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特開2023-160344情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160344
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231026BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20231026BHJP
   G16Y 20/10 20200101ALI20231026BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20231026BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20231026BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16H10/00
G16Y20/10
G16Y20/40
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070661
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】513217311
【氏名又は名称】株式会社ジオクリエイツ
(71)【出願人】
【識別番号】521339382
【氏名又は名称】東京eスポーツゲート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】本田 司
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】ユーザがサウナを利用したことが心身の状態の改善に寄与しているかどうかをユーザが把握できるようにする。
【解決手段】情報処理装置1は、サウナ室への入室、サウナ室から退出した後の水風呂への入浴、及び水風呂に入浴した後の休憩を含むサウナ行動を実施したユーザの複数の時刻それぞれの心拍数を示す心拍数データである実測心拍数データを取得する取得部131と、心身の状態が改善するサウナ行動に対応する心拍数の特徴を示す基準データを参照することにより、取得部131が取得した実測心拍数データが示す、ユーザのサウナ行動における心拍数の変化量に基づいて、ユーザの心身の状態を示す指標値を算出する算出部132と、算出部132が算出した指標値を出力する出力部133と、を有する。
【選択図】図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サウナ室への入室、前記サウナ室から退出した後の水風呂への入浴、及び前記水風呂に入浴した後の休憩を含むサウナ行動を実施したユーザの複数の時刻それぞれの心拍数を示す心拍数データである実測心拍数データを取得する取得部と、
心身の状態が改善する前記サウナ行動に対応する前記心拍数の特徴を示す基準データを参照することにより、前記取得部が取得した前記実測心拍数データが示す、前記ユーザの前記サウナ行動における前記心拍数の変化量に基づいて、前記ユーザの心身の状態を示す指標値を算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記指標値を出力する出力部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記サウナ行動を実施する前の前記ユーザの心拍数データである行動前心拍数データを取得し、
前記算出部は、前記行動前心拍数データに基づいて前記ユーザの平常時の心拍数を算出するとともに、前記実測心拍数データに基づいて前記サウナ行動を実施した場合における前記心拍数の最大値を特定し、算出した前記平常時の心拍数に対する、特定した前記心拍数の最大値の倍率と前記基準データが示す基準倍率との関係に基づいて、前記指標値を算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記実測心拍数データに基づいて前記サウナ行動を実施した場合における前記心拍数の最大値と最小値とを特定し、算出した前記最大値に対する前記最小値の割合と、前記基準データが示す基準割合との関係に基づいて、前記指標値を算出する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記実測心拍数データに基づいて前記ユーザが水風呂に入浴した期間、及び休憩した期間を特定し、特定した2つの期間における心拍数の変化量を退室後変化量として算出し、算出した前記退室後変化量と前記基準データが示す基準退室後変化量との関係に基づいて前記指標値を算出する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記算出部は、特定した前記2つの期間のうち、心拍数の変化量が所定範囲内である期間を特定し、特定した期間の長さと前記基準データが示す心拍数の変化量が所定範囲内である基準安定期間との関係に基づいて前記指標値を算出する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記サウナ行動を実施する前の前記ユーザの心拍数データである行動前心拍数データを取得し、
前記算出部は、前記行動前心拍数データに基づいて前記ユーザの平常時の心拍数を算出するとともに、特定した前記2つの期間のうち、心拍数の変化量が所定範囲内である期間における前記心拍数の平均値を算出し、算出した前記平常時の心拍数に対する、前記心拍数の平均値の差分と前記基準データが示す基準差分との関係に基づいて、前記指標値を算出する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記算出部は、前記実測心拍数データが示す前記心拍数の変化に基づいて、前記サウナ室への入室、前記サウナ室から退出した後の水風呂への入浴、及び前記水風呂に入浴した後の休憩を前記サウナ行動の1つのサイクルとした場合における、前記ユーザの前記サウナ行動のサイクル数を特定し、特定した前記サイクル数が複数である場合に、複数の前記サウナ行動それぞれにおける前記ユーザが水風呂に入浴した期間、及び休憩した期間を特定し、特定した2つの期間のうち、心拍数の変化量が所定範囲内である期間における前記心拍数の平均値を算出し、複数の前記サウナ行動それぞれにおける前記心拍数の平均値の変化量と前記基準データが示す基準変化量との関係に基づいて、前記指標値を算出する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記算出部は、前記実測心拍数データに基づく、前記サウナ行動における複数の時刻それぞれの心拍数を示す心拍グラフと、前記心身の状態が良好な状態である場合の心拍グラフである基準グラフとの類似