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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160494
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】殺虫ライト
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/00 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
A01M1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070899
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(71)【出願人】
【識別番号】591262827
【氏名又は名称】株式会社シー・アイ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【弁理士】
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】倉石 咲子
(72)【発明者】
【氏名】野崎 重樹
(72)【発明者】
【氏名】柳橋 歩
(72)【発明者】
【氏名】長尾 和浩
(72)【発明者】
【氏名】高津 博樹
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 英武
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121AA17
2B121DA21
2B121EA03
(57)【要約】
【課題】 紫外線を照射する小型の殺虫ライトを提供する。
【解決手段】 殺虫ライト1は、底部に開口を有する筐体3と、筐体3の内部に配置された光源部60と、光源部60と前記開口との間に配置されて、中央付近に開孔部55を有する中板50とを備えている。電力が光源部60に供給されると、光源部60に配置されたLED72が発光し、中央付近に開孔部を有する中板50に向けて紫外線が出射される。中板50の開口55を通過した紫外線は、筐体3の底部付近にいるゴキブリに直接照射されることにより、ゴキブリは次第に弱体化し、やがては死に至る。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に開口を有する筐体と、前記筐体の内部に配置され前記開口に向けて照射光を出射する光源部と、前記光源部と前記開口との間に配置され、前記光源部から出射された照射光の照射範囲を絞り込む絞り部とを備え、
前記筐体は前記底部と接する辺に複数の切欠部を有することを特徴とする殺虫ライト。
【請求項2】
前記筐体は略直方体形状であって、上部に天板と、側部にそれぞれ一対の側板と端板とを有し、
前記絞り部は、前記光源部と前記開口との間に配置された中板の中央付近に設けられた開孔部であり、
前記天板、前記側板、前記端板、前記中板と、前記側板及び前記端板に設けられた前記切欠部と、前記中板に設けられた前記開孔部はいずれも略長方形をなし、
前記光源部は、複数のLEDが実装された基板と前記LEDに電力を供給する電源回路を有し、前記天板の裏面に配置され、前記開口に向けて照射光を出射することを特徴とする請求項1に記載の殺虫ライト。
【請求項3】
前記筐体を構成する前記天板、前記側板、前記端板、及び、前記中板は固着手段によって、互いに固着されていることを特徴とする請求項2に記載の殺虫ライト。
【請求項4】
前記照射光は紫外線であり、前記絞り部により、前記光源部から出射された紫外線の照射範囲が前記切欠部から前記筐体の外部に出ないように絞り込まれることを特徴とする請求項1または2に記載の殺虫ライト。
【請求項5】
前記筐体には、前記光源部を点灯または消灯する電源スイッチが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の殺虫ライト。
【請求項6】
前記筐体の内部の表面は、前記筐体の外部から侵入した光を吸収し乱反射を防止するコーティング加工が施されていることを特徴とする請求項1または2に記載の殺虫ライト。
【請求項7】
前記一対の側板及び端板と、前記筐体の内部に配置された前記中板と前記開口とで囲まれる内部空間を構成する前記側板、前記端板及び前記中板の表面は、前記内部空間内に侵入した光を吸収し乱反射を防止するコーティング加工が施されていることを特徴とする請求項2記載の殺虫ライト。
