(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160520
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
H04N1/04 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070937
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 法旦
【テーマコード(参考)】
5C072
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA03
5C072CA02
5C072CA12
5C072EA07
5C072FB08
(57)【要約】
【課題】画像読取装置における照明光源の点灯時間をより精密に(シームレスに)調整できるようにすること。
【解決手段】一ラインごとに原稿を読み取る際の各読取周期における照明手段の点灯期間がN個のサブ点灯期間に分割される場合に、各サブ点灯期間におけるクロック信号の平均周波数とスペクトラム拡散手段により周波数変調されたにおけるクロック信号の平均周波数とが一致するよう、点灯期間を構成するサブ点灯期間の個数Nと、各サブ点灯期間の開始タイミングとが決定される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を点灯させて原稿を照明する照明手段と、
前記照明手段により照明された原稿を読み取る読取手段と、
前記照明手段の点灯時間の基準となるクロック信号を生成する生成手段と、
前記クロック信号の周波数を所定の変調周期で周波数変調するスペクトラム拡散手段と、
前記スペクトラム拡散手段により周波数変調されたクロック信号に基づき前記照明手段と前記読取手段とを制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
一ラインごとに前記原稿を読み取る際の各読取周期における前記照明手段の点灯期間がN個のサブ点灯期間に分割される場合に、各サブ点灯期間における前記クロック信号の平均周波数と前記スペクトラム拡散手段により周波数変調されたクロック信号の平均周波数とが一致するよう、前記点灯期間を構成する前記サブ点灯期間の個数Nと、各サブ点灯期間の開始タイミングとを決定することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記N個のサブ点灯期間のうち1番目のサブ点灯期間の開始タイミングからN番目のサブ点灯期間の点灯終了タイミングまでの時間は、前記変調周期の半周期よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
1つの前記読取周期には、前記1番目のサブ点灯期間の開始タイミングを基準とする前記変調周期の半周期がM個含まれており(M≧N)、
前記N個のサブ点灯期間は、前記M個の半周期のうちのいずれかに含まれており、
前記M個の半周期のうち奇数番目の半周期に適用される点灯パターンと同一の点灯パターンが偶数番目の半周期にも適用され、前記点灯パターンは前記サブ点灯期間の長さを示すものであることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記サブ点灯期間の個数Nは偶数であり、各サブ点灯期間の開始タイミングには一定の周期性がある、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記N個のサブ点灯期間のうち、i番目のサブ点灯期間の開始タイミングと、i+1番目のサブ点灯期間の開始タイミングとの時間差は前記変調周期の半周期に等しいことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記M個の半周期のうち第一の奇数番目の前記半周期に適用される第一点灯パターンが第一の偶数番目の前記半周期にも適用され、
前記M個の半周期のうち第二の奇数番目の前記半周期に適用される第二点灯パターンが第二の偶数番目の前記半周期にも適用される、ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記点灯パターンは、前記半周期内で前記照明手段を複数回にわたり点灯させるパターンである、ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記第一の奇数番目の前記半周期と前記第二の奇数番目の前記半周期とは隣り合っており、
前記第一点灯パターンは、前記第一の奇数番目の前記半周期の全体にわり連続して前記照明手段を点灯させるパターンであり、
前記第二点灯パターンは、前記第二の奇数番目の前記半周期において当該半周期よりも短い時間だけ前記照明手段を点灯させるパターンである、ことを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記第一の偶数番目の前記半周期と、前記第二の偶数番目の前記半周期とが同一の半周期である、ことを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記読取周期と前記変調周期と前記点灯期間とに基づいて前記点灯期間を分割可能かを判定し、
前記点灯期間を分割可能である場合は、前記点灯期間を前記N個のサブ点灯期間に分割し、
前記点灯期間を分割可能でない場合は、前記点灯期間を、前記変調周期の半周期の整数J倍となる別の点灯期間に削減するとともに、前記照明手段の前記光源に供給される駆動電流を第一駆動電流から第二駆動電流へ増加させる、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記整数Jは、前記別の点灯期間が前記点灯期間を超えない、最大の整数であることを特徴とする請求項10に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記点灯期間と前記第一駆動電流との積と、前記別の時間と前記第二駆動電流との積とが等しい、ことを特徴とする請求項10または11に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記読取周期よりも、前記N個のサブ点灯期間のうち1番目のサブ点灯期間の開始タイミングからN番目のサブ点灯期間の点灯終了タイミングまでの時間が長くなる場合、分割不可と判定する、ことを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記照明手段は個別に点灯可能な複数の光源を有し、
前記制御手段は、前記複数の光源それぞれの前記点灯期間について分割可能かを判定し、前記複数の光源の前記点灯期間のうちで最長の前記点灯期間である第一光源の前記点灯期間を分割不可と判定すると、前記最長の前記点灯期間を前記半周期の整数J倍となる別の点灯期間に削減するとともに、前記照明手段の前記光源に供給される駆動電流を前記第一駆動電流から前記第二駆動電流へ増加させ、前記複数の光源のうち前記第一光源と異なる第二光源の前記点灯期間を、前記第一光源の前記点灯期間の削減率と同一の削減率で削減し、前記第二光源の前記削減された前記点灯期間について前記N個のサブ点灯期間に分割することを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記クロック信号の周波数が最大となる位相に前記点灯期間の中心が位置するように当該点灯期間を配置した場合の、前記クロック信号の平均周波数と、前記クロック信号の周波数が最小となる位相に前記点灯期間の中心が位置するように当該点灯期間を配置した場合の、前記クロック信号の平均周波数と、の間の周波数差が許容値を超えている場合に前記点灯期間について前記N個のサブ点灯期間に分割する、ことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項16】
