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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160315
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】情報読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06V 30/14 20220101AFI20231026BHJP
【FI】
G06V30/14 340B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070588
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】栗山 真明
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 謙太朗
(72)【発明者】
【氏名】鴻巣 光司
【テーマコード(参考)】
5B029
【Fターム(参考)】
5B029BB02
5B029CC21
5B029CC25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】撮像後に文字認識対象の指定操作を行うことなく、撮像された文字列の一部のみを文字認識対象とする情報読取装置を提供する。
【解決手段】情報読取装置10は、撮像部23と、撮像部23により文字列が撮像された撮像画像に対して文字列の少なくとも一部を読み取るための文字認識処理を行う文字認識部としての制御部21と、撮像部23の撮像範囲に向けてマーカ光を照射するマーカ光照射部25と、を備える。制御部21は、撮像部23の撮像画像に含まれる文字列のうちマーカ光が照射される位置を基準に所定の方向に並ぶ文字を文字認識処理の対象とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
前記撮像部により文字列が撮像された撮像画像に対して前記文字列の少なくとも一部を読み取るための文字認識処理を行う文字認識部と、
前記撮像部の撮像範囲に向けてマーカ光を照射するマーカ光照射部と、
を備える情報読取装置であって、
前記文字認識部は、前記撮像部の撮像画像に含まれる前記文字列のうち前記マーカ光が照射される位置を基準に所定の方向に並ぶ文字を前記文字認識処理の対象とすることを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
前記マーカ光は、第1の基準線部と前記第1の基準線部の一方の端部に交わる第2の基準線部とを備え、
前記文字認識部は、前記第1の基準線部と前記第2の基準線部との交点を基準に前記所定の方向として前記第1の基準線部の他方の端部に向かう方向に並ぶ文字を前記文字認識処理の対象とすることを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記マーカ光照射部は、前記一方の端部が前記撮像画像の一端側に位置にして前記他方の端部が前記撮像画像の他端側に位置にする第1マーカ光と、前記一方の端部が前記撮像画像の前記他端側に位置にして前記他方の端部が前記撮像画像の前記一端側に位置にする第2マーカ光とを、照射可能に構成され、
前記第1マーカ光が前記マーカ光照射部から照射される照射状態と前記第2マーカ光が前記マーカ光照射部から照射される照射状態とを切り替え操作するための操作部を備えることを特徴とする請求項2に記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記マーカ光は、第1の基準線部と前記第1の基準線部の一方の端部に交わる第2の基準線部と前記第1の基準線部の他方の端部に交わる第3の基準線部とを備え、
前記文字認識部は、前記第1の基準線部及び前記第2の基準線部の交点と前記第1の基準線部及び前記第3の基準線部の交点との間であって前記所定の方向として前記第1の基準線部に沿う方向に並ぶ文字を前記文字認識処理の対象とすることを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項5】
