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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160462
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/533 20060101AFI20231026BHJP
   H01R 13/11 20060101ALN20231026BHJP
   H01R 13/42 20060101ALN20231026BHJP
【FI】
H01R13/533 B
H01R13/11 A
H01R13/42 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070861
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】辻本 将輝
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE07
5E087FF05
5E087FF08
5E087FF13
5E087GG08
5E087GG16
5E087MM05
5E087RR34
(57)【要約】
【課題】端子間に発生するアーク放電を防止する電気コネクタを提供する。
【解決手段】嵌合自在な一組のコネクタで構成した電気コネクタであって、オスコネクタ10は、一対の雄端子3・3を保持するオスハウジング1を備え、メスコネクタ20は、一対の雌端子4・4を保持するメスハウジング2を備える。オスハウジング1は、メスハウジング2に設けたヘッダ21と嵌合自在な接続開口11を有し、メスハウジング2は、雄端子3が挿通自在な挿通開口21hを有する。シャッタ5は、挿通開口21hを封鎖自在な一対のシャッタ部51sと、シャッタ5の変位を規定する従動子51bを有する。オスハウジング1は、従動子51bを案内するカム溝11dを有する。メスコネクタ20をオスコネクタ10から引き抜くと、雌端子4と雄端子3の接続が物理的に解除され、シャッタ5が挿通開口21hを瞬時に閉鎖する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに電気的に接続可能な一組の端子をそれぞれ有し、嵌合自在な一組のコネクタで構成した電気コネクタであって、
これらの端子が離間したときに、端子間に発生するアーク放電を遮断するシャッタを備えている、電気コネクタ。
【請求項2】
前記シャッタは、一組のコネクタが嵌合する方向と略直交する方向に可動できる、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
一組のコネクタが嵌合した状態では、前記シャッタが開き、
一組のコネクタの嵌合を解除した状態では、前記シャッタが閉じている、請求項1又は2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
雄端子を有するオスコネクタと雌端子を有するメスコネクタが嵌合自在な電気コネクタであって、
前記メスコネクタは、前記雄端子と前記雌端子が離間したときに、端子間に発生するアーク放電を遮断する開閉自在なシャッタを備えている、電気コネクタ。
【請求項5】
前記オスコネクタと前記メスコネクタが嵌合していないときは、前記シャッタを閉じる方向に力を付勢するばね部材を更に備えている、請求項4記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記オスコネクタは、一対の前記雄端子を保持するオスハウジングを備え、
前記メスコネクタは、一対の前記雌端子を保持するメスハウジングを備え、
前記オスハウジングは、前記メスハウジングに設けたヘッダと嵌合自在な接続開口を有し、
前記メスハウジングは、前記雄端子が挿通自在な一対の挿通開口を有し、
前記シャッタは、
前記挿通開口を封鎖自在な一対のシャッタ部と、
前記シャッタの変位を規定する従動子と、を有し、
オスハウジングは、前記従動子を案内するカム溝を有している、請求項4又は5記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関する。特に、活線状態において、相手側コネクタから当該コネクタを抜去するときに、離間した一組のコンタクト間に発生するアーク放電を遮断する機構を備える電気コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的高圧の電流が流れる一組のコンタクトの接続を解除するときに、離間した一組のコンタクト間にアーク放電が発生することが知られている。アーク放電が発生することで、コンタクトを支持するハウジングが溶融し、ハウジングが損傷すると共に、絶縁性物質がコンタクトに付着することで、コンタクトの導電性が劣化するという不具合があった。
