(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160517
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070934
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕一
(72)【発明者】
【氏名】窪田 倫也
【テーマコード(参考)】
2C333
【Fターム(参考)】
2C333AA11
2C333CA13
2C333CA72
2C333CA79
2C333FA05
2C333FA17
2C333GA04
(57)【要約】
【課題】所定の遊技結果に基づく遊技が保留されている状態で遊技終了等の時刻が到来することによる遊技者の不利益の発生等を防止することができる遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ遊技機1は、消化優先度の高い第1特図保留記憶部64aに記憶される始動入賞情報に基づく特図当たり判定の判定結果よりも、消化優先度の低い第2特図保留記憶部64bに記憶される始動入賞情報に基づく特図当たり判定の判定結果の方が、小当たりの判定結果となり易い設定となっている。現在時刻を計測可能なRTC124を備えており、時短1,2期間中において、RTCが営業終了間際の予め定めた時刻を計測し、かつ消化優先度の低い第2特図保留記憶部64bに始動入賞情報が記憶されている場合に、当該第2特図保留記憶部64bに記憶されている始動入賞情報に基づく特図当たり判定が実行される機会を早めるための方法を示唆または報知する誘導演出を実行可能である。
【選択図】
図30
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が入球可能な複数の契機口と、前記複数の契機口の何れかへの遊技球の入球を契機として入球情報を取得する取得手段と、前記契機口への入球を契機として前記取得手段が取得した入球情報を所定個数まで記憶可能であり、対応する契機口の違いにより複数設けられている保留記憶手段と、前記保留記憶手段に記憶された前記入球情報に基づいて当否判定を行う判定手段と、前記入球情報に基づいて図柄の変動表示を行う図柄表示手段とを備え、
複数の前記保留記憶手段に前記入球情報が記憶されている状態で前記図柄の変動表示の始動条件が成立した場合に、消化優先度の高い保留記憶手段に記憶されている前記入球情報に基づいて前記当否判定が実行され、その判定結果に基づいて前記図柄の変動表示が開始されるようになっている遊技機であって、
前記複数の契機口のうち、遊技球の入球を契機として取得される前記入球情報が前記消化優先度の高い保留記憶手段に記憶されることになる第1の契機口と、
前記複数の契機口のうち、遊技球の入球を契機として取得される前記入球情報が前記消化優先度の低い保留記憶手段に記憶されることになる第2の契機口と、
前記第1の契機口への遊技球の入球確率よりも低い確率で前記第2の契機口への遊技球の入球が生じ得る第1遊技状態の後に、該第1遊技状態よりも前記第1の契機口への遊技球の入球確率が低い第2遊技状態を生じさせ得る生起手段と、
時刻を計測可能な計時手段とを備え、
前記第1の契機口への入球を契機として前記消化優先度の高い保留記憶手段に記憶される前記入球情報に基づく前記当否判定の結果よりも、前記第2の契機口への入球を契機として前記消化優先度の低い保留記憶手段に記憶される前記入球情報に基づく前記当否判定の結果の方が、遊技者にとって有利な結果となり易い設定とされており、
前記第1遊技状態中において、前記計時手段が予め定めた時刻を計測し、かつ前記消化優先度の低い保留記憶手段に前記入球情報が記憶されている場合に、当該消化優先度の低い保留記憶手段に記憶されている前記入球情報に基づく前記当否判定が実行される機会を早めるための方法を示唆または報知する誘導演出を実行可能に構成されている
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記誘導演出は、前記消化優先度の高い保留記憶手段における前記入球情報の記憶数を減少させることに応じて特典演出が実行されることを通知する演出である請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
遊技球が流下可能な遊技領域と、前記遊技領域に向けて遊技球を打ち出す遊技操作の対象となる遊技操作手段と、演出内容に変化を与える演出操作の対象となる演出操作手段とを備え、
前記誘導演出は、両手を用いた前記演出操作手段の演出操作を遊技者に促す演出である請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記誘導演出における前記演出操作手段の演出操作の残り時間として、前記消化優先度の高い保留記憶手段に記憶されている全ての前記入球情報に基づく前記図柄の変動表示を実行するのに必要な時間を表示する請求項3に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機としては例えば、遊技球(パチンコ球)を用いて遊技を行うパチンコ遊技機が知られている。このパチンコ遊技機は、機内部に配置されている遊技盤の前面側に遊技領域が形成されており、遊技領域には複数種類の入球口が設けられている。そして、パチンコ遊技では、遊技者の操作に応じて遊技領域に導かれた遊技球が入球口に入球することに基づいて、遊技者に所定の特典(賞球や有利な遊技状態等)が付与されるようになっている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にパチンコ遊技機では、入球口の一種である始動口(契機口)に遊技球が入球したことをセンサで検出し、この検出のタイミングに応じて、有利な遊技状態を生じさせるか否かの当否抽選を行う。そして、この当否抽選の結果を、画像表示装置等で演出図柄の変動表示を行って演出する。演出図柄の変動表示(変動演出)中に始動口への遊技球の入球が発生した際には、その入球を契機とする当否抽選の結果に対応する変動演出を保留し、実行中の変動演出の終了後に次の変動演出を開始させる。このため例えば、有利な遊技状態を生じさせることを示す当否抽選の結果が出たにも関わらず、その当否結果に対応する変動演出が保留されたまま、遊技店の営業終了時間の到来により遊技を終了せざるを得なくなるといった、遊技者にとって不都合な事態が生じ得る。
【0005】
本発明は、従来における問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、所定の遊技結果に基づく遊技が保留されている状態で遊技終了等の時刻が到来することによる遊技者の不利益の発生等を防止可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明に係る遊技機は、遊技球が入球可能な複数の契機口と、前記複数の契機口の何れかへの遊技球の入球を契機として入球情報を取得する取得手段と、前記契機口への入球を契機として前記取得手段が取得した入球情報を所定個数まで記憶可能であり、対応する契機口の違いにより複数設けられている保留記憶手段と、前記保留記憶手段に記憶された前記入球情報に基づいて当否判定を行う判定手段と、前記入球情報に基づいて図柄の変動表示を行う図柄表示手段とを備え、複数の前記保留記憶手段に前記入球情報が記憶されている状態で前記図柄の変動表示の始動条件が成立した場合に、消化優先度の高い保留記憶手段に記憶されている前記入球情報に基づいて前記当否判定が実行され、その判定結果に基づいて前記図柄の変動表示が開始されるようになっている遊技機であって、前記複数の契機口のうち、遊技球の入球を契機として取得される前記入球情報が前記消化優先度の高い保留記憶手段に記憶されることになる第1の契機口と、前記複数の契機口のうち、遊技球の入球を契機として取得される前記入球情報が前記消化優先度の低い保留記憶手段に記憶されることになる第2の契機口と、前記第1の契機口への遊技球の入球確率よりも低い確率で前記第2の契機口への遊技球の入球が生じ得る第1遊技状態の後に、該第1遊技状態よりも前記第1の契機口への遊技球の入球確率が低い第2遊技状態を生じさせ得る生起手段と、時刻を計測可能な計時手段とを備え、前記第1の契機口への入球を契機として前記消化優先度の高い保留記憶手段に記憶される前記入球情報に基づく前記当否判定の結果よりも、前記第2の契機口への入球を契機として前記消化優先度の低い保留記憶手段に記憶される前記入球情報に基づく前記当否判定の結果の方が、遊技者にとって有利な結果となり易い設定とされており、前記第1遊技状態中において、前記計時手段が予め定めた時刻を計測し、かつ前記消化優先度の低い保留記憶手段に前記入球情報が記憶されている場合に、当該消化優先度の低い保留記憶手段に記憶されている前記入球情報に基づく前記当否判定が実行される機会を早めるための方法を示唆または報知する誘導演出を実行可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、第1遊技状態では、第1の契機口への遊技球の入球確率よりも低い確率で第2の契機口への遊技球の入球が生じ得るので、第1の契機口への入球を契機として消化優先度の高い保留記憶手段に記憶された入球情報に基づく当否判定が優先的に実行され、第2の契機口への入球を契機として消化優先度の低い保留記憶手段に記憶された入球情報に基づく当否判定は待機状態とされる。第2遊技状態になると、第1の契機口への遊技球の入球確率が低くなるので、消化優先度の高い保留記憶手段に記憶された全ての入球情報が当否判定に用いられて、消化優先度の低い保留記憶手段に記憶された入球情報に基づく当否判定が行われる。このような遊技性の遊技機において、例えば遊技店の営業時間の終了等によって第1遊技状態中に遊技が終了すると、消化優先度の低い保留記憶手段に記憶された入球情報に基づく当否判定が行われないままとなる虞がある。消化優先度の低い保留記憶手段に記憶される入球情報に基づく当否判定の結果の方が、遊技者にとって有利な結果となり易い設定となっているので、遊技者が損をすることになる。そこで、予め定めた時刻(例えば、遊技店の営業時間の終了間際の時刻)となった時点で第1遊技状態の場合に誘導演出を行って、消化優先度の低い保留記憶手段の入球情報に基づく当否判定が実行される機会を早めるための方法を示唆または報知することにより、遊技者自身が速やかに、消化優先度の低い保留記憶手段の入球情報に基づく当否判定が実行されるタイミングを早めることができ、その当否判定による有利な結果を獲得することができる。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る遊技機によれば、所定の遊技結果に基づく遊技が保留されている状態で遊技終了等の時刻が到来することによる遊技者の不利益の発生等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】主制御基板及び周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図4】サブ制御基板及び周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図5】時短状態の種類及び終了条件に関する説明図である。
【
図10】メイン側主制御処理のフローチャートである。
【
図11】メイン側タイマ割込処理のフローチャートである。
【
図12】図柄用センサ検出処理のフローチャートである。
【
図14】特別図柄待機処理のフローチャートである。
【
図15】特図大当たり判定処理のフローチャートである。
【
図16】特図変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図18】特別図柄関連処理のフローチャートである。
【
図19】遊技状態管理処理のフローチャートである。
【
図20】特別電動役物処理(1種大当たり、V当たり)のフローチャートである。
【
図21】特別電動役物処理(小当たり)のフローチャートである。
【
図22】V当たり開始処理のフローチャートである。
【
図23】サブ側主制御処理のフローチャートである。
【
図24】1msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図25】10msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図26】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図27】変動演出開始処理のフローチャートである。
【
図28】パチンコ遊技機、携帯端末、サーバコンピュータの相互間での情報通信に関する説明図である。
【
図29】(a)は、遊技者が遊技をするパチンコ遊技機で遊技データの収集・管理を行っていない時の待機画面の表示態様、(b)は、環境設定画面の表示態様、(c)は、遊技者が遊技をするパチンコ遊技機で遊技データの収集・管理を行っている時の待機画面の表示態様、(d)は、遊技データ確認画面の表示態様、を夫々示している。
【
図30】データ管理設定処理のフローチャートである。
【
図31】遊技データ更新処理(大当たり時)のフローチャートである。
【
図32】遊技データ更新処理(変動演出時)のフローチャートである。
【
図33】遊技データ更新処理(入球時)のフローチャートである。
【
図34】楽曲系SPリーチ演出の種類およびBGMの種類と、解放条件との関係を示す説明図である。
【
図35】獲得ポイント更新処理のフローチャートである。
【
図36】遊技状態及び演出モードの変化を示す説明図である。
【
図37】誘導演出での表示内容及び音出力内容を示している。
【
図38】他の実施形態における誘導演出の内容を示している。
【
図39】遊技者が
図38に示す誘導演出として表示される指示の内容に従って遊技を行った場合の、当該誘導演出後の表示内容の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る遊技機について図を参照しつつ説明する。以下の説明では、本発明の実施形態に係る遊技機として、遊技球を用いて遊技を行うパチンコ遊技機を例に挙げる。なお、パチンコ遊技機の各部について方向や位置関係を説明する場合は、このパチンコ遊技機と対向して遊技を行う遊技者から見た状態での「左」「右」及び「上」「下」を基準とする。また、遊技者から見て近い側(手前側)を「前」とし、遠い側(奥側)を「後」とする。
【0011】
[パチンコ遊技機1の主要構成]
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、遊技機枠を備える。遊技機枠は、後述する遊技盤2を保持する内枠16と、この内枠16の前面を覆う扉状の前面枠18とを少なくとも含むように構成され、矩形枠状の外枠Wを介して遊技店内の設置島(図示せず)に設置される。前面枠18は、左サイドランプ23aと、右サイドランプ23bと、トップランプ23cとを備え、これらで囲まれる内側に窓18aが形成されている。この窓18aは、遊技盤2の盤面(前面)に形成される遊技領域3を視認可能とする開口であり、この窓18aを塞ぐように透明なガラス板が設けられるが、
図1では省略している。また、前面枠18の左右の上端部(トップランプ23cを挟む左右両側)に、音楽、効果音及び報知音等の音を演出内容に応じて出力する音出力手段としてのスピーカ8が夫々設けられている。
【0012】
前面枠18は、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bを構成する両側部が透光性を有し、その透光性を有する部分の内側には複数のLEDが配置されている。各LEDは、それぞれ複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、更に発光色を変化させる。
また、トップランプ23cは、内部(図示せず)にLEDおよび回転リフレクタを有する回転灯を構成している。LEDは、複数色を発光可能であり、演出内容や報知内容に応じて点灯または点滅し、更に発光色を変化させる。回転リフレクタは、可動体モータ23d(
図4)の駆動に応じてLEDの周囲で回転し、LEDの光の反射方向を変化させる。
【0013】
また、前面枠18の下部には、ハンドル4と、打球供給皿(上皿ともいう)24と、余剰球受皿(下皿ともいう)25とが設けられている。打球供給皿24は、貸球払出装置80(
図3)及び賞球払出装置400(
図3)から払出された遊技球を貯留する、又は発射装置90(
図3)に供給する遊技球を貯留するためのものである。余剰球受皿(下皿ともいう)25は、前面枠18のうち打球供給皿24の下方に設けられている。余剰球受皿25は、打球供給皿24の貯留可能数を超えた遊技球を貯留する。
【0014】
ハンドル4は、前面枠18のうち右下、つまり、パチンコ遊技機1と対向して遊技を行う遊技者が右手で握ることができる位置に設けられている。ハンドル4は、タッチスイッチ92(
図3)と、発射レバー4aと、発射停止ボタン4bとを備えている。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するものであり、ハンドル4を握った遊技者の右手が触れる部分に配置されている。発射レバー4aは、発射装置90(打撃槌)による遊技球の発射強度を調整するためのものであり、ハンドル4に回動可能に設けられている。発射停止ボタン4bは、遊技球が発射されているときに遊技球の発射を停止するためのものであり、ハンドル4を握った右手の親指により操作可能な位置に設けられている。
【0015】
前面枠18のうち打球供給皿24の上面に、演出ボタン5が設けられている。この演出ボタン5は、パチンコ遊技機1と対向する遊技者が片手で押下操作可能であるが、当該遊技者が片手のみでハンドル4と同時に操作することが不可能な位置に設けられている。また、演出ボタン5は、遊技者が片手のみで後述する演出レバー6と同時に操作することが不可能な位置に設けられている。演出ボタン5にはバネ等の弾性部材(図示せず)が内蔵されており、演出ボタン5に対する押下操作状態が解除された際に、この弾性部材の復元力によって演出ボタン5が押下操作前の状態に復帰するようになっている。この演出ボタン5には、演出ボタン5に対する押下操作を検出する演出ボタン検出スイッチ5a(
図4)と、演出ボタン5を振動させる演出ボタン振動モータ5b(
図4)と、演出ボタン5を発光させる演出ボタンランプ5c(
図4)とが内蔵されている。演出ボタン振動モータ5bは、例えば演出ボタン5の押下操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。本実施形態では、演出ボタン振動モータ5bの作動によって演出ボタン5を振動させたり、演出ボタンランプ5c(本実施形態ではLED)の発光によって透光性材料からなる演出ボタン5の表面を点灯または点滅させたりすることで、例えば演出ボタン5の操作が有効な期間であることを報知したり、大当たりの期待度を高めたりする演出が行われる。
演出ボタン5の押下操作が有効な期間に遊技者が演出ボタン5を押下操作すると、その操作が演出ボタン検出スイッチ5aによって検出され、これを契機として特定の演出が行われる。以下、演出ボタン5の操作を契機として行われる特定の演出のことをボタン演出という。
【0016】
前面枠18のうち余剰球受皿25の左方(下側の左端寄り)に、演出レバー6が設けられている。この演出レバー6は、パチンコ遊技機1と対向する遊技者が片手で把持して操作可能であるが、当該遊技者が片手のみでハンドル4や演出ボタン5と同時に操作することが不可能な位置に設けられている。具体的には、演出レバー6は、把持した手で奥側へ押し込むように操作(押込操作)できる他、左右に回転させるように操作(回転操作)することも可能に構成されている。また、演出レバー6には、演出レバー6の押込操作を検出する演出レバー押込検出スイッチ6a(
図4)と、演出レバー6の右回転操作や左回転操作を検出する演出レバー回転検出スイッチ6b(
図4)と、演出レバー6を振動させる演出レバー振動モータ6c(
図4)とが設けられている。本実施形態では、演出レバー振動モータ6cの作動によって演出レバー6を振動させることで、例えば演出レバー6の操作が有効な期間であることを報知したり、大当たりの期待度を高めたりする演出が行われる。演出レバー6の操作が有効な期間に遊技者が演出レバー6を押込操作または回転操作すると、その操作が演出レバー押込検出スイッチ6aや演出レバー回転検出スイッチ6bによって検出され、これを契機として特定の演出が行われる。以下、演出レバー6の操作を契機として行われる特定の演出のことをレバー演出という。
【0017】
[遊技盤2の構成]
遊技盤2は、その盤面(前面)が遊技者の顔と略正対する位置となるように内枠16に保持されている。この遊技盤2は、前面枠18の前述したガラス板により前方から覆われているが、その盤面は、ガラス板(窓18a)を介して遊技者側(前方)から透視可能となっている。なお、
図1では、遊技盤2の盤面の外周側(正面視で窓18aよりも外側にある範囲)が確認できないが、遊技球が流下(転動)する領域である遊技領域3を内周側に区画形成する環状の遊技領域形成手段(レール部材17等)が配置されている。なお、遊技盤2の盤面左側部ではレール部材17が左右2列となっており、その内側を発射装置90(
図3)による発射球が上昇移動して遊技領域3に至るようになっている。この場合に発射球は、レール部材17の前述した左右2列の部分のうち
図1で確認できない左側の部分に案内されて遊技領域3の上部領域に到達する。
【0018】
また、図示省略するが、遊技盤2の盤面のうち遊技領域3の範囲には複数の遊技釘が打ち込まれている。このため、遊技領域3を流下する遊技球は遊技釘に接触してその挙動が変化する。遊技球は、遊技領域3を流下する過程で後述する入球口10a,11a,12a,14a,15aに入球するか、または入球せず遊技領域3を下端まで流下してアウト口19から遊技領域3外(内枠16側)へと排出される。なお、アウト口19は、遊技領域3に一つまたは複数設けられており、そのうち少なくとも一つが遊技領域3の下端に位置している。
【0019】
ここで、遊技盤2の盤面の中央側に、大型のセンター装飾体20が配置されて、レール部材17等の遊技領域形成手段から内側に離間している。このセンター装飾体20は環状あるいは枠状であり、遊技盤2の略中央に形成されている大型の開口(図示せず)の縁に沿って取り付けられている。そして、遊技盤2の背後に位置する演出表示装置7(液晶パネル等)の画面(前面)の略全体が、センター装飾体20の内側開口を通じて盤面前側に露出し、パチンコ遊技機1の正面視では、センター装飾体20が演出表示装置7の画面の周囲を装飾するように位置している。センター装飾体20は透光性を有し、その内側には、演出内容に応じて点灯・点滅する複数のLEDが設けられている。
なお、遊技盤2には、前述したセンター装飾体20内を含む複数箇所に発光手段(LED)が設けられており、その発光により遊技盤2を装飾するように構成されている。このように遊技盤2に設けられる装飾用の発光手段のことを、以下では「盤ランプ2a」と称することとする(
図4)。盤ランプ2aを構成する各LEDは、複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、更に発光色を変化させる。
【0020】
センター装飾体20は、遊技盤2の盤面より前側に環状(枠状)に突出しているので、遊技領域3を流下する遊技球がセンター装飾体20の内周側(画面の前方空間)に移動することが防止される。そしてこのセンター装飾体20により、遊技領域3がその上部で左右に分岐するように区画されている。すなわち、遊技領域3は、センター装飾体20の左側を流下する遊技球の経路である左遊技領域(第1の球流下領域)3Lと、センター装飾体20の右側を流下する遊技球の経路である右遊技領域(第2の球流下領域)3Rとを含む領域である。
【0021】
遊技盤2は、遊技領域3の内側に、始動入賞装置10と、一般入賞部材11と、普電入賞装置12と、ゲート13と、第1非電入賞装置14Aと、第2非電入賞装置14Bと、大入賞装置15とが設けられ、これらは、遊技球が入球可能な入球口(後述)を有している。なお、盤面のうち遊技領域3の外側(右下方)に、遊技に関する各種の情報を表示するための表示器類50が設けられているが、この表示器類50については後述する。
【0022】
前述したようにパチンコ遊技機1は、ハンドル4の操作に応じて遊技球の発射強度を調節することが可能であるので、発射強度の調節によって遊技球を左遊技領域3Lと右遊技領域3Rとに打ち分けることができる。左遊技領域3Lに向かって遊技球を発射(以下「左打ち」という)したときには、遊技球は、左遊技領域3Lに設けられる入球口10a,11aに入球し得る。一方、右遊技領域3Rに向かって遊技球を発射(以下「右打ち」という)したときには、遊技球は、右遊技領域3Rに設けられる入球口14Aa,14Ba,13,12a,15aに入球し得る。
なお、以下の説明では、遊技領域3を移動する遊技球が入球可能な入球口のうち、遊技球の入球に対して賞球を付与するものを「入賞口」と称し、入賞口への遊技球の入球のことを「入賞」と表現する場合がある。また、入賞口のうち、遊技球の入球(入賞)が後述する特別図柄の変動表示の契機となるものを「始動口」(または「契機口」)と称し、始動口への遊技球の入球(入賞)のことを「始動入賞」と表現する場合がある。
【0023】
遊技領域3には、センター装飾体20の下側に始動入賞装置10が設けられており、その左方に離間して一般入賞部材11が設けられている。ここで、遊技領域3は、遊技釘の配置等により、センター装飾体20の左側を流下した遊技球(左打ちした遊技球)が、始動入賞装置10に設けられる第1始動口(左)10aおよび一般入賞部材11に設けられる一般入賞口11aに入賞可能に構成されている。すなわち、始動入賞装置10および一般入賞部材11は、遊技領域3のうち左遊技領域3Lに設けられている。
【0024】
