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特開2023-160374インピーダンス計測装置およびインピーダンス計測方法
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  • 特開-インピーダンス計測装置およびインピーダンス計測方法 図1
  • 特開-インピーダンス計測装置およびインピーダンス計測方法 図2
  • 特開-インピーダンス計測装置およびインピーダンス計測方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160374
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】インピーダンス計測装置およびインピーダンス計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/02 20060101AFI20231026BHJP
   C12M 1/34 20060101ALN20231026BHJP
【FI】
G01N27/02 D
C12M1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070705
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】中島 駿
【テーマコード(参考)】
2G060
4B029
【Fターム(参考)】
2G060AA15
2G060AA19
2G060AD06
2G060AF03
2G060AF06
2G060AG10
2G060AG13
2G060GA01
2G060HA02
2G060JA07
2G060KA09
4B029AA07
4B029BB01
4B029FA01
(57)【要約】
【課題】多電極アレイデバイスを用いて生体試料のインピーダンスを計測できる技術を提供する。
【解決手段】インピーダンス計測装置1は、計測容器10と、複数の第1電極31と、第2電極32と、第3電極33と、電圧印加回路43と、電流検出回路45と、電圧検出回路47とを備える。第1電極31は、計測容器10内の底面にアレイ状に配置されている。第2電極32および第3電極33は、計測容器10内に位置する。電圧印加回路43は、各第1電極31と第2電極32との間に電圧を印加する。電流検出回路45は、各第1電極31に流れる電流を検出する。電圧検出回路47は、各第1電極31と第3電極33との間の電圧を検出する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インピーダンス計測装置であって、
計測容器と、
前記計測容器内の底面にアレイ状に配置された複数の第1電極と、
前記計測容器内に位置する第2電極および第3電極と、
各前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加する電圧印加回路と、
各前記第1電極に流れる電流を検出する電流検出回路と、
各前記第1電極と前記第3電極との間の電圧を検出する電圧検出回路と、
を備える、インピーダンス計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインピーダンス計測装置であって、
前記第3電極が前記底面に位置する、インピーダンス計測装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のインピーダンス計測装置であって、
前記複数の第1電極のうちから、前記電流検出回路に接続される1つの第1電極を選択する電極選択回路、
をさらに備える、インピーダンス計測装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のインピーダンス計測装置であって、
前記電流検出回路は、前記電流に応じた電圧を出力可能であり、
前記インピーダンス計測装置は、
前記電圧印加回路によって印加される交流電圧と、前記電流検出回路が出力する電圧との差分を検出する差動信号検出回路、
をさらに備える、インピーダンス計測装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のインピーダンス計測装置であって、
前記電流検出回路によって検出される電流と、前記電圧検出回路によって検出される電圧とに基づいて、インピーダンスを算出する算出部、
をさらに備える、インピーダンス計測装置。
【請求項6】
インピーダンス計測方法であって、
a) 計測容器内の底面にアレイ状に配置された複数の第1電極のうち少なくとも1つと、前記計測容器内に位置する第2電極との間に交流電圧を印加する工程と、
b) 前記工程a)によって交流電圧が印加された状態で、前記第1電極に流れる電流を検出する工程と、
c) 前記工程a)によって交流電圧が印加された状態で、前記第1電極と第3電極との間の電圧を検出する工程と、
d) 前記工程b)によって検出される電流と、前記工程c)によって検出される電圧とに基づいて、対象物のインピーダンスを算出する工程と、
