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特開2023-160440生産管理装置、生産管理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160440
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】生産管理装置、生産管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070825
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】野中 洋一
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA03
3C100AA07
3C100AA16
3C100AA29
3C100AA43
3C100BB03
3C100BB06
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB15
(57)【要約】
【課題】生産計画と生産実績との乖離が生じた場合、より適切な生産計画、工程計画およびリソース制御情報の変更案を生成することができる。
【解決手段】 製品の生産計画情報、製品の生産工程に関する工程計画情報、および、製造設備である生産リソースの動作を規定するリソース制御情報を用いて製品の生産管理を行う生産管理装置であって、第1の前記生産計画情報、第1の前記工程計画情報、および、第1の前記リソース制御情報を用いて前記生産管理を行う中で、製品の生産計画と、生産の進捗を示す生産実績と、の間に乖離が生じた場合、前記第1の工程計画情報および前記第1のリソース制御情報に代えて、当該第1の工程計画情報および当該第1のリソース制御情報とは異なる第2の前記工程計画情報および第2の前記リソース制御情報を用いることを決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の生産計画情報、製品の生産工程に関する工程計画情報、および、製造設備である生産リソースの動作を規定するリソース制御情報を用いて製品の生産管理を行う生産管理装置であって、
第1の前記生産計画情報、第1の前記工程計画情報、および、第1の前記リソース制御情報を用いて前記生産管理を行う中で、製品の生産計画と、生産の進捗を示す生産実績と、の間に乖離が生じた場合、
前記第1の工程計画情報および前記第1のリソース制御情報に代えて、当該第1の工程計画情報および当該第1のリソース制御情報とは異なる第2の前記工程計画情報および第2の前記リソース制御情報を用いることを決定する
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生産管理装置であって、
前記第2の工程計画情報および前記第2のリソース制御情報を用いて、所定の生産KPI(Key Performance Indicator)が最大化されるように、前記生産計画の変更案である第2の生産計画情報を立案する
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の生産管理装置であって、
複数ある前記工程計画情報の中から、前記生産KPIが最大化される前記工程計画情報が前記第2の工程計画情報として選択される
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の生産管理装置であって、
複数ある前記リソース制御情報の中から、前記生産KPIが最大化される前記リソース制御情報が前記第2のリソース制御情報として選択される
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の生産管理装置であって、
前記生産KPIは、
工場レイアウトにおける生産リソースなどの設備の配置変更にかかる設備コスト、生産リソースの運用コスト、生産出来高に対する利益率、作業者の単位時間当たりのコストおよび作業者の残業コストを含む外注コスト、製品の納期遅延に関するペナルティーコストおよび作業遅延に関するペナルティーコストのうち、少なくともいずれか1つを含む製造コスト、または、
所定期間における前記製品の生産数である生産スループットであり、
前記製造コストがより低い値、または、前記生産スループットがより高い値となるように前記第2の生産計画情報が立案される
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項6】
製品の生産計画と、生産の進捗を示す生産実績と、乖離を検知する乖離検知部と、
製品の生産計画情報、製品の生産工程に関する工程計画情報、および、製造設備である生産リソースの動作を規定するリソース制御情報を記憶する記憶部と、
前記乖離が検知されると、前記工程計画情報および前記リソース制御情報の変更案を生成する計画情報生成部と、
前記工程計画情報および前記リソース制御情報の変更案を用いて、所定の生産KPI(Key Performance Indicator)が最大化されるように、前記生産計画情報の変更案を立案する計画連携最適化部と、を備える
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の生産管理装置であって、
前記計画連携最適化部は、
前記工程計画情報および前記リソース制御情報の各々の変更案と、前記生産計画情報と、を用いて、生産シミュレーションを行うことで、所定期間における前記製品の生産数である生産スループットの予測値を算出する
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の生産管理装置であって、
前記計画連携最適化部は、
前記工程計画情報の変更案またはリソース制御情報の変更案から前記生産リソースの正味作業時間および段取り時間を特定し、
