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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160370
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】点検装置並びに方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 18/02 20060101AFI20231026BHJP
   H02G 11/00 20060101ALI20231026BHJP
   G21C 17/013 20060101ALI20231026BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20231026BHJP
   B66C 23/36 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B25J18/02
H02G11/00
H02G11/00 060
G21C17/013
B25J19/00 J
B66C23/36 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070700
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴教
【テーマコード(参考)】
2G075
3C707
3F205
5G371
【Fターム(参考)】
2G075BA17
2G075BA18
2G075CA11
2G075EA01
2G075FB01
3C707AS14
3C707BS09
3C707CS08
3C707CU03
3C707CY06
3C707CY12
3C707KT01
3C707KT05
3C707WA17
3F205AA07
3F205BA10
3F205CB02
3F205DA04
3F205KA01
5G371AA05
5G371BA07
5G371CA03
5G371CA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】点検対象領域にセンサ配置を可能とする点検装置並びに方法を提供する。
【解決手段】自走するとともに直列接続された複数の伸縮ロッドを備える調査装置と、複合ケーブルを介して調査装置に動力と制御信号を与えるコントローラと、複合ケーブルを出し入れするドラムボックスとを備え、調査装置は複数のロッド伸縮機構と第1段伸縮ロッドの先端に第2段伸縮ロッドを水平方向に回転可能に支承する回転機構と第2段伸縮ロッドからセンサを垂下させるためのセンサケーブルとセンサケーブルウインチを備え、コントローラは複数のロッド伸縮機構と回転機構の動力と制御信号を与えるとともにセンサケーブルからセンサ信号を受信し、複合ケーブルはその内部に内包ケーブルを備えて動力と制御信号並びにセンサ信号は内包ケーブルの内部と外部に分割されて配置され、ドラムボックスは複合ケーブルウインチと内包ケーブルウインチとを備える点検装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合ケーブルを介して動力供給されて自走するとともに、直列接続された複数の伸縮ロッドを備える調査装置と、複合ケーブルを介して前記調査装置に動力と制御信号を与えるコントローラと、前記調査装置と前記コントローラの間に配置されて前記複合ケーブルを出し入れするドラムボックスとを備え、
前記調査装置は、複数の伸縮ロッドを伸縮させるための複数のロッド伸縮機構と、第1段伸縮ロッドの先端に第2段伸縮ロッドを水平方向に回転可能に支承する回転機構と、前記第2段伸縮ロッドからセンサを垂下させるためのセンサケーブルと、該センサケーブルを出し入れするセンサケーブルウインチを備え、
前記コントローラは、前記複数のロッド伸縮機構と前記回転機構の動力と制御信号を与えるとともに前記センサケーブルからセンサ信号を受信し、
前記複合ケーブルは、その内部に内包ケーブルを備えて、前記動力と制御信号並びにセンサ信号は、前記複合ケーブル内の前記内包ケーブルの内部と外部に分割されて配置され、