度を算出し、前記類似度に基づいて前記指標値を算出する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記算出部は、複数の実測心拍数データと、複数の実測心拍数データそれぞれの基準心拍データに対する類似度との組み合わせを教師データとして学習することにより生成された、実測心拍数データの入力に対し、前記類似度を出力するモデルに対し、前記取得部が取得した前記実測心拍数データを入力し、前記モデルから前記類似度を取得し、取得した類似度に基づいて前記指標値を算出する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記算出部は、前記心拍数データが示す前記心拍数の変化に基づいて、前記サウナ室への入室、前記サウナ室から退出した後の水風呂への入浴、及び前記水風呂に入浴した後の休憩を前記サウナ行動の1つのサイクルとした場合における、前記ユーザの前記サウナ行動のサイクル数を特定し、特定した前記サイクル数と前記基準データが示す基準サイクル数との差にさらに基づいて前記指標値を算出する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記出力部は、前記ユーザの前記サウナ行動の実施中に、前記ユーザが視認可能な表示部に対して、前記ユーザに対して算出した前記指標値を表示させる、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する、
サウナ室への入室、前記サウナ室から退出した後の水風呂への入浴、及び前記水風呂に入浴した後の休憩を含むサウナ行動を実施したユーザの複数の時刻それぞれの心拍数を示す心拍数データである実測心拍数データを取得するステップと、
心身の状態が改善する前記サウナ行動に対応する前記心拍数の特徴を示す基準データを参照することにより、取得した前記実測心拍数データが示す、前記ユーザの前記サウナ行動における前記心拍数の変化量に基づいて、前記ユーザの心身の状態を示す指標値を算出するステップと、
算出した前記指標値を出力するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータを、
サウナ室への入室、前記サウナ室から退出した後の水風呂への入浴、及び前記水風呂に入浴した後の休憩を含む1つのサウナ行動とした場合における、前記サウナ行動を実施したユーザの複数の時刻それぞれの心拍数を示す心拍数データである実測心拍数データを取得する取得部、
心身の状態が改善する前記サウナ行動に対応する前記心拍数の特徴を示す基準データを参照することにより、前記取得部が取得した前記実測心拍数データが示す、前記ユーザの前記サウナ行動における前記心拍数の変化量に基づいて、前記ユーザの心身の状態を示す指標値を算出する算出部、及び、
前記算出部が算出した前記指標値を出力する出力部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サウナを利用した場合におけるユーザの体調を評価することが行われている。例えば、特許文献1には、サウナを利用したユーザの体調を評価可能な指標である心拍数を計測し、計測した心拍数を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-270315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、ユーザは自身の心拍数を確認することができるものの、ユーザがサウナを利用したことがユーザの心身の状態の改善に寄与しているかどうかを評価することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザがサウナを利用したことが心身の状態の改善に寄与しているかどうかをユーザが把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、サウナ室への入室、前記サウナ室から退出した後の水風呂への入浴、及び前記水風呂に入浴した後の休憩を含むサウナ行動を実施したユーザの複数の時刻それぞれの心拍数を示す心拍数データである実測心拍数データを取得する取得部と、心身の状態が改善する前記サウナ行動に対応する前記心拍数の特徴を示す基準データを参照することにより、前記取得部が取得した前記実測心拍数データが示す、前記ユーザの前記サウナ行動における前記心拍数の変化量に基づいて、前記ユーザの心身の状態を示す指標値を算出する算出部と、前記算出部が算出した前記指標値を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記取得部は、前記サウナ行動を実施する前の前記ユーザの心拍数データである行動前心拍数データを取得し、前記算出部は、前記行動前心拍数データに基づいて前記ユーザの平常時の心拍数を算出するとともに、前記実測心拍数データに基づいて前記サウナ行動を実施した場合における前記心拍数の最大値を特定し、算出した前記平常時の心拍数に対する、特定した前記心拍数の最大値の倍率と前記基準データが示す基準倍率との関係に基づいて、前記指標値を算出してもよい。
【0008】
前記算出部は、前記実測心拍数データに基づいて前記サウナ行動を実施した場合における前記心拍数の最大値と最小値とを特定し、算出した前記最大値に対する前記最小値の割合と、前記基準データが示す基準割合との関係に基づいて、前記指標値を算出してもよい。
【0009】
前記算出部は、前記実測心拍数データに基づいて前記ユーザが水風呂に入浴した期間、及び休憩した期間を特定し、特定した2つの期間における心拍数の変化量を退室後変化量として算出し、算出した前記退室後変化量と前記基準データが示す基準退室後変化量との関係に基づいて前記指標値を算出してもよい。
【0010】
前記算出部は、特定した前記2つの期間のうち、心拍数の変化量が所定範囲内である期間を特定し、特定した期間の長さと前記基準データが示す心拍数の変化量が所定範囲内である基準安定期間との関係に基づいて前記指標値を算出してもよい。
【0011】
前記取得部は、前記サウナ行動を実施する前の前記ユーザの心拍数データである行動前心拍数データを取得し、前記算出部は、前記行動前心拍数データに基づいて前記ユーザの平常時の心拍数を算出するとともに、特定した前記2つの期間のうち、心拍数の変化量が所定範囲内である期間における前記心拍数の平均値を算出し、算出した前記平常時の心拍数に対する、前記心拍数の平均値の差分と前記基準データが示す基準差分との関係に基づいて、前記指標値を算出してもよい。
【0012】
