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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160427
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】熱源装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20231026BHJP
   F04C 18/16 20060101ALI20231026BHJP
   F04C 28/08 20060101ALI20231026BHJP
   F04C 28/12 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
F25B1/00 361D
F25B1/00 361Z
F25B1/00 371B
F04C18/16 P
F04C28/08 B
F04C28/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070806
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】503164502
【氏名又は名称】荏原冷熱システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内村 知行
(72)【発明者】
【氏名】久保 陽介
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA03
3H129AA15
3H129AB03
3H129BB42
3H129BB52
3H129CC14
3H129CC24
3H129CC27
3H129CC52
3H129CC62
3H129CC72
(57)【要約】
【課題】スクリュー圧縮機の損失を低減する熱源装置を提供する。
【解決手段】熱源装置1は、スクリューロータ11とスライド弁13と電動機12とを有するスクリュー圧縮機10と、インバータ21と、凝縮部23と、蒸発部25と、熱媒体Cの出口温度等を検出する流出熱媒体温度検出器45と、熱源装置1の出力等を検出する熱源装置出力検出器93と、補正量把握部95と、制御部91とを備える。補正量把握部95は、凝縮圧力と蒸発圧力との比と、ロータ11の圧縮率と、が等しくなるときの吸込み容積の、最大吸込み容積に対する比である最適容積比等を把握する。制御部91は、流出熱媒体温度検出器45での検出値が目標値から外れた場合に目標値に戻す方向にスライド弁13を移動させると共に、ロータ11の回転速度が、熱源装置出力検出器93の検出値に比例し、かつ、補正量把握部で把握された値に反比例して変化するようにインバータ21を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱需要設備に供給する熱媒体を冷却又は加熱する熱源装置であって、
前記熱媒体と熱交換を行う冷媒の蒸気を圧縮するスクリューロータと、前記スクリューロータへの前記冷媒の蒸気の吸込み容積を可変にするスライド弁と、前記スクリューロータを回転させる電動機と、を有するスクリュー圧縮機と、
前記電動機による前記スクリューロータの回転速度を変化させるインバータと、
前記冷媒の蒸気を凝縮させる凝縮部と、
前記冷媒の液を蒸発させる蒸発部と、
前記熱源装置から流出する前記熱媒体の温度又はこれに相関する物理量を検出する流出熱媒体温度検出器と、
前記熱源装置の出力又はこれに相関する物理量を検出する熱源装置出力検出器と、
前記凝縮部において前記冷媒の蒸気が凝縮する際の凝縮圧力と前記蒸発部において前記冷媒の液が蒸発する際の蒸発圧力との比と、前記スクリューロータにおける前記冷媒の蒸気の圧縮率と、が等しくなるときの前記吸込み容積の、最大となるときの前記吸込み容積に対する比で規定される最適容積比又はこれに相関する物理量を把握する補正量把握部と、
前記スライド弁及び前記インバータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記流出熱媒体温度検出器で検出された値があらかじめ設定された目標値から外れた場合に前記目標値に戻す方向に前記スライド弁を移動させると共に、前記スクリューロータの回転速度が、前記熱源装置出力検出器で検出された値に比例し、かつ、前記補正量把握部で把握された値に反比例して変化するように前記インバータを制御する、
熱源装置。
【請求項2】
前記凝縮圧力を検出する凝縮圧力検出器と、
前記蒸発圧力を検出する蒸発圧力検出器と、を備える、
請求項1に記載の熱源装置。
【請求項3】
前記補正量把握部は、前記最適容積比に相関する物理量として、前記凝縮圧力検出器で検出された前記凝縮圧力と前記蒸発圧力検出器で検出された前記蒸発圧力との比である圧力比に比例する値を把握するように構成されている、
請求項2に記載の熱源装置。
【請求項4】
前記補正量把握部は、前記最適容積比に相関する物理量として、ポリトロープ指数をnとしたときに、前記凝縮圧力検出器で検出された前記凝縮圧力と前記蒸発圧力検出器で検出された前記蒸発圧力との比である圧力比のn乗根に比例する値を把握するように構成されている、
請求項2に記載の熱源装置。
【請求項5】
前記補正量把握部は、前記最適容積比に相関する物理量として、前記凝縮圧力検出器で検出された前記凝縮圧力と前記蒸発圧力検出器で検出された前記蒸発圧力との比である圧力比に対応する実験的に求められた値を把握するように構成されており、
前記実験的に求められた値は、前記スライド弁が任意の位置における前記スクリュー圧縮機の効率が最大となるときの前記熱源装置の出力の、前記冷媒の蒸気の吸込み容積が最大となる前記スライド弁の位置のときの前記熱源装置の出力に対する比である、
請求項2に記載の熱源装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記凝縮圧力検出器で検出された前記凝縮圧力と前記蒸発圧力検出器で検出された前記蒸発圧力との比である圧力比が設計圧力比を超えたときに、前記スライド弁及び前記インバータの制御をリセットして、前記スライド弁を前記冷媒の蒸気の吸込み容積が最大となる位置に移動させると共に、前記スクリューロータの回転速度を調節することにより前記流出熱媒体温度検出器で検出された値を前記目標値にするように前記インバータを制御する、
請求項2に記載の熱源装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記熱源装置が前記熱媒体を加熱する運転をするときに、前記スライド弁及び前記インバータの制御をリセットして、前記スライド弁を前記冷媒の蒸気の吸込み容積が最大となる位置に移動させると共に、前記スクリューロータの回転速度を調節することにより前記流出熱媒体温度検出器で検出された値を前記目標値にするように前記インバータを制御する、
請求項2に記載の熱源装置。
【請求項8】
前記熱媒体を通過させる熱媒体通過器と、
前記冷媒と熱交換を行わせる熱源流体を通過させる熱源流体通過器と、
前記スクリュー圧縮機で圧縮された前記冷媒の蒸気を前記熱媒体通過器に導くのと前記熱源流体通過器に導くのとを切り替える第1の切替弁と、を備え、
前記制御部は、前記熱源装置が前記熱媒体を冷却する運転をするときは前記スクリュー圧縮機で圧縮された前記冷媒の蒸気を前記熱源流体通過器に導き、前記熱源装置が前記熱媒体を加熱する運転をするときは前記スクリュー圧縮機で圧縮された前記冷媒の蒸気を前記熱媒体通過器に導くように、前記第1の切替弁を制御し、
前記熱源装置が前記熱媒体を冷却する運転をするときは前記熱媒体通過器が前記蒸発部として機能すると共に前記熱源流体通過器が前記凝縮部として機能し、
前記熱源装置が前記熱媒体を加熱する運転をするときは前記熱媒体通過器が前記凝縮部として機能すると共に前記熱源流体通過器が前記蒸発部として機能する、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の熱源装置。
【請求項9】
前記熱媒体が前記蒸発部を通過するのと前記凝縮部を通過するのとを切り替える第2の切替弁を備え、
前記制御部は、前記熱源装置が前記熱媒体を冷却する運転をするときは前記熱媒体が前記蒸発部を通過するようにし、熱源装置が前記熱媒体を加熱する運転をするときは前記熱媒体が前記凝縮部を通過するように、前記第2の切替弁を制御する、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の熱源装置。
【請求項10】
前記熱源装置に流入する前記熱媒体の温度又はこれに相関する物理量を検出する流入熱媒体温度検出器と、
前記熱源装置を通過する前記熱媒体の流量又はこれに相関する物理量を検出する熱媒体流量検出器と、を備え、
