(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160378
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 171/12 20060101AFI20231026BHJP
C09J 153/02 20060101ALI20231026BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20231026BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20231026BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20231026BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20231026BHJP
【FI】
C09J171/12
C09J153/02
C09J175/04
C09J11/06
C09J11/08
C09J7/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070715
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000216243
【氏名又は名称】田岡化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松島 歩海
(72)【発明者】
【氏名】河村 芳範
(72)【発明者】
【氏名】村田 順平
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA11
4J004AB05
4J004BA02
4J004FA08
4J040DC092
4J040DM011
4J040EE061
4J040EF181
4J040EF281
4J040GA01
4J040HB06
4J040JA02
4J040JA09
4J040KA03
4J040KA23
4J040MA05
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB05
4J040MB09
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】
低誘電特性に優れ、また、樹脂や金属との接着性にも優れる硬化物を与える、接着剤組成物の提供。
【解決手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、成分(A):2官能性ポリフェニレンエーテル樹脂の末端をメタクリル基に変換した樹脂、成分(B):酸変性スチレン系エラストマー、及び成分(C):1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物を特定の割合で含有する接着剤組成物により、前記課題が解決可能であることを見出した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):2官能性ポリフェニレンエーテル樹脂の末端をメタクリル基に変換した樹脂、
成分(B):酸変性スチレン系エラストマー、及び
成分(C):1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物
を含有し、
成分(B)中の全酸性基と成分(C)中のイソシアネート基のモル比(イソシアネート基/全酸性基)が0.1~3.5であり、
成分(B)の含有量が成分(A)100重量部に対し40~350重量部である、
接着剤組成物。
【請求項2】
成分(A)が、下記一般式(1)で表される樹脂である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【化1】
(上記一般式(1)中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびR
8はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、又はフェニル基、Xは下記一般式(2)で表される2価の芳香族炭化水素基を示す。mは0~20の整数を示す。nは0~20の整数を示す。ただし、mとnは両方が同時に0になることはない。)
【化2】
(上記一般式(2)中、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基又はフェニル基を示す。Yは単結合または、炭素数20以下の2価の炭化水素基である。)
【請求項3】
成分(B)が、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレンプロピレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のスチレン系エラストマーを、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種により変性したものである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
成分(C)が、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及びこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
更に、(D)ラジカル重合開始剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
更に、(E)フッ素系ポリマー微粒子を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
更に、(E)フッ素系ポリマー微粒子を含む、請求項5に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
更に、(F)有機溶媒を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
更に、(F)有機溶媒を含む、請求項5に記載の接着剤組成物。
【請求項10】
更に、(F)有機溶媒を含む、請求項6に記載の接着剤組成物。
【請求項11】
更に、(F)有機溶媒を含む、請求項7に記載の接着剤組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の接着剤組成物を用いてなる接着フィルム。
【請求項13】