前記文字認識部は、第1の指示に応じて前記撮像部により前記文字列を含めるように第1の撮像画像が撮像された後に第2の指示に応じて前記撮像部により同じ前記文字列を含めるように第2の撮像画像が撮像されると、前記第1の撮像画像に含まれる前記文字列のうち前記マーカ光が照射される第1の文字と前記第2の撮像画像に含まれる前記文字列のうち前記マーカ光が照射される第2の文字と前記第1の文字及び前記第2の文字の間に並ぶ文字とを前記文字認識処理の対象とすることを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項6】
前記文字認識部は、第1の指示を受けてから第2の指示を受けるまで前記撮像部により同じ前記文字列を含めるように複数の撮像画像が撮像されると、前記複数の撮像画像において前記マーカ光が照射される文字を前記文字認識処理の対象とすることを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像画像から文字情報を読み取る情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、文字認識したい文字列を撮像した撮像画像に対して公知の文字認識処理(OCR(Optical Character Recognition)処理)を行うことで、その文字列をデータ化する作業の効率化を図っている。例えば、下記特許文献1に開示される文字矩形抽出装置では、スキャナ等によって文字認識したい文字列を含む画像データが生成されて画面表示されると、ユーザがマウスを用いて、行の始点近傍の位置にポインタを移動させてマウスボタンをクリックし、次に、行の終点近傍の位置にポインタを移動させてマウスボタンをクリックする操作を行う。これにより、複数の文字列からなる文字列群が撮像される場合でも、ユーザによる操作に応じて指定された文字列に対して文字認識処理を実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-204270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、文字認識処理の対象とする文字部分(以下、認識対象文字ともいう)と文字認識処理の対象としない文字部分(以下、非対象文字ともいう)とが一例に並ぶ文字列を撮像する際、非対象文字まで文字認識されてしまう場合がある。例えば、商品に賞味期限として印字されている「賞味期限:〇〇/〇〇/〇〇」を撮像してその日付部分を文字認識する場合、文字認識したい「〇〇/〇〇/〇〇」だけでなく、データとして取得不要な「賞味期限:」の文字部分まで文字認識されてしまう場合がある。同様に、例えば、URLとして印字されている「URL:xxx・・・」を撮像して文字認識する場合、取得不要な「URL:」の文字部分までも文字認識されてしまう場合がある。上記特許文献1のように、撮像した文字列の画像を画面表示してその文字列のうちの認識対象文字の範囲をユーザが指定操作することもできるが、1つの文字列を撮像するごとにその文字列が表示された画面を見て指定操作する必要があり、作業効率が悪くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、撮像後に文字認識対象の指定操作を行うことなく、撮像された文字列の一部のみを文字認識対象とし得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
撮像部(23)と、
前記撮像部により文字列が撮像された撮像画像に対して前記文字列の少なくとも一部を読み取るための文字認識処理を行う文字認識部(21)と、
前記撮像部の撮像範囲に向けてマーカ光(30,30a,30b,40,50)を照射するマーカ光照射部(25)と、
を備える情報読取装置(10)であって、
前記文字認識部は、前記撮像部の撮像画像に含まれる前記文字列のうち前記マーカ光が照射される位置を基準に所定の方向に並ぶ文字を前記文字認識処理の対象とすることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明では、撮像部により文字列が撮像された撮像画像に対して文字認識処理を行う文字認識部は、撮像部の撮像画像に含まれる文字列のうちマーカ光が照射される位置を基準に所定の方向に並ぶ文字を文字認識処理の対象とする。
【0008】
