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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160445
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】発光装置及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20231026BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
H01L33/62
H05K1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070834
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田渕 健司
(72)【発明者】
【氏名】神原 大蔵
(72)【発明者】
【氏名】重枝 裕司
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 大輔
【テーマコード(参考)】
5E338
5F142
【Fターム(参考)】
5E338AA02
5E338AA16
5E338BB12
5E338BB46
5E338BB75
5E338CD33
5E338EE33
5F142AA58
5F142BA32
5F142CA02
5F142CB14
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD32
5F142CD46
5F142CD49
5F142CG03
5F142DB24
5F142FA03
5F142FA48
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造時の不具合を抑制しつつ、発光装置の実装性を向上させることが可能な発光装置及び発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】略矩形の上面形状を有し、一方の側面に形成された第1の切欠き13A-Cと、他方の側面に形成された第2の切欠き15A-Cを有する絶縁性の基板10と、第1の切欠きの内側面から、基板の上面及び基板の下面の第1の切欠きの縁の領域を覆う第1の配線電極23A-Cと、第1の配線電極と離間しており、第2の切欠きの内側面から、基板の上面及び基板の下面の第2の切欠きの縁の領域を覆う第2の配線電極25A-Cと、基板の上面に垂直な方向から見た上面視において、第1の配線電極の表面を覆っている第1の樹脂膜31と、上面視において、第2の配線電極の表面を覆っている第2の樹脂膜32と、第1の配線電極及び第2の配線電極によって給電可能に基板上に配された発光素子41、43、45と、を有する発光装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形の上面形状を有しかつ対向する一組の側面のうちの一方の側面に形成された1又は複数の第1の切欠きを有しかつ前記一組の側面のうちの他方の側面に形成された1又は複数の第2の切欠きを有する絶縁性の基板と、
前記1又は複数の第1の切欠きの各々の内側面から、それぞれ前記基板の上面の前記1又は複数の第1の切欠きの各々の縁に亘って延在する領域及びそれぞれ前記基板の下面の前記1又は複数の第1の切欠きの各々の縁に亘って延在する領域を覆う第1の配線電極と、
前記第1の配線電極の各々と離間しておりかつ、前記1又は複数の第2の切欠きの各々の内側面から、それぞれ前記基板の上面の前記1又は複数の第2の切欠きの各々の縁に亘って延在する領域及びそれぞれ前記基板の下面の前記1又は複数の第2の切欠きの各々の縁に亘って延在する領域を覆う第2の配線電極と、
前記基板の上面に垂直な方向から見た上面視において、前記1又は複数の第1の切欠きに沿った縁に亘って延在する領域の各々の前記第1の配線電極の各々の表面を覆っている第1の樹脂膜と、
前記上面視において、前記1又は複数の第2の切欠きに沿った縁に亘って延在する領域の前記第2の配線電極の各々の表面を覆っている第2の樹脂膜と、
前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極によって給電可能に前記基板上に配された発光素子と、を有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1の樹脂膜は、前記第1の配線電極の各々の前記1又は複数の第1の切欠きの各々の内側面上に形成された部分の表面まで延在し、
前記第2の樹脂膜は、前記第2の配線電極の各々の前記1又は複数の第2の切欠きの各々の内側面上に形成された部分の表面まで延在することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1の樹脂膜及び前記第2の樹脂膜の各々は、前記上面視において、前記1又は複数の第1の切欠き及び前記1又は複数の第2の切欠きをそれぞれ塞ぐように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1の樹脂膜は、前記第1の配線電極の各々の前記1又は複数の第1の切欠きの各々の内側面に形成された部分の上端から、前記第1の配線電極の上端から下端までの厚みの1/3以上1/2以下の距離にある領域までを被覆し、
前記第2の樹脂膜は、前記第2の配線電極の各々の前記1又は複数の第2の切欠きの各々の内側面に形成された部分の上端から、前記第2の配線電極の上端から下端までの厚みの1/3以上1/2以下の距離にある領域までを被覆していることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極の各々は、銅からなり、
前記第1の樹脂膜及び前記第2の樹脂膜は、前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極の銅と接するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極の各々の前記第1の樹脂膜及び前記第2の樹脂膜から露出した表面には、ニッケル及び金が順次積層されていることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記1又は複数の第1の切欠き及び前記第1の配線電極と、前記1又は複数の第2の切欠き及び前記第2の配線電極と、の各々は、前記基板の前記一組の側面に互いに対となるように形成されており、
