(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160375
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】防災用車両
(51)【国際特許分類】
A62C 27/00 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
A62C27/00 508
A62C27/00 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070708
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000215822
【氏名又は名称】帝国繊維株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】多田 洋一
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189AB06
2E189AC00
2E189AE04
(57)【要約】
【課題】救助活動用のウインチ装置と消火活動用の消防ポンプの両方を備えつつ、消火活動や救助活動に必要な多数の装備品を収納可能な防災用車両を提供する。
【解決手段】左右一対のシャシフレーム5上に設けられる左右一対のサブフレーム8と、サブフレーム8上に設けられる装備品収納用の収納庫4と、車両前部の走行用エンジン6の動力を取り出すPTO軸9に連結されて走行用エンジン6により駆動される消防ポンプ30と、ワイヤ25の送り出しと巻き取りを行うウインチ装置20と、を備え、消防ポンプ30およびウインチ装置20は、後輪1bよりも後方において収納庫4の底壁よりも下方に位置するようにサブフレーム8に対して取り付けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のシャシフレーム上に設けられる左右一対のサブフレームと、前記サブフレーム上に設けられる装備品収納用の収納庫と、車両前部の走行用エンジンの動力を取り出すPTO軸に連結されて前記走行用エンジンにより駆動される消防ポンプと、ワイヤの送り出しと巻き取りを行うウインチ装置と、を備え、
前記消防ポンプおよび前記ウインチ装置は、車両後輪よりも後方において前記収納庫の底壁よりも下方に位置するように前記サブフレームに対して取り付けられている、ことを特徴とする防災用車両。
【請求項2】
前記ウインチ装置は、連結ユニットを介して前記サブフレームに取り付けられており、
前記連結ユニットは、左右一対の前記サブフレーム同士を連結する左右連結部材と、前記左右連結部材から下方に延びるとともに下端部に前記ウインチ装置の部品が取り付けられる下方延長部材と、を有し、
前記下方延長部材は、前記左右連結部材の長手方向に所定の間隔をあけて複数設けられ、
前記消防ポンプは、車両後方に向かって開口する吸水口および/または吐水口を有して前記ウインチ装置よりも車両後方に配置され、
前記PTO軸が、複数の前記下方延長部材の間を通るように構成された、ことを特徴とする請求項1に記載の防災用車両。
【請求項3】
前記PTO軸は、3個以上の自在継手部と、隣り合う前記自在継手部同士を連結する2個以上の中間軸部と、を有し、
複数の前記中間軸部のうち所定の前記中間軸部は、軸受部によって回転自在に支持され、前記軸受部は、両端部が左右の前記サブフレームに支持される軸受支持部材に取り付けられている、請求項1または2に記載の防災用車両。
【請求項4】
前記軸受部は、前記軸受支持部材の上側に取り付けられ、
前記ウインチ装置の前記ワイヤは、車両前部に設けられた車外引出口に向かって車両前方に延びるように設けられるとともに、前記軸受支持部材の下方を通るように構成されている、請求項3に記載の防災用車両。
【請求項5】
前記PTO軸の前端は、前記走行用エンジンの後部に連設されたクラッチ・トランスミッション部の動力取出口に接続されており、
前記PTO軸の後端は、車両左右方向の中心に対して一方側にオフセットされた前記消防ポンプのPTO軸接続部に接続されており、
前記ワイヤは、車両左右方向の中心に対して他方側にオフセットされた前記ウインチ装置のワイヤ供給口から車両前方へ延びるように構成されており、
前記ワイヤは、前記PTO軸と平面視重ならないように、滑車部を利用してガイドされて車外へ引き出されるように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の防災用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、救助活動や消火活動を行うために、装備品収納用の収納庫とウインチ装置と消防ポンプとを備えた防災用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災や災害時における防災用車両として、救助活動を行うために様々な機材や工具を搭載した救助工作車や、消防ポンプを搭載した消防ポンプ車がある。(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。特に、ウインチ装置および消防ポンプを備え、救助活動と消火活動を同時に行うことが可能な防災用車両の提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-345927号公報