を備える、インピーダンス計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、インピーダンス計測装置およびインピーダンス計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気生理学分野では、単一あるいは集団における細胞イオンチャネルの挙動を解析することが行われている。イオンチャネル解析装置としては、例えば、パッチクランプ法を用いた細胞内活動電位検出装置や、多電極アレイ(MEA:Multi Electrode Array)デバイスを用いた細胞外活動電位検出装置が知られている。多電極アレイデバイスは、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016-529889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば細胞の形態変化または細胞密度を簡易的に計測するため、対象となる生体試料(細胞および生体スライスを含む。)のインピーダンス計測が行われる場合がある。しかしながら、従来、多電極アレイデバイスは、細胞外活動電位の検出に用いられるだけであり、多電極アレイデバイスを用いて生体試料のインピーダンスを計測する技術は未だ確立されていない。
【0005】
本発明の目的は、多電極アレイデバイスを用いて生体試料のインピーダンスを計測できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1態様は、インピーダンス計測装置であって、計測容器と、前記計測容器内の底面にアレイ状に配置された複数の第1電極と、前記計測容器内に位置する第2電極および第3電極と、各前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加する電圧印加回路と、各前記第1電極に流れる電流を検出する電流検出回路と、各前記第1電極と前記第3電極との間の電圧を検出する電圧検出回路とを備える。
【0007】
第2態様は、第1態様のインピーダンス計測装置であって、前記第3電極が前記底面に位置する。
【0008】
第3態様は、第1態様または第2態様のインピーダンス計測装置であって、前記複数の第1電極のうちから、前記電流検出回路に接続される1つの第1電極を選択する電極選択回路をさらに備える。
【0009】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1つのインピーダンス計測装置であって、前記電流検出回路は、前記電流に応じた電圧を出力可能であり、前記インピーダンス計測装置は、前記電圧印加回路によって印加される交流電圧と、前記電流検出回路が出力する電圧との差分を検出する差動信号検出回路をさらに備える。
【0010】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1つのインピーダンス計測装置であって、前記電流検出回路によって検出される電流と、前記電圧検出回路によって検出される電圧とに基づいて、インピーダンスを算出する算出部、をさらに備える。
【0011】
第6態様は、インピーダンス計測方法であって、a)計測容器内の底面にアレイ状に配置された複数の第1電極のうち少なくとも1つと、前記計測容器内に位置する第2電極との間に交流電圧を印加する工程と、b)前記工程a)によって交流電圧が印加された状態で、前記第1電極に流れる電流を検出する工程と、c)前記工程a)によって交流電圧が印加された状態で、前記第1電極と第3電極との間の電圧を検出する工程と、d)前記工程b)によって検出される電流と、前記工程c)によって検出される電圧とに基づいて、対象物のインピーダンスを算出する工程とを備える。
【発明の効果】
【0012】
第1態様のインピーダンス計測装置によれば、計測容器の底面にアレイ状に配置された第1電極を用いて、3端子法により対象物のインピーダンスを計測できる。
【0013】
第2態様のインピーダンス計測装置によれば、第1電極および第3電極を底面に集約できるため、装置の大型化を抑制できる。
【0014】
第3態様のインピーダンス計測装置によれば、複数の第1電極のうちから選択される1つの第1電極を用いて、インピーダンスを計測できる。
【0015】
第4態様のインピーダンス計測装置によれば、交流電圧と電流との位相差に基づいて、対象物のインピーダンスを算出できる。
【0016】
第5態様のインピーダンス計測装置によれば、インピーダンスを算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係るインピーダンス計測装置の構成を概略的に示す図である。
図2図1に示される計測容器を示す上面図である。
図3】インピーダンスを計測する場合の等価回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0019】
<1. 第1実施形態>
図1は、実施形態に係るインピーダンス計測装置1の構成を概略的に示す図である。図2は、図1に示される計測容器10を示す上面図である。図1に示されるように、インピーダンス計測装置1は、計測容器10と、計測部20とを備える。
【0020】
計測容器10は、対象物である細胞9のインピーダンスを計測するための容器である。計測容器10の内部には、細胞9を含む細胞懸濁液が滴下される。図1に示されるように、計測容器10は、底部11と側壁部13とを有する。底部11は、水平面に沿って円板状に広がる。側壁部13は、底部11の周縁部から上方へ向けて円筒状に延びる。底部11は、「計測プレート」の一例である。底部11の上面は、細胞懸濁液が滴下される計測容器10内の底面である。なお、計測容器10の計測対象は、細胞9に限定されるものではなく、生体組織スライス標本などであってもよい。
【0021】
計測容器10は、複数の第1電極31と、第2電極32と、第3電極33と、複数の第1配線35と、第2配線37とを有する。複数の第1電極31と、第3電極33と、複数の第1配線35と、第2配線37とは、底部11の上面(計測容器10の底面)に位置する。各第1配線35および第2配線37は、絶縁体(例えば、感光性ポリイミドなど)で覆われている。各第1電極31、第3電極33、各第1配線35、および第2配線37は、例えば、フォトリソグラフィにより形成される。
