(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160492
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】ダストカバー
(51)【国際特許分類】
F16J 3/04 20060101AFI20231026BHJP
F16J 15/52 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
F16J3/04 Z
F16J15/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070895
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 誠一
【テーマコード(参考)】
3J043
3J045
【Fターム(参考)】
3J043CA02
3J043CB13
3J043DA20
3J043FA02
3J043FA05
3J043FB10
3J043HA01
3J043HA05
3J045AA10
3J045BA02
3J045CB17
3J045CB18
3J045EA10
(57)【要約】
【課題】シール部とステアリングシャフトとの間に隙間が生じにくいダストカバーを提供すること。
【解決手段】ダストカバーは、ステアリングシャフトの外周面に取り付けられ且つ中心軸の軸回りの周方向に沿って延びる筒状のブッシュと、筒状部材とブッシュとの間の隙間を塞ぐベローズと、を備える。ベローズは、ステアリングシャフトの外周面に向けて突出し且つ先端が外周面に当接するシール部を含み、ベローズはブッシュよりも軟らかい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュパネルの筒状部材を貫通して中心軸の軸方向に延びるステアリングシャフトの外周面に取り付けられ且つ前記中心軸の軸回りの周方向に沿って延びる筒状のブッシュと、
前記筒状部材と前記ブッシュとの間の隙間を塞ぐベローズと、
を備え、
前記ベローズは、前記ステアリングシャフトの前記外周面に向けて突出し且つ先端が当該外周面に当接するシール部を含み、
前記ベローズは前記ブッシュよりも軟らかい、
ダストカバー。
【請求項2】
前記ベローズは、前記ブッシュの外周に沿って周方向に延びる筒状の環状部と、当該環状部から径方向外側に向けて延びる径方向壁部と、当該径方向壁部における径方向外側端から軸方向に向けて屈曲する屈曲部と、を備え、
前記シール部は、
前記径方向壁部から、前記ステアリングシャフトの前記外周面に向けて突出する、
請求項1に記載のダストカバー。
【請求項3】
前記ベローズは、前記ブッシュの外周に沿って周方向に延びる筒状の環状部と、当該環状部から径方向外側に向けて延びる径方向壁部と、当該径方向壁部における径方向外側端から軸方向に向けて屈曲する屈曲部と、を備え、
前記シール部は、
前記屈曲部から、前記ステアリングシャフトの前記外周面に向けて突出する、
請求項1に記載のダストカバー。
【請求項4】
前記シール部は、
前記径方向壁部に接合されるベース部と、
当該ベース部の前記径方向壁部とは軸方向の反対側に設けられ且つ前記先端が設けられるリップ部と、を備え、
前記ベース部における径方向の内側端は、前記環状部の内周面よりも径方向内側に位置し、
前記ブッシュは、
前記環状部と前記ベース部とに当接する、
請求項2に記載のダストカバー。
【請求項5】
前記屈曲部と前記ベース部とは径方向で間隔を空けて対向する、
請求項4に記載のダストカバー。
【請求項6】
前記シール部は、
前記ブッシュの外周に沿って周方向に延びる筒部と、
前記筒部における軸方向の一方側に設けられ、且つ、軸方向の一方側の先端が前記ステアリングシャフトの前記外周面に接する第1シール部と、
前記筒部における軸方向の他方側に設けられ、且つ、軸方向の他方側の先端が前記ステアリングシャフトの前記外周面に接する第2シール部と、を備える、
請求項1に記載のダストカバー。
【請求項7】
前記ベローズは、前記筒部の外周に沿って延び且つ当該筒部の外周に接合される筒状の環状部を備える、
請求項6に記載のダストカバー。
【請求項8】
前記環状部と前記筒部のうちの一方は凸部を有し、他方は前記凸部に嵌合する凹部を有する、
請求項7に記載のダストカバー。
【請求項9】
前記凸部は、基部と、当該基部の先端に設けられる先端部と、を備え、
前記先端部の軸方向長さは、前記基部の軸方向長さよりも大きい、
請求項8に記載のダストカバー。
【請求項10】
前記環状部および前記筒部は、2色成形品である、
請求項8または9に記載のダストカバー。
【請求項11】
前記ベローズは、前記筒部における軸方向の一方側から径方向外側に向けて延びる第1径方向壁部と、前記筒部の外周における軸方向の他方側から径方向外側に向けて延びる第2径方向壁部と、を備える、
請求項6に記載のダストカバー。
【請求項12】
前記第1径方向壁部および前記第2径方向壁部のそれぞれの径方向内側端部は、軸方向に突出する凸部を有し、
前記筒部は前記凸部に嵌合する凹部を有する、
請求項11に記載のダストカバー。
【請求項13】
前記第1径方向壁部および前記第2径方向壁部のそれぞれの径方向内側端部は、径方向内側に行くに従って軸方向距離が大きくなり且つ前記筒部の外周に接合される接合部を有する、
請求項11に記載のダストカバー。
【請求項14】
前記接合部は、前記筒部の外周に接着される、
請求項13に記載のダストカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステアリングシャフトとダッシュパネルとの間の隙間に配置されるダストカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のステアリングシャフトとダッシュパネルの貫通部との間の隙間にダストカバーが設けられる場合がある(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載されたダストカバーは、ベローズと、ステアリングシャフトに取り付けられる筒状のブッシュと、ブッシュの軸方向の一方側と他方側とに加硫接着される2つのシール部材と、を備える。シール部材は、先端がステアリングシャフトの外周面に当接し、車室外(例えばエンジンルーム)から車室内へ粉塵等が侵入することを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ブッシュはベローズよりも硬く、当該ブッシュにシール部材が接着される。従って、ステアリングシャフトの軸心に対してブッシュの軸心が傾いた場合には、シール部材の先端がステアリングシャフトの外周面から離れて当該先端と外周面との間に隙間が生じる可能性がある。即ち、シール部材が接着されるブッシュが硬いため、ステアリングシャフトに対してブッシュが径方向にずれた場合には、シール部材の追従性が足りずに当該先端と外周面との間に隙間が生じ、車室外から車室内へ粉塵等が侵入する可能性がある。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、シール部とステアリングシャフトとの間に隙間が生じにくいダストカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様のダストカバーは、ダッシュパネルの筒状部材を貫通して中心軸の軸方向に延びるステアリングシャフトの外周面に取り付けられ且つ前記中心軸の軸回りの周方向に沿って延びる筒状のブッシュと、前記筒状部材と前記ブッシュとの間の隙間を塞ぐベローズと、を備え、前記ベローズは、前記ステアリングシャフトの前記外周面に向けて突出し且つ先端が当該外周面に当接するシール部を含み、前記ベローズは前記ブッシュよりも軟らかい。
【0007】
前述したように、特許文献1のダストカバーでは、シール部材をブッシュに接着させるため、ステアリングシャフトに対してブッシュが径方向にずれた場合には、シール部材の追従性が足りずに当該先端と外周面との間に隙間が生じ、車室外から車室内へ粉塵等が侵入する可能性がある。
【0008】