これにより、認識対象文字と非対象文字とが一例に並ぶ文字列を撮像する場合でも、認識対象文字と非対象文字との間にマーカ光が照射されるとともに認識対象文字が上記所定の方向に並ぶように文字列を撮像することで、撮像した文字列のうちの認識対象文字のみに対して文字認識処理を行うことができる。したがって、撮像後に文字認識対象の指定操作を行うことなく、撮像された文字列の一部(認識対象文字)のみを文字認識対象とすることができる。
【0009】
請求項2の発明では、マーカ光は、第1の基準線部とこの第1の基準線部の一方の端部に交わる第2の基準線部とを備える。文字認識部は、第1の基準線部と第2の基準線部との交点を基準に上記所定の方向として第1の基準線部の他方の端部に向かう方向に並ぶ文字を文字認識処理の対象とする。
【0010】
これにより、認識対象文字と非対象文字との間にマーカ光の上記交点が照射されるとともに認識対象文字に第1の基準線部が重ねられた照射状態で文字列が撮像されることで、撮像した文字列のうちの認識対象文字のみに対して文字認識処理を行うことができる。特に、マーカ光の上記交点が認識対象文字と非対象文字との間に位置して第1の基準線部が認識対象文字に重なるようにマーカ光を文字列に照射して撮像すればよいので、認識対象文字を文字認識するための作業が明確化されて容易になり、さらに作業効率を高めることができる。
【0011】
請求項3の発明では、マーカ光照射部は、上記一方の端部が撮像画像の一端側に位置にして上記他方の端部が撮像画像の他端側に位置にする第1マーカ光と、上記一方の端部が撮像画像の他端側に位置にして上記他方の端部が撮像画像の一端側に位置にする第2マーカ光とを、照射可能に構成される。そして、第1マーカ光がマーカ光照射部から照射される照射状態と第2マーカ光がマーカ光照射部から照射される照射状態とを切り替え操作するための操作部を備える。
【0012】
これにより、認識対象文字が非対象文字に対して撮像画像の他端側に位置する場合には、操作部に対して第1マーカ光が照射されるように切り替え操作することで、第1の基準線部が撮像画像の他端側に向けて延伸する照射状態になるため、第1の基準線部を認識対象文字に重ねやすくすることができる。その一方で、認識対象文字が非対象文字に対して撮像画像の一端側に位置する場合には、操作部に対して第2マーカ光が照射されるように切り替え操作することで、第1の基準線部が撮像画像の一端側に向けて延伸する照射状態になるため、この場合でも第1の基準線部を認識対象文字に重ねやすくすることができる。
【0013】
請求項4の発明では、マーカ光は、第1の基準線部と第1の基準線部の一方の端部に交わる第2の基準線部と第1の基準線部の他方の端部に交わる第3の基準線部とを備える。文字認識部は、第1の基準線部及び第2の基準線部の交点と第1の基準線部及び第3の基準線部の交点との間であって所定の方向として第1の基準線部に沿う方向に並ぶ文字を文字認識処理の対象とする。
【0014】
これにより、2つの交点を認識対象文字の始端と終端に合せるようにマーカ光を文字列に照射して撮像すればよいので、認識対象文字を文字認識するための作業が明確化されて容易になり、さらに作業効率を高めることができる。特に、一方の非対象文字と他方の非対象文字との間にて認識対象文字が並ぶような文字列であっても、認識対象文字のみに対して文字認識処理を行うことができる。
【0015】
請求項5の発明では、文字認識部は、第1の指示に応じて撮像部により文字列を含めるように第1の撮像画像が撮像された後に第2の指示に応じて撮像部により同じ文字列を含めるように第2の撮像画像が撮像されると、第1の撮像画像に含まれる文字列のうちマーカ光が照射される第1の文字と第2の撮像画像に含まれる文字列のうちマーカ光が照射される第2の文字と第1の文字及び第2の文字の間に並ぶ文字とを文字認識処理の対象とする。
【0016】
これにより、マーカ光が認識対象文字の始端に照射された際に第1の指示を行ってマーカ光が認識対象文字の終端に照射された際に第2の指示を行えばよいので、認識対象文字を文字認識するための作業が明確化されて容易になり、さらに作業効率を高めることができる。特に、一方の非対象文字と他方の非対象文字との間にて認識対象文字が並ぶような文字列であっても、認識対象文字のみに対して文字認識処理を行うことができる。
【0017】
請求項6の発明では、文字認識部は、第1の指示を受けてから第2の指示を受けるまで撮像部により同じ文字列を含めるように複数の撮像画像が撮像されると、複数の撮像画像においてマーカ光が照射される文字を文字認識処理の対象とする。
