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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160500
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】傾斜多孔シート
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/36 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
C08J9/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070909
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 瑞生
(72)【発明者】
【氏名】市川 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】飯野 裕喜
(72)【発明者】
【氏名】坂本 航士
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA66
4F074BA33
4F074CA26
4F074CC04Z
4F074CD20
4F074DA02
4F074DA14
4F074DA23
4F074DA32
4F074DA33
4F074DA57
4F074DA59
(57)【要約】
【課題】うねりや皺などが抑制された傾斜多孔シートを提供する。
【解決手段】厚み方向の一方向に空孔率が傾斜的に変化している傾斜多孔シート1において、空孔形状が厚み方向に伸長し、高空孔率側の表面近傍領域における空孔率をB、低空孔率側の表面近傍領域における空孔率をbとしたときの傾斜度B/bを1.3以上とし、下記式(1)によって定められる平面度Fを3以下とする。
F=H/t ・・・ (1)
ただし、Hは、シートを5cm角に切り出して平面上に置いた際の最大高さ、tは、シートの厚みである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向の一方向に空孔率が傾斜的に変化している傾斜多孔シートであって、
空孔形状が厚み方向に伸長しており、
高空孔率側の表面近傍領域における空孔率をB、低空孔率側の表面近傍領域における空孔率をbとしたときに、傾斜度B/bが1.3以上であり、
下記式(1)によって定められる平面度Fが、3以下であることを特徴とする傾斜多孔シート。
F=H/t ・・・ (1)
ただし、Hは、シートを5cm角に切り出して平面上に置いた際の最大高さ、tは、シートの厚みである。
【請求項2】
空孔径の縦横比が1.3以上である請求項1に記載の傾斜多孔シート。
【請求項3】
厚み方向の一方向に空孔率が傾斜的に変化している傾斜多孔シートであって、
空孔形状が厚み方向に伸長しており、
空孔径の縦横比が1.3以上であり、
高空孔率側の表面近傍領域における空孔率をB、低空孔率側の表面近傍領域における空孔率をbとしたときに、傾斜度B/bが1.3以上であることを特徴とする傾斜多孔シート。
【請求項4】
空孔領域全体の空孔率が50%以上である請求項1~3のいずれか一項に記載の傾斜多孔シート。
【請求項5】
高空孔率側の表面近傍領域の空孔率が50%以上であり、低空孔率側の表面近傍領域の空孔率が40%以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の傾斜多孔シート。
【請求項6】
シート表面で破泡していない請求項1~3のいずれか一項に記載の傾斜多孔シート。
【請求項7】
下記式(1)によって定められる平面度Fが、3以下である請求項3に記載の傾斜多孔シート。
F=H/t ・・・ (1)
ただし、Hは、シートを5cm角に切り出して平面上に置いた際の最大高さ、tは、シートの厚みである。
【請求項8】
周縁部に、非発泡又は低発泡の部位が形成されている請求項1~3、及び7のいずれか一項に記載の傾斜多孔シート。
【請求項9】