これに対して、本開示では、シール部がベローズに含まれ、ベローズはブッシュよりも軟らかい。従って、シール部がブッシュに接着される特許文献1と比較して、ステアリングシャフトに対してブッシュが径方向にずれた場合にシール部がより柔軟になりシール部の先端とステアリングシャフトとの当接状態がより確実に維持される。よって、シール部の先端とステアリングシャフトとの間に隙間が生じにくくなり、車室外から車室内へ粉塵等が侵入することがより抑制される。
【0009】
ダストカバーの望ましい態様として、前記ベローズは、前記ブッシュの外周に沿って周方向に延びる筒状の環状部と、当該環状部から径方向外側に向けて延びる径方向壁部と、当該径方向壁部における径方向外側端から軸方向に向けて屈曲する屈曲部と、を備え、前記シール部は、前記径方向壁部から、前記ステアリングシャフトの前記外周面に向けて突出する。環状部はブッシュに固定され、径方向壁部は環状部に繋がる。よって、径方向壁部は屈曲部よりも剛性が高い。従って、シール部の厚さを薄くしても、シール部の先端とステアリングシャフトとの当接状態が維持されるため、シール部のコスト低減を図ることができる。
【0010】
ダストカバーの望ましい態様として、前記ベローズは、前記ブッシュの外周に沿って周方向に延びる筒状の環状部と、当該環状部から径方向外側に向けて延びる径方向壁部と、当該径方向壁部における径方向外側端から軸方向に向けて屈曲する屈曲部と、を備え、前記シール部は、前記屈曲部から、前記ステアリングシャフトの前記外周面に向けて突出する。
【0011】
環状部はブッシュに固定される。屈曲部は、径方向壁部を介して環状部と連結される。よって、環状部および径方向壁部よりも、屈曲部の方が柔軟性が高い。従って、屈曲部にシール部を設けることにより、シール部の柔軟性がより高くなりシール部の先端とステアリングシャフトとの当接状態がさらに確実に維持される。
【0012】
ダストカバーの望ましい態様として、前記シール部は、前記径方向壁部に接合されるベース部と、当該ベース部の前記径方向壁部とは軸方向の反対側に設けられ且つ前記先端が設けられるリップ部と、を備え、前記ベース部における径方向の内側端は、前記環状部の内周面よりも径方向内側に位置し、前記ブッシュは、前記環状部と前記ベース部とに当接する。このように、ブッシュが環状部とベース部とに当接するため、ブッシュに対してベローズが軸方向に位置ずれしにくくなる。
【0013】
ダストカバーの望ましい態様として、前記屈曲部と前記ベース部とは径方向で間隔を空けて対向する。従って、シール部がステアリングシャフトに当接して径方向に変形した場合でも、シール部が屈曲部に干渉しにくくなる。
【0014】
ダストカバーの望ましい態様として、前記シール部は、前記ブッシュの外周に沿って周方向に延びる筒部と、前記筒部における軸方向の一方側に設けられ、且つ、軸方向の一方側の先端が前記ステアリングシャフトの前記外周面に接する第1シール部と、前記筒部における軸方向の他方側に設けられ、且つ、軸方向の他方側の先端が前記ステアリングシャフトの前記外周面に接する第2シール部と、を備える。このように、第1シール部と第2シール部とが筒部を介して繋がるため、第1シール部と第2シール部とが繋がっていない場合よりも、シール部の成形作業が容易になる。
【0015】
ダストカバーの望ましい態様として、前記ベローズは、前記筒部の外周に沿って延び且つ当該筒部の外周に接合される筒状の環状部を備える。このように、筒部を環状部に接合させることによってシール部が形成されるため、シール部の成形作業がより容易になる。
【0016】
ダストカバーの望ましい態様として、前記環状部と前記筒部のうちの一方は凸部を有し、他方は前記凸部に嵌合する凹部を有する。従って、環状部と筒部との結合強度がより高くなる。
【0017】
ダストカバーの望ましい態様として、前記凸部は、基部と、当該基部の先端に設けられる先端部と、を備え、前記先端部の軸方向長さは、前記基部の軸方向長さよりも大きい。このように、先端部が基部よりも幅が大きく、先端部が凹部に引っ掛かるため、環状部と筒部との結合強度がより高くなる。
【0018】
ダストカバーの望ましい態様として、前記環状部および前記筒部は、2色成形品であるため、凸部と凹部の成形がより容易になる。
【0019】
ダストカバーの望ましい態様として、前記ベローズは、前記筒部における軸方向の一方側から径方向外側に向けて延びる第1径方向壁部と、前記筒部の外周における軸方向の他方側から径方向外側に向けて延びる第2径方向壁部と、を備える。従って、第1径方向壁部と第2径方向壁部とのそれぞれを筒部に接合させることができるため、当該接合作業がより容易になる。
【0020】
ダストカバーの望ましい態様として、前記第1径方向壁部および前記第2径方向壁部のそれぞれの径方向内側端部は、軸方向に突出する凸部を有し、前記筒部は前記凸部に嵌合する凹部を有する。従って、第1径方向壁部の径方向内側端部と筒部との結合強度、および、第2径方向壁部の径方向内側端部と筒部との結合強度がより高くなる。
【0021】
ダストカバーの望ましい態様として、前記第1径方向壁部および前記第2径方向壁部のそれぞれの径方向内側端部は、径方向内側に行くに従って軸方向距離が大きくなり且つ前記筒部の外周に接合される接合部を有する。このように、筒部の外周に接合される接合部の軸方向距離は、その他の部位の軸方向距離よりも大きい。従って、筒部との接合面積が大きくなるため、第1径方向壁部および第2径方向壁部のそれぞれと筒部との接合強度がより大きくなる。
【0022】
ダストカバーの望ましい態様として、前記接合部は、前記筒部の外周に接着されるため、第1径方向壁部および第2径方向壁部と筒部との接合がより容易になる。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、シール部とステアリングシャフトとの間に隙間が生じにくいダストカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、第1実施形態のステアリング装置の模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のステアリング装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、車両に取り付けられたダストカバーの断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態のダストカバーの正面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態のダストカバーの断面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態のダストカバーの断面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る変形例1のダストカバーの断面図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材と第1嵌合部と第2嵌合部とに対応する部分を除いた図に相当する。
【
図12】
図12は、第4実施形態に係る変形例2のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材と第1嵌合部と第2嵌合部とに対応する部分を除いた図に相当する。
【
図13】
図13は、第4実施形態に係る変形例3のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材と第1嵌合部と第2嵌合部とに対応する部分を除いた図に相当する。
【
図14】
図14は、第4実施形態に係る変形例4のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材と第1嵌合部と第2嵌合部とに対応する部分を除いた図に相当する。
【
図15】
図15は、第4実施形態に係る変形例5のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材と第1嵌合部と第2嵌合部とに対応する部分を除いた図に相当する。
【
図16】
図16は、第4実施形態に係る変形例6のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材と第1嵌合部と第2嵌合部とに対応する部分を除いた図に相当する。
【
図17】