前記発光素子は、前記対の数に応じて前記基板上に複数個配されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記基板の上面において、前記発光素子を封止しかつ、前記第1の配線電極の各々の表面の前記1又は複数の第1の切欠きに沿った縁に亘って延在する領域の各々及び前記第2の配線電極の各々の表面の前記1又は複数の第2の切欠きに沿った縁に亘って延在する領域の各々を露出するように形成された封止部材を有することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1の樹脂膜は、前記1又は複数の第1の切欠きと前記発光素子との間において、前記基板の前記一組の側面に沿った方向に前記基板の両端部にかけて帯状に延在する帯状部を有し、
前記第2の樹脂膜は、前記1又は複数の第2の切欠きと前記発光素子との間において、前記基板の前記一組の側面に沿った方向に前記基板の両端部にかけて帯状に延在する帯状部を有し、
前記第1の配線電極の各々は、前記第1の樹脂膜の下部において、前記第1の樹脂膜の帯状部に沿って延在する部分を有し、
前記第2の配線電極の各々は、前記第2の樹脂膜の下部において、前記第2の樹脂膜の帯状部に沿って延在する部分を有し、
前記封止部材は、対向する側端部の一方が前記第1の樹脂膜の帯状部上に配され他方が前記第2の樹脂膜の帯状部上にはいされるように形成されていることを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
発光装置の製造方法であって、
絶縁性の基板及び前記基板の上面及び下面に形成された銅箔層を有する基板構造体を用意する工程と、
前記基板構造体の上面において複数の列をなして配列されかつそれぞれが前記基板構造体を上面から下面まで貫通する複数の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記銅箔層の表面及び前記複数の貫通孔の内面にめっきによって銅層を形成する第1のめっき工程と、
前記基板の上面及び下面の前記銅箔層及び前記銅層をそれぞれエッチングして配線パターンを形成する配線パターン形成工程と、
前記配線パターンの前記基板構造体の上面に形成された部分の表面の前記複数の貫通孔の各々の外縁に沿った領域を覆う樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程と、
前記複数の列に沿って伸張するダイシングラインに沿って前記複数の貫通孔の各々を分断するように前記基板構造体を切断して個片化する個片化工程と、を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記樹脂膜形成工程において、
スキージングによって前記基板の上面及び前記複数の貫通孔の内面上に形成された前記配線パターンの内側面の上端に沿った領域に感光性の樹脂を塗布する樹脂膜塗布工程と、
前記樹脂を露光し、前記配線パターンの前記基板構造体の上面に形成された部分の表面の前記複数の貫通孔の外縁に沿った領域及び前記配線パターンの前記複数の貫通孔の内面上に形成された部分の表面までを覆う樹脂膜を形成する樹脂膜パターン形成工程と、を含むことを特徴とする請求項10に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子を含む発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等の発光素子を光源として用いた小型の発光装置としてチップLEDといわれる表面実装型LEDが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、発光ダイオード素子を搭載するガラスエポキシ(以下、ガラエポとも称する)基板の上面に形成されたカソード電極及びアノード電極がそれぞれ当該ガラエポ基板の両端部に設けられたスルーホール電極を通じてガラエポ基板の裏面側に形成された裏面電極まで回り込むような構造を有する発光装置としての表面実装型発光ダイオードが開示されている。
【0004】
また、特許文献1に記載の表面実装型発光ダイオードにおいては、スルーホール電極の上面にマスキングテープを貼りかつ当該マスキングテープ上を含むガラエポ基板上面全体に第2の樹脂を配していることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-261041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の表面実装型発光ダイオードにおいて、マスキングテープは、第2の樹脂形成時にスルーホール電極内に第2の樹脂が流れ込まないようにするためのものである。
【0007】
特許文献1に記載の表面実装型発光ダイオードのように、ガラス繊維にエポキシ樹脂をしみ込ませ熱硬化処理を施したガラスエポキシ基板の上面全体に封止樹脂である第2の樹脂を形成すると、樹脂材料の使用量が多くなり、コストが増加する可能性がある。
【0008】
しかし、樹脂材料の使用量を抑制するために、発光装置において樹脂材料がスルーホール電極上を覆わないような構造とした場合、ダイシングによる発光装置の個片化を行う際に発光装置の側面であるダイシング面に露出するスルーホール電極、カソード電極、アノード電極または裏面電極に剥離が発生して不具合となる場合がある。
【0009】
さらに、ガラエポ基板に複数の対となる電極が形成されている場合、発光装置を実装基板へ実装する際にはんだがスルーホール電極に過剰に這い上がり、ガラエポ基板上まではんだが這い上がってしまうと、実装面のはんだ不足によってダイシェア強度不具合が起こる可能性がある。