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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160421
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】回収装置および資材供給システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/90 20060101AFI20231026BHJP
   B65G 57/03 20060101ALI20231026BHJP
   B65G 57/28 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B65G47/90 B
B65G57/03
B65G57/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070796
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松岡 秋博
(72)【発明者】
【氏名】竹之下 和義
(72)【発明者】
【氏名】志垣 賢史郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】中山 武
(72)【発明者】
【氏名】江藤 清史
【テーマコード(参考)】
3F029
3F072
【Fターム(参考)】
3F029BA02
3F029CA56
3F029DA21
3F072AA27
3F072GD01
3F072GD05
3F072GG14
3F072KA01
3F072KD11
3F072KD19
3F072KD23
(57)【要約】
【課題】生産活動が一時的に停止された場合において、資材を再利用可能な態様で回収する。
【解決手段】ロボット2とバケット3と制御装置4とを備え、バケット3が、ロボット2の動作によって、受容姿勢と払出姿勢とにわたって姿勢変更可能であり、制御装置4が、バケット3を受容姿勢に姿勢変更させるとともに、バケットを受容位置に移動させて、バケット3に被回収物を受け入れるように、ロボット2を制御する受容機能と、被回収物を収容しているバケット3を回収容器Cの底面の上方の所定の高さの位置に移動させるとともに、バケット3を払出姿勢に姿勢変更させて、当該所定の高さの位置においてバケット3に被回収物を払い出させるように、ロボット2を制御する払出機能と、を実現できるように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の受容位置において被回収物を受容して、当該被回収物を所定の回収容器に払い出すことができる回収装置であって、
ロボットと、
前記ロボットに装着され、開口部を有するバケットと、
前記ロボットを制御可能な制御装置と、を備え、
前記バケットが、前記ロボットの動作によって、前記開口部から前記被回収物を受け入れることができる受容姿勢と、前記開口部から前記被回収物を払い出すことができる払出姿勢と、にわたって姿勢変更可能であり、
前記制御装置が、
前記バケットを前記受容姿勢に姿勢変更させるとともに、前記バケットを前記受容位置に移動させて、前記バケットに前記被回収物を受け入れるように、前記ロボットを制御する受容機能と、
前記被回収物を収容している前記バケットを前記回収容器の底面の上方の所定の高さの位置に移動させるとともに、前記バケットを前記払出姿勢に姿勢変更させて、当該所定の高さの位置において前記バケットに前記被回収物を払い出させるように、前記ロボットを制御する払出機能と、
を実現できるように構成されている回収装置。
【請求項2】
前記バケットに、対向する面との距離を測定可能な測距センサが設けられ、
前記制御装置が、前記測距センサを前記回収容器の上で掃引して前記距離の測定を実行するように、前記ロボットを制御する測定機能をさらに実現できるように構成され、
前記払出機能において、前記バケットに前記被回収物を払い出させる前記所定の高さを、前記測定機能において測定された前記距離に基づいて決定する請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記バケットに、当該バケットに収容されている前記被回収物の量が所定の閾値を超えていることを検出可能な積載センサが設けられている請求項1または2に記載の回収装置。
【請求項4】
前記回収容器が、水平方向に複数の領域に区分されており、
前記払出機能が、前記複数の領域から選択される一つの領域である対象領域に対して、前記被回収物が払い出されるように実行され、
前記払出機能の複数回の実行において、各回の実行における前記対象領域が、前記複数の領域から所定の順序で選択される請求項1または2に記載の回収装置。