前記算出部は、前記実測心拍数データが示す前記心拍数の変化に基づいて、前記サウナ室への入室、前記サウナ室から退出した後の水風呂への入浴、及び前記水風呂に入浴した後の休憩を前記サウナ行動の1つのサイクルとした場合における、前記ユーザの前記サウナ行動のサイクル数を特定し、特定した前記サイクル数が複数である場合に、複数の前記サウナ行動それぞれにおける前記ユーザが水風呂に入浴した期間、及び休憩した期間を特定し、特定した2つの期間のうち、心拍数の変化量が所定範囲内である期間における前記心拍数の平均値を算出し、複数の前記サウナ行動それぞれにおける前記心拍数の平均値の変化量と前記基準データが示す基準変化量との関係に基づいて、前記指標値を算出してもよい。
【0013】
前記算出部は、前記実測心拍数データに基づく、前記サウナ行動における複数の時刻それぞれの心拍数を示す心拍グラフと、前記心身の状態が良好な状態である場合の心拍グラフである基準グラフとの類似度を算出し、前記類似度に基づいて前記指標値を算出してもよい。
【0014】
前記算出部は、複数の実測心拍数データと、複数の実測心拍数データそれぞれの基準心拍データに対する類似度との組み合わせを教師データとして学習することにより生成された、実測心拍数データの入力に対し、前記類似度を出力するモデルに対し、前記取得部が取得した前記実測心拍数データを入力し、前記モデルから前記類似度を取得し、取得した類似度に基づいて前記指標値を算出してもよい。
【0015】
前記算出部は、前記心拍数データが示す前記心拍数の変化に基づいて、前記サウナ室への入室、前記サウナ室から退出した後の水風呂への入浴、及び前記水風呂に入浴した後の休憩を前記サウナ行動の1つのサイクルとした場合における、前記ユーザの前記サウナ行動のサイクル数を特定し、特定した前記サイクル数と前記基準データが示す基準サイクル数との差にさらに基づいて前記指標値を算出してもよい。
前記出力部は、前記ユーザの前記サウナ行動の実施中に、前記ユーザが視認可能な表示部に対して、前記ユーザに対して算出した前記指標値を表示させてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、サウナ室への入室、前記サウナ室から退出した後の水風呂への入浴、及び前記水風呂に入浴した後の休憩を含むサウナ行動を実施したユーザの複数の時刻それぞれの心拍数を示す心拍数データである実測心拍数データを取得するステップと、心身の状態が改善する前記サウナ行動に対応する前記心拍数の特徴を示す基準データを参照することにより、取得した前記実測心拍数データが示す、前記ユーザの前記サウナ行動における前記心拍数の変化量に基づいて、前記ユーザの心身の状態を示す指標値を算出するステップと、算出した前記指標値を出力するステップと、を有する。
【0017】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータを、サウナ室への入室、前記サウナ室から退出した後の水風呂への入浴、及び前記水風呂に入浴した後の休憩を含む1つのサウナ行動とした場合における、前記サウナ行動を実施したユーザの複数の時刻それぞれの心拍数を示す心拍数データである実測心拍数データを取得する取得部、心身の状態が改善する前記サウナ行動に対応する前記心拍数の特徴を示す基準データを参照することにより、前記取得部が取得した前記実測心拍数データが示す、前記ユーザの前記サウナ行動における前記心拍数の変化量に基づいて、前記ユーザの心身の状態を示す指標値を算出する算出部、及び、前記算出部が算出した前記指標値を出力する出力部、として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザがサウナを利用したことが心身の状態の改善に寄与しているかどうかをユーザが把握できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】情報処理装置の概要を説明する図である。
図2】情報処理装置の構成を示す図である。
図3】基準サウナ行動に対応する心拍数の変化を示す心拍グラフの一例を示す図である。
図4】ユーザがサウナ行動を実施した場合における心拍数の変化を示す心拍グラフの例を示す図である。
図5】複数のユーザのそれぞれがサウナ行動を実施した場合における心拍数の変化を示す心拍グラフの例を示す図である。
図6】測定結果画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[情報処理装置の概要]
図1は、情報処理装置1の概要を説明する図である。情報処理装置1は、ユーザUがサウナ施設等においてサウナを利用したときの自身の心身の状態を確認できるようにするためのコンピュータである。
【0021】
ユーザUは、情報処理装置1が心身の状態を示す指標値を算出できるようにするために、サウナを利用する前に、サウナ施設から貸与された測定デバイス2を装着する。測定デバイス2は、例えば、ユーザUの心拍数を所定時間(例えば1秒から1分)ごとに測定可能であるとともに、インターネット、無線LANのネットワークやBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を介して情報処理装置1と通信可能なスマートウォッチ等の携帯端末である。測定ユーザUは、測定デバイス2を装着した状態でサウナ行動を実施する。サウナ行動は、サウナ室への入室、サウナ室から退出した後の水風呂への入浴、及び水風呂に入浴した後の休憩を1つのサイクルとしたサウナに関する行動である。
【0022】
情報処理装置1は、サウナ行動を実施したユーザUが装着した測定デバイス2から、当該ユーザUがサウナ行動を実施している場合に測定した複数の時刻それぞれの心拍数を示す心拍数データである実測心拍数データを取得する。
【0023】
情報処理装置1は、心身の状態が改善するサウナ行動に対応する心拍数の変化の特徴を示す基準データを予め記憶している。基準データは、サウナ行動を実施する前のユーザUの心拍数に対して、心身の状態が改善するサウナ行動を当該ユーザが実施した場合の心拍数が示す心拍数の特徴を示すデータである。
【0024】
情報処理装置1は、基準データを参照し、取得した実測心拍数データが示す、ユーザUのサウナ行動における心拍数の変化量に基づいて、ユーザUの心身の状態を示す指標値を算出する。そして、情報処理装置1は、算出した指標値を含む測定結果画面をユーザが所持するユーザ端末3に出力する。このようにすることで、ユーザUは、サウナを利用したことが心身の状態の改善に寄与しているかどうかを把握することができる。
【0025】
[情報処理装置1の構成例]
続いて、情報処理装置1の構成について説明する。図2は、情報処理装置1の構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。制御部13は、取得部131と、算出部132と、出力部133とを有する。
【0026】