【0018】
これにより、マーカ光が認識対象文字の始端に照射された際に第1の指示を行ってからマーカ光が認識対象文字の並びに沿って移動するように情報読取装置を移動させて、マーカ光が認識対象文字の終端に照射された際に第2の指示を行えばよいので、認識対象文字を文字認識するための作業が明確化されて容易になり、さらに作業効率を高めることができる。特に、一方の非対象文字と他方の非対象文字との間にて認識対象文字が並ぶような文字列だけでなく、認識対象文字が2つ以上の行に渡るような複数行の文字列であっても、認識対象文字のみに対して文字認識処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る情報読取装置を示す斜視図である。
図2】情報読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図3図3(A)は、第1実施形態において撮像部によって撮像されるマーカ光の照射状態を説明する説明図であり、図3(B)は、図3(A)のマーカ光が照射されて撮像される文字列の画像を説明する説明図である。
図4】第1実施形態において制御部にて行われる選択文字認識処理の流れを例示するフローチャートである。
図5図5(A)は、第1実施形態の第1変形例において撮像部によって撮像されるマーカ光の照射状態を説明する説明図であり、図5(B)は、図5(A)のマーカ光が照射されて撮像される文字列の画像を説明する説明図である。
図6図6(A)は、第1実施形態の第2変形例において撮像部によって撮像されるマーカ光の照射状態を説明する説明図であり、図6(B)は、図6(A)のマーカ光が照射されて撮像される文字列の画像を説明する説明図である。
図7】第2実施形態に係る情報読取装置の要部を説明する説明図であり、図7(A)は、第1の指示に応じて撮像された第1の撮像画像を示し、図7(B)は、第2の指示に応じて撮像された第2の撮像画像を示す。
図8】第3実施形態に係る情報読取装置の要部を説明する説明図であり、図8(A)は、認識対象文字を含めた文字列群を示し、図8(B)~(G)は、第1の指示から第2の指示までに撮像された撮像画像の一部を示し、図8(H)は、文字認識処理の対象とされた文字列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る情報読取装置10は、文字情報や情報コード(バーコードやQRコード(登録商標)等)などの光学的情報を光学的に読み取る携帯型の情報処理端末として構成されている。
【0021】
図1に示すように、情報読取装置10の外郭を構成する筐体11は、略薄板状に形成されており、その表面には、狭額縁化(狭ベゼル化)されるように大型化されたタッチパネル26が配置されている。また、筐体11の裏面の長手方向一側には、照明光が照射された文字情報等からの反射光を筐体内に取り込むための読取口12が設けられている。
【0022】
次に、情報読取装置10の電気的構成について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、情報読取装置10は、全体制御を司る制御部21、半導体メモリ等からなる記憶部22、カメラとして構成される撮像部23、撮像部23による撮像視野に対して照明光を照射する照明部24、撮像部23の撮像範囲に向けてマーカ光を照射可能なマーカ光照射部25、制御部21によって表示内容が制御されるタッチパネル26、タッチパネル26に対するタッチ操作やトリガーキーなどのキー操作に応じた信号を制御部21に出力する操作部27、上位機器等と通信するための通信部28や、電源部及びバッテリなど(図示略)を備えている。
【0023】
マーカ光照射部25は、制御部21により制御されて、図3(A)に例示する撮像画像Pに含まれるようなマーカ光30を照射する照射状態と、マーカ光30が照射されない非照射状態とを切り替え可能に構成されている。本実施形態では、マーカ光30は、第1の基準線部31とこの第1の基準線部31の一方の端部31aに直交するように交わる第2の基準線部32とを備えるように構成されている。マーカ光照射部25は、区形状の撮像画像の長辺と第1の基準線部31とが平行であって、第1の基準線部31の一方の端部31aが撮像画像の一端側(図3では左側)に位置にして他方の端部31bが撮像画像の他端側(図3では右側)に位置にするように配置されている。