遊技領域3には、センター装飾体20の右下方に、上下2つの非電入賞装置14A,14B、ゲート13、普電入賞装置12、大入賞装置15が設けられている。ここで、遊技領域3は、遊技釘の配置等により、センター装飾体20の右側を流下した遊技球(右打ちした遊技球)が、ゲート13を通過(ゲート13に入球)可能に構成されていると共に、第1非電入賞装置14Aに設けられる第1始動口(右)14Aa、第2非電入賞装置14Bに設けられる第2始動口14Ba、普電入賞装置12に設けられる普電入賞口12a、大入賞装置15に設けられる大入賞口15aに入賞可能に構成されている。すなわち、ゲート13、第1非電入賞装置14A、第2非電入賞装置14B、普電入賞装置12、大入賞装置15は、遊技領域3のうち右遊技領域3Rに設けられている。
【0025】
始動入賞装置10は、遊技盤2の盤面より前側に突出するように設けられ、左遊技領域3Lを流下する遊技球が入賞可能な第1始動口(左)10aが上端部に形成されていると共に、第1始動口(左)10aに入賞した遊技球を遊技盤2の後面側に排出する排出通路(図示せず)が形成されている。第1始動口(左)10aは、その開口寸法が変動しない(常に遊技球が入賞可能な)入賞口である。この始動入賞装置10の排出通路には、第1始動口(左)10aに入賞した遊技球を検出する第1始動口(左)センサ10b(
図3)が配置されている。
【0026】
一般入賞部材11は、遊技盤2の盤面より前側に突出するように設けられ、その上端部に、左遊技領域3Lを流下する遊技球が入賞可能な一般入賞口11aが形成されていると共に、一般入賞口11aに入賞した遊技球を遊技盤2の後面側に排出する排出通路(図示せず)が形成されている。一般入賞口11aは、その開口寸法が変動しない(常に遊技球が入賞可能な)入賞口である。この一般入賞部材11の排出通路には、一般入賞口11aに入賞した遊技球を検出する一般入賞口センサ11b(
図3)が配置されている。
【0027】
ゲート13は、遊技盤2の盤面より前側に突出するように設けられ、右遊技領域3Rを流下する遊技球が上下方向(上から下)に通過(入球)可能に構成されている。このゲート13には、通過する遊技球を検出するゲートセンサ13a(
図3)が配置されている。
本実施形態において、ゲート13への入球(ゲートセンサ13aによる検出)は、後述する普電入賞装置12の普電入賞口12aが開放する契機や、後述するV当たり状態を開始させる契機として、遊技制御に利用されている。
【0028】
普電入賞装置12は、
図2に示すように、右遊技領域3Rのうちゲート13を通過した遊技球の流下先側に配置されている。普電入賞装置12は、遊技盤2の盤面上で前向きに開口する普電入賞口12aと、この普電入賞口12aに対して前後方向に進退可能な皿状の普通開閉部材12bと、普電入賞口12aに入賞した遊技球を検出する普電入賞口センサ12c(
図3)と、普通開閉部材12bの後端部に接続された普電ソレノイド12d(
図3)とを備えている。普通開閉部材12bは、常には遊技盤2前面よりも後側に退避しており、普電ソレノイド12dの作動により普通開閉部材12bを前方へ向けてスライド(開作動)させることで、ゲート13を通過して上方から落下してくる遊技球を普通開閉部材12bで受け止め可能な状態となる。すなわち、普通開閉部材12bが後退位置(閉鎖位置)にある状態が普電入賞口12aの閉鎖状態、普通開閉部材12bが進出位置(開放位置)にある状態が普電入賞口12aの開放状態、となる。また、普電入賞装置12には、普通開閉部材12bによって普電入賞口12aに引き込まれた(普電入賞口12aに入球した)遊技球を検出する普電入賞口センサ12c(
図3)が配置されている。
【0029】
ここで、普通開閉部材12bによって受け止められた遊技球は、普電入賞口センサ12cによって検出された後、遊技盤2の後面側に設けられた振分通路41(
図2)に導かれる。振分通路41は、分岐部42と、第1通路部43と、第2通路部44とからなり、分岐部42には振分部材56が設けられている。振分部材56は、その後端部が振分ソレノイド57(
図3)に接続されている。振分部材56は、常には振分ソレノイド57が消磁状態となっていることで分岐部42に突出しており(進出位置)、分岐部42に導かれた遊技球を第1通路部43へと振り分ける。一方、振分ソレノイド57が作動すると(励磁状態になると)分岐部42から後方に退避することで(退避位置)、分岐部42に導かれた遊技球を第2通路部44へと振り分けるようになる。
なお、遊技盤2の後面側には、振分通路41及び後述する2つの非電入賞装置14A,14Bを繋ぐ図示しない左右のリンク機構が上下にスライド可能に配置されている。第1通路部43には、左リンク機構の一部が位置しており、第1通路部43を通過する遊技球の荷重により左リンク機構が下降し、その位置を保持するように構成されている。また、第2通路部44には、右リンク機構の一部が位置しており、第2通路部44を通過する遊技球の荷重により右リンク機構が下降し、その位置を保持するように構成されている。
【0030】
図2に示すように、右遊技領域3Rの上部には、2つの非電入賞装置14A,14Bが上下に並んで配置されている。これらの非電入賞装置14A,14Bは、遊技球の荷重によって機械式に作動する(非電動式の)開閉部材を備えたものであり、この開閉部材によって入賞口を開閉する構造の入賞装置となっている。
【0031】
第1非電入賞装置14Aは、遊技球が入賞可能な第1始動口(右)14Aaと、この第1始動口(右)14Aaを開閉する第1非電開閉部材14Abと、第1始動口(右)14Aaに入賞した遊技球を検出する第1始動口(右)センサ14Ac(
図3)とを備えている。第1始動口(右)14Aaに入賞した遊技球は、第1始動口(右)センサ14Acに検出された後、遊技盤2の後面側に設けられた図示しない排出通路を通過して排出される。この排出通路には、前述した左リンク機構の一部が位置しており、当該排出通路を通過する遊技球の荷重により左リンク機構が上昇し、その位置を保持するように構成されている。
ここで、第1非電開閉部材14Abは、前述した左リンク機構と接続され、左リンク機構の下降に伴って第1始動口(右)14Aaを開放し、左リンク機構の上昇に伴って第1始動口(右)14Aaを閉鎖するように構成されている。
すなわち、本実施形態では、右遊技領域3Rにおいて遊技球がゲート13を通過したことを契機として普電入賞装置12の普電入賞口12aを開放し、この普電入賞口12aに入賞した遊技球が振分通路41の分岐部42に到達して振分部材56により第1通路部43へと振り分けられることで、左リンク機構が下降して第1非電開閉部材14Abが開放される。そして、開放した第1非電開閉部材14Abに遊技球が入賞すると、その入賞した遊技球が排出通路を通過する際に、左リンク機構が上昇して第1非電開閉部材14Abが閉鎖される。
【0032】
第2非電入賞装置14Bは、遊技球が入賞可能な第2始動口(右)14Baと、この第2始動口14Baを開閉する第2非電開閉部材14Bbと、第2始動口14Baに入賞した遊技球を検出する第2始動口センサ14Bc(
図3)とを備えている。第2始動口14Baに入賞した遊技球は、第2始動口センサ14Bcに検出された後、遊技盤2の後面側に設けられた図示しない排出通路を通過して排出される。この排出通路には、前述した右リンク機構の一部が位置しており、当該排出通路を通過する遊技球の荷重により右リンク機構が上昇し、その位置を保持するように構成されている。
ここで、第2非電開閉部材14Bbは、前述した右リンク機構と接続され、右リンク機構の下降に伴って第2始動口14Baを開放し、右リンク機構の上昇に伴って第2始動口14Baを閉鎖するように構成されている。
すなわち、本実施形態では、右遊技領域3Rにおいて遊技球がゲート13を通過したことを契機として普電入賞装置12の普電入賞口12aを開放し、この普電入賞口12aに入賞した遊技球が振分通路41の分岐部42に到達して振分部材56により第2通路部44へと振り分けられることで、右リンク機構が下降して第2非電開閉部材14Bbが開放される。そして、開放した第2非電開閉部材14Bbに遊技球が入賞すると、その入賞した遊技球が排出通路を通過する際に、右リンク機構が上昇して第2非電開閉部材14Bbが閉鎖される。
【0033】
大入賞装置15は、
図2に示すように、右遊技領域3Rのうちゲート13を通過した遊技球の流下先側に配置されている。大入賞装置15は、遊技盤2の盤面より前側に突出するように設けられており、上面が緩やかに左方へと下り傾斜している。そしてこの大入賞装置15の上面に、右遊技領域3Rを流下する遊技球が入賞可能な大入賞口15aが形成されている。すなわち、大入賞口15aは、遊技領域3において上方に向けて開口するように形成されている。この大入賞装置15の内部空間は、大入賞口15aに入賞した遊技球を受け容れ可能に形成されており、この内部空間を介して大入賞口15aが、遊技球を遊技盤2の後面側に排出する排出通路(図示せず)と連通している。ここで、大入賞装置15は、その上面に沿う傾斜姿勢で大入賞口15aを塞ぐ板状の特別開閉部材15bと、大入賞口15aに入賞した遊技球を検出する大入賞口センサ15c(
図3)と、特別開閉部材15bの後端部に接続された大入賞口ソレノイド15d(
図3)とを備えている。そして、特別開閉部材15bを大入賞口ソレノイド15dの作動により後方へ向けてスライド(開作動)させることで、大入賞口15aが開放し、遊技球が大入賞口15aに入賞可能(入賞容易)な状態になる。また、特別開閉部材15bを大入賞口ソレノイド15dの作動終了により前方にスライド(閉作動)させることで、大入賞口15aが閉鎖し、遊技球が大入賞口15aに入賞不可能(入賞困難)な状態になる。すなわち、大入賞口15aは、その開口寸法が変動する(開閉可能な)入賞口(可変入球口、可変入賞口、可変契機口)である。なお、大入賞口15aの閉鎖状態では、大入賞装置15の上面(特別開閉部材15bの上面)に乗った遊技球が、その傾斜に沿って左方へと流下する。
【0034】
大入賞装置15の内部には、大入賞口15aに入賞した遊技球が通過(入球)可能な特定領域が形成されていると共に、特定領域における遊技球の通過(入球)を検出する特定領域センサ15e(
図3)が設けられている。尚、本実施形態のパチンコ遊技機1では、大入賞口15aに入賞した遊技球が必ず特定領域を通過して特定領域センサ15eに検出されるように構成されている。そして、後述の小当たり遊技状態中の特定領域への遊技球の通過が後述のV当たり状態への移行(後述の2種大当たり状態への発展)の契機となっている。
【0035】
[表示器類50の構成]
図3に示すように、表示器類50は、第1特別図柄(第1特図または特
図1ともいう)を変動表示する第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄(第2特図または特
図2ともいう)を変動表示する第2特別図柄表示器52と、普通図柄(普図ともいう)を変動表示する普通図柄表示器53とを備える。更に、表示器類50は、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器51aと、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器52aと、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を表示する普図保留表示器53aとを備える。以下、第1特図及び第2特図に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄または特図という。また、第1特別図柄表示器51及び第2特別図柄表示器52に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄表示器という。
【0036】
普通図柄表示器53は、2個のLEDから構成されている。点灯したLED及び消灯したLEDが普通図柄を表しており、各LEDが交互に点灯する状態が普通図柄の変動表示を表している。また、遊技球がゲート13(ゲートセンサ13a)を通過すると、所定の入球口(本実施形態では普電入賞口12a)を開放するか否かの判定(普図当たり判定)が実行され、普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示する。そして、普通図柄表示器53は、普通図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、普図当たり判定の結果に対応する普通図柄を確定表示する。普通図柄表示器53が確定表示した普通図柄が、当たりを示す普通図柄であった場合は、普電入賞装置12が作動して普通開閉部材12b(普電入賞口12a)が開閉し、普図当たり状態(後述する補助遊技)が発生する。
【0037】
各特別図柄表示器51,52は、それぞれ複数のLEDにより構成されている。各特別図柄表示器51,52を構成する各LEDは、それぞれ所定の点灯パターンにて点灯し、点灯しているLED及び消灯しているLEDの組み合わせが特別図柄を表しており、点灯するLED及び消灯しているLEDの組み合わせが変化している状態が特別図柄の変動表示を表している。以下、特別図柄が変動表示を開始してから特別図柄が確定表示されるまでの特別図柄の変動パターンを特図変動パターンという。
【0038】
遊技球が第1始動口(左)10aまたは第1始動口(右)14Aaに入賞すると、当たり(大当たり)か否かを判定する特図当たり判定(大当たり判定、又は第1特図当たり判定ともいう)が実行され、第1特別図柄表示器51が第1特図を変動表示する。そして、第1特別図柄表示器51は、第1特図の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第1特図を確定表示する。ここで、確定表示された第1特図が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たり遊技状態が発生する。第1特別図柄表示器51での新たな第1特図の変動表示の開始が禁止されているとき(第1特別図柄表示器51が第1特図を変動表示しているときや、大当たり遊技状態が発生しているとき)に、遊技球が第1始動口(左)10aまたは第1始動口(右)14Aaに入賞した場合は、その入賞を契機とする第1特別図柄表示器51の作動が保留され、その作動保留の数を示す記憶数が第1特図保留表示器51aによって表示される。以下、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を第1特図保留数という。
【0039】
また、遊技球が第2始動口14Baに入賞すると、当たり(大当たり)か否かを判定する特図当たり判定(大当たり判定、又は第2特図当たり判定ともいう)が実行され、第2特別図柄表示器52が第2特図を変動表示する。そして、第2特別図柄表示器52は、第2特図の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第2特図を確定表示する。ここで、確定表示された第2特図が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たり遊技状態が発生する。第2特別図柄表示器52での新たな第2特図の変動表示の開始が禁止されているとき(第2特別図柄表示器52が第2特図を変動表示しているときや、大当たり遊技状態が発生しているとき)に、遊技球が第2始動口14Baに入賞した場合は、その入賞を契機とする第2特別図柄表示器52の作動が保留され、その作動保留の数を示す記憶数が第2特図保留表示器52aによって表示される。以下、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を第2特図保留数という。また、第1特図保留数及び第2特図保留数に共通の事項を説明する場合は、単に特図保留数という。
【0040】
以下、特別図柄表示器が特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を確定表示するまでを1回の特図変動(または特別図柄の1回の変動)という。また、特別図柄が1回変動される毎に特図保留数が1個ずつ減少することを特図保留数の消化という。パチンコ遊技機1では、特別図柄表示器の作動保留がその発生タイミングの時系列順に特別図柄の変動表示に用いられ、特図保留数が消化される。なお、特別図柄表示器において1回の特別変動が終了してから特図保留数の消化によって次の特別図柄の変動表示が開始されるまでの間に、所定の変動インターバル(特別図柄の停止時間)が設けられている。
本実施形態では、第1特図保留数の消化が、第2特図保留数の消化に優先して実行される(第1特図の変動表示が第2特図の変動表示よりも優先的に実行される)。
【0041】
[演出表示装置7の表示領域]
次に、演出表示装置7について説明する。演出表示装置7は、演出画像、メッセージ画像、デモンストレーション画像等の動画像及び静止画像を表示する。遊技者は、パチンコ遊技機1の前方からそれらの画像を見ながら遊技を行う。演出表示装置7は、演出画像として、演出(装飾)図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示する。演出図柄は、算用数字(例えば、1~10)を表した図柄である。なお、演出図柄には、アルファベットや特別なキャラクタ等、数字以外を表した図柄を含めてもよいし、数字以外を表した図柄と組み合わせてもよい。演出表示装置7が演出図柄を変動表示する領域として、左から順に、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域、右演出図柄表示領域が設定されている。左演出図柄表示領域では左演出図柄7Lが、中演出図柄表示領域では中演出図柄7Cが、右演出図柄表示領域では右演出図柄7Rがそれぞれ変動表示される(
図1)。以下、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域及び右演出図柄表示領域に共通の事項を説明する場合は、単に演出図柄表示領域という。
【0042】
各演出図柄の変動態様としては例えば、演出図柄が表す数字が昇順となるように画面の上から下に移動する態様、つまり、縦方向にスクロールする態様がある。なお、他の変動態様として、演出図柄が画面の左右の一方から他方へ移動する横スクロール方式、演出図柄が同じ表示位置にて数字の昇順に順番に表示される切替方式等を用いることもできる。また、演出表示装置7は、演出画像として各演出図柄の背景に背景画像を表示する。例えば、背景画像は、テレビドラマや映画等の動画像、その動画像をアニメ化した動画像、アニメーション、パチンコ遊技機メーカーオリジナルの動画像等である。演出表示装置7は、液晶表示装置である。なお、演出表示装置7として、有機EL表示装置、ドットマトリクスLEDを使った表示装置等を用いることもできる。
【0043】
演出表示装置7は、前述した特別図柄表示器51,52での特別図柄の変動表示と同期させて各演出図柄を変動表示し、特別図柄が確定表示されると同時に各演出図柄を確定表示し、特図当たり判定の結果を演出的に表示する。ここで、左演出図柄7L、中演出図柄7C及び右演出図柄7Rは、同じ演出図柄が上下や左右に揺れながら停止位置に存在する表示状態(仮停止表示)となった後に、完全に停止した表示状態(確定表示)となってその変動表示が終了する。なお、全ての演出図柄7L,7C,7Rが同時に確定表示される。
【0044】
以下、特図当たり判定(大当たり判定)の結果が大当たりであったことを表す組み合わせの演出図柄を大当たり演出図柄といい、特図当たり判定(小当たり判定)の結果が小当たりであったことを表す組み合わせの演出図柄を小当たり演出図柄といい、特図当たり判定の結果がハズレ(小当たり以外)であったことを表す組み合わせの演出図柄をハズレ演出図柄という。大当たり演出図柄は、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃った状態、いわゆる、ぞろ目の状態である。例えば、
図1に示すように、確定表示された左演出図柄7L、中演出図柄7C及び右演出図柄7Rがそれぞれ「7」で揃った状態である。これに対し、小当たり演出図柄は、大当たり演出図柄(そろ目)以外の特定の組み合わせであり、例えば、左右の演出図柄の同じ数字を表す演出図柄で揃い、かつ中演出図柄がチャンス図柄となった状態等である。また、ハズレ演出図柄は、大当たり演出図柄・小当たり演出図柄以外の演出図柄の組み合わせである。以下、演出表示装置7が特別図柄表示器での特別図柄の変動表示(特図変動)と同期させて行う演出図柄の変動表示を「変動演出」という。また、変動演出での演出図柄の背後に表示される画像を「背景画像」という。なお、変動演出以外の演出や報知等についても、演出表示装置7に表示する主たる表示画像に対してその背後に表示する画像のことを「背景画像」ということがある。背景画像は、静止画像または動画像である。
【0045】
演出図柄の変動演出は、特図の変動表示と同期して行われ、特別図柄表示器の作動保留が発生した場合は、演出表示装置7の作動も保留される。つまり、特別図柄表示器の作動保留数と、演出表示装置7の作動保留数とは一致する。なお、特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数は、
図1に示すように、保留画像によって演出表示装置7の予め定められた表示領域(以下「演出保留表示領域7Ba,7Bb」という)に表示される。従って、遊技者は、演出表示装置7(演出保留表示領域7Ba,7Bb)に表示される保留画像の数を数えることにより、特別図柄の変動表示の作動保留数(第1特図保留数や第2特図保留数)を知ることができる。本実施形態では、遊技状態毎に対応する一方の特別図柄(第1特図または第2特図)の作動保留数を、左側のメイン演出保留表示領域7Baで表示し、他方の特別図柄の作動保留数を、右側のサブ演出保留表示領域7Bbで表示する。また、演出表示装置7の画面において、演出保留表示領域7Ba,7Bbの左側に、実行中の変動演出の存在を示すための当該変動用表示領域7Bcが設けられている。なお、演出保留表示領域7Ba,7Bbや当該変動用表示領域7Bcは、演出表示装置7の画面に設けられる必要はなく、別の表示装置の画面上に設けるようにしてもよいし、LED等を用いたランプ(発光手段)により構成するようにしてもよい。
【0046】
また、パチンコ遊技機1では、変動演出の結果(演出図柄の停止表示)による特図当たり判定の結果の報知に加えて、その変動演出の結果を示唆したりその結果表示までの過程を盛り上げたりする演出等を行う。このような演出は、演出表示装置7に表示される画像、スピーカ8から出力される音、遊技盤2や前面枠18のランプ(盤ランプ2a、左サイドランプ23a、右サイドランプ23b、トップランプ23c)の点灯等を複合的に用いて行われる。すなわち、パチンコ遊技機1に設けられる演出表示装置7、スピーカ8、ランプ2a,23a,23b,23cは、演出を実行する演出実行手段として機能する。
なお、演出表示装置7、スピーカ8、ランプ2a,23a,23b,23cは、パチンコ遊技機1に生じた異常状態を報知するための異常報知手段としても機能する。
【0047】
[パチンコ遊技機1の主な電気的構成]
次に、
図3及び
図4に従って、パチンコ遊技機1の主な電気的構成について説明する。
パチンコ遊技機1は、主制御基板60と、電源基板70と、払出制御基板73と、発射制御回路75と、音声制御基板78と、ランプ制御基板79と、貸球払出装置80と、発射装置90と、サブ制御基板100と、画像制御基板200とを備えている。
【0048】
図3に示すように、主制御基板60には、遊技制御用ワンチップマイコン(以下、遊技制御用マイコンという)61が実装されている。遊技制御用マイコン61は、CPU62と、ROM63と、RAM64と、入出力回路65とを備えている。遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数、大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数、普図当たり乱数、普電振分乱数等、各種の判定(抽選)にて使用する乱数を発生する。CPU62は、入賞の検出、特図当たり判定、各種乱数の更新等を実行する。ROM63には、CPU62が実行するコンピュータプログラム、各種のテーブル等が記憶されている。RAM64は、CPU62がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリ等として使用される。
【0049】
また、RAM64には、第1特図保留記憶部64aと、第2特図保留記憶部64bと、普図保留記憶部64cとが設けられている。
第1特図保留記憶部64aは、第1乃至第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第1特図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第1始動口(左)10aまたは第1始動口(右)14Aaに入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数等の値(始動入賞情報)が記憶される。例えば第1特別図柄表示器51が第1特図を変動表示しているときに遊技球が第1始動口(左)10aまたは第1始動口(右)14Aaに入賞すると、その入賞に起因する第1特図の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数等は第1特図保留記憶部64aに記憶される。
【0050】
第2特図保留記憶部64bは、第1乃至第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第2特図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第2始動口14Baに入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数等の値(始動入賞情報)が記憶される。例えば第2特別図柄表示器52が第2特図を変動表示しているときに遊技球が第2始動口14Baに入賞すると、その入賞に起因する第2特図の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数等は第2特図保留記憶部64bに記憶される。
【0051】