【請求項8】
前記筐体は前記開口を塞ぐように前記筐体の底部に配設された底板を有し、前記底板は前記筐体と、固着手段によって、互いに固着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の殺虫ライト。
【請求項9】
前記筐体はインジケーターを有し、
前記インジケーターは、LED等の発光素子からなり、前記光源部の点灯/消灯状態を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の殺虫ライト。
【請求項10】
前記光源部は前記電源回路の制御により、照射光を、連続して出射する通常パターンと、点滅を繰り返す間欠パターンとを有することを特徴とする請求項2に記載の殺虫ライト。
【請求項11】
前記光源部はUV-C波長域の紫外線を出射することを特徴とする請求項1または2に記載の殺虫ライト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺虫ライトに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴキブリ等の害虫が厨房機器内に住み着き、排泄物等により機器が故障するなどの不具合が発生し、ゴキブリ等の害虫の駆除対策の重要性が増してきている。そこで、簡便にゴキブリ等の害虫駆除を行う方法として、例えば、特許文献1のように、ゴキブリに紫外線を照射するゴキブリ駆除方法が提案されている。また、特許文献2には発光源の発生する熱エネルギーを用いてゴキブリの誘い込みを行うゴキブリ捕獲装置及びゴキブリ捕獲方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55-58044号公報
【特許文献2】特開平11-313592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ゴキブリは紫外線に対して弱い昆虫であることが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1の装置は、紫外線が人体に有害であることは想定されていない。また、特許文献2の装置は、発光源の発生する熱エネルギーを用いてゴキブリの誘い込みを行う装置及び方法であって、紫外線を用いて殺虫するものではない。
また、食品等を取り扱う厨房機器内に住み着くチャバネゴキブリなどは、厨房機器内に残された排泄物等によって、厨房機器が故障して調理ができず、その修理に多大な費用と時間を費やしたり、ゴキブリ駆除に紫外線を照射すると厨房機器等に使用されているプラスチック材料の物品を劣化させるなどの問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、人体への被害やプラスチック材料等の劣化などによる物品等の被害を受けることなく紫外線を有効に活用し、厨房等で用いても、小型で取扱いの容易なゴキブリ等の駆除を効率的に行う殺虫ライトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の殺虫ライトは、底部に開口を有する筐体と、前記筐体の内部に配置され前記開口に向けて照射光を出射する光源部と、前記光源部と前記開口との間に配置され、前記光源部から出射された照射光の照射範囲を絞り込む絞り部とを備え、前記筐体は前記底部と接する辺に複数の切欠部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、紫外線を照射する小型で取扱いの容易な殺虫ライトを用いることによって、食品を取り扱う厨房機器内等に住み着くゴキブリ等の害虫の殺虫駆除を効果的に行い、衛生的な環境を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例における殺虫ライトの概略斜視図である。
図2A図2Aは、実施例における殺虫ライトを上方からみた平面図である。
図2B図2Bは実施例における殺虫ライトの短手方向の側面図である。
図2C図2Cは同長手方向の側面図である。
図3図3は、実施例における殺虫ライトの長手方向の側板を取り外した状態を示す概略斜視図である。
図4図4は、実施例における殺虫ライトの長手方向の側板を取り外した状態を示す断面の側面図である。
図5A図5Aは、実施例における基板の平面図である。