通信部11は、インターネットや無線LAN等のネットワークやBluetooth等の近距離無線通信を介して測定デバイス2及びユーザ端末3とデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部12は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等である。記憶部12は、情報処理装置1を機能させるための各種プログラムを記憶する。例えば、記憶部12は、情報処理装置1の制御部13を、取得部131、算出部132、及び出力部133として機能させるプログラムを記憶する。
【0027】
また、記憶部12は、心身の状態が改善するサウナ行動である基準サウナ行動に対応する心拍数の変化の特徴を示す基準データを記憶する。基準データには、サウナ室への入室、サウナ室から退出した後の水風呂への入浴、及び水風呂に入浴した後の休憩をサウナ行動の1つのサイクルとしたときの、基準サウナ行動のサイクル数である基準サイクル数を示す基準サイクル数データが含まれている。また、基準データには、ユーザの平常時の心拍数に対し、基準サウナ行動をユーザが実施したときの心拍数の最大値の倍率である基準倍率を示す基準倍率データが含まれている。また、基準データには、基準サウナ行動を実施したときの心拍数の最大値に対する、基準サウナ行動を実施したときの心拍数の最小値の割合である基準割合を示す基準割合データが含まれている。
【0028】
また、基準データには、基準サウナ行動を実施したときの水風呂入浴期間と休憩期間との2つの期間における心拍数の変化量である基準退室後変化量を示す基準退室後変化量データが含まれている。また、基準データには、基準サウナ行動を実施したときの当該2つの期間における心拍数の変化量が所定範囲内となる期間である基準安定期間を示す基準安定期間データが含まれている。また、基準データには、ユーザの平常時の心拍数と、基準安定期間における心拍数の平均値との差分である基準差分を示す基準差分データが含まれている。基準データには、基準サウナ行動を実施したときの複数のサイクルそれぞれにおける心拍数の平均値の変化量である基準変化量を示す基準変化量データが含まれている。基準データには、上記の全てのデータが含まれておらず、一部のデータが含まれていてもよい。
【0029】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されている各種プログラムを実行することにより、情報処理装置1に係る機能を制御する。制御部13は、記憶部12に記憶されているプログラムを実行することにより、取得部131、算出部132、及び出力部133として機能する。
【0030】
取得部131は、サウナ行動を実施する前のユーザの心拍数データである行動前心拍数データと、サウナ行動を実施したユーザの複数の時刻それぞれの心拍数を示す心拍数データである実測心拍数データとを取得する。例えば、測定デバイス2又はユーザが使用するユーザ端末3において、測定デバイス2による測定を開始するための測定開始操作を受け付ける。取得部131は、測定開始操作が行われた時刻を、サウナ行動の開始時刻に決定する。また、測定デバイス2又はユーザ端末3において、測定デバイス2による測定を終了するための測定終了操作を受け付ける。取得部131は、測定終了操作が行われた時刻をサウナ行動の終了時刻に決定する。
【0031】
取得部131は、サウナ行動を実施した後に、当該ユーザがサウナ行動の実施時に装着していた測定デバイス2から、測定デバイス2を識別するための端末IDを取得するとともに、測定デバイス2が測定した心拍数と、心拍数が測定された時刻を示す測定時刻とを関連付けた心拍数データとを取得する。取得部131は、取得した心拍数データのうち、サウナ行動の開始時刻からサウナ行動の終了時刻までの心拍数データを実測心拍数データとして取得する。また、取得部131は、取得した心拍数データのうち、サウナ行動の開始時刻よりも前の心拍数データを行動前心拍数データとして取得する。
【0032】
なお、取得部131は、ユーザがサウナ行動を実施した後に心拍数データを取得したが、これに限らない。取得部131は、測定デバイス2から無線通信によりリアルタイムに心拍数データを取得してもよい。また、ユーザがサウナ行動を行わない場合に測定デバイス2を装着している場合には、取得部131は、測定デバイス2から取得した心拍数データのうち、サウナ行動が行われていないときの心拍数のうち、安定している心拍数を行動前心拍数データとして取得してもよい。この場合、測定デバイス2は、サウナ施設から貸与されるものではなく、ユーザが自身で用意したものであってもよい。ユーザが自身で用意した測定デバイス2を用いて心拍数を測定する場合、当該測定デバイス2が測定した測定データを情報処理装置1が取得できるようにするとともに、当該測定デバイス2の端末IDと、ユーザのユーザIDとを関連付ける処理である連携処理を事前に行うものとする。
【0033】
記憶部12には、端末IDと、ユーザを識別するためのユーザ識別情報であるユーザIDとが関連付けて記憶されている。取得部131は、行動前心拍数データ及び実測心拍数データとともに取得した端末IDに関連付けられているユーザIDを特定する。取得部131は、特定したユーザIDと、取得した行動前心拍数データと、実測心拍数データとを関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0034】
ここで、ユーザがサウナ行動を実施した場合における心拍数の変化について説明する。まず、基準サウナ行動に対応する心拍数の変化について説明する。図3は、基準サウナ行動に対応する心拍数の変化を示す心拍グラフを示す図である。図3において横軸は時刻を示しており、縦軸はユーザの心拍数を示している。
【0035】
図3に示す期間P1、P4、P7は、ユーザがサウナ室に入室していた期間であるサウナ入浴期間を示している。期間P2、P5、P8は、ユーザがサウナ室から退出した後に水風呂に入浴していた期間である水風呂入浴期間を示している。期間P3、P6、P9は、ユーザが水風呂に入浴した後に休憩していた期間である休憩期間を示している。図3に示すように、基準サウナ行動に対応するサウナ行動のサイクル数は所定回数(例えば3回)である。このため、基準サイクル数は、このような所定回数に設定される。
【0036】
また、図3に示すように、サウナ入浴期間においてはユーザの心拍数が増加していることが確認できる。基準サウナ行動を実施した場合、ユーザの心拍数の最大値は、ユーザの平常時の心拍数に対して所定倍率(例えば2倍)に近い値となる。このため、基準データに含まれる基準倍率データが示す基準倍率は、このような所定倍率に設定される。
【0037】
また、水風呂入浴期間においては、サウナ入浴期間において上昇した心拍数が急激に減少し、その後、心拍数が落ち着いていることが確認できる。また、休憩期間においても心拍数が落ち着いている状態が維持されていることが確認できる。これにより、ユーザの心拍数は、水風呂入浴期間と休憩期間とのいずれかにおいて最小値になる。基準サウナ行動を実施した場合、心拍数の最小値に対する心拍数の最小値の割合は、所定割合(例えば0.8)に近い値となる。このため、基準データに含まれる基準割合データが示す基準割合は、このような所定割合に設定される。