図17は、第5実施形態のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材と第1嵌合部と第2嵌合部とに対応する部分を除いた図に相当する。
【
図18】
図18は、第5実施形態に係る変形例7のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材と第1嵌合部と第2嵌合部とに対応する部分を除いた図に相当する。
【
図19】
図19は、第5実施形態に係る変形例8のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材と第1嵌合部と第2嵌合部とに対応する部分を除いた図に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、各図において車室側をINと表示し、エンジンルーム側をOUTと表示する。また、各実施形態および変形例において、同一の構成には同一の符号を付けて説明を省略する。
【0026】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態のステアリング装置の模式図である。
図2は、第1実施形態のステアリング装置の斜視図である。
【0027】
図1に示すように、ステアリング装置80は、ステアリングホイール81と、第1ステアリングシャフト82と、操舵力アシスト機構83と、第1ユニバーサルジョイント84と、第2ステアリングシャフト85と、第2ユニバーサルジョイント86と、を備え、第3ステアリングシャフト87に接合されている。
【0028】
図1に示すように、第1ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bとを備える。入力軸82aの一方の端部がステアリングホイール81に連結され、入力軸82aの他方の端部が出力軸82bに連結される。また、出力軸82bの一方の端部が入力軸82aに連結され、出力軸82bの他方の端部が第1ユニバーサルジョイント84に連結される。
【0029】
図1に示すように、第2ステアリングシャフト85は、第1ユニバーサルジョイント84と第2ユニバーサルジョイント86とを連結している。第2ステアリングシャフト85の一方の端部が第1ユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部が第2ユニバーサルジョイント86に連結される。第3ステアリングシャフト87の一方の端部が第2ユニバーサルジョイント86に連結され、第3ステアリングシャフト87の他方の端部がステアリングギヤ88に連結される。
図2に示すように、第2ステアリングシャフト85は、ダッシュパネル10を貫通している。ダッシュパネル10は、車室とエンジンルームとを隔てる仕切り板である。
【0030】
図1に示すように、ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bとを備える。ピニオン88aは、第3ステアリングシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に連結される。ラック88bが移動することで車輪の角度が変化する。
【0031】
図1に示すように、操舵力アシスト機構83は、減速装置92と、電動モータ93とを備える。減速装置92は、例えばウォーム減速装置である。電動モータ93で生じたトルクは、減速装置92の内部のウォームを介してウォームホイールに伝達され、ウォームホイールを回転させる。減速装置92は、ウォームおよびウォームホイールによって、電動モータ93で生じたトルクを増加させる。そして、減速装置92は、出力軸82bに補助操舵トルクを与える。すなわち、ステアリング装置80はコラムアシスト方式である。以下に、コラムアシスト方式について簡単に説明する。電動パワーステアリングは、油圧を使わずにモータでステアリングホイールの操舵をアシストするシステムである。電動パワーステアリングの方式には、例えば、コラムアシスト方式、ピニオンアシスト方式およびラックアシスト方式がある。このうち、コラムアシスト方式は、例えば、車室内のステアリングシャフトのコラム部にモータと減速ギヤ、トルクセンサを実装しコラムシャフトを駆動するものである。
【0032】
図1に示すように、ステアリング装置80は、ECU(Electronic Control Unit)90と、トルクセンサ94と、車速センサ95と、を備える。電動モータ93、トルクセンサ94および車速センサ95は、ECU90と電気的に接続される。トルクセンサ94は、入力軸82aに伝達された操舵トルクをCAN(Controller Area Network)通信によりECU90に出力する。車速センサ95は、ステアリング装置80が搭載される車体の走行速度(車速)を検出する。車速センサ95は、車体に備えられ、車速をCAN通信によりECU90に出力する。
【0033】
ECU90は、電動モータ93の動作を制御する。ECU90は、トルクセンサ94および車速センサ95のそれぞれから信号を取得する。ECU90には、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)から電力が供給される。ECU90は、操舵トルクおよび車速に基づいて補助操舵指令値を算出する。ECU90は、補助操舵指令値に基づいて電動モータ93へ供給する電力値を調節する。ECU90は、電動モータ93から誘起電圧の情報又は電動モータ93に設けられたレゾルバ等から出力される情報を取得する。ECU90が電動モータ93を制御することで、ステアリングホイール81の操作に要する力が小さくなる。
【0034】
図3は、車両に取り付けられたダストカバーの断面図である。
図4は、第1実施形態のダストカバーの正面図である。
図5は、
図4におけるV-V断面図である。
図6は、
図5のベローズを示す断面図である。
【0035】
以下の説明において、第2ステアリングシャフト85の中心軸Zに沿う方向は軸方向と記載され、軸方向に対する直交方向は径方向と記載され、中心軸Zを中心とした円に沿う方向は周方向と記載される。また、エンジンルーム側(OUT)を軸方向の一方側、車室側(IN)を軸方向の他方側とも称する。
【0036】
図3に示すように、ダッシュパネル10は、筒状部材101を備える。筒状部材101の内周面は、第2ステアリングシャフト85の外周面85aと対向する。第2ステアリングシャフト85は、ステアリングホイール81の位置の調整又は走行中の振動等に伴って移動することがある。このため、筒状部材101の内周面と第2ステアリングシャフト85の外周面85aとの間には環状の隙間が設けられている。この隙間を塞ぐために、ステアリング装置80は、ダストカバー1を備える。
【0037】
ダストカバー1は、筒状部材101の内周面に嵌められている。筒状部材101の外周面に取り付けられたバンド100によって、ダストカバー1が筒状部材101に固定されている。筒状部材101は、バンド100で締め付けられることで変形する。例えば、筒状部材101は金属で形成されている。筒状部材101が金属である場合、筒状部材101は
図3に示すように軸方向に沿ったスリット102を有することが好ましい。筒状部材101がスリット102を有することで、筒状部材101がバンド100で締め付けられた時に容易に変形する。
【0038】
図4および
図5に示すように、ダストカバー1は、ベローズ2と、ブッシュ5と、取付部材6と、を備える。ベローズ2、ブッシュ5および取付部材6は、中心軸Zの軸回りの周方向に沿って環状に延びる。
【0039】
取付部材6は、ベローズ2を
図3に示す筒状部材101に押し付ける部材である。取付部材6は、例えばアルミニウム合金で形成される。取付部材6は、合成樹脂で形成されていてもよい。
図5に示すように、取付部材6は、本体部61と、フランジ部62と、を備える。本体部61は、円筒状であって、外周面に環状の溝611を備える。フランジ部62は、本体部61から径方向外側に向かって突出する。フランジ部62が筒状部材101に接することで、取付部材6が位置決めされる。
【0040】
図5および
図6に示すように、ベローズ2は、環状部20と、第1可撓部21と、第1嵌合部22と、第2可撓部25と、第2嵌合部26と、シール部3と、を備える。環状部20は、ベローズ2の部位のうち径方向内側の端部に位置している。第1可撓部21は、環状部20と第1嵌合部22とを連結している。中心軸Zを含む断面において、第1可撓部21はエンジンルーム側(軸方向の一方側)に凸の略U字状である。