前記ドラムボックスは、前記複合ケーブルを出し入れする複合ケーブルウインチと、前記内包ケーブルを出し入れする内包ケーブルウインチとを備えることを特徴とする点検装置。
【請求項2】
請求項1に記載の点検装置であって、
前記センサは、カメラユニットを含むことを特徴とする点検装置。
【請求項3】
請求項1に記載の点検装置であって、
前記調査装置は、複数の伸縮ロッドの水平面からの角度を変更可能なアーム角度調整機構を備えることを特徴とする点検装置。
【請求項4】
請求項1に記載の点検装置であって、
前記複合ケーブル内の前記内包ケーブルの内部と外部に分割された空間の一方により直列接続された複数の伸縮ロッドの一方を伸縮させるためのエアーを供給し、前記空間の他方により直列接続された複数の伸縮ロッドの他方を伸縮させるためのエアーを供給することを特徴とする点検装置。
【請求項5】
請求項1に記載の点検装置であって、
前記複合ケーブル内の前記内包ケーブルの内部と外部に分割された空間の、一方により直列接続された複数の伸縮ロッドの一方を伸縮させるためのエアーを供給するとともに前記一方の伸縮ロッドの動きを監視するカメラ信号用のケーブルを配置し、前記空間の他方により直列接続された複数の伸縮ロッドの他方を伸縮させるためのエアーを供給するとともに前記他方の伸縮ロッドの動きを監視するカメラ信号用のケーブルを配置したことを特徴とする点検装置。
【請求項6】
複合ケーブルを介して動力供給されて自走するとともに、直列接続された複数の伸縮ロッドを備える調査装置と、複合ケーブルを介して前記調査装置に動力と制御信号を与えるコントローラと、前記調査装置と前記コントローラの間に配置されて前記複合ケーブルを出し入れするドラムボックスとを備え、前記調査装置は、複数の伸縮ロッドを伸縮させるための複数のロッド伸縮機構と、第1段伸縮ロッドの先端に第2段伸縮ロッドを水平方向に回転可能に支承する回転機構と、前記第2段伸縮ロッドからセンサを垂下させるためのセンサケーブルと、該センサケーブルを出し入れするセンサケーブルウインチを備え、前記コントローラは、前記複数のロッド伸縮機構と前記回転機構の動力と制御信号を与えるとともに前記センサケーブルからセンサ信号を受信し、前記複合ケーブルは、その内部に内包ケーブルを備えて、前記動力と制御信号並びにセンサ信号は、前記複合ケーブル内の前記内包ケーブルの内部と外部に分割されて配置され、前記ドラムボックスは、前記複合ケーブルを出し入れする複合ケーブルウインチと、前記内包ケーブルを出し入れする内包ケーブルウインチを備える点検装置を用いる点検方法であって、
前記点検装置における複数のウインチ並びに複数のロッド伸縮機構の組み合わせにより、調査装置の自走、複数の伸縮ロッドの伸縮動作、第2段伸縮ロッドの回転動作ならびにセンサケーブルの垂下動作を行うことを特徴とする点検方法。
【請求項7】
請求項6に記載の点検方法であって、
前記調査装置の自走時に、前記複合ケーブルウインチと、前記内包ケーブルウインチを操作することを特徴とする点検方法。
【請求項8】
請求項6に記載の点検方法であって、
第1段伸縮ロッドの操作時に、前記内包ケーブルウインチと前記センサケーブルウインチと第1段のロッド伸縮機構を操作することを特徴とする狭隘部点検方法。
【請求項9】
請求項6に記載の狭隘部点検方法であって、
第2段伸縮ロッドの操作時に、前記センサケーブルウインチと第2段のロッド伸縮機構を操作することを特徴とする点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建屋、構造物等を点検する装置に係り、特に作業員が立ち入れない狭隘部かつ複雑な構造物間をアクセスし遠隔で点検作業を実施するための点検装置並びに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所等のタンクや構造物の内部の点検、調査に関し、対象空間が、狭隘、高線量、 高所等、作業員が立ち入れないケースにおいては、遠隔操作が必要となる。特に、気中においては、軽量部材を組み合わせた柔軟な機構によりアクセス装置を構成する必要がある。