【0038】
また、基準サウナ行動を実施した場合において、水風呂入浴期間と休憩期間との2つの期間において心拍数が安定した心拍数安定期間が、基準安定期間として設定され、基準安定期間における心拍数の変化量が基準退室後変化量に設定される。また、ユーザの平常時の心拍数と、基準安定期間における心拍数の平均値との差分が基準差分に設定される。また、基準サウナ行動を実施したときの複数のサイクルそれぞれにおける心拍数の平均値の変化量が基準変化量に設定される。なお、制御部13は、調整部として機能し、複数のユーザが実施したサウナ行動に基づいて基準サウナ行動を特定してもよい。そして、制御部13は、特定した基準サウナ行動に基づいて、基準倍率、基準割合、基準安定期間、基準退室後変化量、基準差分、基準変化量の少なくともいずれかを調整してもよい。
【0039】
続いて、ユーザが、実際にサウナ行動を実施したときの心拍数の変化について説明する。図4は、ユーザがサウナ行動を実施した場合における心拍数の変化を示す心拍グラフの例を示す図である。図4(a)、(b)、(c)において、期間P1、P4、P7は、サウナ入浴期間を示している。また、期間P2、P5、P8は、水風呂入浴期間を示している。期間P3、P6、P9は、休憩期間を示している。
【0040】
図4(a)に示すグラフから、ユーザがサウナ行動を2サイクル実施していることが確認できるとともに、それぞれのサイクルにおける心拍数の変化も、図3に示す心拍数の変化と類似していることが確認できる。図4(b)では、ユーザがサウナ行動を3サイクル実施していることが確認できるものの、それぞれのサイクルにおける心拍数の変化が、図3に示す心拍数の変化と類似していないことが確認できる。図4(c)では、ユーザがサウナ行動を1サイクルしか実施しないことが確認できる。
【0041】
図5は、複数のユーザのそれぞれがサウナ行動を実施した場合における心拍数の変化を示す心拍グラフの例を示す図である。図5は、サウナを所定の頻度(2~3か月に1回、1か月に1~3回、1か月に4回以上)で利用する20代から50代の男性10名及び女性10名の合計20名がサウナ行動を行った場合の心拍数の変化を示している。ここでのサウナ行動は、約60分の間に、サウナ入浴を10分、水風呂への移動を数十秒、水風呂への入浴を2分、休憩室への移動を数十秒、休憩を8分と一連のサウナ行動とし、サウナ行動を3回繰り返したときの心拍グラフを示している。また、図5において、期間P1、P4、P7はサウナ入浴期間、期間P2、P5、P8は水風呂入浴期間、期間P3、P6、P9は休憩期間を示している。図5に示されるように、複数の利用者それぞれの心拍数は異なるものの、概ね、サウナ入浴期間において上昇し、水風呂入浴期間及び休憩期間において低下するという傾向を示していることが確認できる。このように、ユーザにより異なる心拍数の変化に対し、適切に指標値を算出することが求められている。
【0042】
これに対し、算出部132は、記憶部12に記憶されている基準データを参照することにより、取得部131が取得した実測心拍数データが示す、ユーザのサウナ行動における心拍数の変化量に基づいて、ユーザの心身の状態を示す指標値を算出する。
【0043】
まず、算出部132は、記憶部12に記憶されているユーザの行動前心拍数データに基づいてユーザの平常時の心拍数を算出する。例えば、行動前心拍数データが示すユーザがサウナ行動を実施する前の心拍数の平均値を平常時の心拍数と算出する。
【0044】
続いて、算出部132は、記憶部12に記憶されているユーザの実測心拍数データが示す心拍数の変化に基づいて、サウナ行動を実施した場合における、サウナ入浴期間、水風呂入浴期間、休憩期間を特定する。例えば、算出部132は、心拍数の移動平均を算出する。サウナ入浴期間における心拍数の移動平均は上昇することから、算出部132は、平常時の心拍数から、算出した移動平均が上昇しなくなるまでの期間をサウナ入浴期間と特定する。なお、ユーザが、意図的に指標値を高めようとして、サウナ入浴期間に心拍数を意図的に上昇させることがある。また、ユーザが、サウナ入浴期間に、ユーザの携帯電話が鳴動したり周囲で騒音が発生したりする等の、サウナ入浴とは異なる要因で心拍数が上昇することもある。これに対し、算出部132は、単位時間(例えば1分)あたりの心拍数の上昇量が所定の閾値を超える場合に、当該閾値を超えた期間、及び当該閾値を超えたときの心拍数以上となる期間を、サウナ入浴期間から除外してもよい。
【0045】
また、算出部132は、サウナ入浴期間からの減少量の変化量を算出し、サウナ入浴期間の終了時刻から、減少量の変化量が所定範囲内となり、心拍数が落ち着いたとされる時刻までの期間を水風呂入浴期間と特定する。また、算出部132は、水風呂入浴期間の終了時刻から、移動平均が上昇し始めた時刻、又は心拍数の測定が終了した時刻までの期間を休憩期間と特定するとともに、移動平均が上昇し始めた時刻を次のサイクルのサウナ入浴期間と特定する。
【0046】
算出部132は、実測心拍数データからサウナ入浴期間、水風呂入浴期間、休憩期間を特定すると、実測心拍数データに対応するユーザのサウナ行動のサイクル数を特定する。算出部132は、特定したサイクル数と、基準データが示す基準サイクル数との差に基づいて指標値を算出するための第1スコアを算出する。例えば、算出部132は、特定したサイクル数と、基準データが示す基準サイクル数との差が小さいほど第1スコアが大きくなるように第1スコアを算出する。
【0047】
算出部132は、サウナ行動を実施した場合における心拍数の最大値を特定する。そして、算出部132は、行動前心拍数データに基づいて算出したユーザの平常時の心拍数に対する、実測心拍数データに基づいて特定したサウナ行動時の心拍数の最大値の倍率と、基準データに含まれる基準倍率データが示す基準倍率との関係に基づいて、指標値を算出するための第2スコアを算出する。例えば、算出部132は、サウナ行動を実施したユーザの平常時の心拍数に対するサウナ行動時の心拍数の倍率と、基準倍率との差が小さいほど第2スコアが大きくなるように第2スコアを算出する。
【0048】
ここで、算出部132は、サウナ行動を実施したユーザの平常時の心拍数に対するサウナ行動時の心拍数の倍率が基準倍率よりも高い場合、基準倍率よりも低い場合に比べて第2スコアが低く算出されるようにしてもよい。このようにすることで、ユーザが指標値を上昇させることを目的として心拍数が基準倍率よりも高くなるまでサウナ室に入室し続け、心身に負担をかけすぎてしまうことを抑制することができる。
【0049】