光源を点灯させて原稿を照明する照明手段と、
前記照明手段により照明された原稿を読み取る読取手段と、
前記照明手段の点灯期間の基準となるクロック信号を供給するクロック供給手段と、
前記クロック信号の周波数を所定の変調周期で周波数変調するスペクトラム拡散手段と、
前記スペクトラム拡散手段により周波数変調されたクロック信号に基づき前記照明手段と前記読取手段とを制御する制御手段と、を有する画像読取装置の制御方法であって、
一ラインごとに前記原稿を読み取る際の各読取周期における前記照明手段の前記点灯期間がN個のサブ点灯期間に分割される場合に、各サブ点灯期間における前記クロック信号の平均周波数と前記スペクトラム拡散手段により周波数変調されたクロック信号の平均周波数とが一致するよう、前記点灯期間を構成する前記サブ点灯期間の個数Nと、各サブ点灯期間の開始タイミングとを決定する、ことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイメージセンサーを備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、イメージセンサーの駆動、光源の点灯制御、イメージセンサーから得られるアナログ画像信号のA/D変換、デジタルデータの画像処理部への転送等の一連の処理をクロック信号に同期して行う。画像読取装置の読取速度を高速化するためには、クロック信号の高速化が必要となる。
【0003】
クロック信号を高速化すると放射ノイズが増加する傾向がある。そこで、所定の変調周期でクロック信号を変調し、放射ノイズのピークを低減するSSCGを用いる手法が知られている。SSCGとはSpectrum Spread Clock Generator(スペクトラム拡散クロック発振器)の略称である。しかし、SSCGにより変調をかけられたクロック信号を画像読み取りの光源であるLED(発光ダイオード)の点灯制御に用いると、点灯時間が変動してしまう。点灯時間の変動は画像ムラなどの原因となりうる。
【0004】
特許文献1は、LED点灯時間(光照射時間)を変調周期(周波数拡散周期)の整数倍とすることで、LED点灯時間を一定にすることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の発明ではLEDの点灯時間を変調周期の整数倍でしか調整できない。そこで、本発明は、画像読取装置における光源の点灯時間をより精密に(シームレスに)調整できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記を鑑み、本発明の一態様に係る画像読取装置は、
光源を点灯させて原稿を照明する照明手段と、
前記照明手段により照明された原稿を読み取る読取手段と、
前記照明手段の点灯時間の基準となるクロック信号を生成する生成手段と、
前記クロック信号の周波数を所定の変調周期で周波数変調するスペクトラム拡散手段と、
前記スペクトラム拡散手段により周波数変調されたクロック信号に基づき前記照明手段と前記読取手段とを制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
一ラインごとに前記原稿を読み取る際の各読取周期における前記照明手段の点灯期間がN個のサブ点灯期間に分割される場合に、各サブ点灯期間における前記クロック信号の平均周波数と前記スペクトラム拡散手段により周波数変調されたクロック信号の平均周波数とが一致するよう、前記点灯期間を構成する前記サブ点灯期間の個数Nと、各サブ点灯期間の開始タイミングとを決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像読取装置における照明光源の点灯時間をより精密に(シームレスに)調整できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】クロック信号に関連する主要部の構成を示すブロック図。
【
図3】SSCGによる周波数変動の他のパターンを示す図。
【
図4】点灯時間を分割しない場合の1色分のタイミングチャート。
【
図5】点灯時間を分割する場合の1色分のタイミングチャート。
【
図6】点灯時間の分割の例を示すタイミングチャート。
【
図7】点灯時間の分割の例を示すタイミングチャート。
【
図8】3色分の点灯時間の分割の例を示すタイミングチャート。
【
図9】点灯時間の分割方法を示すタイミングチャート。
【
図10】点灯時間の分割方法を示すフローチャート。
【
図13】点灯時間の分割方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
[第1の実施形態]
<画像読取装置100>
図1は原稿給送装置を備える画像読取装置の構成を概略的に示す部分断面図である。
【0012】
図1において、画像読取装置100は、シート取込装置101を備える。シート積載台(原稿台)1には複数枚のシート(原稿)が積載(載置)可能である。シート積載台1は昇降自在に構成されている。積載台駆動モーター2は、シート積載台1を昇降させる。不図示のHPセンサはシート積載台1がホームポジション(HP)に位置していることを検知する。シートセンサ3は、シート積載台1に積載されたシートがシート取込位置にあることを検知する。シート積載台1に積載されたシートがシート取込位置に無い場合、積載台駆動モーター2が駆動され、シート最上面がシート取込位置に位置するようシート積載台1が移動する。シート積載センサ12は、シート積載台1のシート積載面1aにシートが積載されていることを検知する。規制板51はシートの搬送方向に対して交差する方向に移動自在であり、シートの幅方向の積載位置を規制する。
【0013】
ピックアップローラ4(取り込み手段)は、シート積載台1のシートを取り込んで給送ローラ6へ送り出す。ピックアップモーター(不図示)は、ピックアップローラ4を回転させる。
図1ではシート上面がシート取込位置にあり、ピックアップローラ4を回転させればシートの取り込みが始まる状態である。
【0014】
給送ローラ6は、ピックアップローラ4の下流側に設けられている。給送モーター8は、給送ローラ6を回転駆動して、シートを搬送方向下流側に給送する。給送ローラ6はワンウェイクラッチ(不図示)を介して給送モーター8と連結され、給送モーター8の駆動力は一方向のみ伝達される。給送モーター8により給送を実行するときは給送ローラ6に駆動力が伝達される。しかし、レジストローラ17,18等により給送モーター8による給送速度以上の搬送速度でシートが搬送されるときは、ワンウェイクラッチにより給送モーター8の駆動力が伝達されない。そのため、給送ローラ6はシートの搬送に連れられて従動回転する。給送ローラ6と搬送路を挟んで対向して設けられる分離ローラ7は、シートを搬送方向上流側に押し戻す方向に回転する回転力を不図示のトルクリミッタ(スリップクラッチ)を介して分離モーター9から受ける。給送ローラ6と分離ローラ7との間に1枚のシートが存在するときは、トルクリミッタから分離ローラ7に伝達される回転力は、シートを上流側に押し戻す方向の回転力である。さらに、それとは反対方向の回転力が分離ローラ7に作用する。反対方向の回転力は、給送ローラ6によって下流側に送られるシートと分離ローラ7との間の摩擦力によって発生する。後者の回転力が前者の回転力を上回ることで、分離ローラ7は給送ローラ6に追従して回転する(連れ回りする)。
【0015】
一方、給送ローラ6と分離ローラ7との間に複数枚のシートが存在する場合がある。この場合、分離ローラ7は、シートを上流側に押し戻す方向の回転をローラ軸から受け、最も上のシート以外の残りのシートが下流側に搬送されないようにする。
【0016】
このようにシートを下流側に給送する給送ローラ6の作用と、シートを下流側に搬送されないようにする分離ローラ7の作用とによって、重送が解消される。よって、給送ローラ6と分離ローラ7とは、一対の分離ローラ対42を構成する。分離ローラ対42は、搬送対象の複数のシートを1枚ずつ分離して搬送するためのシート分離部の一例として機能する。