【特許文献2】特開平10-100796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような防災用車両は、救助活動と消火活動を同時に行うために多数の装備品を搭載する必要があり、それには全ての装備品を収納するスペースを確保する必要がある。しかしながら、従来の消防ポンプ車において、搭載された消防ポンプはシャシの上部に配置されているものが多く、新たに救助活動に必要な救助器具を収納するスペースを確保することが困難である。一方、従来の救助工作車は、救助活動に必要な多数の装備品が収納された収納庫を有しているが、収納庫内に消防ポンプや消防ホース等を搭載するスペースを追加で確保することは難しい。また、多数の装備品が収納された収納庫と消防ポンプに加えてさらにウインチ装置を搭載することになると、よりスペースの確保が難しくなる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、救助活動用のウインチ装置と消火活動用の消防ポンプの両方を備えつつ、消火活動や救助活動に必要な多数の装備品を収納可能な防災用車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、第1の発明は、左右一対のシャシフレーム上に設けられる左右一対のサブフレームと、前記サブフレーム上に設けられる装備品収納用の収納庫と、車両前部の走行用エンジンの動力を取り出すPTO軸に連結されて前記走行用エンジンにより駆動される消防ポンプと、ワイヤの送り出しと巻き取りを行うウインチ装置と、を備え、前記消防ポンプおよび前記ウインチ装置は、車両後輪よりも後方において前記収納庫の底壁よりも下方に位置するように前記サブフレームに対して取り付けられていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、装備品収納用の収納庫がサブフレーム上に設けられ、消防ポンプおよび前記ウインチ装置は、車両後輪よりも後方において前記収納庫の底壁よりも下方に位置するように前記サブフレームに対して取り付けられているので、サブフレームよりも上側の部分には、消火活動および救助活動に必要な装備品を多数収納することができる。また、ウインチ装置および消防ポンプは、シャシが通常有しているドライブシャフト、リヤサスペンション装置、リヤアクスルハウジング等の走行関連機器と干渉することのないように、車両後輪よりも後方に設けられている。そして、ウインチ装置および消防ポンプは、収納庫の底壁よりも下方に位置しているので、消火活動および救助活動のための装備品に干渉することもない。したがって、救助活動用のウインチ装置と消火活動用の消防ポンプの両方を備えつつ、消火活動や救助活動に必要な多数の装備品を収納可能な防災用車両を提供することができる。
【0008】
第2の発明では、第1の発明において、前記ウインチ装置は、連結ユニットを介して前記サブフレームに取り付けられており、前記連結ユニットは、左右一対の前記サブフレーム同士を連結する左右連結部材と、前記左右連結部材から下方に延びるとともに下端部に前記ウインチ装置の部品が取り付けられる下方延長部材と、を有し、前記下方延長部材は、前記左右連結部材の長手方向に所定の間隔をあけて複数設けられ、前記消防ポンプは、車両後方に向かって開口する吸水口および/または吐水口を有して前記ウインチ装置よりも車両後方に配置され、前記PTO軸が、複数の前記下方延長部材の間を通るように構成されたことを特徴とする。
【0009】
第2の発明によれば、消防ポンプは、車両後方に向かって開口する吸水口および/または吐水口を有しているので、車両の後部から吸水または吐水を行うことができる。また、消防ポンプを車両の中央部に配置した場合に比べて消防ポンプからの配管を短くかつ簡易に構成することができるので、装備品を収納するスペースを増やすことができる。また、車両前部の走行用エンジンの動力取出口と車両後輪よりも後方の消防ポンプとを連結するPTO軸について、ウインチ装置の部品が取り付けられる複数の下方延長部材の間を通るように構成されていることにより、ウインチ装置および連結ユニットを避けるようにPTO軸をレイアウトする場合と比較して、PTO軸全体の長さを短くすることができ、省スペースにできる。
【0010】
第3の発明では、第1または第2の発明において、前記PTO軸は、3個以上の自在継手部と、隣り合う前記自在継手部同士を連結する2個以上の中間軸部と、を有し、複数の前記中間軸部のうち所定の前記中間軸部は、軸受部によって回転自在に支持され、前記軸受部は、両端部が左右の前記サブフレームに支持される軸受支持部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
第3の発明によれば、車両前部の走行用エンジンの動力取出口と車両後輪よりも後方の消防ポンプとを互いに連結するPTO軸は、車両前部から車両後部まで延びていて長いものであるが、自在継手部によって各中間軸部の延びる方向を調整しつつ走行用エンジンの動力を消防ポンプに伝達することができる。また、所定の中間軸部は軸受部によって回転自在に支持され、その軸受部は、軸受支持部材を介してサブフレームに支持されているので、PTO軸をサブフレームの高さ位置に確実に維持させることができる。これにより、PTO軸のレイアウトの自由度を高めつつ、サブフレームよりも上側の部分に収納される装備品の収納スペースを確保することができる。