請求項1に記載の接着剤組成物を用いてなる積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低誘電特性(低誘電率、低誘電正接)および接着性に優れる硬化物を与え、電子部品、特にフレキシブルプリント配線板(以下、FPC)の関連部材の製造に適した接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやモバイルパソコンなど無線通信技術の進展に伴って大容量の情報を高速で処理することが要求され、伝送信号の高周波化が進展している。高周波化に伴い、無線通信デバイスの構成要素の1つであるFPC及びその関連部材にも高周波帯域での低誘電特性(低誘電率、低誘電正接)が求められている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記関連部材として、例えば、FPCを製造する際に配線部分を保護するために用いられる「カバーレイフィルム」と呼ばれる接着剤層付き積層体においては、該接着剤層が、配線部分及び基材フィルムに対して強固な接着性を有することも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/017473号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み為されたものであって、低誘電特性に優れ、また、樹脂や金属との接着性にも優れる硬化物を与える、接着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記成分(A)~(C)を特定の割合で含有する接着剤組成物によれば、上記課題が解決可能であることを見出した。具体的には、本発明は以下の発明を含む。
【0007】
〔1〕
成分(A):2官能性ポリフェニレンエーテル樹脂の末端をメタクリル基に変換した樹脂、
成分(B):酸変性スチレン系エラストマー、及び
成分(C):1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物
を含有し、
成分(B)中の全酸性基と成分(C)中のイソシアネート基のモル比(イソシアネート基/全酸性基)が0.1~3.5であり、
成分(B)の含有量が成分(A)100重量部に対し40~350重量部である、
接着剤組成物。
【0008】
〔2〕
成分(A)が、下記一般式(1)で表される樹脂である、〔1〕に記載の接着剤組成物。
【0009】
【化1】
(上記一般式(1)中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびR
8はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、又はフェニル基、Xは下記一般式(2)で表される2価の芳香族炭化水素基を示す。mは0~20の整数を示す。nは0~20の整数を示す。ただし、mとnは両方が同時に0になることはない。)
【0010】
【化2】
(上記一般式(2)中、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基又はフェニル基を示す。Yは単結合または、炭素数20以下の2価の炭化水素基である。)
【0011】
〔3〕
成分(B)が、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレンプロピレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のスチレン系エラストマーを、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種により変性したものである、〔1〕に記載の接着剤組成物。
【0012】
〔4〕
成分(C)が、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及びこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物である、〔1〕に記載の接着剤組成物。
【0013】
〔5〕
更に、(D)ラジカル重合開始剤を含む、〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【0014】
〔6〕
更に、(E)フッ素系ポリマー微粒子を含む、〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【0015】
〔7〕
更に、(E)フッ素系ポリマー微粒子を含む、〔5〕に記載の接着剤組成物。
【0016】
〔8〕
更に、(F)有機溶媒を含む、〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【0017】
〔9〕
更に、(F)有機溶媒を含む、〔5〕に記載の接着剤組成物。
【0018】
〔10〕
更に、(F)有機溶媒を含む、〔6〕に記載の接着剤組成物。
【0019】
〔11〕
更に、(F)有機溶媒を含む、〔7〕に記載の接着剤組成物。
【0020】
〔12〕
〔1〕に記載の接着剤組成物を用いてなる接着フィルム。
【0021】
〔13〕
〔1〕に記載の接着剤組成物を用いてなる積層体。
【発明の効果】
【0022】
本発明の接着剤組成物は、その硬化物が低誘電特性及び接着性に優れる。そのため、本発明の接着剤組成物は、例えば、接着剤層付き積層体(カバーレイフィルム、ボンディングシート)、樹脂付き銅箔、フレキシブル銅張積層板、及びフレキシブルフラットケーブル等のFPC関連部材の製造に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明について詳細に記載する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
【0024】
<本発明の接着剤組成物>
本発明の接着剤組成物は、
成分(A):2官能性ポリフェニレンエーテル樹脂の末端をメタクリル基に変換した樹脂、
成分(B):酸変性スチレン系エラストマー、及び
成分(C):1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物、
を含有する。以下、上記成分(A)~(C)について、具体的に説明する。
【0025】
[成分(A): 2官能性ポリフェニレンエーテル樹脂の末端をメタクリル基に変換した樹脂]
成分(A)としては、下記一般式(1)で示される構造を有することが好ましい。
【0026】
【化3】
(上記一般式(1)中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびR
8はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基又はフェニル基を示す。Xは下記一般式(2)で表される2価の芳香族炭化水素基を示す。mは0~20の整数を示す。nは0~20の整数を示す。ただし、mとnは両方が同時に0になることはない。)
【0027】
【化4】
(上記一般式(2)中、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基又はフェニル基を示す。Yは単結合または炭素数1~20の2価の炭化水素基を示す。)
【0028】
