流から流れが剥離する領域Yが形成されてしまう。この剥離は、当該部分前後において圧力変動を生じさせるから、流体騒音の発生原因となる。
【0031】
実施形態の回転電機1では、第1の流路において縮流となるような流路構成を備えるので、気流の隔離に起因する流体騒音を抑制することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
続いて、
図3を参照して、第2の実施形態に係る回転電機を詳細に説明する。
図3は、第2の実施形態の回転電機における回転円板52を含む外扇50を拡大した拡大図である。この実施形態の回転電機は、第1の実施形態の回転電機のうち導風板62の構成を変更したものである。以下の説明において、第1の実施形態と共通する構成および要素については共通する符号を付して示し、重複する説明を省略する。
【0033】
図3に示すように、この実施形態の回転電機2は、導風板62の先端部に曲面部64を備えている。曲面部64は、ロータシャフト11側の端部が軸受44側に向けて大きく屈曲し断面がJ字状の形状を有している。すなわち、導風板62の吸い込み口が曲面部64において上流側に向かって広がっており、いわゆるベルマウス状となっている。曲面部64は、吸入口44から外扇ブレード60への気流の流れがベルマウスに沿うような流れとなるように設計される。なお、曲面部64がさらに延びて、閉空間を形成する場合であってもよい。
【0034】
この実施形態の回転電機2によれば、吸気口44から流入する空気が導風板62の断面がJ字状の曲面部64を通過することにより、外扇ブレード60へ向かう気流が導風板62の端部において剥離することを防ぐことができる。これにより、外扇ブレード60がもつファン性能を向上させて第1の流路を流れる気流の流量を増加させることができる。その結果、回転電機2内の温度上昇を抑え騒音防止に加えて冷却性能を維持することができる。
【0035】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1…回転電機、10…回転子、11…ロータシャフト、12…回転子鉄心、14…回転子巻線、20…固定子、22…固定子鉄心、24…固定子巻線、30…軸受ブラケット、32…固定子枠、34…フレーム、40…軸受、42…空間、44…吸入口、46…開口部、48…隙間、50…外扇、51…ボス、52…回転円板、53…回転円板変曲点、54…内扇ブレード、55…シュラウド、60…外扇ブレード、62…導風板、63…導風板変曲点。