【0012】
第4の発明では、第3の発明において、前記軸受部は、前記軸受支持部材の上側に取り付けられ、前記ウインチ装置の前記ワイヤは、車両前部に設けられた車外引出口に向かって車両前方に延びるように設けられるとともに、前記軸受支持部材の下方を通るように構成されている。
【0013】
第4の発明によれば、消防ポンプを駆動するためのPTO軸は軸受支持部材の上側に設けられる一方、ウインチ装置のワイヤは軸受支持部材の下側に設けられることにより、軸受支持部材をPTO軸とワイヤとが互いに接触しないようにするための規制部材として活用することができる。また、PTO軸よりもワイヤの方が下方に位置するので、ワイヤが緩んで重力によって垂れ下がってもPTO軸に干渉することがない。これにより、PTO軸とワイヤの高さ位置が大きく離れていなかったとしても、機器トラブルでウインチ装置のワイヤが緩んだ際に回転するPTO軸に対してワイヤが絡むようなトラブルを防ぐことができる。そのため、PTO軸とワイヤの高さ位置が大きく離れないようなレイアウトによってサブフレームよりも上側の部分に収納される装備品の収納スペースを確保しつつ、トラブルを抑制することが可能な防災用車両にできる。
【0014】
第5の発明では、第1~第4のいずれか一つの発明において、前記PTO軸の前端は、前記走行用エンジンの後部に連設されたクラッチ・トランスミッション部の動力取出口に接続されており、前記PTO軸の後端は、車両左右方向の中心に対して一方側にオフセットされた前記消防ポンプのPTO軸接続部に接続されており、前記ワイヤは、車両左右方向の中心に対して他方側にオフセットされた前記ウインチ装置のワイヤ供給口から車両前方側へ延びるように構成されており、前記ワイヤは、前記PTO軸と平面視重ならないように、滑車部を利用してガイドされて車外へ引き出されるように構成されている。
【0015】
第5の構成によれば、PTO軸とワイヤとを水平方向に離れた位置に配置することができるので、PTO軸とワイヤとを上下に離れた位置に配置しなくてもよい分、収納庫の底壁と天井壁との間の寸法を大きくできる。これにより、サブフレームよりも上側の部分に収納される装備品の収納スペースを確保することができる。また、PTO軸とワイヤが上下に重ならない位置にあるので、機器トラブルでウインチ装置のワイヤが緩んだ際に、回転するPTO軸に対してワイヤが絡むようなトラブルを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る防災用車両によれば、ウインチ装置および消防ポンプは、走行関連機器と干渉することのないように、車両後輪よりも後方に設けられている。そして、ウインチ装置および消防ポンプは、収納庫の底壁よりも下方に位置しているので、消火活動および救助活動のための装備品に干渉することもない。したがって、救助活動用のウインチ装置と消火活動用の消防ポンプの両方を備えつつ、消火活動や救助活動に必要な多数の装備品を収納可能な防災用車両を提供することができる。また、車両前部の走行用エンジンの動力取出口と車両後輪よりも後方の消防ポンプとを連結するPTO軸について、ウインチ装置の部品が取り付けられる複数の下方延長部材の間を通るように構成されていることにより、ウインチ装置および連結ユニットを避けるようにPTO軸をレイアウトする場合と比較して、PTO軸全体の長さを短くすることができ、省スペースにできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る防災用車両の側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る防災用車両の要部平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る防災用車両の要部側面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るウインチ装置および連結ユニットの平面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るウインチ装置および連結ユニットの簡略正面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る防災用車両の要部平面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る防災用車両の要部側面図(ウインチ装置省略)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る防災用車両について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1には、本発明の第1の実施形態に係る防災用車両1が示されている。この防災用車両1は、救助活動と消火活動を同時に行うことを可能とした車両である。防災用車両1は、車両前部に設けられた前部キャビン2と、前部キャビン2の後方に設けられた後部キャビン3と、後部キャビン3の後方に設けられた収納庫4と、を有している。前部キャビン2には運転席が設けられ、後部キャビン3には複数の隊員が座る後部座席が設けられている。また、収納庫4の収納空間部には、消火活動や救助活動に必要な多数の装備品が収納されている。