大当たり乱数等の始動入賞情報は、作動保留の発生順、つまり、遊技制御用マイコン61による取得順に第1特図保留記憶部64a及び第2特図保留記憶部64bの各第1記憶領域から順番に記憶される。このため、始動入賞情報が第1乃至第4記憶領域まで記憶されている場合は、第4記憶領域に記憶されている始動入賞情報が時間的に最も新しい情報であり、第1記憶領域に記憶されている始動入賞情報が時間的に最も古い情報である。各記憶領域に記憶されている始動入賞情報は、特別図柄の変動表示が1回終了する毎に、記憶の順番が古い方の記憶領域に1つずつシフトする。例えば、第2記憶領域に記憶されていた大当たり乱数等は第1記憶領域にシフトする。また、第1記憶領域に記憶されている始動入賞情報に基づく特図当たり判定等の判定(抽選)は、特別図柄表示器による特別図柄の当該変動表示が終了し、次の変動表示の開始タイミングが到来した際(変動表示の始動条件が成立した際)に実行される。
【0052】
なお、パチンコ遊技機1では、前述したように第1特図保留数の消化が第2特図保留数の消化に優先して実行される。つまり、第1特図保留数と第2特図保留数とが何れも複数存在する場合、先ず第1特図保留数が順に消化され、次に第2特図保留数が順に消化される。例えば、第1特図保留記憶部64aの第1記憶領域と、第2特図保留記憶部64bの第1記憶領域とに始動入賞情報が記憶されている状態で、特図の変動表示の開始タイミングが到来した場合は、第1特図保留記憶部64aの第1記憶領域に記憶されている始動入賞情報が実行エリア(実行対象領域)にシフトし、この始動入賞情報に基づく特図当たり判定等の判定が実行される。一方でこの時、第2特図保留記憶部64bでは第1記憶領域の始動入賞情報はシフトされず、その後に第1特図保留数が0の状態での特図の変動表示の開始タイミング到来時になると実行エリア(実行対象領域)にシフトして、この始動入賞情報に基づく特図当たり判定等の判定が実行される。
【0053】
普図保留記憶部64cは、遊技球がゲート13を通過したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した普通当たり乱数(普通図柄が当たりか否かを判定(抽選)するための乱数)等の作動入球情報が記憶される。普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示しているときに遊技球がゲート13を通過したときは、その通過に起因する普通図柄表示器53の作動は一旦保留(作動保留)され、その通過に起因して取得された普通当たり乱数は普図保留記憶部64cに記憶される。普通図柄の保留された変動表示は、現在行われている普通図柄の変動表示が終了した次に行われる。パチンコ遊技機1では、普図保留記憶部64cは、計4個の保留を行うための記憶領域を有し、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数は最大4個である。普通当たり乱数等の作動入球情報は、作動保留の発生順、つまり、遊技制御用マイコン61による取得順に普図保留記憶部64cの第1記憶領域から順番に記憶される。このため、作動入球情報が第1乃至第4記憶領域まで記憶されている場合は、第4記憶領域に記憶されている作動入球情報が時間的に最も新しい情報であり、第1記憶領域に記憶されている作動入球情報が時間的に最も古い情報である。以下、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を普図保留数という。
【0054】
また、主制御基板60には、RAMクリアスイッチ66が搭載されている。すなわち、RAMクリアスイッチ66は、パチンコ遊技機1の後側から押下可能となっている。パチンコ遊技機1は、RAMクリアスイッチ66が押下された状態で起動すると、RAM64及びサブ制御基板100のRAM120を初期化する。
【0055】
また、主制御基板60には、表示器類50が電気的に接続されている。更に、主制御基板60には、中継基板74を介して、第1始動口(左)センサ10bと、一般入賞口センサ11bと、普電入賞口センサ12cと、ゲートセンサ13aと、第1始動口(右)センサ14Acと、第2始動口センサ14Bcと、大入賞口センサ15cと、特定領域センサ15eとが電気的に接続されている。
【0056】
第1始動口(左)センサ10bは、第1始動口(左)10aに入賞した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。一般入賞口センサ11bは、一般入賞口11aに入賞した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。普電入賞口センサ12cは、普電入賞口12aに入賞した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。第1始動口(右)センサ14Acは、第1始動口(右)14Aaに入賞した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。第2始動口センサ14Bcは、第2始動口14Baに入賞した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。大入賞口センサ15cは、大入賞口15aに入賞した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。ゲートセンサ13aは、ゲート13に入球した(通過している)遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。遊技球が前述の各センサのうちゲートセンサ13a以外のセンサによって検出されると、センサ毎に予め定めた個数の賞球の払出条件がそれぞれ成立する。
【0057】
また、特定領域センサ15eは、大入賞装置15内部の特定領域を通過する(特定領域に入球する)遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。
【0058】
また、主制御基板60には、中継基板74を介して、普電ソレノイド12dと、大入賞口ソレノイド15dと、振分ソレノイド57とが電気的に接続されている。普電ソレノイド12dは、主制御基板60の制御に基づいて普電入賞装置12の普通開閉部材12bを開閉駆動する。大入賞口ソレノイド15dは、主制御基板60の制御に基づいて大入賞装置15の特別開閉部材15bを開閉駆動する。振分ソレノイド57は、主制御基板60の制御に基づいて普電入賞装置12の内部の振分部材56を駆動する。
【0059】
主制御基板60には、払出制御基板73を介してカードユニット76と、貸球払出装置80と、賞球払出装置400とが電気的に接続されている。カードユニット76は、パチンコ遊技機1に隣接して設けられており、プリペイドカードに対して残高の読取りや書き込み等を行う。貸球払出装置80は、球貸モータ81と、球貸センサ82とを備えている。球貸モータ81は、貸球としての遊技球を払出す部材を駆動し、球貸センサ82は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を、払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、貸球払出装置80が払出した貸球数を計数する。カードユニット76に挿入されたプリペイドカードに、払出可能な最小残高以上の残高が記録されているときに、球貸ボタン(図示せず)が操作されると、貸球払出装置80が作動し、最小単位個数の貸球が打球供給皿24に払出される。
【0060】
賞球払出装置400は、賞球モータ401と、賞球センサ402とを備えている。賞球モータ401は、賞球としての遊技球を払出す部材を駆動し、賞球センサ402は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を、払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、賞球払出装置400が払出した賞球数を計数する。
【0061】
また、主制御基板60には、発射制御回路75を介して発射装置90が電気的に接続されている。発射装置90は、発射モータ91と、タッチスイッチ92と、発射ボリューム93とを備えている。発射モータ91は、遊技球を打撃して発射する打撃槌(図示せず)を駆動する。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力する。発射ボリューム93は、発射レバー4aの回転量に応じて、打撃槌が遊技球を打撃する強度を調節する。
【0062】
また、パチンコ遊技機1は、電源基板70を備えている。電源基板70は、主制御基板60及び払出制御基板73に電力を供給する。また、電源基板70は、払出制御基板73に電気的に接続された各装置に対して、払出制御基板73を介して電力を供給する。また、電源基板70は、中継基板74に電気的に接続された各センサ及びソレノイドに対して、主制御基板60から中継基板74を介して電力を供給する。また、電源基板70は、主制御基板60に電気的に接続された表示器類50に対して、主制御基板60を介して電力を供給する。
【0063】
電源基板70には、バックアップ電源回路71が設けられている。バックアップ電源回路71は、パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合に、主制御基板60のRAM64等に対して情報の保持に必要な電力を供給する。電源基板70には、電源基板70へ電力を供給する主電源をオンオフするための電源スイッチ72が電気的に接続されている。
【0064】
主制御基板60は、サブ制御基板100(
図4)に対して各種コマンドを送信する。主制御基板60は、コマンドをサブ制御基板100へ送信することはできるが、サブ制御基板100は、主制御基板60へコマンドを送信することができない。つまり、主制御基板60とサブ制御基板100との通信は、主制御基板60からサブ制御基板100へ送信することのみが可能な単方向通信となっている。
【0065】
図4に示すように、サブ制御基板100には、演出制御用ワンチップマイコン(以下、演出制御用マイコンという)101が実装されている。演出制御用マイコン101は、CPU102と、ROM110と、RAM120と、入出力回路103とを備えている。CPU102は、遊技に伴って演出を制御する。ROM110には、CPU102が演出を制御するためのコンピュータプログラムの他、各種のテーブルが記憶されている。RAM120は、CPU102がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。また、RAM120には、第1特図保留演出記憶部121と、第2特図保留演出記憶部122と、当該変動用演出記憶部123とが設けられている。
【0066】
第1特図保留演出記憶部121は、第1乃至第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力(送信)される第1始動入賞コマンドが示す始動入賞情報(乱数値等)を記憶する。第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口(左)10aまたは第1始動口(右)14Aaに入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数及びリーチ乱数を含むコマンドである。
【0067】
一方、第2特図保留演出記憶部122は、第1乃至第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力(送信)される第2始動入賞コマンドが示す始動入賞情報(乱数値等)を記憶する。第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口14Baに入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数及びリーチ乱数を含むコマンドである。
【0068】
当該変動用演出記憶部123は、変動演出パターンの当該変動に用いる第1始動入賞コマンドまたは第2始動入賞コマンドが示す始動入賞情報(乱数値等)を記憶する。入出力回路103は、サブ制御基板100に接続された各基板等との間でデータの送信または受信を行う。
【0069】
更に、本実施形態では、演出制御用マイコン101のRAM120に、遊技者による遊技データを記憶するための遊技データ管理部128が設けられている。この遊技データ管理部128については後述する。
【0070】
また、サブ制御基板100には、リアルタイムクロック(RTC)124が実装されている。RTC124は、現在(現時点)の日時(日付及び時刻)を計測するものである。RTC124は、例えば、外部の電源装置からパチンコ遊技機1へ電力が供給されているときには、その電力によって動作し、外部の電源装置から電力が供給されていないときには、電源基板70が備えるバックアップ電源回路71から供給される電力によって動作する。このため、RTC124は、パチンコ遊技機1の電源が投入されていないときや、RAM120の記憶内容がクリアされたときでも、現在の日時を計測することが可能である。なお、RTC124へ電力を供給するバックアップ電源回路をサブ制御基板100に設けてもよい。パチンコ遊技機1では、RTC124による計時の結果に基づいて特別な演出を実行することが可能となっている。
【0071】
サブ制御基板100には、画像制御基板200が電気的に接続されている。画像制御基板200には、VDP201(Video Display Processor)と、画像制御用CPU202と、制御用ROM203と、制御用RAM204と、CGROM(Character Generator Read Only Memory)205と、VRAM(Video Random Access Memory)206とが実装されている。画像制御用CPU202は、変動演出パターン、ボタン演出画像、及び予告画像等の演出画像を表示するよう演出表示装置7を制御する。制御用ROM203には、画像制御用CPU202が演出表示装置7を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御用RAM204は、画像制御用CPU202がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。CGROM205には、演出表示装置7が演出画像を表示するための画像データが記憶されている。VDP201は、画像制御用CPU202によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM205から画像データを読み出し、その読み出した画像データをVRAM206内の展開領域に展開する。そして、VDP201は、VRAM206内に展開した画像データを合成し、その合成した画像データをVRAM206内のフレームバッファに記憶する。そして、VDP201は、VRAM206内のフレームバッファに記憶した画像データをRGB信号に変換して演出表示装置7に出力する。これにより、演出表示装置7は演出画像を表示する。
【0072】
サブ制御基板100には、ランプ制御基板79を介して盤ランプ2a、演出ボタンランプ5c、左サイドランプ23a、右サイドランプ23b、トップランプ23cおよび可動体モータ23dが電気的に接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し、その発光パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。また、演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて、トップランプ23c内の回転リフレクタの動作態様を決める回転動作パターンデータを作成し、その回転動作パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した回転動作パターンデータに従って可動体モータ23dの駆動制御を行う。
【0073】
サブ制御基板100には、音声制御基板78を介して各スピーカ8が電気的に接続されている。音声制御基板78には、音声制御用CPU(図示せず)と、音声データROM(図示せず)と、音声合成回路(図示せず)と、アンプ(図示せず)とが搭載されている。音声データROMには、各スピーカ8が音楽や効果音等の音を出力するための音声データが記憶されている。音声制御用CPUは、サブ制御基板100から受信したコマンドに基づいて音声データROMから音声データを読み出し、その読み出した音声データを音声合成回路に出力する。音声合成回路は、入力した音声データを合成するとともに、その合成した合成音声データをアナログの音声信号に変換してアンプに出力する。アンプは、入力した音声信号を増幅して各スピーカ8に出力する。そして、各スピーカ8は、入力した音声信号により示される音を出力する。
【0074】
また、サブ制御基板100には、演出ボタン検出スイッチ5aと、演出レバー押込検出スイッチ6aと、演出レバー回転検出スイッチ6bと、演出ボタン振動モータ5bと、演出レバー振動モータ6cとが電気的に接続されている。
【0075】
演出ボタン検出スイッチ5aは、演出ボタン5が押下操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出ボタン検出スイッチ5aから入力した信号に基づいて、ボタン演出を実行する。演出レバー押込検出スイッチ6aは、演出レバー6が押込操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出レバー押込検出スイッチ6aから入力した信号に基づいて、演出レバー6が押込操作されたときに行うレバー演出を実行する。演出レバー回転検出スイッチ6bは、演出レバー6が回転操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出レバー回転検出スイッチ6bから入力した信号に基づいて、演出レバー6が回転操作されたときに行うレバー演出を実行する。
【0076】
演出ボタン振動モータ5bは、演出ボタン5を振動させる部材であり、演出ボタン5の内部に収容されている。演出レバー振動モータ6cは、演出レバー6を振動させる部材であり、演出レバー6と接する部位または演出レバー6の内部に設けられている。ROM110には、演出ボタン振動モータ5bの動作パターンを決める動作パターンデータと、演出レバー振動モータ6cの動作パターンを決める動作パターンデータとが記憶されている。演出制御用マイコン101は、演出ボタン5を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読み出し、その読み出した動作パターンデータに基づいて演出ボタン振動モータ5bを駆動制御する。また、演出制御用マイコン101は、演出レバー6を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読み出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出レバー振動モータ6cを駆動制御する。
【0077】
[遊技状態の説明]
次に、パチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。
【0078】
(大当たり遊技状態、小当たり遊技状態)
本実施形態のパチンコ遊技機1は、従来において1種パチンコ機および2種パチンコ機と呼ばれていた各遊技機の遊技性を組み合わせた、いわゆる1種2種混合機と呼ばれる機種である。ここで、1種パチンコ機の遊技性とは、始動口への入賞を契機とする特図当たり判定(大当たり抽選)で当選となった場合に大当たり遊技状態を生じさせるものであり、2種パチンコ機の遊技性は、始動口への入賞を契機とする特図当たり判定の小当たり判定(小当たり抽選)で当選となった場合に大入賞口を開放し、その開放中に入賞した遊技球が当該大入賞口内部の特定領域を通過したことを契機として大当たり遊技状態へと発展させるものである。1種2種混合機である本実施形態のパチンコ遊技機1では、始動口への入賞を契機とする特図当たり判定において大当りに当選した場合に大当たり遊技状態(以下「1種大当たり状態」ということがある)を生じさせる。また、始動口への入賞を契機とする特図当たり判定(大当たり判定)がハズレとなり、かつ小当たり判定において当選した場合には、大入賞口を開放する小当たり遊技状態を生じさせ、この小当たり遊技状態中に大入賞口に入賞した遊技球が特定領域に入球した場合に限り、大当たり遊技状態(以下「2種大当たり状態」ということがある)へと発展させる。なお、2種大当たり状態は、前述の如く小当たり遊技状態から発展するものであるので、小当たり遊技状態を1ラウンドとみなし、特定領域への入球後に生じる開放(V当たり状態)については2ラウンド以降のラウンドとして計数する。すなわち、小当たり遊技状態とその後のV当たり状態とによって2種大当たり状態が構成される。これに対し、V当たり状態のみを大当り遊技状態と捉えることも可能である。
【0079】
なお、大当たり遊技状態は、大入賞口15aへの遊技球の入賞を狙うことのできる遊技期間(ラウンド)を含む遊技状態であり、本実施形態においては、オープニング期間、複数回のラウンドが生じる連続作動期間、エンディング期間の順に状態が変化する。ラウンド中は、大入賞口ソレノイド15dを駆動することにより特別開閉部材15bを作動させて、大入賞口15aを少なくとも1回開放する。ここで、2種大当たり状態の1ラウンド(小当たり遊技状態)を除いた大当たり遊技状態の各ラウンドは、大入賞口15aに入賞した遊技球の個数が予め定めた上限個数(例えば10球)に達するか、所定の開放時間(例えば30秒)が経過するかの何れか早い方のラウンド終了条件が成立することに応じて終了する。一方で、2種大当たり状態の1ラウンド(小当たり遊技状態)は、それ以外のラウンドよりも短い開放時間(例えば1.8秒)が経過するか、大入賞口15aに入賞した遊技球の個数が予め定めた上限個数(10球以下の所定個数)に達するかの何れか早い方のラウンド終了条件(基本的には開放時間の経過)が成立することに応じて終了する。なお、ラウンドとラウンドの間にインターバル時間(ラウンドインターバル)が設定されており、少なくともこのインターバル時間には大入賞口15aが閉鎖状態を維持するように設定(大入賞口ソレノイド15dが非作動に制御)される。
【0080】
(時短状態、非時短状態)
本実施形態のパチンコ遊技機1には、普通図柄表示器53での表示(普通図柄の表示)について、確率変動機能(普図当たり判定の当たり確率を向上させる機能)と変動時間短縮機能とが備わっている一方で、特別図柄表示器での表示(特別図柄や普通図柄の表示)については変動時間短縮機能のみが備わっており、確率変動機能(特図当たり判定の大当たり確率を向上させる機能)は備わっていない。すなわち、パチンコ遊技機1では、特図当たり判定において大当たりと判定される確率(以下、大当たり確率という)は固定であり、大当たり確率が通常よりも高い状態となる高確率状態は本機種では存在しない。
【0081】
特別図柄の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して特別図柄の変動時間として短い変動時間が選択され易くなる。その結果、特別図柄の変動時間短縮機能が作動する状態では、特図保留の消化ペースを早め、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生し易くなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たり当選を狙うことができる。
【0082】
普通図柄の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器53に確定表示する普通図柄が、普通当たり図柄(普通図柄の抽選において当たりと判定されたことを示す普通図柄)となる確率が高くなる。また、普通図柄の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄の変動時間が短くなる。例えば、普通図柄の変動時間は、変動時間短縮機能が作動していない状態では10秒であるが、変動時間短縮機能が作動している状態では1秒である。またこの普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能は、前述した特別図柄の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。つまり、特別図柄の変動時間短縮機能が作動する遊技状態では、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能も作動するようになっている。
【0083】
更に、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能に同期して、普電入賞装置12の開放時間延長機能及び開放回数増加機能が作動する。ここで、普通図柄が予め定めた特定の普通図柄で確定表示された場合に、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて普電入賞口12aを開閉させる補助遊技が行われる。この補助遊技における普電入賞装置12(普電入賞口12a)の開放時間が、普電入賞装置12の開放時間延長機能によって長くなる。また、この補助遊技における普電入賞装置12(普電入賞口12a)の開放回数が、普電入賞装置12の開放回数増加機能によって多くなる。従って、開放時間延長機能及び開放回数増加機能が作動する状況下では、普電入賞口12aへの遊技球の入賞頻度が高められる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合が高くなるため、遊技者は、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たり(又は小当たり)を狙うことができる。このように、普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能と、普電入賞装置12についての開放時間延長機能及び開放回数増加機能とは、普電入賞口12aへの遊技球の入賞頻度を高めるためのサポート機能である。このため、これらのうち少なくとも1つの機能を作動させる制御のことを電サポ制御ということがある。
【0084】
すなわち、本実施形態のパチンコ遊技機1における遊技状態として、特別図柄の変動時間短縮機能、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能、普電入賞装置12の開放時間延長機能及び開放回数増加機能、の全機能が作動しない遊技状態Aと、全機能が作動する遊技状態Bとが生じ得るようになっている。以下の説明では、前述した遊技状態Aを「非時短状態」と称し、前述した遊技状態Bを「時短状態」と称する。但し「時短状態」は、前述した機能の全てを作動させる必要はなく、少なくとも1つの機能を作動する遊技状態であればよい。