【0017】
分離ローラ7によるシートの分離力は変更自在である。分離モーター9を回転させずに保持するだけでもシートを分離できる。分離ローラ7がシートを上流側へ戻す方向へ回転するよう分離モーター9を駆動することでさらに強い分離力が得られる。
【0018】
本実施形態では、分離ローラ対42が採用さているが、これは一例にすぎない。分離ローラ対42の代わりに分離ローラと給送ローラのどちらか一方をベルトにした、分離ベルトローラ対が採用されてもよい。分離ローラを分離パッドに置き換え、分離パッドがシートに当接することで下流側へ複数枚のシートが搬送されることを防いでもよい。
【0019】
分離されたシートが通過する位置に重送センサ30を設けることで、シート分離部によってシートが一枚ずつに分離できているかが検知されてもよい。重送センサ30として超音波の送受信部を備えた検知装置が用いられてもよい。この場合、搬送路を跨いだ送信部と受信部との間における超音波の減衰量によって重送が検知される。
【0020】
搬送モーター10は、レジストローラ18、搬送ローラ21,23を駆動する。レジストローラ18、搬送ローラ21,23は、シート分離後のシートを、画像読取位置まで搬送し、更に排出位置まで搬送する。画像読取装置において、画像読取センサ14,15(画像読取部)によってシート(原稿)の画像が読み取られる。レジストローラ18、搬送ローラ21,23はそれぞれ対向側にレジストローラ17、搬送ローラ20,22を有し、これらは従動する。搬送モーター10は、シートの読み取りに最適な速度や、シートの解像度等の設定に応じてシートの搬送速度を変更できるよう各ローラを駆動する。なお、レジストクラッチ19は、搬送モーター10の回転駆動力をレジストローラ18(原稿搬送部)に伝達、又は当該伝達を遮断することにより、レジストローラ18を駆動し、又はその駆動を停止する。
【0021】
ニップ隙間調整モーター11は、給送ローラ6と分離ローラ7との隙間、または分離ローラ7に対してシートを介して給送ローラ6が圧接する圧接力を調整する。これにより、シートの厚みに適合した隙間、または圧接力が調整され、シートを分離することができる。
【0022】
搬送ローラ20,21で構成される搬送ローラ対、搬送ローラ22,23で構成される搬送ローラ対、及び
図1が示すさらに下流側のローラ対は、排出積載部44にシートを搬送する。上ガイド板40と下ガイド板41との2つのガイド板は、分離ローラ対42、レジストローラ対、各搬送ローラ対及び下流側のローラ対により搬送されるシートを案内する。
【0023】
画像読取装置100は、装置全体の動作を制御する制御基板45を備えており、各アクチュエータの駆動や画像読取センサ14,15の制御を担う。
【0024】
<信号系統と動作>
図2を元に制御基板45と画像読取センサ14,15の信号系統と動作について説明する。まず制御基板45について説明する。クロック生成部60では画像読取装置100すべての制御の基準となるクロック信号を生成する。クロック生成部60は例えば水晶発振子と、水晶発振子を発振させてクロック信号を出力する発振駆動回路とで構成される。クロック生成部60で生成されたクロック信号がSSCG61に入力されると、既定の変調周期と変動率で変調され、スペクトラム拡散された変調クロック信号が生成される。スペクトラム拡散は、入力信号に対して入力信号の周期よりも短い周期(チップ周期)のチップ信号を乗算することで実現され、これは一種の周波数変調である。変調クロック信号はPLL回路62に入力され、後段で必要とされる周波数のクロック信号が生成される。PLL回路62へ入力されるクロック信号がSSCG61により変調されているため、PLL回路62を通した出力クロック信号にも同じ変調周期、同じ変動率で変調がかかったままになる。
【0025】
PLL回路62で生成されたクロック信号は制御部46、CISクロック生成部63、ライン同期信号生成部64、および画像処理部65に入力され、それぞれの動作の基準クロックとなる。CISはコンタクトイメージセンサの略称である。
【0026】
CISクロック生成部63は、画像読取センサ14,15が動作するための基準となるCISクロック信号を生成する。ライン同期信号生成部64は画像読取センサ14,15が1ラインを読み取るタイミングの基準となるライン同期信号SPを生成する。ライン同期信号SPは一色あたりの同期信号である。原稿の一ラインを読み取るためのライン同期信号はHSYNCと呼ばれる。つまり、1つのライン同期信号HSYNCが出力されると、3つのライン同期信号SPが出力されることになる。制御部46は、各部への設定、動作指示、および各種計算等を行う。制御部46は、たとえば、プロセッサ(例:CPU)と、プログラムを記憶したメモリ(ROMおよびRAM)を含む。CPUは中央演算処理装置の略称である。ROMはリードオンリーメモリの略称である。RAMはランダムアクセスメモリの略称である。制御部46は、CISクロック生成部63に対して、CISクロック信号の周期を設定し、出力開始/停止の指示を行う。制御部46は、ライン同期信号生成部64に対して、1ラインの画像読取の周期を設定し、ライン同期信号SPの出力開始/停止の指示を行う。
【0027】
次に画像読取センサ14,15について説明する。タイミング信号生成部71は、CISクロック生成部63が出力するCISクロックに同期して動作する。タイミング信号生成部71は、ライン同期信号生成部64が出力するライン同期信号SPに同期して1ライン読取のための各種のタイミング信号を出力する。タイミング信号生成部71はLED駆動部78に対し、LED73の各光源に流す電流値と、各光源の点灯/消灯タイミングを制御する信号と、を出力する。電流値と1ラインのなかでの各光源の点灯/消灯タイミングは制御部46により予め決定されて、タイミング信号生成部71に対して設定される。タイミング信号生成部71は、ライン同期信号SPが出力される度に予め設定された各タイミングで、制御信号を出力する。タイミング信号生成部71が出力する各タイミング信号は、ライン同期信号生成部64からのライン同期信号SPを基準としてCISクロックを最小単位として設定されたクロック数のタイミングにおいてHigh/Lowに遷移させて出力される。
【0028】
LED駆動部78は、タイミング信号生成部71から出力された制御信号に応じてLED73を駆動する。点灯タイミングになると、LED駆動部78は、予め設定された電流値で光源に電流を流して、光源を点灯する。消灯タイミングになると、LED駆動部78は、光源への電流の供給を停止して、光源を消灯する。電流値は、原則として、全光源に対し共通の値である。LED73は3色のLED光源を有している。LED_R74は赤色、LED_G75は緑色、LED_B76は青色の各色の光をそれぞれ独立して照射する。
【0029】
受光部77は、主走査方向と平行な1ライン分の画像を読み取るための複数の受光素子を有し、各LED光源による光の照射の度に光電変換を行う。さらに、受光部77は、タイミング信号生成部71からの信号に同期して一つ前のタイミングで読み取ったラインの光電変換による電圧をアナログ画像信号としてA/D変換部72へ出力する。A/D変換部72はタイミング信号生成部71からの信号に同期して受光部77からのアナログ画像信号をA/D変換してデジタル画像データに変換し、画像処理部65に出力する。画像処理部65はデジタル画像データに対し各種画像処理(画像の切り出しや画像圧縮など)を施し、出力画像を生成する。
【0030】
SSCG61の変調周期は所定の固定値に決まっている。SSCG61は常に一定の変調周期で入力クロック信号を変調する。本実施形態でSSCG61は三角波の形状となるように入力クロック信号を変調する。これは、クロック信号の周波数が半周期ごとに傾きを変えながら変化することを意味する。
【0031】
図3(a)から