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、製造時の不具合を抑制しつつ、発光装置の実装性を向上させることが可能な発光装置及び発光装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る発光装置は、略矩形の上面形状を有しかつ対向する一組の側面のうちの一方の側面に形成された1又は複数の第1の切欠きを有しかつ前記一組の側面のうちの他方の側面に形成された1又は複数の第2の切欠きを有する絶縁性の基板と、前記1又は複数の第1の切欠きの各々の内側面から、それぞれ前記基板の上面の前記1又は複数の第1の切欠きの各々の縁に亘って延在する領域及びそれぞれ前記基板の下面の前記1又は複数の第1の切欠きの各々の縁に亘って延在する領域を覆う第1の配線電極と、前記第1の配線電極の各々と離間しておりかつ、前記1又は複数の第2の切欠きの各々の内側面から、それぞれ前記基板の上面の前記1又は複数の第2の切欠きの各々の縁に亘って延在する領域及びそれぞれ前記基板の下面の前記1又は複数の第2の切欠きの各々の縁に亘って延在する領域を覆う第2の配線電極と、前記基板の上面に垂直な方向から見た上面視において、前記1又は複数の第1の切欠きに沿った縁に亘って延在する領域の各々の前記第1の配線電極の各々の表面を覆っている第1の樹脂膜と、前記上面視において、前記1又は複数の第2の切欠きに沿った縁に亘って延在する領域の前記第2の配線電極の各々の表面を覆っている第2の樹脂膜と、前記第1の配線電極及び前記第2の配線電極によって給電可能に前記基板上に配された発光素子と、を有することを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る発光装置の製造方法は、絶縁性の基板及び前記基板の上面及び下面に形成された銅箔層を有する基板構造体を用意する工程と、前記基板構造体の上面において複数の列をなして配列されかつそれぞれが前記基板構造体を上面から下面まで貫通する複数の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記銅箔層の表面及び前記複数の貫通孔の内面にめっきによって銅層を形成する第1のめっき工程と、前記基板の上面及び下面の前記銅箔層及び前記銅層をそれぞれエッチングして配線パターンを形成する配線パターン形成工程と、前記配線パターンの前記基板構造体の上面に形成された部分の表面の前記複数の貫通孔の各々の外縁に沿った領域を覆う樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程と、前記複数の列に沿って伸張するダイシングラインに沿って前記複数の貫通孔の各々を分断するように前記基板構造体を切断して個片化する個片化工程と、を含むことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係る発光装置の上面図である。
図2】本発明の実施例に係る発光装置の断面図である。
図3】本発明の実施例に係る発光装置の製造フローを示す図である。
図4】本発明の実施例に係る発光装置の製造フローを示す図である。
図5A】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の上面図である。
図5B】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の断面図である。
図6A】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の上面図である。
図6B】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の断面図である。
図7】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の上面図である。
図8】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の断面図である。
図9】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の上面図である。
図10】本発明の実施例に係る発光装置の実装状態の一例を示す断面図である。
図11A】本発明の変形例に係る発光装置の上面図である。
図11B】本発明の変形例に係る発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0015】
図1及び図2を参照しつつ、実施例に係る発光装置100の構成について説明する。図1は、実施例に係る発光装置100の上面図である。また、図2は、図1に示した発光装置100の2-2線に沿った断面図である。
【0016】
なお、図1において、基板10の上面上の各要素の構造及び位置関係を明確にするために、第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32を二点鎖線で示している。また、図1において、基板10の上面上の各要素の構造及び位置関係を明確にするために、封止部材60(図2参照)の図示を省略している。
【0017】
(発光装置)
発光装置100は、略矩形の上面形状を有しかつ、対向する辺の各々にそれぞれ3つの第1の切欠きとしての切欠き13A、13B、13C及び第2の切欠きとしての切欠き15A、15B、15Cが形成されている基板10を有する。なお、以下の説明において、切欠き13A、13B、13Cをまとめて切欠き13A-Cと称し、切欠き15A、15B、15Cをまとめて切欠き15A-Cと称する場合もある。
【0018】
また、発光装置100は、基板10の上面上に発光素子41、43、45及び保護素子51、53を有する。
【0019】
また、発光装置100は、基板10の上面上において発光素子41、43、45及び保護素子51、53を封止する封止部材60(図2参照)を有する。
【0020】
また、本実施例においては、1の平板基板にマトリクス状に配列された複数の発光装置形成領域の各々に各構成要素が配され、ダイシングによる個片化を行うことにより複数の発光装置100が製造される。従って、発光装置100の各々の側面は、ダイシングによって切断されたダイシング面である。
【0021】
本実施例は、発光装置100において、3つの発光素子41、43、45がそれぞれ並列に接続される場合について説明する。すなわち、本実施例の発光装置100は、3対のアノード電極及びカソード電極を有し、3の発光素子41、43、45を個別に制御可能な発光装置である。
【0022】
(基板)
基板10は、略矩形状の上面形状を有する絶縁性基板である。基板10は、上面視において、破線で示した矩形から互いに対向する一組の辺の一部が切り欠かれている平面形状を有している。言い換えれば、基板10には、対向する側面10S1及び10S2の一部に切欠きが形成されている。以下、基板10の上記一組の辺と平行な中心線を中心線CLとして説明する。
【0023】
第1の切欠きとしての切欠き13A、13B、13C及び第2の切欠きとしての切欠き15A、15B、15Cの各々は、基板10の側面10S1及び側面10S2のそれぞれの中央と両端とに基板10の上面から下面にまで貫通して形成されている。
【0024】
切欠き13Aと切欠き15A、切欠き13Bと切欠き15B、切欠き13Cと切欠き15Cは、それぞれ中心線CLを挟んで対向する位置に形成されている。
【0025】