【0003】
この点に関し、特許文献1には、調査装置がケーブルで接続され、遠隔操作されるため、ケーブルが障害物に引っかかることにより、調査装置の移動範囲が制限されることのない支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-8689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、調査装置を送り出す技術が示されているが、調査装置をセンサとみなすと、センサを送り出す技術と考えられる。当該発明は、センサケーブルを送り出す部分が、支援装置上にあるため、支援装置から離れた位置に、センサを降下させることが出来ないという課題があった。
【0006】
以上のことから本発明においては、点検対象領域にセンサ配置を可能とする点検装置並びに方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のことから本発明においては、「複合ケーブルを介して動力供給されて自走するとともに、直列接続された複数の伸縮ロッドを備える調査装置と、複合ケーブルを介して調査装置に動力と制御信号を与えるコントローラと、調査装置とコントローラの間に配置されて複合ケーブルを出し入れするドラムボックスとを備え、調査装置は、複数の伸縮ロッドを伸縮させるための複数のロッド伸縮機構と、第1段伸縮ロッドの先端に第2段伸縮ロッドを水平方向に回転可能に支承する回転機構と、第2段伸縮ロッドからセンサを垂下させるためのセンサケーブルと、センサケーブルを出し入れするセンサケーブルウインチを備え、コントローラは、複数のロッド伸縮機構と回転機構の動力と制御信号を与えるとともにセンサケーブルからセンサ信号を受信し、複合ケーブルは、その内部に内包ケーブルを備えて、動力と制御信号並びにセンサ信号は、複合ケーブル内の内包ケーブルの内部と外部に分割されて配置され、ドラムボックスは、複合ケーブルを出し入れする複合ケーブルウインチと、内包ケーブルを出し入れする内包ケーブルウインチとを備えることを特徴とする点検装置。」としたものである。
【0008】
また本発明においては、「複合ケーブルを介して動力供給されて自走するとともに、直列接続された複数の伸縮ロッドを備える調査装置と、複合ケーブルを介して調査装置に動力と制御信号を与えるコントローラと、調査装置とコントローラの間に配置されて複合ケーブルを出し入れするドラムボックスとを備え、調査装置は、複数の伸縮ロッドを伸縮させるための複数のロッド伸縮機構と、第1段伸縮ロッドの先端に第2段伸縮ロッドを水平方向に回転可能に支承する回転機構と、第2段伸縮ロッドからセンサを垂下させるためのセンサケーブルと、センサケーブルを出し入れするセンサケーブルウインチを備え、コントローラは、複数のロッド伸縮機構と回転機構の動力と制御信号を与えるとともにセンサケーブルからセンサ信号を受信し、複合ケーブルは、その内部に内包ケーブルを備えて、動力と信号並びにセンサ信号は、複合ケーブル内の内包ケーブルの内部と外部に分割されて配置され、ドラムボックスは、複合ケーブルを出し入れする複合ケーブルウインチと、内包ケーブルを出し入れする内包ケーブルウインチを備える点検装置を用いる狭隘部点検方法であって、点検装置における複数のウインチ並びに複数のロッド伸縮機構の組み合わせにより、調査装置の自走、複数の伸縮ロッドの伸縮動作、第2段伸縮ロッドの回転動作ならびにセンサケーブルの垂下動作を行うことを特徴とする狭隘部点検方法。
」としたものである。
【発明の効果】
【0009】
係る構成により、点検対象領域を3次元的に自在に変更することが可能になり、点検対象領域にセンサ配置を可能とする点検装置並びに方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1に係る点検装置の概略構成例を示す図。
図2】本発明の実施例1に係る点検装置の詳細構造例を示す図。
図3】1段目伸縮ロッドと2段目伸縮ロッドを組み合わせた状態の変化を示す図。
図4】制御機器(調査装置、ドラムボックス、コントローラ)の接続状態を示す図。