前記熱源装置出力検出器は、前記熱源装置の出力又はこれに相関する物理量を、前記流入熱媒体温度検出器で検出された値と前記流出熱媒体温度検出器で検出された値との差に、前記熱媒体流量検出器で検出された値を乗じて得るように構成されている、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の熱源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は熱源装置に関し、特にスライド弁を有するスクリュー圧縮機を備えた熱源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリュー冷凍機に搭載されるスクリュー圧縮機には、スライド弁を移動させることにより内部容積を変えることができるものがある。そして、負荷に応じて常時最大効率運転が可能なスクリュー圧縮機として、次のものがある。それは、スクリュー圧縮部の吸入側及び吐出側圧力と、スクリュー圧縮部を回転駆動する電動機の回転周波数とに基づいて、当該回転周波数に応じた最高の圧縮効率になるように、スライド弁の開度を制御するものである(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4147891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のスクリュー冷凍機は、具体的には、センサで検出された吸込み圧力と吐出圧力と回転周波数とに基づいて演算された、現在の回転周波数における最適内部容積比に基づいて、スライド弁の開度を制御している。しかしながら、特に吸込み容積をスライド弁によって変化させるスクリュー圧縮機では、スライド弁を動かすことによって圧縮率が変わってしまい、効率が低下してしまう場合がある。
【0005】
本開示は上述の課題に鑑み、吸込み容積を可変にするスライド弁を有するスクリュー圧縮機の損失を低減する熱源装置を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係る熱源装置は、熱需要設備に供給する熱媒体を冷却又は加熱する熱源装置であって、前記熱媒体と熱交換を行う冷媒の蒸気を圧縮するスクリューロータと、前記スクリューロータへの前記冷媒の蒸気の吸込み容積を可変にするスライド弁と、前記スクリューロータを回転させる電動機と、を有するスクリュー圧縮機と、前記電動機による前記スクリューロータの回転速度を変化させるインバータと、前記冷媒の蒸気を凝縮させる凝縮部と、前記冷媒の液を蒸発させる蒸発部と、前記熱源装置から流出する前記熱媒体の温度又はこれに相関する物理量を検出する流出熱媒体温度検出器と、前記熱源装置の出力又はこれに相関する物理量を検出する熱源装置出力検出器と、前記凝縮部において前記冷媒の蒸気が凝縮する際の凝縮圧力と前記蒸発部において前記冷媒の液が蒸発する際の蒸発圧力との比と、前記スクリューロータにおける前記冷媒の蒸気の圧縮率と、が等しくなるときの前記吸込み容積の、最大となるときの前記吸込み容積に対する比で規定される最適容積比又はこれに相関する物理量を把握する補正量把握部と、前記スライド弁及び前記インバータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記流出熱媒体温度検出器で検出された値があらかじめ設定された目標値から外れた場合に前記目標値に戻す方向に前記スライド弁を移動させると共に、前記スクリューロータの回転速度が、前記熱源装置出力検出器で検出された値に比例し、かつ、前記補正量把握部で把握された値に反比例して変化するように前記インバータを制御する。ここで、補正量把握部で把握された値に反比例することは、補正量把握部で把握された値の逆数に比例することを含む。
【0007】
このように構成すると、吸込み容積を可変にするスライド弁を有するスクリュー圧縮機における冷媒の蒸気の圧縮率を、作動中の冷媒の凝縮圧力と蒸発圧力との比に近づけることができ、スクリュー圧縮機の損失を低減することができる。
【0008】
また、本開示の第2の態様に係る熱源装置は、上記本開示の第1の態様に係る熱源装置において、前記凝縮圧力を検出する凝縮圧力検出器と、前記蒸発圧力を検出する蒸発圧力検出器と、を備える。
【0009】
このように構成すると、凝縮圧力及び蒸発圧力を把握することができる。
【0010】
また、本開示の第3の態様に係る熱源装置は、上記本開示の第2の態様に係る熱源装置において、前記補正量把握部は、前記最適容積比に相関する物理量として、前記凝縮圧力検出器で検出された前記凝縮圧力と前記蒸発圧力検出器で検出された前記蒸発圧力との比である圧力比に比例する値を把握するように構成されている。
【0011】
このように構成すると、比較的簡便に最適容積比に相関する物理量を把握することができる。
【0012】
また、本開示の第4の態様に係る熱源装置は、上記本開示の第2の態様に係る熱源装置において、前記補正量把握部は、前記最適容積比に相関する物理量として、ポリトロープ指数をnとしたときに、前記凝縮圧力検出器で検出された前記凝縮圧力と前記蒸発圧力検出器で検出された前記蒸発圧力との比である圧力比のn乗根に比例する値を把握するように構成されている。
【0013】
このように構成すると、正確性が向上した制御を行うことができ、スクリュー圧縮機の損失の低減をより効果的に行うことができる。
【0014】
また、本開示の第5の態様に係る熱源装置は、上記本開示の第2の態様に係る熱源装置において、前記補正量把握部は、前記最適容積比に相関する物理量として、前記凝縮圧力検出器で検出された前記凝縮圧力と前記蒸発圧力検出器で検出された前記蒸発圧力との比である圧力比に対応する実験的に求められた値を把握するように構成されており、前記実験的に求められた値は、前記スライド弁が任意の位置における前記スクリュー圧縮機の効率が最大となるときの前記熱源装置の出力の、前記冷媒の蒸気の吸込み容積が最大となる前記スライド弁の位置のときの前記熱源装置の出力に対する比である。
【0015】
このように構成すると、比較的簡便かつ正確に最適容積比に相関する物理量を把握することができる。
【0016】
また、本開示の第6の態様に係る熱源装置は、上記本開示の第2の態様に係る熱源装置において、前記制御部は、前記凝縮圧力検出器で検出された前記凝縮圧力と前記蒸発圧力検出器で検出された前記蒸発圧力との比である圧力比が設計圧力比を超えたときに、前記スライド弁及び前記インバータの制御をリセットして、前記スライド弁を前記冷媒の蒸気の吸込み容積が最大となる位置に移動させると共に、前記スクリューロータの回転速度を調節することにより前記流出熱媒体温度検出器で検出された値を前記目標値にするように前記インバータを制御する。
【0017】
このように構成すると、スクリュー圧縮機における冷媒の蒸気の圧縮率を圧力比に近づけることができ、スクリュー圧縮機の損失の増加を抑制することができる。
【0018】
また、本開示の第7の態様に係る熱源装置は、上記本開示の第1の態様乃至第6の態様のいずれか1つの態様に係る熱源装置において、前記制御部は、前記熱源装置が前記熱媒体を加熱する運転をするときに、前記スライド弁及び前記インバータの制御をリセットして、前記スライド弁を前記冷媒の蒸気の吸込み容積が最大となる位置に移動させると共に、前記スクリューロータの回転速度を調節することにより前記流出熱媒体温度検出器で検出された値を前記目標値にするように前記インバータを制御する。
【0019】
このように構成すると、熱源装置の出力が大きくなりがちな熱媒体を加熱する運転において、簡便にスクリュー圧縮機の損失を低減することができる。
【0020】
また、本開示の第8の態様に係る熱源装置は、上記本開示の第1の態様乃至第7の態様のいずれか1つの態様に係る熱源装置において、前記熱媒体を通過させる熱媒体通過器と、前記冷媒と熱交換を行わせる熱源流体を通過させる熱源流体通過器と、前記スクリュー圧縮機で圧縮された前記冷媒の蒸気を前記熱媒体通過器に導くのと前記熱源流体通過器に導くのとを切り替える第1の切替弁と、を備え、前記制御部は、前記熱源装置が前記熱媒体を冷却する運転をするときは前記スクリュー圧縮機で圧縮された前記冷媒の蒸気を前記熱源流体通過器に導き、前記熱源装置が前記熱媒体を加熱する運転をするときは前記スクリュー圧縮機で圧縮された前記冷媒の蒸気を前記熱媒体通過器に導くように、前記第1の切替弁を制御し、前記熱源装置が前記熱媒体を冷却する運転をするときは前記熱媒体通過器が前記蒸発部として機能すると共に前記熱源流体通過器が前記凝縮部として機能し、前記熱源装置が前記熱媒体を加熱する運転をするときは前記熱媒体通過器が前記凝縮部として機能すると共に前記熱源流体通過器が前記蒸発部として機能する。
【0021】
このように構成すると、熱媒体の流路を切り替えずに、熱媒体を冷却する運転と加熱する運転とを切り替えることができる。
【0022】
また、本開示の第9の態様に係る熱源装置は、上記本開示の第1の態様乃至第7の態様のいずれか1つの態様に係る熱源装置において、前記熱媒体が前記蒸発部を通過するのと前記凝縮部を通過するのとを切り替える第2の切替弁を備え、前記制御部は、前記熱源装置が前記熱媒体を冷却する運転をするときは前記熱媒体が前記蒸発部を通過するようにし、熱源装置が前記熱媒体を加熱する運転をするときは前記熱媒体が前記凝縮部を通過するように、前記第2の切替弁を制御する。
【0023】
このように構成すると、冷媒の流路を変えずに、熱媒体を冷却する運転と加熱する運転とを切り替えることができる。
【0024】
また、本開示の第10の態様に係る熱源装置は、上記本開示の第1の態様乃至第9の態様のいずれか1つの態様に係る熱源装置において、前記熱源装置に流入する前記熱媒体の温度又はこれに相関する物理量を検出する流入熱媒体温度検出器と、前記熱源装置を通過する前記熱媒体の流量又はこれに相関する物理量を検出する熱媒体流量検出器と、を備え、前記熱源装置出力検出器は、前記熱源装置の出力又はこれに相関する物理量を、前記流入熱媒体温度検出器で検出された値と前記流出熱媒体温度検出器で検出された値との差に、前記熱媒体流量検出器で検出された値を乗じて得るように構成されている。