図3(c)は、スペクトラム拡散変調されたクロック信号の周波数を示す。縦軸は周波数、横軸は時間である。SSCG61の変調周期はTsscである。
【0032】
図3(a)のように三角波の1周期はTsscであり、Tssc/2ごとに周波数が最小と最大とを繰り返す。
図3(a)では、最大周波数がSSCG61のクロック源の周波数f0であり、その周波数以下で出力クロック信号の周波数が変動する(ダウンスプレッド)方式が採用されている。ただし、出力クロック信号の周波数が周期的に変動し、半周期ごとに最小と最大を繰り返す変調方式であれば他の変調方式が採用されてもよい。例えば、
図3(b)のようにクロック源の周波数f0が周波数変動の中央となり、クロック源の周波数f0の上下に変動する(センタースプレッド)方式が採用されてもよい。また、必ずしも三角波ではなくてもよい。例えば
図3(c)のように正弦波のように出力クロック信号が変化する変調方式が採用されてもよい。
【0033】
<LED点灯におけるSSCGの影響>
SSCG61による変調がかかったクロック信号を基準にLEDの点灯/消灯タイミングが決まる。よって点灯期間の長さがあるクロック数で設定されていたとしても、SSCG61の変調周期と点灯期間とのタイミングによって実際の点灯時間が変動する。
【0034】
そこで、LEDをある時間連続して1回点灯させた場合、SSCG61で変調されたクロック信号を元に点灯するLEDの点灯時間がどのような影響を受けるか、
図4を元に説明する。
【0035】
図4(a)から
図4(h)はライン同期信号SPの立ち上がりタイミング(点灯開始タイミング)に対して変調のタイミングが1/8周期ずつ異なる場合の、クロック信号の周波数fの平均周波数fa(黒丸のプロット)を示す。横軸は時間である。ここで、平均周波数faとは、LEDの点灯時間tgにおけるクロック信号の平均周波数である。
【0036】
図4において、クロック周波数fはタイミング信号生成部71に入力されるCISクロックの周波数であり、SSCG61の変調周期Tsscを繰り返し周期として、変動する。クロック周波数fのグラフにある横軸の点線は、変調周期Tsscにおける平均周波数を示す。変調周期TsscはCISクロックの数で表される。Tssc/2に相当するクロック数にわたり、周波数変動幅の最大から最小まで、クロック周波数fが減少する。その後、Tssc/2に相当するクロック数にわたり、クロック周波数fが最小から最大まで増加する。
【0037】
すでに説明したように、ライン同期信号SPはタイミング信号生成部71で生成される1色ごとのライン同期信号である。ライン同期信号SPは受光部77へ入力され、1色分のアナログ画像信号の転送と光電変換開始の基準となる。あるライン同期信号SPと次のライン同期信号SPとの間で1色分のLEDが点灯する。これにより、受光部77では1色分の光電変換が実行される。LED_GはLED_G75の点灯/消灯タイミングを示す。Tgは点灯期間点灯時間Tgであり、この期間を点灯期間と呼ぶ。なお、点灯期間とは、LEDが点灯を開始するタイミングから消灯するタイミングまでの期間をいう。点灯時間とは、点灯期間の時間的な長さをいう。但し、点灯時間Tgの長さはCISクロック数で表される。ここでは説明を簡単にするためTssc/2=Tgと設定されている。
【0038】
CISクロックのSSCG61による変調とLEDの点灯タイミングとは非同期である。そのため、点灯開始時のCISクロックのクロック周波数fはSSCG61の変動率の範囲でばらつく。
図4(a)では、LEDの点灯開始時にクロック周波数fが最も高く、消灯時にクロック周波数fが最も低い。この点灯期間におけるクロック周波数fの平均値は周波数変動幅の中間となる。
【0039】
図4(a)で黒丸がプロットされている場所はLEDの点灯期間の中間であり、点灯期間における平均周波数faを意味する。平均周波数faはクロック周波数fの変調周期Tsscの期間内での平均値f0と同じになっている。しかし、LEDの点灯開始と終了が
図4(a)以外のタイミングとなる場合もある。
【0040】
図4(b)ではLEDの点灯開始タイミングがクロックに対して1/8周期だけ進んでいるケースを示している。この場合のLEDの点灯期間におけるクロック周波数fの平均周波数faは、変調周期の期間内での平均値f0よりも低くなる。同様に、LEDの点灯開始タイミングがクロックに対して1/8周期ずつ進んだ
図4(c)~(h)も見ていくと、LEDの点灯期間におけるクロック周波数fの平均値faはそれぞれ異なっている。つまり、LEDの点灯時間Tgはすべて同じクロック数により定義されるが、クロック信号の変調周期の位相によって、実際の点灯時間は異なってしまうことが分かる。
【0041】
<LED点灯期間の分割>
図5(a)から
図5(h)はLEDの点灯期間をN個のサブ点灯期間に分割し、N個のサブ点灯期間からなる点灯期間全体でのクロック周波数fの平均値を常に一定する手法を示している。この例では、Nを偶数とし、以下の説明においてはN=2とする。したがって、サブ点灯期間の長さ(サブ点灯時間)の合計は点灯時間Tgに一致する。つまり、LEDは、それぞれ長さがTg/NであるN個のサブ点灯期間において、点灯する。一つ目のサブ点灯期間の開始タイミングと二つ目のサブ点灯期間の開始タイミングとの時間差(間隔)はTssc/Nである。クロック周波数fのグラフにプロットされている白丸は各サブ点灯期間におけるクロック周波数fの平均値を示す。黒丸は全点灯時間Tgdにおけるクロック周波数fの平均値を示す。
【0042】
図5(a)では1回目のサブ点灯期間はクロック周波数fが最大のときに開始され、クロック周波数fが中間(この例では平均値f0)のときに終了する。そのため、1回目のサブ点灯期間の平均周波数fa
1は変調周期における平均値f0よりも高くなる。2回目のサブ点灯期間はクロック周波数fが最小のときに開始され、クロック周波数fが中間のときに終了する。そのため、2回目のサブ点灯期間の平均周波数fa
2は変調周期における平均値f0よりも低くなる。1回目と2回目のサブ点灯期間は変調周期の半周期ほどずれている。そのため、1回目のサブ点灯期間におけるクロック周波数fの平均値fa
1が高くても2回目のサブ点灯期間の平均値fa
2は低くなる。よって、2つの平均値をさらに平均した平均周波数faを算出すると、二つの平均値の差が相殺されて、変調周期Tsscにおけるクロック周波数fの平均値f0に一致する。
【0043】
図5(b)~
図5(h)では1番目のサブ点灯期間の開始タイミングが変調周期の1/8ずつ進められている。しかし、どのタイミングでも全点灯時間Tgdにおけるクロック周波数fの平均値faは同じ値になっている。つまり、LEDの実際の点灯時間の合計は同じ時間になることが分かる。
【0044】
このように、1回目の点灯開始を基準としてそこからの期間が変調周期の半周期Tssc/2ずつの期間に対応して分割される。つまり、N個に分割された点灯期間(以下、区間と称される)が、N/2個ずつ、奇数番目の半周期Tssc/2と偶数番目の半周期Tssc/2とのいずれかの期間に割り当てられる。ただし、奇数番目の半周期Tssc/2周期におけるi(iはN以下の自然数)番目の区間に割り当てられる点灯パターンと、それに対応する偶数番目の半周期Tssc/2におけるi番目の区間に割り当てられる点灯パターンとは一致する。点灯パターンが一致するとは、奇数番目の半周期Tssc/2のi番目の区間における点灯期間におけるクロック数の合計と、偶数番目の半周期Tssc/2のi番目の区間における点灯期間におけるクロック数の合計とが一致し、かつ、それぞれの半周期Tssc/2周期内における点灯開始タイミングが一致することをいう。
図5(a)から