【請求項5】
前記被回収物が、ペットボトルのプリフォームである請求項1または2に記載の回収装置。
【請求項6】
前記ロボットが、垂直多関節ロボットである請求項1または2に記載の回収装置。
【請求項7】
所定の製造設備に資材を供給する資材供給システムであって、
前記資材を搬送可能な搬送装置と、
コンテナに収容された前記資材を前記搬送装置に受け渡すことができる受渡装置と、
前記搬送装置上の前記資材を前記コンテナに回収可能な回収装置と、を備え、
前記搬送装置が、
前記受渡装置から前記製造設備に至る主経路と、前記主経路上の分岐点から分岐して前記回収装置に至る副経路と、を有し、かつ、
前記主経路を正転運転する供給モード、および、前記主経路の一部を反転運転するとともに前記副経路を運転する回収モード、で動作可能であり、
前記回収装置が、
ロボットと、
前記ロボットに装着され、開口部を有するバケットと、
前記ロボットを制御可能な制御装置と、を備え、
前記バケットが、前記ロボットの動作によって、前記搬送装置から前記資材を受け入れることができる受容姿勢と、前記開口部から前記資材を払い出すことができる払出姿勢と、にわたって姿勢変更可能であり、
前記制御装置が、
前記バケットを前記受容姿勢に姿勢変更させるとともに、前記搬送装置から前記バケットに前記資材を受け入れるように、前記ロボットを制御する受容機能と、
前記資材を収容している前記バケットを前記コンテナの底面の上方の所定の高さの位置に移動させるとともに、前記バケットを前記払出姿勢に姿勢変更させて、当該所定の高さの位置において前記バケットに前記資材を払い出させるように、前記ロボットを制御する払出機能と、
を実現できるように構成されている資材供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収装置および資材供給システム。
【背景技術】
【0002】
工業製品の生産において、生産活動に用いる資材がベルトコンベアなどの機械的な供給設備を用いて連続的に供給される場合がある。かかる資材として、ペットボトル飲料の製造工程において、ペットボトルの原料として供給されるプリフォームが例示される。
【0003】
この種の供給設備として、たとえば特許第622910号(特許文献1)には、基本姿勢を逸脱したプリフォームを排除するとともに、排除されたプリフォームを回収することができるプリフォーム供給装置が開示されている。また、特開2015-112840号公報(特許文献2)にも同様に、不正な搬送姿勢で搬送されているプリフォームを除去するとともに、除去されたプリフォームを回収することができるプリフォーム整列搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第622910号
【特許文献2】特開2015-112840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の供給設備において、品種替え、原料切れ、点検整備などの理由によって生産活動を一時的に停止する場合、供給設備上に資材が残留することになる。このような資材は、その品質が何ら損なわれておらず、生産が再開した際に再び資材として利用可能であることが通常であるが、供給設備の規模や配置などによっては、このような資材の品質を保ったまま回収することが難しい場合があった。
【0006】
特許文献1および特許文献2の各発明では、搬送姿勢を基準として排斥されたプリフォームを再利用可能な態様で回収することが考慮されている。しかし、これらの発明では、大半のプリフォームが正常な姿勢で搬送されることを前提として、例外的に排斥されるプリフォームについての回収および再利用が検討されているにとどまり、取り扱われるプリフォームの全量に対するごく一部について回収および再利用のみが考慮されているに過ぎなかった。そのため、生産活動が一時的に停止された場合に供給設備上に残る多量の資材を再利用可能な態様で回収することについては、さらなる検討の余地があった。
【0007】
そこで、生産活動が一時的に停止された場合において、資材を再利用可能な態様で回収することができる回収装置および資材供給システムの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る回収装置は、所定の受容位置において被回収物を受容して、当該被回収物を所定の回収容器に払い出すことができる回収装置であって、ロボットと、前記ロボットに装着され、開口部を有するバケットと、前記ロボットを制御可能な制御装置と、を備え、前記バケットが、前記ロボットの動作によって、前記開口部から前記被回収物を受け入れることができる受容姿勢と、前記開口部から前記被回収物を払い出すことができる払出姿勢と、にわたって姿勢変更可能であり、前記制