【0003】
従来技術による電気コネクタは、このような不具合があったことから、オスコンタクトとメスコンタクトの間で発生するアーク放電を最小化する電気コネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-7105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12は、従来技術によるメスコンタクトの構成を示す斜視図である。なお、本願の図12は、特許文献1の図6に相当している。
【0006】
図12を参照すると、従来技術によるメスコンタクト(以下、雌端子という)9は、先端部側に形成したコンタクト接続部91、基端部側に形成した結線部93、及び、コンタクト接続部91と結線部93の間に形成した本体部92を備えている。
【0007】
図12を参照すると、コンタクト接続部91は、四角筒状に形成している。コンタクト接続部91には、四角柱状の雄端子(図示せず)を導入できる。結線部93は、被覆電線の導線をコンダクタバレル93bにより圧着している。本体部92は、図示しないハウジングのキャビティに保持される。本体部92には、抜け止め用の一対のランス92r・92rを設けている。
【0008】
図12を参照すると、雌端子9は、コンタクト接続部91の先端縁から本体部92の中間に至るまで第1スリット91sを底面壁に設けている。又、雌端子9は、コンタクト接続部91の先端縁から本体部92の基端縁に至るまで第2スリット92sを上面壁に設けている。
【0009】
図12を参照すると、コンタクト接続部91は、第1スリット91s及び第2スリット92sで分離した一対の対向壁91w・91wを有している。又、コンタクト接続部91は、一組のスリットで分離した一対の対向壁92w・92wを有している。これらの対向壁91w及び92wは、四角柱の雄端子をコンタクト接続部91の内部に挿入したときに、こじりを緩和するオープンエントリを構成している。
【0010】
図12を参照すると、雌端子9は、コンタクト接続部91から本体部92に連続すると共に内部に向かって屈曲した一対一組のアーク放電接点911・911を形成している。これらのアーク放電接点911・911は、四角柱の雄端子を本体部92の内部に挿入したときに、雄端子を押圧する力を付勢している。
【0011】
又、図12を参照すると、雌端子9は、本体部からコンタクト接続部91に向かって片持ち状に延出した一対の挟持アームを有し、これらの挟持アームは、内部に向かって屈曲した一対の主接点921・921を有している。
【0012】
図12を参照すると、従来技術による雌端子9は、活線状態において雌端子9から雄端子を引き抜くと、主接点921からアーク放電すること無く、犠牲接点となるアーク放電接点911からアーク放電するので、主接点921の接触面の劣化を抑制できる、としている。
【0013】
しかしながら、従来技術による雌端子9は、アーク放電自体を抑制する構造では無いため、アーク放電に起因するハウジングの損傷及び嵌合相手の端子の劣化を抑制することが容易でないという問題がある。
【0014】
活線状態において、相手側コネクタから当該コネクタを抜去するときに、離間した一組の端子間に発生するアーク放電を防止する電気コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0015】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、離間した一組の端子間に発生するアーク放電を防止する電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、一方のコネクタと他方のコネクタが嵌合するときは、シャッタが開くことで一方の端子と他方の端子が電気的に接続し、一方のコネクタから他方のコネクタを引き抜いたときは、シャッタが閉じるシャッタ開閉機構を設けることで、離間した一組の端子間に発生するアーク放電を防止できると考え、これにより、以下のような新たな電気コネクタを発明するに至った。
【0017】
(1)本発明による電気コネクタは、互いに電気的に接続可能な一組の端子をそれぞれ有し、嵌合自在な一組のコネクタで構成した電気コネクタであって、これらの端子が離間したときに、端子間に発生するアーク放電を遮断するシャッタを備えている。
【0018】
(2)前記シャッタは、一組のコネクタが嵌合する方向と略直交する方向に可動できることが好ましい。
【0019】
(3)本発明による電気コネクタは、一組のコネクタが嵌合した状態では、前記シャッタが開き、一組のコネクタの嵌合を解除した状態では、前記シャッタが閉じている。