【0041】
第1嵌合部22は、取付部材6の溝611に嵌まる。第2可撓部25は、環状部20と第2嵌合部26とを連結している。中心軸Zを含む断面において、第2可撓部25はエンジンルーム側(軸方向の一方側)に凸の略U字状である。第2可撓部25において、最もエンジンルーム側に位置する部位は頂部25aである。第2嵌合部26は、フランジ部62と第1嵌合部22との間に嵌まる。第1可撓部21および第2可撓部25は、環状部20により連結されている。シール部3については、詳細に後述する。
【0042】
ブッシュ5は、第2ステアリングシャフト85を回転可能に支持する軸受である。ブッシュ5は、
図3に示すように、ダッシュパネル10の筒状部材101を貫通して中心軸Zの軸方向に延びる第2ステアリングシャフト85の外周面85aに取り付けられる。ブッシュ5は、第2ステアリングシャフト85の中心軸Zの軸回りの周方向に沿って延びる円筒部材である。
図5に示すように、ブッシュ5は、本体部50と、フランジ53、54と、を有する。本体部50は、中心軸Zの軸回りの周方向に延びる円筒形状を有する。本体部50の内周面52には、潤滑剤溝55が設けられる。潤滑剤溝55は、軸方向に沿って延びる。潤滑剤溝55は、例えばブッシュ5の軸方向の全長に亘って延びる。例えば、複数の潤滑剤溝55が周方向で等間隔に配置されている。潤滑剤溝55には、潤滑剤としてのグリースが充填されている。これにより、ブッシュ5の内周面52と第2ステアリングシャフト85の外周面85aとの間の摩擦が低減される。
【0043】
また、
図5に示すように、本体部50における軸方向の一端部には、フランジ53が径方向外側に向けて突出し、軸方向の他端部には、フランジ54が径方向外側に向けて突出する。フランジ53、54によって、ブッシュ5の外周には凹溝51が形成される。凹溝51には、ベローズの環状部20が嵌合する。具体的には、環状部20における軸方向の一端部から径方向壁部210が径方向外側に向けて突出し、環状部20における軸方向の他端部から径方向壁部211が径方向外側に向けて突出する。径方向壁部210の径方向外側端から軸方向の一方側に向けて屈曲部213が延びる。また、径方向壁部211の径方向外側端から軸方向の一方側に向けて屈曲部214が延びる。これらの環状部20、径方向壁部210および径方向壁部211が凹溝51に嵌合される。
【0044】
なお、ブッシュ5は、例えばナイロンなどの合成樹脂で形成されており、硬さは例えばロックウエル硬さがM100程度である。また、ベローズ2のうち、シール部3の材質は、例えば硬質ニトリルゴム(NBR)であり、硬さは例えばショア硬さがHs90程度である。そして、ベローズ2のうち、シール部3以外の部位(即ち、環状部20、第1可撓部21、第1嵌合部22、第2可撓部25および第2嵌合部26)の材質は、例えば軟質エチレンプロピレンゴム(EPDM)であり、硬さは例えばショア硬さがHs60以上70以下である。このように、ブッシュ5と、シール部3と、シール部3以外のベローズ2の部位との硬さを比較すると、ブッシュ5が最も硬く、シール部3が次に硬く、ベローズ2のうちシール部3以外の部位が最も軟らかい。
【0045】
次に、シール部3について詳述する。
図5および
図6に示すように、シール部3は、第1シール部31および第2シール部32を含む。第1シール部31は、第2可撓部25における頂部25aと径方向壁部210との間に設けられる。具体的には、屈曲部213に接合される。第1シール部31は、リップ部317を備える。中心軸Zを含む断面である
図5および
図6において、リップ部317は、径方向内側に向かうに従って先細りする略三角形の形状を有する。即ち、リップ部317は、径方向外側の端部に位置する接合面316から先端311に行くに従って先細りする略三角形である。接合面316は第2可撓部25の屈曲部213に接合される。先端311は、第2ステアリングシャフト85の外周面85aよりも径方向内側に位置する。
【0046】
第2シール部32は、リップ部327を備える。
図5および
図6において、リップ部327は、径方向内側に向かうに従って先細りする略三角形の形状を有する。リップ部327の接合面326は第1可撓部21に接合される。具体的には、径方向壁部211には、軸方向壁部212が車室側(軸方向の他方側)に向けて延びている。軸方向壁部212の端部に、リップ部327の接合面326が接合される。先端321は、第2ステアリングシャフト85の外周面85aよりも径方向内側に位置する。なお、第1シール部31と屈曲部213との接合、および、第2シール部32と第1可撓部21との接合について、接合方法は、例えば、接着剤による接着、2色成形による接合などが適用可能である。
【0047】
以上説明したように、第1実施形態において、ダストカバー1は、ダッシュパネル10の筒状部材101を貫通して中心軸Zの軸方向に延びる第2ステアリングシャフト(ステアリングシャフト)85の外周面85aに取り付けられ且つ中心軸Zの軸回りの周方向に沿って延びる筒状のブッシュ5と、筒状部材101とブッシュ5との間の隙間を塞ぐベローズ2と、を備える。ベローズ2は、第2ステアリングシャフト85の外周面85aに向けて突出し且つ先端311、321が外周面85aに当接するシール部3を含み、ベローズ2はブッシュ5よりも軟らかい。
【0048】
前述したように、特許文献1のダストカバーでは、シール部材をブッシュに接着させるため、ステアリングシャフトに対してブッシュが径方向にずれた場合には、シール部材の追従性が足りずに当該先端と外周面との間に隙間が生じ、車室外から車室内へ粉塵等が侵入する可能性がある。
【0049】
これに対して、第1実施形態では、シール部3がベローズ2に含まれ、ベローズ2はブッシュ5よりも軟らかい。従って、シール部3がブッシュ5に接着される場合と比較して、第2ステアリングシャフト85に対してブッシュ5が径方向にずれた場合にシール部3がより柔軟になりシール部3の先端311、321と第2ステアリングシャフト85との当接状態がより確実に維持される。よって、シール部3の先端311と第2ステアリングシャフト85との間に隙間が生じにくくなり、車室外から車室内へ粉塵等が侵入することがより抑制される。
【0050】
また、ベローズ2は、ブッシュ5の外周に沿って周方向に延び且つブッシュ5に固定される筒状の環状部20と、環状部20から径方向外側に向けて延びる径方向壁部210と、径方向壁部210における径方向外側端から軸方向に向けて屈曲する屈曲部213と、を備える。シール部3は、屈曲部213から、第2ステアリングシャフト85の外周面85aに向けて突出する。
【0051】
環状部20はブッシュ5に固定される。屈曲部213は、環状部20と径方向壁部210を介して連結される。よって、環状部20および径方向壁部210よりも、屈曲部213の方が柔軟性が高い。従って、屈曲部213にシール部3を設けることにより、シール部3の柔軟性がより高くなりシール部3の先端311、321と第2ステアリングシャフト85との当接状態がさらに確実に維持される。
【0052】
[第2実施形態]
次いで、本発明の第2実施形態を説明する。
図7は、第2実施形態のダストカバーの断面図である。
図8は、
図7の一部を示す断面図である。第2実施形態のダストカバー1Aは、第1実施形態のダストカバー1に対してシール部3Aとブッシュ5Aが相違するため、以下、シール部3Aとブッシュ5Aについて詳述する。
【0053】
ベローズ2Aは、シール部3Aを含む。
図7および
図8に示すように、シール部3Aは、第1シール部31Aおよび第2シール部32Aを含む。第1シール部31Aは、第2可撓部25における径方向壁部210に接合される。当該接合の方法は、第1実施形態と同様に、接着および2色成形が適用可能である。第1シール部31Aは、ベース部316Aと、リップ部317Aと、を備える。中心軸Zを含む断面である
図7および