御装置が、前記バケットを前記受容姿勢に姿勢変更させるとともに、前記バケットを前記受容位置に移動させて、前記バケットに前記被回収物を受け入れるように、前記ロボットを制御する受容機能と、前記被回収物を収容している前記バケットを前記回収容器の底面の上方の所定の高さの位置に移動させるとともに、前記バケットを前記払出姿勢に姿勢変更させて、当該所定の高さの位置において前記バケットに前記被回収物を払い出させるように、前記ロボットを制御する払出機能と、を実現できるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る資材供給システムは、所定の製造設備に資材を供給する資材供給システムであって、前記資材を搬送可能な搬送装置と、コンテナに収容された前記資材を前記搬送装置に受け渡すことができる受渡装置と、前記搬送装置上の前記資材を前記コンテナに回収可能な回収装置と、を備え、前記搬送装置が、前記受渡装置から前記製造設備に至る主経路と、前記主経路上の分岐点から分岐して前記回収装置に至る副経路と、を有し、かつ、前記主経路を正転運転する供給モード、および、前記主経路の一部を反転運転するとともに前記副経路を運転する回収モード、で動作可能であり、前記回収装置が、ロボットと、前記ロボットに装着され、開口部を有するバケットと、前記ロボットを制御可能な制御装置と、を備え、前記バケットが、前記ロボットの動作によって、前記搬送装置から前記資材を受け入れることができる受容姿勢と、前記開口部から前記資材を払い出すことができる払出姿勢と、にわたって姿勢変更可能であり、前記制御装置が、前記バケットを前記受容姿勢に姿勢変更させるとともに、前記搬送装置から前記バケットに前記資材を受け入れるように、前記ロボットを制御する受容機能と、前記資材を収容している前記バケットを前記コンテナの底面の上方の所定の高さの位置に移動させるとともに、前記バケットを前記払出姿勢に姿勢変更させて、当該所定の高さの位置において前記バケットに前記資材を払い出させるように、前記ロボットを制御する払出機能と、を実現できるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
これらの構成によれば、被回収物(資材)をバケットにまとめて受容できるので、比較的多量の被回収物を回収する場合であっても、効率よく回収を行うことができる。また、バケットを所定の高さ位置に制御して被回収物を払い出すので、被回収物の落下高さを抑制でき、回収された被回収物が破損しにくい態様での回収を実現できる。これによって、被回収物を再利用しやすい。
【0011】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0012】
本発明に係る回収装置は、一態様として、前記バケットに、対向する面との距離を測定可能な測距センサが設けられ、前記制御装置が、前記測距センサを前記回収容器の上で掃引して前記距離の測定を実行するように、前記垂直多関節ロボットを制御する測定機能をさらに実現できるように構成され、前記払出機能において、前記バケットに前記被回収物を払い出させる前記所定の高さを、前記測定機能において測定された前記距離に基づいて決定することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、払出先の状況を逐一確認しながら、当該状況に合わせて払出しの際の高さを制御できるので、被回収物の落下高さをより精密に抑制できる。
【0014】
本発明に係る回収装置は、一態様として、前記バケットに、当該バケットに収容されている前記被回収物の量が所定の閾値を超えていることを検出可能な積載センサが設けられていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、バケットへの過積載を防ぎやすい。そのため、被回収物のバケットからの予期せぬ落下を避けやすく、回収率が高くなりやすい。
【0016】
本発明に係る回収装置は、一態様として、前記回収容器が、水平方向に複数の領域に区分されており、前記払出機能が、前記複数の領域から選択される一つの領域である対象領域に対して、前記被回収物が払い出されるように実行され、前記払出機能の複数回の実行において、各回の実行における前記対象領域が、前記複数の領域から所定の順序で選択されることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、回収容器内の水平方向に概ね均一に被回収物を積載できる。そのため、回収容器の容量を有効に活用しやすい。
【0018】
本発明に係る回収装置は、一態様として、前記被回収物が、ペットボトルのプリフォームであることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、落下による破損が特に問題となりやすいプリフォームの回収を、プリフォームの品質を損なうことなく実施できる。