図5B図5Bは実施例における中板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、殺虫ライトの筐体内に紫外線を照射する光源を配置し、筐体内に入るゴキブリに紫外線を照射することによって、ゴキブリを駆除する殺虫ライトを提供する。
【0010】
従来から、ゴキブリの駆除に紫外線が有効であることは知られていたが、紫外線は人体に有害であるため、人体に紫外線を照射しないように遮蔽してゴキブリを駆除することは困難であった。
本発明の殺虫ライトは、小型であって、ゴキブリが集まりやすい厨房機器や冷蔵庫の裏などの隅に容易に配置することができ、紫外線が殺虫ライトの外部に漏れないため、人体に安全であるとともに、殺虫ライト内に侵入するゴキブリに紫外線を照射することによって弱体化させ、ゴキブリを効率的に駆除することができる。
【0011】
つぎに、本発明の実施例における殺虫ライトを、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の一具体例を示すものであるから、実施例に記載されている構成部品の配置、機能、数値などはあくまで一例であって、これらによって本発明の範囲が限定解釈されるものではない。
【実施例0012】
図1は、実施例における殺虫ライトの概略斜視図である。
【0013】
図1には、斜め上方から見た殺虫ライト1全体の概略斜視図が示されている。殺虫ライト1は、基本的に、略直方体の筐体3とその底部の開口を塞ぐように配置された底板40とから構成されている。
【0014】
図1に示すように、筐体3は頂部に位置する天板10、長手方向に垂直に取り付けられた一対の略長方形状の側板20、短手方向の端部に垂直に取り付けられた一対の略長方形状の端板30からなる。側板20の底辺と接する辺(底辺部)には切欠部25、端板30の底辺と接する辺(底辺部)には切欠部35が設けられている。
【0015】
実施例では、筐体3は略直方体であるが、立方体、三角柱、台錐、円筒のほか、円錐、半球形状など適宜の形状であってもよい。
【0016】
底板40は、筐体3の底部の開口を塞ぐように設けられている。底板40は、筐体3よりも一回り大きいサイズの略長方形であり、長手方向の両端部に底板40の底面の縁から垂直に立ち上がる起立部45を有している。この起立部45はゴキブリが殺虫ライト1に近づき、底板40を上がって切欠部25、35から筐体3内に入ったあと、筐体3から立ち去るまでに、起立部45が障壁となるため、再び筐体3内に入るという挙動を何回か繰り返すことになり、紫外線への照射時間が増加して殺虫効果が増加するのと、筐体3の外部への紫外線の漏洩を防止して人体への影響を極力抑えるための障壁である。
【0017】
実施例では、起立部45を設けた例を示したが、光源部60から出射される照射光である紫外線の種類や、中板50の中央付近に設けられた開孔部(絞り部)55による光源部60からの照射光(紫外線)の照射範囲の絞り込みを調整することにより、起立部45を省略し、底板40を平板で構成することもできる。さらに、実施例の殺虫ライト1を厨房機器等の水平な表面や、床面等に直接載置する場合には、光源部60から出射された照射光が筐体3の切欠部25から外部に漏洩しないように紫外線の照射範囲をさらに厳格に絞り込むことで、筐体3の底部に底板40を配置しないタイプの殺虫ライト1を用いることができる。
筐体3の底部に底板40を配置しないタイプの殺虫ライト1の場合には、筐体3を持ち上げたときや点灯したときに、紫外線が人体に被害を与えるのを防止するために、筐体3が設置面から離れたときに光源部60の電源供給が停止する安全スイッチや、点滅を繰り返すLEDなどを用いた警告灯や、ブザーなどの音声による警告装置等を配備するとよい。
また、中板50に、光源部60から出射された照射光の照射範囲を絞り込むための絞り部の一例として、開孔部55を設けた例を示したが、絞り部は中板50の開孔部55に限らず、紫外線を透過して照射範囲を絞り込むための絞り部材である、フレネルレンズ、凹・凸レンズやその組み合わせによる光学レンズ部材を用いてもよい。
【0018】
筐体3は、天板10、一対の側板20と一対の端板30を、各孔部12に挿通されるボルト(図示省略)と、筐体3の内部に配置されるナット(図示省略)により互いに連結されることにより、組み立てられる。
筐体3のサイズは、長さ50mm~450mm、好ましくは80mm~300mm、より好ましくは130mm~170mm程度である。また、筐体3の幅は20mm~150mm、好ましくは25~100mm、より好ましくは30~60mm、高さは20mm~100mm、好ましくは25mm~60mm、より好ましくは30mm~50mm程度である。