上記一般式(1)の置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8における炭素数1~6の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の分岐を有してもよい炭素数1~6の鎖状の脂肪族炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の置換基を有してもよい炭素数3~6の環状の脂肪族炭化水素基等が挙げられる。上記一般式(1)の置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8としては、原料の入手のしやすさの観点から、水素原子又はメチル基が好ましい。
【0029】
上記一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(3)で表される化合物(即ち、上記一般式(1)において、R2、R4、R5及びR7が水素原子であり、R1、R3、R6及びR8がメチル基である化合物)が好ましい。
【0030】
【化5】
(上記一般式(3)中、X、m及びnは上記の通りである。)
【0031】
上記一般式(2)の置換基R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16における炭素数1~6の脂肪族炭化水素基としては、上記一般式(1)の置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8における炭素数1~6の脂肪族炭化水素基と同じものが挙げられ、好ましい態様についても同じである。
【0032】
上記一般式(2)のYにおける炭素数1~20の2価の炭化水素基としては、例えば、分岐を有してもよい炭素数1~20の2価の鎖状脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数3~20の2価の環状脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数6~20の2価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。分岐を有してもよい炭素数1~20の2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、2,2-プロパンジイル基、2,2-ジメチルエチレン基、1,2-ブタンジイル基、1,3-ブタンジイル基、2,3-ブタンジイル基、ペンタメチレン基等が挙げられる。置換基を有してもよい炭素数3~20の2価の環状脂肪族炭化水素基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。置換基を有してもよい炭素数6~20の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、ジメチルフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。上記一般式(2)におけるYの中でも、原料の入手のしやすさの観点から単結合、分岐を有してもよい炭素数1~5の2価の鎖状脂肪族炭化水素基が好ましい。
【0033】
成分(A)の市販品としては、例えば、SABIC社製のNORYL SA9000-111等が挙げられる。
【0034】
成分(A)の分子量としては、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン標準で換算した数平均分子量が500~5,000である。
【0035】
成分(A)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
[成分(B):酸変性スチレン系エラストマー]
成分(B)は、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種により変性したスチレン系エラストマー(酸変性スチレン系エラストマー)である。スチレン系エラストマーを変性する方法としては、例えば、スチレン系エラストマーと不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種とをグラフト化反応させる方法等が挙げられる。
【0037】
スチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-エチレンプロピレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレンプロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)等が挙げられる。これらスチレン系エラストマーの中でも、接着性と低誘電特性の観点から、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレンプロピレン-スチレンブロック共重合(SEPS)体が好ましい。
【0038】
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸等が挙げられる。これら不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物の中でも、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種による変性量は、通常、酸変性スチレン系エラストマー全体の0.1~10重量%程度である。また、酸変性スチレン系エラストマーは、該酸変性スチレン系エラストマー中の全酸性基の少なくとも一部が酸無水物であることが好ましい。
【0039】
成分(B)の酸価としては、例えば、0.1mgCH3ONa/g以上、好ましくは0.5mgCH3ONa/g以上、より好ましくは1.0mgCH3ONa/g以上であり、また、例えば、20mgCH3ONa/g以下、好ましくは18mgCH3ONa/g以下、より好ましくは15mgCH3ONa/g以下である。
【0040】
成分(B)の分子量としては、例えば、重量平均分子量で1万以上、好ましくは3万以上、より好ましくは5万以上であり、また、例えば、50万以下、好ましくは30万以下、より好ましくは20万以下である。なお、本発明における重量平均分子量とは、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の分子量である。
【0041】
成分(B)の市販品としては、例えば、旭化成社製のタフテックMシリーズや、クレイトンポリマージャパン社製のクレイトンFGシリーズ等が挙げられる。
【0042】
成分(B)として記載したこれら酸変性スチレン系エラストマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
本発明の接着剤組成物において、成分(B)の含有量は、成分(A)100重量部に対し、通常40~350重量部、好ましくは50~300重量部である。
【0044】
[成分(C): 1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(以下、ポリイソシアネート化合物と称する場合がある。)]