【0024】
本実施形態に係る情報読取装置10は、所定のアプリケーションプログラムがインストールされることで、撮像部23により文字情報が撮像された撮像画像に対してその文字情報を読み取るための文字認識処理を行う機能(OCR)や撮像部23により情報コードが撮像された撮像画像に対してその情報コードを読み取るためのデコード処理を行う機能を有するように構成されている。
【0025】
特に、本実施形態では、文字列の一部である認識対象文字のみを文字認識処理の対象として選択するためのアプリケーションプログラムがインストールされている。そして、このアプリケーションプログラムが起動されることで制御部21にてなされる選択文字認識処理により、撮像画像に含まれる文字列のうちマーカ光30が照射される位置を基準に所定の方向に並ぶ文字が文字認識処理の対象として選択される。なお、選択文字認識処理を行う制御部21は、「文字認識部」の一例に相当し得る。
【0026】
具体的には、選択文字認識処理では、第1の基準線部31と第2の基準線部32との交点33を基準に上記所定の方向として第1の基準線部31の他方の端部31bに向かう方向に並ぶ文字を文字認識処理の対象とする。このため、例えば、撮像した文字列「賞味期限:〇〇/〇〇/〇〇」のうち、「〇〇/〇〇/〇〇」を文字認識処理の対象とする文字部分(認識対象文字)とし、「賞味期限:」を文字認識処理の対象としない文字部分(非対象文字)とする場合には、図3(B)に例示するように、文字列に対してマーカ光30を照射する。すなわち、非対象文字である「賞味期限:」と認識対象文字である「〇〇/〇〇/〇〇」との間にマーカ光30の交点33が照射されるとともに「〇〇/〇〇/〇〇」に第1の基準線部31が重ねられた照射状態で文字列が撮像されることで、「〇〇/〇〇/〇〇」のみを文字認識処理の対象とすることができる。
【0027】
以下、本実施形態において、制御部21にてなされる選択文字認識処理について、図4に示すフローチャートを参照して詳述する。なお、以下の説明では、図3(B)に例示する文字列の認識対象文字「〇〇/〇〇/〇〇」を文字認識処理の対象とする場合について具体的に説明する。
【0028】
操作部27に対する所定の操作に応じて制御部21により選択文字認識処理が開始されると、図4のステップS101に示すマーカ光照射処理がなされ、マーカ光照射部25からマーカ光30が照射される。続いて、ステップS103の判定処理にて、トリガーキーがON操作されたか否かについて判定され、トリガーキーがON操作されていない場合にはNoと判定されて、上記ステップS101からの処理が繰り返される。
【0029】
このようにマーカ光30が照射されている状態で、ユーザは、「賞味期限:」と「〇〇/〇〇/〇〇」との間にマーカ光30の交点33が照射されるとともに「〇〇/〇〇/〇〇」に第1の基準線部31が重ねられる照射状態(図3(B)参照)となるように読取口12を文字列に向けた状態で、操作部27のトリガーキーをON操作する。このON操作により(S103でYes)、ステップS105に示す撮像処理がなされ、図3(B)に例示するような撮像画像Pが撮像される。
【0030】
続いて、ステップS107に示す文字認識範囲設定処理がなされ、マーカ光30の交点33を基準に第1の基準線部31の他方の端部31bに向かう方向の領域が、文字認識範囲として設定される。なお、交点33が文字に重なっている場合には、その文字を含めるように文字認識範囲を設定することができる。
【0031】
そして、ステップS109に示す文字認識処理がなされ、撮像画像において上述のように設定された文字認識範囲内の文字を認識するための処理がなされる。これにより、図3(B)に例示されるようにマーカ光30及び文字列が撮像されている場合には、文字列の一部である「〇〇/〇〇/〇〇」が認識対象文字として認識される。
【0032】
上述のように認識対象文字の認識に成功すると(S111でYes)、ステップS111に示す認識結果記憶処理にて、上述のように認識された認識対象文字が出力すべき認識結果として記憶部22に記憶されて、本選択文字認識処理が終了する。なお、記憶部22に記憶される認識対象文字は、認識成功するごとに通信部28を介して上位機器等に送信されてもよいし、所定のタイミングにて複数の認識結果をまとめるようにして上位機器等に送信されてもよい。