【0085】
なお、本実施形態における「時短状態」は、電サポ制御がなされる状態であり、発射球数に対する賞球数の割合が高くなるため、「高ベース状態(有利遊技状態)」と言い換えることができる。一方で「非時短状態」は、前述した高ベース状態に対して「低ベース状態(通常遊技状態)」と言い換えることができる。
【0086】
本実施形態のパチンコ遊技機1では、大当たり遊技状態が終了した後の遊技状態は、時短状態である。本実施形態では、複数種類の時短状態を生起可能となっている。具体的には、
図5に示すように、大当たり遊技状態のうち1種大当たり状態の終了後に付与され得る時短状態として、時短1および時短2があり、2種大当たり状態の終了後に付与され得る時短状態として、時短3および時短4がある。1種大当たり状態の終了後の時短状態を時短1および時短2のどちらとするかは、大当たり図柄(特別図柄)の種類によって決定される。また、2種大当たり状態の終了後の時短状態を時短3および時短4のどちらとするかは、小当たり図柄(特別図柄)の種類によって決定される。
時短1は、1種大当たり状態の終了後、100回の第1特図の変動表示が終了するまでを最長期間として付与される。また、時短2は、1種大当たり状態の終了後、150回の第1特図の変動表示が終了するか、大当たり遊技状態に移行するまでの期間に付与される。
更に、時短3及び時短4は、2種大当たり状態(V当たり状態)の終了後、10回の第1特図の変動表示が終了するか、大当たり遊技状態に移行するまでの期間に付与される。
【0087】
なお、本実施形態では、時短状態中に遊技球がゲート13を通過し、ゲートセンサ13aによる遊技球の検出を契機とする普図当たり判定が当たりの判定結果となった場合に、その時の時短状態の種類に基づいて普通開閉部材12bの開放パターンが決定されるようになっている。この点については後述する。
【0088】
[主な判定テーブル]
次に、パチンコ遊技機1の遊技制御用マイコン61が参照する主な判定テーブルについて説明する。
【0089】
(大当たり判定テーブルT1)
図6に示す大当たり判定テーブルT1は、遊技制御用マイコン61が特図当たり判定(大当たり判定・小当たり判定)を実行する際に参照するテーブルである。本実施形態の大当たり判定テーブルは、第1特図・第2特図の両方の特図当たり判定で用いられるテーブルであり、大当たり乱数値(大当たり判定値)の範囲と判定結果(大当たりまたはハズレ・小当たり)とを対応付けて設定されている。大当たり乱数値(大当たり判定値)は、大当たり乱数カウンタが発生する大当たり乱数の中から所定の乱数を選択したものである。大当たり乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり乱数カウンタが動作して大当たり乱数値が発生する。大当たり乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。パチンコ遊技機1の大当たり乱数カウンタは、0~65535の計65536個の大当たり乱数値をカウントする。つまり、0~65535の計65536個の大当たり乱数値を発生する。
【0090】
大当たり判定テーブルT1には、特図当たり判定における大当たり(小当たりは含まない)の判定結果に対応する大当たり乱数値として、0~204の計205個の値が設定されている。遊技制御用マイコン61は、第1特図及び第2特図のどちらに対応する特図当たり判定であっても、大当たり乱数カウンタから取得した大当たり乱数値が0~65535のうち0~204の範囲内の値であった場合は、大当たりと判定する。また、遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数カウンタから取得した大当たり乱数値が205~65535であった場合、その特図当たり判定が第1特図に対応する判定である場合は「ハズレ」と判定し、第2特図に対応する判定である場合は「小当たり」と判定する。
【0091】
すなわち、第1特図の特図当たり判定と第2特図の特図当たり判定とでは、大当たりと判定される確率は変わらないが、大当たりではないと判定された場合、第2特図の判定では小当たりと判定され、第1特図の判定ではハズレと判定される。すなわち、第1特図の特図当たり判定では小当たりと判定されることがないため、第2特図の特図当たり判定では、第1特図の特図当たり判定に比して小当たりと判定される確率が非常に高い。
【0092】
なお、本実施形態では、大当たり乱数を用いて大当たり判定と小当たり判定とを行うようにしたが、大当たり乱数とは別に小当たり乱数を設け、大当たりに当選しなかった場合に小当たり判定を行うようにしてもよい。またちなみに、第1特図の特図当たり判定でも小当たりを設定してもよいが、その確率は第2特図の特図当たり判定における小当たり確率よりも低くすることが望ましい。
【0093】
(大当たり種別判定テーブルT2)
図7に示す大当たり種別判定テーブルT2は、遊技制御用マイコン61が特図当たり判定において大当たりと判定したことに応じて大当たりの種別を決定する際に参照するテーブルである。大当たり種別判定テーブルは、大当たり種別(大当たり図柄種別)毎に所定個数の大当たり種別乱数値を対応付けて構成されている。大当たり種別乱数値は、大当たり種別乱数カウンタが発生する値である。大当たり種別乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり種別乱数カウンタが動作して大当たり種別乱数値が発生する。大当たり種別乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。本実施形態において大当たり種別乱数カウンタは、0~99の計100個の大当たり種別乱数値を発生させる。
【0094】
パチンコ遊技機1では、第1特図の大当たり図柄として「大当たり図柄1-1」及び「大当たり図柄1-2」が設定されている。「大当たり図柄1-1」で特定される大当たり種別は、「3R(ラウンド)大当たり(終了後に時短1を付与)」である。「大当たり図柄1-2」で特定される大当たり種別は、「3R(ラウンド)大当たり(終了後に時短2を付与)」である。このように、第1特図に対応する特図当たり判定で大当たりの判定結果が導出された場合、選択される大当たり図柄の違いによって、大当たり遊技状態の終了後に付与される時短状態の種類が異なるように設定されている。
【0095】
また、第2特図の大当たり図柄として「大当たり図柄2-1」及び「大当たり図柄2-2」が設定されている。「大当たり図柄2-1」で特定される大当たり種別は、「10R(ラウンド)大当たり(終了後に時短1を付与)」である。「大当たり図柄2-2」で特定される大当たり種別は、「10R(ラウンド)大当たり(終了後に時短2を付与)」である。このように、第2特図に対応する特図当たり判定で大当たりの判定結果が導出された場合、選択される大当たり図柄の違いによって、大当たり遊技状態の終了後に付与される時短状態の種類が異なるように設定されている。
【0096】
(小当たり種別判定テーブルT3)
図8に示す小当たり種別判定テーブルT3は、小当たり判定で小当たりと判定された場合に遊技制御用マイコン61が小当たりの種別判定を実行する際に参照するテーブルである。小当たり種別判定テーブルT3は、小当たり種別(小当たり図柄種別)毎に所定個数の小当たり種別乱数値(小当たり種別判定値)を対応付けて構成されている。小当たり種別乱数値は、小当たり種別乱数カウンタが発生する値である。小当たり種別乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、小当たり種別乱数カウンタが動作して小当たり種別乱数値が発生する。小当たり種別乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。本実施形態において小当たり種別乱数カウンタは、0~99の計100個の小当たり種別乱数値を発生する。本実施形態では小当たり図柄として「小当たり図柄a」、「小当たり図柄b」及び「小当たり図柄c」が設定されている。
【0097】
遊技制御用マイコン61は、小当たり種別判定において、小当たり種別乱数カウンタが発生する小当たり種別乱数値が0~99のうち0~49の何れかであった場合(50パーセント)に、「小当たり図柄a」を決定する。「小当たり図柄a」で特定される小当たり種別では、小当たり遊技状態中に遊技球が特定領域を通過することを条件として、2種大当たり状態の2R以降(V当たり状態)を生起させ、10Rを最終ラウンドとして、遊技状態を時短3に移行させる制御内容が設定されている。
【0098】
また、遊技制御用マイコン61は、小当たり種別判定において、小当たり種別乱数カウンタが発生する小当たり種別乱数値が0~99のうち50~71の何れかであった場合(22パーセント)に、「小当たり図柄b」を決定する。「小当たり図柄b」で特定される小当たり種別では、小当たり遊技状態中に遊技球が特定領域を通過することを条件として、2種大当たり状態の2R以降(V当たり状態)を生起させ、3Rを最終ラウンドとして、遊技状態を時短3に移行させる制御内容が設定されている。
【0099】
更に、遊技制御用マイコン61は、小当たり種別判定において、小当たり種別乱数カウンタが発生する小当たり種別乱数値が0~99のうち72~99の何れかであった場合、「小当たり図柄c」を決定する。「小当たり図柄c」で特定される小当たり種別では、小当たり遊技状態中に遊技球が特定領域を通過することを条件として、2種大当たり状態の2R以降(V当たり状態)を生起させ、3Rを最終ラウンドとして、遊技状態を時短4に移行させる制御内容が設定されている。
【0100】
(普電振分判定テーブルT4)
図9に示す普電通路振分判定テーブルT4は、普図当たり判定で当たりと判定された場合に遊技制御用マイコン61が普図当たりの種別(普通開閉部材12bの開放パターンの種別)を決定する際に参照するテーブルである。前述のように、本実施形態のパチンコ遊技機1は、普電入賞装置12における普通開閉部材12bの作動により開放した普電入賞口12aに遊技球が入賞した場合、その遊技球を振分通路41で第1通路部43および第2通路部44に振り分けるように構成されている。第1通路部43および第2通路部44のどちらに遊技球が振り分けられるかは、普通開閉部材12bの開放中に振分部材56が進出位置にあるか退避位置にあるかによって異なる。
本実施形態では、普通開閉部材12bの開放パターン(振分部材56の動作パターン)として2種類が設定されている。第1開放パターンOP1は、普通開閉部材12bを所定時間開放すると共に、その開放中に振分部材56を進出位置に維持する開放パターンである。一方で第2開放パターンOP2は、普通開閉部材12bを所定時間開放すると共に、その開放中に振分部材56を退避位置に移動させる開放パターンとなっている。
【0101】
すなわち、第1開放パターンOP1が決定された場合には、この第1開放パターンOP1で定められたタイミングに合わせて普通開閉部材12bおよび振分部材56が作動するので、普電入賞口12aに入賞した遊技球は第1通路部43に導かれる。そして、第1リンク機構が下降して第1非電開閉部材14Abが開放し、第1始動口(右)14Aaへの遊技球1個の入賞が許容される。
これに対し、第2開放パターンOP2が決定された場合には、この第2開放パターンOP2で定められたタイミングに合わせて普通開閉部材12bおよび振分部材56が作動するので、普電入賞口12aに入賞した遊技球は第2通路部44に導かれる。そして、第2リンク機構が下降して第2非電開閉部材14Bbが開放し、第2始動口14Baへの遊技球1個の入賞が許容される。
【0102】
ここで、普電振分判定テーブルT4は、遊技状態(時短状態)の種別毎に、所定個数の普電振分乱数値を2種類の開放パターンOP1,OP2に割り振っている。普電振分乱数値は、普電振分乱数カウンタがランダムに発生する値である。普電振分乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、普電振分乱数カウンタが動作して普電振分乱数値が発生する。普電振分乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。本実施形態において普電振分乱数カウンタは例えば、0~349の計350個の普電振分乱数値を発生する。
【0103】
遊技制御用マイコン61は、普図当たり判定において当たりの判定結果となった場合の普電振分判定において、その時の遊技状態が時短1,2であれば、普電振分乱数値が0~349のうち0~348の何れかであった場合に、第1開放パターンOP1を決定し、349であった場合にのみ、第2開放パターンOP2を決定する。また、その時の遊技状態が時短3であれば、普電振分乱数値が0~349のうちのどの値であっても第2開放パターンOP2を決定し、第1開放パターンOP1は決定しないようにする。更に、その時の遊技状態が時短4であれば、普電振分乱数値が0~349のうちのどの値であっても第1開放パターンOP1を決定し、第2開放パターンOP2は決定しないようにする。
【0104】
[遊技制御用マイコン61の主な処理]
次に、遊技制御用マイコン61が実行する主な処理について図を参照しつつ説明する。
【0105】
(メイン側主制御処理)
最初に、
図10に従って、メイン側主制御処理の内容について説明する。
遊技制御用マイコン61は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM63からメイン側主制御処理のコンピュータプログラムを読み出して実行する。遊技制御用マイコン61は、最初に初期設定を行う(ステップ(以下、Sと略す)1)。この初期設定では、例えば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU62の設定、SIO(System Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer Circuit:割込時間を管理するための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等のリセット等を行う。続いて、遊技制御用マイコン61は、割込禁止を実行し(S2)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S3)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理では、前述した大当たり乱数、大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数を発生する各乱数カウンタの初期値をそれぞれ「1」加算して更新する。各乱数カウンタのカウント値は上限値に達すると「0」に戻って再び「1」加算される。なお、各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また、各乱数カウンタのカウント値にそれぞれ「2」以上の数値を加算して更新してもよい。また、各乱数は、カウンタIC等から成る公知の乱数生成回路を利用して生成される、いわゆるハードウェア乱数であってもよい。このハードウェア乱数を用いる場合は、ソフトウェアによる乱数の更新処理(S3)は必要ない。
【0106】
続いて、遊技制御用マイコン61は、割込許可を実行する(S4)。割込許可中は、メイン側タイマ割込処理(S5)の実行が可能となる。メイン側タイマ割込処理(S5)は、例えば、4msec周期でCPU62に対して入力される割込パルスに基づいて実行される。つまり、4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割込処理(S5)が終了してから、次にメイン側タイマ割込処理(S5)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)による各種カウンタの初期値更新処理が実行される。なお、割込禁止状態のときにCPU62に割込パルスが入力された場合は、メイン側タイマ割込処理(S5)は直ぐには開始されず、割込許可(S4)が実行されてから開始される。
【0107】
(メイン側タイマ割込処理)
次に、
図11に従って、メイン側タイマ割込処理(S5)について説明する。
遊技制御用マイコン61は、出力処理を実行する(S10)。この出力処理では、以下に説明する各処理において主制御基板60のRAM64に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等をサブ制御基板100や払出制御基板73等に出力する。遊技制御用マイコン61は、普通図柄が変動を開始した場合に普通図柄が変動を開始したことを示す普図変動開始コマンド(普図用の変動開始コマンド)、及び特別図柄が変動を開始した場合に特別図柄が変動を開始したことを示す特図変動開始コマンド(特図用の変動開始コマンド)についても出力する。続いて、遊技制御用マイコン61は、入力処理を実行する(S11)。この入力処理では、主にパチンコ遊技機1に取付けられている各種センサ(入球検出に関するセンサ等)が検出した各検出信号を読み込む。続いて、遊技制御用マイコン61は、タイマ更新処理を実行する(S12)。このタイマ更新処理では、タイマとして作動している減算カウンタの更新(減算)を行う。続いて、遊技制御用マイコン61は、賞球制御処理を実行する(S13)。この賞球制御処理では、入力処理(S11)において読み込んだ各種センサの検出信号に基づいて、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払出コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。払出コマンドは、払出制御基板73に対して出力されるコマンドである。続いて、遊技制御用マイコン61は、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S14)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理は、
図10のメイン側主制御処理で実行する普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)と同じである。つまり、各乱数カウンタの初期値の更新処理は、メイン側タイマ割込処理(S5)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割込処理(S5)の終了後、次のメイン側タイマ割込処理(S5)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0108】
続いて、遊技制御用マイコン61は、後述するセンサ検出処理(S15)、普通動作処理(S16)、特別図柄待機処理(S17)、特別図柄関連処理(S18)を順に実行し、次にその他の処理(S19)を実行して、メイン側タイマ割込処理を終了する。その他の処理(S19)は、パチンコ遊技機1に異常状態が生じているかを判定する異常判定処理等である。例えば異常判定処理としては、不正入賞を検出する不正入賞検出処理、不正な磁気を検出する磁気検出処理、前面枠18や内枠の開放を検出する扉開放処理、不正な電波を検出する電波検出処理、衝撃(振動)を検出する衝撃検出処理等がある。また、その他の処理では、第1特図保留数に基づいて第1特図保留表示器51aをその数を示す表示態様に制御したり、第2特図保留数に基づいて第2特図保留表示器52aをその数を示す表示態様に制御したりする。そして、次にCPU62に割込パルスが入力されるまではメイン側主制御処理のS2~S4の処理が繰り返し実行され、割込パルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割込処理(S5)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割込処理の出力処理(S10)においては、前回のメイン側タイマ割込処理(S5)にてRAM64の出力バッファにセットされたコマンド等が所定の基板へ出力される。
【0109】
(図柄用センサ検出処理)
次に、
図12に従って、図柄用センサ検出処理(S15)について説明する。
遊技制御用マイコン61は、遊技球がゲート13を通過したか否かを判定する(S30)。遊技球がゲート13を通過したことはゲートセンサ13aによって検出される。遊技球がゲート13を通過したと判定した場合(S30:Yes)、遊技制御用マイコン61は、ゲート通過処理を実行する(S31)。このゲート通過処理では、普図保留数が4以上であるか否か判定し、普図保留数が4以上でなければ、普図保留数に「1」を加算し、普通図柄の抽選を行うための普図当たり乱数を取得して記憶する処理を行う。
【0110】
S31の終了後、又は遊技球がゲート13を通過していないと判定した場合(S30:No)、遊技制御用マイコン61は、遊技球が第2始動口14Baに入賞したか否かを判定する(S32)。遊技球が第2始動口14Baに入賞したことは第2始動口センサ14Bcによって検出される。遊技球が第2始動口14Baに入賞していない場合(S32:No)、S38に進むが、遊技球が第2始動口14Baに入賞したと判定した場合(S32:Yes)、遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2が上限値である「4」に達しているか否か判定する(S33)。第2特図保留数U2が上限値である「4」に達している場合(S33:Yes)、S38に進むが、第2特図保留数U2が「4」に達していない場合(S33:No)、遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2に1を加算する(S34)。これにより、第2特図の変動保留条件が成立する。
【0111】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図関係乱数取得処理を実行する(S35)。この第2特図関係乱数取得処理では、大当たり乱数と、大当たり種別乱数と、小当たり種別乱数と、リーチ乱数と、変動パターン乱数とを取得し、それら取得した各乱数を第2特図保留記憶部64bのうち、現在の第2特図保留数に応じた記憶領域に格納する。例えば、現在の第2特図保留数が「3」であった場合は、各乱数を第4記憶領域に記憶する。
【0112】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第2始動入賞コマンド作成処理を実行する(S36)。この第2始動入賞コマンド作成処理では、S35において取得した各乱数群に基づいて第2始動入賞コマンドを作成する。この第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口14Baに入賞したことを示すデータ、S35において取得した各乱数を示すデータ等により構成されている。続いて、遊技制御用マイコン61は、S36において作成した第2始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S37)。このセットされた第2始動入賞コマンドは、出力処理(S10)においてサブ制御基板100に出力され、演出制御用マイコン101が第2始動入賞コマンドに含まれる各乱数に基づいて演出を実行する。
【0113】
続いて、遊技制御用マイコン61は、遊技球が第1始動口(左)10aまたは第1始動口(右)14Aaに入賞したか否かを判定する(S38)。遊技球が第1始動口(左)10aに入賞したことは第1始動口(左)センサ10bによって検出され、遊技球が第1始動口(右)14Baに入賞したことは第1始動口(右)センサ14Bcによって検出される。遊技球が第1始動口(左)10a及び第1始動口(右)14Aaに入賞していない場合(S38:No)、センサ検出処理を終了するが、第1始動口(左)10aまたは第1始動口(右)14Aaに入賞したと判定した場合(S38:Yes)、遊技制御用マイコン61は、第1特図保留数U1が上限値の「4」に達しているか否か判定する(S39)。第1特図保留数U1が「4」に達している場合(S39:Yes)、センサ検出処理を終了するが、第1特図保留数U1が「4」に達していない場合(S39:No)、遊技制御用マイコン61は、第1特図保留数U1に1を加算する(S40)。これにより、第1特図の変動保留条件が成立する。
【0114】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図関係乱数取得処理を実行する(S41)。この第1特図関係乱数取得処理では、大当たり乱数と、大当たり種別乱数と、リーチ乱数と、変動パターン乱数とを取得し、それら取得した各乱数を第1特図保留記憶部64aのうち、現在の第1特図保留数に応じた記憶領域に格納する。例えば、現在の第1特図保留数が「3」であった場合は、各乱数を第4記憶領域に記憶する。
【0115】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第1始動入賞コマンド作成処理を実行する(S42)。この第1始動入賞コマンド作成処理では、S41で第1特図保留記憶部64aに格納した各乱数群に基づいて第1始動入賞コマンドを作成する。この第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口(左)10aまたは第1始動口(右)14Aaに入賞したことを示すデータ、S41で第1特図保留記憶部64aに格納した各乱数を示すデータ等により構成されている。続いて、遊技制御用マイコン61は、S42で作成した第1始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S43)。このセットされた第1始動入賞コマンドは、出力処理(S10)においてサブ制御基板100に出力され、演出制御用マイコン101が第1始動入賞コマンドに含まれる各乱数に基づいて演出を実行する。
【0116】
(普通動作処理)
次に、
図13に従って、普通動作処理(S16)について説明する。