【0020】
(4)本発明による電気コネクタは、雄端子を有するオスコネクタと雌端子を有するメスコネクタが嵌合自在な電気コネクタであって、前記メスコネクタは、前記雄端子と前記雌端子が離間したときに、端子間に発生するアーク放電を遮断する開閉自在なシャッタを備えている。
【0021】
(5)前記オスコネクタと前記メスコネクタが嵌合していないときは、前記シャッタを閉じる方向に力を付勢するばね部材を更に備えていることが好ましい。
【0022】
(6)前記オスコネクタは、一対の前記雄端子を保持するオスハウジングを備え、前記メスコネクタは、一対の前記雌端子を保持するメスハウジングを備え、前記オスハウジングは、前記メスハウジングに設けたヘッダと嵌合自在な接続開口を有し、前記メスハウジングは、前記雄端子が挿通自在な一対の挿通開口を有し、前記シャッタは、前記挿通開口を封鎖自在な一対のシャッタ部と、前記シャッタの変位を規定する従動子と、を有し、オスハウジングは、前記従動子を案内するカム溝を有している。
【発明の効果】
【0023】
本発明による電気コネクタは、互いに電気的に接続可能な一組の端子が離間したときに、端子間に発生するアーク放電を遮断(消弧)するシャッタを備えているので、アーク放電に起因するハウジングの損傷及び嵌合相手の端子の劣化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、一方のコネクタに他方のコネクタを挿入した状態図である。
図2】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、一方のコネクタに対して他方のコネクタが嵌合する前の状態図である。
図3】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図であり、一方のコネクタに対して他方のコネクタが嵌合する前の状態を図2と異なる方向から観ている。
図4】前記実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
図5】前記実施形態による電気コネクタに備わる雌端子の構成を示す斜視図である。
図6】前記実施形態による電気コネクタに備わるシャッタの構成を示す斜視図である。
図7】前記実施形態による電気コネクタを構成するメスコネクタの構成を示す正面図であり、シャッタが閉じた状態図である。
図8】前記実施形態による電気コネクタを構成するメスコネクタの構成を示す正面図であり、シャッタが開いた状態図である。
図9】前記実施形態による電気コネクタを構成するオスコネクタの構成を示す斜視図であり、一部を断面図で示している。
図10】前記実施形態による電気コネクタを構成するオスコネクタの構成を示す斜視図であり、シャッタの移動手順を示す軌跡図である。
図11】前記実施形態による電気コネクタの状態変化を示す縦断面図であり、図11(A)は、シャッタに備わる従動子がカム溝の始端に位置した状態図、図11(B)は、図11(A)に示した状態から、シャッタが最上段に移動した状態図、図11(C)は、図11(B)に示した状態から、オスコネクタとメスコネクタが嵌合した状態図、図11(D)は、図11(C)に示した状態から、オスコネクタに対してメスコネクタを引き抜く途中の状態図、図11(E)は、図11(D)に示した状態からオスコネクタに対してメスコネクタを更に引き抜いて、シャッタが最下段に移動した状態図である。なお、図11の左欄は、雄端子及び雌端子の縦断面図を示し、図11の右欄は、従動子の縦断面図を示している。
図12】従来技術によるメスコンタクトの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0026】
[電気コネクタの構成]
(全体構成)
図1から図4を参照すると、本発明による電気コネクタは、互いに嵌合自在なオスコネクタ10とメスコネクタ20で構成している。オスコネクタ10は、オスハウジング1と一対の四角棒状のオスコンタクト(以下、雄端子という)3・3を備えている。メスコネクタ20は、メスハウジング2と一対のメスコンタクト(以下、雌端子という)3・3を備えている。
【0027】
図2又は図3を参照すると、オスハウジング1は、一対の雄端子3・3を保持している。図4又は図11を参照すると、メスハウジング2は、一対の雌端子4・4を内部に保持している。図2から図4を参照すると、メスハウジング2は、ヘッダ21を前部に設けている。オスハウジング1は、ヘッダ21と嵌合自在な接続開口11を有している(図2又は図4参照)。
【0028】