【0025】
このように構成すると、熱媒体の流量計を設けなくても熱源装置の出力又はこれに相関する物理量を把握することができる。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、吸込み容積を可変にするスライド弁を有するスクリュー圧縮機における冷媒の蒸気の圧縮率を、作動中の冷媒の凝縮圧力と蒸発圧力との比に近づけることができ、スクリュー圧縮機の損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一実施の形態に係るスクリュー冷凍機の概略構成を示す模式的系統図である。
図2】スライド弁の位置と吸込み容積及び圧縮率との関係を例示するグラフである。
図3】(A)は冷房時における別の実施の形態に係るスクリュー熱源機の概略構成を示す模式的系統図、(B)は暖房時における別の実施の形態に係るスクリュー熱源機の概略構成を示す模式的系統図である。
図4】さらに別の実施の形態に係るスクリュー熱源機の概略構成を示す模式的系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0029】
まず図1を参照して、一実施の形態に係るスクリュー冷凍機1を説明する。図1は、スクリュー冷凍機1の概略構成を示す模式的系統図である。スクリュー冷凍機1は、熱需要設備(不図示)の熱負荷を処理する冷水Cを冷却する装置であり、熱源装置の一形態である。熱需要設備(不図示)の例として、エアハンドリングユニットやファンコイルユニット等の空調機器が挙げられる。冷水Cは、熱需要設備(不図示)に冷熱を搬送する媒体であり、熱媒体に相当する。スクリュー冷凍機1は、冷凍サイクルを行う冷媒Rが、冷水Cから熱を奪ってこの奪った熱を冷却水CDに移すことで、冷水Cを冷却するように構成されている。スクリュー冷凍機1は、主要な要素として、スクリュー圧縮機10(以下、単に「圧縮機10」という。)と、インバータ21と、凝縮器23と、蒸発器25と、制御装置90と、を備えている。
【0030】
圧縮機10は、スクリューロータ11(以下、単に「ロータ11」という。)の回転により冷媒Rの蒸気を圧縮するものである。圧縮機10は、ロータ11の他に、ロータ11を回転させる電動機12と、スライド弁13とを有している。ロータ11は、雄ロータ及び雌ロータの一対で構成されている。雄ロータ及び雌ロータは、それぞれ、概ね円柱状の外観を呈しており、当該円柱状の外側面に螺旋状の溝が形成されている。ロータ11は、雄ロータと雌ロータとが接触する条線と条線との間、さらにロータ11の回転する円柱状の端面との間で、螺旋状の圧縮室ができるように構成されている。ロータ11は、回転することにより、圧縮室が円柱状の軸線方向に移動しながら容積が変化することで、冷媒Rの蒸気を圧縮することができるように構成されている。ロータ11は、円柱状の端面に設けられた吸込み口から冷媒Rの蒸気を吸込み、回転によって圧縮された冷媒Rの蒸気を、円柱状の反対側の端面に設けられた吐出口から吐出するように構成されている。ロータ11は、吸込み口及び吐出口が、ロータ11の回転により、圧縮室と連通したり仕切られたりするようになっている。ロータ11は、吸込み容積の吐出容積に対する比(吸込み容積/吐出容積)である圧縮率が、設計の圧縮率になるように構成されている。圧縮機10は内部に潤滑油Lが循環しており、潤滑油Lは冷媒Rの蒸気と共に加圧され、吐出側で気液が分離されて、潤滑油Lはロータ11の吸込み側に戻り、圧縮された冷媒Rの蒸気は圧縮機10の吐出口から吐出されるようになっている。すなわち、潤滑油Lの駆動源は、吐出圧力そのものとなっている。
【0031】
電動機12は、入力する電力の周波数が変化することで、回転速度が変わるようになっている。電動機12は、本実施の形態では、インバータ21により、回転速度が変化させられるようになっている。電動機12は、本実施の形態では汎用の誘導電動機が用いられているが、インバータ専用の電動機が用いられてもよい。インバータ21は、典型的には、商用電源から入力した電力の周波数を適切に調節して、電動機12に電力を供給するように構成されている。
【0032】
スライド弁13は、本実施の形態では、ロータ11への冷媒Rの蒸気の吸込み容積を変える部材である。スライド弁13は、ロータ11に接しながら、雌ロータ及び雄ロータの各円柱状の部分と協働して圧縮室を形成する部材の一部になるように設けられている。圧縮機10は、スライド弁13が移動することにより、圧縮室の吸込み側が閉鎖される点(以下「閉じ込み点」という。)が変化して、ロータ11の吸込み容積を変化させることができるようになっている。このような容積変化により、スクリュー圧縮機1は、少ない損失で、無段階に、比較的容易に冷媒Rの圧縮率や蒸気の流量を変えることができる。ロータ11の吸込み容積に回転速度とロータ11の条数を乗じると冷媒Rの蒸気の流量となるため、冷媒Rの蒸気の流量は略スクリュー冷凍機1の冷凍出力に比例する。なお、一般的なスクリュー圧縮機のスライド弁には、圧縮の終了位置を変化させることで吐出容積を変化させるものもあるが、本実施の形態におけるスライド弁13は、圧縮の開始位置を変化させて吸込み容積を変えるものとなっている。つまり、本実施の形態における圧縮機10は、吸込み容積はスライド弁13の位置に応じて変化する一方で、吐出容積は変化せずに一定となるように構成されている。したがって、本実施の形態における圧縮機10は、圧縮率が、吸込み容積に比例して増減するようになっている。また、本実施の形態における圧縮機10は、スライド弁13の位置に応じて吸込み容積が略線形に変化するように構成されている。本実施の形態における圧縮機10の、スライド弁13の位置と吸込み容積及び圧縮率との関係を、図2に例示する。以下の説明において、吸込み容積が増すこととなるスライド弁13の移動方向を「増力側」と、吸込み容積が減ることとなるスライド弁13の移動方向を「減力側」と、表現する場合がある。また、吸込み容積が最大となるスライド弁13の位置を「最大位置」という場合がある。
【0033】
スライド弁13は、圧縮機10の内部にあるピストン14に接続されており、ピストン14の往復移動によって増力側又は減力側に移動することができるようになっている。本実施の形態では、上述した、圧縮機10の内部を循環する潤滑油Lによって、ピストン14を往復移動させることができるように構成されている。本実施の形態におけるこの構成の具体例は、次の通りである。ピストン14が収容されているシリンダには、潤滑油Lを注入するロードライン15の一端と、潤滑油Lを抜き出すアンロードライン17の一端と、が接続されている。ロードライン15の他端はロータ11の吐出側に接続されている。ロードライン15にはロード弁16が設けられている。アンロードライン17の他端はロータ11の吸込み側に接続されている。アンロードライン17にはアンロード弁18が設けられている。スライド弁13は、ロード弁16を開けることによって、ロードライン15を介してピストン14のシリンダに潤滑油Lを注入すると増力側に移動する。また、スライド弁13は、アンロード弁18を開けることによって、アンロードライン17を介してピストン14のシリンダから潤滑油Lを抜き出すと減力側に移動する。ロード弁16よりも上流側のロードライン15とアンロード弁18よりも下流側のアンロードライン17とはバイパスライン19で接続されている。これにより、ロータ11から吐出された潤滑油Lがピストン14をバイパスしてロータ11の吸込側に入ることができるようになっている。
【0034】
凝縮器23は、圧縮機10で圧縮された冷媒Rの蒸気を導入して凝縮させるものであり、凝縮部に相当する。凝縮器23は、圧縮機10で圧縮された冷媒Rの蒸気の他に熱源流体としての冷却水CDを導入し、冷媒Rの蒸気を、冷却水CDで冷却することによって、冷媒Rの液にするようになっている。凝縮器23には、内部の冷媒Rの凝縮圧力を検出する凝縮圧力計33が設けられている。凝縮圧力計33は、凝縮圧力検出器に相当する。凝縮器23において冷媒Rの蒸気から凝縮熱を奪った冷却水CDは、冷却塔(不図示)に送られて冷却された後、再び凝縮器23に導入されるようになっている。凝縮器23で凝縮した冷媒Rの液は、膨張弁24を通過して圧力が低下した後に、蒸発器25に導入されるようになっている。蒸発器25は、凝縮器23から流出して膨張弁24を経た冷媒Rの液を導入して蒸発させるものであり、蒸発部に相当する。蒸発器25は、冷媒Rの液の他に冷水Cを導入し、冷媒Rの液が蒸発する際に必要な熱(蒸発潜熱)を冷水Cから奪うことで、冷水Cを冷却するようになっている。蒸発器25には、内部の冷媒Rの蒸発圧力を検出する蒸発圧力計35が設けられている。蒸発圧力計35は、蒸発圧力検出器に相当する。スクリュー冷凍機1において、圧縮機10、凝縮器23、膨張弁24、蒸発器25は、この順で、環状に形成された冷媒流路28に設けられている。冷媒Rは、冷媒流路28を、圧縮機10、凝縮器23、膨張弁24、蒸発器25、そして再び圧縮機10へと循環して流れることで、蒸気と液との間で相変化をしながら、冷凍サイクルを行うようになっている。
【0035】