当該正味作業時間および段取り時間を考慮した前記生産シミュレーションを行うことで、前記生産スループットの予測値を算出する
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項9】
請求項6に記載の生産管理装置であって、
前記生産計画情報の変更案、前記工程計画情報の変更案および前記リソース制御情報の変更案を用いて、前記生産リソースの制御を行うための制御指示情報を生成し、生産ラインにおける前記生産リソースに当該制御指示情報を出力する出力部をさらに備える
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項10】
請求項6に記載の生産管理装置であって、
前記生産KPIは、工場レイアウトにおける生産リソースなどの設備の配置変更にかかる設備コスト、生産リソースの運用コスト、生産出来高に対する利益率、作業者の単位時間当たりのコストおよび作業者の残業コストを含む外注コスト、製品の納期遅延に関するペナルティーコストおよび作業遅延に関するペナルティーコストのうち、少なくともいずれか1つを含む製造コストに関する評価指標であって、
前記計画連携最適化部は、前記生産計画情報と、前記工程計画情報および前記リソース制御情報の変更案と、を用いて生産シミュレーションを行うことで、当該製造コストに関する前記生産KPIを算出する
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項11】
製品の生産計画情報、製品の生産工程に関する工程計画情報、および、製造設備である生産リソースの動作を規定するリソース制御情報を用いて生産管理装置により行われる製品の生産管理方法であって、
前記生産管理装置は、
第1の前記生産計画情報、第1の前記工程計画情報、および、第1の前記リソース制御情報を用いて前記生産管理を行う中で、製品の生産計画と、生産の進捗を示す生産実績と、の間に乖離が生じた場合、
前記第1の工程計画情報および前記第1のリソース制御情報に代えて、当該第1の工程計画情報および当該第1のリソース制御情報とは異なる第2の前記工程計画情報および第2の前記リソース制御情報を用いることを決定するステップを行う
ことを特徴とする生産管理方法。
【請求項12】
生産管理装置による生産管理方法であって、
前記生産管理装置は、
製品の生産計画と、生産の進捗を示す生産実績と、乖離を検知する乖離検知ステップと、
製品の生産計画情報、製品の生産工程に関する工程計画情報、および、製造設備である生産リソースの動作を規定するリソース制御情報を記憶する記憶ステップと、
前記乖離が検知されると、前記工程計画情報および前記リソース制御情報の変更案を生成する計画情報生成ステップと、
前記工程計画情報および前記リソース制御情報の変更案を用いて、所定の生産KPI(Key Performance Indicator)が最大化されるように、前記生産計画情報の変更案を立案する計画連携最適化ステップと、を行う
ことを特徴とする生産管理方法。
【請求項13】
コンピュータを、生産管理装置として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
製品の生産計画情報、製品の生産工程に関する工程計画情報、および、製造設備である生産リソースの動作を規定するリソース制御情報を用いて製品の生産管理を実行させ、
第1の前記生産計画情報、第1の前記工程計画情報、および、第1の前記リソース制御情報を用いて前記生産管理を行う中で、製品の生産計画と、生産の進捗を示す生産実績と、の間に乖離が生じた場合、
前記第1の工程計画情報および前記第1のリソース制御情報に代えて、当該第1の工程計画情報および当該第1のリソース制御情報とは異なる第2の前記工程計画情報および第2の前記リソース制御情報を用いて生産管理を行わせる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項14】
コンピュータを、生産管理装置として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
製品の生産計画と、生産の進捗を示す生産実績と、乖離を検知する乖離検知部と、
製品の生産計画情報、製品の生産工程に関する工程計画情報、および、製造設備である生産リソースの動作を規定するリソース制御情報を記憶する記憶部と、
前記乖離が検知されると、前記工程計画情報および前記リソース制御情報の変更案を生成する計画情報生成部と、
前記工程計画情報および前記リソース制御情報の変更案を用いて、所定の生産KPI(Key Performance Indicator)が最大化されるように、前記生産計画情報の変更案を立案する計画連携最適化部と、して機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産管理装置、生産管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の生産管理では、生産計画と生産実績との間に乖離が生じた場合、生産実績に追従するように生産計画を変更することで、乖離幅が縮小するような対応が行われている。
【0003】
一方で、近年のマスカスタマイゼーションやパーソナライズ生産の進展により、多品種少量生産の受注が増加傾向にある。このような傾向を考慮して生産計画と生産実績との乖離という問題に対処するためには、品種に対する生産リソース(生産設備)の割り付けについても見直す必要がある。
【0004】
また、労働者の多様化や汎用ロボットの導入により、作業の遅延や設備不具合も増加している。このような傾向を考慮して生産計画と生産実績との乖離という問題に対処するためには、生産リソースの動作制御に関する情報についても見直す必要がある。
【0005】