遊技制御用マイコン61は、補助遊技中(普電入賞装置12の作動中、普通開閉部材12bの開放中)であるか否かを判定し(S50)、作動中ではないと判定した場合は(S50:No)普通図柄の停止表示中か否かを判定する(S51)。ここで、遊技制御用マイコン61は、普通図柄の停止表示中ではないと判定した場合は(S51:No)、普通図柄の変動表示中か否かを判定し(S52)、普通図柄の変動表示中ではないと判定した場合は(S52:No)、遊技球がゲート13を通過したか(ゲートセンサ13aによる検出が発生したか)を判定する(S53)。ここで、遊技制御用マイコン61は、遊技球がゲート13を通過していないゲートセンサ13aによる検出が発生していない)と判定した場合は(S53:No)、普通動作処理を終える。
【0117】
また、遊技制御用マイコン61は、S53において遊技球がゲート13を通過した(ゲートセンサ13aによる検出が発生した)と判定した場合は(S53:Yes)、普図当たり判定処理を行う(S54-1)。この普図当たり判定処理(S54-1)では、普図保留記憶部64c(
図3)に格納されている普通当たり乱数値を読み出し、普通図柄当たり判定テーブルに基づいて当たりか否か判定する。そして、当たり判定の結果に応じた普図停止図柄データをRAM64の所定の記憶領域にセットする普図決定処理を行う(S54-2)。つまり、普図決定処理(S54-2)では、「ハズレ」であれば「普通ハズレ図柄」に応じたデータをセットし、「当たり」であれば「普通当たり図柄」に応じたデータをセットする。
【0118】
続いて、遊技制御用マイコン61は、普図変動時間決定処理を行う(S54-3)。普図変動時間決定処理(S54-3)では、普通図柄変動パターン選択テーブル(図示せず)を参照して普通図柄変動パターンを選択する。
【0119】
続いて、遊技制御用マイコン61は、S54-3において選択した普通図柄変動パターンにて普通図柄の変動表示を開始する(S54-4)。また、これに伴い、サブ制御基板100に普通図柄の変動開始を知らせるため、普図変動開始コマンドをセットする(S54-5)。この普図変動開始コマンドには、S54-1における普図当たり判定の結果およびS54-3において決定した普図変動時間が含まれている。そして、S54-5が終了すると、普通動作処理を終える。
【0120】
また、遊技制御用マイコン61は、S52において、普通図柄の変動表示中であると判定した場合は(S52:Yes)、普通図柄の変動時間が終了したか否か判定し(S55-1)、終了していないと判定した場合は(S55-1:No)、普通動作処理を終える。一方、終了したと判定した場合は(S55-1:Yes)、普通図柄の変動表示を、普通当たり乱数値の判定結果に応じた表示結果(普通当たり図柄または普通ハズレ図柄)で停止させる(S55-2)。そして、サブ制御基板100に普通図柄の変動停止を知らせるための普図変動停止コマンド(普図用の変動停止コマンド)をセットするとともに(S55-3)、普通図柄の停止時間をセットし(S55-4)、普通動作処理を終える。
【0121】
また、遊技制御用マイコン61は、S51において、普通図柄の停止表示中であると判定した場合は(S51:Yes)、S56-1において普通図柄の停止時間が終了したか否か判定し、終了していないと判定した場合は(S56-1:No)、普通動作処理を終える。一方、終了していると判定した場合は(S56-1:Yes)、普通当たり図柄の普図停止図柄データがセットされているか否か、つまり、当たりか否かを判定し(S56-2)、当たりではないと判定した場合は(S56-2:No)、普通動作処理を終える。一方、当たりと判定した場合は(S56-2:Yes)、開放パターン選択処理を実行する(S57-1)。この開放パターン選択処理において、遊技制御用マイコン61は、前述した普電振分判定テーブルT4および普電振分乱数値に基づいて、普通開閉部材12bの開放パターン(振分部材56の動作パターン)を決定する。そして、決定した普通開閉部材12bの開放パターンをセットし、補助遊技を開始させる(S57-2)。なおこの場合に、開放パターンとして第1開放パターンOP1が決定された場合は、第1開放パターンOP1に基づいて普通開閉部材12bおよび振分部材56が作動することにより、遊技球が普電入賞口12aに入賞すれば結果的に第1非電開閉部材14Abが作動して第1始動口(右)14Aaが開放される。一方、開放パターンとして第2開放パターンOP2が決定された場合は、第2開放パターンOP2に基づいて普通開閉部材12bおよび振分部材56が作動することにより、遊技球が普電入賞口12aに入賞すれば結果的に第2非電開閉部材14Bbが作動して第2始動口14Baが開放される。
そして、S57-2の終了により、普通動作処理を終える。
【0122】
また、遊技制御用マイコン61は、S50において、補助遊技中であると判定した場合は(S50:Yes)、普通開閉部材12bの作動終了条件が満足されたか否かを判定する(S58)。ここで、作動終了条件とは、S57-1またはS57-2においてセットされた開放パターン毎の開放時間が終了したという開放時間終了条件、あるいは、普電入賞口12aへの入賞数が規定の入賞数に達したという規定入賞数条件である。また、規定入賞数条件は、普電入賞口12aへの入賞数が1個と定められている。
遊技制御用マイコン61は、作動終了条件が満足されていないと判定した場合は(S58:No)、普通動作処理を終える。一方、満足されたと判定した場合は(S58:Yes)、普通開閉部材12bの作動を終了させ(S59)、普通動作処理を終える。
【0123】
(特別図柄待機処理)
次に、
図14に従って、特別図柄待機処理(S17)について説明する。
遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動時間および停止時間の何れかを計測中であるか否かを判定し(S60)、計測中であれば(S60:Yes)、特別図柄待機処理を終了する。一方で、特別図柄の変動時間および停止時間の何れも計測していなければ(S60:No)、S61に進む。遊技制御用マイコン61は、S61において、第1特図保留数U1が「0」であるか否かを判定する。そして、「0」ではないと判定した場合(S61:No)、すなわち、第1特図の変動表示についての始動条件が成立した場合に、遊技制御用マイコン61は、後述する第1特図当たり判定処理(S62)及び第1特図変動パターン選択処理(S63)を実行する。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図保留数U1から「1」を減算し(S64)、第1特図保留記憶部64bの各記憶領域に記憶されている各データを、記憶の順番が古い方の記憶領域、つまり読み出される側に1つずつシフトする(S65)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図変動開始処理を実行する(S66)。この第1特図変動開始処理では、特図変動開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットし、第1特別図柄表示器51において第1特図の変動表示を開始する。RAM64の出力バッファにセットする特図変動開始コマンドには、後述する特図大当たり判定処理(
図15)においてセットされた特図停止図柄のデータや特図変動パターン選択処理(
図16及び
図17)においてセットされた第1特図変動パターンのデータが含まれている。S66の実行後、遊技制御用マイコン61は、特別図柄待機処理を終了する。
【0124】
また、遊技制御用マイコン61は、前述したS61において、第1特図保留数U1が「0」であると判定した場合(S61:Yes)、第2特図保留数U2が「0」であるか否かを判定する(S67)。「0」ではないと判定した場合(S67:No)、すなわち、第2特図の変動表示についての始動条件が成立した場合に、遊技制御用マイコン61は、後述する第2特図当たり判定処理(S68)及び第2特図変動パターン選択処理(S69)を実行する。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2から「1」を減算し(S70)、第1特図保留記憶部64aの各記憶領域に格納されている各データを、記憶の順番が古い方の記憶領域、つまり、読み出される側に1つずつシフトする(S71)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図変動開始処理を実行する(S72)。この第2特図変動開始処理では、特図変動開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットし、第2特別図柄表示器52において第2特図の変動表示を開始する。RAM64の出力バッファにセットする特図変動開始コマンドには、後述する特図当たり判定処理(
図15)においてセットされた特図停止図柄のデータや特図変動パターン選択処理(
図16及び
図17)においてセットされた第2特図変動パターンのデータが含まれている。S72の実行後、遊技制御用マイコン61は、特別図柄待機処理を終了する。
【0125】
一方、第2特図保留数U2が「0」であると判定した場合(S67:Yes)、遊技制御用マイコン61は、待機状態中か否かを判定する(S73)。待機状態は、大当たり遊技状態中でなく、特別図柄の変動中ではなく、かつ特図保留数が零である状態を指す。より詳しくは、待機状態は、前述の条件に加え、特別図柄(又は演出図柄)の確定表示後に、図柄が停止した状態が一定時間以上経過したことを契機に生起される状態である。ここで、待機状態中と判定した場合(S73:Yes)、遊技制御用マイコン61は、特別図柄待機処理を終了する。一方、待機状態中ではないと判定した場合(S73:No)、遊技制御用マイコン61は、待機画面設定処理を実行する(S74)。この待機画面設定処理では、所定の待機時間を計測し、この待機時間の経過を待って、待機画面を表示させるための客待ち待機コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。その後、遊技制御用マイコン61は特別図柄待機処理を終了する。
このように、本実施形態では、第2特図の変動表示は第1特図保留数U1が「0」の場合(S61:Yesの場合)に限って行われる。つまり、第1特図保留の消化は、第2特図保留の消化に優先して実行される。
【0126】
(特図当たり判定処理)
次に、
図15に従って、第1特図当たり判定処理(S61)及び第2特図当たり判定処理(S67)について説明する。なお、第1特図当たり判定処理と第2特図当たり判定処理とは、処理の流れが同じであるため、まとめて説明する。
【0127】
遊技制御用マイコン61は、RAM64の特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数を読み出し(S80)、大当たり判定テーブル(この例では大当たり判定テーブルT1)を参照する(S81)。続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たり判定テーブルの大当たりに対応する乱数値の範囲を参照し、S80で読み出した大当たり乱数と同じ乱数が存在するか否か、つまり、大当たりか否かの当否判定を行う(S82)。
【0128】
大当たりと判定した場合(S82:Yes)、遊技制御用マイコン61は、大当たりと判定したことを示す大当たりフラグをONにする(S83)。その後、遊技制御用マイコン61は、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている大当たり種別乱数を読み出し、複数の大当たりの種別が設定された大当たり種別判定テーブル(この例では大当たり種別判定テーブルT2,T3)を参照し、大当たりの種別を判定する(S84)。大当たりの種別によって、特図の大当たり図柄、特図の停止図柄、振分率、最大ラウンド数及び大当たり演出図柄等が異なる。また、大当たりの種類によって時短状態の上限回数についても決定される。その後、遊技制御用マイコン61は、S84で判定した大当たりの種別に応じた特図の大当たり図柄を確定表示するための特図停止図柄データをRAM64に設けた特図バッファにセットし(S88)、本処理を終了する。
【0129】
一方、大当たりと判定しなかった場合(S82:No)、遊技制御用マイコン61は、大当たり判定テーブルの小当たりに対応する乱数値の範囲を参照し、S80で読み出した大当たり乱数と同じ乱数があるか否か、すなわち小当たりか否かの判定を行う(S85)。前述したように、第1特図の抽選では小当たりに当選せず、第2特図の抽選で小当たりに当選する場合がある。小当たりと判定した場合(S85:Yes)、遊技制御用マイコン61は、小当たりと判定したことを示す小当たりフラグをONにする(S86)。その後、遊技制御用マイコン61は、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている小当たり種別乱数を読み出し、複数の小当たりの種別が設定された小当たり種別判定テーブル(この例では小当たり種別判定テーブルT4~T7)を参照し、小当たりの種別を判定する(S87)。小当たりの種別によって、特図の小当たり図柄、特図の停止図柄、振分率、小当たり演出図柄等が異なる。また、小当たりの種類によって、特定領域の通過による大当たり遊技状態の有無、時短状態の継続、時短状態の終了等についても決定される。その後、遊技制御用マイコン61は、S87で判定した小当たりの種別に応じた特図の小当たり図柄を確定表示するための特図停止図柄データをRAM64に設けた特図バッファにセットし(S88)、本処理を終了する。
【0130】
一方、小当たりと判定しなかった場合(S85:No)、すなわちハズレと判定した場合、遊技制御用マイコン61は、特図のハズレ図柄を確定表示するための特図停止図柄データを特図バッファにセットし(S88)、本処理を終了する。
【0131】
第1特図当たり判定処理におけるS82の処理が本発明の第1特図の当たり判定の一例である。第2特図当たり判定処理におけるS82及びS85の処理が本発明の第2特図の当たり判定の一例である。特図当たり判定処理においてS82またはS85の処理を行う遊技制御用マイコン61は、本発明の判定手段の一例である。また、特図大当たり判定処理においてS84またはS87の処理を行う遊技制御用マイコン61は、本発明の当たり種別決定手段の一例である。
【0132】
(特図変動パターン選択処理)
次に、
図16及び
図17に従って、第1特図変動パターン選択処理(S62)及び第2特図変動パターン選択処理(S68)について説明する。なお、第1特図変動パターン選択処理と第2特図変動パターン選択処理とは、処理の流れが同じであるため、まとめて説明する。
【0133】
遊技制御用マイコン61は、時短状態であることを示す時短フラグがOFFであるか否かを判定する(S90)。時短フラグがOFFであると判定した場合(S90:Yes)、遊技制御用マイコン61は、S91に移行する。時短フラグがOFFではないと判定した場合(S90:No)、遊技制御用マイコン61は、S99に移行する。
【0134】
S91,S99に移行した遊技制御用マイコン61は、大当たりフラグがONであるか否かを判定する。大当たりフラグがONであると判定した場合(S91,S99:Yes)、遊技制御用マイコン61は、特図変動パターン選択テーブルを参照して大当たり用の特図変動パターンを選択する(S92,S100)。例えば、非時短状態である場合、遊技制御用マイコン61は、非時短状態かつ大当たりの特図変動パターンを選択する(S92)。時短状態である場合、遊技制御用マイコン61は、時短状態かつ大当たりの特図変動パターンを選択する(S100)。特図変動パターンを選択した遊技制御用マイコン61は、その後、S98に移行する。
【0135】
また、大当たりフラグがONではないと判定した場合(S91,S99:No)、遊技制御用マイコン61は、小当たりフラグがONであるか否かを判定する(S93,S101)。前述したように、第1特図の抽選では小当たりに当選せず、第2特図の抽選で小当たりに当選する場合がある。小当たりフラグがONであると判定した場合(S93,S101:Yes)、遊技制御用マイコン61は、特図変動パターン選択テーブルを参照して小当たり用の特図変動パターンを選択する(S94,S102)。具体的には、遊技制御用マイコン61は、非時短状態であれば、非時短状態かつ小当たりの特図変動パターンを選択し(S94)、時短状態であれば、時短状態かつ小当たりの特図変動パターンを選択する(S102)。その後、遊技制御用マイコン61は、S98に移行する。
【0136】
一方、小当たりフラグがOFFであると判定した場合(S93,S101:No)、遊技制御用マイコン61は、ハズレと判定したことになる。この場合、遊技制御用マイコン61は、S95,S103に移行する。そして、遊技制御用マイコン61は、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されているリーチ乱数を取得し、その取得したリーチ乱数がリーチ成立乱数であるか否かを判定する(S95,S103)。非時短状態である場合、取得したリーチ乱数が、リーチ判定テーブルのうち非時短状態用のリーチ乱数の中に存在するならば、遊技制御用マイコン61は、リーチ成立乱数であると判定する(S95:Yes)。同様に、時短状態である場合、取得したリーチ乱数が、リーチ判定テーブルのうち時短状態用のリーチ乱数の中に存在するならば、遊技制御用マイコン61は、リーチ成立乱数であると判定する(S103:Yes)。
【0137】
その後、遊技制御用マイコン61は、特図変動パターン選択テーブルを参照して、リーチ有りハズレ用の特図変動パターンを選択する(S96,S104)。例えば、非時短状態である場合、遊技制御用マイコン61は、非時短状態かつリーチ有りハズレの特図変動パターンを選択する(S96)。時短状態である場合、遊技制御用マイコン61は、時短状態かつリーチ有りハズレの特図変動パターンを選択する(S104)。特図変動パターンを選択した遊技制御用マイコン61は、その後、S98に移行する。
【0138】
一方、取得したリーチ乱数がリーチ成立乱数ではないと判定した場合(S95,S103:No)、遊技制御用マイコン61は、特図変動パターン選択テーブルを参照して、リーチ無しハズレ用の特図変動パターンを選択する(S97,S105)。例えば、非時短状態である場合、遊技制御用マイコン61は、特図変動パターン選択テーブルT9を参照し、特図保留数が0~2の場合は変動時間の長いリーチ無しハズレ用の特図変動パターンを選択し、特図保留数が3~4の場合は変動時間の短いリーチ無しハズレ用の特図変動パターンを選択する(S97)。また、時短状態である場合、遊技制御用マイコン61は、特図保留数が0~1の場合は変動時間の長いリーチ無しハズレ用の特図変動パターンを選択し、特図保留数が2~4の場合は変動時間の短いリーチ無しハズレ用の特図変動パターンを選択する(S105)。特図変動パターンを選択した遊技制御用マイコン61は、その後、S98に移行する。
【0139】
S92,S94,S96,S97,S100,S102,S104,S105の終了後、S98に移行した遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64に設けた特図変動パターンバッファにセットし、特図変動パターン選択処理を終了する。S98で特図変動パターンバッファにセットした変動パターンデータは、前述した特別図柄待機処理のS65,S71でセットされる特図変動開始コマンドに含められ、メイン側タイマ割込処理の出力処理(S10)により、サブ制御基板100へ出力される。
【0140】
(特別図柄関連処理)
次に、
図18に従って、特別図柄関連処理(S18)について説明する。
遊技制御用マイコン61は先ず、特別図柄(第1特図、第2特図)の変動時間(S98でセットした特図変動パターンに応じた時間)の計測の終了タイミングであるか否かを判定する(S110)。そして、変動時間の終了タイミングであると判定した場合(S110:Yes)、遊技制御用マイコン61は、S88でセットした特図停止図柄データに応じた特別図柄の停止図柄を表示(特別図柄の変動表示を確定表示)する(S111-1)と共に、特図変動停止コマンド(特図用の変動停止コマンド)をRAM64に設けた出力バッファにセットする(S111-2)。また、特別図柄の停止時間の計測を開始する(S111-3)。そして、遊技制御用マイコン61は、S111-3の終了後、特別図柄関連処理を終了する。
【0141】
一方で、遊技制御用マイコン61は、前述したS110において特別図柄の変動時間の終了タイミングではないと判定した場合(S110:No)、前述したS111-3において開始した特別図柄の停止時間の計測の終了タイミングであるか否かを判定する(S112)。停止時間の終了タイミングであると判定した場合(S112:Yes)、遊技制御用マイコン61は、後述する遊技状態管理処理を実行する(S113)。その後、遊技制御用マイコン61は、大当たりフラグがONであるか否かを判定し(S114-1)、ONであると判定した場合(S114-1:Yes)、遊技状態リセット処理を実行する(S114-2)。この遊技状態リセット処理では、時短フラグがONであるか否かを判定し、ONになっていると判定した場合は、時短フラグをOFFにする。つまり、大当たり遊技状態の実行中は非時短状態に制御される。
【0142】
遊技制御用マイコン61は、前述したS112において特別図柄の停止時間の終了タイミングではないと判定した場合(S112:No)、遊技状態が大当たり遊技状態(1種大当たり状態またはV当たり状態)であるか否かを判定する(S115-1)。なお、遊技制御用マイコン61は例えば、大当たりフラグがONであり、かつ特別図柄の変動時間および停止時間の何れも計測していない場合に、大当たり遊技状態であると判定する。そしてこのS115-1において大当たり遊技状態であると判定した場合には(S115-1:Yes)、V当たり状態の開始を遊技者の操作で許可するための後述するV当たり開始処理を実行し(S115-2)、次に、1種大当たり状態またはV当たり状態(2種大当たり状態の2ラウンド以降)に関する特別電動役物処理(後述)を実行する(S115-3)。そして、S115-3の終了後、特別図柄関連処理を終了する。
【0143】
遊技制御用マイコン61は、S115-3の終了後、S116-1に進む。一方で、前述したS115-1において大当たり遊技状態ではないと判定した場合(S115-1:No)、前述したS115-2を経由することなくS116-1に進む。遊技制御用マイコン61は、S116-1において、遊技状態が小当たり遊技状態であるか否かを判定する。なお、遊技制御用マイコン61は例えば、小当たりフラグがONであり、かつ特別図柄の変動時間および停止時間の何れも計測していない場合に、小当たり遊技状態であると判定する。そしてこのS116-1において小当たり遊技状態であると判定した場合には(S116-1:Yes)、小当たり遊技状態に関する特別電動役物処理(後述)を実行する(S116-2)。そして、S116-2の終了後、特別図柄関連処理を終了する。
【0144】
(遊技状態管理処理)
次に、
図19に従って、遊技状態管理処理(S113)の内容について説明する。
遊技制御用マイコン61は、時短状態であるか否かを判定すべく、時短フラグがONであるか否かを判定する(S113-1)。時短フラグがOFFであると判定した場合(S113-1:No)、遊技制御用マイコン61は、後述するS113-5に移行する。一方、時短フラグがONであると判定した場合(S113-1:Yes)、遊技制御用マイコン61は、時短状態の種類(時短1、時短2、時短3、時短4の何れか)を特定する。なお、遊技制御用マイコン61が時短状態の種類を特定するためには、例えば時短の種類を判別可能なフラグを設定する(例えば、時短状態の種類毎に異なるフラグを設ける)ことができる。その後、遊技制御用マイコン61は、S113-2で特定した時短状態の種類に応じた終了条件が成立したか否かを判定する(S113-3)。なお、時短状態の終了条件として、例えば特図変動表示の実行回数に応じた終了条件の成立を判定する場合には、時短カウンタによって特図変動表示の実行回数をカウントするようにすればよい。また、時短状態の終了条件として、例えば普図変動表示の実行回数に応じた終了条件の成立を判定する場合には、時短カウンタによって普図変動表示の実行回数をカウントするようにすればよい。更に、時短状態の終了条件として、例えば小当たり遊技状態の発生回数に応じた終了条件の成立を判定する場合には、小当たり発生回数カウンタによって小当たり遊技状態の発生回数をカウントするようにすればよい。そして、S113-3において、時短状態の種類に応じた終了条件が成立したと判定した場合は、S113-4において時短フラグをOFFにし、S113-5に移行する。また、時短状態の種類に応じた終了条件が成立していないと判定した場合は、S113-4を経由せずに、S113-5に移行する。
【0145】
S113-5において遊技制御用マイコン61は、現在の遊技状態の情報を含む遊技状態指定コマンドをRAM64の出力バッファにセットし、その後、遊技状態管理処理を終了する。なお、本実施形態において、遊技状態指定コマンドは、遊技状態の情報として、非時短状態、時短状態、大当たり遊技状態(1種大当たり状態、V当たり状態)、小当たり遊技状態、の何れかを含んでいる。S113-5(特別図柄の変動表示の終了時点から所定の停止時間が経過した時点)でセットされ得る遊技状態指定コマンドは、非時短状態、時短状態、大当たり遊技状態(1種大当たり状態)、小当たり遊技状態の何れかである。RAM64の出力バッファにセットされた遊技状態指定コマンドは、メイン側タイマ割込処理の出力処理(S10)においてサブ制御基板100に出力される。
【0146】
(特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態))
次に、
図20に従って、1種大当たり状態またはV当たり状態に関する特別電動役物処理(S117)の内容について説明する。遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動表示中および停止表示中の何れでもなく、かつ大当たりフラグがONとなっている期間に、
図20に示す特別電動役物処理を実行する。
【0147】