図5】本発明の実施例2に係る狭隘部点検方法(センサ設置)のフロー。
図6】本発明の実施例2に係る狭隘部点検方法(センサ位置変更)のフロー。
図7】点検装置の動作状態と、この時に使用する制御機能の関係をまとめた図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例0012】
以下、図1から図4を用いて、本発明の実施例に係る点検装置の構成について説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る点検装置の概略構成例を示す図である。
【0014】
図1の点検装置は、調査装置4、1段目伸縮ロッド5、2段目伸縮ロッド6、ロッド先端プーリ7、センサケーブル8、センサ9(カメラ・線量計)、調査装置用複合ケーブル10、ドラムボックス11、コントローラ12を主たる要素として構成されており、これにより容器1内の状態を点検する。なお図1は、容器1内に堆積物2が蓄積している例を示している。
【0015】
本発明の実施例に係る点検装置では、調査装置4が容器上面床3を自走して容器1に接近し、容器1の内部にアクセスする。調査装置4は、折り畳み式の調査用ロッドを備えており、図1の様に、1段目伸縮ロッド5と2段目伸縮ロッド6を伸ばして、2段目伸縮ロッド6の先端を容器の点検対象領域上部に近づける。2段目伸縮ロッド6の先端に設置したロッド先端プーリ7を介して、センサケーブル8を伸ばし、センサ9を点検対象部位付近に降下させて点検を実施する。
【0016】
ここで1段目伸縮ロッド5と2段目伸縮ロッド6は伸縮可能とされており、また2段目伸縮ロッド6は1段目伸縮ロッド5の先端部で水平方向に回転可能となるように回転支承されている。係る構成により、伸縮ロッド5,6の伸縮距離と水平方向角度の調整により、例えば円形の容器1の如何なる点検要望個所に対しても、その上部位置に2段目伸縮ロッド6の先端から垂下されるセンサ9を接近させることが可能となる。
【0017】
また、調査装置4とドラムボックス11の間は調査装置用複合ケーブル10で接続しており、調査装置用複合ケーブル10により上記調査装置4の自走動力、1段目伸縮ロッド5と2段目伸縮ロッド6の伸縮動作のための伸縮用動力、並びに2段目伸縮ロッド6の水平方向回転動力、さらには検知原理に応じてセンサ9を駆動するためのセンサ駆動動力といった動力類を伝達する。ここで動力とは電力あるいはエアーであり、適宜の用途に応じて選択することができる。さらに調査装置用複合ケーブル10内には、センサで検知した信号を伝達するためのセンサケーブル8、あるいは調査装置4、1段目伸縮ロッド5、2段目伸縮ロッド6の制御に必要な制御線や各種検出信号を伝達するためのケーブルが収納されている。
【0018】
なお、調査装置4の移動に合わせて調査装置用複合ケーブル10はドラムボックス11内に収納と繰出をして長さを調整する。なお、調査装置4の制御は、ドラムボックス11に接続したコントローラ12で行う。
【0019】
図2は、点検装置の詳細構造例を示す図である。ここでは先に述べた動力や各種信号の伝達が、ドラムボックス11と調査装置4の間を接続する調査装置用複合ケーブル10を介して行われている。
【0020】
このため調査装置用複合ケーブル10内には、センサケーブル・調査装置駆動用複合ケーブル26と内包ケーブル用シリンダ24が設置されており、前者により電気動力と、センサ9の出力を含む各種信号の伝達が行われ、後者により動力としてのエアーが供給されている。
【0021】
また、センサ9を目的位置に導くための各種機構として、2段目伸縮ロッド方向調整モータ21、2段目伸縮ロッド方向調整モータ用ケーブル22,1段目伸縮ロッド用伸縮エアホース23a、2段目伸縮ロッド用伸縮エアホース23b、内包ケーブル用ウインチ25a、複合ケーブル用ウインチ25b、センサケーブル用ウインチ25c、伸縮ロッド角度調整部27を備えている。
【0022】
これらの機構により、各種の動作を実現している。まず調査装置4が自走により移動する際に調査装置用複合ケーブル10の収納、繰出を実施するが、このとき複合ケーブル用ウインチ25bとセンサケーブル用ウインチ25cは連動して同一回転数になるように回転させることにより、常に同じ距離だけ出し入れされるように制御されている。