このように、生産計画と生産実績との乖離という問題に対して生産計画のみを変更するという対処だけでは、目標の生産効率を達成することが難しくなっている。
【0006】
なお、特許文献1には、適切な工程計画を得るための作業計画の編集支援方法に関する技術が開示されている。具体的には、同文献には、人に割り当てられている作業をロボットアームに変更する場合、変更後におけるロボットの作業時間が人の作業時間よりも長い場合に警告が出力されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-148958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の通り、特許文献1の技術では、適切な工程計画を得るために、作業の割付先を変更することで作業計画の見直しを行っている。しかしながら、この技術では、作業計画の変更によって製品の生産量がどのように変化するか、といった製品製造全体に与える影響については考慮されていない。
【0009】
通常、製品は、生産時期や生産量に関する生産計画、生産ラインで使用される設備種類とそれらの台数とによって示される設備構成や生産ラインにおける生産リソースの割り当てや作業内容に関する工程計画、および、各生産リソースの動作制御に関するリソース制御情報が相互に関わり合いながら連動(連携)して全体の生産量(あるいは生産効率)が決定される。すなわち、作業計画を見直すだけでは全体の生産量に与える影響を適切に判断することができない。そのため、生産計画と生産実績との乖離が生じた場合に特許文献1の技術を適用しても、目標の生産効率を達成することは難しい、という課題がある。
【0010】
また、前述の通り、生産計画のみの変更によって対応する従来の生産管理では、生産計画と生産実績との乖離が生じた場合、目標の生産効率を達成することができない、という課題がある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、生産計画と生産実績との乖離が生じた場合、より適切な生産計画、工程計画およびリソース制御情報の変更案を生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。上記の課題を解決する本発明の一態様に係る生産管理装置は、製品の生産計画情報、製品の生産工程に関する工程計画情報、および、製造設備である生産リソースの動作を規定するリソース制御情報を用いて製品の生産管理を行う生産管理装置であって、第1の前記生産計画情報、第1の前記工程計画情報、および、第1の前記リソース制御情報を用いて前記生産管理を行う中で、製品の生産計画と、生産の進捗を示す生産実績と、の間に乖離が生じた場合、前記第1の工程計画情報および前記第1のリソース制御情報に代えて、当該第1の工程計画情報および当該第1のリソース制御情報とは異なる第2の前記工程計画情報および第2の前記リソース制御情報を用いることを決定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、生産計画と生産実績との乖離が生じた場合、より適切な生産計画、工程計画およびリソース制御情報の変更案を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る生産管理装置の概略構成の一例を示した図である。
図2】生産実績情報の一例を示した図である。
図3】生産計画情報の一例を示した図である。
図4】工程計画情報の一例を示した図である。
図5】リソース制御情報の一例を示した図である。
図6】生産物量情報の一例を示した図である。
図7】部品形状情報の一例を示した図である。
図8】生産管理処理の一例を示したフロー図である。
図9】生産管理装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る生産管理装置100の概略構成の一例を示した図である。生産管理装置100は、生産計画と、生産計画に対する進捗を示す生産実績と、の間に乖離が発生した場合、工程計画情報およびこれに対応するリソース制御情報の変更案を生成し、製造コストや生産スループットなど所定の生産KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)が最適化されるように、工程計画等の変更案と連携して生産計画の変更案を立案する装置である。
【0017】
このような生産管理装置100は、図1に示すように、処理部110と、記憶部120と、入力部130と、出力部140と、通信部150と、を有している。
【0018】
処理部110は、生産管理装置100で実行される様々な処理を行う機能部である。具体的には、処理部110は、実績乖離検知部111と、計画変更要否判定部112と、計画情報生成部113と、リソース制御情報生成部114と、計画連携最適化部115と、を有している。
【0019】
実績乖離検知部111は、生産計画と生産実績との乖離を検知する機能部である。具体的には、実績乖離検知部111は、日数遅れの乖離または生産量の乖離を検知する。
【0020】
より具体的には、実績乖離検知部111は、生産計画情報122および生産実績情報121を用いて、同一の対象製品における計画値(例えば、生産計画情報122から特定される工程の終了時間)と、実績値(生産実績情報121から特定される工程の終了時間)との差分を特定する。また、実績乖離検知部111は、特定した差分が所定の閾値以上(例えば、1日以上)の場合、生産計画と生産実績との乖離(日数遅れの乖離)を検知したと判定する。
【0021】
また、実績乖離検知部111は、生産計画情報122、生産実績情報121および生産物量情報125を用いて、同一の対象製品における計画値(例えば、生産計画情報122および生産物量情報125から特定される予定生産数)と、実績値(生産実績情報121から特定される実績予測生産数)との差分の割合を特定する。また、実績乖離検知部111は、特定した差分の割合が所定の閾値未満の場合、生産計画と生産実績との乖離(生産量の乖離)を検知したと判定する。