【0033】
一方、上述のように設定された文字認識範囲内の文字の認識に失敗すると(S111でNo)、上記ステップS105からの処理がなされて、新たに撮像された撮像画像について文字認識範囲の設定及び認識対象文字の認識がなされる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、撮像部23により文字列が撮像された撮像画像に対して行われる選択文字認識処理では、撮像部23の撮像画像に含まれる文字列のうちマーカ光30が照射される位置を基準に所定の方向に並ぶ文字を文字認識処理の対象とする。
【0035】
これにより、図3(B)に例示するように、認識対象文字(「〇〇/〇〇/〇〇」)と非対象文字(「賞味期限:」)とが一例に並ぶ文字列を撮像する場合でも、認識対象文字と非対象文字との間にマーカ光30が照射されるとともに認識対象文字が上記所定の方向に並ぶように文字列を撮像することで、撮像した文字列のうちの認識対象文字のみに対して文字認識処理を行うことができる。したがって、撮像後に文字認識対象の指定操作を行うことなく、撮像された文字列の一部(認識対象文字)のみを文字認識対象とすることができる。
【0036】
特に、マーカ光30は、第1の基準線部31とこの第1の基準線部31の一方の端部31aに交わる第2の基準線部32とを備える。文字認識処理では、第1の基準線部31と第2の基準線部32との交点33を基準に上記所定の方向として第1の基準線部31の他方の端部31bに向かう方向に並ぶ文字を文字認識処理の対象とする。
【0037】
これにより、認識対象文字と非対象文字との間にマーカ光30の交点33が照射されるとともに認識対象文字に第1の基準線部31が重ねられた照射状態で文字列が撮像されることで、撮像した文字列のうちの認識対象文字のみに対して文字認識処理を行うことができる。特に、マーカ光30の交点33が認識対象文字と非対象文字との間に位置して第1の基準線部31が認識対象文字に重なるようにマーカ光30を文字列に照射して撮像すればよいので(図3(B)参照)、認識対象文字を文字認識するための作業が明確化されて容易になり、さらに作業効率を高めることができる。
【0038】
本実施形態の第1変形例として、マーカ光照射部25は、マーカ光30に加えて、図5(A)に例示するようなマーカ光30aを照射可能であって、操作部27に対する所定の操作に応じてマーカ光30が照射される照射状態とマーカ光30aが照射される照射状態とを切り替え可能に構成されてもよい。このマーカ光30aは、第2の基準線部32と交わる第1の基準線部31の一方の端部31aが撮像画像の他端側(図5では右側)に位置にして他方の端部31bが撮像画像の一端側(図5では左側)に位置にするように照射される。
【0039】
これにより、例えば、撮像した文字列「ABC DEFG HIJ」のうち、「ABC DEFG」を認識対象文字とし、「HIJ」を非対象文字とする場合には、図5(B)に例示するように、文字列に対してマーカ光30aを照射する。すなわち、認識対象文字である「ABC DEFG」と非対象文字である「HIJ」との間にマーカ光30aの交点33が照射されるとともに「ABC DEFG」に第1の基準線部31が重ねられた照射状態で文字列が撮像されることで、「ABC DEFG」のみを文字認識処理の対象とすることができる。
【0040】
すなわち、マーカ光照射部25は、一方の端部31aが撮像画像の一端側に位置にして他方の端部31bが撮像画像の他端側に位置にする第1マーカ光となるマーカ光30と、一方の端部31aが撮像画像の他端側に位置にして他方の端部31bが撮像画像の一端側に位置にする第2マーカ光となるマーカ光30aとを、照射可能に構成される。そして、操作部27に対する所定の操作に応じて、マーカ光30がマーカ光照射部25から照射される照射状態とマーカ光30aがマーカ光照射部25から照射される照射状態とが切り替えられる。
【0041】