蒸発器25には、冷水流出管41と、冷水流入管42とが設けられている。冷水流出管41は、冷却した冷水Cを熱需要設備(不図示)に向けて流出する流路である。冷水流入管42は、熱需要設備(不図示)から戻ってきた、温度が上昇した冷水Cを流入させる流路である。冷水流出管41には、蒸発器25から流出した冷水Cの温度を検出する出口温度計45が設けられている。出口温度計45は流出熱媒体温度検出器に相当する。冷水流入管42には、蒸発器25に流入する冷水Cの温度を検出する入口温度計46と、蒸発器25を通過する冷水Cの流量を検出する流量計48と、が設けられている。入口温度計46は流入熱媒体温度検出器に相当し、流量計48は熱媒体流量検出器に相当する。流量計48は、電磁流量計や容積式流量計等を用いることができる。なお、流量計48は、冷水流入管42に代えて、冷水流出管41に設けられていてもよい。また、凝縮器23には、温度が上昇した冷却水CDを冷却塔(不図示)に向けて流出する冷却水流出管51と、冷却塔(不図示)からの冷却水CDを流入させる冷却水流入管52と、が設けられている。
【0036】
制御装置90は、スクリュー冷凍機1の動作を司る装置である。制御装置90は、スクリュー冷凍機1を構成する機器の動作を制御する制御部91を有している。制御部91は、ロード弁16及びアンロード弁18と通信線で結ばれており、ロード弁16及びアンロード弁18の開閉を制御することを介して、スライド弁13の位置を制御することができるように構成されている。また、制御部91は、インバータ21と通信線で結ばれており、インバータ21に周波数の指令を与えることを介して、電動機12の回転速度を、ひいてはロータ11の回転速度を制御することができるように構成されている。また、制御部91は、凝縮圧力計33及び蒸発圧力計35のそれぞれから圧力情報の信号を受信して、冷媒Rの凝縮圧力及び蒸発圧力を把握することができるように構成されている。また、制御部91は、出口温度計45及び入口温度計46のそれぞれから温度情報の信号を受信して、冷水Cの出口温度及び入口温度を把握することができるように構成されている。また、制御部91は、流量計48から冷水Cの流量情報の信号を受信して、蒸発器25を通過する冷水Cの流量を把握することができるように構成されている。また、制御装置90は、本実施の形態では、出力演算部93を有している。出力演算部93は、出口温度計45、入口温度計46、及び流量計48から制御部91が受信した冷水Cの出口温度、入口温度、及び流量に基づいて、スクリュー冷凍機1の出力(冷凍出力)を演算する部位である。スクリュー冷凍機1の出力は、冷水Cの入口温度と出口温度との差に流量を乗じて求められる((冷水Cの入口温度-冷水Cの出口温度)×冷水Cの流量)。このように、出口温度計45、入口温度計46、流量計48、及び出力演算部93は、協働して熱源装置出力検出器を構成する。
【0037】
制御装置90は、本実施の形態では、補正量把握部95を有している。補正量把握部95は、ロータ11の回転速度を補正する量を把握する部位である。補正量把握部95は、本実施の形態では、最適容積比又はこれに相関する物理量を把握するように構成されている。ここで、最適容積比を、圧力比とロータ11の圧縮率とが等しくなるときの吸込み容積の、最大の吸込み容積に対する比((「圧力比=圧縮率」時の吸込み容積)/最大吸込み容積)と定義することとする。なお、圧力比は、冷媒Rの凝縮圧力の蒸発圧力に対する比(冷媒Rの凝縮圧力/冷媒Rの蒸発圧力)である。補正量把握部95は、本実施の形態では、最適容積比に相関する物理量として、圧力比に比例する値を把握するように構成されている。すなわち、定格条件(スライド弁13の位置が、吸込み容積が最大、すなわち圧縮率が最大となる位置にある状態)における蒸発器と凝縮器の圧力比と、運転状態における圧力比との比を最適容積比に相関する物理量としている。これは、吸込み容積と圧縮率とが比例する(図2参照)ことに基づくものである。なお、厳密には吸込み容積に比例するのは内部圧縮率であり、温度上昇を加味した真の圧縮率とは異なるが、その差異が小さく、これを無視できる場合は、最適容積比に相関する物理量を圧力比に比例する値として差し支えない。このことを数式で表すと次のようになる。まず、吐出容積をV2で表すこととする。前述のように、本実施の形態では、吐出容積V2は一定である。そして、定格条件における圧縮機10の吸込み容積をV0、圧縮率をR0とすると、圧縮率R0≒V0/V2となる。また、任意のスライド弁13の位置における圧縮機10の吸込み容積をV1、圧縮率をRxとすると、圧縮率Rx≒V1/V2となる。これら及び定義から、最適容積比=V1/V0=(V1/V2)/(V0/V2)≒Rx/R0、となる。ここで、定格条件における圧縮率R0は圧縮機10による定数であるため、最適容積比と相関を有する物理量は、運転状態における理想的な圧縮率Rxに比例すると見ることができる。そして、運転状態における理想的な圧縮率Rxは、圧力比と等しいため、凝縮圧力計33で検出された圧力と蒸発圧力計35で検出された圧力との比を、最適容積比に相関する物理量と見ることができる。
【0038】
制御部91は、本実施の形態では、以下の要領で、ロード弁16及びアンロード弁18の開閉の制御を介してスライド弁13の位置を制御し、インバータ21を介してロータ11の回転速度を制御するように構成されている。制御部91は、出口温度計45で検出された冷水Cの温度が目標値(例えば7℃)となるようにスライド弁13の位置を制御している。詳細には、制御部91は、出口温度計45で検出された冷水Cの温度が、目標値を上回った場合はスライド弁13を増力側に移動させ、目標値を下回った場合はスライド弁13を減力側に移動させるように構成されている。その一方で、制御部91は、ロータ11の回転速度を、出力演算部93で算出されたスクリュー冷凍機1の出力に比例し、補正量把握部95で把握された圧力比(最適容積比又はこれに相関する物理量)に反比例するように制御している。詳細には、制御部91は、出力演算部93で算出された出力が、増加したときはロータ11の回転速度を増加させ、減少したときはロータ11の回転速度を減少させるように構成されている。また、制御部91は、補正量把握部95で把握された圧力比が、増加したときはロータ11の回転速度を減少させ、減少したときはロータ11の回転速度を増加させるように構成されている。なお、従来の、ロータの回転速度が可変のスクリュー冷凍機では、供給する冷水の温度に基づいてロータの回転速度を変化させ、圧力比に基づいてスライド弁を移動させていた。これに対し、本実施の形態に係るスクリュー冷凍機1では、ロータ11の回転速度及びスライド弁13の移動の根拠となる物理量が、従来の回転速度可変スクリュー冷凍機とは入れ替わった形になっている。
【0039】
一般に、スクリュー圧縮機を含む容積式の圧縮機では、圧縮機の回転速度に応じて吸込み気体(例えば冷媒蒸気)の単位時間当たりの圧縮流量が変化する。そして、吸込み容積を可変としたスクリュー圧縮機では、スライド弁の位置に応じて圧縮機の圧縮率が変化するが、このときに吸込み容積も変化するので、圧縮機の回転速度当たりの圧縮流量も変化する。このとき、実際のスライド弁の位置が分からないために圧縮機の実際の圧縮率が分からないとしても、そのときの圧力比に対応する圧縮率(理想的な圧縮率)における圧縮機の回転速度当たりの圧縮流量であれば、当該圧縮機の特性から求めることができる。前述のように、冷媒蒸気の流量は略スクリュー冷凍機の冷凍出力に比例するので、冷凍出力を、理想的な圧縮率における圧縮機の回転速度当たりの圧縮流量で除すると、「スライド弁が最適な位置にあると仮定した場合の最適な回転速度」を求めることができる。このようにして求めた最適な回転速度で、実際に圧縮機を運転した場合に、スライド弁が最適な位置よりも増力側に寄っていれば冷凍出力は仮定よりも大きくなるので冷水温度が低下し、減力側に寄っていれば冷水温度が上昇する。したがって、圧縮機ロータの回転速度を上述のように制御しつつ、冷水温度が低下したらスライド弁を減力側に、上昇したら増力側に移動させることで、圧縮機のスライド弁の位置が最適な位置への移動し、最適な位置となったところで冷水温度は目標値に安定する。このようにすることでスライド弁の位置と圧縮機ロータの回転速度との双方を最適な位置に安定させることが可能となる。本実施の形態に係るスクリュー冷凍機1は、この原理を利用して、スライド弁13の位置及びロータ11の回転速度を制御している。
【0040】
引き続き図1を参照して、スクリュー冷凍機1の作用を説明する。差し当たり、定格条件の作用を説明する。定格条件では、ロータ11の吸込み容積が最大となる位置にスライド弁13が位置し、ロータ11は100%の回転速度で回転する。スクリュー冷凍機1の起動に先立ち、冷水Cを流動させる冷水ポンプ(不図示)及び冷却水CDを流動させる冷却水ポンプ(不図示)が起動される。冷水ポンプ(不図示)が作動すると、冷水Cが蒸発器25を通過するようになる。冷却水ポンプ(不図示)が作動すると、冷却水CDが凝縮器23を通過するようになる。冷水ポンプ(不図示)及び冷却水ポンプ(不図示)の作動が開始した後、制御部91は、スクリュー冷凍機1を起動する。
【0041】