成分(C)としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及びこれらの誘導体等が挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン等の芳香族トリイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族トリイソシアネート等が挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香脂肪族トリイソシアネート等が挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート[別名:イソホロンジイソシアネート]、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
【0045】
芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、これらの多量体(例えば、2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート誘導体)等)、アロファネート誘導体、ビウレット誘導体、ウレトジオン誘導体、ジイソシアネート化合物と低分子量のポリオール又はポリアミンとを末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるウレタンプレポリマー等が挙げられる。
【0046】
また、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートのイソシアネート基の少なくとも一部がブロック剤によりブロックされているブロックイソシアネートを用いてもよい。具体例としては、イソシアネート化合物のイソシアネート基を、ε-カプロラクタム、MEK(メチルエチルケトン)オキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピラゾール、フェノール等でブロックしたもの等が挙げられる。
【0047】
これらポリイソシアネート化合物の中でも、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及びこれらの誘導体が好ましく、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート及びこれらの3量体がより好ましく、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、及びヘキサメチレンジイソシアネートの3量体が特に好ましい。
【0048】
成分(C)の市販品としては、バクセンデン社製のTrixeneBI7982、TrixeneBI7951、TrixeneBI7961、TrixeneBI7991、三井化学社製のタケネートB-820NP、エボニック社製のVESTAGONB1530、VESTAGONBF1540等が挙げられる。本発明において、上記したポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
本発明の接着剤組成物において、成分(B)中の全酸性基と、成分(C)中のイソシアネート基のモル比(イソシアネート基/全酸性基)は、通常0.1~3.5、好ましくは0.4~2.5、より好ましくは0.5~2.0である。なお、酸変性スチレン系エラストマー中の全酸性基量(mol)は、酸変性スチレン系エラストマーの酸価(mgCH3ONa/g)をCH3ONa(ナトリウムメトキシド)の分子量で除した後、さらに103で除して酸変性スチレン系エラストマー1g当りの全酸性基量(mol/g)を算出し、これに接着剤組成物中の酸変性スチレン系エラストマーの量(g)を乗算することで求めることができる。
【0050】
[その他の成分]
本発明の接着剤組成物には、上記成分(A)、(B)及び(C)の他、成分(B)以外の他の熱可塑性樹脂、硬化促進剤、粘着付与剤、難燃剤、カップリング剤、酸化防止剤、ラジカル重合開始剤(成分(D))、フィラー(特に後述するフッ素系ポリマー微粒子(成分(E)))及び有機溶媒(成分(E))等を含有することができる。
【0051】
上記他の熱可塑性樹脂としては、例えば、酸無水物基を含有しないスチレン系エラストマー、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリビニル系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
上記硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、ルチジン、ピコリン、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン)等のアミン類、リチウムメチラート、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムブトキサイド、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属化合物あるいはチタン、コバルト、スズ、亜鉛、アルミニウムなどの金属、半金属化合物等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
上記粘着付与剤としては、例えば、クマロン-インデン樹脂、テルペン樹脂、テルペン -フェノール樹脂、ロジン樹脂、p-t-ブチルフェノール-アセチレン樹脂、フェノー ル-ホルムアルデヒド樹脂、キシレン-ホルムアルデヒド樹脂、石油系炭化水素樹脂、水素添加炭化水素樹脂、テレピン系樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与剤は、 単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0054】
上記難燃剤としては、例えば、有機系難燃剤、無機系難燃剤等が挙げられる。有機系難燃剤としては、例えば、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、リン酸グアニジン、ポリリン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸アミドアンモニウム、ポリリン酸アミドアンモニウム、リン酸カルバメート、ポリリン酸カルバメート、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスジエチルホスフィン酸チタン、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスメチルエチルホスフィン酸チタン、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル 、テトラキスジフェニルホスフィン酸チタン等のリン系難燃剤;メラミン、メラム、メラミンシアヌレート等のトリアジン系化合物や、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物 、トリアゾール系化合物、テトラゾール化合物、ジアゾ化合物、尿素等の窒素系難燃剤;シリコーン化合物、シラン化合物等のケイ素系難燃剤等が挙げられる。また、無機系難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化ニッケル等の金属酸化物; 炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ホウ酸亜鉛、水和ガラス等が挙げられる。これらの難燃剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