算出部132は、実測心拍数データに基づいてサウナ行動を実施した場合における心拍数の最小値を特定する。算出部132は、特定したサウナ行動時の心拍数の最大値に対する、心拍数の最小値の割合と、基準データに含まれる基準割合データが示す基準割合との関係に基づいて、指標値を算出するための第3スコアを算出する。例えば、算出部132は、特定した心拍数の最大値に対する心拍数の最小値の割合と、基準割合との差が小さいほど第3スコアが大きくなるように第3スコアを算出する。
【0050】
ここで、算出部132は、特定した心拍数の最大値に対する心拍数の最小値の割合が基準割合よりも低い場合、基準割合よりも高い場合に比べて第3スコアが低く算出されるようにしてもよい。このようにすることで、ユーザが指標値を上昇させることを目的として心拍数が基準割合よりも低くなるまで水風呂に入浴し続け、心身に負担をかけすぎてしまうことを抑制することができる。
【0051】
算出部132は、水風呂入浴期間と休憩期間との2つの期間における心拍数の変化量を退室後変化量として算出する。算出部132は、算出した退室後変化量と、基準データに含まれる基準退室後変化量データが示す基準退室後変化量との関係に基づいて指標値を算出するための第4スコアを算出する。例えば、算出部132は、特定した退室後変化量と、基準退室後変化量との差が小さいほど第4スコアが大きくなるように第4スコアを算出する。
【0052】
算出部132は、水風呂入浴期間と休憩期間との2つの期間における心拍数の変化量が所定範囲内である期間である心拍安定期間を特定する。算出部132は、特定した心拍安定期間と、基準データに含まれる基準安定期間データが示す基準安定期間との関係に基づいて指標値を算出するための第5スコアを算出する。例えば、算出部132は、特定した心拍安定期間と、基準安定期間との差が小さいほど第5スコアが大きくなるように第5スコアを算出する。
【0053】
なお、算出部132は、心拍安定期間と、基準安定期間との関係に基づいて第5スコアを算出したが、これに限らない。例えば、算出部132は、水風呂入浴期間及び休憩期間のうち、心拍数の変化量が所定範囲内とならなかった期間である心拍不安定期間の発生回数に基づいて、算出した第5スコアを修正してもよい。例えば、心拍不安定期間の発生回数が多い場合には、心拍数が不安定であると考えられることから、心拍不安定期間の発生回数が少ない場合に比べて第5スコアが低くなるように第5スコアを調整してもよい。
【0054】
また、算出部132は、水風呂入浴期間と休憩期間との期間の長さに対する、心拍安定期間の期間の長さの割合に基づいて第5スコアを算出してもよい。この場合、算出部132は、水風呂入浴期間と休憩期間との期間の長さに対する、心拍安定期間の期間の長さの割合が高いほど第5スコアが大きくなるように第5スコアを算出してもよい。
【0055】
算出部132は、特定した心拍安定期間における心拍数の平均値を算出する。算出部132は、算出した平常時の心拍数に対する、心拍安定期間における心拍数の平均値の差分と、基準データに含まれる基準差分データが示す基準差分との関係に基づいて、指標値を算出するための第6スコアを算出する。例えば、算出部132は、平常時の心拍数に対する心拍安定期間における心拍数の平均値の差分と、基準差分との差が小さいほど第6スコアが大きくなるように第6スコアを算出する。
【0056】
なお、算出部132は、平常時の心拍数に対する心拍安定期間における心拍数の平均値の差分と、基準差分とに基づいて第6スコアを算出したが、これに限らない。算出部132は、心拍安定期間における心拍数の平均値と、基準サウナ行動を実施した場合における心拍数安定期間における心拍数の平均値である基準平均値との関係に基づいて第6スコアを算出してもよい。この場合、算出部132は、心拍安定期間における心拍数の平均値の差分と、基準平均値との差が小さいほど第6スコアが大きくなるように第6スコアを算出してもよい。
【0057】
算出部132は、特定したサウナ行動のサイクル数が複数である場合には、複数のサウナ行動それぞれにおける水風呂入浴期間及び休憩期間のうち、心拍数の変化量が所定範囲内である期間における心拍数の平均値を算出する。算出部132は、算出した複数のサウナ行動それぞれにおける心拍数の平均値の変化量と、基準データに含まれる基準変化量データが示す基準変化量との関係に基づいて、指標値を算出するための第7スコアを算出する。例えば、算出部132は、複数の前記サウナ行動それぞれにおける心拍数の平均値の変化量と、基準変化量との差が小さいほど第7スコアが大きくなるように第7スコアを算出する。
【0058】
算出部132は、第1スコア、第2スコア、第3スコア、第4スコア、第5スコア、第6スコア、及び第7スコアの少なくとも一部のスコアに基づいて指標値を算出する。算出部132は、例えば、第1スコア、第2スコア、第3スコア、第4スコア、第5スコア、第6スコア、及び第7スコアを合計することにより指標値を算出する。算出部132は、第1スコアから第7スコアの少なくともいずれかに対して、それぞれのスコアの重み付けを調整するための係数を乗算することにより、第1スコアから第7スコアの少なくともいずれかを調整してもよい。そして、算出部132は、調整された後の第1スコアから第7スコアを合計することにより指標値を算出してもよい。
【0059】
なお、算出部132は、第1スコア、第2スコア、第3スコア、第4スコア、第5スコア、第6スコア、及び第7スコアを合計することにより指標値を算出したが、これに限らない。算出部132は、第1スコア、第2スコア、第3スコア、第4スコア、第5スコア、第6スコア、及び第7スコアの少なくともいずれかを用いて指標値を算出してもよい。
【0060】
また、取得部131は、ユーザのサウナ施設への訪問回数を特定してもよい。そして、算出部132は、ユーザのサウナ施設への訪問回数に基づいて第8スコアを算出してもよい。例えば、算出部132は、訪問回数が多いほど第8スコアが高くなるように第8スコアを算出する。そして、算出部132は、算出した指標値に第8スコアを加算することにより指標値を更新してもよい。このようにすることで、ユーザは、訪問回数を増加させて、指標値を高くしようとすることから、ユーザのサウナ施設への訪問回数を増加させることができる。
【0061】
また、基準サウナ行動を実施した場合、サウナ入浴期間における心拍数が単調増加するとともに、水風呂入浴期間における心拍数が単調減少する傾向がある。このため、取得部131は、ユーザのサウナ入浴期間における心拍数が単調増加しているか否かに基づいて指標値を算出してもよい。例えば、取得部131は、ユーザのサウナ入浴期間における心拍数が単調増加している場合には、指標値にスコアを加算し、心拍数が単調増加していない場合に比べて指標値を高く算出してもよい。
【0062】