【0020】
図2は、本発明の第1実施形態に係る防災用車両1の要部平面図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係る防災用車両1の要部側面図である。
図2および
図3において、防災用車両1は、左右一対のシャシフレーム5,5上に設けられる左右一対のサブフレーム8,8と、サブフレーム8,8上に設けられる装備品収納用の収納庫4と、車両前部の走行用エンジン6の動力を取り出すPTO軸9に連結されて走行用エンジン6により駆動される消防ポンプ30と、ワイヤ25の送り出しと巻き取りを行うウインチ装置20と、を備えている。
【0021】
左右一対のシャシフレーム5,5は、車両前後方向に延びている。シャシフレーム5,5は、シャシメーカが走行関連機器を取り付けるためのベースとなる部材である。走行関連機器としては、前輪1a,1aおよび後輪1b,1b、シャシフレーム5,5の前部に取り付けられる走行用エンジン6、走行用エンジン6の後端に連設されたクラッチ・トランスミッション部7、ドライブシャフト(図示省略)、リヤサスペンション装置(図示省略)、リヤアクスルハウジング(図示省略)等がある。クラッチ・トランスミッション部7の上部には、動力取出口7aが設けられており、走行用エンジン6の動力を取り出すことが可能となっている。各サブフレーム8は、各シャシフレーム5に沿うようにシャシフレーム5の上面に取り付けられている。サブフレーム8,8は、架装メーカが取り付けるものであり、収納庫4およびその他の架装機器を取り付けるためのベースとなる部材である。本実施形態のサブフレーム8,8は、収納庫4の前後長さに合わせた長さに形成されている。すなわち、収納庫4よりも車両前方側のシャシフレーム5,5の上面には、サブフレーム8,8が取り付けられていない。
【0022】
図4は、ウインチ装置20および連結ユニット11の平面図である。また、
図5は、ウインチ装置20および連結ユニット11の簡略正面図である。
図2~
図5に示すように、ウインチ装置20は、防災用車両1の後輪1b,1bよりも後方において収納庫4の底壁よりも下方に位置するようにサブフレーム8,8に対して取り付けられている。詳しくは、ウインチ装置20は、連結ユニット11を介してサブフレーム8,8に取り付けられている。
【0023】
連結ユニット11は、左右一対のサブフレーム8同士を連結する左右連結部材11aと、左右連結部材11aから下方に延びるとともに下端部にウインチ装置20の部品が取り付けられる下方延長部材11bと、を有している。下方延長部材11bは、左右連結部材11aの長手方向(車両左右方向)に所定の間隔をあけて2本設けられている。2本の下方延長部材11b,11bは、車両左右方向の中心に対して車両左側にオフセットして左右連結部材11aに取り付けられている。
【0024】
ウインチ装置20は、本体部21とワイヤ収納部22とを有している。本体部21は、左右連結部材11aに本体取付ブラケット11cを使用して取り付けられており、ワイヤ収納部22よりも車両右側に配置されている。本体部21は、車両前方側に、ワイヤ25が出し入れされるワイヤ供給口21aを有している。ワイヤ供給口21aは、車両左右方向の中心に対して車両右側にオフセットして配置されている。
【0025】
図6は、ウインチ装置20の油圧回路図である。
図4~6に示すように、ウインチ装置20の本体部21には、ワイヤ25を巻き取るための機構が内部に備わっている。より具体的に説明すると、本体部21は、摩擦ローラユニット26とパワーユニット27とを有している。摩擦ローラユニット26は、溝付の第1摩擦ドラム26aと溝付の第2摩擦ドラム26bとを有し、それらにワイヤ25が数回程度掛け渡されるようになっている。ワイヤ25の先端に負荷がかかっているとワイヤ25は第1摩擦ドラム26aおよび第2摩擦ドラム26b側に締めこまれ、ワイヤ25と、第1摩擦ドラム26aおよび第2摩擦ドラム26bとの間に摩擦力が発生する。この状態で第1摩擦ドラム26aおよび第2摩擦ドラム26bが回転され、ワイヤ25が巻き取られるようになっている。パワーユニット27は、第2摩擦ドラム26bを回転駆動させるための油圧機構である。
【0026】
パワーユニット27は、作動油タンク27aと、第1油圧ポンプ27bと、電動モータ27fと、第2油圧ポンプ27cと、制御ブロック部27eと、可変油圧モータ27dとを有している。電動モータ27fは、第1油圧ポンプ27bと連結されており、図示省略の車載バッテリの電力により駆動されることによって第1油圧ポンプ27bを回転駆動させる。第1油圧ポンプ27bは、作動油タンク27aの作動油を油圧配管および制御ブロック部27eを介して可変油圧モータ27dに供給する。制御ブロック部27eは、可変油圧モータ27dをスムーズに駆動させるための各種要素機器を有している。可変油圧モータ27dは、摩擦ローラユニット26の第2摩擦ドラム26bとドラム駆動軸26cにより連結されており、第2摩擦ドラム26bを回転駆動させるようになっている。また、第2油圧ポンプ27cは可変容量型であり、可変油圧モータ27dの回転スピードを変化させるために設けられている。
【0027】