上記カップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトシキシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエト キシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネ-トプロピルトリエトキシシラン、イミダゾールシラン等のシラン系カップリング剤;チタネ-ト系カップリング剤;アルミネ-ト系カップリング剤;ジルコニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
上記酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノ-ル、 n-オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネ-ト、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ-ト〕メタン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-t-ブチル-5-メチル-4─ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノ-ル系酸化防止剤;ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネ-ト、ジミリスチル-3,3’-ジチオプロピオネ-ト等のイオウ系酸化防止剤;トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
[(D)ラジカル重合開始剤]
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5 -ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド等が挙げられる。これらラジカル重合開始剤の中でも、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンが好ましい。これらラジカル重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0058】
成分(D)の市販品としては、例えば、日油社製のパーブチルP等が挙げられる。
【0059】
成分(D)を使用する場合その使用量は、例えば、成分(A)100重量部に対し0.1~10重量部、好ましくは0.5~5重量部である。
【0060】
上記フィラーとしては、例えば、フッ素系ポリマー微粒子、オレフィン系ポリマー微粒子、ポリアクリル酸エステル粉末、エポキシ樹脂粉末、ポリアミド粉末、ポリウレタン粉末、ポリシロキサン粉末 等の他、シリコーン、アクリル、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム等を用いた多層構造のコアシェル等の高分子フィラー;シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ハイドロタルサイト、ウォラストナイト、ゾノトライト、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、ガラスフレーク、水和ガラス、チタン酸カルシウム、セピオライト、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化アンチモン、酸化ニッケル、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム等の無機フィラー等が挙げられる。これらフィラーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、形状としては、例えば、球状、粉状、繊維状、針状、鱗片状等を用いることができる。なお、上記したフィラーの中でも、低誘電特性を向上させることができ、且つ、樹脂や金属との接着性をも向上可能であることから、本発明の接着剤組成物においてはフッ素系ポリマー微粒子(成分(E))を含むことが好ましい。以下、フッ素系ポリマー微粒子(成分(E))について詳述する。
【0061】
[成分(E):フッ素系ポリマー微粒子]
フッ素系ポリマー微粒子とは、主としてフッ素系ポリマーで構成される微粒子であり、該フッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン-プロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロアルコキシ重合体(PFA)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、テトラフルオロエチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(TFE/CTFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等が挙げられる。これらフッ素系ポリマーの中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
【0062】
成分(E)の市販品としては、例えば、MicroPowders社製のFluo400XF、ダイキン工業社製のルブロンL-5F、Shamrock社製のSST-1MG、SOLVAY社製のポリミストF5AR等が挙げられる。
【0063】
フッ素系ポリマー微粒子の平均粒子径は、例えば、分散性等の観点から10μm以下、好ましくは7μm以下、より好ましくは5μm以下である。
【0064】
フッ素系ポリマー微粒子は、これらフッ素系ポリマー単独で構成されていてもよく、2種以上を併用して構成されていてもよい。また、本発明において、成分(E)として記載したこれらフッ素系ポリマー微粒子は、単独で用いてもよく、構成の異なる2種以上のものを併用してもよい。
【0065】
成分(E)を使用する場合その使用量は、例えば、成分(A)100重量部に対し15~100重量部、好ましくは20~80重量部である。
【0066】
[(F)有機溶媒]