切欠き13A及び切欠き及び15Aは、上面視において側面10S1及び10S2のそれぞれの中央に、略半円形の形状を矩形状の基板10から切り取った形状で形成されている。また、切欠き13B、13C及び切欠き及び15B、15Cは、上面視において側面10S1及び10S2のそれぞれの両端に、扇状の形状を矩形状の基板10から切り取った形状で形成されている。
【0026】
なお、本実施例においては、基板10として、ガラエポからなる平板を用いた。また、本実施例においては、厚みが約100μmのガラエポ平板を用いた。
【0027】
(配線電極)
第1の配線電極としての配線電極23A、23B、23C及び第2の配線電極としての配線電極25A、25B、25Cの各々は、基板10の表面に形成された導電性の配線電極である。
【0028】
配線電極23A、23B、23C及び配線電極25A、25B、25Cの各々は、基板10の上面において、それぞれ対応する切欠き13A-C及び切欠き15A-Cのそれぞれの縁に亘って形成されている。
【0029】
また、配線電極23A、23B、23Cは、切欠き13A-Cの各々の縁に形成された部分から、引き回し部23AW、23BW、23CWをそれぞれ介して基板10の中心線CLに沿った中央領域に設けられたボンディングパッド部及び素子載置部まで連続的に延在している。配線電極25A、25B、25Cは、切欠き15A-Cの各々の縁に形成された部分、基板10の中心線CLに沿った中央領域に設けられたボンディングパッド部及びこれらを接続する引き回し部25AW、25BW、25CWを有している。配線電極23A-C、配線電極25A-Cは、基板10の上面においてそれぞれ互いに離間している。
【0030】
また、配線電極23A-25Cと配線電極25A-25Cとは、切欠き13A-13C及び切欠き15A-15Cから基板10の中心線CLの間の中心線CLに沿った領域の各々において互いに近接し、それぞれが当該中心線CLに沿った領域から基板10の上面の両端部まで延在している。
【0031】
配線電極23A-23Cは、切欠き13A-13Cの配列方向に沿って延びている直線L1に沿った領域において互いに近接している。具体的には、引き回し部23AWには、直線L1に沿って配線電極23B及び23Cに向かう方向にそれぞれ延伸する拡張部EXが形成されている。
【0032】
また、配線電極23B及び23Cの引き回し部23BW及び23CWは、直線L1に沿って、基板10の上面の端部の各々から配線電極23Aに向かう方向に延伸するように形成されている。このように、配線電極23A-23Cの拡張部EX及び引き回し部23AW-23CWが、直線L1に沿って延在する部分を有する事により、配線電極23A-23Cは、基板10の上面の直線L1に沿った領域において近接して構成されている。
【0033】
配線電極25A-25Cは、切欠き15A-15Cの配列方向に沿って延びている直線L2に沿った領域において互いに近接している。具体的には、引き回し部25BWには、直線L2に沿って配線電極25Bに向かう方向に延伸する拡張部EXが形成されている。また、引き回し部25CWには、直線L2に沿って配線電極25Aに向かう方向に延伸する拡張部EXが形成されている。
【0034】
また、配線電極25Bの引き回し部25BWは、直線L2に沿って、基板10の上面の端部の各々から配線電極25Aに向かう方向に延伸するように形成されている。また、配線電極25Aの引き回し部25AWは、拡張部EXに対向する部分が、直線L2に沿って引き回し部25CWの拡張部EXに向かって延伸する様に形成されている。このように、配線電極25A-Cの拡張部EX及び引き回し部25AW-25CWが、直線L2に沿って延在する部分を有する事により、配線電極25A-25Cは、基板10の上面の直線L2に沿った領域において近接して構成されている。
【0035】
上述のように、配線電極23A-23C及び25A-25Cは、それぞれ拡張部EX及び引き回し部23AW-23CW及び引き回し部25AW-25CWにおいて互いに近接するように構成されている。
【0036】
また、配線電極23A-C及び配線電極25A-Cの各々は、基板10の上面の切欠き13A-C及び切欠き15A-Cのそれぞれの縁から、切欠き13A-C及び切欠き15A-Cのそれぞれの内側面を経て基板10の裏面にまで至っている。
【0037】
配線電極23A-C、配線電極25A-Cは、基板10の上面の切欠き13A-C及び切欠き15A-Cの各々の縁の全周に亘って形成されている。言い換えれば、配線電極23A-C及び配線電極25A-Cの各々は、基板10の上面及び下面の切欠き13A-C及び切欠き15A-Cの各々の縁に亘って延在する領域PAを覆うように形成されている。
【0038】
なお、本実施例において、配線電極23A-C及び配線電極25A-Cの各々は、基板10の上面及び下面において、基板表面に形成された銅箔及び当該銅箔表面に形成された銅めっきからなっている。また、配線電極23A-C、25A-Cは、切欠きの内側面において、当該内側面を覆うように形成された銅めっきからなっている。本実施例において、基板10の上面及び下面における配線電極23A-C及び配線電極25A-Cの各々の基板10の表面からの厚みは、約30μmとなっている。
【0039】
なお、配線電極23A-C及び配線電極25A-Cの基板10の上面における形状は、基板10の中心線CLに沿った中央領域のボンディングパッド部及び素子載置部の配置に応じて任意に設計可能である。配線電極23A-C及び配線電極25A-Cの各々は、切欠き13A-C及び切欠き15の各々の縁に亘って形成されかつ、切欠き13A-C及び切欠き15から中央領域のボンディングパッド部及び素子載置部までの間において中心線CLに沿った方向の所定の直線に沿った領域に互いに近接しつつ基板10の上面の両端部まで延在していればよい。
【0040】
(発光素子)
発光素子41、43、45は、基板10の上面の中央の領域において、配線電極23Aの上面に配された半導体からなる発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)である。
【0041】
本実施例において、発光素子41は、上面から赤色の光を放射するAlGaInP系のLEDである。また、本実施例において、発光素子43及び45は、それぞれ上面から緑色及び青色の光を放射するInGaN系のLEDである。発光素子41、43、45は、それぞれ図示しない銀(Ag)ペースト等を原料とした導電性の素子接合層を介して配線電極23Aの上面上に接合されている。
【0042】