【0019】
また、筐体3を構成する天板10、側板20と端板30はいずれもアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるものであるが、鉄、ステンレス、マグネシウム合金など他の金属を用いてもよい。また、金属材料に限らず、紫外線に強い材料であれば、プラスチック、木質系材料やセラミックなど他の材料を用いてもよい。また、筐体3を天板10、側板20、端板30を用いずに箱形を構成する場合には、アルミダイカストにより鋳造してもよく、アルミ板の折曲げ加工によって製造してもよい。
また、筐体3はアルミニウム等を用いているため、光源部60から発せられる熱を能率よく外部に放熱することができる。
【0020】
図2Aは、実施例における殺虫ライトを上方からみた平面図である。同図に示すように、略長方形の天板10と、天板10の周囲に、それぞれ2枚の側板20と端板30が取り囲んでいる。底板40は天板10よりも一回り大きいサイズを有している。
【0021】
また、図2Aに示すように、略長方形の天板10は、四隅に4カ所、中央付近に2カ所の孔部12が穿設されている。天板10の四隅に設けられた孔部12は、天板10、側板20と端板30とを互いに結合するために用いられる孔である。孔部12にボルト(図示省略)を挿通し、裏側に、4面にネジ孔を有するサイコロナット(図示省略)を配置して螺着することにより、天板10、側板20と端板30は互いに固着される。また、スリット15は、天板10を筐体3から取り外すときに、取り外しし易いように、ドライバーなどを差し込むための切込みである。
【0022】
天板10の中央付近に穿設された2カ所の孔部12は、光源部60を天板10の裏面に固定するためのボルトを通す孔である。光源部60に穿設されたネジ孔に天板10の表面から孔部12にボルトを通して螺着することにより、光源部60は天板10に固定される。
【0023】
図2Bは実施例における殺虫ライトの短手方向の側面図である。同図には、略長方形の端板30と、その底部に底板40が図示されている。端板30には、天板10、一対の側板20および中板50をボルトとサイコロナットによる螺合により連結するための孔部12が4カ所に設けられている。端板30の下部には、底辺に沿って略長方形の切欠部(開口部)35が設けられている。切欠部35は、ゴキブリが出入りするための開口部である。切欠部35は、高さ3mm~30mm、好ましくは6mm~15mm、より好ましくは8mm~12mm程度である。そして、切欠部35の幅は、端板30の底辺の両端部に5mm~10mm程度の底板40と接する辺を残すようにするため、切欠部35の幅は、端板30の幅から10mm~20mmを差し引いたサイズとすることが好ましいが、このサイズの範囲内で適宜の長さとしてもよい。また、そのサイズの中で、小幅の切欠部35を複数設けるようにしてもよい。切欠部35のサイズは、ゴキブリが出入りし易く、かつ、光源部60から照射される紫外線が筐体3の外部に漏出しない程度が望ましい。なお、天板10、それぞれ一組の側板20、端板30、底板40、中板50などを互いに連結する手段として、ボルトとサイコロナットによる螺合による固着手段を用いたが、ボルト、ナット、ねじ切りされたL字状金具などの固定用金具を用いた固着手段を用いてもよい。
【0024】
図2Cは実施例における側板20の平面図である。同図に示すように、略長方形の板体には四隅に側板20と端板30と互いに連結するためのボルトを通す孔部12と、略長方形の開口部25を形成する切欠部が設けられている。切欠部(開口部)25は、ゴキブリが出入りするための開口部である。この切欠部25の高さは、切欠部35と同様、高さ3mm~30mm、好ましくは6mm~15mm、より好ましくは8mm~12mmである。また、切欠部25の幅は、側板20の底辺の両端部にそれぞれ5mm~10mm程度の底板40と接する辺を残すようにするため、切欠部25の幅は、側板30の幅から10mm~20mmを差し引いたサイズとすることが好ましいが、このサイズの範囲内で適宜の長さとしてもよい。また、そのサイズの中で、小幅の切欠部25を複数設けるようにしてもよい。
【0025】
図2Bなどに示すように、底板40は長手方向に略直方体形状をなす平板であり、長手方向の両端部に垂直に切り立つ起立部45を備えている。起立部45はゴキブリの行動を制限し、筐体3内での滞在時間の延長に寄与するものであるが、起立部45がなくても殺虫能力を担保することは可能である。起立部45の高さは切欠部35と同等に設定される。また、底板40の縁は、体長1mm程度の幼虫でも上れるように、スロープ状にしておくとよい。