また、取得部131は、ユーザの水風呂入浴期間における心拍数が単調減少しているか否かに基づいて指標値を算出してもよい。例えば、取得部131は、ユーザの水風呂入浴期間における心拍数が単調減少している場合には、指標値にスコアを加算し、心拍数が単調減少していない場合に比べて指標値を高く算出してもよい。
【0063】
また、算出部132は、実測心拍数データに基づく、サウナ行動における複数の時刻それぞれの心拍数を示す心拍グラフと、心身の状態が良好な状態である場合の心拍グラフである基準グラフとの類似度を算出し、類似度に基づいて指標値を算出してもよい。例えば、算出部132は、心拍グラフが示す時間の経過に対する心拍数の変化を波形とみなし、実測心拍数データに対応する波形と、基準グラフに対応する波形との相関係数を類似度として算出し、当該類似度に基づいて指標値を算出してもよい。算出部132は、算出した類似度と、上述した第1スコアから第7スコアの少なくともいずれかを用いて指標値を算出してもよい。
【0064】
なお、実測心拍数データに基づく心拍グラフが示す1サイクルのサウナ行動の期間と、基準グラフに対応するサウナ行動の1サイクルのサウナ行動の期間とが異なる場合がある。このため、算出部132は、実測心拍数データに基づく心拍グラフが示す1サイクルのサウナ行動の期間が、基準グラフに対応するサウナ行動の1サイクルのサウナ行動の期間と同じになるように調整したうえで類似度を算出してもよい。
【0065】
また、実測心拍数データに基づく心拍グラフが示すサウナ行動のサイクル数と、基準グラフに対応するサウナ行動のサイクル数とが異なる場合がある。このため、算出部132は、複数サイクルそれぞれに対応するサウナ行動の類似度である部分類似度を算出し、算出した部分類似度を合計することにより類似度を算出してもよい。
【0066】
例えば、実測心拍数データに基づく心拍グラフが示すサウナ行動のサイクル数が2回であり、基準グラフに対応するサウナ行動のサイクル数が3回である場合、算出部132は、1回目のサイクルに対応する波形に基づいて部分類似度を算出するとともに、2回目のサイクルに対応する波形に基づいて部分類似度を算出する。また、算出部132は、実測心拍数データに対応する3回目のサイクルの波形が存在しないことから、3回目のサイクルに対応する波形の部分類似度を0と算出する。そして、算出部132は、算出した3つの部分類似度を合計することにより類似度を算出する。
【0067】
また、実測心拍数データに基づく心拍グラフが示すサウナ行動のサイクル数が4回であり、基準グラフに対応するサウナ行動のサイクル数が3回である場合、算出部132は、1回目から3回目までのそれぞれのサウナ行動に対応する部分類似度を算出する。また、算出部132は、基準グラフに対応する4回目のサイクルの波形が存在しないことから、4回目のサイクルに対応する波形の部分類似度を0と算出する。そして、算出部132は、算出した4つの部分類似度を合計することにより類似度を算出する。このようにすることで、サウナ行動のサイクル数が異なる場合であっても類似度を精度良く算出することができる。
【0068】
また、算出部132は、複数の実測心拍数データと、複数の実測心拍数データそれぞれの基準心拍データに対する類似度との組み合わせを教師データとし、実測心拍数データの入力に対して類似度を出力するプログラムである類似度出力モデルの学習を行うことにより、類似度出力モデルを生成する。算出部132は、生成した類似度出力モデルに対し、取得部131が取得した実測心拍数データを入力し、類似度出力モデルから類似度を取得し、取得した類似度に基づいて指標値を算出してもよい。
【0069】
出力部133は、算出部132が算出した指標値を出力する。例えば、出力部133は、ユーザ端末3に対し、算出部132が算出した指標値を示す測定結果画面を表示させる。図6は、測定結果画面の一例を示す図である。図6に示される測定結果画面では、今回のスコアとして、指標値「70」が表示されていることが確認できる。また、測定結果画面では、指標値の他に、ユーザの名前、ユーザID、サウナ施設の利用回数、複数のユーザにおけるユーザの指標値の順位、指標値、及びユーザの実測心拍数データに対応する心拍グラフが表示されていることが確認できる。これにより、ユーザは、サウナを利用したことが心身の状態の改善にどの程度寄与しているかを把握することができる。
【0070】
なお、出力部133は、ユーザが所持するユーザ端末3に、当該ユーザに対応する指標値を表示させることとしたが、これに限らず、指標値の算出に用いられた第1スコアから第7スコアの少なくともいずれかを表示させてもよい。このようにすることで、ユーザはどのような観点で指標値が算出されたのかを確認することができ、次回のサウナ行動の参考とすることができる。
【0071】
また、出力部133は、算出部132が算出した指標値と、ユーザIDと、ユーザがサウナ行動を行った日時である測定日時とを関連付けて測定結果情報として記憶部12に記憶させてもよい。そして、出力部133は、現在日時から所定期間内に対応する測定結果情報に含まれる複数のユーザそれぞれのユーザ名と、当該ユーザの指標値とを関連付けて、指標値が多い順にランキング形式で、ユーザ端末3及び施設に設けられているディスプレイ装置の少なくともいずれかに表示させてもよい。この場合、出力部133は、現在日時から所定期間内に対応する測定結果情報に含まれる複数のユーザそれぞれに対して算出された指標値の合計値が多い順にランキング形式で、ユーザ端末3及び施設に設けられているディスプレイ装置の少なくともいずれかに表示させてもよい。このようにすることで、ユーザは他のユーザと指標値を競うことができる。
【0072】
また、出力部133は、ユーザがサウナ行動を実施した後に測定結果画面を出力したが、これに限らず、他の情報を出力してもよい。出力部133は、水風呂が設けられている空間や休憩を行う空間が個室である場合、これらの空間にディスプレイ装置(不図示)を設置し、ディスプレイ装置に、ユーザがリラックスできる映像を出力させるようにしてもよい。また、サウナ室が個室であり、サウナ室に対して外部を確認できるようにするための窓が設けられている場合、ディスプレイ装置は、サウナ室から視認可能な位置に設置されていてもよい。この場合、出力部133は、ユーザがサウナ入浴期間中である場合にも、ユーザがリラックスできる映像を出力させてもよい。
【0073】
また、出力部133は、ユーザのサウナ行動の実施中に、ユーザに対して算出した指標値をユーザが視認可能な表示部に表示させてもよい。例えば、出力部133は、水風呂が設けられている空間や休憩を行う空間が個室であり、これらの空間にディスプレイ装置が設置されている場合、又はサウナ行動の実施中にユーザがユーザ端末2を視認可能である場合、ディスプレイ装置の表示部又はユーザ端末2の表示部に対して、ユーザの指標値や、ユーザの心拍グラフを表示させてもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザがサウナ行動の実施中に自身の心拍数を把握しながら、指標値が高くなるように心拍数を意識的に制御するバイオフィードバックを実現することができ、サウナ行動による心身の改善効果を高めることができる。