【0022】
計画変更要否判定部112は、生産計画と生産実績との乖離の大きさに基づき、工程計画および生産計画を連携した変更が必要か否かを判定する機能部である。具体的には、計画変更要否判定部112は、乖離の大きさが所定の閾値以上の場合、工程計画および生産計画の連携した変更が必要と判定する。
【0023】
計画情報生成部113は、各種の計画情報を生成する機能部である。具体的には、計画情報生成部113は、生産計画情報122と、工程計画情報123と、それらの変更案と、を生成する。
【0024】
リソース制御情報生成部114は、リソース制御情報124を生成する機能部である。具体的には、リソース制御情報生成部114は、生産リソースの動作を規定するリソース制御情報124およびその変更案を生成する。
【0025】
計画連携最適化部115は、複数の計画を連携して最適化する機能部である。具体的には、計画連携最適化部115は、工程計画情報123およびリソース制御情報124の変更案を用いて生産計画の変更案を連携して立案する。
【0026】
次に、記憶部120について説明する。記憶部120は、処理部110により実行される様々な処理に用いられる各種の情報を記憶する機能部である。具体的には、記憶部120は、生産実績情報121と、生産計画情報122と、工程計画情報123と、リソース制御情報124と、生産物量情報125と、部品形状情報126と、コスト情報127と、を有している。
【0027】
図2は、生産実績情報121の一例を示した図である。生産実績情報121には、生産計画に対応する実績(進捗結果)を示す情報が登録されている。具体的には、生産実績情報121の製品ID121aは、製品を識別するための情報である。部品ID121bは、部品を識別するための情報である。工程ID121cは、工程を識別するための情報である。生産リソースID121dは、生産リソースを識別するための情報である。日時121eは、対応付けられている製品ID121aにより識別される製品の生産において、例えば対応する部品ID121bの部品を組み付け等する所定工程が実施された日時を示す情報である。着手時間121fは、対応付けられている工程ID121cにより識別される工程が着手された時間を示す情報である。終了時間121gは、当該工程が終了した時間を示す情報である。
【0028】
図3は、生産計画情報122の一例を示した図である。生産計画情報122には、例えば製品製造の各工程を行う日時、着手時間および終了時間といった生産タイミングを示す情報が登録されている。具体的には、生産計画情報122の製品ID122aは、製造対象の製品を識別するための情報である。部品ID122bは、製品を構成する部品を識別するための情報である。工程ID122cは、工程を識別するための情報である。生産リソースID122dは、生産リソースを識別するための情報である。日時122eは、対応付けられている製品ID122aにより識別される製品の製造において、例えば対応する部品ID122bの部品を組み付け等する所定工程の実施日時を示す情報である。着手時間122fは、対応付けられている工程ID122cにより識別される工程の着手予定の時間を示す情報である。終了時間122gは、当該工程の終了予定の時間を示す情報である。
【0029】
なお、生産計画情報122の各項目は、生産実績情報121の各項目に対応しており、生産計画情報122の製品ID122aおよび部品ID122bで特定される対象について工程ID122cで特定される工程が終了すると、当該対象に関する情報が生産実績として生産実績情報121に登録される。
【0030】
図4は、工程計画情報123の一例を示した図である。工程計画情報123には、製品の製造工程に関する情報が登録されている。具体的には、工程計画情報123の製品ID123aは、製造対象の製品を識別するための情報である。部品ID123bは、製品を構成する部品を識別するための情報である。工程ID123cは、各工程を識別するための情報である。生産リソースID123dは、各工程で使用される生産リソースを識別するための情報である。
【0031】
図5は、リソース制御情報124の一例を示した図である。リソース制御情報124には、生産リソースの動作を規定するための制御情報が登録されている。具体的には、リソース制御情報124の各レコードには、工程ID124cで識別される工程作業を生産リソースID124dによって識別される生産リソース(例えば、製造ロボットなどの設備)が行う際の作業軌跡(例えば、アームの可動軌跡)やその最大作業速度といった情報が登録されている。より具体的には、製品ID124aおよび部品ID124bは、工程ID124cで識別される工程作業の対象となる製品および部品を識別する情報である。工程ID124cは、工程の作業を識別するための情報である。生産リソースID124dは、工程作業を行う生産リソースを識別するための情報である。作業軌跡124eは、生産リソースの動作軌跡を示す情報であって、所定の座標系における座標値を示す情報が登録されている。最大作業速度124fは、生産リソースの最大の作業速度を示す情報である。
【0032】
図6は、生産物量情報125の一例を示した図である。生産物量情報125は、生産計画に従って製造される製品の期間別における予定生産数を示す情報である。具体的には、生産物量情報125の製品ID125aは、製品を識別するための情報である。また、月別生産物量125bは、所定の対象期間における対象製品の予定生産数を示す情報である。
【0033】