ワイヤ収納部22は、略短円柱状の外形をしており、本体部21によって巻き取られたワイヤ25を絡まないように収納するための機構を有している。ワイヤ収納部22は、2本の下方延長部材11b,11bの下端部に取り付けられている。ワイヤ収納部22は、本体部21にワイヤガイド部23によって接続されている。ワイヤガイド部23は、弧状に延びるガイドベース23aに沿って複数のガイドローラ23bが所定間隔をあけて設けられている。この複数のガイドローラ23bによってワイヤ25がガイドベース23aに沿って移動されるようになっている。そして、ワイヤ25は、本体部21とワイヤ収納部22との間でスムーズに移動できるようになっている。なお、上記ドラム駆動軸26cは第1ブレーキ部28によって、ワイヤ収納部22の中の回転部は第2ブレーキ部29によって、それぞれ回転運動が制動されるようになっている。
【0028】
次に、
図2および
図3に示すように、消防ポンプ30は、防災用車両1の後輪1b,1bよりも後方において収納庫4よりも下方に位置するようにサブフレーム8,8に対して取り付けられている。消防ポンプ30は、車両後方に向かって開口する吸水口32および吐水口33を有してウインチ装置20よりも車両後方に配置されている。消防ポンプ30は、左右一対のサブフレーム8,8のうち、車両左側のサブフレーム8よりもさらに車両左側にはみ出すような位置に取り付けられている。そのため、車両左側のサブフレーム8よりもさらに車両左側に前後方向に延びる追加サブフレーム42が設けられている。追加サブフレーム42の長さは、ウインチ装置20の位置から車両後端部の位置までの長さとなっている。車両右側のサブフレーム8から追加サブフレーム42まで車両左右方向に横断するように、ポンプ支持フレーム41が取り付けられている。消防ポンプ30は、図示されていないが、ポンプ支持フレーム41から垂下するように取り付けられている。消防ポンプ30は、車両前方側にPTO軸接続部31を有している。このPTO軸接続部31とクラッチ・トランスミッション部7の動力取出口7aとが、PTO軸9によって接続されている。
【0029】
PTO軸9は、3個以上の自在継手部と、隣り合う自在継手部同士を連結する2個以上の中間軸部と、を有している。具体的には、PTO軸9は、クラッチ・トランスミッション部7の動力取出口7a側から車両後方に向かって順に、第1中間軸部9b、第2中間軸部9d、第3中間軸部9f、第4中間軸部9h、第5中間軸部9jの合計5個の中間軸部を有している。第2中間軸部9dおよび第4中間軸部9hは、第1中間軸部9b、第3中間軸部9f、第5中間軸部9jよりも短い長さに形成されている。
【0030】
第1中間軸部9bの一端部は、動力取出口7aに第1自在継手部9aによって連結されている。また、第1中間軸部9bの他端部は、第2中間軸部9dの一端部に第2自在継手部9cによって連結されている。第2中間軸部9dの他端部は、第3中間軸部9fの一端部に第3自在継手部9eによって連結されている。第3中間軸部9fの他端部は、第4中間軸部9hの一端部に第4自在継手部9gによって連結されている。第4中間軸部9hの他端部は、第5中間軸部9jの一端部に第5自在継手部9iによって連結されている。第5中間軸部9jの他端部は、消防ポンプ30のPTO軸接続部31に第6自在継手部9kによって連結されている。
【0031】
上記複数の中間軸部のうち所定の中間軸部は、軸受部12によって回転自在に支持されている。軸受部12は、両端部が左右のサブフレーム8,8に支持される軸受支持部材13の上側に取り付けられている。具体的には、第2中間軸部9dが第1軸受部12aによって回転自在に支持されている。また、第4中間軸部9hが第2軸受部12bによって回転自在に支持されている。第1軸受部12aは、クラッチ・トランスミッション部7と後輪1b,1bの車軸との間の位置に設けられた第1軸受支持部材13aの上側に取り付けられている。また、第2軸受部12bは、後輪1b,1bの車軸よりも後方に位置する第2軸受支持部材13bの上側に取り付けられている。第1軸受部12aおよび第2軸受部12bの高さ位置は、車両前後方向に水平に延びるサブフレーム8,8における上端と下端との間に納まる位置となっている。
【0032】
PTO軸9は、防災用車両1を平面視した場合、車両前後方向に対して傾斜して配置されている。具体的には、PTO軸9の車両前方端の第1自在継手部9aは、車両左右方向の中心に配置されている。また、PTO軸9の車両後方端の第6自在継手部9kは、車両左右方向の中心に対して車両左側にオフセットした位置に配置されている。また、PTO軸9は、防災用車両1を平面視した場合、第1自在継手部9aから第6自在継手部9kまで略直線状に配置されている。これに合わせて、第1軸受部12aおよび第2軸受部12bの車両左右方向の位置が設定されている。そのため、第1軸受部12aは、車両左右方向の中心に対して車両左側に少しオフセットした位置にある。また、第2軸受部12bは、第1軸受部12aよりもさらに車両左側にオフセットした位置にある。そして、消防ポンプ30のPTO軸接続部31は、第2軸受部12bよりもさらに車両左側にオフセットした位置にある。つまり、PTO軸9の後端は、車両左右方向の中心に対して車両左側にオフセットされた消防ポンプ30のPTO軸接続部31に接続されている。
【0033】
ウインチ装置20および連結ユニット11は、第2軸受支持部材13bとポンプ支持フレーム41との車両前後間に配置されている。
図3~