図2から図4を参照して、オスハウジング1の接続開口11に向かって、メスハウジング2のヘッダ21を挿入することで、オスコネクタ10とメスコネクタ20を嵌合できる。図11を参照すると、オスコネクタ10をメスコネクタ20に挿入する状態では、一対の雄端子3・3は、一対の雌端子4・4と対向する位置に配置されている。
【0029】
図3又は図8を参照すると、メスハウジング2は、雄端子3が挿通自在な一対の挿通開口21hを開口している。後述するシャッタ5が挿通開口21hを閉鎖していない状態では、雄端子3は、挿通開口21hに進入でき、雄端子3は、雌端子4と電気的に接続できる(図11(C)参照)。
【0030】
図4又は図6を参照すると、メスコネクタ20は、シャッタ5と一対のW字状のばね部材6・6を備えている。シャッタ5は、メスハウジング2の内部に配置されている。シャッタ5は、一組のコネクタ10・20が嵌合する方向と略直交する方向に可動できる。
【0031】
図7又は図8を参照すると、ばね部材6は、メスハウジング2の内部に配置されている。一対のばね部材6・6は、シャッタ5の両端部と連結している。オスコネクタ10とメスコネクタ20が嵌合していないときは、一対のばね部材6・6は、シャッタ5を閉じる方向に力を付勢している。
【0032】
(雌端子の構成)
次に、実施形態による雌端子4の構成を説明する。図4又は図5を参照すると、箱状の端子接続部41と結線部42で構成している。端子接続部41は、その内部に雄端子3を導入できる。結線部42は、被覆電線Wの端末を圧着接続により結線している。
【0033】
図4又は図5を参照すると、端子接続部41は、一対の挟持アーム41a・41aとランス41rを有している。一対の挟持アーム41a・41aは、端子接続部41の両側面から内部に向かって片持ち状に屈曲している。端子接続部41の内部に雄端子3が導入されると、一対の挟持アーム41a・41aは、雄端子3を挟持できる。
【0034】
図5を参照すると、ランス41rは、端子接続部41の天板に形成されている。ランス41rは、メスハウジング2の内部に形成した係止部(図示せず)に係止することで、メスハウジング2から雌端子4を抜け止めできる。
【0035】
図5を参照すると、結線部42は、コンダクタバレル42cとインシュレーションバレル42iを有している。コンダクタバレル42cは、被覆電線Wの導線を圧着している。インシュレーションバレル42iは、被覆部の外周側から被覆電線Wを圧着している。被覆電線W付き雌端子4は、端子接続部41を先頭に、キャビティ21cに導入されている(図1参照)。
【0036】
(シャッタの構成)
次に、実施形態によるシャッタ5の構成を説明する。図6を参照すると、シャッタ5は、絶縁性を有する合成樹脂からなることが好ましい。絶縁性を有する合成樹脂を成形して、所望の形状を有するシャッタ5を得ることができる。
【0037】
図6を参照すると、シャッタ5は、一対のアーム51・51と連結部52を有している。一対のアーム51・51は、所定の間隔を設けて対向配置している。連結部52は、一対のアーム51・51の基端部を連結している。
【0038】
又、図6を参照すると、シャッタ5は、平坦面を有する一対のシャッタ部51s・51sを先端部側に設けている。一組のコネクタ10・20の嵌合を解除した状態では、これらのシャッタ部51s・51sは、一対の挿通開口21h・21hを封鎖している(図7参照)。シャッタ部51sの背面側には、ばね部材6の中央部が係合するばね係合部511を設けている。
【0039】
更に、図6を参照すると、シャッタ5は、一対の円柱状の従動子51b・51bを有している。一対の従動子51b・51bは、シャッタ部51sの前方に延出している。又、一対の従動子51b・51bは、それらの軸方向に対向配置されている。一対の従動子51b・51bがオスハウジング1の内部の隔壁11wに形成したカム溝11dに案内されることで(図9参照)、シャッタ5を一組のコネクタ10・20が嵌合する方向と略直交する方向に可動できる。
【0040】
(オスハウジングの内部構成)
次に、オスハウジング1の内部構成を説明する。図4又は図9を参照すると、オスハウジング1は、内部を区画する一対の隔壁11w・11wを内部に形成している。メスハウジング2をオスハウジング1に挿入すると、一対の隔壁11w・11wの外側に一対の従動子51b・51b導入できる(図6参照)。メスハウジング2をオスハウジング1に挿入すると、一対の隔壁11w・11wの間に、メスハウジング2に形成した中央壁21wを導入できる(図3参照)。
【0041】
図4又は図9を参照して、メスハウジング2をオスハウジング1に挿入すると、一対の従動子51b・51bをカム溝11dに導入できる。カム溝11dは、従動子51bを案内する傾斜部111と平坦部112を有している(図9参照)。
【0042】
(ばね部材の構成)