請求項1~3、及び7のいずれか一項に記載の傾斜多孔シートを二次加工してなる傾斜多孔シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚み方向の一方向に空孔率が傾斜的に変化している傾斜多孔シートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、常温・常圧で気体状のガスを、高温・高圧下でプラスチックに溶解した後、プラスチックをガス溶解時の圧力より低い圧力雰囲気下に曝した後に、シート両面をそれぞれ温度の異なる雰囲気に曝すことによって製造される傾斜発泡プラスチックシートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-363324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、このような背景技術に着目して鋭意検討を重ねたところ、次のような知見を得るに至った。すなわち、特許文献1では、押出発泡成形法によってシートを発泡させており、ダイから押し出された直後から発泡するため、その後にシート両面をそれぞれ温度の異なる雰囲気に曝しても、気泡率(空孔率)を傾斜的に変化させ難い、すなわち傾斜の度合いを大きくすることが難しい。さらに、特許文献1には、温度制御可能なロールに通して、シート両面をそれぞれ温度の異なる雰囲気に曝す例が示されているが、ロールで挟むと高発泡させ難い。加えて、シート内に形成される気泡(空孔)は、押出方向(面方向)に大きい横長の形状となる傾向があるとともに、シート両面で気泡率、すなわち素材の膨張率が異なることにも起因して、シートにうねりや皺などが生じ易い。このため、平面性を確保するのが困難であり、このようなうねりや皺などの不具合は、高発泡とした場合に顕著となる。
【0005】
そこで、本発明者らは、上記背景技術に鑑みて、うねりや皺などが抑制された傾斜多孔シートを提供するべく、さらなる鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る傾斜多孔シートは、厚み方向の一方向に空孔率が傾斜的に変化している傾斜多孔シートであって、空孔形状が厚み方向に伸長しており、高空孔率側の表面近傍領域における空孔率をB、低空孔率側の表面近傍領域における空孔率をbとしたときに、傾斜度B/bが1.3以上であり、下記式(1)によって定められる平面度Fが、3以下である構成としてある。
F=H/t ・・・ (1)
ただし、Hは、シートを5cm角に切り出して平面上に置いた際の最大高さ、tは、シートの厚みである。
【0007】
また、本発明に係る傾斜多孔シートは、厚み方向の一方向に空孔率が傾斜的に変化している傾斜多孔シートであって、空孔形状が厚み方向に伸長しており、空孔径の縦横比が1.3以上であり、高空孔率側の表面近傍領域における空孔率をB、低空孔率側の表面近傍領域における空孔率をbとしたときに、傾斜度B/bが1.3以上である構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、うねりや皺などが抑制された傾斜多孔シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る傾斜多孔シートを模式的に示す説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る傾斜多孔シートの製造例を示す説明図である。
図3】実施例1の断面CT画像である。
図4】実施例2の断面CT画像である。
図5】実施例3の断面CT画像である。
図6】比較例1の断面CT画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る傾斜多孔シートを模式的に示す説明図であり、図2は、本実施形態に係る傾斜多孔シートの製造例を示す説明図である。これらの図に示すように、傾斜多孔シート1は、発泡剤を含浸させたシート状の発泡剤含浸シート2を傾斜発泡させてなり、厚み方向の一方向に空孔率が傾斜的に変化している。
【0012】
発泡剤含浸シート2は、例えば、射出成形機の可塑化ユニットで溶融混練される樹脂材料中に発泡剤を溶解させて、保圧をかけながら発泡を抑制してシート状に射出成形し、少なくとも樹脂材料の冷却固化温度よりも低い温度に冷却した後に成形型から取り出すことによって作製するか、又は、シート状に予備成形された樹脂材料をオートクレーブに投入し、発泡剤を高圧下で樹脂材料中に溶解させることによって作製することができる。
【0013】
樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテン、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、フッ素樹脂、エチレン-プロピレン樹脂、エチレン-エチルアクリレート、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、イミド樹脂、アクリル樹脂、又はノルボルネン系樹脂などが挙げられる。これらは単独で又は複数混合して用いてもよく、ポリマーアロイであっても、樹脂マトリクスとフィラーとの複合材料であってもよいが、これらに限定されることなく、傾斜多孔シート1の用途などに応じて適宜選択することができる。
【0014】