【0020】
本発明に係る回収装置は、一態様として、前記ロボットが、垂直多関節ロボットであることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、バケットの動きを精密に制御しやすいため、被回収物の破損を一層回避しやすい。
【0022】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る資材供給システムの構成を示す図である。
図2】実施形態に係る回収装置の構成を示す斜視図である。
図3】実施形態に係るバケットの受容姿勢を示す斜視図である。
図4】実施形態に係るバケットの払出姿勢を示す側面図である。
図5】実施形態に係る受容機能が実行されている状態を示す図である。
図6】実施形態に係る測定機能が実行されている状態を示す図である。
図7】実施形態に係る払出機能が実行されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る回収装置および資材供給システムの実施形態について、図面を参照して説明する。以下では本発明を、ペットボトル飲料製品の工場において、製造設備にプリフォームP(被回収物および資材の例である。)を供給する資材供給システム100、および、当該資材供給システム100に含まれる回収装置1に適用した例について説明する。
【0025】
〔プリフォームの役割および取扱い〕
資材供給システム100および回収装置1において取り扱われるプリフォームPは、ペットボトルの原料として使用されるポリエチレンテレフタレート成形体である。プリフォームPは、ペットボトルのキャップと螺合可能な雄ねじが設けられた口部と、当該口部に連設された有底管状の本体部と、を有する試験環状の形状を有する。
【0026】
ペットボトル飲料製品の製造設備では、プリフォームPをブロー成形に供してペットボトルを形成した後に、当該ペットボトルに飲料製品を充填し、充填後のペットボトルをキャップで封止してペットボトル飲料製品を完成するという工程の流れに沿って、各種の装置が配置されている。資材供給システム100は、この一連の流れの最上流に配置されて、プリフォームPの供給および回収を担う。
【0027】
上記の工程の流れから明らかなように、プリフォームPは最終的にペットボトルとなって市場に流通する。そのため、プリフォームPに破損が生じると、当該破損はペットボトルの破損となり、ペットボトル飲料製品の外観不良や中身の漏洩などの不具合になる。そのため、プリフォームPの破損の要因(衝撃など)を避けるように全ての工程が設計される必要があり、資材供給システム100および回収装置1も例外ではない。たとえば、プリフォームPが搬送中に比較的高い位置から落下することは、避けるべきである。
【0028】
〔資材供給システムの構成〕
資材供給システム100は、ペットボトル飲料製品を製造する製造設備(不図示)にプリフォームPを供給するシステムである。資材供給システム100は、コンベア110(搬送装置の例である。)、反転機120(受渡装置の例である。)、および回収装置1を備える(図1)。
【0029】
コンベア110は、プリフォームPを搬送できるように設置された公知のコンベアであり、たとえばベルトコンベアなどでありうる。コンベア110は、反転機120から製造設備に至る主経路111と、主経路上の分岐点112から分岐して回収装置1に至る副経路113と、を有する。なお説明のため、主経路111の分岐点112から反転機120側を第一主経路111aと称し、分岐点112から製造設備側を第二主経路111bと称する。
【0030】
コンベア110は、プリフォームPを製造設備に供給する供給モード、および、プリフォームPを回収装置1に送る回収モード、で運転可能である。供給モードでは、主経路111を正転運転して、反転機120から製造設備に向けてプリフォームPを搬送する。回収モードでは、第二主経路111bを反転運転するとともに、副経路113を運転して、コンベア110上のプリフォームPを回収装置に向けて搬送する。したがって、主経路111の少なくとも第二主経路111bは、反転機120から製造設備に向けてプリフォームPを搬送する正転運転と、当該正転運転と反対方向の運転である反転運転と、で動作可能である。一方、第一主経路111aは供給モードにおいて反転機120から分岐点112に向けてプリフォームPを搬送する運転ができればよく、反転運転の可否は任意である。同様に、副経路113も、回収モードにおいて分岐点112から回収装置1に向けてプリフォームPを搬送する運転ができればよく、反転運転の可否は任意である。
【0031】