発光素子41は、下面にアノード電極を有し、上面にカソード電極パッドを有している。発光素子41においては、下面のアノード電極が配線電極23Aと電気的に接続される。また、発光素子41においては、上面のカソード電極パッドと配線電極25Aとがボンディングワイヤ41Kによって電気的に接続されている。従って、発光素子41は、配線電極23A及び配線電極25Aを介して電力の供給を受ける構成を有している。
【0043】
発光素子43は、上面にカソード電極パッド及びアノード電極パッドを有している。発光素子43においては、カソード電極パッドと配線電極23Bとがボンディングワイヤ43Kによって接続され、アノード電極パッドと配線電極25Bとがボンディングワイヤ43Aによって接続されている。従って、発光素子41は、配線電極23B及び配線電極25Bを介して電力の供給を受ける構成を有している。
【0044】
発光素子45は、発光素子43と同様に、上面にカソード電極パッド及びアノード電極パッドを有している。発光素子45においては、カソード電極パッドと配線電極23Cとがボンディングワイヤ45Kによって接続され、アノード電極パッドと配線電極25Cとがボンディングワイヤ45Aによって接続されている。従って、発光素子41は、配線電極23C及び配線電極25Cを介して電力の供給を受ける構成を有している。なお、発光素子43と発光素子45は、図示しない素子接続層を介して配線電極23Aの上面に発光素子41と隣接して接合されている。発光素子43と発光素子45の接合面は絶縁性で配線電極23Aとは電気的に絶縁されている。
【0045】
(保護素子)
保護素子51及び保護素子53は、ツェナーダイオード等の逆電圧保護素子である。保護素子51及び保護素子53は、それぞれ、下面にカソード電極を有し、上面にアノード電極パッドを有している。
【0046】
保護素子51においては、下面のカソード電極が配線電極23Bと電気的に接続される。また、保護素子51においては、上面のアノード電極パッドと配線電極25Bとがボンディングワイヤ51Aによって電気的に接続されている。
【0047】
保護素子53においては、下面のカソード電極が配線電極23Cと電気的に接続される。また、保護素子51においては、上面のアノード電極パッドと配線電極25Cとがボンディングワイヤ51Aによって電気的に接続されている。
【0048】
従って、保護素子51及び保護素子53は、配線電極23B、23C及び配線電極25B、25Cの各々の間で、発光素子43、45のそれぞれと並列にかつ逆極性で接続されている。
【0049】
(第1の樹脂膜、第2の樹脂膜及び第3の樹脂膜)
第1の樹脂膜31(図中二点鎖線で示す)は、エポキシ樹脂等の絶縁性を有する樹脂材料からなる絶縁膜である。第1の樹脂膜31は、上面視において、切欠き13A-Cをそれぞれ塞ぎ、かつ基板10の上面の切欠き13A、13B、13Cの周縁において、配線電極23A、23B、23Cを覆うように形成されている。
【0050】
第1の樹脂膜31は、さらに、直線L1に沿った領域に帯状に延在する帯状部31Bを含む。帯状部31Bは、当該直線L1に沿った領域に形成された配線電極23A-Cの拡張部EX及び引き回し部23AW-CW及び基板10の上面を覆っている。すなわち、直線L1に沿った領域において、第1の樹脂膜31は、帯状部31Bによって配線電極23A-Cの各々の上面を覆うとともに、配線電極23A-Cの各々同士の間の間隙を充填している。
【0051】
第2の樹脂膜32(図中二点鎖線で示す)は、第1の樹脂膜31と同様にエポキシ樹脂等の絶縁性を有する樹脂材料からなる膜である。第2の樹脂膜32は、上面視において、切欠き15A-Cをそれぞれ塞ぎ、かつ基板10の上面の切欠き15A、15B、15Cの周縁において、配線電極25A、25B、25Cを覆うように形成されている。
【0052】
第2の樹脂膜32は、さらに、直線L2に沿った領域に帯状に延在する帯状部32Bを含む。帯状部32Bは、当該直線L2に沿った領域に形成された配線電極25A-Cの拡張部EX及び引き回し部25AW-CW及び基板10の上面を覆っている。すなわち、直線L2に沿った領域において、第2の樹脂膜32は、帯状部32Bによって配線電極25A-Cの各々の上面を覆うとともに、配線電極25A-Cの各々同士の間の間隙を充填している。
【0053】
また、第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32の各々は、基板10の上面上において、配線電極23A-C及び配線電極25の各々A-Cが覆っている基板10の領域PAに対応する配線電極23A-C及び配線電極25A-Cの上面の領域を覆っている。
【0054】
また、図2に示すように、第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32の各々は、上方から切欠き13A-C及び切欠き15A-Cの各々の内部に嵌まり込むように入り込んでいる。すなわち、第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32の各々は、切欠き13A、13B、13C内及び切欠き15A、15B、15C内において、それぞれ、配線電極23A、23B、23C及び配線電極25A、25B、25Cの上端部分を覆っている。
【0055】
図1に示しているように、発光装置100において、第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32の各々は、切欠き13A-C及び切欠き15A-Cの領域PA周縁近傍において、配線電極23A-C及び配線電極25A-Cの各々の外周端の一部を露出するように形成されている。これは、不透明なソルダーレジストインクを第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32に用いた場合においても、製造後の発光装置100において配線電極23A-C及び配線電極25A-Cの位置、発光装置100の向きを視認可能とするためである。
【0056】
第3の樹脂膜33は、図2に示すように、基板10の下面に形成されている。第3の樹脂膜33は、第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32と同一材料で形成されている。また、第3の樹脂膜33は、基板10の下面において配線電極23A-C及び配線電極25A-Cの実装基板との接合部材との接合領域を露出するパターンで形成されている。
【0057】