スクリュー冷凍機1が起動すると、制御部91は、インバータ21を介して電動機12を作動させてロータ11を回転させる。ロータ11の回転により、冷媒流路28を循環する冷媒Rは、蒸気の状態で、ロータ11内に形成される圧縮室に入る。ロータ11の圧縮室に流入した冷媒Rの蒸気は、圧縮室の吸込み側が閉鎖された後、圧縮室がロータ11の軸線方向に移動するに連れて圧縮され、定格の圧縮率に圧縮された状態でロータ11から吐出される。ロータ11から出た圧縮された冷媒Rの蒸気は、凝縮器23に流入し、凝縮器23の内部を通過する冷却水CDによって冷却されて、冷媒Rの液となる。凝縮器23を出た冷媒Rの液は、膨張弁24を通過する際に圧力が低下して、低圧の冷媒Rの液となる。低圧の冷媒Rの液は、蒸発器25に流入し、蒸発器25の内部を通過する冷水Cから蒸発潜熱を奪うことで加熱されて蒸発し、冷媒Rの蒸気となる。なお、低圧の冷媒Rの液に熱を奪われた冷水Cは、温度が低下して蒸発器25から流出し、冷水流出管41を流れる。蒸発器25を出た冷媒Rの蒸気は、再びロータ11に入り、上述の要領で圧縮され、以降、上述のサイクルを繰り返す。
【0042】
本実施の形態に係るスクリュー冷凍機1は、上述のような運転中に、熱需要設備(冷水Cの供給先)の負荷が変化した場合、スライド弁13の位置及び/又はロータ11の回転速度を調節して、出力を調節することとしている。ここで、対比のため、従来のスクリュー冷凍機に言及する。前述のように冷媒Rの蒸気の流量は略冷凍出力に比例するので、従来の固定速型のスクリュー圧縮機においては、冷凍負荷と釣り合う位置にスライド弁を調整することで、ロータの回転速度を変えなくても冷凍出力を負荷に合わせることができていた。他方、近年はインバータによる可変速技術を用いて冷凍出力を制御することも広く行われている。スクリュー式に限らず容積式圧縮機の場合、インバータを用いると冷媒蒸気の流量がロータの回転速度に略比例して変化することとなり、スクロール式やレシプロ式の圧縮機であっても容易に冷凍出力を負荷に合わせることができる。スクリュー式でも、インバータによる制御が広く行われているが、インバータを用いる場合、多くの場合でスライド弁は使用せず、ロータの回転速度のみにより冷凍出力を制御している。この場合、スライド弁の位置に応じて変化する圧縮率は、負荷が変動しても変わらないことになる。スライド弁の位置で決まる圧縮率と、実際の圧力比とが異なると、次のような不都合が生じる。圧力比が圧縮率よりも小さい場合、圧縮機内では冷媒が不必要な圧力にまで圧縮された後、出口側のポートが開いた瞬間に急減圧することになる。これは、不必要な圧力まで圧縮するのに余分なエネルギーを消費することになるので、圧縮機の効率が低下する。他方、圧力比が圧縮率よりも大きい場合、圧縮機内の冷媒蒸気は凝縮圧力に達する前に、凝縮器内の冷媒蒸気と連通することになる。この場合、凝縮器内の未凝縮の冷媒蒸気が圧縮機内に逆流することになり、圧縮機はこれを再度圧縮することになる。このため、やはり圧縮機の効率が低下する。すなわち、スクリュー冷凍機の効率を最大化しようとした場合、ロータの可変速制御により冷媒蒸気の流量を適切に制御すると共に、スライド弁を用いて圧縮率が圧力比に等しくなるように制御することが望ましい。しかし、実際には、このような制御を行うことは難しい。まず、スクリュー式冷凍機のスクリュー圧縮機は冷媒漏洩を抑えるために密閉型(一般には分解点検の可能な半密閉型)とすることが多いが、スライド弁は密閉された機構内に収められているため、その正確な位置を知ることが難しい。したがって、運転状態から適切なスライド弁の位置が算出できたとしても、実際にスライド弁をその位置に制御することが難しい。また、内部圧縮率はスライド弁の位置等で計算することができるが、実際の圧縮では冷媒蒸気が断熱圧縮に伴い温度が上昇するため、圧縮率(圧縮機の吐出圧力と吸込み圧力との比)を計算することは難しい。この点、比熱比等を仮定することで演算すること自体は可能であるが、指数関数の演算となるため一般的な冷凍機のコントローラ(シーケンサ等)では演算することが難しい。上記のような事情をふまえ、本実施の形態に係るスクリュー冷凍機1では、運転中に熱需要設備(冷水Cの供給先)の負荷が変化した場合に、以下のような制御を行うこととしている。
【0043】
本実施の形態に係るスクリュー冷凍機1が定格条件で運転しているとき、前述のように、ロータ11の吸込み容積が最大となる位置にスライド弁13が位置し、ロータ11は100%の回転速度で回転している。一般に、ロータ11の吸込み容積が最大、すなわち圧縮率が最大となる点が定格条件となるように圧縮機が設計されているので、定格条件における運転のときに圧縮機の効率は最大となる。なお、差し当たり、圧力比は変化しないものとして説明する。圧力比は、原則として、外部の条件(スクリュー冷凍機1の運転中の冷却水CDの温度や冷水Cの温度等)に応じて決まるものであり、制御部91が制御するものではないからである。定格条件でのスクリュー冷凍機1の運転中、熱需要設備(不図示)の負荷が減少すると、スクリュー冷凍機1の冷凍出力が熱需要設備(不図示)の負荷を上回るので、冷水Cの温度が徐々に低下する。すると、冷水Cの出口温度が目標温度を下回るので、冷水Cの出口温度に基づいて制御されるスライド弁13は減力側に移動する。すると、冷凍出力が低下するので、冷凍出力に比例するように制御されるロータ11の回転速度は、冷凍出力の低下に比例して減少する。ロータ11の回転速度の減少により、冷凍出力がさらに低下するので、今度は冷水Cの温度が目標温度を上回る。このため、スライド弁13の位置は増力側に移動し、元に戻る。これを繰り返すことで、冷水Cの温度は目標値に戻り、スライド弁13の位置も元に戻り、ロータ11の回転速度は負荷に応じた回転速度に収束する。
【0044】
次に、温度条件が異なり、理想的な圧縮率(圧力比)が、スライド弁13の最大位置以外の位置に相当する場合であったとする。一例として、この場合の負荷が、このスライド弁13の位置で、定格の回転速度でロータ11を回転させた場合の冷凍出力に対して、80%程度の負荷であると仮定する。この場合、理想的なロータ11の回転速度は、定格回転速度の80%程度となる。また、このときのロータ11の吸込み容積が、最大の吸込み容積の70%であると仮定すると、圧縮機10の圧縮率は、定格の圧縮率の70%となる。このとき、スクリュー冷凍機1の負荷は、スライド弁13に関する70%とロータ11の回転速度に関する80%とを加味した56%ということになる。この状況において、ロータ11の回転速度が80%より高かったとすると、冷凍出力は56%を上回ることになり、冷水Cの温度は低下する。冷水Cの温度の低下を受けてスライド弁13は減力側に移動する。すると、冷凍出力が低下するので、ロータ11の回転速度が冷凍出力の低下に比例して減少する。すると、冷水Cの温度が上昇するので、次にスライド弁13が増力側に移動する。これを繰り返すことで、スライド弁13は最適な位置に収束し、ロータ11の回転速度は最適な値へと収束する。他方、スライド弁13の位置が70%の位置よりも増力側にあったとする。この場合、ロータ11の回転速度が80%であると、冷凍出力は56%よりも大きくなる。したがって、冷凍出力に比例するように制御されるロータ11は、回転速度がさらに増し、これに伴って冷凍出力は56%を上回る。すると、冷水Cの温度が低下するので、冷水Cの出口温度に基づいて制御されるスライド弁13の位置は減力側に移動する。すると、冷凍出力は低下し、それにつれてロータ11の回転速度も変化して、やはりスライド弁13は最適な位置で安定し、ロータ11の回転速度は適切な値で安定する。
【0045】
上述のように、本実施の形態に係るスクリュー冷凍機1は、圧力比の変動がない状況においては、冷水Cの出口温度に基づいてスライド弁13の位置を制御し、冷凍出力に比例するようにロータ11の回転速度を制御している。このように制御することにより、スクリュー冷凍機1は、現在のスライド弁13の位置がわからないとしても、そのときの冷凍出力に対して望ましい圧縮率となるようにスライド弁13の位置が制御される。このため、スクリュー冷凍機1では、圧縮機10の圧縮率が圧力比に近づくことで圧縮機10の効率の低下を抑制しつつ、ロータ11の回転速度の調節により適切な冷凍出力を得ることができる。なお、何らかの要因により圧力比が変化した場合、制御部91は、凝縮圧力計33及び蒸発圧力計35からの圧力情報の信号の受信で当該圧力比の変化を把握することができる。制御部91は、圧力比の変化を把握した場合、ロータ11の回転速度を、補正量把握部95で把握した最適容積比又はこれに相関する物理量に反比例するように補正するとよい。これは、圧力比が何らかの要因で変化した場合に、改めてその圧力比に対して最適な位置にスライド弁13を移動させるためである。例えば、何らかの要因で圧力比が増大した場合、変化した圧力比に圧縮機10の圧縮率が近づくようにスライド弁13を増力側に移動させることが好ましい。本実施の形態では、ロータ11の回転速度を、当該圧力比における最適な回転速度に「下げる」ことでこれを行っている。すなわち、スライド弁13の位置を、増大した圧力比に最適な位置に移動すると、ロータ11の吸込み容積が増大するため、冷媒Rの蒸気の流量が増加するので、ロータ11の回転速度を、このときに最適な回転速度になるように低下させる。ロータ11の回転速度が下がると、一時的に冷凍出力が低下し、冷水Cの温度が上昇するが、この冷水Cの温度上昇によってスライド弁13は増力側に移動し、冷凍出力が再度増大し、負荷と釣り合った時点(最適なスライド弁13の位置)で安定する。このように、変化した圧力比に対して最適な位置にスライド弁13を移動させるために、ロータ11の回転速度を減少(反比例)させている。以下、供給される熱媒体(例えば冷水C)の温度が目標温度になるようにスライド弁13の位置を制御し、熱源装置の出力に比例し最適容積比又はこれに相関する物理量に反比例するようにロータ11の回転速度を制御することを「最適制御」という場合もある。