図5(h)では区間の開始と点灯開始とが一致している。これにより、SSCG61によるクロック周波数fの変動の影響が相殺され、変調による点灯時間の変動が削減される。なお、点灯状態にある期間(点灯期間)の合計は分割前と後とで同じになる。そのため、受光部77での受光量を変えることなく、周波数変動の影響を低減することができる。Tssc/2周期に分割された変調周期の奇数番目と偶数番目の期間におけるi番目の区間をペアにする理由は、それらの周波数の変動特性とが逆になっているからである。つまり、これらの区間をペアにすることで、周波数の変動が相殺される。
【0045】
<LED点灯期間の分割方法>
図5では、
図4での点灯時間TgがそれぞれTg/2ずつの二つのサブ点灯時間に分割されている。サブ点灯時間はサブ点灯期間の時間的な長さをいう。各サブ点灯期間の開始タイミングは変調周期の半周期であるTssc/2だけ離れている。1回目の点灯開始から最後の点灯終了までの長さTgdは少なくともTssc/2より長くなる。
【0046】
図4のTgは、点灯期間を分割する前の1回の点灯における点灯開始から点灯終了までの期間を表す。一方で
図5において、点灯期間Tgを分割した後の複数のサブ点灯期間のうち、1回目のサブ点灯期間の開始から最後のサブ点灯期間の終了までの期間はTgdと定義される。
図5では点灯期間が二つのサブ点灯期間に分割されている。そのため、Tgdは1番目のサブ点灯期間の開始から2番目のサブ点灯期間の終了までである。
【0047】
図5においてTgdの最小値は以下のように求められる。点灯期間Tgの中に入るSSCG61の変調周期の数をnとすると、nは次式で求められる。
【0048】
n=ceil(Tg/Tssc)・・・・(1)
ここで、ceil()は最も近い整数に切り上げる関数である。
図4においてTgとTsscとの関係を見るとn=1になる。Tgdは次式で求められる。
【0049】
Tgd=(n-1/2)×Tssc+Tg/(2×n)・・・・(2)
式2にn=1を代入すると、
Tgd=Tssc/2+Tg/2・・・・(3)
となり、
図5と一致する。
【0050】
他の例として、Tssc<Tg≦2×Tsscとなるような場合には、n=2となり、Tgd=3×Tssc/2+Tg/4となる。つまり、TgとTsscとの大小関係によってTgdの大きさが異なる。後述するように、サブ点灯期間における点灯パターンが対となり、周波数変動の影響が相殺されるように分割したサブ点灯期間を確保することができれば、いかなる方法でも構わない。
【0051】
式2でTg、Tgdは緑色のLEDのパラメータを示す。式1と式2におけるTg、Tgdを、赤色ではTr、Trd、青色ではTb、Tbdと置換することで、赤色と青色についても同様の式が得られる。
【0052】
式2ではTgdが最小となる期間が求められているが、必ずしも最小である必要はない。
図6が示すように四つの半周期の区間にそれぞれTg/4のサブ点灯時間が配置されてもよい。つまり、元の点灯時間Tgは4つに分割(分配)されている。
【0053】
図6ではあるライン同期信号SPから次のライン同期信号SPまでの期間が1色のラインのための読取期間Tspと定義されている。
図6の事例では一つの読取期間Tspの中に約2.5個の変調周期Tsscが含まれる。つまり、
図5よりも長い期間に渡ってLED点灯期間が分配されてもよい。
【0054】
図6(a)では、隣り合った二つのサブ点灯期間の開始タイミングがTssc/2離れている。このように分割数は必ずしも2回ではなく4回など偶数であればよい。
【0055】
図6(b)では一つの半周期区間に二つのサブ点灯期間が配置されている。1番目のサブ点灯期間の開始タイミングと3番目のサブ点灯期間の開始タイミングとの間隔はTssc/2である。ただし、隣り合った二つのサブ点灯期間の開始タイミングはTssc/4である。このように一つの半周期区間において複数のサブ点灯期間が配置されてもよい。
【0056】
図5、
図6では元の点灯時間がそれぞれ同じ長さの偶数個のサブ点灯時間に分割されている。つまり、偶数個のサブ点灯期間が設けられる。さらに、各サブ点灯期間の開始タイミングが均等に離されている。しかし、これは必須ではない。
【0057】
図7では種々の分割方法が示されている。
図7(a)では分割数は2であるが、
図5よりも長い間隔が採用されている。1番目のサブ点灯期間の開始タイミングを基準として、それぞれTssc/2の長さの複数の区間(半周期区間)が設けられる。各区間に番号を付した場合、ある点灯パターンを奇数番目の区間に設定されると、同じ点灯パターンが偶数番目の区間に設定される。
図7(a)では奇数番目である1番目の区間にパターンAが設定している。そのため、偶数番目である4番目にも同じパターンAが設定されている。これにより周波数変動が相殺される。
【0058】
図7(b)のように2つの異なるパターンが組み合わせられてもよい。1番目の区間にはパターンAが、2番目の区間にはパターンBが割り当てられる。さらに、1番目の区間に対応する偶数番目として4番目の区間にパターンAが、2番目の区間に対応する奇数番目として3番目の区間にパターンBが割り当てられている。
【0059】
図7(c)のように連続する二つの区間で点灯が連続してもよい。パターンAは、区間の開始タイミングから点灯を開始し、一度消灯し、再び点灯し、区間の最後まで点灯を継続する点灯パターンである。このパターンAを1番目の区間と2番目の区間とに割り当てた場合、1番目の区間の終了タイミングと2番目の区間の開始タイミングとで点灯状態が連続する。この場合でも偶数番目と奇数番目に同一のパターンAが当てられているため、上述の効果が奏される。
【0060】
図7(d)に示されるパターンAのように区間の開始から終了まで点灯状態が継続してもよい。このパターンAが奇数番目(1番目)と偶数番目(4番目)に割り当てられ、パターンBが別の偶数番目と奇数番目のペアに割り当てられている。
【0061】
図7(e)のように同一の半周期に複数の点灯パターンが割り当てられてもよい。奇数番目である1番目の区間にはパターンAが、別の奇数番目である3番目の区間にはパターンBが割り当てられている。さらに。このパターンAとパターンBを組み合わせたパターンA+Bが偶数番目である2番目に割り当てられている。
【0062】
<1ライン全体のタイミングチャート>
図8は3色のLEDを用いた1ラインの点灯制御を示す。
図8でHSYNCはライン同期信号生成部64で生成されるライン同期信号(主走査同期信号)であり、タイミング信号生成部71に出力される。HSYNCの周期はThである。HSYNCを1回出力する毎に3色分の画像が読み取られる。そのため、タイミング信号生成部71は1色分のライン同期信号SPを3回にわたり、Tsp間隔で出力する。Tspはライン同期信号SPの間隔であり、クロック数で表される。Thは、シートの搬送速度と読取解像度に応じて予め決定される。また、TspはThを3等分した値として決定される。
【0063】
HSYNCに対する1番目のライン同期信号SPを基準としてLED_G75が点灯する。分割前の点灯時間Tgが2つに均等に分割される。各サブ点灯期間の長さ(点灯時間)はTg/2とする。2番目のサブ点灯期間の開始タイミングは、1番目のサブ点灯期間の開始タイミングからTssc/2だけずらす。LED_G75の点灯が終了し、1つ目のTsp期間が終了すると、次のライン同期信号SPが発出される。
図8が示すように、LED_B76についてもLED_G75と同様に点灯時間と点灯タイミングとが制御される。さらにLED_R74も同様に制御される。LED_G75のTg,TgdはLED_BではTb,Tbd、LED_RではTr,Trdと表記される。3色分の点灯制御を終えると、1ライン分の読み取り制御が完了する。そして、次のHSYNCが出力される。以下同様に繰り返される。
【0064】
<電流変更を含む点灯期間の分割>
次に分割前の点灯期間がTspに対して多くの割合を占める場合、点灯期間を分割できない場合がある。