図7は、部品形状情報126の一例を示した図である。部品形状情報126は、製品を構成する構成部品の形状に関する情報である。具体的には、部品形状情報126の部品ID126aは、部品を識別するための情報である。部品名126bは、部品の名称を示す情報である。形状特性126cは、例えば円筒や矩形あるいは円柱などの部品の形状的特徴を示す情報である。幅126d、長さ126e、径126fおよび重量126gは各々、部品の幅、長さ、径および重量を示す情報である。
【0034】
コスト情報127は、各種のコストが登録されている情報である。また、コスト情報127には、例えば生産計画や工程計画の変更に伴って発生するコストについても登録されている。具体的には、コスト情報127には、例えば工場レイアウトにおける生産リソースなどの設備の配置変更にかかる設備コスト、生産リソースの運用コスト、生産出来高に対する利益率、作業者の単位時間当たりのコストおよび作業者の残業コストを含む外注コスト、製品の納期遅延に関するペナルティーコスト、作業遅延に関するペナルティーコストなどが含まれる。
【0035】
図1に戻って説明する。入力部130は、生産管理装置100が備える入力装置を介して、生産管理装置100の使用者(オペレータ)からの指示や情報の入力を受け付ける機能部である。また、入力部130は、通信部150を介して外部装置200からの指示や情報の入力を受け付ける。
【0036】
出力部140は、出力情報(表示情報を含む)を生成し、生産管理装置100あるいは外部装置200が備える出力装置320(ディスプレイを含む)に表示情報を表示する機能部である。また、出力部140は、生産リソースの動作制御を行うための制御指示情報を生成し、通信部150を介して、生産ラインにおける各生産リソースに出力(送信)する。
【0037】
通信部150は、外部装置200との間で情報通信を行う機能部である。具体的には、通信部150は、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワーク(通信回線網)Nを介して、外部装置200との間で各種の情報を送受信する。
【0038】
以上、生産管理装置100の概略構成(機能ブロック)の一例について説明した。
【0039】
[動作の説明]
次に、生産管理装置100で実行される生産管理処理について説明する。
【0040】
図8は、生産管理処理の一例を示したフロー図である。生産管理処理は、生産計画と、生産計画に対する進捗を示す生産実績と、の間に乖離が発生した場合、工程計画情報123およびこれに対応するリソース制御情報124の各々の変更案を生成し、製造コストや生産スループットなど所定のKPIが最適化されるように、工程計画等の変更案と連携して生産計画の変更案を立案する処理である。
【0041】
なお、生産管理処理は、例えば生産管理装置100の使用者(オペレータ)からの実行指示を受け付けた場合や、一定の周期(例えば、1日1回あるいは1週間に1回など)で実行される。
【0042】
処理が開始されると、実績乖離検知部111は、生産計画と生産実績との乖離を検知したか否かを判定する(ステップS010)。具体的には、実績乖離検知部111は、生産実績情報121と、生産計画情報122と、を記憶部120から取得し、同一対象における生産実績情報121の実績値と、生産計画情報122の計画値とを比較する。
【0043】
より具体的には、実績乖離検知部111は、本ステップの処理が未実施である生産実績情報121のレコードを特定する。また、実績乖離検知部111は、特定した各レコードの製品ID121a、部品ID121b、工程ID121cおよび生産リソースID121dを特定する。また、実績乖離検知部111は、特定したこれらのIDと同一のIDが登録されている生産計画情報122のレコードを特定する。
【0044】
また、実績乖離検知部111は、特定した生産実績情報121および生産計画情報122のレコードにおける終了時間同士を比較する。そして、生産実績情報121の終了時間が生産計画の終了時間から所定の閾値以上(例えば、1日以上)遅れているレコードがある場合、実績乖離検知部111は、生産計画と生産実績との乖離(日数遅れの乖離)を検知したと判定する。
【0045】
あるいは、実績乖離検知部111は、生産実績情報121と、生産計画情報122と、生産物量情報125と、を用いて、生産計画に基づく予定生産数と、生産実績に基づく実績予測生産数と、の乖離(生産量の乖離)を検知しても良い。
【0046】
具体的には、実績乖離検知部111は、生産実績情報121と、生産計画情報122と、生産物量情報125と、を記憶部120から取得する。また、実績乖離検知部111は、本ステップの処理が未実施である生産実績情報121のレコードを特定する。また、実績乖離検知部111は、特定した各レコードの製品ID121aが登録されている生産物量情報125の該当する月の生産物量を生産計画に基づく予定生産数として特定する。
【0047】
また、実績乖離検知部111は、生産実績情報121における特定した各レコードの終了時間121gに基づき生産計画からの遅れ度を算出する。また、実績乖離検知部111は、当該遅れ度に基づき、該当する月の生産物量予測値として、対応する製品ID121aの製品について生産実績に基づく実績予測生産数を算出する。そして、予定生産数に対する実績予測生産数の割合が所定の閾値未満(例えば、90%未満)の場合、実績乖離検知部111は、当該製品ID121aの製品について生産計画と生産実績との乖離(生産量の乖離)を検知したと判定する。
【0048】
実績乖離検知部111は、いずれかの方法による判定を行い、生産計画と生産実績との乖離を検知していないと判定した場合(ステップS010でNo)、再度、ステップS010の処理を行う。一方で、当該乖離を検知したと判定した場合(ステップS010でYes)、実績乖離検知部111は、処理をステップS020に移行する。
【0049】