遊技制御用マイコン61は、特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態)において、大当たりオープニング設定(S117-1)、大当たりラウンド設定(S117-2)、大当たりエンディング設定(S117-3)等を実行する。遊技制御用マイコン61は、大当たりオープニング設定(S117-1)において、大当たり遊技状態(1種大当たり状態)のオープニング期間(大当たりオープニング)の開始タイミングや終了タイミングを示すコマンド(オープニングコマンド(大当たり開始コマンド)、オープニング終了コマンド)を、RAM64の出力バッファにセットする処理等を行う。また、遊技制御用マイコン61は、大当たりラウンド設定(S117-2)において、大当たり遊技状態(1種大当たり状態、V当たり状態)のラウンド期間(ラウンド演出)の開始タイミングや終了タイミングを示すコマンド(ラウンド開始コマンド(開放コマンド)、ラウンド終了コマンド(閉鎖コマンド))を、RAM64の出力バッファにセットする処理等を行う。更に、遊技制御用マイコン61は、大当たりエンディング設定(S117-3)において、大当たり遊技状態(1種大当たり状態、V当たり状態)のエンディング期間(大当たりエンディング)の開始タイミングや終了タイミングを示すコマンド(エンディングコマンド、エンディング終了コマンド(大当たり終了コマンド))を、RAM64の出力バッファにセットする処理等を行う。
【0148】
なお、遊技制御用マイコン61は、前述した大当たりオープニング設定や大当たりエンディング設定において、大当たりオープニングや大当たりエンディングの実行時間を所定のタイマにセットし、計測する。また、前述の大当たりラウンド設定において遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技状態の種類に応じた開放パターンで大入賞口15aを開閉させる。そして、ラウンド遊技中、大入賞口15aが開状態となってから上限個数の遊技球が入賞するか、あるいは所定の開放時間が経過すると、遊技制御用マイコン61は大入賞口15aを閉状態としてラウンド遊技を終了する。遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技状態の種別毎に定められたラウンド回数分、大入賞口15aの開閉動作を行う。また、遊技制御用マイコン61は、ラウンド遊技を開始させる度に特別電役作動有効カウンタの値を1減算し、特別電役作動有効カウンタの値が「0」となった場合のラウンド遊技の終了後に、大当たりエンディング設定においてエンディングコマンドをRAM64の出力バッファにセットし、出力する。
【0149】
続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技状態の終了タイミング(大当たりエンディングの終了タイミング)であるか否かを判定する(S117-4)。そして、大当たり遊技状態の終了タイミングではないと判定した場合(S117-4:No)、特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態)を終了する。一方で、遊技制御用マイコン61は、S117-4において大当たり遊技状態の終了タイミングであると判定した場合(S117-4:Yes)、S117-5~S117-8の処理を実行する。ここで、遊技制御用マイコン61は、S117-5において大当たりフラグをOFFにし、続くS117-6において時短フラグをONにして、更にS117-7において時短カウンタをセットする。そしてS117-8において、遊技状態指定コマンドをRAM64の出力バッファにセットし、特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態)を終了する。遊技制御用マイコン61は、この特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態)の終了後、特別図柄関連処理を終了する。
【0150】
(特別電動役物処理(小当たり遊技状態))
次に、
図21に従って、小当たり遊技状態に関する特別電動役物処理(S121)について説明する。遊技制御用マイコン61は、小当たり当選に基づいて大入賞口15aを開放させるために、
図21に示す特別電動役物処理(小当たり)を実行する。なお、本実施形態における特別電動役物処理(小当たり遊技状態)は第2特図に関連して実行されるため、第2特図を前提として説明する。
【0151】
遊技制御用マイコン61は、特別電動役物処理(小当たり遊技状態)において、小当たりオープニング設定(S119-1)、小当たり開放設定(S119-2)を実行する。遊技制御用マイコン61は、小当たりオープニング設定(S119-1)において、小当たり遊技状態のオープニング期間(小当たりオープニング)の開始タイミングや終了タイミングを示すコマンド(オープニングコマンド(小当たり開始コマンド)、オープニング終了コマンド)を、RAM64の出力バッファにセットする処理等を行う。小当たりオープニングとは、小当たりの発生を祝う演出画像を演出表示装置7に表示したり、小当たりの発生を祝う楽曲を各スピーカ8から再生したりする演出のことである。小当たりオープニング設定では、小当たりオープニングの実行時間を所定のタイマにセットし、計測する。
【0152】
また、遊技制御用マイコン61は、小当たり開放設定(S119-2)において、小当たり遊技状態における大入賞口15aの開放期間の開始タイミングや終了タイミングを示すコマンド(開放コマンド、閉鎖コマンド)を、RAM64の出力バッファにセットする処理等を行う。
【0153】
その後、遊技制御用マイコン61は、遊技球が特定領域を通過したか否かを判定する(S119-3)。特定領域を遊技球が通過したことは、特定領域センサ15eによって検出される。なお、本実施形態の大入賞装置15は、大入賞口15aに入賞した遊技球が必ず特定領域を通過するように構成されている。遊技球が特定領域を通過したと判定した場合(S119-3:Yes)、遊技制御用マイコン61は、大当たりフラグをONにする(S119-4)。続いて、遊技制御用マイコン61は、V当たり獲得フラグをONにする(S119-5)。ここで、本実施形態では、小当たり遊技状態において遊技球が特定領域を通過したことを条件としてV当たり状態を生起させるようになっているが、その条件が成立した場合にゲート13に遊技球を通過させるまでは、V当たり状態の開始が待機されるようになっている。遊技制御用マイコン61は、小当たり遊技状態において遊技球は特定領域を通過した場合に、後述するV当たり開始処理(
図22)で遊技球がゲート13を通過したと判定されるまで、前述したV当たり獲得フラグをONとし、このV当たり獲得フラグがONの状態ではV当たり状態の開始を待機するように制御を行う。そして次に、小当たり遊技状態において遊技球が特定領域を通過したことを示す情報を含むV入賞通知コマンドを、RAM64の出力バッファにセットする(S119-6)。なお、このV入賞通知コマンドは、メイン側タイマ割込処理の出力処理(S10)においてサブ制御基板100に出力される。
【0154】
S119-3が否定判定の場合(S119-3:No)またはS119-6の終了後、遊技制御用マイコン61は、S119-7に移行する。このS119-7において遊技制御用マイコン61は、小当たり当選に基づく大入賞口15aの閉鎖条件が成立しているか否かを判定する。小当たり当選に基づく大入賞口15aの閉鎖条件は、大入賞口15aが開状態となってから上限個数の遊技球が入賞するか、あるいは当選した小当たりに応じた開放パターンに定められた開放時間が経過することである。そして、大入賞口15aの閉鎖条件が成立したと判定した場合(S119-7:Yes)、遊技制御用マイコン61は、小当たりフラグをOFFにし(S119-8)、特別電動役物処理(小当たり遊技状態)を終了する。一方、大入賞口15aの閉鎖条件が成立していないと判定した場合は(S119-7:No)、S119-8を経由することなく、特別電動役物処理(小当たり遊技状態)を終了する。
【0155】
(V当たり開始処理)
次に、
図22に従って、V当たり開始処理(S115-2)について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1は、小当たり遊技状態において大入賞装置15内部の特定領域を遊技球が通過した場合(特定領域センサ15eによる検出が生じた場合)に、V当たり状態を生起させる(小当たり遊技状態から2種大当たり状態に発展させる)。ここで、遊技者が任意のタイミングでV当たり状態を開始させ得るように、遊技制御用マイコン61は、小当たり遊技状態中に遊技球が特定領域を通過してから遊技球がゲート13を通過するまでの間、V当たり状態の開始を待機させるように、
図22に示すV当たり開始処理を実行する。
【0156】
遊技制御用マイコン61は、V当たり開始処理において、V当たり獲得フラグがONであるか否かを判定する(S120)。このV当たり獲得フラグは、前述した特別電動役物処理(小当たり)のS119-5においてONとされるフラグであり、このV当たり獲得フラグがONとなっている場合は、小当たり遊技状態において遊技球が特定領域を通過し、かつV当たり状態の開始が待機されていることを示している。このため、遊技制御用マイコン61は、S120においてV当たり獲得フラグがONであると判定した場合には(S120:Yes)、V当たり状態を開始させる条件として設定されている遊技球のゲート13への通過が発生したか否かを判定する(S121)。遊技制御用マイコン61は、S120においてV当たり獲得フラグがOFFであると判定した場合(S120:No)およびS121において遊技球のゲート13への通過が発生していないと判定した場合(S121:No)、V当たり開始処理を終了する。一方、S120においてV当たり獲得フラグがONであると判定し、かつS121において遊技球がゲート13を通過したと判定した場合には、S122に移行する。そして、遊技制御用マイコン61は、S122において、待機していたV当たり状態を開始させると共に、V当たり獲得フラグをOFFにする。また、遊技制御用マイコン61は、に、遊技状態の情報を含む遊技状態指定コマンドとして、V当たり状態とすることを示す情報を含む遊技状態指定コマンドを、RAM64の出力バッファにセットする(S123)。なお、この遊技状態指定コマンドは、メイン側タイマ割込処理の出力処理(S10)においてサブ制御基板100に出力される。
【0157】
[演出制御用マイコン101の主な処理]
次に、演出制御用マイコン101(
図4)が実行する主な処理について図を参照しつつ説明する。
【0158】
(サブ側主制御処理)
先ず、
図23に従って、サブ側主制御処理について説明する。
最初に、演出制御用マイコン101は、初期設定を実行する(S160)。この初期設定では、例えば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU102の設定、SIO(System Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer Circuit:割込時間を管理するための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等のリセット等を行う。続いて、演出制御用マイコン101は、電源断信号がONしており、かつ、RAM120の内容が正常であるか否かを判定し(S161)、否定判定した場合(S161:No)、RAM120を初期化し(S162)、S163に進む。また、S161において肯定判定した場合(S161:Yes)、演出制御用マイコン101は、RAM120を初期化しないでS163に進む。つまり、電源断信号がONになっていない場合、または、電源断信号がONになっていてもRAM120の内容が正常でない場合には(S161:No)、演出制御用マイコン101は、RAM120を初期化するが、停電等で電源断信号がONとなったがRAM120の内容が正常に保たれている場合には(S161:Yes)、RAM120を初期化しない。なお、RAM120を初期化すれば、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等の値はリセットされる。また、このS160~S162は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0159】
続いて、演出制御用マイコン101は、割込禁止を行い(S163)、乱数更新処理を実行する(S164)。この乱数更新処理では、種々の演出決定用乱数カウンタの初期値を更新する。なお、演出決定用乱数には、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の遊技制御用マイコン61が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。続いて、演出制御用マイコン101は、コマンド送信処理を実行する(S165)。このコマンド送信処理では、演出制御用マイコン101のRAM120内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板200、音声制御基板78及びランプ制御基板79等に送信する。続いて、演出制御用マイコン101は割込許可を実行する(S166)。以降、S163~S166を繰り返し実行する。また、割込許可中においては、受信割込処理(S167)、1msタイマ割込処理(S168)及び10msタイマ割込処理(S169)の実行が可能となる。
【0160】
(受信割込処理)
次に、受信割込処理(S167)について説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から、演出制御用マイコン101の外部INT(割込)入力部に与えられるストローブ信号(STB信号)の信号レベルが変化したか否か、つまり、コマンドを受信するタイミングであるか否かを判定する。例えば、ストローブ信号の信号レベルがハイレベルからローレベルに変化したか否かを判定する。そして、受信するタイミングではないと判定した場合、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。一方、受信するタイミングであると判定した場合、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から送信されてきた各種のコマンドを受信し、それら受信した各種のコマンドをRAM120の受信バッファに格納する。この受信割込処理は、他の割込処理(S168,S169)に優先して実行される処理である。
【0161】
(1msタイマ割込処理)
次に、
図24に従って、1msタイマ割込処理(S168)について説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に1msec周期の割込パルスが入力される度に、この1msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、入力処理を実行する(S170)。この入力処理では、演出制御用マイコン101が、演出レバー押込検出スイッチ6a、演出レバー回転検出スイッチ6b、及び演出ボタン検出スイッチ5aからの検出信号に基づいて、スイッチがONしたことを示すスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
【0162】
続いて、演出制御用マイコン101は、出力処理を実行する(S171)。この出力処理では、後述する変動演出開始処理においてRAM120の出力バッファにセットされる変動演出開始コマンドを画像制御基板200に出力する。また、演出表示装置7の表示に合わせて盤ランプ2a、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bを発光させるために、後述する10msタイマ割込処理におけるランプ処理(S183)等で作成したランプデータをランプ制御基板79に出力する。つまり、ランプデータに従って盤ランプ2a、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bを所定の発光態様で発光させる。また、演出表示装置7の表示に合わせて可動体モータ23dを駆動させるために、駆動データ(可動体モータ23dを駆動するためのデータ)を作成し、その作成した駆動データを出力する。つまり、駆動データにしたがって可動体モータ23dを所定の動作パターンで駆動させる。また、演出表示装置7の表示に合わせてスピーカ8から音声を出力させるために、後述する10msタイマ割込処理における音声制御処理(S184)等で作成した音声データを音声制御基板78に出力する。つまり、音声データに従ってスピーカ8から音声を出力させる。
【0163】
続いて、演出制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドを出力したか否かを判定する(S172)。変動演出開始コマンドは、後述する変動演出開始処理においてRAM120の出力バッファにセットされ、S171において画像制御基板200に出力される。ここで、演出制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドを出力したと判定した場合(S172:Yes)、変動演出パターンの変動時間の計測を開始する(S173)。続いて、演出制御用マイコン101は、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理を行う(S174)。S174の終了後、又は変動演出開始コマンドを出力していないと判定した場合(S172:No)、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。
【0164】
(10msタイマ割込処理)
次に、
図25に従って、10msタイマ割込処理(S169)について説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に10msec周期の割込パルスが入力される度に、この10msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、後述する受信コマンド解析処理(
図26)を実行し(S180)、スイッチ状態取得処理を実行する(S181)。このスイッチ状態取得処理では、1msタイマ割込処理の入力処理(S170)において作成したスイッチデータを10msタイマ割込処理用のスイッチデータとしてRAM120に格納する。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて、演出表示装置7が表示するボタン演出等の表示内容を設定するスイッチ処理を実行する(S182)。続いて、演出制御用マイコン101は、ランプ処理を実行する(S183)。このランプ処理では、演出表示装置7の表示に合わせて各ランプ(盤ランプ2a、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23b等)の発光を制御するためのランプデータの作成や発光演出の時間管理等を行う。これにより、各ランプは、演出表示装置7の表示に合った発光演出を行う。
【0165】
続いて、演出制御用マイコン101は、音声制御処理を実行する(S184)。この音声制御処理では、音声データ(各スピーカ8からの音声の出力を制御するためのデータ)の作成、その作成した音声データの音声制御基板78への出力、音声演出の時間管理等を行う。これにより、演出表示装置7の表示に合わせて音声が各スピーカ8から出力される。続いて、演出制御用マイコン101は、その他の処理を実行し(S185)、本処理を終了する。その他の処理(S185)では、変動演出パターン乱数、予告演出を決定するための予告演出乱数等を更新する等の処理を実行する。また、その他の処理(S185)では、遊技者に対して右打ちを促す右打ち演出を行うための右打ち演出処理等を実行する。
【0166】
(受信コマンド解析処理)
次に、
図26に従って、受信コマンド解析処理(S330)について説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から遊技状態指定コマンドを受信したか否かを判定し(S190-1)、受信したと判定した場合(S190-1:Yes)、サブ側遊技状態設定処理を実行する(S190-2)。遊技状態指定コマンドには、遊技状態(非時短状態、時短状態、1種大当たり状態、小当たり状態、V当たり状態の何れであるか)を示す情報などが含まれている。このサブ側遊技状態設定処理では、受信した遊技状態指定コマンドを解析し、遊技状態指定コマンドに含まれている情報に基づき、現時点で設定されている遊技状態を特定し、その遊技状態を示す遊技状態フラグを「1」にセットし、それ以外の遊技状態フラグを「0」にセットする。また、演出制御用マイコン101は、後述する変動演出終了処理(S196-2、特図変動停止コマンドの受信時)において計測を開始した(左中右の演出図柄7L,7C,7Rの)停止時間の計測を終了する。
演出制御用マイコン101は、S190-2の処理の終了後、または、S190-1において遊技状態指定コマンドを受信していないと判定した場合に(S190-1:No)、S191-1へ進む。
【0167】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から始動入賞コマンド(第1始動入賞コマンドまたは第2始動入賞コマンド)を受信したか否かを判定し(S191-1)、受信したと判定した場合は(S191-1:Yes)、先読み演出判定処理を実行する(S191-2)。先読み演出判定処理(S191-2)では、第1特図保留演出記憶部121(または第2特図保留演出記憶部122)に記憶した始動入賞コマンドに含まれている始動入賞情報(大当たり乱数値、大当たり種別乱数値、リーチ乱数値等)を判定する。つまり、遊技制御用マイコン61が特別図柄の変動表示を開始する時点よりも前(始動入賞時)に、特図当たり判定や大当たり種別判定やリーチ判定を行う(事前判定)。そして、事前判定の結果に応じた抽選により、示唆演出を行うか否かを決定する。
演出制御用マイコン101は、S191-2の処理の終了後、または、S191-1において始動入賞コマンドを受信していないと判定した場合に(S191-1:No)、S192-1へ進む。
【0168】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S192-1)、受信したと判定した場合は(S192-1:Yes)、オープニング演出選択処理を実行する(S192-2)。このオープニング演出選択処理では、オープニングコマンドを解析し、その解析結果に基づいて、大当たり遊技状態のオープニングで実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。詳しくは、オープニングコマンド毎にオープニング演出パターンが対応付けて設定されたオープニング演出パターン選択テーブル(図示せず)を参照し、受信したオープニングコマンドと対応付けられているオープニング演出パターンを選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。
演出制御用マイコン101は、S192-2の処理の終了後、または、S192-1においてオープニングコマンドを受信していないと判定した場合に(S192-1:No)、S193-1へ進む。
【0169】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60からラウンド指定コマンドを受信したか否かを判定する(S193-1)。この処理においてラウンド指定コマンドを受信したと判定した場合は(S193-1:Yes)、ラウンド演出選択処理を実行する(S193-2)。ラウンド演出選択処理では、大当たり遊技状態の各ラウンドにおいて実行するラウンド演出の種類を選択すると共に、選択したラウンド演出を開始するためのラウンド演出開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。
演出制御用マイコン101は、S193-2の処理の終了後、または、S193-1においてラウンド指定コマンドを受信していないと判定した場合に(S193-1:No)、S194-1へ進む。
【0170】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S194-1)、受信したと判定した場合は(S194-1:Yes)、エンディング演出選択処理を実行する(S194-2)。このエンディング演出選択処理では、エンディングコマンドを解析し、その解析結果に基づいて、大当たり遊技状態のエンディングで実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。詳しくは、エンディングコマンド毎にエンディング演出パターンが対応付けて設定されたエンディング演出パターン選択テーブル(図示せず)を参照し、受信したエンディングコマンドと対応付けられているエンディング演出パターンを選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。
【0171】
続いて、演出制御用マイコン101は、遊技データ更新処理(大当たり時)を実行する(S194-3)。この遊技データ更新処理(大当たり時)については後述する。
【0172】
演出制御用マイコン101は、S194-3の処理の終了後、または、S194-1においてエンディングコマンドを受信していないと判定した場合に(S194-1:No)、S195-1へ進む。
【0173】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から特図変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S195-1)、受信したと判定した場合は(S195-1:Yes)、後述する変動演出開始処理(
図27)を実行する(195-2)。この変動演出開始処理では、主制御基板60から受信した特図変動開始コマンドに応じて、変動演出のより具体的な演出内容(変動演出パターン)を決定し、その変動演出の実行を指示するコマンドをRAM120の出力バッファにセットする。また、演出制御用マイコン101は、変動演出開始処理(S195-2)において、受信した特図変動開始コマンドに含まれる特図変動パターンに応じて特図変動表示の変動時間を特定し、特定した変動時間を変動演出の実行時間(左中右の演出図柄7L,7C,7Rの変動時間)としてその計測を開始する。