図9(a)は分割前の点灯期間を示している。3色の点灯期間のうちLED_Gの点灯期間が最も長く、LED_Rの点灯期間が最も短い。3色のなかで点灯期間が最も長いLED_Gの点灯期間が分割可能かどうかを制御部46が判定する。式2により、Tgを用いてTgdを求めると、Tgd>Tspとなり、必要な点灯期間を確保できないことがわかる。そこで、LEDに流す電流値を増加させ、替わりに点灯時間を元の点灯時間Tgよりも短くし、点灯期間がTspに収まるようにする。LEDの光量は電流値に比例する。そのため、分割の前後でLEDの電流値と点灯期間との積が同一であればよい。LEDの点灯時間は、元の点灯時間Tgよりも短く、かつ、変調周期Tsscの倍数のうちで最も長い時間に決定される。
【0065】
図9(b)が示すように、LED_Gの点灯期間がTsscの1倍の長さに決定される。これは、元の点灯時間Tgの2/3に相当する。それに合わせて電流値をその逆数の3/2倍にする。つまり、元の電流値が20mAの場合、新しい電流値は20×3/2=30mAになる。他の2色であるLED_BとLED_Rに対しても、LED_Gの点灯時間の削減率である2/3と、電流値の増加率である3/2とがそのまま適用される。すると
図9(b)のように電流値は3色とも30mAになり、点灯時間は元の2/3になる。
【0066】
図9(b)の状態では、LED_Gの点灯時間がTsscの倍数となっており、SSCG61による周波数変動の影響を受けない。しかし、LED_BとLED_Rの点灯期間は周波数変動の影響を受ける。そのため、LED_BとLED_Rに対しては上述の点灯期間の分割処理が適用される。
【0067】
3色のうちで最も点灯時間が長いLED_Gの点灯時間はTsscに一致しているが、他の2色の点灯時間はそれよりも短くなっている。そのため、LED_BとLED_Rの点灯期間および点灯時間は必ず分割可能である。よって上述の分割方法で点灯期間を分割すると
図9(c)のようになる。これにより、LED_BとLED_Rの点灯期間も周波数変動の影響を受けにくくなる。
【0068】
<点灯タイミングの決定方法>
図10は制御部46が実行する点灯タイミングの決定方法を示すフローチャートである。
【0069】
S1001で制御部46は、読取解像度に応じたシートの搬送速度に基づきThとTspを決定する。たとえば、制御部46内のROMに、搬送速度に紐づけられたThとTspとのペアを保持するテーブルが記憶されていてもよい。制御部46は当該テーブルを参照し、搬送速度からThとTspとを決定する。
【0070】
S1002で制御部46は、点灯時間Tg,Tb,Trを決定する。制御部46のRAMには、事前に行われる画像読取センサ14,15による各色の光量調整の結果である、点灯時間Tg,Tb,Trが記憶されていてもよい。制御部46はRAMから点灯時間Tg,Tb,Trを取得する。良く知られているように、画像読取装置では自動光量調整が実行される。自動光量調整では目標の受光量を達成可能な点灯時間が決定される。
【0071】
S1003で制御部46は、点灯時間Tg,Tb,Trに基づきそれぞれ対応する分割点灯期間Tgd,Tbd,Trdを決定する。
【0072】
S1004で制御部46は、点灯時間TgdがTsp以下であるかどうかを判定する。つまり、制御部46は点灯時間Tgが分割可能かどうかを判定する。点灯時間TgdがTsp以下であれば、Tgは分割可能であるため、制御部46はS1005に進む。S1005で制御部46はTgが分割可能であることをRAMに記憶する。一方で、点灯時間TgdがTspを超えていれば、Tgは分割不可能であるため、制御部46はS1006に進む。S1006で制御部46はTgが分割不可能であることをRAMに記憶する。
【0073】
S1007で制御部46は、点灯時間TbdがTsp以下であるかどうかを判定する。つまり、制御部46は点灯時間Tbが分割可能かどうかを判定する。点灯時間TbdがTsp以下であれば、Tbは分割可能であるため、制御部46はS1008に進む。S1008で制御部46はTbが分割可能であることをRAMに記憶する。一方で、点灯時間TbdがTspを超えていれば、Tbは分割不可能であるため、制御部46はS1009に進む。S1009で制御部46はTbが分割不可能であることをRAMに記憶する。
【0074】
S1010で制御部46は、点灯時間TrdがTsp以下であるかどうかを判定する。つまり、制御部46は点灯時間Trが分割可能かどうかを判定する。点灯時間TrdがTsp以下であれば、Trは分割可能であるため、制御部46はS1011に進む。S1011で制御部46はTrが分割可能であることをRAMに記憶する。一方で、点灯時間TrdがTspを超えていれば、Trは分割不可能であるため、制御部46はS1012に進む。S1012で制御部46はTrが分割不可能であることをRAMに記憶する。
【0075】
S1013で制御部46はRAMに記憶した判定結果に基づき3色とも点灯時間を分割が可能を判定する。3色とも点灯時間を分割可能であれば、制御部46はS1014に進む。S1014で制御部46は、3色のそれぞれについて分割タイミングを決定する。これにより、点灯時間Tg、Tb、Trの分割数、どの区間にどの点灯パターンを割り当てるかが決定される。具体的な分割手法はすでに説明された通りである。一方、S1013で1色でも分割不可の点灯時間が存在すると判定した場合、制御部46はS1015に進む。
【0076】
S1015で制御部46は、3つの点灯時間Tg,Tr,Tbのうちで最長の点灯時間を決定し、最長の点灯時間を削減する。この時の削減率をXとする。例えば3色のうちTgが最長である場合、上述した例と同様に、Tgよりも短く、かつ、変調周期Tsscの倍数のうち最も長い期間となるように、新たな点灯時間が決定される。
【0077】
S1016で制御部46は、LEDの電流値を増加する。上述したように、元の電流値に対して1/Xを乗算することで、新しい電流値が決定される。ここでは、3色とも同じ電流値であると仮定されている。
【0078】
S1017で制御部46は、他の2色の点灯時間を変更する。上述したように、他の2色の元の点灯時間に対して削減率Xが乗算される。
【0079】
S1018で制御部46は、他の2色について分割タイミングを決定する。上述した分割手法にしたがって、点灯時間の分割数、どの区間にどの点灯パターンを割り当てるかが決定される。
【0080】
S1019で制御部46は3色分の分割タイミングをタイミング信号生成部71に対して設定する。
【0081】
本実施形態ではLED駆動部78はLED73の全光源に対して共通の電流値を設定しているが、これは一例にすぎない。LED駆動部78は各光源に対し個別に異なる電流値を設定してもよい。そして、電流値を変更しなくても点灯期間を分割可能な色については電流値を変更しなくてもよい。たとえば、
図9(a)に示された事例では、LED_Rの点灯時点Trは分割可能であるため、電流値は20mAに維持されてもよい。
【0082】
本実施形態では3色のLEDに対し1ラインの受光素子を用い、1色ずつ順次読み取る1ラインセンサによるカラー読み取りが説明されたが、これは一例にすぎない。例えば、3ラインの受光素子を用いて3色同時に読み取る3ラインセンサによるカラー読み取りが採用されてもよい。3ラインセンサでは3色同時に光源が点灯可能であるが、色ごとに点灯時間を設定できる点は1ラインセンサと同じである。また、1ラインセンサでグレー読み取りをする場合でも同様である。グレー読み取りは1色のみの点灯、または、3色同時点灯で実現可能であるが、これも点灯する色ごとに点灯時間を設定できる点は同じである。
【0083】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る画像読取装置について説明する。なお、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略し、主に第1の実施形態との相違点について説明する。
【0084】