ステップS020では、計画変更要否判定部112は、乖離の大きさに基づき、工程計画および生産計画を連携した変更が必要か否かを判定する。具体的には、計画変更要否判定部112は、乖離の大きさが所定の閾値以上の場合、工程計画および生産計画の連携した変更が必要と判定する。なお、閾値の一例としては、日数遅れの乖離の場合は3日以上の遅れ、生産量の乖離の場合は、予定生産数に対する実績予測生産数の割合が70%未満などである。
【0050】
そして、工程計画および生産計画の連携した変更が必要ではないと判定した場合(ステップS020でNo)、計画変更要否判定部112は、処理をステップS060に移行する。なお、ステップS060では、計画情報生成部113により生産計画情報122の変更案が生成される。生産計画と生産実績との乖離が小さいため、生産計画情報122のみを変更することで対応可能なためである。なお、計画情報生成部113は、生産計画情報122と、生産実績情報121と、その他記憶部120内の各種情報と、を用いて、公知技術により生産計画情報122の変更案を生成する。
【0051】
また、計画情報生成部113は、生産計画情報122を変更案に変更し(ステップS070)、処理をステップS010に戻す。
【0052】
一方で、工程計画および生産計画の連携した変更が必要であると判定した場合(ステップS020でYes)、計画変更要否判定部112は、処理をステップS030に移行する。
【0053】
ステップS030では、計画情報生成部113およびリソース制御情報生成部114は、工程計画情報123およびそれらの各々に対応するリソース制御情報124の複数の変更案を生成する。具体的には、計画情報生成部113は、生産ラインで使用される設備種類とそれらの台数とによって示される設備構成や生産ラインにおける生産リソースの割り当てや作業内容に関する工程計画情報123の変更案と、各々の工程計画情報123の変更案に対応し、各生産リソースの動作を規定するためのリソース制御情報124の変更案と、を生成する。なお、工程計画情報123(変更案を含む)およびリソース制御情報124(変更案を含む)の生成方法は特に限定されないが、以下にその一例を示す。
【0054】
まず、計画情報生成部113は、工程に対応する構成部品およびこれに類似する部品の部品ID126aを部品形状情報126から特定し、これらの部品ID126aが対応付けられている生産リソースを生産実績情報121から特定する。
【0055】
また、計画情報生成部113は、特定した複数の生産リソースを当該工程の生産リソースの候補とし、所定数(例えば、10個)の生産リソース候補であって、かつ、工程の作業時間がより小さくなる生産リソース候補を各工程に割り付ける。
【0056】
また、計画情報生成部113は、対象となる全製品の全構成部品について同様の処理を行うことで、製品ごとに、各構成部品に対応する各工程に対して所定数の生産リソース候補を割り付けた複数通りの工程計画情報123を生成する。なお、このような工程計画情報123の生成方法は、例えば特願2020-144537号に記載の技術が用いられれば良い。
【0057】
また、工程計画の生成方法に係る他の一例としては、例えば特願2020-030479号に記載の技術が用いられても良い。具体的には、計画情報生成部113は、算出された所定数の設備(モジュールグループ)を対応する工程に割り付けた工程および設備の組を複数通り生成する。また、計画情報生成部113は、当該設備(モジュールグループ)の工場レイアウトにおけるセル内での配置や動作ルール等に基づく作業時間を見積もる。また、計画情報生成部113は、セル内での作業時間がより小さくなる所定数の工程および設備の組を特定し、対象となる全製品における全構成部品の作業順序を考慮した複数の工程計画情報123を生成する。なお、工程に対して設備を割り付けると、これに伴い各工程における必要な設備台数が決定される。そのため、生成される工程計画情報123には、生産ラインで使用される設備種類とその台数とにより示される生産ラインの設備構成が含まれる。
【0058】
なお、このような方法によって工程計画情報123を生成する場合、必要情報(例えば、部品属性情報、モジュールグループ仕様情報、モジュール仕様情報、モジュール動作パターン情報およびレイアウト情報など)は予め記憶部120に格納されていれば良く、あるいは、通信部150を介して外部装置200から取得されても良い。
【0059】
また、リソース制御情報生成部114は、生成された工程計画情報123の各変更案に対応し、当該変更案に係る工程計画を生産リソースに実行させるためのリソース制御情報124の変更案を生成する。なお、リソース制御情報124の生成方法は特に限定されないが、例えばRRT(Rapidly-exploring Random Tree)アルゴリズムなど公知のロボット軌道生成手法が用いられれば良い。
【0060】
なお、工程計画情報123およびそれらに対応するリソース制御情報124の複数の変更案は、予め記憶部120に格納されていても良い。
【0061】
次に、計画連携最適化部115は、所定の生産KPIを目的関数とし、工程計画情報123およびリソース制御情報124の複数の変更案と、生産計画情報122と、を連携して同時最適化することで生産計画の変更案を立案する(ステップS040)。
【0062】
具体的には、計画連携最適化部115は、製造コストや生産スループットといった所定の生産KPIが最大化(最適化)されるように、工程計画情報123およびリソース制御情報124の複数の変更案と、生産計画情報122との組み合わせに関する最適化問題を解くことで、工程計画情報123およびリソース制御情報124の変更案と連携して生産計画情報122の変更案を立案する。
【0063】
なお、最適化の手法としては、例えばMIP(Mixed Integer Programming) SolverあるいはGA(Genetic Algorithm)等のメタヒューリスティック法などの公知技術が用いられれば良い。
【0064】