これにより、認識対象文字が非対象文字に対して撮像画像の他端側に位置する場合には(図3(B)参照)、始点を指定して文字認識するため、操作部27に対してマーカ光30が照射されるように切り替え操作する。これにより、第1の基準線部31が撮像画像の他端側に向けて延伸する照射状態になるため、第1の基準線部31を認識対象文字に重ねやすくすることができる。その一方で、認識対象文字が非対象文字に対して撮像画像の一端側に位置する場合には(図5(B)参照)、終点を指定して文字認識するため、操作部27に対してマーカ光30aが照射されるように切り替え操作する。これにより、第1の基準線部31が撮像画像の一端側に向けて延伸する照射状態になるため、この場合でも第1の基準線部31を認識対象文字に重ねやすくすることができる。
【0042】
本実施形態の第2変形例として、マーカ光照射部25は、さらに、図6(A)に例示するようなマーカ光30bを照射可能に構成されてもよい。このマーカ光30bは、第1の基準線部31と第1の基準線部31の一方の端部31aに直交するように交わる第2の基準線部32とに加えて、第1の基準線部31の他方の端部31bに直交するように交わる第3の基準線部32aとを備えるように照射される。このマーカ光30bが照射される場合には、上記字認識範囲設定処理では、第1の基準線部31及び第2の基準線部32の交点33と第1の基準線部31及び第3の基準線部32aの交点33aとの間であって第1の基準線部31に沿う方向に並ぶ文字が文字認識処理の対象とされる。このため、図6(B)のように文字列「ABC DEFG HIJ」が撮像される場合には、交点33と交点33aとの間の「DEFG」が文字認識処理の対象とされる。
【0043】
これにより、2つの交点33,33aを認識対象文字の始端と終端に合せるようにマーカ光30bを文字列に照射して撮像すればよいので、認識対象文字を文字認識するための作業が明確化されて容易になり、さらに作業効率を高めることができる。特に、一方の非対象文字と他方の非対象文字との間にて認識対象文字が並ぶような文字列であっても、認識対象文字のみに対して文字認識処理を行うことができる。
【0044】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、2つの撮像画像にて撮像されるマーカ光を利用して認識対象文字を特定する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
本実施形態では、マーカ光照射部25は、略十字状のマーカ光40を撮像部23の撮像範囲の中央付近に向けて照射するように構成されている。そして、第1の指示に応じて撮像部23により文字列を含めるように第1の撮像画像P1が撮像された後に第2の指示に応じて撮像部23により同じ文字列を含めるように第2の撮像画像P2が撮像されると、第1の撮像画像P1に含まれる文字列のうちマーカ光40が照射される第1の文字と第2の撮像画像P2に含まれる文字列のうちマーカ光40が照射される第2の文字と第1の文字と第2の文字との間に並ぶ文字とが文字認識処理の対象とされる。
【0046】
具体的には、第1の指示として1回目のトリガーキーのON操作がなされた際に図7(A)に示すような第1の撮像画像P1が撮像されて、第2の指示として2回目のトリガーキーのON操作がなされた際に図7(B)に示すような第2の撮像画像P2が撮像された場合を想定する。このような場合、まず、第1の撮像画像P1においてマーカ光40が照射される「D」が第1の文字として文字認識処理の対象とされ、次に、第2の撮像画像P2においてマーカ光40が照射される「G」が第2の文字として文字認識処理の対象とされる。その後、第1の撮像画像P1においてマーカ光40が照射されていない第2の文字「G」が画像解析によって抽出されるとともに、第2の撮像画像P2においてマーカ光40が照射されていない第1の文字「D」が画像解析によって抽出される。そして、第1の撮像画像P1において第1の文字「D」と第2の文字「G」との間に並ぶ文字(「E」「F」)と、第2の撮像画像P2において第1の文字「D」と第2の文字「G」との間に並ぶ文字(「E」「F」)とが一致する場合、第1の文字「D」及び第2の文字「G」と両者の間に並ぶ文字「E」「F」とが文字認識処理の対象とされる。
【0047】
このように、マーカ光40が認識対象文字の始端に照射された際に第1の指示を行ってマーカ光40が認識対象文字の終端に照射された際に第2の指示を行えばよいので、認識対象文字を文字認識するための作業が明確化されて容易になり、さらに作業効率を高めることができる。特に、図7からわかるように、一方の非対象文字と他方の非対象文字との間にて認識対象文字が並ぶような文字列であっても、認識対象文字のみに対して文字認識処理を行うことができる。