第1の実施形態では点灯時間TgとSSCG61の変調周期Tsscとの関係を考慮せずに点灯時間Tgが分割されている。これは、一般に、点灯時間Tgに対して変調周期Tsscが長いことが想定されているからである。しかし、点灯時間Tgに対して変調周期Tsscが短い場合もある。この場合、SSCG61によるCISクロックの周波数変動に起因した実際の点灯時間の変動が無視できる程度に小さいこともある。この場合、点灯時間の分割は必要ない。そこで、第2の実施形態では、SSCG61によるクロック周波数の変動が許容できるかどうかを判断し、許容できない場合に分割点灯を行う。
【0085】
<分割点灯の要否判断>
制御部46は、LEDの点灯期間におけるクロック周波数fの平均値faと、変調周期Tsscにおけるクロック周波数fの平均値f0との差が大きければ、分割点灯が必要と判断する。
【0086】
図11ではLED_Gを点灯時間Tgだけ点灯することを考える。点灯時間Tgが変調周期Tsscよりも短い例として、Tg=Tssc/2であることが仮定されている。
図11(a)のように点灯時間Tgの中間となる位相をクロック周波数fが最大値となる位相に重ねた場合、点灯期間におけるクロック周波数の平均値faは最小周波数fminから変動幅dの3/4だけ上の周波数となる(fa
3=fmin + d×3/4)。つまり、平均値faは図の黒丸位置の周波数になる。例えば変動幅dが1%で、最大周波数が10MHzの場合、最小周波数fminは9.9MHzとなる。この場合の変動幅dの3/4の位置は-0.25%となり、平均周波数faは9.975MHzとなる。
【0087】
同様に、クロック周波数の平均値faが最小値となるのは、上記の場合との対称性から、点灯時間Tgの中間となる位相をクロック周波数fが最小値となる位相に重ねた場合である。この場合、クロック周波数の平均値fa4は、fa4=fmin + d×1/4=9.925Hzとなる。
【0088】
この時、変調周期におけるクロック周波数の平均値f0と点灯期間におけるクロック周波数の平均周波数faとの差は比較的大きくなる。点灯期間におけるクロック周波数の平均周波数faの変動率dp(|fa3-fa4| = |fmin + d×3/4 - (fmin + d×1/4)| = d×1/2)は0.5%となる。
【0089】
一方で、
図11(b)のようにTg=Tssc×3/4である場合を考える。この場合、上記と同様に計算すると、点灯期間におけるクロック周波数の平均周波数faの変動幅dpはd×1/4となる。変動幅dを1%とすれば変動率dp=0.25%となる。このように、TgがTsscに近づくと点灯期間におけるクロック周波数の変動率dpは0に近づいていき、Tg=Tsscのときにdp=0となる。
【0090】
以上のことから、決定された点灯時間Tgに対し、変動率dpが予め設定された閾値以上の場合、LEDの分割点灯が実行される。変動率dpが閾値未満である場合、LEDの分割点灯が実行されない。例えば、閾値を0.3%に設定すると、
図11(a)では変動率dpが0.5%であるため、分割点灯が必要となる。
図11(b)では変動率dpが0.25%であるため、分割点灯不要となる。
【0091】
同様に、点灯時間Tgが変調周期Tsscよりも長く、決定された点灯時間Tgに対し、変動率dpが予め設定された閾値以上の場合、LEDの分割点灯が実行される。一方、変動率dpが閾値未満である場合、LEDの分割点灯が実行されない。
【0092】
さらに、点灯時間Tgが変調周期Tsscよりも長い場合、変動率dpがあまり低下しないことがある。以下にその一例を説明する。
【0093】
図12はLED_Gの点灯時間Tgが変調周期Tsscよりも長い例が示されている。ここでは、Tg=Tssc×1.5であることが仮定されている。
図12のようにTgの中間となる位相がクロック周波数fの最大値fmaxとなる位相に重ねられる場合、点灯期間におけるクロック周波数の平均値faは最小値fminから変動幅dの5/12だけ上の周波数となる(fa
5=fmin + d×5/12)。これは-0.583%の位置に相当する。
【0094】
同様に、その対称性から、点灯時間Tgの中間となる位相をクロック周波数fの最小値fminとなる位相に重ねると、点灯期間におけるクロック周波数fの平均値faは、最小値fminから変動幅dの7/12だけ上の周波数となる(fa6=fmin + d×7/12)。これは、-0.417%の位置に相当する。これらの範囲で実際の点灯時間が変動し、その変動率dp(|fa5-fa6|=d×1/6)は、変動幅dを1%とすると0.166%となる。
【0095】
Tssc<Tgの範囲においては、Tg=Tssc×1.5のときに変動幅dpが最大となるが、これは一例として上述した閾値0.3%に比べても小さい。従って、Tssc<Tgとなる場合には、変動率dpを算出せずとも分割点灯が不要であると判定してもよい。
【0096】
一般に、nを自然数として、n×Tssc=Tgとなる場合に変動率dpが0%となる。n×Tssc<Tg<(n+1)×Tsscとなる範囲においては、nが大きくなればなる程、変動率dpは小さくなる。従って、予め設定された閾値が0.1%など、上述したより小さい値である場合に、Tgが満たすnを算出することによって、閾値が下回るかどうか、あるいはそれに対応した条件を満たすと判断して、分割点灯するかしないかを判断してもよい。
【0097】
まとめると、TgとTsscとの大小関係に関わらず、点灯期間におけるクロック周波数の平均周波数faの変動率dpによって分割点灯するかどうかを判断してよい。その場合、Tg=n×Tsscであるかどうかで分割点灯するかどうかを判断してもよい。また、n×Tssc<Tg<(n+1)×Tsscのとき、予め決められた閾値に対し、点灯時間Tgが満たすべきnを予め決めておき、閾値に対してTgがn×Tssc<Tgを満たすかどうかに基づいて分割点灯するかどうかを判断してもよい。
【0098】
<点灯タイミングの決定方法>
第2の実施形態におけるLED分割点灯タイミングの決定処理のフローについて
図13を元に説明する。
図13において
図10と共通する処理には同一の参照符号が付与されており、その説明は援用される。
【0099】
制御部46はS1001とS1002とを実行した後に、S1301に進む。
【0100】
S1301で制御部46は、Tg,Tb,Trに基づき各色の点灯時間の変動率を演算する。演算手法は
図11および
図12関連して説明された通りである。
【0101】
S1302で制御部46は、各色の変動率と閾値とに基づき、3色のそれぞれについて点灯時間を分割の要否を判定する。上述したように変動率が閾値以上であれば、点灯時間の分割が必要である。変動率が閾値未満であれば、点灯時間の分割は不要である。制御部46は各色の分割の要否をRAMに記憶して、S1303に進む。
【0102】
S1303で制御部46は、RAMに記憶された判定結果に基づき3色のうち分割が必要な色があるかどうかを判定する。3色とも分割不要であれば、制御部46は、分割処理を終了する。分割が必要な色があれば、制御部46はS1304に進む。
【0103】
S1304で制御部46は、上述されたS1003からS1012を実行する。
【0104】
S1305で制御部46は、RAMから分割可否の判定結果を読み出し、分割要の色が分割可能かどうかを判定する。つまり、3色とも分割が必要であれば、3色とも分割可能かどうかが判定される。3色のうち2色について分割が必要であれば、その2色とも分割可能かどうかが判定される。3色のうち1色について分割が必要であれば、その1色が分割可能かどうかが判定される。分割要の色がいずれも分割可能であれば、制御部46はS1306に進む。
【0105】
S1306で制御部46は、分割要の色の分割タイミングを決定する。これは、S1014について説明した通りである。一方で、分割要の色のうち分割が不可能な色があれば、制御部46はS1307に進む。
【0106】
S1307で制御部46は、分割要の色のうちで最長の点灯時間を削減する。これは、S1015と同様の処理である。
【0107】
S1308で制御部46は、分割要の色について電流値を増加する。これは、S1016と同様の処理である。