【0023】
調査装置4の本体に取付けられた1段目伸縮ロッド5と、1段目伸縮ロッド5の先端に取付けた2段目伸縮ロッド6の相対角度は、1段目伸縮ロッド方向調整モータ21により調整する。これにより、1段目伸縮ロッド5の先端を軸として、2段目伸縮ロッド6が水平方向に回転可能にされ、任意の回転位置に導くことができる。
【0024】
1段目伸縮ロッド方向調整モータ21は1段目伸縮ロッド方向調整モータ用ケーブル22により電源を供給し回転の制御をする。1段目伸縮ロッド5は、伸縮ロッド角度調整部27により水平面からの角度を調整する。
【0025】
伸縮ロッド角度調整部27は、一般的なモータ、スライドベース、シャフトを組み合わせて(各々図示せず)、調査装置4と1段目伸縮ロッド5の垂直方向の角度を調整する。また、1段目伸縮ロッド5は密閉構造になっており、内包ケーブル用シリンダ24を経由して1段目伸縮ロッド用伸縮エアホース23aに圧縮空気、若しくは圧縮窒素等を加圧することで、伸長する。
【0026】
この際、1段目伸縮ロッド5の伸長に合わせ、内包ケーブル用ウインチ25aを回転させ、2段目伸縮ロッド方向調整モータ用ケーブル22および2段目伸縮ロッド用伸縮エアホース23bを繰出す。同時に、センサケーブル用ウインチ25cも起動し、センサケーブル8を1段目伸縮ロッド5の伸長に合わせ繰出す。
【0027】
同様に、2段目伸縮ロッド6も密閉構造になっており、内包ケーブル用シリンダ24を経由して2段目伸縮ロッド用伸縮エアホース23bに圧縮空気、若しくは圧縮窒素等を加圧することで伸長する。2段目伸縮ロッド6は、内包しているケーブル類は、センサケーブル8のみであるため、センサケーブル用ウインチ25cを起動し、センサケーブル8を2段目伸縮ロッド6の伸長に合わせ繰出す。
【0028】
最後に、センサケーブル用ウインチ25cを駆動し、センサケーブル8を2段目伸縮ロッド6の先端にあるロッド先端プーリ7から降下させる。以上が、センサの設置手順である。これに対し、詳細説明を省略するが、センサ9および調査装置4の回収手順は、逆の順序で動作させる。
【0029】
図3は、1段目伸縮ロッド5と2段目伸縮ロッド6を組み合わせた状態の変化を詳述した図である。図3上段31は、伸縮ロッド収納時を示している。このとき1段目伸縮ロッド5はその先端の1節5aのみ展開しており、その先端の1節5a上に2段目伸縮ロッド6が回転可能に支承されるとともに、収納時には2段目伸縮ロッド6が逆向き(1段目伸縮ロッド5側に向けて)に取付けられている。
【0030】
図3の二段目32は、2段目伸縮ロッド展開時を示している。このとき図2の2段目伸縮ロッド方向調整モータ21を駆動し、逆向きであった2段目伸縮ロッド6を正方向に向きを変える。
【0031】
図3の三段目33は、1段目伸縮ロッド伸長時を示している。このとき図2の1段目伸縮ロッド用伸縮エアホース23aに圧縮空気等で加圧し、1段目伸縮ロッド6を伸長する。
【0032】
図3の四段目34は、2段目伸縮ロッド6の全伸長時を示している。このとき図2の2段目伸縮ロッド用伸縮エアホース23bに圧縮空気等で加圧し、2段目伸縮ロッド6を伸長する。
【0033】
なお、図3の四段目34の伸長状態において、2段目伸縮ロッド6は、1段目伸縮ロッド5の先端を軸として回転可能であり、その先端から任意の位置にセンサ9を吊り下げることができる。
【0034】
図4は実施例1における、各制御機器の接続状態を示す図である。ここには、調査装置4と、ドラムボックス11と、コントローラ12の具体的な接続関係が示されている。
【0035】
調査装置4には、上記した動作を実行するための各種の操作端末機器として、センサケーブル用ウインチ605、調査装置本体カメラ606、走行クロー607、伸長ロッド角度調整部(モータ)608、伸長ロッド角度調整部(モータ)609、1段目伸縮ロッド用伸縮部610、2段目伸縮ロッド方向調整モータ611、1段目伸縮ロッド先端カメラ612、2段目伸縮ロッド用伸縮部613が搭載されている。