有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキサイド、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、γ-ブチロラクトン、セロソルブ、ブチルセロソブル、カルビトール、ブチルカルビトール等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。成分(F)を使用する場合その使用量は、例えば、接着剤層の形成を含む作業性等の観点から、接着剤組成物の固形分濃度として3~80重量%、好ましくは10~50重量%となる量である。
【0067】
また、本発明の接着剤組成物は、さらに、例えば、耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤、レベリング剤、消泡剤等のアニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤、染料、顔料、可塑剤等も含有することができる。
【0068】
本発明の接着剤組成物は、(A)、(B)、(C)および必要に応じてその他の成分を混合することにより製造することができる。混合方法は特に限定されず、接着剤組成物が均一になればよい。接着剤組成物は、微粒子が分散した溶液の状態(以下、液状の接着剤組成物と称する。)で好ましく用いられることから、通常は、上記(F)有機溶媒も含む。液状の接着剤組成物とすることにより、FPC関連部材を製造する際に、基材への塗工及び接着剤層の形成をより円滑に行うことができ、所望の厚さの接着剤層をより容易に得ることができる。
【0069】
<用途>
本発明における接着剤組成物は、低誘電特性、樹脂と金属との接着性に優れることから、FPCの関連部材を製造するための接着剤(例えば、接着フィルム等)として好適に用いることができる。本発明におけるFPCの関連部材としては、例えば、カバーレイフィルム、ボンディングシート、樹脂付き銅箔、フレキシブル銅張積層板、フレキシブルフラットケーブル等が挙げられる。
【実施例0070】
以下、実施例等を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、以下実施例等において、Bステージとは、接着剤組成物の一部が硬化し始めた半硬化状態をいい、加熱等により接着剤組成物の硬化が更に進行する状態である。また、Cステージとは、接着剤組成物が完全に硬化した状態をいう。
【0071】
(実施例1~7)
撹拌装置付き1000mlフラスコに、各成分を表1に示す割合(重量部)で添加し、室温下で6時間撹拌して分散させることにより接着剤組成物を調製した。得られた接着剤組成物を用いて、以下の方法で各物性の測定および評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0072】
(比較例1~3)
撹拌装置付き1000mlフラスコに、各成分を表2に示す割合(重量部)で添加し、室温下で6時間撹拌して分散させることにより接着剤組成物を調製した。得られた接着剤組成物を用いて、以下の方法で各物性の測定および評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0073】
(1)誘電率、誘電正接
離型処理をしたガラス板を用意し、その一方の表面に、表1及び2に記載の接着剤組成物を、乾燥後の厚さが100μmとなるように塗布した。次いで、この塗膜付きフィルムをオーブン内に静置して、100℃で10分間乾燥させてBステージ状の接着剤層(厚さ100μm)を形成し、次に、この接着剤層をオーブン内に静置して、200℃で60分間加熱硬化処理をして、 試験片を作製した。この試験片について、エー・イー・ ティー社製の誘電率測定装置を用い、空洞共振器法により、測定温度25℃、測定周波数10GHzにおける誘電率(Dk)および誘電正接(Df)を求めた。評価基準は下記の通りである。
【0074】
(2)剥離接着強度
厚さ25μmのポリイミドフィルム[東レ・デュポン社製 「カプトン100EN」]を用意し、その一方の表面に、表1及び2に記載の接着剤組成物を塗布した。次いで、この塗膜付きフィルムをオーブン内に静置し、100℃で5分間乾燥させてBステージ状の接着剤層(厚さ約25μm)を形成し、 カバーレイフィルムを得た。その後、上記と同じポリイミドフィルムを積層し、2枚のポリイミドフィルムが接着剤組成物を介して貼り合わされた積層体を得た。上記の積層体を温度200℃、及び圧力4.5MPaの条件で60分間加熱圧着させたのち、幅10mm×長さ100mmにカットし、島津製作所社製 オートグラフAGS-500を用いて、90°方向(積層板の面方向に直交する方向)における剥離接着強度を以下の測定条件にて測定した。測定条件は、テストスピードを50mm/minとした。評価基準は下記の通りである。
【0075】
<評価基準>
(誘電率)
A:誘電率が2.50以下
B:誘電率が2.50より高い
【0076】
(誘電正接)
A:誘電正接が0.0025以下
B:誘電正接が0.0025より高い
【0077】
(剥離接着強度)
A:0.4N/mm以上
B:0.4N/mmより低い
【0078】
なお、表1及び表2中の各成分は以下のとおりである。
[成分(A):2官能性ポリフェニレンエーテル樹脂の末端をメタクリル基に変換した樹脂]
(A-1):SA9000(Sabicイノベーティブプラスチックス社製、末端メタクリル変性ポリフェニレンエーテル樹脂、数平均分子量(Mn):1,700)
[成分(B):酸変性スチレン系エラストマー]
(B-1):タフテックM1913(旭化成ケミカルズ社製、無水マレイン酸変性スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体、酸価:10mgCH3ONa/g、重量平均分子量:15万)
(B-2):タフテックM1911(旭化成ケミカルズ社製、無水マレイン酸変性スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体、酸価:2mgCH3ONa/g、重量平均分子量:15万)
【0079】
[(B’):未変性スチレン系エラストマー]
(B’-1):タフテックH1041(旭化成ケミカルズ社製、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体、重量平均分子量:15万)
【0080】
[(C):1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物]
(C-1):TrixeneBI7982(バクセンデン社製、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体のブロック化体、固形分濃度:70重量%、イソシアネート当量(イソシアネート基1つ当りの分子量):410g/eq)
【0081】
[(D):ラジカル重合開始剤]
(D-1):パーブチルP(日油社製、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン)
【0082】
[(E):フッ素系ポリマー微粒子]
(E-1):PTFEフィラー(平均粒子径:4.0μm)
【0083】
[(F):有機溶媒]
(F-1):トルエン
【0084】
【0085】