【0174】
続いて、演出制御用マイコン101は、遊技データ更新処理(変動演出時)を実行する(S195-3)。この遊技データ更新処理(変動演出時)については後述する。
【0175】
続いて、演出制御用マイコン101は、示唆演出選択処理を実行する(S195-4)。示唆演出選択処理では、変動演出中に示唆演出を実行するか否かおよび実行する示唆演出の種類を決定する。そして、示唆演出を実行することを決定した場合には、その示唆演出の実行を指示するコマンドをRAM120の出力バッファにセットする。
演出制御用マイコン101は、S195-3の処理の終了後、または、S195-1において変動開始コマンドを受信していないと判定した場合に(S195-1:No)、S196-1へ進む。
【0176】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から特図変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S196-1)、受信したと判定した場合は(S196-1:Yes)、変動演出終了処理を実行する(S196-2)。この変動演出終了処理では、演出制御用マイコン101は、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。セットした変動演出終了コマンドがコマンド送信処理(
図25のS165)によって画像制御基板200に送信されると、画像制御基板200は、演出表示装置7において停止状態(滞留状態)となっている左演出図柄7L、中演出図柄7Cおよび右演出図柄7Rを確定表示する。また、演出制御用マイコン101は、変動演出終了処理(S196-2)において、前述した変動演出開始処理(S195-2)で計測開始した変動時間の計測を終了し、変動演出後の演出図柄7L,7C,7Rの停止時間(特図変動表示の停止時間と同じ時間)の計測を開始する。
演出制御用マイコン101は、S196-2の処理の終了後、または、S196-1において変動停止コマンドを受信していないと判定した場合に(S196-1:No)、S197へ進む。
【0177】
続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から入球指定コマンドを受信したか否か判定し(S197-1)、受信したと判定した場合は(S197-1:Yes)、遊技データ更新処理(入球時)を実行する(S197-2)。この遊技データ更新処理(入球時)については後述する。
演出制御用マイコン101は、S197-2の処理の終了後、または、S197-1において入球指定コマンドを受信していないと判定した場合に(S197-1:No)、S198へ進む。S198において演出制御用マイコン101は、上記のコマンド以外のコマンドの受信に関する処理を行って、受信コマンド解析処理を終える。
【0178】
(変動演出開始処理)
次に、
図27に従って、変動演出開始処理(S195-2)について説明する。
演出制御用マイコン101は、受信した特図変動開始コマンドを解析する(S210)。特図変動開始コマンドには、第2特図変動パターン選択処理(第1特図変動パターン選択処理)でセットされた第2特図変動パターン(第1特図変動パターン)の情報、特図停止図柄(大当たり種別判定結果)等が含まれている。続いて、演出制御用マイコン101は、S210において解析した特図変動開始コマンドが第1特図変動開始コマンドである場合は、第1特図保留数と同期するよう、第1特図保留演出カウンタの値を「1」減算し、第2特図変動開始コマンドである場合は、第2特図保留数と同期するよう、第2特図保留演出カウンタの値を「1」減算する(S211)。第1特図保留演出カウンタは、第1始動入賞コマンドの受信に基づいて第1特図保留数に対応する数をカウントするカウンタであり、第2特図保留演出カウンタは、第2始動入賞コマンドの受信に基づいて第2特図保留数に対応する数をカウントするカウンタである。続いて、演出制御用マイコン101は、特図保留演出記憶部に記憶されている始動入賞コマンド等の各データを古い記憶領域の方にシフトする(S212)。次に、演出制御用マイコン101は、演出表示装置7が変動演出パターンを表示する際に最終的に確定表示する左演出図柄7L、中演出図柄7C及び右演出図柄7Rの組み合わせを、演出図柄選択テーブル(図示せず)を参照して選択する(S213)。
【0179】
続いて、演出制御用マイコン101は、演出内容選択処理を実行する(S214)。演出制御用マイコン101は、演出内容選択処理として、指示された特図変動パターンに基づいて、変動演出パターン選択テーブル(図示せず)の中から、演出図柄の変動に伴って行われる演出内容(変動演出パターン)を選択する。続いて、演出制御用マイコン101は、S214において選択した演出内容(変動演出パターン)の表示を演出表示装置7に開始させるための変動演出開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする(S215)。変動演出開始コマンドには、演出内容(変動演出パターン)の他、演出図柄を演出表示装置7に表示させるための演出画像データが含まれている。そして、その演出画像データを含む変動演出開始コマンドが、RAM120の出力バッファにセットされることで、1msタイマ割込処理の出力処理(S171)において演出画像データが画像制御基板200に出力される。これにより、演出画像データに基づく演出図柄や演出画像が演出表示装置7に表示される。また、画像制御基板200は、演出制御用マイコン101からの変動演出開始コマンドを受信したことに基づき、演出表示装置7の表示上において当該変動表示領域7Bcに表示される画像(当該変動画像)を消去すると共に、メイン演出保留表示領域7Baやサブ演出保留表示領域7Bbに表示される画像(保留画像)をシフトする。その後、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。
【0180】
[遊技データ(ユーザデータ)の管理と特典付与]
ここで、遊技者(ユーザ)による遊技履歴を利用して遊技に対する付加価値を提供する構成について、
図28および
図29を参照しながら以下に説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技者が行った遊技の結果に応じてポイントを付与し、そのポイントが予め定めたポイント数に到達すると、遊技者に対し特典を付与するように構成されている。この場合の特典としては、遊技中(変動演出中や大当たり遊技状態中)に流れる楽曲(BGM)を増加させること、遊技中の画面の表示態様(変動演出中や大当たりエンディング中等に表示される背景画像やキャラクタ等)を変化させること、遊技結果への期待度を高める示唆演出(予告演出)として実行可能な演出の数を増加させること、示唆演出の発生確率を向上させること、等から適宜に設定可能である。本実施形態では、発生可能なリーチ演出を増加させることおよび変動演出中のBGM(遊技者が選択可能)を増加させること、の2種類を付与するようになっている。また、遊技で獲得したポイントや遊技履歴の情報(遊技データ)を、遊技者(ユーザ)毎に遊技機メーカーのサーバコンピュータSCでユーザデータとして管理し、そのユーザデータを遊技者が所有する携帯端末PHで確認できるようにしている。
【0181】
(遊技データの管理について)
演出表示装置7の待機画面では例えば、
図29(a)に示すように、「環境設定」および「遊技開始」の選択肢と、遊技機メーカーのホームページ(ウェブページ)のURLを二次元コードに変換したURLコード情報x1とが表示される。ここで、遊技者が、携帯端末PH(スマートフォン等)の読み取り機能を使って待機画面上のURLコード情報x1を読み取ると、
図28に示すように、遊技者の携帯端末PHからインターネット経由で、遊技機メーカーのサーバコンピュータSCにアクセスすることができ、ウェブページを閲覧することができる。遊技者は、ウェブページの表示に従って操作を行い、所定のアプリケーションソフトウエア(以下「専用アプリ」という)をサーバコンピュータSCからダウンロードする。遊技者はそのダウンロードした専用アプリを起動して会員登録を行う(会員IDおよびパスワードを取得する)ことで、サーバコンピュータSCにおいて遊技者(ユーザ)の情報(ユーザデータ)を管理するためのユーザデータ管理エリアが確保される。
【0182】
ここで、パチンコ遊技機1は、遊技者によって遊技開始の操作(後述)が行われてから遊技終了の操作(後述)が行われるまでの間、遊技結果の履歴である遊技データを記憶して、その記憶した遊技データを二次元コードに変換した遊技コード情報x2(後述、
図29(d))として演出表示装置7に表示可能に構成されている。これに対し、遊技者が携帯端末PHの読み取り機能を利用して遊技コード情報x2を読み取ると、
図28に示すように、この遊技コード情報x2が示す遊技データが携帯端末PHからサーバコンピュータSCに送信され、当該サーバコンピュータSCでユーザデータ(会員登録してから現在に至るまでの遊技データの集計)として管理(蓄積記憶)される。そして、遊技者は、携帯端末PHで専用アプリを起動する度に、サーバコンピュータSCで管理されている最新のユーザデータを専用アプリのマイページ上で閲覧できる。
【0183】
演出制御用マイコン101は、演出表示装置7に
図29(a)に示す待機画面が表示されている状態で、遊技者による演出レバー6の回転操作を検出する毎に、選択肢の選択対象を「環境設定」および「遊技開始」の各選択肢の間で交互に切り替える。また、演出制御用マイコン101は、演出レバー6の押込操作を検出すると、その時点で選択対象の選択肢を最終的な選択対象として確定する。「環境設定」の選択肢を確定した場合には、音量、光量およびBGMの何れかの設定操作を開始するための環境設定画面(
図29(b))へと移行する。一方、「遊技開始」の選択肢を選択対象として確定した場合(遊技開始の操作を行った場合)には、当該演出制御用マイコン101の制御による遊技データの管理を開始する。この時点以降、遊技者が遊技終了の操作を行うまでの間、RAM120の遊技データ管理部128に遊技データ(遊技に関する各種データ)が蓄積記憶されて管理される。なお、遊技データの詳細については後述する。
【0184】
遊技者が前述した遊技開始の操作を行って(遊技データの管理を開始して)から遊技を行い、その遊技を終了する際は、演出表示装置7において待機画面が
図29(c)に示す態様で表示される。この場合の待機画面には、前述した「環境設定」の他に「遊技データ一覧」という選択肢が含まれている。この待機画面が表示された状態において「遊技データ一覧」の選択肢を選択対象として確定する演出レバー6の操作が検出された場合には、演出表示装置7に、
図29(d)に示す遊技データ確認画面が表示される。この遊技データ確認画面では、遊技開始の操作を行ってから現時点までの遊技データの集計一覧と、この一覧の内容(遊技データ)を示す前述した遊技コード情報x2(二次元コード)と、「遊技を終了しますか?」という文字情報と、「はい」および「いいえ」の選択肢とが表示される(遊技データ確認画面)。すなわち、遊技者は、それまで行っていた遊技の結果を演出表示装置7の画面上の集計一覧により確認することができる。また、携帯端末PHで遊技コード情報x2を読み取ることにより、その携帯端末PHで専用アプリのマイページに表示されるユーザデータ(過去の遊技データを含む遊技データの集計)を確認することができる。
また、演出制御用マイコン101は、「はい」(遊技を終了する)の選択肢を選択対象として確定する演出レバー6の操作が検出された場合に、RAM120の遊技データ管理部128に蓄積記憶された遊技データをクリアして、演出表示装置7の画面表示を
図29(a)に示す待機画面に移行させる。一方、「いいえ」(遊技を終了しない)の選択肢を選択対象として確定する演出レバー6の操作が検出された場合には、演出表示装置7の画面表示を
図29(c)に示す待機画面に移行させる。
【0185】
ここで、演出制御用マイコン101のRAM120には、遊技データ管理部128に遊技データを蓄積記憶して管理する状態であるか否かを判別可能とするためのデータ管理フラグが設けられている。そして、前述した10msタイマ割込処理(
図25)におけるS186(データ管理設定処理)において、データ管理フラグの状態を切り替える処理を行う。具体的には、
図30に示すように、演出制御用マイコン101は先ず、遊技開始の操作が行われたか否かを判定する(S500)。なお、演出制御用マイコン101は、遊技制御用マイコン61からの客待ちコマンドを受信したことによる待機状態であり、かつデータ管理フラグが「0」である状態(すなわち、待機画面に「遊技開始」の選択肢が表示されている状態)において、遊技開始の操作(演出レバー6の操作)を有効とする。そして、遊技開始の操作が行われたと判定した場合には(S500:Yes)、データ管理フラグを「1」に設定し(S501)、次に、RTC124で計測される日時情報(日付および時刻)を取得して遊技データ管理部128に記憶して(S502)、S503に進む。これに対し、遊技開始の操作が行われていないと判定した場合には(S500:No)、S501およびS502を経由することなくS503に進む。
【0186】
続いて、演出制御用マイコン101は、遊技終了の操作が行われたか否かを判定する(S503)。なお、演出制御用マイコン101は、遊技制御用マイコン61からの客待ちコマンドを受信したことによる待機状態であり、かつデータ管理フラグが「1」である状態(すなわち、遊技データ確認画面が表示されている状態)において、遊技終了の操作(演出レバー6の操作)を有効とする。そして、遊技終了の操作が行われたと判定した場合には(S503:Yes)、データ管理フラグを「0」に設定し(S504)、遊技データ管理部128の記憶内容をクリアして(S505)、データ管理設定処理を終了する。これに対し、遊技終了の操作が行われていないと判定した場合には(S503:No)、S504およびS505を経由することなくデータ管理設定処理を終了する。
【0187】
すなわち、演出制御用マイコン101は、RAM120においてデータ管理フラグが「0」に設定されている場合には、遊技者による遊技の履歴を遊技データ管理部128に記憶しない。これに対し、RAM120においてデータ管理フラグが「1」に設定されている場合には、遊技者による遊技の履歴を遊技データ管理部128に記憶する。
【0188】
(遊技データについて)
本実施形態の演出制御用マイコン101は、前述のデータ管理フラグが「1」の場合、遊技制御用マイコン61からのコマンドの受信等に基づいて各種の遊技結果の情報を取得し、遊技データとして遊技データ管理部128で管理するよう制御を行う。具体的には、遊技データとして、
図29(d)に示す遊技データ確認画面(集計一覧)に表示されている各データ(遊技開始日時、総変動回数、非時短中の変動回数、大当たり回数、リーチ発生回数、入球回数、獲得ポイント)を管理可能に構成されている。
【0189】
遊技データ確認画面の集計一覧に表示される「遊技開始日時」は、前述した遊技開始の操作が行われた日時を示す遊技データである。演出制御用マイコン101は、
図30を参照して前述したように、遊技開始の操作が行われた場合に、前述のようにRTC124による日時情報を取得し、最新の遊技開始日時のデータとして、遊技データ管理部128の記憶内容(履歴)に追加する(S502)。
【0190】
遊技データ確認画面の集計一覧に表示される「大当たり回数」は、大当たり遊技状態が生起された合計回数を示す遊技データである。演出制御用マイコン101は、遊技開始の操作が行われた後の遊技において、大当たり遊技状態が生起される度に、遊技データ管理部128に記憶されている「大当たり回数」の値を更新(1加算)する。なおこの処理は、前述した受信コマンド解析処理(
図26)のS194-3(遊技データ更新処理(大当たり時))において実行される。具体的には、
図31に示すように、演出制御用マイコン101は、先ず、データ管理フラグが「1」であるか否かを判定する(S510)。ここで、
図31に示す遊技データ更新処理(大当たり時)は、大当たり遊技状態毎に実行される処理であるので、S510においてデータ管理フラグが「1」であると判定した場合には、遊技データ管理部128に記憶されている「大当たり回数」の値を更新(1加算)し(S511)、遊技データ更新処理(大当たり時)を終了する。これに対し、S510においてデータ管理フラグが「0」であると判定した場合は、遊技データ管理部128の記憶内容を更新することなく遊技データ更新処理(大当たり時)を終了する。
【0191】
遊技データ確認画面の集計一覧に表示される「総変動回数」および「非時短中の変動回数」は、前述した遊技開始の操作が行われてから現時点までの期間における変動演出の実行回数であり、このうち「総変動回数」は、非時短状態および時短状態の両方において実行された変動演出の合計回数、「非時短中の変動回数」は、非時短状態のみにおいて実行された変動演出の合計回数である。また、遊技データ確認画面の集計一覧に表示される「リーチ回数」は、前述した遊技開始の操作が行われてから現時点までの期間におけるリーチ演出の種類毎の実行回数である。
演出制御用マイコン101は、遊技開始の操作が行われた後の遊技において、変動演出が実行される度に、遊技データ管理部128に記憶されている「総変動回数」の値を更新(1加算)する。また、演出制御用マイコン101は、遊技開始の操作が行われた後の遊技において、非時短状態で変動演出が実行される度に、遊技データ管理部128に記憶されている「非時短中の変動回数」の値を更新(1加算)する。なおこの処理は、前述した受信コマンド解析処理(
図26)のS195-3(遊技データ更新処理(変動演出時))において実行される。具体的には、
図32に示すように、演出制御用マイコン101は、先ず、データ管理フラグが「1」であるか否かを判定する(S520)。ここで、
図32に示す遊技データ更新処理(変動演出時)は、変動開始コマンドの受信毎に実行される処理であるので、S520においてデータ管理フラグが「1」であると判定した場合には、その時の遊技状態に応じて、遊技データ管理部128に記憶されている「総変動回数」や「非時短中の変動回数」の値を更新(1加算)する。すなわち、演出制御用マイコン101は、S521において、遊技状態フラグを確認し、遊技状態が非時短状態であるか否かを判定する。そして、非時短状態であると判定した場合には(S521:Yes)、「総変動回数」および「非時短中の変動回数」の両方の値を更新する。一方、非時短状態ではない(時短状態である)と判定した場合には(S521:No)、「総変動回数」の値のみを更新する。
続くS524において、演出制御用マイコン101は、変動演出パターンとしてリーチ演出を含む変動演出パターンが決定されたか否かを判定する(S524)。そして、リーチ演出を含む変動演出パターンが決定されたと判定した場合には(S524:Yes)、S525に進み、遊技データ管理部128に記憶されている「リーチ回数」のうち、決定した変動演出パターンに含まれるリーチ演出の種類に対応する「リーチ回数」の値を更新(1加算)して(S525)、遊技データ更新処理(変動演出時)を終了する。これに対し、S524においてリーチ演出を含まない変動演出パターンが決定されたと判定した場合は(S524:No)、遊技データ管理部128の記憶内容を更新することなく遊技データ更新処理(変動演出時)を終了する。
【0192】
遊技データ確認画面の集計一覧に表示される「入球回数」は、遊技領域3に設けられる各入球口(第1始動口(左)10a、一般入賞口11a、普電入賞口12a、第1始動口(右)14Aa、第2始動口14Ba、大入賞口15a)への入球の発生回数を示す遊技データである。演出制御用マイコン101は、遊技開始の操作が行われた後の遊技において、これらの入球口の何れかへの入球の発生に応じて、その入球口の種類毎に遊技データ管理部128に記憶されている「入球回数」の値を更新(1加算)する。なおこの処理は、前述した受信コマンド解析処理(
図26)のS197-2(遊技データ更新処理(入球時))において実行される。具体的には、
図33に示すように、演出制御用マイコン101は、先ず、データ管理フラグが「1」であるか否かを判定する(S530)。そして、S530においてデータ管理フラグが「1」であると判定した場合には、入球計数処理を実行し(S532)て入球した入球口に対応する「入球回数」をカウントして、遊技データ更新処理(入球時)を終了し、S530においてデータ管理フラグが「0」であると判定した場合は、S532を経由することなく遊技データ更新処理(大当たり時)を終了する。
【0193】
(獲得ポイントについて)
遊技データ確認画面の集計一覧に表示される「獲得ポイント」は、遊技者による遊技の結果に応じて付与される獲得ポイントの合計数である。パチンコ遊技機1では、遊技結果に応じて獲得ポイントを付与し、その獲得ポイントの付与毎に、遊技データ管理部128において獲得ポイントを加算して記憶するように構成されている。なお、本実施形態では、遊技者による不適正な位置への遊技球の打ち出しに対して、獲得ポイントを減点する場合もある。そして、遊技データ管理部128に記憶される獲得ポイントが予め定められたポイント数に達した場合に、遊技者への特典が付与されるようになっている。
【0194】
本実施形態では、期待度の高いリーチ演出(SPリーチ演出)として、楽曲の音出力をライブ映像等の表示演出と共に楽しむための複数種類の楽曲リーチ演出があり、これらを楽曲系SPリーチ演出という。ここで、本実施形態では、獲得ポイントの増加に対する具体的な特典として、「楽曲系SPリーチ演出の解放」および「BGMの解放」が設けられている。具体的には、楽曲系SPリーチ演出として、
図34に示すように、楽曲1リーチ演出(楽曲1についての音楽ライブの映像表示および音出力を行う演出)から楽曲10リーチ演出(楽曲10についての音楽ライブの映像表示および音出力を行う演出)までの合計10種類が用意されている。但し、楽曲1リーチ演出から楽曲3リーチ演出までの3種類のみが常に発生し得る(選択可能な)SPリーチ演出に設定されているのに対し、楽曲4リーチ演出から楽曲10リーチ演出までの7種類のSPリーチ演出は、常にはロック(発生し得ない状態と)されており、獲得ポイントが100ポイントに到達した場合には、楽曲4リーチ演出が解放(発生し得る状態と)され、獲得ポイントが200ポイントに到達した場合には、楽曲5リーチ演出が解放(発生し得る状態と)され、獲得ポイントが300ポイントに到達した場合には、楽曲6リーチ演出が解放(発生し得る状態と)され、獲得ポイントが400ポイントに到達した場合には、楽曲7リーチ演出が解放(発生し得る状態と)され、獲得ポイントが500ポイントに到達した場合には、楽曲8リーチ演出が解放(発生し得る状態と)され、獲得ポイントが600ポイントに到達した場合には、楽曲9リーチ演出が解放(発生し得る状態と)され、獲得ポイントが700ポイントに到達した場合には、楽曲10リーチ演出が解放(発生し得る状態と)されるように、演出制御用マイコン101が制御を行う。
また、楽曲系SPリーチ演出が1種類ずつ解放されていくのと同時に、その開放される楽曲系SPリーチ演出で流れる楽曲が、変動演出中(非リーチ期間中)のBGMとして解放される。すなわち、獲得ポイントが100ポイントに到達した場合は、楽曲4リーチ演出が解放されるのと同時に、BGMとして楽曲4を選択可能となる。他の楽曲系SPリーチ演出の解放時も同様に、対応の楽曲がBGMとして選択可能となる。なお、BGMの選択は、前述した環境設定画面(
図29(b))で「BGM」の選択肢を選択して行う。
【0195】
ここで、獲得ポイントの加点条件について、
図35を参照しながら説明する。なお、
図35は、
図25のS187(獲得ポイント更新処理)である。
獲得ポイント更新処理において、演出制御用マイコン101は獲得ポイントの加点処理を行う(S500)。この場合に、演出制御用マイコン101は、獲得ポイントの加点条件が成立したか否かを判定し、何れかの加点条件が成立している場合に、その加点条件に応じたポイント数を遊技データ管理部128に記憶される獲得ポイントに加算するように制御を行う。本実施形態において加点条件には、「大当たりの実行」、「非時短中の変動演出(10回)の実行」、「バトル系SPリーチ演出の実行」、「楽曲系SPリーチ演出の実行」が設けられている他、「演出指示に合わせた特定操作」が設けられている。この「演出指示に合わせた特定操作」は、後述する営業終了時刻の間際に行うストック放出のための操作(演出ボタン5及び演出レバー6の同時操作)のことである。演出制御用マイコン101は、大当たり遊技状態が1回生起される毎に、獲得ポイントとして50ポイントを付与する。また、非時短状態中に変動演出が10回実行される毎に、獲得ポイントとして1ポイントを付与する。また、バトル系SPリーチ演出が1回実行される毎に、5ポイントを付与する。また、楽曲系SPリーチ演出として、楽曲1~3リーチ演出の何れかが1回実行される毎に5ポイント、楽曲4~9リーチ演出の何れかが1回実行される毎に10ポイント、楽曲10リーチ演出が1回実行される毎に20ポイント、を付与する。また、演出指示に合わせた特定操作が1回実行される毎に50ポイントを付与する。
【0196】
[小当たりに対応する変動演出の実行をストックする遊技性]
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機1における遊技の大まかな流れと演出モードとの関係について、
図36を参照しながら説明する。演出制御用マイコン101は、非時短状態または時短状態における演出モードとして、通常モード、ストック獲得モード、ストック放出モードおよびチャレンジモードを設定可能であり、常には通常モードを設定している。通常モードは、非時短状態において設定される演出モードであり、遊技者にとって不利な遊技状態であること(有利な遊技状態ではないこと)を示す内容の演出が行われる。なお、非時短状態中は、ゲート13への遊技球の通過を契機とする普図当たり判定において当たりの判定結果が生じない(または非常に低確率でのみ生じる)ので、遊技者は左打ちで遊技を行って第1始動口(左)10aへの遊技球の入賞を狙うことになる。そして、遊技制御用マイコン61は、第1始動口(左)10aへの入賞を契機とする第1特図の特図当たり判定において大当りの判定結果となった場合に、大当たり遊技状態(1種大当たり状態)を生起させ、その終了後に時短1または時短2へと移行させる。この時短1,2の状態に対応して、演出制御用マイコン101は、演出モードをストック獲得モードに設定する。