本実施例においては、第1の樹脂膜31、第2の樹脂膜32及び第3の樹脂膜33として感光性のソルダーレジストインク(グリーンレジスト)を用いた。第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32は、遮光性部材を用いることで発光素子41、43、45による意図せぬ光を防止することができる。これにより、発光装置100はより所望の配光を得ることができる。なお、第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32は、例えばシリコン等の、光吸収性又は光反射性を有する部材としてもよい。また、本実施例においては、第1の樹脂膜31、第2の樹脂膜32及び第3の樹脂膜33の各々を基板10の上面上からの厚みが約20μmとなるように形成している。
【0058】
なお、第1の樹脂膜31、第2の樹脂膜32及び第3の樹脂膜33から露出している配線電極23A-C及び配線電極25A-Cの各々の表面には、ニッケル(Ni)、金(Au)が順に積層されている。
【0059】
(封止部材)
封止部材60は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の透光性の樹脂材料からなり、基板10の上面の中心線CLに沿った領域に形成されている。
【0060】
本実施例においては、封止部材60は、基板10の上面の直線L1の近傍及び直線L2の近傍の間の領域に形成され、基板10の上面、配線電極23A-C、25A-Cの各々の上面を覆い、かつ発光素子41、43、45及び保護素子51、53を封止している。すなわち、封止部材60の中心線CLに沿った方向の側面の下端部は、基板10の上面の直線L1及び直線L2の近傍上の第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32の各々の帯状部31B及び32Bの上面上である。
【0061】
上記のように、封止部材60の側面の下端部の位置を、第1及び第2の樹脂膜31及び32の各々の帯状部31B及び32Bの上面かつ直線L1及び直線L2上の近傍とすることにより、後述の製造方法において、封止部材60の各々の切欠きの方向への漏れ出しを抑制することができる。
【0062】
(発光装置の製造方法)
次に、図3乃至図9を用いて、実施例の発光装置100の製造方法について説明する。
【0063】
図3及び図4は、本発明の実施例に係る発光装置100の製造フローを示す図である。また、図5乃至図9は、図3及び図4に示す製造手順の各ステップにおける発光装置100の断面図を示す。また、図5A図6A図7及び図9は、1の発光装置形成領域及びその周辺の上面図を示している。また、図5B図6B及び図8は、1の発光装置形成領域及びその周辺における、図1に示した2-2線に相当する断面を示している。
【0064】
なお、以下の製造方法の説明において、ステップS204(個片化工程)の完了前における基板10の切欠き13A-C、15A-Cの各々を貫通孔13A-C、15A-Cと称する。
【0065】
(ステップS101)
まず、製造に用いる基板構造体10M(図5A及び図5B参照)を準備する工程を行う(ステップS101、基板構造体準備工程)。基板構造体10Mは、矩形の上面形状を有する平板のガラエポである基板10の上面に銅箔CU1、下面に銅箔CU2が圧着されてなる基板である。ダイシングラインDL1、DL2は、発光装置100を個片化する際のダイシングラインである。すなわち、発光装置100は、基板構造体10Mを含む構造をダイシングラインDL1、DL2に沿ってダイシングすることで個片化されて形成される。銅箔CU1、CU2は、例えばガラエポ基板にプレス圧着されたものであり、厚みが約18μmのものである。
【0066】
(ステップS102)
次に、図5A及び図5Bに示すように、各々の発光装置形成領域において、ダイシングラインDL1に沿って、切欠き13A-C及び切欠き15A-Cとなる貫通孔を形成する(ステップS102、切欠き形成工程)。本ステップにおいては、ダイシングラインDL1の各々に沿って貫通孔を形成する。貫通孔13B、13C、15B及び15Cは、ダイシングラインDL1とダイシングラインDL2とが交差する位置に形成され、貫通孔13A及び15Aは、隣り合うダイシングラインDL2の中間点に形成される。貫通孔13A-C及び15A-Cの各々は、ドリル等によって上方から銅箔CU1、基板構造体10M及び銅箔CU2を貫通させて形成した。
【0067】
(ステップS103)
次に、図6A及び図6Bに示すように、基板構造体10Mの貫通孔の内面、銅箔CU1及び銅箔CU2の表面に銅めっきを施し、基板構造体10Mの表面を一体的に覆う銅層CU3を形成する(ステップS103、第1めっき工程)。本ステップにおいては、まず、基板構造体10Mに銅の無電解めっきを施し、銅箔CU1及び銅箔CU2の表面及び基板構造体10Mの貫通孔の内面に無電解めっき層を形成した。次に、この基板構造体10Mに銅の電界めっきを施し、無電解めっき層の表面に電界めっき層を形成して、銅層CU3を形成した。銅層CU3は、基板10の上面と下面において、銅箔CU1及び銅箔CU2を下地として含んでいる。
【0068】
(ステップS104)
次に、図7に示すように、銅層CU3をエッチングし、各々の発光装置形成領域において、配線電極23A-C及び配線電極25A-Cを形成する(ステップS104、配線パターン形成工程)。本ステップにおいては、まず、基板構造体10Mの銅層CU3の表面上に、上述した配線パターンとなるようにレジストマスクを形成した。そして、当該レジストマスクから露出した銅層CU3を基板構造体10Mの表面が露出するまでエッチングを行い配線電極23A-C、25A-Cの各々を形成した。その後、各々の配線電極の表面のレジストマスクを除去した。
【0069】
なお、この時、隣り合う発光装置形成領域の間で対向する配線電極23A-Cと配線電極25A-Cとが連続するように形成した。
【0070】
(ステップS105)
次に、図8に示すように、基板構造体10Mの上面全体に感光性の樹脂RLを塗布する(ステップS105、樹脂膜塗布工程)。本ステップにおいては、スクリーン印刷機を用いて、基板構造体10Mの上方からスキージングによって基板構造体10Mの上面に一括的に樹脂RLを塗布した。この時、切欠き13A、13B、13C内及び切欠き15A、15B、15C内において、それぞれ配線電極23A、23B、23C及び配線電極25A、25B、25Cの各々の上端部分に樹脂RLが塗布される(樹脂RLが入り込む)ように樹脂RLの粘度、塗布量又はスキージング条件が設定される。
【0071】
(ステップS106)