図8において、ベース部316Aは、矩形状である。径方向壁部210における径方向外側端部から、エンジンルーム側(軸方向の一方側)に向けて屈曲部213が延びる。これらの径方向壁部210と屈曲部213との交差部分の角部に、ベース部316Aが接合される。即ち、ベース部316Aは、径方向壁部210と屈曲部213との双方に接合される。当該接合の方法は、第1実施形態と同様に、接着および2色成形が適用可能である。また、ベース部316Aの径方向内側部分の端面316Aaは、環状部20の内周面20aよりも径方向内側に位置する。リップ部317Aは、径方向内側に向かうに従って先細りする略三角形の形状を有する。
【0054】
第2シール部32Aは、第1可撓部21における径方向壁部211に接合される。第2シール部32Aは、ベース部326Aと、リップ部327Aと、を備える。中心軸Zを含む断面である
図7および
図8において、ベース部326Aは、矩形状である。径方向壁部211に、ベース部326Aが接合される。当該接合の方法は、第1実施形態と同様に、接着および2色成形が適用可能である。また、ベース部326Aの径方向内側部分の端面326Aaは、環状部20の内周面20aよりも径方向内側に位置する。リップ部327Aは、径方向内側に向かうに従って先細りする略三角形の形状を有する。
【0055】
また、ブッシュ5Aは、中心軸Zを中心とする円筒形状を有する。ブッシュ5Aは、環状部20の内周側に嵌合される。即ち、端面316Aaおよび端面326Aaは、環状部20の内周面20aよりも径方向内側に位置するため、環状部20の内周面20aと、ベース部316Aと、ベース部326Aと、で径方向内側が開口する凹部が形成される。当該凹部にブッシュ5Aが嵌合される。
【0056】
以上説明したように、第2実施形態において、シール部3Aの第1シール部31Aは、径方向壁部210と屈曲部213との双方に接合されるベース部316Aと、ベース部316Aの径方向壁部210とは軸方向の反対側に設けられ且つ先端311が設けられるリップ部317Aと、を備える。ベース部316Aにおける径方向の内側端(端面316Aa)は、環状部20の内周面20aよりも径方向内側に位置する。ブッシュ5は、環状部20とベース部316Aとに当接する。また、シール部3Aの第2シール部32Aは、径方向壁部211に接合されるベース部326Aと、ベース部326Aの径方向壁部211とは軸方向の反対側に設けられ且つ先端321が設けられるリップ部327Aと、を備える。ベース部326における径方向の内側端(端面326Aa)は、環状部20の内周面20aよりも径方向内側に位置する。ブッシュ5は、環状部20とベース部326Aとに当接する。
【0057】
このように、ブッシュ5が環状部20とベース部316Aおよびベース部326Aとに当接するため、ブッシュ5に対してベローズ2が軸方向に位置ずれしにくくなる。
【0058】
[第3実施形態]
次いで、本発明の第3実施形態を説明する。
図9は、第3実施形態のダストカバーの断面図である。第3実施形態のダストカバー1Bは、第1実施形態のダストカバー1に対してシール部3Bが相違するため、以下、シール部3Bについて詳述する。
【0059】
ベローズ2Bは、シール部3Bを含む。
図9に示すように、シール部3Bは、第1シール部31Bおよび第2シール部32を含む。第1シール部31Bは、ベース部316Bと、リップ部317Bと、を備える。中心軸Zを含む断面である
図9において、ベース部316Bは、矩形状である。ベース部316Bは、第2可撓部25における径方向壁部210に接合される。当該接合の方法は、第1実施形態と同様に、接着および2色成形が適用可能である。径方向壁部210における径方向外側端部から、エンジンルーム側(軸方向の一方側)に向けて屈曲部213が延びる。屈曲部213とベース部316Bとは径方向に対向している。屈曲部213の内周と、ベース部316Bにおける外周とは、径方向に離隔される。屈曲部213はベース部316Bよりも径方向外側に位置する。屈曲部213とベース部316Bとの間には隙間120が設けられる。リップ部317Bは、径方向内側に向かうに従って先細りする略三角形の形状を有する。なお、第2シール部32は、
図5および
図6の第2シール部32と同じである。
【0060】
以上説明したように、第3実施形態において、屈曲部213とベース部316Bとは径方向で間隔を空けて対向する。従って、シール部3が第2ステアリングシャフト85に当接して径方向に変形した場合でも、シール部3が屈曲部213に干渉しにくくなる。
【0061】
[変形例1]
次いで、本発明の第3実施形態に係る変形例1を説明する。
図10は、第3実施形態に係る変形例1のダストカバーの断面図である。変形例1のダストカバー1Cは、第2実施形態のダストカバー1Aに対してシール部の径方向位置が相違する。
【0062】
ベローズ2Cは、シール部3Cを含む。
図10に示すように、シール部3Cは、第1シール部31Cおよび第2シール部32Cを含む。第1シール部31Cは、ベース部316Cと、リップ部317Cと、を備える。中心軸Zを含む断面である
図10において、ベース部316Cは、矩形状である。ベース部316Cは、第2可撓部25における径方向壁部210に接合される。当該接合の方法は、第1実施形態と同様に、接着および2色成形が適用可能である。屈曲部213とベース部316Cとは径方向に対向している。屈曲部213の内周と、ベース部316Cにおける外周とは、径方向に離隔される。屈曲部213はベース部316Cよりも径方向外側に位置する。屈曲部213とベース部316Cとの間には隙間120が設けられる。ベース部316Cの径方向内側部分の端面316Caは、環状部20の内周面20aよりも径方向内側に位置する。リップ部317Cは、径方向内側に向かうに従って先細りする略三角形の形状を有する。
【0063】
第2シール部32Cは、第1可撓部21における径方向壁部211に接合される。当該接合の方法は、第1実施形態と同様に、接着および2色成形が適用可能である。第2シール部32Cは、ベース部326Cと、リップ部327Cと、を備える。中心軸Zを含む断面である
図10において、ベース部326Cは、矩形状である。径方向壁部211に、ベース部326Cが接合される。また、ベース部326Cの径方向内側部分の端面326Caは、環状部20の内周面20aよりも径方向内側に位置する。リップ部327Cは、径方向内側に向かうに従って先細りする略三角形の形状を有する。
【0064】
以上説明したように、変形例1においても、屈曲部213とベース部316Cとは径方向で間隔を空けて対向する。従って、シール部3が第2ステアリングシャフト85に当接して径方向に変形した場合でも、シール部3が屈曲部213に干渉しにくくなる。
【0065】
[第4実施形態]
次いで、本発明の第4実施形態を説明する。
図11は、第4実施形態のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材6と第1嵌合部22と第2嵌合部26とに対応する部分を除いた図に相当する。第4実施形態のダストカバー1Dは、第3実施形態のダストカバー1Bに対して第1シール部と第2シール部とが繋がっている点が相違する。
【0066】
ベローズ2Dは、シール部3Dを含む。
図11に示すように、シール部3Dは、第1シール部31Dと、第2シール部32Dと、筒部30と、を含む。第1シール部31Dと、第2シール部32Dとは、筒部30を介して軸方向に繋がっている。筒部30は、ブッシュ5A(
図10参照)の外周に沿って周方向に延びる。第1シール部31Dは、筒部30における軸方向の一方側に設けられ、且つ、軸方向の一方側の先端311が第2ステアリングシャフト85の外周面85aに接する。第2シール部32Dは、筒部30における軸方向の他方側に設けられ、且つ、軸方向の他方側の先端321が第2ステアリングシャフト85の外周面85aに接する。
【0067】
第1シール部31Dは、ベース部316Dと、リップ部317Dと、突出部313と、を備える。第2シール部32Dは、ベース部326Dと、リップ部327Dと、突出部313と、を備える。筒部30の外周314は、ベース部316D、326Dの外周よりも径方向内側に位置する。従って、シール部3Dの外周には、ベース部316D、326Dと筒部30とによって凹部が形成され、当該凹部に環状部20が嵌合された状態で、環状部20が筒部30に接合される。当該接合の方法は、第1実施形態と同様に、接着および2色成形が適用可能である。
【0068】