発泡剤としては、二酸化炭素、窒素等の物理発泡剤、又はアゾジカルボンアミド等の有機系熱分解型、若しくは炭酸水素ナトリウム等の無機系熱分解型の化学発泡剤の外、発泡成分を内包する熱膨張性カプセルを例示できるが、樹脂材料に対する溶解度などに応じて、これらに限定されることなく適宜選択することができる。
【0015】
このような発泡剤含浸シート2を傾斜発泡させるには、図2に示すように、発泡剤含浸シート2を載置台10に載置して、載置台10の上方に配置された熱源20から、発泡剤含浸シート2に向けて放射熱を照射する。これによって、発泡剤含浸シート2が加熱され、加熱された部位で発泡が開始する。そして、熱源20に近い高温側では相対的に大きく、熱源20から遠い低温側では相対的に小さくなるように気泡Cが成長し、厚み方向の温度勾配に応じて気泡Cの大きさや気泡率(空孔率)が傾斜的に変化するように、傾斜発泡を進行させることができる。
【0016】
その際、載置台10の天面に刻設された吸引溝11を介して、真空ポンプPによって発泡剤含浸シート2の周縁部の全周を真空吸引するなどして、載置台10上に発泡剤含浸シート2を拘束することにより、傾斜発泡による形状変化が厚み方向に優先されるようにすることができる。これによって、面方向(厚み方向に直交する方向)への気泡Cの成長が抑制されて、厚み方向に気泡(空孔)Cが伸長するようになり、傾斜発泡が進行していく過程で、うねりや皺などが生じ難くなる。このとき、空孔径の縦横比(面方向における空孔径に対する厚み方向における空孔径の比の平均値)が1.3以上となるように、傾斜発泡の進行を制御することで、うねりや皺などがより抑制された傾斜多孔シート1を作製することができる。
【0017】
また、発泡剤含浸シート2に向けて放射熱を照射するに際しては、図2に示すように、熱源20の周囲に遮蔽部材30を配設するなどして、熱源20からの放射熱の照射範囲を調整することができる。このようにして、発泡剤含浸シート2の周縁部を除く部位が、選択的に加熱されるようにすることで、傾斜多孔シート1の周縁部1aに、非発泡又は低発泡の部位が形成されるようにするのが好ましい。
【0018】
このようにすることで、発泡剤含浸シート2の加熱された部位が、非発泡又は低発泡の部位に囲まれて、より面方向に拘束された状態で傾斜発泡が進行するため、傾斜発泡による形状変化が厚み方向により優先されるようになる。その結果、面方向への気泡Cの成長がより好適に抑制され、うねりや皺などがより生じ難くなるように、傾斜発泡の進行を制御することが可能となる。
【0019】
本実施形態に係る傾斜多孔シート1は、このようにして傾斜発泡の進行を制御しつつ、発泡剤含浸シート2を傾斜発泡させることによって、高空孔率側の表面近傍領域における空孔率をB、低空孔率側の表面近傍領域における空孔率をbとしたときに、傾斜度B/bが1.3以上となるように、高空孔率側の表面近傍領域における空孔率をより大きくし、好ましくは空孔領域全体の空孔率が50%以上の高空孔率となるように傾斜発泡させたものでありながらも、空孔形状が厚み方向に伸長していることに起因して、うねりや皺などが抑制されたものとすることができる。
【0020】
傾斜多孔シート1をこのような構成とすることで、より広範囲の用途に適用することができるが、本実施形態にあっては、高空孔率側HVの表面近傍領域の空孔率が50%以上であるのが好ましく、低空孔率側LVの表面近傍領域の空孔率が40%以下であるのが好ましい。また、傾斜多孔シート1の全体で、平均空孔径は20~500μmであるのが好ましい。
【0021】
ここで、表面近傍領域とは、表面から傾斜多孔シート1の厚みの20%の深さまでの領域をいうものとし、傾斜多孔シート1の厚みは0.5~20mmであるのが好ましく、1~10mmであるのがより好ましい。
【0022】
また、傾斜多孔シート1は、表面平滑性を向上させる観点からシート表面で破泡していないのが好ましく、シート表面に形成されるスキン層の厚みは500μm以下であるのが好ましい。
【0023】
また、傾斜多孔シート1は、その平面性の指標として下記式(1)によって定められる平面度Fが、3以下であるのが好ましい。
F=H/t ・・・ (1)
ただし、Hは、傾斜多孔シート1を5cm角に切り出して平面上に置いた際の最大高さ、tは、シートの厚みである。
【0024】
このような本実施形態に係る傾斜多孔シート1は、種々の分野で広範囲の用途に適用することができる。断熱性、衝撃吸収性、吸音性などの特性を利用した土木建築資材、自動車用資材、包装資材などの用途に適用できる外、厚み方向の一方向に空孔率が傾斜的に変化することで、その誘電率も傾斜的に変化することを利用して、例えば、ミリ波を用いたレーダーシステムにおいて、その安定性を向上させるためのミリ波の透過を調整するシートとしての用途に適用することもできる。
【0025】