【0046】
なお、これまでの説明では、補正量把握部95が、最適容積比に相関する物理量として、圧力比に比例する値を把握するように構成されているとしたが、以下のように構成されていてもよい。第1の変形例に係る最適容積比に相関する物理量として、圧力比のn乗根(nはポリトロープ指数)に比例する値を把握するように構成されていてもよい。このことを数式で表すと次のようになる。まず、本実施の形態では、吐出容積V2が一定であるのは前述の通りである。また、定格条件における圧縮機10の吸込み容積をV0、圧縮率をR0と表し、任意のスライド弁13の位置における圧縮機10の吸込み容積をV1、圧縮率をRxと表すのも前述と同様とする。そして、前述のように内部圧縮率はV1/V2である。しかし、ポリトロープ指数をnとすると、実際の圧縮率Rxは、「PV=一定」というポリトロープ圧縮の一般式から、Rx=P2/P1=(V1/V2)となる。ここで、P1は吸込み圧力、P2は吐出圧力である。上記の圧縮率Rxの式より、V1/V2=(P2/P1)1/n=Rx1/nが導かれる。これら及び定義から、最適容積比=V1/V0=(V1/V2)/(V0/V2)=(Rx/R0)1/n、となる。したがって、最適容積比は、前述の圧力比に比例する値を把握するように構成した場合のRx/R0を1/n乗すればよいことになる。ここで、制御装置90に指数計算の機能がない場合は、あらかじめ圧力比による最適容積比の値を計算しておき、いわゆるテーブル演算などで演算して最適容積比を算出してもよい。
【0047】
また、第2の変形例に係る最適容積比に相関する物理量として、圧力比に対応する実験的に求められた値を把握するように構成されていてもよい。実験的に求められた値の例を以下に示す。まず、スクリュー冷凍機1を、ロータ11の回転速度が最大(100%)の状態で運転しておく。この状態で、スライド弁13の位置を任意の位置で固定しつつ、冷却水CDの温度(又は冷媒Rの吐出圧力)を変えながら運転する。このとき、各冷却水CDの温度(又は冷媒Rの吐出圧力)において、圧縮機10での冷媒Rの出口温度や、スクリュー冷凍機1の効率と冷媒Rのサイクル効率とから圧縮機10の効率を計算する。圧縮機10の効率は、一例を示すと、「効率=(had-hin)/(hout-hin)」の式から求めることができる。ここで、hinは、圧縮機10の入口における冷媒Rの蒸気の比エンタルピであり、これは圧縮機10の入口における冷媒Rの温度と圧力との関数である。また、houtは、圧縮機10の出口における冷媒Rの蒸気の比エンタルピであり、これは圧縮機10の出口における冷媒Rの温度と圧力との関数である。また、hadは、圧縮機10において冷媒Rの蒸気が等エントロピ変化をした場合の出口の比エンタルピであり、これは圧縮機10の入口における冷媒Rの温度と圧力との関数である。各冷却水CDの温度(又は冷媒Rの吐出圧力)における圧縮機10の効率を求めたら、圧縮機10の効率が最大となるときの圧力比と冷凍出力とを求める。ここで、最適容積比は、スライド弁13が最大位置にある場合の冷凍出力と、スライド弁13が現在ある位置での冷凍出力との比が、そのまま最適容積比であると考えてよいので、これにより最適容積比と圧力比との関係式を得ることができる。この場合、上述のようなテーブル演算で、運転中のスクリュー冷凍機1の圧力比から、最適容積比を求めることとしてもよい。
【0048】
なお、制御部91が圧力比の変化を把握した場合の、ロータ11の回転速度を補正量把握部95で把握した最適容積比又はこれに相関する物理量に反比例させることには、最適容積比又はこれに相関する物理量の逆数に比例させることを含む。例えば、補正量把握部95で把握した最適容積比又はこれに相関する物理量の逆数をテーブル演算し、これにロータ11の回転速度を比例させることとしてもよい。この場合、スクリュー冷凍機1の冷凍出力は蒸発器25における冷水Cの出入り温度差に比例するので、ロータ11の回転速度は冷水Cの出入り温度差に比例することとしてもよい。このことは、補正量把握部95が把握する値についての前述した実施の形態のみならず、上述した第1の変形例及び第2の変形の場合も適用することができる。
【0049】
ここで、あるスライド弁13の位置で圧縮機10のロータ11を最大の回転速度で運転した場合でも、熱需要設備の負荷を満足できない場合について言及しておく。例えば、圧縮率と圧力比とが等しくなるときのロータ11の吸込み容積(最適容積比)が、前述した70%ではなく50%の条件で、スクリュー冷凍機1の負荷が60%であったとする。このとき、ロータ11の回転速度を、前述の実施の形態に照らすと、120%とすると負荷を満たすことができるが、実際には100%までしか上昇させることできないため、冷凍出力は50%にとどまることとなる。したがって、冷水Cの温度は上昇するので、徐々にスライド弁13は増力側へと移動し、ついには容積比が60%の点まで移動し、ここで安定する。この場合、圧縮率は約60%となり、理想的な50%よりは高まるものの、スライド弁13を固定してロータ11の回転速度のみを変化させて運転した場合(回転速度60%、圧縮率100%)に比べると、圧縮率が実際の圧力比に近づく。このため、圧縮機10の損失が減り、省エネルギーを図ることができる。
【0050】
次に図3(A)及び図3(B)を参照して、別の実施の形態に係るスクリュー熱源機2を説明する。図3(A)及び図3(B)は、共にスクリュー熱源機2の概略構成を示す模式的系統図であり、図3(A)は冷房時の状態を表し、図3(B)は暖房時の状態を表している。スクリュー熱源機2は、スクリュー冷凍機1(図1参照)と同様に熱媒体を冷却する機能を有するほか、熱媒体を加熱するヒートポンプとしても利用可能な装置であり、熱源装置の一形態である。スクリュー熱源機2は、典型的には、冷房時は熱媒体を冷却し、暖房時は熱媒体を加熱することができるように構成されている。スクリュー熱源機2は、以下の点が、スクリュー冷凍機1(図1参照)と異なっている。スクリュー熱源機2では、スクリュー冷凍機1(図1参照)における凝縮器23及び蒸発器25に代えて、それぞれ、熱源流体通過器123及び熱媒体通過器125が設けられている。熱源流体通過器123及び熱媒体通過器125は、それぞれ、凝縮器23(図1参照)及び蒸発器25(図1参照)と同様の構成を有しているが、機能に相違があるために異なる呼称が与えられている。スクリュー熱源機2は、スクリュー冷凍機1(図1参照)における蒸発器25(図1参照)に対応する熱媒体通過器125が、熱需要設備(不図示)に供給される熱媒体を冷却又は加熱するように構成されている。したがって、熱媒体通過器125には、冷水流出管41及び冷水流入管42が設けられている。
【0051】
熱源流体通過器123は、典型的には、冷房時に冷媒Rから冷却水CDに熱を与え、暖房時に冷媒Rが冷却水CDから熱を奪うように構成されている。つまり、熱源流体通過器123は、典型的には、冷房時は凝縮部として機能し、暖房時は蒸発部として機能するように構成されている。熱媒体通過器125は、熱媒体として冷温水CHが通過するようになっている。冷温水CHは、熱需要設備(不図示)に冷熱又は温熱を搬送する媒体である。冷温水CHは、冷熱の媒体である冷水及び温熱の媒体である温水の総称であり、典型的には、冷房時は冷水となり、暖房時は温水となるものである。したがって、スクリュー熱源機2では、冷水流出管41及び冷水流出管41に冷温水CHが流れるようになっている。熱媒体通過器125は、典型的には、冷房時に冷媒Rが冷温水CHから熱を奪い、暖房時に冷媒Rから冷温水CHに熱を与えるように構成されている。つまり、熱媒体通過器125は、典型的には、冷房時は蒸発部として機能し、暖房時は凝縮部として機能するように構成されている。
【0052】
また、スクリュー熱源機2は、冷媒流路28に四方弁29が設けられている。四方弁29は、圧縮機10と熱源流体通過器123との間の冷媒流路28と、圧縮機10と熱媒体通過器125との間の冷媒流路28と、にまたがって設けられている。四方弁29は、冷媒流路28における冷媒Rの流れを、以下の2つの状態の間で切り替えることができるように構成されている。四方弁29の一方の状態は、図3(A)に示すように、圧縮機10を出た冷媒Rを熱源流体通過器123に導くと共に熱媒体通過器125を出た冷媒Rを圧縮機10に導く状態であり、典型的には冷房時にこの状態にすることとなる。四方弁29の他方の状態は、図3(B)に示すように、圧縮機10を出た冷媒Rを熱媒体通過器125に導くと共に熱源流体通過器123を出た冷媒Rを圧縮機10に導く状態であり、典型的には暖房時にこの状態にすることとなる。このように、四方弁29は、圧縮機10で圧縮された冷媒Rの蒸気を熱源流体通過器123に導くのと熱媒体通過器125に導くのとを切り替えることができるように構成されており、第1の切替弁に相当する。四方弁29は、制御部91と通信線で結ばれており、制御部91からの指令を受けて上記の切り替えが行われるように構成されている。