【0074】
この場合、出力部133は、ユーザがサウナ施設に訪問するごとに異なる映像を表示させ、算出部132が算出した指標値が相対的に高かったときに出力された映像を特定してもよい。そして、出力部133は、映像を特定した後にユーザがサウナ施設に訪問した場合に、特定した映像をディスプレイ装置に出力するようにしてもよい。また、出力部133は、ユーザから、複数の映像のうちいずれかの映像の選択を受け付け、選択された映像を出力するようにしてもよい。このようにすることで、ユーザは映像を視聴しながら水風呂入浴期間及び休憩期間において心身を落ち着かせることができる。
【0075】
また、休憩室にディスプレイ装置を設ける場合、例えば、休憩室の正面の壁面全面、左右の壁面全面、床面の全てを表示部とし、これらの表示部に対して映像を表示させてもよい。例えば、映像が自然の風景である場合には、ユーザがあたかも自然の空間に存在するかのように認識させることができ、心身のリラックス効果を高めることができる。
【0076】
また、取得部131がリアルタイムで心拍数データを取得する場合、出力部133は、ユーザがサウナ行動を実施している間に、指標値に関連する情報を出力してもよい。この場合、算出部132は、リアルタイムで心拍数の最大値を検出してもよい。そして、出力部133は、ユーザの平常時の心拍数に対する、サウナ行動の実施時の心拍数の最大値の倍率が、基準倍率の所定割合となった場合に、平常時の心拍数に対する心拍数の最大値の倍率が基準倍率に近くなったことを示す情報をユーザ端末3又は測定デバイス2に通知してもよい。このようにすることで、ユーザは、適切なタイミングでサウナ室から退室することができる。
【0077】
[変形例]
なお、上述の実施形態において、情報処理装置1は、ユーザの実測心拍数データを取得し、実測心拍数データが示すユーザの心拍数の変化量に基づいて、ユーザの心身の状態を示す指標値を算出したが、これに限らない。情報処理装置1は、心拍数の代わり、又は心拍数に加えて、サウナ行動を実施したユーザの複数の時刻それぞれの脳波を示す脳波データである実測脳波データを取得してもよい。そして、情報処理装置1は、心身の状態が改善する基準サウナ行動に対応する脳波の変化の特徴を示す脳波基準データを参照することにより、取得した実測脳波データが示す、ユーザのサウナ行動における脳波の変化に基づいて、ユーザの心身の状態を示す指標値を算出してもよい。例えば、情報処理装置1は、心身の状態が改善する基準サウナ行動に対応するα波及びβ波の変化の特徴を示す脳波基準データを参照することにより、取得した実測脳波データが示す、ユーザのサウナ行動におけるα波及びβ波の変化に基づいて、ユーザの心身の状態を示す指標値を算出してもよい。
【0078】
また、出力部133は、ユーザのサウナ行動の実施中に、ユーザに対して算出した脳波をユーザが視認可能な表示部に表示させてもよい。例えば、出力部133は、ユーザが視認可能なディスプレイ装置の表示部又はユーザ端末2の表示部に対して、ユーザの指標値やユーザの脳波を表示させる。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザがサウナ行動の実施中に自身の脳波を把握しながら、指標値が高くなるときの脳波を意識的に発生できるようにする訓練であるニューロフィードバックを実現することができ、サウナ行動による心身の改善効果を高めることができる。
【0079】
また、情報処理装置1は、心拍数の代わり、又は心拍数に加えて、サウナ行動を実施したユーザの複数の時刻それぞれの、脳の特定部位における血流である脳血流、を示す実測脳血流データを取得してもよい。そして、情報処理装置1は、心身の状態が改善する基準サウナ行動に対応する脳血流の変化の特徴を示す脳血流基準データを参照することにより、取得した実測脳血流データが示す、ユーザのサウナ行動における脳血流の変化に基づいて、ユーザの心身の状態を示す指標値を算出してもよい。
【0080】
同様に、情報処理装置1は、心臓の1拍ごとの拍動の長さの変化を示す心拍変動、脈波の大小、発汗の大小に基づいて、ユーザの心身の状態を示す指標値を算出してもよい。この場合、ユーザに、心拍変動、脈波の大小、発汗の大小を測定可能なデバイスを装着し、取得部131は、心拍変動、脈波の大小、発汗の大小の実測データを取得する。情報処理装置1は、心拍変動、脈波の大小、発汗の大小の変化の特徴を示す基準データを参照することにより、取得した実測データが示す、ユーザのサウナ行動における心拍変動、脈波の大小、発汗の大小の変化に基づいて、ユーザの心身の状態を示す指標値を算出する。
【0081】
[実施の形態における効果]
以上の通り、本実施の形態に係る情報処理装置1は、サウナ室への入室、サウナ室から退出した後の水風呂への入浴、及び水風呂に入浴した後の休憩を含むサウナ行動を実施したユーザの複数の時刻それぞれの心拍数を示す実測心拍数データを取得する。そして、情報処理装置1は、心身の状態が改善するサウナ行動に対応する心拍数の変化の特徴を示す基準データを参照することにより、実測心拍数データが示す、ユーザのサウナ行動における心拍数の変化量に基づいて、ユーザの心身の状態を示す指標値を算出する。このようにすることで、ユーザは、サウナを利用したことが心身の状態の改善に寄与しているかどうかを把握することができる。
【0082】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0083】
また、上述の実施の形態では、情報処理装置1が、取得部131、算出部132、及び出力部133として機能したが、これに限らない。例えば、ユーザが所持するスマートフォンやパーソナルコンピュータ等のユーザ端末3が、自身の制御部を取得部131、算出部132、及び出力部133として機能させるプログラムを記憶してもよい。そして、ユーザ端末3が、当該プログラムを実行することにより、取得部131、算出部132、及び出力部133として機能してもよい。このようにすることで、ユーザは、自身で測定デバイス2を用意した場合に、任意のサウナ施設においてサウナ行動を実施した場合の指標値を確認することができる。
【0084】
また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0085】
1 情報処理装置
2 測定デバイス
3 ユーザ端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 算出部
133 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6