次に、図9に示すように、基板構造体10Mに塗布した樹脂RLを感光させて第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32を形成する(ステップS106、樹脂膜パターン形成工程)。本ステップにおいては、露光装置を用いて基板構造体10Mの上方からフォトマスクを介して紫外線を照射し、各々の発光装置形成領域において樹脂RLを第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32の形状に感光した。
【0072】
この時、フォトマスクは、樹脂RLの切欠き13A-C及び切欠き15A-Cの領域及び基板10の領域PAを覆う領域に紫外線が樹脂RLに照射されるようなパターンとなっている。
【0073】
さらに、フォトマスクは、第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32の帯状部31B及び32Bが、各々の切欠きが形成されているダイシングラインDL1に沿った方向に並ぶ複数の発光装置形成領域の列ごとに、直線L1及びL2に沿った領域に当該列の両端部の発光装置形成領域まで連続するように紫外線が樹脂RLに照射されるようなパターンとなっている。
【0074】
その後、未感光部の樹脂RLを除去して第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32を形成した。
【0075】
なお、本実施例においては、ステップS105(樹脂膜塗布工程)で切欠き13A-C、15A-C内の配線電極23A-C、25A-Cの各々の上端部分に樹脂RLが塗布されるように制御する場合について説明した。
【0076】
ステップS106(樹脂膜パターン形成工程)において、露光装置の焦点深度を調整し、樹脂RLを所望の深さの範囲まで感光させるようにしてもよい。
【0077】
また、ステップS106(樹脂膜パターン形成工程)に連続して基板構造体10Mの下面に第3の樹脂膜33を形成した。第3の樹脂膜33の形成には、スキージング時に第3の樹脂膜33の形状に開口されたメタルマスク等を用いて樹脂RLを塗布した。
【0078】
(ステップS107)
次に、基板構造体10Mの各々の樹脂膜から露出した配線電極23A-C及び配線電極25A-Cの表面にNi及びAuを順に積層させためっき層を形成する(ステップS107、第2めっき工程)。本ステップにおいては、電界めっきによって、配線電極23A-C及び配線電極25A-Cの表面にNi層を形成した後、当該Ni層の表面にAu層を形成した。
【0079】
(ステップS201)
次に、図1に示すように、各々の発光装置形成領域の上面において、所定の位置に発光素子41、43、45及び保護素子51、53を接合する(ステップS201、素子接合工程)。本ステップにおいては、まず、基板構造体10Mをダイボンド装置にセットし、導電性の素子接合層の原料ペーストを配線電極23A-Cの各々の上面の素子載置部にそれぞれ塗布した。次に、それぞれの素子載置部に塗布された原料ペースト上に、各々の素子をそれぞれ電極パッドが上方となる向きで載置した。その後、基板構造体10Mを加熱し、原料ペーストを硬化させて各々の素子をそれぞれ配線電極23に接合した。
【0080】
(ステップS202)
次に、図1に示すように各々の発光装置形成領域において、各々の素子の電極パッドと各々の配線電極とを接続するボンディングワイヤを形成する(ステップS202、ワイヤボンディング工程)。本ステップにおいては、基板構造体10Mをボンディング装置にセットし、各々のボンディングワイヤを形成した。
【0081】
発光素子41において、まず、Au等の金属線を用いて発光素子41の電極パッド上に金属バンプを形成した後、当該金属線を配線電極25Aのボンディングパッド部と金属バンプとに接合してボンディングワイヤ41Kを形成した。続けて、同様の手法にてボンディングワイヤ43A、43K、45A、45K、51K及び53Kを形成した。
【0082】
(ステップS203)
次に、図2に示すように、各々の発光素子及び保護素子を封止する封止部材60を形成する(ステップS203、封止部材形成工程)。本ステップにおいては、基板構造体10Mをモールディング装置の金型にセットし、封止部材60の原料樹脂を注入し、硬化させて封止部材60を形成した。
【0083】
本実施例においては、各々の切欠きが形成されているダイシングラインDL1に沿った方向に並ぶ複数の発光装置形成領域の列ごとに、当該列の両端部の発光装置形成領域まで連続的に封止部材60の形状で凹部が形成された金型を用いた。すなわち、基板構造体10Mの上面の側の金型の凹部の端部は、上記列方向に並ぶ複数の発光装置形成領域に亘って延伸する直線L1及びL2の近傍に位置する。
【0084】
これにより、金型で基板構造体10Mを押圧した際に、第1、第2の樹脂膜31、32の弾性によって、直線L1及びL2の近傍の各々の配線電極の間の間隙部分においても金型と第1、第2の樹脂膜31、32とを密着させることができる。従って、封止部材60の原料樹脂の注入時において、当該間隙部分からの封止部材60の原料樹脂の漏れ出しを抑制することが可能となる。
【0085】
(ステップS204)
次に、図1に示すように、ダイシングラインDL1及びDL2に沿ってダイシングを行い複数の発光装置100を個片化する(ステップS204、個片化工程)。本ステップにおいては、基板構造体10Mをダイシングシートに貼り付けてダイシング装置にセットし、ダイシングブレードを回転させつつダイシングラインDL1及びDL2に沿って所定の進行方向の方向に移動させ、基板構造体10Mを切断した。すなわち、各々の基板構造体10MのダイシングラインDL1上に形成された切欠き13A-C及び切欠き15A-Cを分断するようにダイシングを行った。
【0086】
上述の発光装置100の製造方法においては、第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32を、ダイシングラインDL1及びDL2上の配線電極23A-C、25A-Cの上面を覆い、かつ上方から切欠き13A-C及び切欠き15A-Cの各々の内部に嵌まり込むように形成している。
【0087】
言い換えれば、第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32の各々が、配線電極の上面の基板10の領域PAに対応する領域、特に、領域PAの、発光装置100の個片化後の10S1及び10S2に沿った縁を覆うように形成されている。すなわち、第1の樹脂膜31及び、第2の樹脂膜32が、配線電極の押さえになっている。
【0088】