【0022】
複数の第1電極31は、アレイ状に配置されている。計測容器10は、複数の微小な第1電極31がアレイ状に配置された多電極アレイ(または微小電極アレイ)デバイスである。図1図2および図3に示される例では、16個の第1電極31が、4行4列のマトリクス状に配置されている。なお、第1電極31の数および配置は、任意に設定し得る。第1電極31は、好ましくは、10個以上配置される。第1電極31の形状は、上面視において正方形である。ただし、第1電極31の形状は、正方形以外の多角形状または円形状などであってもよい。
【0023】
第2電極32は、計測容器10内に位置する。第2電極32は、例えばスティック状であり、少なくとも一部(例えば、下端部)が計測容器10内に注入される液体91に浸される。
【0024】
第3電極33は、複数の第1電極31から半径方向の外側に離れて位置する。複数の第1電極31と第3電極33とは、互いに絶縁されている。図1および図2に示される例では、第3電極33は、上面視において正方形である。ただし、第3電極33の形状は、正方形以外の多角形状または円形状などであってもよい。
【0025】
各第1配線35は、対応する1つの第1電極31と電気的に接続されている。なお、図1では、2つの第1電極31に接続されている2つの第1配線35が図示されており、他の第1電極31に接続されている第1配線35については、図示が省略されている。各第1配線35は、計測容器10の外側へ延びている。第2配線37は、第3電極33と電気的に接続されている。第2配線37は、第3電極33から計測容器10の外側へ向けて延びている。図1に示されるように、各第1配線35および第2配線37は、計測容器10の外部に配置された計測部20と電気的に接続される。
【0026】
図1に示されるように、計測部20は、電極選択回路41と、電圧印加回路43と、電流検出回路45と、電圧検出回路47と、差動信号検出回路49と、算出部51とを有する。
【0027】
電極選択回路41は、複数の第1電極31のうちから、電流検出回路45および電圧検出回路47と電気的に接続される1つの第1電極31を選択するための回路である。図1に示されるように、電極選択回路41は、各第1電極31と電流検出回路45との間を接続する回路を開閉する複数のスイッチを有する。電極選択回路41の切り替え操作は、算出部51の制御によって行われてもよい。
【0028】
電圧印加回路43は、電極選択回路41を介して第1電極31と電気的に接続される。電圧印加回路43は、第1電極31と第2電極32との間に所定周波数の交流電圧(交流信号)を印加する。図1に示される例では、電圧印加回路43は、電流検出回路45の後述するオペアンプ451の非反転入力端子(+)に接続されている。また、電圧印加回路43は、差動信号検出回路49の後述するオペアンプ491の反転入力端子(-)に接続されている。
【0029】
電流検出回路45は、電極選択回路41と電気的に接続されている。電流検出回路45は、電極選択回路41によって選択される1つの第1電極31に流れる電流を検出する。
【0030】
図1に示されるように、電流検出回路45は、オペアンプ451と、第1抵抗453と、第2抵抗455とを有する。オペアンプ451の非反転入力端子(+)は、電圧印加回路43と電気的に接続されている。オペアンプ451の反転入力端子(-)は、電極選択回路41と電気的に接続されている。第1抵抗453は、電極選択回路41とオペアンプ451の反転入力端子(+)との間に位置する。第2抵抗455の一端は、オペアンプ451の出力端子と差動信号検出回路49との間に接続されている。第2抵抗455の他端は、オペアンプ451の反転入力端子(-)と、第1抵抗453との間に接続されている。
【0031】
電圧検出回路47は、電極選択回路41によって選択される1つの第1電極31と、第3電極33との間の電圧Vxを検出する。図1に示されるように、電圧検出回路47は、オペアンプ471を有する。オペアンプ471の非反転入力端子(+)は、電極選択回路41と第1抵抗453との間に接続されており、電極選択回路41を介して1つの第1電極31と電気的に接続される。オペアンプ471の反転入力端子(-)は、第3電極33と電気的に接続される。
【0032】
差動信号検出回路49は、電圧印加回路43によって印加される交流電圧と、電流検出回路45によって検出される電流との位相差を検出する。図1に示されるように、差動信号検出回路49は、オペアンプ491を有する。オペアンプ491の非反転入力端子(+)は、電流検出回路45のオペアンプ451の出力端子に接続されている。オペアンプ491の反転入力端子(-)は、電圧印加回路43に接続されている。
【0033】
算出部51は、記憶装置と、処理回路と、入力装置と、出力装置とを有する。記憶装置は、たとえば、ハードディスクドライブ(HDD)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、揮発性または不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVDなどを含むメモリ(記憶媒体)で構成される。処理回路は、例えば、記憶装置に格納されたプログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)で構成される。入力装置は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネルまたは各種スイッチなどの、情報を入力可能な装置で構成される。出力装置は、たとえばディスプレイ、液晶表示装置またはランプなどの、情報を出力可能な装置で構成される。