反転機120は、コンテナCに収容されたプリフォームPをコンベア110(第一主経路111a)に受け渡す装置である。具体的にはコンテナCを持ち上げるとともに傾けて、コンテナCの上部の開口部からプリフォームPをコンベア110の上に落下させる。
【0032】
回収装置1は、コンベア110(副経路113)の末端114において、コンベア110上のプリフォームPをコンテナCに回収する装置である。回収装置1は、コンテナCを保管する包材準備室Rmに設置されている。プリフォームPが収容されているコンテナCは、包材準備室Rm内のコンテナコンベアRcによって反転機120に受け渡される。コンテナコンベアRcは、さらに、反転機120においてプリフォームPが払い出されて空になったコンテナCを回収装置1に受け渡すことができるように設置されている。このように、反転機120においてプリフォームPが取り出されて空になったコンテナCを、回収装置1においてプリフォームPを収容するために使用できる。
【0033】
製造設備の稼働中は、コンベア110が供給モードで運転されて、プリフォームPが製造設備に連続的に供給される。このとき、反転機120のもとに定期的にプリフォームPが収容されているコンテナCが運び込まれて、プリフォームPが順次コンベア110に供給される。
【0034】
その後、製造設備の稼働が停止すると、未使用のプリフォームPがコンベア110上に残ることになる。このとき、コンベア110が回収モードで運転されて、未使用のプリフォームPが回収装置1に送られる。そして、回収装置1が運転されてプリフォームPがコンテナCに収容される。プリフォームPが収容されたコンテナCは、製造設備が次回に稼働するときに、再び反転機120からコンベア110に供給される。
【0035】
〔回収装置の構成〕
回収装置1は、コンベア110(副経路113)の末端114(所定の受容位置の例である。)においてプリフォームP(被回収物の例である。)を受容して、当該プリフォームPをコンテナC(所定の回収容器の例である。)に払い出すことができる装置である。回収装置1は、垂直多関節ロボット2(ロボットの例である。)と、バケット3と、制御装置4と、を備える(図2)。
【0036】
垂直多関節ロボット2としては、種々の産業分野において使用される公知の垂直多関節ロボットを使用でき、後述する動作を実現可能である限りにおいてその仕様(軸数、出力など)は限定されない。ただし、回収装置1の周辺で人間による作業が実施されうるため、垂直多関節ロボット2がいわゆる協調ロボットであることが好ましい。なお、垂直多関節ロボット2に替えて、双腕型ロボット、水平多関節ロボット、円筒座標ロボット、直角座標ロボット、曲座標ロボットなどの他の形式のロボットを用いてもよい。
【0037】
バケット3は、垂直多関節ロボット2の先端に装着されている。バケット3は開口部31を有し、プリフォームPが当該開口部31からバケット3に出入りする。バケット3は、開口部31を垂直方向上向きにして、開口部31からプリフォームPを受け入れることができる受容姿勢(図3)と、開口部31を少なくとも部分的に水平方向へ向けて、開口部31からプリフォームPを払い出すことができる払出姿勢(図4)と、にわたって姿勢変更できる。この姿勢変更は、垂直多関節ロボット2の動作によって実現される。なお、図4では払出姿勢の一例として底面33が鉛直方向に沿う姿勢を示しているが、払出姿勢はプリフォームPを排出できる姿勢であればよく、したがって底面33が傾いた姿勢であってもよい。たとえば一つの基準として、バケット3の四つの側面32のうちの一つ(斜面32a)が開口部31に向けて下る斜面になるようにバケット3の姿勢を制御すれば、プリフォームPを排出できるだろう。
【0038】
払出姿勢においてプリフォームPがバケット3の外に転がるようにバケット3の四つの側面32のうちの二つ(斜面32a)が底面33から傾斜して設けられており、バケット3を側方から見た形状が台形になっている。また、バケット3の深さ(開口面と底面33との距離)を、200mmにしてある。これは、バケット3がプリフォームPを受け入れる際にプリフォームPがバケット3内に落下してくるので、プリフォームPが落下する高さを衝撃による破損が生じにくい範囲に留めるためである。
【0039】
バケット3の内側に、光電センサ34(積載センサの例である。)が設けられている(図3)。バケット3に収容されたプリフォームPが積み上がって光電センサ34の光軸34aを横切ると、制御装置4に検出信号が送られる。この検出信号は、バケット3に収容されているプリフォームPの量が所定の閾値を超えていることを意味する信号である。
【0040】