図11に示すように、第1シール部31Dの先端311の内径および第2シール部32Dの先端321の内径を内径Aとする。ブッシュ5Aの内径を内径Bとする。突出部313の内側端の内径を内径Cとする。内径Bは内径Aよりも大きく、内径Cは内径Bよりも大きい。即ち、内径A、内径B、内径Cの順に大きくなる。なお、
図12から
図19においても、内径A、内径Bおよび内径Cは同様の大きさの順に形成される。
【0069】
突出部313における径方向の内側端は、筒部30の内周面よりも径方向内側に位置する。よって、第1シール部31Dの突出部313と、筒部30と、第2シール部32Dの突出部313とで径方向内側が開口する凹部が形成される。当該凹部にブッシュ5Aが嵌合される。
【0070】
また、第2ステアリングシャフト85がブッシュ5の内周に挿入された状態において、第2ステアリングシャフト85の中心軸Zとブッシュ5の軸心とが一致する場合は、シール部3Dの先端311,321が第2ステアリングシャフト85の外周面85aに当接し、シール部3Dが弾性変形する。
【0071】
第2ステアリングシャフト85がブッシュ5の内周に挿入された状態において、第2ステアリングシャフト85の中心軸Zとブッシュ5の軸心とがずれた場合は、第2ステアリングシャフト85に対してブッシュ5が追従して移動する。このため、シール部3Dの先端311,321が第2ステアリングシャフト85の外周面85aに当接するので、シール部3Dの先端311,321と第2ステアリングシャフト85の外周面85aとの隙間が発生することが抑止される。
【0072】
突出部313の内周端は、第2ステアリングシャフト85の外周面85aに当接しない。前述のように、突出部313で形成される凹部にブッシュ5Aが嵌合される。
【0073】
以上説明したように、第4実施形態において、シール部3Dは、ブッシュ5の外周に沿って周方向に延び且つブッシュ5に組み付けられる筒部30と、筒部30における軸方向の一方側に設けられ、且つ、先端311が第2ステアリングシャフト85の外周面85aに接する第1シール部31Dと、筒部30における軸方向の他方側に設けられ、且つ、先端321が第2ステアリングシャフト85の外周面85aに接する第2シール部32Dと、を備える。
【0074】
このように、第1シール部31Dと第2シール部32Dとが筒部30を介して繋がるため、第1シール部と第2シール部とが繋がっていない場合よりも、シール部3Dの成形作業が容易になる。
【0075】
また、ベローズ2Dは、筒部30の外周に沿って延び且つ筒部30の外周に接合される筒状の環状部20を備える。このように、筒部30を環状部20に接合させることによってシール部3Dが形成されるため、シール部3Dの成形作業がより容易になる。
【0076】
[変形例2]
次いで、本発明の第4実施形態に係る変形例2を説明する。
図12は、第4実施形態に係る変形例2のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材6と第1嵌合部22と第2嵌合部26とに対応する部分を除いた図に相当する。変形例2のダストカバー1Eは、第4実施形態のダストカバー1Dに対して、凹凸結合構造を有する点が相違する。
【0077】
ベローズ2Eは、シール部3Eを含む。
図12に示すように、シール部3Eは、第1シール部31Eと、第2シール部32Eと、筒部30と、を含む。第1シール部31Eと、第2シール部32Eとは、筒部30を介して軸方向に繋がっている。
【0078】
第1シール部31Eは、ベース部316Dと、リップ部317Dと、突出部313と、を備える。第2シール部32Eは、ベース部326Dと、リップ部327Dと、突出部313と、を備える。なお、第1シール部31Eは第1シール部31Dと同一であり、第2シール部32Eは第2シール部32Dと同一である。筒部30は、径方向外側に向けて突出する凸部130を有する。凸部130は、基部131と、幅広部(先端部)132とを備える。幅広部132における軸方向の長さは、基部131における軸方向の長さよりも大きい。幅広部132は、基部131における径方向外側端部において、軸方向の両側に突出する。また、環状部20には、凹部140が設けられる。凹部140は、凸部130に嵌合する。凹部140は、幅狭部141と、幅広部142とを備える。幅狭部141には、基部131が嵌合し、幅広部142には、幅広部132が嵌合される。なお、凹部140に凸部130が嵌合した状態で、凹部140と凸部130とが接合される。当該接合の方法は、第1実施形態で説明した2色成形が適用可能である。この場合、環状部20および筒部30は、2色成形品である。
【0079】
以上説明したように、変形例2において、環状部20と筒部30のうちの一方(筒部30)は凸部130を有し、他方(環状部20)は凸部130に嵌合する凹部140を有する。従って、環状部20と筒部30との結合強度がより高くなる。
【0080】
また、凸部130は、基部131と、基部131の先端に設けられる幅広部132(先端部)と、を備え、幅広部132の軸方向長さは、基部131の軸方向長さよりも大きい。このように、幅広部132が基部131よりも幅が大きく、幅広部132が凹部140に引っ掛かるため、環状部20と筒部30との結合強度がより高くなる。
【0081】
なお、環状部20および筒部30は、2色成形品であるため、凸部130と凹部140の成形がより容易になる。
【0082】
[変形例3]
次いで、本発明の第4実施形態に係る変形例3を説明する。
図13は、第4実施形態に係る変形例3のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材6と第1嵌合部22と第2嵌合部26とに対応する部分を除いた図に相当する。変形例3のダストカバー1Fは、変形例2のダストカバー1Eに対して、凹凸結合の構成が相違する。
【0083】
ベローズ2Fは、シール部3Fを含む。
図13に示すように、シール部3Fは、第1シール部31Fと、第2シール部32Fと、筒部30と、を含む。第1シール部31Fと、第2シール部32Fとは、筒部30を介して軸方向に繋がっている。
【0084】
第1シール部31Fは、ベース部316Fと、リップ部317Fと、突出部313と、を備える。第2シール部32Fは、ベース部326Fと、リップ部327Fと、突出部313と、を備える。筒部30の外周は、ベース部316F、326Fの外周と面一である。即ち、筒部30の外周は、ベース部316F、326Fの外周に対して径方向位置が同じである。
【0085】
さらに、環状部20は、径方向内側に向けて突出する凸部130Fを有する。凸部130Fは、基部131Fと、幅広部132Fとを備える。幅広部132Fにおける軸方向の長さは、基部131Fにおける軸方向の長さよりも大きい。幅広部132Fは、基部131Fにおける径方向内側端部において、軸方向の両側に突出する。筒部30には、凹部140Fが設けられる。凹部140Fは、凸部130Fに嵌合する。凹部140Fは、幅狭部141Fと、幅広部142Fとを備える。幅狭部141Fには、基部131Fが嵌合し、幅広部142Fには、幅広部132Fが嵌合される。なお、凹部140Fに凸部130Fが嵌合した状態で、凹部140Fと凸部130Fとが接合される。当該接合の方法は、第1実施形態で説明した2色成形が適用可能である。
【0086】
以上説明したように、変形例3において、環状部20と筒部30のうちの一方(環状部20)は凸部130Fを有し、他方(筒部30)は凸部130Fに嵌合する凹部140Fを有する。従って、環状部20と筒部30との結合強度がより高くなる。
【0087】
[変形例4]
次いで、本発明の第4実施形態に係る変形例4を説明する。
図14は、第4実施形態に係る変形例4のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材6と第1嵌合部22と第2嵌合部26とに対応する部分を除いた図に相当する。変形例4のダストカバー1Gは、変形例2のダストカバー1Eに対して、環状部20と筒部30の凹凸結合の構成が相違する。
【0088】
ベローズ2Gは、シール部3Gを含む。
図14に示すように、シール部3Gは、第1シール部31Gと、第2シール部32Gと、筒部30と、を含む。第1シール部31Gと、第2シール部32Gとは、筒部30を介して軸方向に繋がっている。
【0089】