次に、実施形態によるばね部材6の構成を説明する。図4又は図7及び図8を参照して、ばね部材6は、弾性変形可能な金属製の線条体からなることが好ましい。ばね部材6を幅方向に圧縮すると、初期の状態に復帰できる。
【0043】
図7に示した状態から、一対のシャッタ部51s・51s(図6参照)が上昇すると、ばね部材6は、メスハウジング2の内壁に形成された逆V字状のスロットに保持されているので、幅方向に圧縮され、その反力として、一対のシャッタ部51s・51sを押す力を付勢している。
【0044】
[電気コネクタの作用]
次に、実施形態による電気コネクタの動作を説明しながら、電気コネクタの作用及び効果を説明する。
【0045】
図9から図11を参照して、図11(A)に示すように、メスコネクタ20をオスコネクタ10に挿入する直前の状態では、シャッタ5に備わる従動子51bがカム溝11dの始端に位置している。図11(A)に示した状態から、メスコネクタ20をオスコネクタ10に更に挿入すると、従動子51bは、傾斜部111に沿って案内される(図10の丸囲み数「1」参照)。
【0046】
図11(B)に示すように、従動子51bが傾斜部111を上りきった状態では、シャッタ5は、メスコネクタ20とオスコネクタ10が嵌合する方向と略直交する方向に移動している。つまり、シャッタ5は、雄端子3を雌端子4に接続可能に開いている。この場合、ばね部材6は、シャッタ5に押されて、メスハウジング2の内部で最上段に位置している(図8参照)。
【0047】
図11(B)に示した状態から、メスコネクタ20をオスコネクタ10に更に挿入すると、従動子51bは、平坦部112に沿って案内される(図10の丸囲み数「2」参照)。そして、雄端子3を雌端子4に接続できる。従動子51bが平坦部112を進行中は、従動子51bを引き返すことも可能であり、図11(A)に示した状態に戻ることもできいる。
【0048】
図11(B)に示した状態から、メスコネクタ20がオスコネクタ10と完全に嵌合すると、シャッタ5は、ばね部材6に付勢されているので、従動子51bは、平坦部112の終端から落下し、図11(C)に示すように、停止壁に当接する(図10の丸囲み数「3」参照)。
【0049】
図11(C)に示した状態では、シャッタ部51sの下端縁は(図6参照)、雄端子3に近接しているが雄端子3には当接していない。これにより、シャッタ部51sが雄端子3に当接することなく、オスコネクタ10からメスコネクタ20を容易に引き抜くことができる。
【0050】
図11(C)に示した状態から、メスコネクタ20をオスコネクタ10から引き抜くと、従動子51bは、図11(D)に示した状態から図11(E)に示した状態に移動する。言い換えれば、従動子51bは、図10の丸囲み数「4」から図10の丸囲み数「5」に移動する。そして、従動子51bは、図11(A)に示した初期の状態に復帰できる。このように、従動子51bは、部分的に不可逆の軌跡を進行する。
【0051】
図11(E)に示した状態から、メスコネクタ20をオスコネクタ10から引き抜くと、雌端子4と雄端子3の接続が物理的に解除され、シャッタ5が挿通開口21hを瞬時に閉鎖するので、雌端子4と雄端子3間に発生するアーク放電を遮断(消弧)できる。これにより、実施形態による電気コネクタは、アーク放電に起因するハウジングの損傷及び嵌合相手の端子の劣化を防止できる。
【0052】
実施形態による電気コネクタは、メスコネクタ20をオスコネクタ10に嵌合するときは、メスコネクタ20をオスコネクタ10に挿入するだけで、シャッタ5が開き、メスコネクタ20とオスコネクタ10を嵌合できる。
【0053】
本発明による電気コネクタは、シャッタ5をメスコネクタ側に設け、シャッタ5の動作を規定するカム溝をオスコネクタ側に設けた実施形態を開示したが、シャッタ5の動作を規定するカム溝をメスコネクタ側に設け、カム溝に案内される従動子をオスコネクタ側に設けることもできる。
【0054】
実施形態による電気コネクタは、電線対基板用の電気コネクタに適合可能な実施形態を開示している。図3を参照にすると、オスコネクタ10は、プリント基板(図示せず)に位置決めするための位置決めピン11pをオスハウジング1の底面から突出している。
【0055】
本発明による電気コネクタは、電線対電線用の電気コネクタに応用でき、基板対基板用の電気コネクタに応用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 オスハウジング
2 メスハウジング
3 雄端子
4 雌端子
5 シャッタ
6・6 一対のばね部材
10 オスコネクタ
20 メスコネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12