具体的には、計画連携最適化部115は、工程計画情報123およびこれに対応するリソース制御情報124の各々の変更案の1つと、記憶部120内の各種情報と、を用いて、生産計画情報122における生産のタイミング(例えば、日時、着手時間および終了時間)を変更しながら生産シミュレーションを行うことで、各タイミングにおける所定の生産KPIを算出する。また、計画連携最適化部115は、異なる工程計画情報123およびリソース制御情報124の変更案を記憶部120から取得し、当該変更案と生産計画情報122と、を用いて同様の生産シミュレーションを行うことで所定の生産KPIを算出する。また、計画連携最適化部115は、このようにして全ての工程計画情報123およびリソース制御情報124の変更案について、生産計画情報122を用いた生産シミュレーションを繰り返し行う。これにより、計画連携最適化部115は、所定の生産KPIが最大化される生産計画情報122の変更案を立案することができる。また、このような処理により、立案された生産計画情報122の変更案に対応する1組の工程計画情報123およびリソース制御情報124の変更案が決定される。
【0065】
なお、生産KPIは、製造コストや生産スループットに限定されるものではなく、ユーザの重視する観点に基づいて適宜設定されれば良い。そのため、生産KPIには、製造コストや生産スループット以外にも、例えば製品の歩留まり率やその他の生産KPIが対象であっても良い。
【0066】
ここで、各生産KPIとその算出に用いられる情報種類について説明する。製造コストは、生産計画や工程計画の変更に伴って発生するコストである。具体的には、製造コストには、工場レイアウトにおける生産リソースなどの設備の配置変更にかかる設備コスト、生産リソースの運用コスト、生産出来高に対する利益率、作業者の単位時間当たりのコストおよび作業者の残業コストを含む外注コスト、製品の納期遅延に関するペナルティーコストおよび作業遅延に関するペナルティーコストのうち、少なくともいずれか1つが含まれる。なお、このような製造コストの具体値は、生産計画情報122、工程計画情報123およびリソース制御情報124の変更案と、コスト情報127を用いた生産シミュレーションを行うことで算出することができる。
【0067】
また、生産スループットは、所定期間(例えば、1ヶ月)における所定時間ごと(例
えば、毎分)の製品生産数の平均である。このような生産スループットは、生産計画情報122と、工程計画情報123およびリソース制御情報124の変更案と、生産物量情報125と、を用いた生産シミュレーションを行うことで算出される予測値に基づき特定することができる。
【0068】
なお、計画連携最適化部115は、工程計画情報123および対応するリソース制御情報124を用いて、生産リソースによる正味の作業時間と、生産リソースが作業するための段取り時間と、を特定し、これらの正味作業時間および段取り時間を考慮して生産スループットを算出しても良い。例えば、生産リソースの各工程IDに対応付けて正味の作業時間が工程計画情報123(工程計画情報123の変更案を含む)またはリソース制御情報124(リソース制御情報124の変更案を含む)に登録されている場合、計画連携最適化部115は、これらの情報から生産リソースの正味の作業時間を特定する。また、計画連携最適化部115は、例えば各工程間における時間間隔を段取り時間として算出し、特定した正味作業時間および段取り時間を用いて生産シミュレーションを実行することで生産スループットを算出する。このような正味作業時間および段取り時間を考慮した生産シミュレーションを行うことにより、より精度の高い生産スループットの予測値が算出されることになる。
【0069】
また、製品の歩留まり率とは、所定期間(例えば、1ヶ月間)における目標生産数に対して実際に生産が行われた生産数の割合である。このような製品の歩留まり率は、例えば生産計画情報122と、工程計画情報123およびリソース制御情報124の変更案と、生産物量情報125と、を用いた生産シミュレーションを行うことで算出することができる。
【0070】
なお、製造コストの最大化(最適化)とは、製造コストがより低い値の場合である。また、生産スループットの最大化(最適化)とは、生産スループットがより高い値の場合である。また、製品の歩留まり率の最大化(最適化)とは、歩留まり率がより高い値の場合である。
【0071】
また、ステップS040の処理は、少なくとも1つの生産KPIが最大化されるように工程計画情報123およびリソース制御情報124の変更案と連携して生産計画情報122の変更案が立案されても良く、任意の複数の生産KPIが最大化するように当該処理が行われても良い。
【0072】
以上のように、生産KPIが最大化される生産計画情報122、工程計画情報123およびリソース制御情報124の変更案を採用し、これらの変更案に基づき生産管理を行うことで、生産スループットや製造コストが最大化されると共に、生産計画と生産実績との乖離は縮小されることになる。例えば、生産スループットが最大化される変更案は、生産効率を向上させる生産計画や工程計画に相当する。そのため、このような変更案に基づく生産管理が行われれば、日数遅れや生産量の乖離幅は縮小されることになり、目標の生産効率は達成されることになる。
【0073】
また、例えば製造コストには、生産出来高に対する利益率、作業者の単位時間当たりのコストおよび作業者の残業コストを含む外注コスト、製品の納期遅延に関するペナルティーコストおよび作業遅延に関するペナルティーコストが含まれる。これらのコストは生産計画の遅れにより増加するものであるため、製造コストを最大化(製造コストがより低い値)する変更案は、当初の生産計画からの遅れが少ない生産計画および工程計画に相当する。そのため、このような変更案に基づく生産管理が行われれば、日数遅れや生産量の乖離幅は縮小されることになり、目標の生産効率は達成されることになる。
【0074】