【0036】
他方においてコントローラ12には、調査装置4に搭載された各種の操作端末機器に動力や、操作信号を与え、また検知した信号を受信するための機能として、線量率記録計619、モニタ620、622、629,レコーダ621、623、630、スイッチ624、625、626、628、レコーダ630、エアスイッチ627,631などを備えている。
【0037】
ドラムボックス11は、調査装置4とコントローラ12の間をセンサケーブル・調査装置駆動用複合ケーブル26により接続しており、ここで615は1段目伸縮ロッド伸縮エアホース、616は2段目伸縮ロッド伸縮エアホース、617は複合ケーブル用ウインチ、618は内包ケーブル用ウインチである。
【0038】
図4に示すように、調査装置4の先端にはセンサ(カメラ・線量計)9が取り付けられ、センサケーブル・調査装置駆動用複合ケーブル26によりドラムボックス11と接続している。ドラムボックス11は、センサケーブル・調査装置駆動用複合ケーブル26により、コントローラ12と接続される。
【0039】
センサ(カメラ・線量計)9は、直接的には、センサケーブル用ウインチ605に接続され、昇降させて位置の制御を行う。また、その信号は、ドラムボックス11を介して、コントローラ12に接続され、線量率記録計619とモニタ620およびレコーダ621に入力され映像が記録される。
【0040】
調査装置本体カメラ606は、ドラムボックス11を介して、コントローラ12に接続され、モニタ622およびレコーダ623に入力され映像が記録される。
【0041】
調査装置601には、走行クローラ607が取り付けられ、コントローラ608内のスイッチ622で駆動制御される。
【0042】
また、伸長ロッド角度調整部(モータ)608はコントローラ608内のスイッチ625で駆動制御される。また、1段目伸縮ロッドの長さは伸縮部610に接続された1段目伸縮ロッド伸縮エアホース615により、圧縮空気等が加圧され伸長する。その制御はコントローラ608内のエアスイッチ627で行う。
【0043】
2段目伸縮ロッドの展開や収納、設置角度は、2段目伸縮ロッド方向調整モータ611をスイッチ628で制御して駆動して変更する。1段目伸縮ロッド先端カメラ612は、ドラムボックス11を介して、コントローラ12に接続され、モニタ629およびレコーダ630に入力され映像が記録される。2段目伸縮ロッドの長さは伸縮部613に接続された2段目伸縮ロッド伸縮エアホース616により、圧縮空気等が加圧され伸長する。その制御はコントローラ608内のエアスイッチ631で行う。
【0044】
図4の複合ケーブルにおいて、内包ケーブルの内部と外部に分割したことに伴い、この2つの空間をどのように利用するかについて、本発明では、2つの伸縮ロッドを駆動するためのエアー通路として利用している。
【0045】
また2つの空間の一方(図4の例では内包ケーブル内部)を、2段目伸縮ロッドを操作(伸縮と水平方向回転)することとその監視用カメラ(1段目伸縮ロッド先端カメラ612)に割り振り、多方の空間を自走と1段目伸縮ロッドを操作(伸縮と仰角制御)することとその監視用カメラ(調査装置用本体カメラ606)に割り振ったものである。
【実施例0046】
実施例2では、図5から図7を用いて、点検装置による狭隘部点検方法について説明する。図5は、点検作業におけるセンサ設置のフローを説明する図である。
【0047】
図5のフローでは、処理の開始が指示される(S100)と、システムを起動し(S101)、調査装置4の移動を開始する。調査装置4が所定の設置位置に到達しているかを判定し(S102)、到達していなければ、複合ケーブル・内包ケーブルを同時に繰出す(S103)。同時に、調査装置4を走行させ(S104)、到達位置の判定をする(S102)。
【0048】
調査装置4が所定の位置に到達した場合、伸縮ロッドの設置角を変更する(S105)。収納時は、伸縮ロッドは水平状態であるが、調査箇所に応じて10~45°程度、水平面から角度を付けるのがよい。次に、2段目伸縮ロッド6の向きを180°回転させ展開する(S106)。
【0049】