【0034】
算出部51は、電圧検出回路47が出力する電圧Vxと、差動信号検出回路49が出力する電圧Vyとに基づいて、インピーダンスを算出する。インピーダンスを算出する手順については、図3を参照しつつ説明する。
【0035】
<インピーダンスの算出>
図3は、インピーダンスを計測する場合の等価回路を示す図である。計測容器10を用いて細胞9のインピーダンスを計測する場合、計測容器10は、水平な台の上に載置される。そして、計測容器10における複数の第1電極31が配置されている底部11の上面に、細胞懸濁液が滴下される。計測容器10に滴下された細胞懸濁液を数分間放置すると、複数の細胞9が沈下し、計測容器10の底部11に細胞層が形成される。細胞層が形成された後、計測用の液体91(培地)が計測容器10内に注入される。液体91が第1電極31、第2電極32および第3電極33に接触することによって、第1電極31、第2電極32および第3電極33が導通可能な状態となる。なお、図1に示されるように、インピーダンス計測時においては、第2電極32は接地される。
【0036】
以下の説明では、図3に示されるように、第1電極31の接触インピーダンスを「Z1」、第2電極32の接触インピーダンスを「Z2」、第3電極33の接触インピーダンスを「Z3」、対象物(細胞)のインピーダンス(対象インピーダンス)を「Zx」とする。
【0037】
図3に示されるように、電圧印加回路43が交流電圧を印加すると、第1電極31に交流電流iが流れる。電圧印加回路43が交流電圧を印加したときに、接触インピーダンスZ1,Z2,Z3、および、インピーダンスZxによって生じる電位差を、それぞれ「VZ1」、「VZ2」、「VZ3」、「VZx」とする。
【0038】
電圧検出回路47は、第1電極31と第3電極33との間の電圧Vxを検出する。電圧VxはVZx、VZ1、VZ3の合計値に等しい。また、電圧Vxは、電流i、接触インピーダンスZ1,Z3および対象インピーダンスZxを用いて、次の式(1)で表される。
【0039】
Vx=VZx+VZ1+VZ3=(Zx+Z1+Z3)*i ・・・(1)
【0040】
ここで、電圧検出回路47におけるオペアンプ471の入力インピーダンスを高くする(例えば、10GΩ(ギガオーム)以上)にすることで、電圧検出回路47に電流が流入し難くなる。そうすると、第3電極33で発生する電位差VZ3がほぼゼロとなる(VZ3≒0)。したがって、電圧検出回路47では、実質的に、VZ1とVZxの合計値(=VZ1+VZx)を計測することとなり、第3電極33の接触インピーダンスZ3を抑制できる。すなわち、電圧検出回路47が計測する電圧Vxは、次の式(2)で表される。
【0041】
Vx=VZx+VZ1=(Zx+Z1)*i ・・・(2)
【0042】
ここで、交流電流iは、電圧印加回路43の印加電圧Vsと、第1抵抗453の抵抗値R1とを用いて、次の式(3)で表される。
【0043】
i=Vs/R1 ・・・(3)
【0044】
差動信号検出回路49が出力する電圧Vyは、電流検出回路45が出力する電圧(=R2*i)と印加電圧Vsの差分である。すなわち、電圧Vyは、次の式(4)により表される。
【0045】
Vy=(R2*i)-Vs ・・・(4)
【0046】
電圧Vxおよび電圧Vyを計測することによって、それらの信号位相差を検出できるため、合成インピーダンスであるZx+Z1を計測できる。また、接触インピーダンスZ1は、液体91のみの状態(すなわち、細胞9がない状態。Zx=0)でインピーダンス計測を行うことによって、計測される。計測された接触インピーダンスZ1を、合成インピーダンスであるZx+Z1から差し引くことによって、対象インピーダンスZxが算出される。
【0047】
以上のように、インピーダンス計測装置1によれば、多電極アレイである複数の第1電極31に流れる電流を計測することによって、対象物である細胞9のインピーダンスを計測できる。これにより、多電極アレイデバイスである計測容器10を用いて、従来の細胞外活動電位の計測だけでなく、細胞9のインピーダンス計測を行うことができる。
【0048】
また、インピーダンス計測装置1によれば、3つの電極を用いた三端子法によりインピーダンスを計測する。このため、二端子法の場合よりも、細胞9のインピーダンスを高精度に計測できる。
【0049】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0050】
例えば、第2電極32は、例えばフォトリソグラフィにより、側壁部13の表面に形成されていてもよい。
【0051】
また、第3電極33が計測容器10における底部11の上面に位置することは必須ではない。例えば、第2電極32と同様に、第3電極33をスティック状として、第3電極33が計測容器10内に注入された液体に浸されるようにしてもよい。また、複数の第3電極33が配置されていてもよい。この場合、図示しない選択回路によって、複数の第3電極33のうち、電圧検出回路47に接続される1つの第3電極33が選択できるようにしてもよい。
【0052】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 インピーダンス計測装置
10 計測容器
11 底部
20 計測部
31 第1電極
32 第2電極
33 第3電極
41 電極選択回路
43 電圧印加回路
45 電流検出回路
47 電圧検出回路
49 差動信号検出回路
51 算出部
図1
図2
図3