第1シール部31Gは、ベース部316Gと、リップ部317Gと、突出部313と、を備える。第2シール部32Gは、ベース部326Gと、リップ部327Gと、突出部313と、を備える。さらに、筒部30は、径方向外側に向けて突出する凸部130Gを有する。中心軸Zを含む断面を示す
図14に記載されるように、凸部130Gは矩形状である。環状部20における径方向内側には、凹部140Gが設けられる。凹部140Gも断面が矩形状である。凸部130Gは、凹部140Gに嵌合する。なお、凹部140Gに凸部130Gが嵌合した状態で、凹部140Gと凸部130Gとが接合される。当該接合の方法は、第1実施形態と同様に、接着および2色成形が適用可能である。
【0090】
以上説明したように、変形例4において、環状部20と筒部30のうちの一方(筒部30)は凸部130Gを有し、他方(環状部20)は凸部130Gに嵌合する凹部140Gを有する。従って、環状部20と筒部30との結合強度がより高くなる。
【0091】
[変形例5]
次いで、本発明の第4実施形態に係る変形例5を説明する。
図15は、第4実施形態に係る変形例5のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材6と第1嵌合部22と第2嵌合部26とに対応する部分を除いた図に相当する。変形例5のダストカバー1Hは、変形例3のダストカバー1Fに対して、環状部20と筒部30の凹凸結合の構成が相違する。
【0092】
ベローズ2Hは、シール部3Hを含む。
図15に示すように、シール部3Hは、第1シール部31Hと、第2シール部32Hと、筒部30と、を含む。第1シール部31Hと、第2シール部32Hとは、筒部30を介して軸方向に繋がっている。
【0093】
第1シール部31Hは、ベース部316Hと、リップ部317Hと、突出部313と、を備える。第2シール部32Hは、ベース部326Hと、リップ部327Hと、突出部313と、を備える。筒部30の外周は、ベース部316H、326Hの外周と面一である。即ち、筒部30の外周は、ベース部316H、326Hの外周に対して径方向位置が同じである。
【0094】
さらに、環状部20は、径方向内側に向けて突出する凸部130Hを有する。中心軸Zを含む断面を示す
図15に記載されるように、凸部130Hは矩形状である。筒部30には、凹部140Hが設けられる。凹部140Hは断面が矩形状である。凸部130Hは、凹部140Hに嵌合する。なお、凹部140Hに凸部130Hが嵌合した状態で、凹部140Hと凸部130Hとが接合される。当該接合の方法は、第1実施形態と同様に、接着および2色成形が適用可能である。
【0095】
以上説明したように、変形例5において、環状部20と筒部30のうちの一方(環状部20)は凸部130Hを有し、他方(筒部30)は凸部130Hに嵌合する凹部140Hを有する。従って、環状部20と筒部30との結合強度がより高くなる。
【0096】
[変形例6]
次いで、本発明の第4実施形態に係る変形例6を説明する。
図16は、第4実施形態に係る変形例6のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材6と第1嵌合部22と第2嵌合部26とに対応する部分を除いた図に相当する。変形例6のダストカバー1Iは、変形例3のダストカバー1Fに対して、環状部20と筒部30の凹凸結合の構成が相違する。
【0097】
ベローズ2Iは、シール部3Iを含む。
図16に示すように、シール部3Iは、第1シール部31Iと、第2シール部32Iと、筒部30と、を含む。第1シール部31Iと、第2シール部32Iとは、筒部30を介して軸方向に繋がっている。
【0098】
第1シール部31Iは、ベース部316Iと、リップ部317Iと、突出部313と、を備える。第2シール部32Iは、ベース部326Iと、リップ部327Iと、突出部313と、を備える。筒部30の外周30aは、ベース部316I、326Iの外周と面一である。即ち、筒部30の外周30aは、ベース部316I、326Iの外周に対して径方向位置が同じである。
【0099】
また、筒部30の外周30aは、中心軸Zの軸回りの周方向に延びる円筒面である。筒部30の外周30aは、環状部20の内周と当接した状態で接合される。当該接合の方法は、第1実施形態で説明した接着が適用可能である。
【0100】
以上説明したように、変形例6において、筒部30を環状部20に接合させることによってシール部3Iが形成されるため、シール部3Iの成形作業がより容易になる。特に、筒部30の外周30aは、ベース部316I、326Iの外周と面一であるため、シール部3Iの成形作業において、環状部20がシール部3Iの外周に干渉しにくくなる。
【0101】
[第5実施形態]
次いで、本発明の第5実施形態を説明する。
図17は、第5実施形態のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材6と第1嵌合部22と第2嵌合部26とに対応する部分を除いた図に相当する。第5実施形態のダストカバー1Jは、変形例6のダストカバー1Iに対して、ベローズ2Jにおける第1可撓部21および第2可撓部25の端部の形状が相違する。
【0102】
ベローズ2Jは、第1可撓部21および第2可撓部25を備える。第1から第4実施形態では、第1可撓部21の径方向内側の端部と、第2可撓部25の径方向内側の端部と、が環状部20を介して軸方向に連結されている。これに対して、第5実施形態のベローズ2Jにおいては、第1可撓部21の径方向内側の端部と、第2可撓部25の径方向内側の端部と、が連結されていない。即ち、ベローズ2Jは、軸方向の一方側から径方向外側に向けて延びる第1径方向壁部215と、軸方向の他方側から径方向外側に向けて延びる第2径方向壁部216と、を備える。換言すると、第1径方向壁部215は前述した径方向壁部210に相当し、第2径方向壁部216は前述した径方向壁部211に相当する。
【0103】
また、ベローズ2Jは、シール部3Jを含む。
図17に示すように、シール部3Jは、第1シール部31Jと、第2シール部32Jと、筒部30と、を含む。第1シール部31Jと、第2シール部32Jとは、筒部30を介して軸方向に繋がっている。
【0104】
第1シール部31Jは、ベース部316Jと、リップ部317Jと、突出部313と、を備える。第2シール部32Jは、ベース部326Jと、リップ部327Jと、突出部313と、を備える。筒部30の外周30aは、ベース部316J、326Jの外周と面一である。即ち、筒部30の外周30aは、ベース部316J、326Jの外周に対して径方向位置が同じである。筒部30の外周30aは、中心軸Zの軸回りの周方向に延びる円筒面である。
【0105】
そして、第1径方向壁部215における径方向内側の先端面210a、および、第2径方向壁部216における径方向内側の先端面211aは、平坦面である。第1径方向壁部215における径方向内側の先端面210aと、第2径方向壁部216における径方向内側の先端面211aとは、それぞれ筒部30の外周30aに当接した状態で接合される。当該接合の方法は、第1実施形態で説明した接着が適用可能である。
【0106】
以上説明したように、第5実施形態において、ベローズ2は、筒部30における軸方向の一方側から径方向外側に向けて延びる第1径方向壁部215と、筒部30における軸方向の他方側から径方向外側に向けて延びる第2径方向壁部216と、を備える。
【0107】
また、第4実施形態では、軸方向の一方側の径方向壁部と他方側の軸方向壁部とが環状部を介して繋がっているが、第5実施形態では、第1径方向壁部215と第2径方向壁部216とは繋がっていない。従って、第1径方向壁部215と第2径方向壁部216とのそれぞれを筒部30に接合させることができるため、当該接合作業がより容易になる。
【0108】
[変形例7]
次いで、本発明の第5実施形態に係る変形例7を説明する。
図18は、第5実施形態に係る変形例7のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材6と第1嵌合部22と第2嵌合部26とに対応する部分を除いた図に相当する。変形例7のダストカバー1Kは、第5実施形態のダストカバー1Jに対して、ベローズ2Kにおける第1径方向壁部215および第2径方向壁部216の端部の形状が相違する。
【0109】