また、バケット3の四つの側面32のうちの一つ(立面32b)の外側の一面に、測距センサ35が設けられている(図3)。測距センサ35は、自身と対向する面と自身との間の距離を測定可能なセンサであって、当該測距センサ35としてはレーザ式や超音波式などの公知の方式のセンサを使用できる。バケット3を受容姿勢にして、コンテナCの底面の上で測距センサ35を運転すると、バケット3とコンテナCの底面との距離を測定できる。ここで測定された距離は、電気信号として制御装置4に送られる。また、測距センサ35をコンテナCの底面の上で掃引して距離の測定を実行すると、掃引経路に沿う連続的な測定を行うことができる。
【0041】
制御装置4は、公知のコンピュータとして実装され、したがってCPUなどの演算装置、ハードディスクドライブなどの記憶装置、液晶ディスプレイなどの出力装置、キーボードやマウスなどの入力装置、ネットワークカードや無線LANモジュールなどの通信装置、などのコンピュータに通常備えられる構成要素を有する。制御装置4は垂直多関節ロボット2と電気的に接続されており、垂直多関節ロボット2の各軸の動作を制御できる。また、制御装置4は光電センサ34および測距センサ35とも電気的に接続されており、これらのセンサからの信号を受信できる。さらに、制御装置4は、コンベア110および反転機120を制御する制御装置(不図示)と通信できるように構成されており、コンベア110、反転機120、および回収装置1が協働的に制御される。そして、制御装置4には、次に説明する制御プログラムがインストールされている。
【0042】
〔制御プログラムの構成〕
制御装置4にインストールされている制御プログラムは、制御装置4よって実行されたときに、以下に説明する受容機能、測定機能、および払出機能を、制御装置4に実現させるプログラムである。上記の各機能はいずれも、それぞれの機能の目的が達せられるように垂直多関節ロボット2の動作を制御する機能である。したがって、以下の各機能におけるバケット3の動作は、いずれも垂直多関節ロボット2の動作によって実現されているものであるが、簡単のため垂直多関節ロボット2についての言及を省略する。
【0043】
(1)受容機能
受容機能は、バケット3にプリフォームPを受け入れるための機能である。受容機能では、まず、バケット3が受容姿勢に姿勢変更される。次に、バケット3がコンベア110(副経路113)の末端114の前に移動される(図5)。このとき、バケット3の開口部31が末端114の前方かつ下方に配置され、この状態でコンベア110(副経路113)を運転するとプリフォームPがバケット3内に落下する。以上の動作により、バケット3にプリフォームPを受け入れることができる。
【0044】
バケット3へのプリフォームPの受け入れが進み、プリフォームPが開口部31を超えて積み上がると、プリフォームPが光電センサ34の光軸を横切り、光電センサ34から制御装置4に検出信号が送られる。この検出信号を受け取った制御装置4は、コンベア110の制御装置に対してコンベア110の停止を求める信号を発信する。これによってコンベア110が停止し、バケット3へのプリフォームPの受け入れが停止する。
【0045】
(2)測定機能
測定機能は、プリフォームPの払出しに先立って、プリフォームPを払い出す先として予定している箇所(以下、払出先という。)の状態を把握するための機能である。これまでにも述べたように、落下衝撃によるプリフォームPの破損を避けるためには、プリフォームPが落下する高さを200mm以下に留めることが有効であるので、後述する払出機能ではこの条件を満たすようにバケット3の高さが制御される。しかし、コンテナCへのプリフォームPの払出しを繰り返すうちに、コンテナC内にプリフォームPが堆積していくので、プリフォームPを払い出す先の高さは都度異なる。そこで、各回の払出機能の実行前に測定機能を実行して、払出先の高さを把握して、払出機能における制御の根拠とする。
【0046】
具体的には、バケット3を受容姿勢にして(通常、測定機能は受容機能の後に行われるので、姿勢変更を伴わない。)、払出先の上(コンテナCの上である。)で水平に掃引しながら、測距センサ35を連続的に運転して距離の測定を実行する(図6)。このときすなわち、測距センサ35が払出先の上を水平に掃引されることになり、払出先の起伏Uを反映した測定曲線が得られる。この起伏Uは、払出先に堆積しているプリフォームPに起因する。
【0047】
(3)払出機能
払出機能は、バケット3に受け入れたプリフォームPをコンテナCに払い出すための機能である。払出機能では、まず、受容姿勢のバケット3が払出先の上方に移動される。このときのバケット3の高さ(所定の高さの例である。)は、この後に払出姿勢に姿勢変更されるバケット3の開口部31の下縁31aと払出先との高さHが200mmになるように決定される。この決定の際に、測定機能において測定された測距センサ35と払出先との距離が考慮される。
【0048】