【0197】
演出制御用マイコン101は、ストック獲得モードにおいて、ストックを獲得できるか否かに遊技者の注目を集めるように演出を行う。ここでストックとは、小当たりに対応する始動入賞情報による変動演出の作動保留を発生させることである。本実施形態では、遊技制御用マイコン61の制御により、第2特図の作動保留(第2特図保留記憶部64bに記憶される始動入賞情報)よりも優先して第1特図の作動保留(第1特図保留記憶部64aに記憶される始動入賞情報)が消化されるようになっている。このため、第1特図の作動保留が継続的に発生する状況では、第2特図の作動保留が発生すると消化されないままとなる。第2特図の始動入賞情報に基づく特図当たり判定では高確率で小当たりとなり、小当たり遊技状態において大入賞口15aに入賞した遊技球は必ず特定領域を通過して特定領域センサ15eに検出されるようになっている。すなわち、第2特図の作動保留は、小当たり遊技状態を契機とする2種大当たり状態を生起させることに対応する始動入賞情情報である可能性が高く、第2特図の作動保留が存在しているということは、遊技者にとって有利な結果がストックされていることに対応する。
【0198】
ストック獲得モードの遊技状態は時短1または時短2であるため、ゲート13を遊技球が通過したことを契機とする普図当たり判定は当たりの判定結果となり、普通開閉部材12bが開放される。この場合の普通開閉部材12bの開放パターンとしては、350分の349の確率で第1開放パターンOP1が決定され、350分の1の確率で第2開放パターンOP2が決定される。普通開閉部材12bが第1開放パターンOP1に基づいて開放する場合は、普電入賞口12aに入賞する遊技球が第1通路部43に導かれて第1非電開閉部材14Abを開放するので、第1始動口(右)14Aaへの1個の遊技球の入賞が発生する。これに対し、普通開閉部材12bが第2開放パターンOP2に基づいて開放する場合は、普電入賞口12aに入賞する遊技球が第2通路部44に導かれて第2非電開閉部材14Bbを開放するので、第2始動口14Baへの1個の遊技球の入賞(すなわちストック)が発生する。このように、ストック獲得モード(時短1,2)では、普電入賞口12aへの遊技球の入賞毎に、350分の1の確率でストックが発生する。但し、普電入賞口12aに入賞する遊技球の殆どが第1通路部43に導かれて第1始動口(右)14Aaを開放することになるので、遊技者が右打ちを行っていれば第1特図の作動保留がなくなることはなく、このストック獲得モードが終了するまで第2特図の作動保留(ストック)は消化されないまま維持される。なお、ストック獲得モードは、時短1であれば、第1特図の変動表示が100回実行されるか大当たり遊技状態が開始されることで終了し、時短2であれば、第1特図の変動表示が150回実行されるか大当たり遊技状態が開始されることで終了する。
【0199】
演出制御用マイコン101は、ストック獲得モードの終了により、演出モードをストック放出モードに移行させる。ストック放出モードは、その開始時は非時短状態であり、ストック放出毎に時短3または時短4に移行することがある。前述のストック獲得モードから継続して遊技者の右打ちが行われているので、第1特図の作動保留は消化され、ストックとしての第2特図の作動保留が消化される。従ってこのストック放出モードでは、遊技者に右打ちを促しつつ、ストックが放出される状況を盛り上げる演出等が行われる。
【0200】
第2特図の作動保留の消化(ストック放出)により実行される特図当たり判定は、概ね(約320分の319の確率で)小当たりの判定結果となる。この場合の小当たり図柄は、50パーセントの確率で小当たり図柄aとなり、22パーセントの確率で小当たり図柄bとなり、28パーセントの確率で小当たり図柄cとなる。小当たり図柄aが決定された場合および小当たり図柄bが決定された場合は、大入賞口15aへの入賞球が特定領域を通過することにより、夫々対応するラウンド数の2種大当たり状態が生起された後、時短3に移行する。時短3では、普通開閉部材12bの開放パターンとして必ず第2開放パターンOP2が決定されるので、第1特図の変動表示回数(10回)による終了条件が成立することはなく、結果的に1個の遊技球が第2始動口14Baに入賞して第2特図の作動保留が発生する。すなわち、1個のストックを放出することに伴ってストックが1つ発生するので、ストックの数が変化しない。これに対し、小当たり図柄cが決定された場合は、大入賞口15aへの入賞球が特定領域を通過することにより、対応するラウンド数の2種大当たり状態が生起された後、時短4に移行する。時短4では必ず10回の特図変動表示が実行され、その間に遊技球がゲート13を通過して普図変動表示が実行され得るが、普通開閉部材12bの開放パターンとして必ず第1開放パターンOP1が決定されるので、新たなストックは発生せず、ストックが1個減少する。
【0201】
前述のように、ストック放出モードにおいて第2特図の作動保留の消化(ストック放出)により実行される特図当たり判定が小当たりの判定結果となり、小当たり図柄aおよび小当たり図柄bの何れかが決定されれば、ストック数が維持されるためストックがゼロになることはない。これに対し、小当たり図柄cが決定された場合には、ストックがゼロになり得る。この場合は、演出制御用マイコン101は、演出モードをチャレンジモードに移行する。すなわち、チャレンジモードは、第1開放パターンOP1による普通開閉部材12bの開放に応じて発生する第1始動口(右)14Aaへの入賞により、第1特図の変動表示が10回行われることで終了する。そして、演出制御用マイコン101は、チャレンジモードが終了すると演出モードを通常モードに復帰させる。
【0202】
(誘導演出について)
ここで、誘導演出について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は前述のように、ストック獲得モード(時短1または時短2)においてストック(第2特図の作動保留、すなわち第2特図保留記憶部64bに記憶される始動入賞情報)を発生させ、その後のストック放出モード(非時短状態、時短3または時短4)においてストックを放出(第2特図の作動保留に基づく特図当たり判定の実行、これに伴う変動演出の実行)する遊技性を有している。しかしながら、ストック獲得モード中に獲得したストックがその後のストック放出モードになるまで放出されないことから、遊技店の営業終了時刻の間際等にストック獲得モード中であり、そのまま営業終了時刻が到来してしまうと、既にストックが発生しているにも関わらずストック分を消化できない事態が生じ得る。
そこで、本実施形態では、サブ制御基板100に搭載されているRTC124(計時手段)が、営業終了時刻の間際の予め定めた時刻を現在時刻として計測した場合に、その時点でストック(消化優先順位の低い第2特図保留記憶部64bでの始動入賞情報の記憶、すなわち第2特図の作動保留)が存在していれば、誘導演出を実行して、そのストックが放出される機会(作動保留となっている第2特図の始動入賞情報に基づく特図当たり判定が実行される機会)を早めるために有用な情報(方法)を示唆または報知する。
【0203】
パチンコ遊技機1では前述のように、遊技者がストック獲得モードにおいてストックが発生した後も継続的に右打ちを行っているような場合に、ストック獲得モードの終了条件として定められた特図変動表示の実行回数に到達するまで、ストックが消化されない。これは、ストック獲得モード(時短1または時短2)において右打ちを継続的に行うと第1始動口(右)14Aaへの入賞が発生し、第2特図の作動保留よりも消化優先度の高い第1特図の作動保留だけが時系列順に消化され続けるからである。しかしながら逆に言うと、ストック獲得モード中であっても、右打ちを中止して第1特図の作動保留を全て消化すれば、ストックされている第2特図の作動保留が消化(ストックが放出)されることになる。このため、誘導演出では、結果的に全ての第1特図の作動保留が消化されるようにするための遊技操作のしかたを報知する。
【0204】
図37に示す誘導演出の演出例は、ストックが放出される機会を早めるための具体的な遊技操作の方法をスピーカ8から音声で出力するようにし、演出表示装置7の画面上の表示態様は基本的に変化させないものである(但し、後述する時間表示は行う)。
図37においてスピーカ8の音出口側に記載している文章が、実際にスピーカ8から音出力される内容となる。すなわち、誘導演出は、「私が良いというまで両手でボタンとレバーを押さえて!図柄変動の残り回数は減っちゃうけど、今なら50Ptが手に入るかも!」という音声をスピーカ8から出力する演出として実行する。ここで、誘導演出は、遊技者が行うべき遊技操作の内容を示す条件情報(「わたしがもういいよというまで両手でボタンとレバーを押さえて!」という音声)と、その条件情報に対応する遊技操作を行った場合に遊技者が獲得できる特典内容を示す特典付与予告情報(「今なら50Ptが手に入るかも!」という音声)と、遊技者がその条件情報に対応する遊技操作を行った場合に生じる遊技への不利な影響を示すリスク情報(「図柄変動の残り回数は減っちゃうけど、」という音声)とを含んでいる。なお、「50Pt」というポイント数は一例であり、適宜設定することができる。
【0205】
誘導演出で音声出力する「ボタン」とは、演出ボタン5のことであり、「レバー」とは、演出レバー6のことである。ここで、本実施形態のパチンコ遊技機1は、前枠18について前述したように、演出ボタン5および演出レバー6が互いに離間しており、両方の演出操作手段を同時に片手で操作できない構成となっている。すなわち、遊技者は、両手を使って演出ボタン5と演出レバー6とを操作することになると、ハンドル4の操作による遊技球の発射を行うことができない。従って、誘導演出において、例えば第1特図の作動保留(第1特図保留記憶部64aにおける始動入賞情報の記憶数)がなくなるまで(すなわちストックを放出できる状況が整うまで)、演出ボタン5と演出レバー6とを同時に押下操作するように促すことにより、第1特図の作動保留(第1特図保留記憶部64aにおける始動入賞情報の記憶数)が増加することがなくなり、徐々に第1特図の作動保留が減少するため、第2特図保留記憶部64bに記憶されている始動入賞情報に基づく特図当たり判定の実行時期(ストック放出の時期)を早めることができる。
なお、演出ボタン5や演出レバー6の位置については、表示や音声等で遊技者に報知するようにしてもよい。
【0206】
ここで例えば所定の遊技店で、遊技のしかたのきまりとして、営業終了時刻となった時に実行されている大当たり遊技状態が終了した時点で遊技店員がその遊技者の遊技を強制的に終了させる(その時点で第2特図の作動保留によるストックが存在していても無効とする)ことが決められていることとする。
演出制御用マイコン101は例えば、予め定められた時刻として、営業終了時刻の20分前の時刻(例えば21時40分)をRTC124が計測した場合に、誘導演出を開始するように制御を行う。この予め定められた時刻(21時40分)から営業終了時刻(22時)までの20分という時間は、例えば、第2特図保留記憶部64bでの4つの始動入賞情報の記憶(第2特図の4つの作動保留)に基づく4回の2種大当たり状態を連続して消化するのにかかる時間に相当するものとする。この場合に遊技者は、誘導演出が開始された時点で例えば第2特図の作動保留によるストックが4つ存在している場合、営業終了時刻までに少なくとも3つのストックを消化して4つ目のストックによる小当たり遊技状態を開始させなければならず(そうしないと無効のストックが発生し得る)、時間的に余裕がない。このため、遊技者は、誘導演出に応じて速やかに右打ちをやめ、なるべく早くに最初のストック放出を開始させる必要がある。
これに対し、誘導演出が開始された時点で、第2特図の作動保留によるストックが例えば1つか2つである場合、営業終了時刻までの残り時間(20分)の間に比較的余裕をもって遊技を行っても、全てのストックを消化できる可能性が高い。そこで、遊技者はその後、残り時間の減少具合を考慮しながら、残り時間を最大限使って残りのストック獲得を狙って右打ちを継続し、適宜の時間に右打ちをやめてストックの消化に切り替えるようにする。
このため、本実施形態では、ストック放出までの残り最短時間(すなわち、現在の残りの第1特図の作動保留を消化するのに必要な合計時間)を表示するようにしている(
図37に「操作終了まで(の時間)」の時間表示)。この時間は、現在実行されている第1特図変動表示(第1特図に対応する演出図柄の変動表示)の残り時間と、現在保留されている全ての第1特図変動表示(第1特図に対応する演出図柄の変動表示)の変動時間(変動パターンに対応して定められる時間)とを合わせた合算変動時間として算出される時間のことであり、演出制御用マイコン101の制御により算出される。但し、この残り最短時間は、表示上、「50Pt」の付与を受けるために必要な操作時間として遊技者が認識するような表示態様で表示する(具体的には「操作終了まであと・・・」といった表示態様とする)。
【0207】
誘導演出における「今なら50Ptが手に入るかも!」という音情報は、演出ボタン5及び演出レバー6を同時に押さえるという操作を遊技者が前述の第2誘導演出の内容に従って行った場合に、ポイント(Pt)の付与が受けられることを示唆している。前述のように本実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技者が行った遊技の結果に応じてポイントを付与し、そのポイントが予め定めたポイント数に到達すると、遊技者に対し特典(演出の解放等)を付与するように構成されている。誘導演出による指示に従って遊技者が演出ボタン5及び演出レバー6を操作した場合も、このようなポイント付与の条件の一つとして設定されている。
【0208】
このように、誘導演出において演出ボタン5及び演出レバー6の同時操作が指示され、これに遊技者が応じて操作した場合には、「操作終了まで」の時間表示が開始され、その表示された残り最短時間が経過するまで遊技者が演出ボタン5及び演出レバー6の同時操作を継続した時に、予め定めたポイント数が遊技者に付与される。またこの時点では(最初の)ストックの放出として、第2特図に対応する演出図柄の変動表示が開始され、その後に小当たり遊技状態が生起される。そしてこの小当たり遊技状態において遊技球が特定領域を通過すると、V当たり状態に移行する(2種大当たり状態が生起される)こととなる。すなわち、遊技者にとって有利な遊技状態が生起される。なお、演出ボタン5及び演出レバー6の同時操作については、その継続時間を厳格に判断する必要はなく、途中で中断されたとしても最終的に演出ボタン5及び演出レバー6の同時操作中に残り最短時間がゼロとなれば、ポイントを付与するようにすればよい。
【0209】
なお、誘導演出を実行する本来の目的は、遊技者に所定の操作を行うことを促し、営業終了時刻までにストック放出のタイミングを到来させるようにすることである。しかしながら本実施形態の誘導演出は、遊技者に対して、ストックを放出すべきことではなく、ポイントの付与を受けることができることを積極的に報知するようにしており、ストックの放出については明確には報知しない。すなわち、誘導演出では、所定の操作の結果としてストック放出とは別の特典が得られることと、その得られるまでの時間とを表示するようにしており、ストックを放出するための操作であることの報知やストック放出までの残り時間の報知は、直接的にはしていない。これは、遊技者にストックの存在を意識させないためである。すなわち、誘導演出が行われる時点では、既に営業終了時刻が近づいている状況であり、ストックの放出が間に合わない可能性もある。遊技者が誘導演出の指示に従って操作を行っても結果的にストック放出の時間が間に合わない虞があり、遊技者がストックの存在を意識していながらストック放出が間に合わなかった時は、遊技者が強い不満や不信感を抱くと考えられるからである。このような事情を鑑み、誘導演出では、ストックの存在に遊技者の意識が向かないようにしながら結果的にストック放出の時期を早めるように演出する。
【0210】
[実施形態の効果]
上述した実施形態のパチンコ遊技機1によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)パチンコ遊技機1は、遊技球が入球可能な第1始動口(左)10a、第1始動口(右)14Aaおよび第2始動口14Ba(複数の契機口)を備えており、遊技制御用マイコン61(取得手段)は、これらの始動口の何れかへの遊技球の入賞(入球)を契機として始動入賞情報(入球情報)を取得する。また、遊技制御用マイコン61のRAM64には、第1始動口(左)10aまたは第1始動口(右)14Aaへの遊技球の入賞を契機として遊技制御用マイコン61が取得した始動入賞情報を所定個数まで記憶可能な第1特図保留記憶部64a(保留記憶手段)と、第2始動口14Baへの遊技球の入賞を契機として遊技制御用マイコン61が取得した始動入賞情報を所定個数まで記憶可能な第2特図保留記憶部64b(保留記憶手段)とが設けられている。そして、遊技制御用マイコン61(判定手段)が、特図保留記憶部64a,64bに記憶されている始動入賞情報に基づいて、特図当たり判定(当否判定)を行う。また、特別図柄表示器51,52は、遊技制御用マイコン61の制御により、始動入賞情報に基づいて特別図柄の変動表示を行う。第1特図保留記憶部64aおよび第2特図保留記憶部64bの両方に始動入賞情報が記憶(保留)されている状態で、特別図柄の変動開始タイミングとなった場合(始動条件が成立した場合)に、特図保留記憶部64a,64bのうちで消化優先度が高い第1特図保留記憶部64aに記憶されている始動入賞情報に基づいて特図当たり判定が実行され、その判定結果に基づいて特別図柄の変動表示が特別図柄表示器51,52において開始される。複数の始動口のうち、第1始動口(左)10aおよび第1始動口(右)14Aaは、遊技球の入賞を契機として取得される始動入賞情報が、消化優先度の高い第1特図保留記憶部64aに記憶されることになる始動口(第1始動口、第1の契機口)である。また、第2始動口14Baは、遊技球の入賞を契機として取得される始動入賞情報が、消化優先度の低い第2特図保留記憶部64bに記憶されることになる始動口(第2始動口、第2の契機口)である。遊技制御用マイコン61(生起手段)は、遊技者が右打ちを行う場合に、第1非電開閉部材14Abが開放される確率(第1始動口(右)14Aaへの遊技球の入球確率)よりも低い確率で第2非電開閉部材14Bbが開放され得る(第2始動口14Baへの遊技球の入賞が生じ得る)時短1,2(第1遊技状態)を生起可能であり、かつこの時短1,2の後に、当該時短1,2よりも第1非電開閉部材14Abが開放される確率(第1始動口(右)14Aaへの遊技球の入球確率)が低い非時短状態(第2遊技状態)を生じさせ得る。すなわち、時短1,2期間中に獲得した小当たりのストック(第2特図保留記憶部64bに記憶される始動入賞情報)を、時短1,2の終了後の遊技状態で放出する(特図当たり判定に用いる)ことができる。なお、消化優先度の高い第1特図保留記憶部64aに記憶される始動入賞情報に基づく特図当たり判定の判定結果よりも、消化優先度の低い第2特図保留記憶部64bに記憶される始動入賞情報に基づく特図当たり判定の判定結果の方が、小当たりの判定結果(遊技者にとって有利な結果)となり易い設定となっている。ここで、パチンコ遊技機1は、現在時刻を計測可能なRTC124を備えており、時短1,2期間中において、RTCが営業終了間際の予め定めた時刻を計測し、かつ消化優先度の低い第2特図保留記憶部64bに始動入賞情報が記憶されている場合に、当該第2特図保留記憶部64bに記憶されている始動入賞情報に基づく特図当たり判定が実行される機会を早めるための方法を示唆または報知する誘導演出を実行可能である。
【0211】
このように、時短1,2では、第1始動口(右)14Aaへの遊技球の入球確率よりも低い確率で第2始動口14Baへの遊技球の入球が生じ得るので、第1始動口14Aaへの入球を契機として消化優先度の高い第1特図保留記憶部64aに記憶された始動入賞情報に基づく特図当たり判定が優先的に実行され、第2始動口14Baへの入球を契機として消化優先度の低い第2特図保留記憶部64bに記憶された始動入賞情報に基づく特図当たり判定は待機状態とされる。非時短状態になると、第1始動口14Aaへの遊技球の入球確率が低くなるので、消化優先度の高い第1特図保留記憶部64aに記憶された全ての始動入賞情報が特図当たり判定に用いられて、消化優先度の低い第2特図保留記憶部64bに記憶された始動入賞情報に基づく特図当たり判定が行われる。このような遊技性のパチンコ遊技機1において、例えば遊技店の営業時間の終了等によって時短1,2中に遊技が終了すると、消化優先度の低い第2特図保留記憶部64bに記憶された始動入賞情報に基づく特図当たり判定が行われないままとなる虞がある。消化優先度の低い第1特図保留記憶部64aに記憶される始動入賞情報に基づく特図当たり判定の結果の方が、遊技者にとって有利な結果となり易い設定となっているので、遊技者が損をすることになる。そこで、予め定めた時刻(例えば、遊技店の営業時間の終了間際の時刻)となった時点で第1遊技状態の場合に誘導演出を行って、消化優先度の低い第2特図保留記憶部64bの始動入賞情報に基づく特図当たり判定が実行される機会を早めるための方法を示唆または報知することにより、遊技者自身によって速やかに、消化優先度の低い第2特図保留記憶部64bの始動入賞情報に基づく特図当たり判定が実行されるようになり、その特図当たり判定による有利な結果を獲得することができる。
(2)また、誘導演出は、消化優先度の高い第1特図保留記憶部64aにおける始動入賞情報の記憶数を減少させることに応じて特典演出(ポイントやコンサートの映像等)が実行されることを通知する演出である。すなわち、誘導演出では、消化優先度の低い第2特図保留記憶部64bに記憶される始動入賞情報の存在について明確に報知しない。従って、第2特図保留記憶部64bの始動入賞情報の存在に遊技者の意識が向かないようにしながら結果的に、第2特図保留記憶部64bに記憶されている始動入賞情報に基づく特図当たり判定が実行される機会を早めるようにすることができる。
(3)また、遊技球が流下可能な遊技領域3と、遊技領域3に向けて遊技球を打ち出す遊技操作の対象となるハンドル4(遊技操作手段)と、演出内容に変化を与える演出操作の対象となる演出ボタン5(演出操作手段)及び演出レバー6(演出操作手段)とを備え、第2誘導演出(誘導演出)は、両手を用いた演出ボタン5(演出操作手段)及び演出レバー6(演出操作手段)の演出操作を遊技者に促す演出である。第2誘導演出は、両手を用いた演出操作を遊技者に促すだけであり、第2特図保留記憶部64bの始動入賞情報の存在について報知することなく、間接的に、第2特図保留記憶部64bの始動入賞情報に基づく特図当たり判定の実行を早めることができる。
(4)また、第2誘導演出(誘導演出)における演出ボタン5及び演出レバー6の演出操作の残り時間として、第2特図保留記憶部64bに記憶されている全ての始動入賞情報に基づく図柄の変動表示を実行するのに必要な時間(変動時間の合計時間)を表示する。第2誘導演出は、演出ボタン5及び演出レバー6の操作の残り時間を示すだけであり、第2特図保留記憶部64bの始動入賞情報に基づく特図当たり判定が実行されるまでの時間を明確に報知することなく、第2特図保留記憶部64bの始動入賞情報に基づく特図当たり判定が実行されるまでの時間を報知することができる。
【0212】
<他の実施形態>
・前述した実施形態では、誘導演出をスピーカからの音出力により演出するようにしたが、誘導演出を演出表示装置等による表示演出として実行するようにしてもよい。例えば、
図38に示すように、誘導演出としてキャラクタ画像を表示し、そのキャラクタが話しているように吹き出しを表示して、その吹き出しに表示するコメントの内容(ここの保留アイコンがなくなれば・・・)によって、ストックが放出される機会(作動保留となっている第2特図の始動入賞情報に基づく特図当たり判定が実行される機会)を早める方法を示唆または報知する。
・前述した実施形態では、誘導演出の中で、遊技者が行うべき遊技操作の内容を示す条件情報として(「わたしがもういいよというまで両手でボタンとレバーを押さえて!」)を報知するようにしたが、どうなれば特典が付与されるかを示す条件情報として、第1特図の作動保留がなくなればよい旨を報知するようにしてもよい。この場合には例えば、
図38に示すように、条件情報として「ここの保留アイコンがなくなれば、」と表示する等する。また、「ここの保留アイコン」が何を指すかが分かり易いように、第1特図の作動保留を示す保留画像に矢印を付したり、キャラクタが指をさすような画像を表示したりすることができる。
・前述した実施形態では、条件情報に対応する遊技操作を行った場合に遊技者が獲得できる特典内容を示す特典付与予告情報として、「今なら50Ptが手に入るかも!」を報知するようにしたが、条件情報に対応する状況となった場合に遊技者が獲得できる特典内容を示す特典付与予告情報として、演出が付与されることを示す情報を報知するようにしてもよい。この場合には例えば、
図38に示すように、「私たちのライブが始まるよ!」と表示する等することで、ライブ映像等(
図39)が実行されることを報知するようにし、実際に条件情報に対応する状況となった場合には、ストック放出中の時間を利用してライブ映像等の表示を実行するようにすればよい。
【符号の説明】
【0213】
1…パチンコ遊技機、4…ハンドル(遊技操作手段)、5…演出ボタン(演出操作手段)、6…演出レバー(演出操作手段)、10a…第1始動口(左)(契機口、第1の契機口)、14Aa…第1始動口(右)(契機口、第1の契機口)、14Ba…第2始動口(契機口、第2の契機口)、51…第1特別図柄表示器(図柄表示手段)、52…第2特別図柄表示器(図柄表示手段)、61…遊技制御用マイコン(取得手段、判定手段)、64a…第1特図保留記憶部(保留記憶手段)、64b…第2特図保留記憶部(保留記憶手段)、124…RTC(計時手段)。