ミリ波の透過を調整するシートとしての用途に適用するにあたっては、例えば、高空孔率側HVのシート表面が入射面となるように用いて、高空孔率側HVの比誘電率εが1.8以下であり、低空孔率側LVに向かってΔε<0.3/100μmの変化率で、比誘電率εが傾斜的に変化するように、高空孔率側HVの表面近傍領域の空孔率B、低空孔率側LVの表面近傍領域の空孔率b、及び傾斜度B/bを設定するのが好ましい。
【実施例0026】
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
[実施例1]
樹脂材料としてポリエチレンテレフタレートを用いて、これに発泡剤として窒素を溶解させて、縦:90mm、横:90mm、厚さ:1.25mmのシート状に射出成形された発泡剤含浸シートを用意した。
【0027】
次に、発泡剤含浸シートを温調された載置台に載置して、載置台の上方に配置された熱源から、発泡剤含浸シートの周縁部が加熱されないように放射熱を照射して、発泡剤含浸シートの対向する主面間で温度差があるように、発泡剤含浸シートの周縁部を除く部位を加熱した。その際、発泡剤含浸シートの対向する主面のうち、載置台に接する一方側を拘束した。これによって、傾斜発泡を進行させ、しかる後に冷却固化して気泡の成長を停止させた。
【0028】
このようにして製造された傾斜多孔シートについて、その断面のCT画像を図3に示す。かかるCT画像から、空孔径の縦横比(面方向における空孔径に対する厚み方向における空孔径の比の平均値)を求めたところ1.92であり、厚み方向に空孔が伸長するように傾斜発泡していることが確認できる。
【0029】
また、高空孔率側の表面近傍領域の空孔率Bは57.3%、低空孔率側の表面近傍領域の空孔率bは3.2%であり、その傾斜度B/bは18.1であった。
また、空孔領域全体の空孔率は50.6%であった。
また、製造された傾斜多孔シートを5cm角に切り出して平面上に置いた際の最大高さHを求め、製造された傾斜多孔シートの厚みtに対する比H/tを平面性の指標として評価したところ、その値は1.08であった。
【0030】
[実施例2]
発泡剤含浸シートを加熱するに際し、その熱量を7.5倍に増加させた以外は、実施例1と同様にして、傾斜多孔シートを製造した。その断面のCT画像を図4に示す。かかるCT画像から、空孔径の縦横比を求めたところ1.44であり、厚み方向に空孔が伸長するように傾斜発泡していることが確認できる。
【0031】
また、高空孔率側の表面近傍領域の空孔率Bは51.2%、低空孔率側の表面近傍領域の空孔率bは35.6%であり、その傾斜度B/bは1.4であった。
また、空孔領域全体の空孔率は61.1%であった。
また、製造された傾斜多孔シートを5cm角に切り出して平面上に置いた際の最大高さHを求め、製造された傾斜多孔シートの厚みtに対する比H/tを平面性の指標として評価したところ、その値は1.28であった。
【0032】
[実施例3]
樹脂材料としてオレフィン系樹脂を用い、発泡剤含浸シートを加熱する際の熱量を50%低減させた以外は実施例1と同様にして、傾斜多孔シートを製造した。その断面のCT画像を図5に示す。かかるCT画像から、空孔径の縦横比を求めたところ2.68であり、厚み方向に空孔が伸長するように傾斜発泡していることが確認できる。
【0033】
また、高空孔率側の表面近傍領域の空孔率Bは50.2%、低空孔率側の表面近傍領域の空孔率bは5.1%であり、その傾斜度B/bは9.9であった。
また、空孔領域全体の空孔率は43.2%であった。
また、製造された傾斜多孔シートを5cm角に切り出して平面上に置いた際の最大高さHを求め、製造された傾斜多孔シートの厚みtに対する比H/tを平面性の指標として評価したところ、その値は2.02であった。
【0034】
[比較例1]
発泡剤含浸シートの対向する主面のうち載置台に接する一方側を拘束せず、両主面とも非拘束とて、発泡剤含浸シートの全面に放射熱を照射した以外は、実施例1と同様にして、傾斜多孔シートを製造した。
このようにして製造された傾斜多孔シートは、全体が大きく歪んだものであり、実施例1と同様にして求めた比H/tの値は5.17であった。
なお、高空孔率側の表面近傍領域の空孔率Bは60.3%、低空孔率側の表面近傍領域の空孔率bは43.7%であり、その傾斜度B/bは1.4であった。
また、空孔領域全体の空孔率は57.5%であった。
また、その断面のCT画像を図6に示すが、かかるCT画像から求めた空孔径の縦横比は1.25であり、実施例1~4に比べて、面方向への空孔の成長を抑制できていないことが確認できる。
【0035】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0036】
1 傾斜多孔シート
1a 周縁部
HV 高空孔率側
LV 低空孔率側
図1
図2
図3
図4
図5
図6