【0026】
図3は、実施例における殺虫ライトの長手方向の側板20を取り外した状態を示す概略斜視図、図4は同側面図である。図3及び図4に示すように、筐体3の天板10の下面には、略直方体の光源部60が設けられている。光源部60の底面部には、基板70が配置されている。LED72は、底板40に向けて紫外線を照射する。光源部60と底板40との間には、略長方形の中板50が底板40と略平行に設けられている。
【0027】
図5Aは、実施例における基板の平面図、図5Bは実施例における中板の平面図である。同図に示すように、基板70には、LED72が表面実装されている。実施例ではLED72は3個であるが、筐体3の大きさや必要な照射光量に応じて、複数個実装すればよく、3個に限られるものでない。また、基板70の表面には、LED72の照射光量等を制御する電子部品75が複数実装されている。
また、基板70の長手方向の両端部には、切欠き78が設けられている。切欠き78は、基板70をネジなどの固定手段により光源部60に固定するための補助部である。
【0028】
また、図5Bに示すように、中板50の中心付近には、略長方形の開孔部55が形成されている。この開孔部55は、LED72から出射された紫外線を、筐体3の外部に出さないように制限する絞りの役目を果たしている。紫外線が筐体3から外部に漏出すると人体に悪影響を及ぼす恐れがあるため、外部への漏出については、厳しく制限する必要がある。そのため、開孔部55は、図4に示すように、LED72の直下に配置するとよい。また、実施例では、開孔部55の形状は筐体3や光源部60の形状にあわせて略長方形としたが、例えば、光源部60が円形である場合には、開孔部55の形状も光源部60にあわせて同形状の円形とするとよい。また、絞り部材として、中板50の開孔部55に代えて、光学レンズ部材等を用いる場合には、筐体3の内部の表面全体を、筐体3の内部空間内に侵入した光を吸収し乱反射を防止するためのブラック塗装等のコーティング加工を施すとよい。
中板50は底板40と対面する側である下面がブラック塗装など、筐体3の内部に侵入した光を吸収し、表面が乱反射を防止するコーティング加工が施されている。
中板50の下面と同様、筐体3を構成する一対の側板20及び端板30と、筐体3の内部に配置された中板50と筐体3の底部の開口とで囲まれる筐体3の内部空間を構成する側板20、端板30の表面は、内部空間内に侵入した光を吸収し乱反射を防止するためのブラック塗装等のコーティング加工が施されている。
なお、筐体3の中板50の上面と天板10、一対の側板20、端板30と囲まれる内部空間は、中板50の下面側の内部空間と異なり、光源部60から出射される照射光である紫外線を筐体3の底部に向けてロスのないように送出することが求められる。そのためには、天板10、一対の側板20、端板30を紫外線高反射のアルミ材を用いて製造したり、中板50の上面を含む表面に紫外線高反射のアルミ箔を貼着したり、紫外線高反射の白色レジストインクなどのコーティング加工を施すとよい。
【0029】
ゴキブリは、狭い隙間を通過することや、薄暗くて狭い場所を好む傾向があるため、筐体3に設けられた切欠部を狭くして、かつ内部を暗くすることによって、筐体3に入りやすい環境を提供する。筐体3の内部に配置された中板50、筐体3を構成する側板20、端板30と底板40とで囲まれる空間は、筐体3の内部を暗く保つとともに外部の光の映り込みなどを防止するため、表面がブラック塗装されている。ゴキブリは筐体3への出入りを繰り返すが、筐体3の内部に入ったときに、紫外線に晒され、ゴキブリに紫外線が蓄積する。紫外線に晒される時間が蓄積するに従って、ゴキブリは弱体化し、やがては死に至るのが通例である。また、死に至らなくても、繁殖予防になる。断続的な紫外線照射でも、特に、チャバネゴキブリには紫外線照射が有効で、回復効果がなく紫外線の蓄積効果があるため、通常、照射後数日から数十日で死に至り、連続的な紫外線照射と同様の効果が期待できる。
【0030】
本発明の殺虫ライト1は、食品加工を取り扱う厨房機器周辺で使用されるため、防水仕様であることが求められる。防水仕様として、例えば、殺虫ライト1の組み立て時に、各孔部12と固着手段との間、天板10、側板20、端板30の間のつなぎ目に、ゴムパッキンやシーリング材を介在させることで達成可能である。また、殺虫ライトは、連日連続点灯して使用されるため、長寿命かつ省電力であることが必要であるが、実施例の殺虫ライトは、紫外線発光素子として、省電力かつ長寿命となるLED等の紫外線発光素子を用いるため、長期に渡って安定的に使用することが可能である。