次に、計画連携最適化部115は、立案された生産計画情報122の変更案と、対応する工程計画情報123およびリソース制御情報124の変更案と、により、生産計画情報122、工程計画情報123およびリソース制御情報124を更新する(ステップS050)。これにより、生産計画および生産実績の乖離に対して生産KPIが最適化された状態における生産計画情報122、工程計画情報123およびリソース制御情報124に従って生産管理が行われる。
【0075】
具体的には、生産管理装置100の所定の機能部(例えば、出力部140)は、更新された生産計画情報122に従って、更新された工程計画情報123およびリソース制御情報124に基づき生産リソースの制御を行うための制御指示情報を生成し、通信部150を介して生産ラインにおける各生産リソースに向けて当該制御指示情報を出力(送信)する。このように、生産管理装置100は、変更された生産計画情報122、工程計画情報123およびリソース制御情報124に基づき、生産リソースによる各工程の動作制御を行う。
【0076】
また、計画連携最適化部115は、ステップS050の処理を行うと、処理をステップS010に戻す。
【0077】
以上、生産管理処理の一例について説明した。
【0078】
このような生産管理装置によれば、生産計画と生産実績との乖離が生じた場合、より適切な生産計画、工程計画情報およびリソース制御情報の変更案を生成することができる。
【0079】
特に、生産管理装置は、工程計画情報およびリソース制御情報の変更案と連携して、所定観点における生産KPIが最大化されるように生産計画情報の変更案を立案する。そのため、例えば製造コストや生産スループットといった生産KPIを最適化しつつ、それに応じて生産計画と生産実績との乖離幅が縮小される適切な生産計画情報、工程計画情報およびリソース制御情報を生成することができる。その結果、生産管理装置によれば、生産計画と生産実績との乖離を縮小させ、目標の生産効率を達成することが可能となる。
【0080】
図9は、生産管理装置100のハードウェア構成の一例を示した図である。図示するように、生産管理装置100は、入力装置310と、出力装置320と、処理装置330と、主記憶装置340と、補助記憶装置350と、通信装置360と、これらを電気的に相互接続するバス370と、を有している。
【0081】
入力装置310は、例えばタッチパネルやキーボードあるいはマウスなどの入力デバイスである。出力装置320は、液晶ディスプレイや有機ディスプレイなどの表示デバイスである。
【0082】
処理装置330は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。主記憶装置340は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリ装置である。
【0083】
補助記憶装置350は、デジタル情報を記憶可能ないわゆるハードディスク(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)あるいはフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置である。
【0084】
通信装置360は、ネットワークケーブルを介して有線通信を行う有線の通信装置、またはアンテナを介して無線通信を行う無線通信装置である。
【0085】
以上、生産管理装置100のハードウェア構成の一例について説明した。
【0086】
このような生産管理装置100の処理部110は、処理装置330に処理を行わせるプログラムによって実現される。このプログラムは、主記憶装置340あるいは補助記憶装置350に記憶され、プログラムの実行にあたって主記憶装置340上にロードされ、処理装置330により実行される。
【0087】
また、入力部130は、入力装置310により実現される。また、出力部140は、出力装置320により実現される。また、記憶部120は、主記憶装置340または補助記憶装置350あるいはこれらの組合せにより実現される。また、通信部150は、通信装置360により実現される。
【0088】
また、生産管理装置100の上記の各構成、機能、処理部および処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、上記構成、機能は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD等の記憶装置またはICカード、SDカードおよびDVD等の記録媒体に置くことができる。
【0089】
また、本発明は上記した実施形態および変形例に限定されるものではなく、同一の技術的思想の範囲内において様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【0090】
また、上記説明では、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えて良い。
【符号の説明】
【0091】
100・・・生産管理装置、110・・・処理部、111・・・実績乖離検知部、112・・・計画変更要否判定部、113・・・計画情報生成部、114・・・リソース制御情報生成部、115・・・計画連携最適化部、120・・・記憶部、121・・・生産実績情報、122・・・生産計画情報、123・・・工程計画情報、124・・・リソース制御情報、125・・・生産物量情報、126・・・部品形状情報、127・・・コスト情報、130・・・入力部、140・・・出力部、150・・・通信部、200・・・外部装置、310・・・入力装置、320・・・出力装置、330・・・処理装置、340・・・主記憶装置、350・・・補助記憶装置、360・・・通信装置、370・・・バス、N・・・ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9