次に、バケット3が払出姿勢に姿勢変更される(図7)。すると、プリフォームPが斜面32aを転がってコンテナCに落下する。上述のように開口部31の下縁31aと払出先との高さHが200mmになるようにしてあるので、プリフォームPが落下する高さが、プリフォームPの破損を避ける観点で許容される範囲に抑制される。
【0049】
続いてバケット3が、払出姿勢のまま、測定機能において距離の測定を行った際と同じ経路に沿って掃引される。ただし、測定機能ではバケット3が水平に掃引されたが、払出機能ではバケット3の開口部31の下縁31aが、測定機能において特定された起伏Uから200mm上方に離間した経路Rを通過するように、バケット3の高さが連続的に調整される(図7)。これによって、プリフォームPが落下する高さを概ね200mmに維持しながら、バケット3内の全てのプリフォームPを払い出すことができる。なお、経路Rに沿ってバケット3を移動させながら、バケット3の傾斜角度を徐々に変更する(底面33を徐々に鉛直方向に近づけていく)と、払出先の全体にプリフォームPを均一に排出しやすい。
【0050】
(4)各機能の繰り返し
上記のように受容機能、測定機能、および払出機能を順次実行することを一サイクルとして、複数サイクルを実行してコンテナC内にプリフォームPを堆積していく。コンテナCは水平方向に四つの領域A1~A4(複数の領域の例である。)に区分されており(図2)、各サイクルの払出機能は、領域A1~A4のいずれか一つである対象領域を払出先として実行される。対象領域として、領域A1、領域A2、領域A3、領域A4、領域A1…という順で、四つの領域が順次選択される。これによって、コンテナC内に水平方向に概ね均等にプリフォームPが堆積される。
【0051】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る回収装置および資材供給システムのその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0052】
上記の実施形態では、バケット3に測距センサ35が設けられており、測定機能を実行して払出先の状況を把握して、払出機能において当該状況に基づいてバケット3の高さを制御する構成を例として説明した。しかし、本発明に係る払出機能において、所定の高さの位置においてバケットに被回収物を払い出させるために行われる制御の具体的な方法は特に限定されない。たとえば、回収装置の操作員が、被回収物を払い出す際のバケットの高さを指定する入力操作を行ない、これによってバケットの高さが制御されてもよい。
【0053】
上記の実施形態では、バケット3に、積載センサとしての光電センサ34が設けられている構成を例として説明した。しかし、本発明に係る回収装置において積載センサを設ける場合、その方式は光電センサに限定されず、たとえば重量センサやカメラなどであってもよい。また、積載センサが設けられていなくてもよい。
【0054】
上記の実施形態では、コンテナCが水平方向に四つの領域A1~A4にされ、領域A1~A4にプリフォームが順次払い出される構成を例として説明した。しかし、本発明に係る回収装置において、回収容器のうちのどの領域に被回収物を払い出すかは任意である。
【0055】
上記の実施形態では、回収装置1がプリフォームPを回収する用途に適用された例について説明した。しかし、本発明に係る回収装置が回収対象とする被回収物は特に限定されない。破損を防ぐなどの目的で被回収物の落下高さを所定の範囲内に抑制したい場合には、本発明に係る回収装置が特に有効だろう。なお、払出機能においてバケットが被回収物を払い出す際の所定の高さは、被回収物の品質を保持する観点で、被回収物の強度などを考慮して決定される。
【0056】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、たとえば、ペットボトル飲料製品の工場において、製造設備にプリフォームを供給する資材供給システム、および、当該資材供給システムに含まれる回収装置として利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 :回収装置
2 :垂直多関節ロボット
3 :バケット
4 :制御装置
31 :開口部
31a :開口部の下縁
32 :側面
32a :斜面
32b :立面
33 :底面
34 :光電センサ
34a :光軸
35 :測距センサ
P :プリフォーム
C :コンテナ
U :起伏
R :バケットの経路
100 :資材供給システム
110 :コンベア
111 :主経路
111a :第一主経路
111b :第二主経路
112 :分岐点
113 :副経路
114 :末端
120 :反転機
Rm :包材準備室
Rc :コンテナコンベア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7