次に、1段目伸縮ロッド5を伸長するステップに入る。伸長が完了しているかを判定し(S107)、完了していなければ、内包ケーブルを繰出し(S108)、1段目ロッド5を伸長する(S109)。
【0050】
1段目ロッド5の伸長が完了した場合(S107)、2段目伸縮ロッド6を伸長するステップに入る。伸長が完了しているかを判定し(S110)、完了していなければ、センサケーブル8を繰出し(S111)、2段目伸縮ロッド6を伸長する(S112)。この時の伸長長さは、1段目ロッド5の先端から監視点上空までの距離に相当する長さである。
【0051】
また、監視点上空に達するためには、1段目伸縮ロッド5の延伸方向に対して2段目伸縮ロッド6を水平方向に所定角度だけ回転させた方向にする必要があるときには、伸長が完了しているかを判定する(S110)の処理の中では、回転角度の処理を含めて2段目伸縮ロッド6の伸長完了判定としていることは言うまでもない。
【0052】
最後に伸長が完了した場合、センサ9を降下させるステップに入る。センサ降下が完了しているかを判定し(S113)、完了していなければ、センサケーブル8を繰出す(S114)なお、センサ降下の完了については、センサ9に搭載したカメラの映像を元に、操作員が判定する。センサ降下が完了した場合、センサ設置完了とする(S115)。
【0053】
図6は、点検作業において、点検位置を変更する手順を説明する図である。開始後(S200)、図2のセンサケーブル用ウインチ25cを駆動し、設置したセンサ9を巻き上げ、完了したかを判定する(S201)。巻取りが完了していなければ、センサケーブル巻取りを実施する(S202)。
【0054】
巻取りが完了した場合、図2の2段目伸縮ロッド方向調整モータ21を駆動し、水平角度の変更を実施する(S203)、次に、2段目伸縮ロッドの長さを変更するステップに入る。変更が完了したか判定し(S204)、完了していなければ、内包ケーブルを巻取り(S205)、同時に2段目伸縮ロッドを収縮する(S206)。
【0055】
ロッド長の変更完了した場合(S204)、センサ9を降下させるステップに移る。センサ9の降下が完了したかを判定し(S207)、完了していなければ、ケーブル8を繰出し降下させる(S208)。効果が完了していれば(S207)、センサ設置を完了とする(S209)。
【0056】
図7は、点検装置の動作状態と、この時に使用する制御機能の関係をまとめた図である。動作状態としては調査装置走行状態、1段目伸縮ロッド伸縮状態、2段目伸縮ロッド伸縮状態、センサ昇降状態の4モードを想定し、制御機能としては複合ケーブル用ウインチ617、内包ケーブル用ウインチ618、センサケーブル用ウインチ605、1段目伸縮ロッド用伸縮部610、2段目伸縮ロッド用伸縮部613を想定している。
【0057】
この表から明らかなように、調査装置走行状態では複合ケーブル用ウインチ617、内包ケーブル用ウインチ618を操作し、1段目伸縮ロッド伸縮状態では内包ケーブル用ウインチ618、センサケーブル用ウインチ605、1段目伸縮ロッド用伸縮部610を操作し、2段目伸縮ロッド伸縮状態ではセンサケーブル用ウインチ605、2段目伸縮ロッド用伸縮部613を操作し、センサ昇降状態ではセンサケーブル用ウインチ605を操作している。
【符号の説明】
【0058】
1…容器、2…堆積物、3…容器上面床、4…調査装置、5…1段目伸縮ロッド、6…2段目伸縮ロッド、7…ロッド先端プーリ、8…センサケーブル、9…センサ(カメラ・線量計)、10…調査装置用複合ケーブル、11…ドラムボックス、12…コントローラ
21…2段目伸縮ロッド方向調整モータ、22…2段目伸縮ロッド方向調整モータ用ケーブル、23a…1段目伸縮ロッド用伸縮エアホース、23b…2段目伸縮ロッド用伸縮エアホース、24…内包ケーブル用シリンダ、25a…内包ケーブル用ウインチ、25b…複合ケーブル用ウインチ、25c…センサケーブル用ウインチ、26…センサケーブル・調査装置駆動用複合ケーブル、27…伸縮ロッド角度調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7