【0108】
S1309で制御部46は、分割要の色のうち残りの他色の点灯時間を変更する。これはS1017と同様の処理である。分割要の色が一色の場合、この処理は不要である。
【0109】
S1310で制御部46は、分割要の色のうち残りの他色の分割タイミングを決定する。これは、S1018と同様の処理である。分割要の色が一色の場合、この処理は不要である。
【0110】
S1311で制御部46は、分割要の色の分割タイミングを設定する。これは、S1019と同様の処理である。
【0111】
<まとめ>
[観点1]
LED73は、光源を点灯させて原稿を照明する照明手段の一例である。受光部77は、照明手段により照明された原稿を読み取る読取手段の一例である。クロック生成部60は、照明手段の点灯時間の基準となるクロック信号を生成する生成手段の一例である。SSCG61は、クロック信号の周波数を所定の変調周期で周波数変調するスペクトラム拡散手段の一例である。制御部46、タイミング信号生成部71およびLED駆動部78は、スペクトラム拡散手段により周波数変調されたクロック信号に基づき照明手段と読取手段とを制御する制御手段の一例である。制御手段は、一ラインごとに原稿を読み取る際の各読取周期(例:Th、Tsp)における照明手段の点灯期間がN個のサブ点灯期間に分割される場合に、各サブ点灯期間におけるクロック信号の平均周波数faとスペクトラム拡散手段により周波数変調されたクロック信号の平均周波数f0とが一致するよう、点灯期間を構成するサブ点灯期間の個数Nと、各サブ点灯期間の開始タイミングとを決定する。これにより、画像読取装置100における照明光源の点灯時間をより精密に(シームレスに)調整できるようになる。
【0112】
[観点2]
N個のサブ点灯期間のうち1番目のサブ点灯期間の開始タイミングからN番目のサブ点灯期間の点灯終了タイミングまでの時間(例:Tgd,Trd,Tbd)は、変調周期の半周期よりも長い。
【0113】
[観点3]
図6や
図7などが例示するように、1つの読取周期には、1番目のサブ点灯期間の開始タイミングを基準とする変調周期の半周期がM個含まれていてもよい(M≧N)。N個のサブ点灯期間はそれぞれ、M個の半周期のうちのいずれかに含まれている。M個の半周期のうち奇数番目の半周期に適用される点灯パターンと同一の点灯パターンが偶数番目の半周期にも適用される。ここで、点灯パターンはサブ点灯期間の長さを示すものである。また、点灯パターンは、各サブ点灯期間の開始タイミングと終了タイミングとを規定していてもよい。基本的には、各開始タイミングは、半周期区間の開始タイミングに一致するが、
図7(c)と
図7(e)が例示するように、半周期区間の途中にサブ点灯期間の開始タイミングが配置されてもよい。
【0114】
[観点4]
サブ点灯期間の個数Nは偶数である。つまり、元の点灯時間は偶数個のサブ点灯時間に分割されて、奇数番目の区間と偶数番目の区間とに分配される。各サブ点灯期間の開始タイミングには一定の周期性がある。つまり、あるサブ点灯期間の開始タイミングから次のサブ点灯期間の開始タイミングまでの間隔は一定の間隔であってもよい。
【0115】
[観点5]
図5が例示するように、N個のサブ点灯期間のうち、i番目のサブ点灯期間の開始タイミングと、i+1番目のサブ点灯期間の開始タイミングとの時間差は変調周期の半周期に等しくてもよい。
【0116】
[観点6]
図7が例示するように、M個の半周期のうち第一の奇数番目の半周期に適用される第一点灯パターンが第一の偶数番目の半周期にも適用される。M個の半周期のうち第二の奇数番目の半周期に適用される第二点灯パターンが第二の偶数番目の半周期にも適用される。
【0117】
[観点7]
図7(c)が例示するように、点灯パターンは、半周期内で照明手段を複数回にわたり点灯させるパターンであってもよい。
【0118】
[観点8]
図7(d)が例示するように、第一の奇数番目の半周期と第二の奇数番目の半周期とは隣り合っていてもよい。第一点灯パターンは、第一の奇数番目の半周期の全体にわり連続して照明手段を点灯させるパターンであってもよい。第二点灯パターンは、第二の奇数番目の半周期において当該半周期よりも短い時間だけ照明手段を点灯させるパターンであってもよい。
【0119】
[観点9]
図7(e)が例示するように、第一の偶数番目の半周期と、第二の偶数番目の半周期とが同一の半周期であってもよい。
【0120】
[観点10]
図10や
図13を用いて説明したように、制御部46は、読取周期と変調周期と点灯期間とに基づいて点灯期間を分割可能かを判定してもよい。制御部46は、点灯期間を分割可能である場合、点灯期間をN個のサブ点灯期間に分割する。制御部46は、点灯期間を分割可能でない場合、点灯期間を、変調周期の半周期の整数J倍となる別の点灯期間に削減(短縮)するとともに、照明手段の光源に供給される駆動電流を第一駆動電流から第二駆動電流へ増加させてもよい。
【0121】
[観点11]
整数Jは、短縮後の別の点灯期間が元の点灯期間を超えないような、最大の整数である。上述の実施形態ではJ=1の場合が説明されたが、これは一例にすぎない。
【0122】
[観点12]
点灯期間と第一駆動電流との積と、別の時間と第二駆動電流との積とが等しい。これにより、点灯期間を削減しても原稿を照明する照明光量の積算値が一定に維持される。
【0123】
[観点13]
S1004などに関連して説明されたように、読取周期(例:Tsp)よりも、N個のサブ点灯期間のうち1番目のサブ点灯期間の開始タイミングからN番目のサブ点灯期間の点灯終了タイミングまでの時間(例:Tgd)が長くなる場合がある。この場合に、制御部46は、分割不可と判定してもよい。
【0124】
[観点14]
照明手段は個別に点灯可能な複数の光源(例:LED_R74,LED_G75,LED_B76)を有してもよい。制御部46は、複数の光源それぞれの点灯期間について分割可能かを判定する。制御部46は、複数の光源の点灯期間のうちで最長の点灯期間である第一光源の点灯期間を分割不可と判定すると、最長の点灯期間を半周期の整数J倍となる別の点灯期間に削減するとともに、照明手段の光源に供給される駆動電流を第一駆動電流から第二駆動電流へ増加させ、複数の光源のうち第一光源と異なる第二光源の点灯期間を、第一光源の点灯期間の削減率と同一の削減率で削減し、第二光源の削減された点灯期間についてN個のサブ点灯期間に分割してもよい。
【0125】
[観点15]
図11および
図12が例示するように、クロック信号の周波数が最大となる位相に点灯期間の中心が位置するように当該点灯期間を配置した場合の、クロック信号の平均周波数と、クロック信号の周波数が最小となる位相に点灯期間の中心が位置するように当該点灯期間を配置した場合の、クロック信号の平均周波数と、の間の周波数差が許容値を超えている場合がある。この場合、制御部46は、点灯期間についてN個のサブ点灯期間に分割してもよい。逆に、周波数差が許容値を超えていない場合、点灯期間の分割を実行しなくてよい。なお、分割の要否は色ごとに判定されてもよい。
【0126】
[観点16]
上述されたように、画像読取装置100の制御方法が提供される。
【0127】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【0128】
例えば、上述した実施形態においては、点灯期間をN個のサブ点灯期間に分割する際に、Nを偶数として説明したが、これに限られない。例えばN個の奇数の区間に分割してもよく、N個のサブ点灯期間におけるクロック信号の平均周波数faが、分割前の点灯期間における平均周波数に比べて、変調周期におけるクロック周波数の平均値f0に近くなるように分割すればよい。この場合、平均値f0と平均周波数faとの差が、所定の閾値以下となるように点灯パターンが設定されればよい。
【符号の説明】
【0129】
73:LED、77:受光部、60:クロック生成部、61:スペクトラム拡散クロック生成器(SSCG)、46:制御部