図5に示すように、PTO軸9の第5中間軸部9jが2本の下方延長部材11b,11bの間を通るように構成されている。第5中間軸部9jの下方には、ワイヤ収納部22およびワイヤガイド部23が配置されている。また、第5中間軸部9jの上方には、左右連結部材11aが配置されている。第5中間軸部9jが2本の下方延長部材11b,11bの間を通るように構成することにより、第5中間軸部9jを連結ユニット11に対して上下左右のいずれかに迂回させる必要がなくなっている。
【0034】
ウインチ装置20のワイヤ25は、車両左右方向の中心に対して車両右側にオフセットされたワイヤ供給口21aから車両前方へ延びるように構成されている。そして、ワイヤ25は、PTO軸9と平面視重ならないように、滑車部15を利用してガイドされ、車両前部に設けられた車外引出口24から車外へ引き出されるように構成されている。滑車部15は、前部キャビン2が設けられた車両前後位置において、車両右側のシャシフレーム5の上方に取り付けられている。ウインチ装置20のワイヤ供給口21aから車外引出口24まで、ワイヤ25の高さ位置は、車両前後方向に水平に延びるサブフレーム8の高さ位置に概ね納まる位置となっている。
【0035】
図7は、本発明の第2実施形態に係る防災用車両10の要部平面図である。
図8は、本発明の第2実施形態に係る防災用車両10の要部側面図である。
図7および
図8において、第1実施形態と同様の構成の部分は、第1実施形態と同一の符号を付して、その説明を省略する。第2実施形態において第1実施形態と大きく異なる点は、ウインチ装置200の構成部品のレイアウトである。第2実施形態のウインチ装置200は、第1実施形態と同様の構造の本体部21とワイヤ収納部22とワイヤガイド部23とを備えているが、本体部21とワイヤ収納部22について車両左右方向の位置関係が第1実施形態と逆になっている。すなわち、本体部21は車両左側に配置され、ワイヤ収納部22は車両右側に配置されている。この本体部21とワイヤ収納部22の配置関係のため、第1実施形態の連結ユニット11とは異なる連結ユニット111を介して、ウインチ装置200はサブフレーム8,8に取り付けられている。
【0036】
連結ユニット111は、第1実施形態の連結ユニット11とは、車両左右方向の位置関係が逆になっている。連結ユニット111は、左右のサブフレーム8,8同士を連結する左右連結部材111aと、左右連結部材111aから下方に延びるとともに下端部にウインチ装置200の部品が取り付けられる下方延長部材111bと、を有している。下方延長部材111bは、左右連結部材111aの長手方向に所定の間隔をあけて2本設けられている。2本の下方延長部材111b,111bは、車両左右方向の中心に対して車両右側にオフセットして左右連結部材111aに取り付けられている。ワイヤ収納部22は、2本の下方延長部材111b,111bの下端部に取り付けられている。
【0037】
第2実施形態では、消防ポンプ30の取り付け位置も第1実施形態と異なっている。第1実施形態では、消防ポンプ30は、左右一対のサブフレーム8,8のうち、車両左側のサブフレーム8よりもさらに車両左側にはみ出すような位置に取り付けられ、その取り付けのために追加サブフレーム42が設けられていた。しかし、第2実施形態では、第1実施形態のような追加サブフレーム42は有していない。第2実施形態の消防ポンプ30は、左右一対のサブフレーム8,8の間に納まるようになっている。そして、車両右側のサブフレーム8から車両左側のサブフレーム8まで左右方向に横断するように、ポンプ支持フレーム141が取り付けられている。消防ポンプ30は、図示されていないが、ポンプ支持フレーム141から垂下するようにポンプ支持フレーム141に取り付けられている。
【0038】
第2実施形態では、消防ポンプ30のPTO軸接続部31は、車両左右方向の中心に対して車両右側にオフセットした位置にある。PTO軸9の前端は、車両左右方向の中心付近に位置するクラッチ・トランスミッション部7の動力取出口7aに接続されており、PTO軸9の後端は、車両左右方向の中心に対して車両右側にオフセットされた消防ポンプ30のPTO軸接続部31に接続されている。これに合わせて、PTO軸9の第2中間軸部9dを回転自在に支持する第1軸受部112aと、第4中間軸部9hを回転自在に支持する第2軸受部112bの位置が設定されている。第2実施形態では、第1実施形態と同様に、PTO軸9の第5中間軸部9jが2本の下方延長部材111b,111bの間を通るように構成されている。
【0039】
図9は、
図8のA-A矢視図である。
図11は、
図8のC-C矢視図である。
図7~9に示すように、第1軸受部112aは、両端部が左右のサブフレーム8,8に支持される第1軸受支持部材113aの上側に取り付けられている。第2軸受部112bは、
図11に示すように、両端部が左右のサブフレーム8に支持される第2軸受支持部材113bの上側に取り付けられている。第1軸受部112aは、車両左右方向の中心に対して車両右側に少しオフセットした位置にある。また、第2軸受部112bは、第1軸受部112aよりもさらに車両右側にオフセットした位置にある。消防ポンプ30のPTO軸接続部31は、第2軸受部112bよりもわずかに車両右側にオフセットした位置にある。
【0040】