【0053】
本実施の形態に係るスクリュー熱源機2は、圧縮機10が、内部圧縮率が十分に大きく、スライド弁13を最大位置にした条件で、ヒートポンプ運転時(典型的には暖房時)の圧縮率まで圧縮できるものになっている。なお、スクリュー熱源機2は、冷媒Rの循環量を調整するためのバッファタンク等、ヒートポンプ機特有の機器を、必要に応じて設けることができる。スクリュー熱源機2の上記以外の構成は、スクリュー冷凍機1(図1参照)と同様である。
【0054】
上述のように構成されたスクリュー熱源機2において、冷房時(図3(A)参照)の作用及び制御はスクリュー冷凍機1(図1参照)と同様である。他方、暖房時(図3(B)参照)の作用は、次のようになる。圧縮機10で圧縮された冷媒Rの蒸気は、熱媒体通過器125に流入し、熱媒体通過器125の内部を通過する冷温水CHに熱を与え、自身は凝縮して冷媒Rの液となる。なお、冷媒Rの蒸気から熱を与えられた冷温水CHは、温度が上昇して熱媒体通過器125から流出し、冷水流出管41を流れる。熱媒体通過器125を出た冷媒Rの液は、膨張弁24を通過する際に圧力が低下して、低圧の冷媒Rの液となる。低圧の冷媒Rの液は、熱源流体通過器123に流入し、熱源流体通過器123の内部を通過する冷却水CDによって加熱されて蒸発し、冷媒Rの蒸気となる。熱源流体通過器123を出た冷媒Rの蒸気は、再び圧縮機10に入り、上述のサイクルを繰り返す。
【0055】
スクリュー熱源機2における暖房時の制御は、以下の点において冷房時と相違する。まず、スライド弁13の制御に関し、冷温水CHの温度が目標温度を上回った場合にアンロード弁18を開とし、下回った場合にロード弁16を開とする。これは、圧縮機10のスライド弁13を増力側に移動させることは、冷房時は冷温水CHの温度を下げることになるが、暖房時は冷温水CHの温度を上げることになるからである。つまり、暖房時において冷温水CHの温度が目標温度を上回った場合にアンロード弁18を開とし、下回った場合にロード弁16を開とすると、冷温水CHの温度を目標温度に戻す方向にスライド弁13を移動させることになる。次に、ロータ11の回転速度の制御に関し、補正量把握部95における圧力比については、凝縮部と蒸発部とが冷房時に対して入れ替わるので、これを入れ替えて圧力比を演算すればよい。つまり、暖房時は、凝縮圧力計33で冷媒Rの蒸発圧力が検出され、蒸発圧力計35で冷媒Rの凝縮圧力が検出されるため、冷房時に圧力比を算出した手法に対して凝縮圧力計33で検出された値と蒸発圧力計35で検出された値とを入れ替えればよい。最適容積比については、冷房運転時と同様に計算すればよい。なお、出力演算部93においては、冷房時と同様の要領で、冷温水CHの出入口の温度差と冷温水CHの流量とから暖房出力が求められる。これらから、暖房時のロータ11の回転速度の制御は、出力演算部93で求められた暖房出力に比例し、補正量把握部95で把握した最適容積比又はこれに相関する物理量に反比例するように補正することができる。
【0056】
上記のスクリュー熱源機2の説明では、圧縮機10がヒートポンプ運転時(典型的には暖房時)の圧縮率まで圧縮できるものになっているとしたが、冷房運転用に設計された圧縮機をそのままヒートポンプ運転時に使用することとしてもよい。この場合、一般にヒートポンプ機の暖房運転時は冷房運転時に比べて凝縮部と蒸発部との圧力比が大きくなるため、スライド弁13の位置を最大位置としても圧縮機10の設計上の圧縮率が運転中の圧力比に対して小さく、圧縮機10の効率は低下する。この点、ヒートポンプ運転時は圧縮機10の効率低下による動力増大分(損失分)も暖房出力として有効に使用されることも相俟って、このような状態で使用されることも多い。この場合、前述のような最適制御によって制御する方法では、スライド弁13の位置及びロータ11の回転速度を適切に制御できない場合があり得る。なぜなら、スライド弁13の位置を最適な位置にしようとしてロータ11の回転速度を制御しているのにもかかわらず、スライド弁13の位置は最大位置よりは移動できないからである。このような場合、制御部91は、最適制御を行うことに代えて以下に示す制御を行うこととする。換言すれば、制御部91は、制御モードを変更する(最適制御をリセットする)こととする。最適制御に代替する制御では、スライド弁13の位置は常に最大位置とし、ロータ11の回転速度を制御することによって冷温水CHの温度を目標温度(所望の温度)に制御することとしている。具体的には、運転中の圧力比が圧縮機10の設計圧縮率よりも大きい場合、制御部91は、制御モードを切り替え、ロード弁16を常時開としてスライド弁13の位置を常時最大位置とし、冷温水CHの温度を目標値とするようにロータ11の回転速度を制御する。このようにすることで、圧力比が圧縮機10の設計圧縮率よりも大きい場合であっても、スライド弁13の位置とロータ11の回転速度とを適切に制御することができる。なお、このように圧力比に基づいて制御モードを切り替えることで、暖房時だけでなく何らかの理由で圧力比が圧縮機10の設計圧縮率を超えた場合にもスライド弁13の位置とロータ11の回転速度とを適切に制御することができる。
【0057】
次に図4を参照して、さらに別の実施の形態に係るスクリュー熱源機3を説明する。図4は、スクリュー熱源機3の概略構成を示す模式的系統図である。スクリュー熱源機3は、スクリュー冷凍機1(図1参照)と同様に熱媒体を冷却する機能を有するほか、熱媒体を加熱するヒートポンプとしても利用可能な装置であり、熱源装置の一形態である。スクリュー熱源機3は、典型的には、冷房時は熱媒体を冷却し、暖房時は熱媒体を加熱することができるように構成されている。スクリュー熱源機3は、スクリュー冷凍機1(図1参照)と比較して、概ね同様の構成であるが、冷水流出管41、冷水流入管42、冷却水流出管51、及び冷却水流入管52まわりの構成が異なっている。なお、スクリュー熱源機3における熱媒体が冷温水CHである点も、スクリュー冷凍機1(図1参照)とは異なっている。スクリュー熱源機3では、冷水流出管41と冷却水流出管51とが切替往管61を介して接続されている。冷水流出管41に対して切替往管61の一端が接続される部分には、蒸発側三方弁64が設けられている。冷却水流出管51に対して切替往管61の他端が接続される部分には、凝縮側三方弁65が設けられている。また、スクリュー熱源機3では、冷水流入管42と冷却水流入管52とが切替還管62を介して接続されている。冷水流入管42に対して切替還管62の一端が接続される部分には、還三方弁66が設けられている。
【0058】
また、スクリュー熱源機3は、冷水流出管41に熱源還管71の一端が接続されていると共に、冷水流入管42に熱源往管72の一端が接続されている。冷水流出管41に対して熱源還管71の一端が接続される部分には、熱源三方弁74が設けられている。熱源還管71の他端及び熱源往管72の他端は、設備側配管を介して熱源設備HSに接続されている。熱源設備HSには、例えば、空気熱交換器(ラジエータ)、ヒーティングタワー、河川水、下水道熱、地中熱等を適用することができる。なお、これらの熱源設備HSは、種類に応じて、間に熱交換器を設けることとしてもよい。また、熱源設備HSとして特に空気熱交換器を用いる場合は、熱源流体を氷点下とする必要があることから、清水ではなく不凍液(ブライン)を使用する場合がある。本実施の形態に係るスクリュー熱源機3では、地中熱等の氷点下に温度が下がらない熱源を使用し、熱源流体HFとして清水を用いるものとして説明する。熱源還管71と熱源設備HSとの間には、熱源流体HFを流動させる熱源流体ポンプ(不図示)が設けられている。熱源流体ポンプ(不図示)は、典型的にはスクリュー熱源機3の外に設けられているが、スクリュー熱源機3の構成要素として、例えば熱源還管71又は冷水流出管41に設けられていてもよい。また、本実施の形態に係るスクリュー熱源機3は、圧縮機10が、内部圧縮率が十分に大きく、スライド弁13を最大位置にした条件で、ヒートポンプ運転時(典型的には暖房時)の圧縮率まで圧縮できるものになっている。蒸発側三方弁64、凝縮側三方弁65、還三方弁66、及び熱源三方弁74は、それぞれ、制御部91と通信線で結ばれており、制御部91からの指令を受けて流路を切り替えることができるように構成されている。スクリュー熱源機3の上記以外の構成は、スクリュー冷凍機1(図1参照)と同様である。
【0059】
上述のように構成されたスクリュー熱源機3では、典型的には冷房時に、冷水流出管41を流れる冷温水CHが、切替往管61及び熱源還管71に流入せずに熱需要設備(不図示)に供給されるように、蒸発側三方弁64及び熱源三方弁74の流路が決定される。また、冷水流入管42を流れる冷温水CHが、切替還管62に流入せずに蒸発器25に流入するように、還三方弁66の流路が決定される。また、冷却水流出管51を流れる冷却水CDが、切替往管61に流入せずに冷却塔(不図示)に導かれるように、凝縮側三方弁65の流路が決定される。このような状態で、スクリュー熱源機3は、典型的には冷房時に、スクリュー冷凍機1(図1参照)と同様の運転及び制御を行う。
【0060】