これにより、発光装置100を個片化する際のダイシング時に、ダイシングブレードによって、配線電極の各々が基板10から剥離させられることを抑制することが可能となる。なお、上述のように、第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32が、出来上がった発光装置100においては切欠き内にまで、製造中には貫通孔内まで嵌まり込むように形成される。これにより、個片化時に第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32自体の剥離が防止され、樹脂膜の剥離による配線電極の剥離の防止効果の喪失を防止することが出来る。これにより、発光装置100の製造時の不具合を抑制することが可能となる。
【0089】
(発光装置の実装状態)
図10は、実施例に係る発光装置100の実装状態時の断面図である。なお、図10は、図1に示した発光装置100の2-2線に沿った断面図である。
【0090】
実装基板200は、発光装置100を搭載する基板である。実装基板200は、2-2線における断面において、実装電極201及び実装電極202を有する。接合部材203、204は、はんだ等を含むペーストを原料とする接合部材である。
【0091】
実装基板200の実装電極201及び実装電極202の上面上で、接合部材203、204を加熱、溶融させて実装基板200と発光装置100とを接合する。
【0092】
接合部材203、204は、溶融時において、発光装置100の配線電極23A及び配線電極25Aの各々の表面に濡れ広がる。すなわち、接合部材203及び204の各々は、切欠き13A及び切欠き15Aの内面に形成された配線電極23A及び配線電極25Aの内面に沿って這い上がる。
【0093】
発光装置100においては、溶融した接合部材203、204を構成する金属と親和性の低い材料であるソルダーレジストからなる第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32の各々が、基板10の切欠き13A-C及び切欠き15A-Cをそれぞれ塞いでいる。これにより、発光装置100及びその製造方法によれば、発光装置100の実装基板への実装時において、溶融した接合部材203及び204が切欠きの内側面を介して上面にまで這い上がることが防止され、それによる配線のショート等の不具合を防止することが可能となる。
【0094】
また、第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32が接合部材203及び204の過剰な這い上がりを防止することによって、厚みの大きい接合部材203及び204のフィレットを形成することができる。
【0095】
なお、第1、第2の樹脂膜31、32は、配線電極23A-C、25A-Cの上端から下端までの厚みTの1/3以上1/2以下の距離Dまで、切欠き内に入り込むことが好ましい(T/3≦D≦T/2)。
【0096】
これは、距離Dが大きすぎる場合、すなわち、樹脂膜が切欠き内に入り込みすぎると、切欠き13A-C及び切欠き15A-Cの各々の内面に露出する各々の配線電極の面積が小さくなり、発光装置100の実装時に接合部材(はんだ)との接合強度が低下する可能性があるためである。
【0097】
逆に距離Dが小さすぎる場合、すなわち、樹脂膜の切欠き内への入り込みが小さすぎると、第1、第2の樹脂膜31、32が剥離しやすくなり、上記した配線剥離防止効果及び接合部材の這い上がり防止効果が喪失する可能性がある。
【0098】
上述のように、本実施例の発光装置100によれば、実装後の発光装置100が高いダイシェア強度を確保することができ、実装性を向上させることが可能となる。
【0099】
(変形例)
次に、変形例の発光装置100Aについて説明する。図11Aは、変形例に係る発光装置100Aの上面図である。また、図11Bにおいては、発光装置100Aの図1に示した2-2線に相当する断面である。
【0100】
変形例の発光装置100Aは、実施例の発光装置100と基本的に同様の構成を有する。
【0101】
変形例の発光装置100Aは、第1の樹脂膜71及び第2の樹脂膜72が、上面視において、切欠き13A-C、15A-Cの各々を塞いでいない点で実施例と相違する。
【0102】
変形例の発光装置100Aは、例えば、図4に示したステップS203(封止部材形成工程)の後に、ドリル等によって上方から基板構造体10Mの貫通孔13A-C及び15A-Cの各々の所定領域内を貫通させる貫通孔を形成することで実現可能である。
【0103】
変形例の発光装置100Aは、上面視における基板構造体10Mの個々の発光装置形成領域の4隅に第1、第2の樹脂膜71、72が設けられない構造であるため、ステップS204(個片化工程)において、第1、第2の樹脂膜71、72のチッピングを抑制することが可能となる。
【0104】
なお、上記のように第1の樹脂膜71及び第2の樹脂膜72を形成した場合においても、実施例と同様の効果を奏することができる。
【0105】
従って、実施例2の発光装置100Bによれば、発光装置100Bの製造時の不具合を抑制しつつ、発光装置100Bの実装時の実装性を向上させることが可能となる。
【0106】
なお、実施例及び変形例においては、切欠き13A-C及び切欠き15A-Cの各々を半円及び扇状の形状としたが、各々の切欠きの形状はこれに限定されない。切欠き13A-C及び切欠き15A-Cは、それぞれ半長円及び四半長円、又は半楕円及び四半楕円で形成されていてもよい。
【0107】
また、実施例及び変形例においては、第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32は、ソルダーレジストインクとしたが、例えば、透明又は半透明な樹脂膜を用いてもよい。この場合、基板10の上面において、第1の樹脂膜31及び第2の樹脂膜32を配線電極23A-C及び配線電極25A-Cの各々の素子載置部及びボンディング部を除く領域全体に形成してもよい。
【0108】
このように、記載の実施例は発明の範囲を限定することは意図していない。記載の実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、それら変形例も、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
100 発光装置
10 基板
13、15 切欠き
23、25 配線電極
31、71、81 第1の樹脂膜
32、72、82 第2の樹脂膜
41、43、45 発光素子
51、53 保護素子
60 封止部材
200 実装基板
201、202 実装電極
203、204 接合部材
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B