第2実施形態では、ウインチ装置200のワイヤ25は、ワイヤ供給口21aから車両前部に設けられた車外引出口24に向かって車両前方に延びるように設けられるとともに、第1軸受支持部材113aおよび第2軸受支持部材113bの下方を通るように構成されている。そのため、第2実施形態の第1軸受支持部材113aおよび第2軸受支持部材113bは、サブフレーム8,8の下端より少し上方の位置において取り付けられており、第1軸受部112aおよび第2軸受部112bの上端は、サブフレーム8,8の上端より上方に突出している。第1軸受支持部材113aのサブフレーム8,8に対する高さ位置は、第2軸受支持部材113bよりも上方に位置している。
【0041】
第1軸受支持部材113aの下側には、ウインチ装置200のワイヤ25を通すための第1切欠部113cが設けられている。同様に、第2軸受支持部材113bの下側には、ウインチ装置200のワイヤ25を通すための第2切欠部113dが設けられている。第2実施形態では、ウインチ装置200のワイヤ25は、車両左右方向の中心よりわずかに車両左側にオフセットされたワイヤ供給口21aから車両前方側へ延び、2つの滑車部1115を利用してガイドされて車外へ引き出されるように構成されている。
【0042】
図10は、
図8のB-B矢視図である。
図7、
図8および
図10に示すように、第1軸受支持部材113aと第2軸受支持部材113bとの車両前後間に、第1滑車部115aが配置されている。第1滑車部115aは、両端部が左右のサブフレーム8,8に支持される滑車支持部材14の上側に取り付けられている。第1滑車部115aは、PTO軸9の第3中間軸部9fよりも下方の位置において、ワイヤ25をガイドしている。
【0043】
また、第2滑車部115bは、第1軸受支持部材113aよりも車両前方において、車両右側のシャシフレーム5の上方に取り付けられている。
【0044】
第2実施形態では、上記構成により、防災用車両10を平面視した場合に、PTO軸9の第3中間軸部9fの位置でPTO軸9とワイヤ25とが交差している。しかし、PTO軸9は、第1軸受部112aと第2軸受部112bにより高さが位置決めされ、また、ワイヤ25は第1滑車部115aと第2滑車部115bにより高さが位置決めされて、PTO軸9とワイヤ25とは、異なる高さ位置を安定して維持されるように構成されている。
【0045】
以上のとおり、第1実施形態および第2実施形態に係る防災用車両1(10)によれば、左右一対のシャシフレーム5,5上に設けられる左右一対のサブフレーム8,8と、サブフレーム8,8上に設けられる装備品収納用の収納庫4と、車両前部の走行用エンジン6の動力を取り出すPTO軸9に連結されて走行用エンジン6により駆動される消防ポンプ30と、ワイヤ25の送り出しと巻き取りを行うウインチ装置20(200)と、を備え、消防ポンプ30およびウインチ装置20(200)は、後輪1b,1bよりも後方において収納庫4の底壁よりも下方に位置するようにサブフレーム8,8に対して取り付けられている。
【0046】
上記構成によれば、サブフレーム8,8よりも上側の部分には、消火活動および救助活動に必要な装備品を多数収納することができる。また、ウインチ装置20(200)および消防ポンプ30は、シャシが有しているドライブシャフト、リヤサスペンション装置、リヤアクスルハウジング等の走行関連機器と干渉することのないように、後輪1b,1bよりも後方に設けられている。そして、ウインチ装置20(200)および消防ポンプ30は、収納庫4の底壁よりも下方に位置しているので、消火活動および救助活動のための装備品に干渉することもない。したがって、救助活動用のウインチ装置20(200)と消火活動用の消防ポンプ30の両方を備えつつ、消火活動や救助活動に必要な多数の装備品を収納可能な防災用車両にできる。
【0047】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、ウインチ装置20(200)は、連結ユニット11(111)を介してサブフレーム8,8に取り付けられている。連結ユニット11(111)は、左右一対のサブフレーム8,8同士を連結する左右連結部材11a(111a)と、左右連結部材11a(111a)から下方に延びるとともに下端部にウインチ装置20(200)の部品が取り付けられる下方延長部材11b(111b)と、を有している。下方延長部材11b(111b)は、左右連結部材11a(111a)の長手方向に所定の間隔をあけて複数設けられている。消防ポンプ30は、車両後方に向かって開口する吸水口32や吐水口33を有してウインチ装置20(200)よりも車両後方に配置されている。PTO軸9が、複数の下方延長部材11b,11b(111b,111b)の間を通るように構成されている。
【0048】
上記構成によれば、消防ポンプ30は、車両後方に向かって開口する吸水口32や吐水口33を有しているので、車両の後部から吸水や吐水を行うことができる。また、消防ポンプ30を車両の中央部に配置した場合に比べて消防ポンプ30からの配管を短くかつ簡易に構成することができるので、装備品を収納するスペースを増やすことができる。また、車両前部の走行用エンジン6の動力取出口7aと後輪1b,1bよりも後方の消防ポンプ30とを連結するPTO軸9について、ウインチ装置20(200)の部品が取り付けられる複数の下方延長部材11b,11b(111b,111b)の間を通るように構成されていることにより、ウインチ装置20(200)および連結ユニット11(111)を避けるようにPTO軸9をレイアウトする場合と比較して、PTO軸9全体の長さを短くすることができ、省スペースにできる。