【0031】
光源部60には、LED等の紫外線発光素子であるLED72を発光させる電力を供給する制御部(図示省略)が実装されている。制御部は、厨房等に配置された商用電源が供給されるコンセントから電力を受けて、A/D変換後、LED72にDC電力を供給する。制御部は、光源部60を制御し、紫外線を連続して出射する通常パターン(連続出射パターン)と、一定の周期またはランダムに変化する不規則な周期で間欠的にLED72を点滅させて紫外線の出射を間欠的に繰り返す間欠パターン(間欠出射パターン)を有する。
【0032】
筐体3には、制御部に電力の供給をON/OFFするスイッチ(図示省略)、LED72を有する光源部60からの紫外線の連続出射と間欠出射とを切り替える切替スイッチ(図示省略)、光源部60が点灯すると、同時に点灯し、光源部60が消灯すると同時に消灯するように、光源部60の連続出射状態と間欠出射状態を表示するインジケーターなどを設けてもよい。さらに、インジケーターに、光源部60から出射される紫外線の照射量を表示する機能を付加してもよい。また、光源部60が過熱すると、電源をOFFにする過熱防止装置や、光源部60が点灯して一定時間後に消灯する、または一定時間後に点灯するように動作するタイマーを内蔵してもよい。インジケーターには、白色LEDのほか、青色LED、赤色LEDなど適宜のLEDを用いてLED72を備えた光源部60からの紫外線の出射状況を表示することができる。
また、筐体3が、ちょっとした振動や接触等によって位置がずれたり転倒しないように、筐体3の底部の縁に、あるいは、底板40が配置された筐体3の場合には底板40の底部に、ゴム材等の滑り止め、鉄板など磁石を吸着する特性のある設置面にはゴム磁石、その他の一般的な設置面には、貼着テープなどの粘着部材を配置してもよい。
さらに、光源部60に供給する電源として、乾電池、リチウムイオン充電池等の小型バッテリを搭載して、小型で可搬性と利便性に優れた殺虫ライト1を提供してもよい。
【0033】
紫外線は、人体に有害であることが知られているが、可視光ではないため、気づかないうちに、人体に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、紫外線は、厨房機器本体やその周辺部に使用されているプラスチック材料等を劣化させるおそれがある。このため、実施例では紫外線が筐体3の外部に漏れないように中板50の開孔部55の大きさを調整している。さらに、中板50は、天板10と底板40の間に、天板10と底板40と略平行に配置され、上下位置を調整することにより、開孔部55の大きさの調整と連携して紫外線の底板40への照射範囲を調整する。
【0034】
光源部60のLED72から出射される紫外線として、10~405nm辺りまでの電磁波を対象とし、ゴキブリに対しては、特に、UV-C領域(200~280nm;深紫外線)を使用するとよい。なお、近紫外線である主波長を365nmとする315~380nmの波長帯(UV-A)や、UV-B領域(280~315nm)の使用を妨げるものではない。
【0035】
光源部60は、複数のLED72が実装された基板70を備えている。本発明はLED72を紫外線発光の光源として用いたものであるが、紫外線を発光する蛍光灯、有機EL、キセノンランプ、ハロゲンランプなどを光源として用いてもよい。また、可視光であってもゴキブリ等の害虫に殺虫効果が得られる光源については使用することができる。
【0036】
以上、実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、紫外線を照射する小型で取扱いの容易な殺虫ライトを用いることによって、食品を取り扱う厨房機器内等に住み着くゴキブリ等の害虫の殺虫駆除を効果的に行い、衛生的な環境を維持することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 殺虫ライト
3 筐体
10 天板
12 孔部
15 スリット
20 側板
25 切欠部
30 端板
35 切欠部
40 底板
45 起立部
50 中板
55 開孔部
60 光源部
70 基板
72 LED
75 電子部品
78 切欠き
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B