【0048】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る情報読取装置について、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、複数の撮像画像にて撮像されるマーカ光を利用して認識対象文字を特定する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
本実施形態では、マーカ光照射部25は、円形状のマーカ光50を撮像部23の撮像範囲の中央付近に向けて照射するように構成されている。そして、第1の指示を受けてから第2の指示を受けるまで撮像部23により同じ文字列を含めるように複数の撮像画像が撮像されると、複数の撮像画像においてマーカ光50が照射される文字が文字認識処理の対象とされる。
【0050】
以下、図8(A)に示すように、文字「A」~「W」が2段で並ぶ文字列群のうち「D」「E」「F」「Q」「R」「S」「T」「U」を文字認識処理の対象とする場合について、図8(B)~(H)を参照して説明する。
【0051】
ユーザは、「D」にマーカ光50が照射されている状態で第1の指示として1回目のトリガーキーをON操作した後、そのマーカ光50を「E」「F」「Q」「R」「S」「T」の順に向けて、最後の「U」にマーカ光50が照射されている状態で第2の指示として2回目のトリガーキーをON操作する。
【0052】
これにより、1回目のトリガーキーのON操作がなされた際に図8(B)に示すような撮像画像Pが撮像された後、マーカ光50が「E」「F」「Q」「R」「S」「T」の順に向けられる際、図8(C)~(F)に示す撮像画像Pが順次撮像される。この撮像時には、マーカ光50が照射される1つの文字が文字認識処理の対象とされる。そして、2回目のトリガーキーのON操作がなされた際に図8(G)に示すような撮像画像Pが撮像されることで、図8(H)に示すように、今までにマーカ光50が照射された「D」「E」「F」「Q」「R」「S」「T」「U」が文字認識処理の対象とされる。
【0053】
このように、マーカ光50が認識対象文字の始端(図8の例では「D」)に照射された際に第1の指示を行ってからマーカ光50が認識対象文字の並びに沿って移動するように情報読取装置10を移動させて、マーカ光50が認識対象文字の終端(図8の例では「U」)に照射された際に第2の指示を行えばよいので、認識対象文字を文字認識するための作業が明確化されて容易になり、さらに作業効率を高めることができる。特に、一方の非対象文字と他方の非対象文字との間にて認識対象文字が並ぶような文字列だけでなく、認識対象文字が2つ以上の行に渡るような複数行の文字列であっても、認識対象文字のみに対して文字認識処理を行うことができる。
【0054】
なお、本発明は上記各実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明は、撮像した文字情報に対して文字認識処理を実施可能な携帯型の情報読取装置に適用されることに限らず、他の機能、例えば、無線タグなどを読み書きする無線タグ通信機能を更に有する情報読取装置に適用されてもよい。
【0055】
(2)マーカ光30,30aは、第1の基準線部31と第2の基準線部32とが直交するように交わるように照射されることに限らず、第1の基準線部31に対して第2の基準線部32が斜めに交わるように照射されてもよい。また、マーカ光30,30aは、第2の基準線部32に代えて曲線部等が第1の基準線部31に対して交わるように照射されてもよい。
【0056】
(3)マーカ光40は、略十字状に照射されることに限らず、例えば、マーカ光50のように円形状に照射されてもよい。
【0057】
(4)マーカ光50は、円形状に照射されることに限らず、例えば、マーカ光40のように略十字状に照射されてもよい。
【0058】
10…情報読取装置
21…制御部(文字認識部)
23…撮像部
25…マーカ光照射部
30,30a,30b,40,50…マーカ光
31…第1の基準線部
31a…一方の端部
31b…他方の端部
32…第2の基準線部
32a…第3の基準線部
33,33a…交点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8