スクリュー熱源機3は、典型的には暖房時に、蒸発器25から出て冷水流出管41を流れる冷温水CHが熱源還管71を介して熱源設備HSに導かれるように、熱源三方弁74の流路が決定される。また、熱需要設備(不図示)から戻ってきて冷水流入管42に入った冷温水CHが、蒸発器25には導入されずに、切替還管62を介して凝縮器23に流入するように、還三方弁66の流路が決定される。また、凝縮器23を通過して冷却水流出管51を流れる冷温水CHが、冷却塔(不図示)には導入されずに、切替往管61を介して冷水流出管41の末端を通り熱需要設備(不図示)に供給されるように、蒸発側三方弁64及び凝縮側三方弁65の流路が決定される。蒸発側三方弁64、凝縮側三方弁65、及び還三方弁66は、冷温水CHが蒸発器25を通過するのと凝縮器23を通過するのとを切り替える弁であり、第2の切替弁に相当する。なお、蒸発側三方弁64、凝縮側三方弁65、還三方弁66、及び熱源三方弁74の一部又は全部は、三方弁に代えて、二方弁を複数設けることで同様の機能を果たすように構成してもよい。このような状態で、スクリュー熱源機3は、典型的には暖房時に、以下のように作用する。
【0061】
冷水ポンプ(不図示)が作動すると、冷温水CHは、熱需要設備(不図示)と凝縮器23との間を循環する。このとき、冷温水CHは、凝縮器23を起点とすると、冷却水流出管51の一部、切替往管61、冷水流出管41の一部、熱需要設備(不図示)、冷水流入管42の一部、切替還管62、冷却水流入管52の一部、をこの順に流れて再び凝縮器23に戻る。冷温水CHは、凝縮器23を通過する際に、冷媒Rが凝縮する際に放出した凝縮熱によって加熱され、温度が上昇する。温度が上昇した冷温水CHは、熱需要設備(不図示)において熱が利用され、温度が低下した状態で凝縮器23に戻り、凝縮器23で再び加熱されて、熱需要設備(不図示)に供給される。他方、熱源流体ポンプ(不図示)が作動すると、熱源流体HFは、熱源設備HSと蒸発器25との間を循環する。このとき、熱源流体HFは、蒸発器25を起点とすると、冷水流出管41の一部、熱源還管71、熱源設備HS、熱源往管72、冷水流入管42の一部、をこの順に流れて再び蒸発器25に戻る。熱源流体HFは、蒸発器25を通過する際に、冷媒Rが蒸発する際に必要な蒸発潜熱が奪われることによって冷却され、温度が低下する。温度が低下した熱源流体HFは、熱源設備HSにおいて加熱され、温度が上昇した状態で蒸発器25に戻り、蒸発器25で再び冷却されて、熱源設備HSに送られる。なお、冷却水ポンプ(不図示)は、暖房時は作動しない。
【0062】
本実施の形態に係るスクリュー熱源機3における暖房時の制御は、典型的には、以下のように行われる。まず、蒸発器25に出入りする熱源流体HFの流量を検出する。本実施の形態では流量計48を用いることができるが、流量計を備えていない場合は蒸発器25の出入口の熱源流体HFの差圧から流量を求めることができる。このとき、熱源流体がブライン等の、冷房時と異なる流体である場合、あるいは熱源流体HFの温度が冷房運転時の冷温水CHの温度と大きく異なっていて粘性が大きく異なる場合などでは、暖房モードでは冷房モードと異なる比例定数を用いることとなる。この切り替えは、冷房モードと暖房モードとの切り替えに連動するようにすればよい。本実施の形態では、前述のように熱源流体HFは冷温水CHと同じく清水を使用していると共に、温度は冷房時の冷温水CHの温度とほぼ同じであることとし、同じ比例定数を使用できるものとする。熱源流体HFの流量を検出したら、この流量をもとに、蒸発器25の負荷、すなわち回収熱量を演算する。この演算は、蒸発器25への熱源流体HFの出入り温度差に熱源流体HFの流量を乗ずれば求めることができるが、これは、冷房運転時に冷温水CHの出入り温度差に冷温水CHの流量を乗じて求めるのと同じであるので、容易に演算できる。また、ロータ11の回転速度は、冷房運転持の冷凍出力を回収熱量に置き換え、同様に演算すればよい。なぜなら、冷凍機でもヒートポンプ機でも圧縮機10の吸込み容積や最適圧縮率、その場合の最適なロータ11の回転速度の関係などは差異がないからである。ここで、スライド弁13の移動については、凝縮器23出口温度が冷温水CHの目標温度を上回った場合はアンロード弁18を開いて減力側に移動させ、下回った場合にはロード弁16を開いて増力側に移動させることになる。
【0063】
上記のスクリュー熱源機3の説明では、圧縮機10がヒートポンプ運転時(典型的には暖房時)の圧縮率まで圧縮できるものになっているとしたが、冷房運転用に設計された圧縮機をそのままヒートポンプ運転時に使用することとしてもよい。この場合、制御部91は、運転中の圧力比が圧縮機10の設計圧縮率よりも大きいときに、制御モードを変更(最適制御をリセット)すればよい。最適制御に代替する制御では、スライド弁13の位置は常に最大位置とし、ロータ11の回転速度を制御することによって凝縮器23の出口の冷温水CHの温度を目標温度(所望の温度)に制御すればよい。このように圧力比に基づいて制御モードを切り替えることで、暖房時だけでなく何らかの理由で圧力比が圧縮機10の設計圧縮率を超えた場合にもスライド弁13の位置とロータ11の回転速度とを適切に制御することができる。
【0064】
以上の説明では、流出熱媒体温度検出器が、蒸発器25から流出した冷水Cの温度を検出する出口温度計45であるとした。しかしながら、出口温度計45によって蒸発器25の出口の冷水Cの温度を直接検出すること代えて、蒸発器25の出口の冷水Cの温度を間接的に検出(蒸発器25の出口の冷水Cの温度に相関する物理量を検出)することとしてもよい。蒸発器25の出口の冷水Cの温度と相関を有する物理量として、熱需要設備(不図示)の側の冷水Cの往ヘッダ内部の温度や、モジュール設置されたスクリュー冷凍機の集合管出口の冷水Cの温度等が挙げられる。スクリュー熱源機2において熱媒体通過器125から流出した冷温水CHの温度を検出する際、及びスクリュー熱源機3の暖房運転持において凝縮器23から流出した冷温水CHの温度を検出する際も同様である。また、流入熱媒体温度検出器が、蒸発器25に流入する冷水Cの温度を検出する入口温度計46であるとした。しかしながら、入口温度計46によって蒸発器25の入口の冷水Cの温度を直接検出すること代えて、蒸発器25の入口の冷水Cの温度を間接的に検出(蒸発器25の入口の冷水Cの温度に相関する物理量を検出)することとしてもよい。蒸発器25の入口の冷水Cの温度と相関を有する物理量として、熱需要設備(不図示)の側の冷水Cの還ヘッダ内部の温度や、モジュール設置されたスクリュー冷凍機の分配管入口の冷水Cの温度等が挙げられる。スクリュー熱源機2において熱媒体通過器125に流入する冷温水CHの温度を検出する際、及びスクリュー熱源機3の暖房運転持において凝縮器23に流入する冷温水CHの温度を検出する際も同様である。
【0065】
以上の説明では、熱媒体流量検出器として流量計48を備えていることとしたが、熱媒体(冷水C、冷温水CH)を直接計測する流量計48に代えて、差圧から流量を求めるための圧力計を設けることとしてもよい。この場合、冷水流出管41及び冷水流入管42のそれぞれに圧力計を設け、蒸発器25(又は熱媒体通過器125又は凝縮器23)に対する冷水C又は冷温水CHの出入の差圧から流量を求めることとしてもよい。典型的には、制御部91が、各圧力計で検出された圧力値を受信して流量を演算するように構成されているとよい。この場合、各圧力計及び制御部91は熱媒体流量検出器を構成することとなり、各圧力計で検出された圧力値は熱媒体の流量に相関する物理量となる。
【0066】
以上の説明では、熱源装置出力検出器が、スクリュー冷凍機1の出力を検出することとしたが、これに代えてスクリュー冷凍機1の出力に相関する物理量を検出することとしてもよい。スクリュー冷凍機1の出力に相関する物理量として、熱需要設備(不図示)の側の冷水Cの往ヘッダ内部と還ヘッダ内部との温度差や集合管の出入口の温度差(冷水Cの流量が定格値であると仮定した場合の出力)等が挙げられる。スクリュー熱源機2及びスクリュー熱源機3についても同様である。
【0067】
以上の説明では、制御装置90が、制御部91、出力演算部93、及び補正量把握部95を有しているとした。制御部91、出力演算部93及び補正量把握部95は、制御装置90内で渾然一体に構成されていてもよいが、出力演算部93及び/又は補正量把握部95の一部又は全部が制御部91と別体に構成されていてもよい。また、出力演算部93及び/又は補正量把握部95のうち制御部91と別体に構成されたものは、制御装置90の内部又は外部で制御部91に近接して配置されていてもよく、制御部91及び制御装置90から離れて配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 スクリュー冷凍機
2 スクリュー熱源機
3 スクリュー熱源機
10 圧縮機(スクリュー圧縮機)
11 ロータ(スクリューロータ)
12 電動機
13 スライド弁
21 インバータ
23 凝縮器
25 蒸発器
29 四方弁(第1の切替弁)
33 凝縮圧力計(凝縮圧力検出器)
35 蒸発圧力計(蒸発圧力検出器)
45 出口温度計(流出熱媒体温度検出器)
46 入口温度計(流入熱媒体温度検出器)
48 流量計(熱媒体流量検出器)
64 蒸発側三方弁(第2の切替弁)
65 凝縮側三方弁(第2の切替弁)
66 還三方弁(第2の切替弁)
90 制御装置
91 制御部
93 出力演算部(熱源装置出力検出器)
95 補正量把握部
123 熱源流体通過器
125 熱媒体通過器
C 冷水
CH 冷温水
CD 冷却水(熱源流体)
R 冷媒
図1
図2
図3
図4