ベローズ2Kにおいては、第1可撓部21の径方向内側の端部と、第2可撓部25の径方向内側の端部と、が連結されていない。
【0110】
また、ベローズ2Kは、シール部3Kを含む。
図18に示すように、シール部3Kは、第1シール部31Kと、第2シール部32Kと、筒部30と、を含む。第1シール部31Kと、第2シール部32Kとは、筒部30を介して軸方向に繋がっている。
【0111】
第1シール部31Kは、ベース部316Kと、リップ部317Kと、突出部313と、を備える。第2シール部32Kは、ベース部326Kと、リップ部327Kと、突出部313と、を備える。筒部30は、外周側に突出部30bを有する。突出部30bは、筒部30における軸方向の中央部に配置される。突出部30bは、径方向外側に突出する。
【0112】
そして、第1径方向壁部215における径方向内側端部210b、および、第2径方向壁部216における径方向内側端部211bには、それぞれ凸部130Kが設けられる。第1径方向壁部215には、車室側に向けて凸部130Kが突出して設けられる。第2径方向壁部216には、エンジンルーム側に向けて凸部130Kが突出して設けられる。即ち、径方向内側端部210bの凸部130Kと径方向内側端部211bの凸部130Kとは、互いに向き合う方向に突出する。また、突出部30bには、凹部140Kが設けられる。凹部140Kは、軸方向の一方側と他方側に設けられる。軸方向の一方側の凹部140Kには、径方向内側端部210bの凸部130Kが嵌合される。軸方向の他方側の凹部140Kには、径方向内側端部211bの凸部130Kが嵌合される。なお、凹部140Kに凸部130Kが嵌合した状態で、凹部140Kと凸部130Kとが接合される。当該接合の方法は、第1実施形態で説明した2色成形が適用可能である。この場合、第1径方向壁部215、第2径方向壁部216および筒部30は、2色成形品である。
【0113】
以上説明したように、変形例7において、第1径方向壁部215および第2径方向壁部216のそれぞれの径方向内側端部210b、211bは、軸方向に突出する凸部130Kを有し、筒部30は凸部130Kに嵌合する凹部140Kを有する。従って、第1径方向壁部215の径方向内側端部210bと筒部30との結合強度、および、第2径方向壁部216の径方向内側端部211bと筒部30との結合強度がより高くなる。
【0114】
[変形例8]
次いで、本発明の第5実施形態に係る変形例8を説明する。
図19は、第5実施形態に係る変形例8のダストカバーの断面図であり、
図5から取付部材6と第1嵌合部22と第2嵌合部26とに対応する部分を除いた図に相当する。
図20は、
図19の一部を拡大した模式図である。変形例8は、
図11に示す第4実施形態に対して、ベローズ2Lにおける第1可撓部21および第2可撓部25の端部の形状が相違する。
【0115】
ベローズ2Lにおいては、第1可撓部21の径方向内側の端部と、第2可撓部25の径方向内側の端部と、が連結されていない。
【0116】
また、ベローズ2Lは、シール部3Lを含む。
図19に示すように、シール部3Lは、第1シール部31Lと、第2シール部32Lと、筒部30と、を含む。第1シール部31Lは、ベース部316Lと、リップ部317Lと、突出部313と、を備える。第2シール部32Lは、ベース部326Lと、リップ部327Lと、突出部313と、を備える。第1シール部31Lと、第2シール部32Lとは、筒部30を介して軸方向に繋がっている。
【0117】
そして、第1径方向壁部215における径方向内側端部210b、および、第2径方向壁部216における径方向内側端部211bには、それぞれ接合部130Lが設けられる。接合部130Lは、径方向内側に行くに従って軸方向距離が大きくなる。
図20に示すように、軸方向の一方側における接合部130Lは、中心軸Zを含む断面において、接合部本体130L1と、接合部先端130L2と、を備える。接合部本体130L1は、断面が矩形状である。接合部本体130L1の内周面130L1aは、筒部30の外周30aに接着される。接合部本体130L1の側面130L1bは、第1シール部31Lのベース部316Lに接着される。接合部先端130L2は、断面が略三角形の形状を有する。具体的には、軸方向の一方側における接合部130Lは軸方向の他方側に向けて突き出る略三角形の接合部先端130L2を有し、接合部先端130L2は、筒部30の外周30aに接着される。
【0118】
なお、軸方向の他方側に設けられる接合部130Lも、断面が矩形状の接合部本体と、断面が略三角形の接合部先端と、を備え、接合部先端は軸方向の一方側に向けて突き出る。接合部本体は、第2シール部32Lのベース部326Lと筒部30の外周30aとに接着され、接合部先端は筒部30の外周30aに接着される。
【0119】
以上説明したように、変形例8において、第1径方向壁部215および第2径方向壁部216のそれぞれの径方向内側端部210b、211bは、径方向内側に行くに従って軸方向距離が大きくなり且つ筒部30の外周に接合される接合部130Lを有する。このように、筒部30の外周に接合される接合部130Lの軸方向距離は、その他の部位の軸方向距離よりも大きいため、接合部130Lのない第5実施形態(
図17参照)の態様よりも筒部30との接合面積が大きくなるため、第1径方向壁部215および第2径方向壁部216のそれぞれと筒部30との接合強度がより大きくなる。
【符号の説明】
【0120】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I、1J、1K ダストカバー
2、2A、2B、2C、2D、2E、2F、2G、2H、2I、2J、2K ベローズ
3、3A、3B、3C、3D、3E、3F、3G、3H、3I、3J、3K シール部
5、5A ブッシュ
6 取付部材
10 ダッシュパネル
20 環状部
20a 内周面
21 第1可撓部
22 第1嵌合部
25 第2可撓部
25a 頂部
26 第2嵌合部
30 筒部
30a 外周
30b 突出部
31、31A、31B、31C、31D、31E、31F、31G、31H、31I、31J、31K 第1シール部
32、32A、32C、32D、32E、32F、32G、32H、32I、32J、32K 第2シール部
50 本体部
51 凹溝
52 内周面
53、54 フランジ
55 潤滑剤溝
61 本体部
62 フランジ部
80 ステアリング装置
81 ステアリングホイール
82 第1ステアリングシャフト
82a 入力軸
82b 出力軸
83 操舵力アシスト機構
84 第1ユニバーサルジョイント
85 第2ステアリングシャフト(ステアリングシャフト)
85a 外周面
86 第2ユニバーサルジョイント
87 第3ステアリングシャフト
88 ステアリングギヤ
88a ピニオン
88b ラック
89 タイロッド
90 ECU
92 減速装置
93 電動モータ
94 トルクセンサ
95 車速センサ
98 イグニッションスイッチ
99 電源装置
100 バンド
101 筒状部材
102 スリット
120 隙間
130、130F、130G、130H、130K 凸部
130L 接合部
130L1 接合部本体
130L1a 内周面
130L1b 側面
130L2 接合部先端
131、131F 基部
132、132F 幅広部(先端部)
140、140F、140G、140H、140K 凹部
141、141F 幅狭部
142、142F 幅広部
210 径方向壁部
210a 先端面
210b 径方向内側端部
211 径方向壁部
211a 先端面
211b 径方向内側端部
212 軸方向壁部
213、214 屈曲部
215 第1径方向壁部
216 第2径方向壁部
311 先端
313 突出部
316 接合面
316A、316B、316C、316D、316F、316G、316H、316I、316J、316K、316L ベース部
317、317A、317B、317C、317D、317F、317G、317H、317I、317J、317K、317L リップ部
316Aa、316Ca 端面
321 先端
326 接合面
326A、326C、326D、326F、326G、326H、326I、326J、326K、326L ベース部
327、327A、327C、327D、327F、327G、327H、327I、327J、327K、327L リップ部
326Aa、326Ca 端面
611 溝
Z 中心軸