【0049】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、PTO軸9は、6個の自在継手部(第1自在継手部9a,第2自在継手部9c,第3自在継手部9e,第4自在継手部9g,第5自在継手部9i,第6自在継手部9k)と、隣り合う自在継手部同士を連結する5個の中間軸部(第1中間軸部9b,第2中間軸部9d,第3中間軸部9f,第4中間軸部9h,第5中間軸部9j)と、を有している。複数の中間軸部のうち所定の中間軸部(第2中間軸部9d,第4中間軸部9h)は、軸受部12(軸受部112)によって回転自在に支持されている。軸受部12(軸受部112)は、両端部が左右のサブフレーム8,8に支持される軸受支持部材13(113)に取り付けられている。
【0050】
上記構成によれば、車両前部の走行用エンジン6の動力取出口7aと後輪1b,1bよりも後方の消防ポンプ30とを互いに連結するPTO軸9は、車両前部から車両後部まで延びていて長いものであるが、自在継手部によって各中間軸部の延びる方向を調整しつつ走行用エンジン6の動力を消防ポンプ30に伝達することができる。また、所定の中間軸部は軸受部12(軸受部112)によって回転自在に支持され、その軸受部12(軸受部112)は、軸受支持部材13(113)を介してサブフレーム8,8に支持されているので、PTO軸9をサブフレーム8,8の高さ位置に確実に維持させることができる。これにより、PTO軸9のレイアウトの自由度を高めつつ、サブフレーム8,8よりも上側の部分に収納される装備品の収納スペースを確保することができる。
【0051】
また、上記第2実施形態では、軸受部112は軸受支持部材113の上側に取り付けられ、ウインチ装置200のワイヤ25は、車両前部に設けられた車外引出口24に向かって車両前方に延びるように設けられるとともに、軸受支持部材113の下方を通るように構成されている。この構成によれば、消防ポンプ30を駆動するためのPTO軸9は軸受支持部材113の上側に設けられる一方、ウインチ装置200のワイヤ25は軸受支持部材113の下側に設けられることにより、軸受支持部材113をPTO軸9とワイヤ25とが互いに接触しないようにするための規制部材として活用することができる。
【0052】
また、PTO軸9よりもワイヤ25の方が下方に位置するので、ワイヤ25が緩んで重力によって垂れ下がってもPTO軸9に干渉することがない。これにより、PTO軸9とワイヤ25の高さ位置が大きく離れていなかったとしても、機器トラブルでウインチ装置200のワイヤ25が緩んだ際に回転するPTO軸9に対してワイヤ25が絡むようなトラブルを防ぐことができる。そのため、PTO軸9とワイヤ25の高さ位置が大きく離れないようなレイアウトによってサブフレーム8よりも上側の部分に収納される装備品の収納スペースを確保しつつ、トラブルを抑制することが可能な防災用車両にできる。
【0053】
また、上記第1実施形態では、PTO軸9の前端は、走行用エンジン6の後部に連設されたクラッチ・トランスミッション部7の動力取出口7aに接続されており、PTO軸9の後端は、車両左右方向の中心に対して車両左側にオフセットされた消防ポンプ30のPTO軸接続部31に接続されている。ワイヤ25は、車両左右方向の中心に対して車両右側にオフセットされたウインチ装置20のワイヤ供給口21aから車両前方側へ延びるように構成されている。そして、ワイヤ25は、PTO軸9と平面視重ならないように、滑車部15を利用してガイドされて車外へ引き出されるように構成されている。
【0054】
上記構成によれば、PTO軸9とワイヤ25とを水平方向に離れた位置に配置することができるので、PTO軸9とワイヤ25とを上下に離れた位置に配置しなくてもよい分、収納庫4の底壁と天井壁との間の寸法を大きくできる。これにより、サブフレーム8,8よりも上側の部分に収納される装備品の収納スペースを確保することができる。また、PTO軸9とワイヤ25が上下に重ならない位置にあるので、機器トラブルでウインチ装置20のワイヤ25が緩んだ際に、回転するPTO軸9に対してワイヤ25が絡むようなトラブルを防ぐことができる。
【0055】
今回、開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、前記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1,10 防災用車両
1b 後輪
4 収納庫
5 シャシフレーム
6 走行用エンジン
7 クラッチ・トランスミッション部
7a 動力取出口
8 サブフレーム
9 PTO軸
9a 第1自在継手部
9b 第1中間軸部
9c 第2自在継手部
9d 第2中間軸部
9e 第3自在継手部
9f 第3中間軸部
9g 第4自在継手部
9h 第4中間軸部
9i 第5自在継手部
9j 第5中間軸部
9k 第6自在継手部
11,111 連結ユニット
11a,111a 左右連結部材
11b,111b 下方延長部材
12,112 軸受部
13,113 軸受支持部材
15,115 滑車部
20,200 ウインチ装置
25 ワイヤ
30 消防ポンプ
32 吸水口
33 吐水口